将国のアルタイル

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将国のアルタイル
ジャンル ファンタジー漫画
漫画
作者 カトウコトノ
出版社 講談社
掲載誌 月刊少年シリウス
レーベル シリウスKC
発表号 2007年9月号 -
巻数 既刊14巻
漫画:小国のアルタイルさん
原作・原案など カトウコトノ
作画 ソガシイナ
出版社 講談社
掲載誌 月刊少年シリウス
レーベル シリウスKC
発表号 2012年6月号 - 2013年11月号
巻数 全1巻
話数 全21話
テンプレート - ノート 

将国のアルタイル』(しょうこくのアルタイル)はカトウコトノによる日本漫画作品。『月刊少年シリウス』(講談社)にて2007年9月号より連載中。時代は文明水準としては中世風の世界で、戦略とアクションが織り成すストーリーとなっている。

2012年4月26日からは『シリウス』公式サイトにて二次創作4コマ漫画『将国の!』が連載されている[1]。『シリウス』2012年6月号から2013年11月号までソガシイナによるスピンオフ作品『小国のアルタイルさん』が連載された。

あらすじ[編集]

史上最年少でトルキエ将国の将軍になったマフムートは友人が国家反逆の嫌疑をかけられたことを聞き、助けに行く。しかし、その事件は13人の将軍の一人であるザガノスの思惑が隠されていた。帝国との戦争が迫る気配の中、マフムートは勝手な行動を咎められ将軍降格を言い渡され、国内外様々な経験を積む決心をし旅に出る。

旅の中で出会ったキュロスアビリガらと共にトルキエの内乱を鎮圧したマフムートは、その功績によって将軍に復帰する。折りしも、ルメリアナ大陸では西方の軍事国家バルトライン帝国による侵略戦争が始まろうとしており、マフムートは戦争を回避するために周辺諸国に赴くが、遂にバルトライン帝国が侵略を開始し「ルメリアナ大戦」が勃発してしまう。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

犬鷲のマフムート将軍(トゥグリル・マフムート・パシャ)
本作の主人公。史上最年少の16歳で将軍に昇進する。出身部族であるトゥグリル族の伝統に従って犬鷲のイスカンダルを使役しており、犬鷲の性質に詳しく戦闘時に彼らを使うこともしばしばある。幼い頃に起こったバルトライン帝国とトルキエの戦争で故郷と母親を喪っており、「二度と戦争を起こさせたくない」という想いが彼の原動力になっている。性格は真面目で、頭は切れるが融通が利かない。追い詰められると感情的に突っ走ってしまう傾向を周囲の年長者たちからは危ぶまれている。
ヒサール反乱での行動を咎められ将軍から千人隊長に降格され、見聞を広めるため各地を旅する。その後四将国の内乱を鎮めた功績により将軍に復帰し、新設された外事局長に任命され、対バルトラインとの戦争の指揮を執る。
イスカンダル
マフムートの飼っている犬鷲。マフムートが独学の放鷲術で躾けた犬鷲。雄なので雌に比べると少し小さい。
キュロス・イオス・アポロドロス
ポイニキア市長アポロドロスの息子で、ポイニキアにおける耳役。街の不良たちのリーダー的存在であったが、スレイマンに出会い耳役になることを引き受ける。ポイニキア陥落後はマフムートと行動を共にしている。
アビリガ
ヴェネディック・ブレガ商会所属の私兵隊長。ヴェネディックにおいて、その武名を知らぬ者は無い人物。サロス出身で、実の親に13歳の時に奴隷商人に売られたが、逃亡中ブレガに戦闘能力を見込まれ148ドゥカートで買い取られた。しばらくの間ブレガ夫妻の元で暮らしていたため、ブレガ夫妻を両親のように慕っている。
スレイマンに耳役となるよう誘われた過去がある。ある企ての結果、近い将来ヴェネディックとトルキエを結ぶ導管として700ドゥカートでマフムートに買い取られ、以降はマフムートと行動を共にしている。
エルバッハ
タウロ市のエル・トーロに所属する傭兵の青年。飄々とした態度でマフムートたちに接する。市長兄弟と同様に実力本位の考えを持っているが、彼らと違い傭兵を「落伍者」と卑下している。辛辣な物言いをすることが多く、マフムートのことを「戦場には向かない」と評している。模擬戦後はマフムートに雇われ旅に同行する。

トルキエ将国[編集]

毒薬のザガノス将軍(ゼヘル・ザガノス・パシャ)
対バルトライン強硬派。13人の将軍の一人で第1州管理官。将軍歴は19歳からの8年。自らが組織した密偵網を大陸全土に持っている。周りの将軍たちに帝国の脅威が迫っていることをヒサールを利用して警告した。冷酷ながらも頭の切れる人物。大トルキエ体制施行のために四将国の政権転覆を水面下で模索、その任をマフムートに与えた。
大都市のカリル将軍(シェヒル・カリル・パシャ)
対バルトライン穏健派。13人の将軍の一人で第7州管理官。将軍歴は20年。12年前のバルトラインとの戦争にも参加し、当時5歳で両親を喪ったマフムートを拾う。マフムートを見守り、彼の若さゆえの見識不足を危惧して忠告をしたりもする。
遠征軍の指揮官としてチェロに派遣されるが、帝国軍との戦闘で戦死する。
水門のサルジャ将軍(テシサトゥ・カプ・サルジャ・パシャ)
13人の将軍の一人で第3州管理官。名門の出身らしくザガノスを「成り上がり者」呼ばわりする。理想家でザガノスとは仲が悪い。
四将国の将王とは代々親交があり、「トルキエが高圧的な態度を改めれば内乱は収まる」と楽観視しバラバンに情報を提供し協力していたが、実際はバラバンに利用されていただけであり最終的には彼に殺された。
靴屋のダウド将軍(コンドラジェ・ダウド・パシャ)
対バルトライン穏健派。13人の将軍の一人で第4州管理官。カリルの盟友。カリルの弔い戦を志願するが、ザガノスに拒否される。
狼のクルト将軍(クルト・クルト・パシャ)
第8州軍所属の将軍。カリルの遠征軍に従軍した将軍の一人。カリルの戦死後はマフムートと合流する。
大将軍(ビュラクパシャ)
本名不明。トルキエの国家元首であり最高権力者。大トルキエ体制施行のために四将国の政権転覆の任をザガノスに与える。
黒翼のスレイマン長官(カラ・カネット・スレイマン)
ザガノスの私設密偵網「耳役(クラック)」と「目役(ギョス)」を統括する長官。かつてフローレンス共和国にいたことがあり、当時のコネも使っている。マフムートと同じトゥグリル族出身の犬鷲使い。ザガノスの指示でマフムートに協力している。飼鷲は雌のカテリーナ。
飾り帽子のイブラヒム総督(シャプカ・イブラヒム・バリ)
ヒサールの総督で、ザガノス配下の千人隊長。温厚で気安い性格でマフムートの友人。ルイ大臣の陰謀で自身と部下の家族を人質に取られてしまい、トルキエへの反乱を強要される。反乱がマフムートによって失敗した後に裁判に掛けられるが、将軍会議の政治的思惑により罪を不問にされ総督に慰留される。
アフメット軍人(アフメット・ベイ)
カリルの遠征軍に従軍した青年。カリルの戦死後はマフムートと合流する。
シャラ
首都アルトゥンで一番人気を誇る踊り子。イブラヒムとマフムートの友人。トルキエ内乱の際にはマフムートに協力する。

四将国[編集]

ムズラク将国[編集]

紅虎のバラバン(アル・カプラン・バラバン)
ムズラク将国第3代将王。「美」こそが自身の権威を高めるという独特な価値観の持ち主。バルトラインとの戦争に担ぎ出されて父が死んだことから、トルキエに対し反感を抱いている。自分に逆らう者に対して容赦無い人物だが、身内や気に入った人物に対して甘い一面がある。
「トルキエからの独立」という夢に拘泥し、ルイ大臣の甘言を受け入れトルキエに対し反乱を起こす。優れた軍事的才覚の持ち主だが、自信過剰で相手の力を見くびる短所が災いし、マフムートの策に翻弄され敗北。弟のバヤジットによって討たれた。
聖官のバヤジット(ウレマー・バヤジット)
ムズラク将国の将弟で聖官。港の町の耳役を務めており、トルキエに敵対を辞さない構えを見せる兄バラバンを危険視している。遊牧民の多い大トルキエでは珍しく海事・異国の情報に詳しい。耳役でありながらバラバンの暴走を放置し、逆賊となった姪アイシェを匿うなど兄同様に身内に甘いようである。
親トルキエ派で有能な人物であるらしく、バヤジットが窮地にいると知ったザガノスから「安全な場所にいて欲しかった」と惜しまれている。マフムートらと共に反乱軍と戦い、兄バラバンを討ち将王となる。
ウスマン
故人。ムズラク将国第2代将王。バラバン・ファトマ・バヤジットの父。バルトライン帝国との戦争で戦闘終了の3日前に戦死した。

バルタ将国[編集]

水蓮のファトマ(ニリュフェル・ファトマ)
バルタ将国の将王。ムズラク将国からバルタ将国へと嫁いだバラバンの妹。アイシェとケマルの母親。
バルタ将国の将王であった夫の亡き後を継いだが、将王位を狙う夫の親族に母子共々命を狙われているため、後ろ盾である兄バラバンに逆らえない立場である。そのためトルキエへの反乱に加担する以外の選択が出来なかった。四将王の中でただ一人戦死を免れて虜囚となり、毒による自裁を命じられたが、事情を汲んだマフムートの計らいにより奇岩の町郊外の屋敷に隠遁する(公には処刑されたことになっている)。
洋梨のアイシェ(アルムト・アイシェ)
バルタ将国の将姫。ファトマの息女。アビリガやキュロスも感心する美女。母ファトマと異なり親トルキエ派の人物。気怠げな印象を抱かせるが、辛辣な言動、物事の本質を見抜く聡明さ、大胆な行動力の持ち主だが、一方で身内に対して冷徹になれない側面があり、その甘さから叔父バヤジットと共に逆賊として窮地に立たされる事となる。幼少の頃から叔父バヤジットに叶わぬ恋心を抱いていた。
内乱終結後にはケマルの後見人として宰相に就任する。クルチュ将国のオルハンとは許嫁であるが、ケマルの後見人としてバルダ将国を治めなければならなくなったため結婚は延期となった(ただし「ケマルが成人した暁には嫁ぐ」とオルハンには語っている)。
ケマル
バルタ将国第一将子。ファトマの息子でアイシェの弟。10歳。幼くして父を亡くしており、将王位を狙う父方の親族から母や姉共々命を狙われている。内乱終結後には将王に即位する。
カシム
ファトマの夫の弟でアイシェ・ケマル姉弟の父方の叔父。
将王であった兄亡き後、将王位を巡る争いからファトマ親子を暗殺しようと謀るが、ファトマが兄バラバンに助けを求めたため逆に謀殺された。

ブチャク将国[編集]

油商のウズン(ヤグ・ウズン)
ブチャク将国の将王。自国を交易の中心地とすべく極秘裏にバルトラインと手を結び、山岳を突き抜けるリマンへの直通街道を建設させている。
子供が77人いる。全員を国内の有力商人の養子にしており、後継者候補を見極めようとしている。敗走中に息子イスマイルに討たれる。
武器商のイスマイル(スイラーフ・イスマイル)
ブチャク将国第45将子。シン商会の養子となっており、優れた商才の持ち主。傭兵として名高いオルケスタを私兵として抱えている。央海諸国や東方の大国であるチニリなどの事情に精通しており、父親であるウズンから期待されている。
自国を交易の中心地にするためにバルトラインと結ぶという父親の野望を商人として危険視し、反乱に同調せずマフムートと共に反乱軍と戦い、父を殺して将王となる。
水煙草屋のナザル(ナルギーレ・ナザル)
ムジュヘルの耳役。帝国から四将国に向けて密かに街道が建設されつつあることをザガノスに知らせ、町を訪れたマフムート達に情報を提供した。

クルチュ将国[編集]

百面のセリム(ユズ・マスカ・セリム)
クルチュ将国の将王。普段から仮面をつけており、トルキエ将国の13人の将軍にすら、素顔を見せた事がない。
四将国の中で弱小な自国の将来を憂いている。素顔を見せないのは自身の本心を周囲に悟らせないためである。大トルキエに異を示したのは、帝国・他の三将国を敵に回さないためであった。
マフムートらに協力して反乱から離脱しようとするが、情報が漏れたためアイシェを殺して三将国に許しを乞おうとしたが、息子オルハンに討たれる。死ぬ間際、苦渋の決断をしたオルハンに「くじけるな」と別れの言葉を交わした。
剣のオルハン(クルチュ・オルハン)
クルチュ将国第1将子にして将太子。アイシェの婚約者。滅多に素顔を見せない父を畏怖している。優柔不断で臆病な性格だがアイシェを心から愛している。三将国への忠誠のためアイシェを殺そうとした父を涙ながらに討ち、新たな将王としてマフムートと協力して反乱軍と戦う。

バルトライン帝国[編集]

ゴルドバルト11世
帝国を統べる皇帝。実務はルイ大臣に任せているが大事の決定権は全て握っており、皇帝としての権威は絶大。ルイ大臣の陰謀も全て見透かしているが、あえて何も言わずに勝手にやらせている。
フランツ大臣暗殺の際に、ルイ大臣の陰謀を証明しに来たカリル・マフムート両将軍の交渉を全て聞かぬまま「全て認める」と帝国の非を全面的に認めるなど、きっぱりしてるところも見受けられる。
エルドライン1世
ゴルドバルト11世の父にして帝国の先代皇帝。代々の世襲名である「ゴルドバルト」ではなく、被征服地ライン地方の王の名である「エルドライン」を皇帝として初めて名乗る。これを「バルト・ライン共栄の象徴」と称賛したエイゼンシュテイン公爵に対し、ルイ大臣は「被征服者を懐柔し搾取を強化するための方便」と一蹴した。
ビルヒリオ・ルイ
バルトライン帝国筆頭大臣(帝国宰相)。実質的に帝国の外交・軍事政策を指揮しており、その権力は絶大。「帝国という"怪物"を維持するためには戦争を続けるしかない」という考えを持っており、陰謀によって反対派を押し切って戦争を始め、ルメリアナ大陸全土を手に入れようとしている策謀家。ヒサール反乱やトルキエ内乱を首謀していた。膨大な数の地図を暗記しており、毎朝皇帝に地図を献上している。腕利きで形成されるロットウルムを配下に持つ。
紳士的な人物として振る舞っているが、レレデリク曰く「キレると怖い」らしく、彼女自身言い訳を考えたりグララットを身代りに立てたりしたが、グララット曰く「問答無用でたたっ斬られる」という理由で拒否されている。
エイゼンシュテイン公爵
バルトライン帝国元老。先代皇帝エルドライン1世の代から70年余りに渡り要職を歴任してきた。帝国の貧困を憂いて内政の充実を訴えており、戦争を優先するルイ大臣とは対立している。
エルルバルデス公爵レレデリク
ゴルドバルト11世の姪で、帝国海軍央海艦隊陸戦隊長。長い黒髪をなびかせた美人だが、貴族とは思えぬ女盗賊の如き言動をとるため、伯父である皇帝からは「嫁の貰い手が無い」と言われている。貧寒な領地を栄えさせるためルイ大臣の指揮に従っているが、大臣の配下を殺してトルキエと戦争を始めようとするような面も見受けられる。
グララット・ベルルリック
レレデリク直属の部下で帝国海軍央海艦隊陸戦隊長付副官。大人しげな外見をしているが、レレデリクの苛烈な感情にもついてゆく。軽口をたたき合うなど、レレデリクとは仲がとても良い。グララットに限らず、レレデリク配下のエルルバルデスブルク兵たちは非常に結束が固い。
ライアン・ロゥ
帝国海軍央海艦隊提督。その家名と劇中で帝国に併合されたロゥ王国について懐かしんで語っていることから、王族の末裔と思われる。専ら海上での戦闘指揮を担当し、上陸作戦や陸上戦はレレデリクやグララットが指揮を担当する。
コランタン・ピノー
帝国陸軍大将。かつては帝国の戦争政策を支持していたが、12年前のトルキエ戦敗北を受け戦争政策の限界を訴えており、ルイ大臣とは対立している。
ルイ大臣の命令を受けてスコグリオ公国に侵攻し「ルメリアナ大戦」の口火を切る。ムルムリョ盆地で反帝同盟軍に敗北し、エスパーダ攻防戦で戦死する。
リリー・ココシュカ
帝国宰相秘書官。ルイ大臣の側近で、軍監として遠征軍に従軍する。
ルイ大臣の描いた地図を基に作戦を立案する一方、ピノーをけしかけ戦線の拡大を図っている。エスパーダ攻防戦で戦死する。
ヨハン・フレンツェン
帝国陸軍中将。第1軍団長。病弱な体質で薬を常用している。勘が鋭く、マフムートたちの作戦を的確に見抜く洞察力を持つ。
農業政策を重視しており、内心では戦争に反対している。
アントン・アダム
帝国陸軍中将。第2軍団長。フレンツェンとは長年の友人。
トリスタン・バレ
帝国陸軍中将。第13軍団長。ルイ大臣の子飼いであるロットウルムの一員。工兵部隊を指揮し、トルキエ軍に打撃を与える。
ムルムリョ盆地で反帝同盟軍に敗北し、逃亡する。
エレノア
ロットウルムの一員。ルイ大臣の策謀のために各地で暗躍している。
ルイ大臣からの信任が厚いらしく、ルイの密使としての役割を果たす事もある。

央海12都市国家[編集]

ポイニキア(燈台の都)[編集]

アポロドロス
ポイニキア市長。キュロスの話では典型的な腐敗政治家であり、外交では帝国と宥和政策を取ろうとする。しかし、その弱腰姿勢も実は街や市民を戦火にさらしたくないという政治家としての信念であり、市民の犠牲を防ぐため帝国軍に降伏する。
コンスタンティノス
ポイニキア副市長。対バルトライン強硬派で、古代ポイニキア帝国の理想を掲げる復古主義的な考えの持ち主。理想の高い人物で、都市内に帝国軍が雪崩れ込んで来ても最後まで戦い抜こうとした。降伏後も一人レレデリクに挑み、殺された。ルチオからは「理想で現実が見えなくなった人物」と評されている。
ゼノン
元老院議員。遠方の距離を目算で図ることができる優れた目測能力を持つ。
ニケフォロス
元老院議員。卓越した計算能力を持つ。

ヴェネディック(海の都)共和国[編集]

アントニオ・ルチオ
ヴェネディック共和国元首。ヴェネディック共和国とヴェネディック人を愛しているが故にヴェネディックという国家を最優先として、ポイニキアからの援軍要請を事実上反故にした。必要ならば友人をも裏切る冷酷な合理主義者として振舞っているが、長年の友人であるコンスタンティノスの死を悼むなど、全く感情が無い訳ではない。
ヴェネディックを生き残らせるため、バルトライン・トルキエとの導管を欲している。マフムートを「理想が異常に高い割には現実的な判断ができる人物」と評価し、ヴェネディック - トルキエ間を結ぶ導管として期待している。
バルトラインの侵略に対抗するためトルキエ・ウラドと反帝同盟を締結する。同盟締結後は新鋭軍船を建造しリゾラーニに対抗する。
シルヴェストロ・ブレガ
ヴェネディック艦隊総船団長。ポイキニア付近の海域を商売区域としているブレガ商会の船団長でもある。混沌の時代をヴェネディックが生き抜くため、マフムートに対して一計を案じた。
同盟締結後はヴェネディック艦隊を率い、海戦の指揮を執る。
ジーノ・ボッカネグラ
ヴェネディック艦隊第15船団長。ロニの弟で、アマデオの叔父。他のリゾラーニ人のように海の姿が見えず、アマデオとの実力差に負い目を感じ、12年前にリゾラーニを飛び出しヴェネディックに移住する。
央海海戦に志願し、リゾラーニ艦隊との戦闘に参加する。ルチオを守るため、リゾラーニ艦隊を道連れに「黒豹号(ネロ・パンテーラ)」に火を放ち自沈・戦死する。
チェチリア
ブレガの妻。酒場を経営している。マフムートの度胸を買っている。

リゾラーニ(島の都)共和国[編集]

ドナテッロ・ドーリア
リゾラーニ共和国元首。「道化師号(アルレッキーノ)」船長。仇敵のボッカネグラ家と手を組みバルトライン陣営に与するが、裏ではルチオと内通しており、敗走中のボッカネグラ艦隊を攻撃し、壊滅させる。
アマデオ・ボッカネグラ
商船「黄金号(オーロ)」の船長。「100年に1人」と言われる天才で、リゾラーニ人の中で唯一海神トリトーネの姿を見ることが出来る。傲慢な性格でヴェネディックを「二流」と言って憚らない。
ヴェネディックを追い落とすために仇敵のドーリア家と手を組み、バルトライン陣営に与する。央海海戦に敗れ敗走中にドーリア艦隊の裏切りに遭い、捕縛され処刑される。
ロニ・ボッカネグラ
アマデオの伯父で商船「黄金号」の副船長。「男爵夫人号(バネローサ)」の船長もしている。央海海戦に敗れ敗走中にドーリア艦隊の裏切りに遭い、アマデオをかばい射殺される。

サロス王国[編集]

ムワナイディ3世
サロス国王。権威主義者であり、「王の威光を見せ付ければ国民は従う」と考えており、その国民を顧みない政治姿勢は大臣からも反感を抱かれている。
央海の制海権を失った帝国軍の残党に王宮を占拠され、監視下に置かれる。

ウラド王国[編集]

ジグモンド3世
ウラド国王。「弱肉強食」を信条としている。国力の疲弊と国民の貧窮を憂いバルトライン帝国の保護下に入る決意をするが、マフムートとマルギットの説得を受け反バルトライン陣営に与する決断をする。その際、信頼の証として帝国国使を処刑するなど苛烈な一面を覗かせた。
マルギット
第4王女にして対トルキエ将国担当交渉大臣。ウラドにおける耳役でもある。公私の分別がついておらず、父には「大臣としての自覚が足りない」と言われている。マフムートと共に父を説得しウラドを反バルトライン陣営に引き入れる。その後は「東方のいろいろな国担当交渉大臣」に就任し、ニキと共に東方世界との交渉に向かう。
ゲルトルード
第2王女。マルギットの姉で帝国担当交渉大臣。トルキエとの同盟を主張するマルギットに対し、バルトライン帝国と敵対することの不利を訴え帝国の保護下に入ることを主張した。
反帝同盟締結後は、クオーレ地方・南ルメリアナ地方担当交渉大臣に就任する。

ルメリアナの心臓地方[編集]

フローレンス(花の都)共和国[編集]

カテリーナ・デ・ロッシ
フローレンス共和国大統領。3年続けて大統領職を任されている女性。かつてスレイマンとは恋人同士であり、今でも彼のことを愛している。スレイマンの飼鷲・カテリーナの名前は彼女から採られている。
交渉術に長けており、マフムートたちとの交渉では終始主導権を握っていた。帝国にも三国軍事同盟にも与するのを良しとせず、双方に睨みを効かせ戦争を防ぐため「心臓地方同盟(クオーレ同盟)」を発足させる。しかし、スコグリオ陥落の報を受けトルキエ軍の国内通過を認めたため反トルキエ派に命を狙われる。
ジャコモ・ロレダン
大統領付秘書官。反トルキエ派のメンバーで、カテリーナの情報を流していた。カテリーナがマフムートと会談した直後に反対派の署名を集め、大統領解任の準備を進めるなど根回しに長けており、カテリーナに「優秀な秘書官を持った」と自嘲させた。
ジョバンニ・デ・オルシーニ公爵
元大統領。かつてスレイマンが鷹匠として仕えていた人物。彼のことを信頼しているようで、マフムートたちが心臓会議に参加出来るように便宜を図った。
反トルキエ派にバティスタ・デ・オルシーニという同姓の人物がいるが、両者に血縁関係があるかは不明。

アルノ(小川の都)共和国[編集]

ジュリオ
アルノ共和国大統領。長年続いた平和に浸り切っており、ルメリアナ大陸の情勢について何の情報も集めていなかった。

南ルメリアナ[編集]

タウロ市[編集]

デルッチョ
タウロ市長でエスケルドの双子の兄。右眼と両足を失っており、車椅子に乗っている。傭兵の未来について想いを巡らせる思慮深い一面を持つ。
実力本位の考えを持っているため、軍才の無い相手を見下している。そのため、マフムートと模擬戦を行い実力を試す。
エスケルド
タウロ市長でデルッチョの双子の弟。両腕を失っており、フック状の義手をしている。傭兵を「自由の戦士」と捉え、「必要とされなくなったら滅びても構わない」と考えている。
兄と同様に実力本位の考えをしている。戦闘では足技を得意とし模擬戦ではマフムート隊を圧倒するが、トルキエの集団戦法によって敗れる。

カンパーナ(鐘の都)[編集]

ブランカ
カンパーナの耳役。帝国軍の侵攻から市民を救うため脱出を手助けするが、帝国軍に発見され捕えられる。連行される途中、バスコの騒動に出くわし彼と逃走する。
バスコ
カンパーナの鐘職人の少年。帝国軍に親方を殺され復讐を誓う。

エスパーダ(剣の都)[編集]

ブリジッタ・グリマルディ
クオーレ地方の傭兵団・山猫団(リンチェ)の団長。クオーレ同盟に雇われエスパーダ防衛のため入城する。

スコグリオ(岩の都)公国[編集]

スコグリオ公爵レグルス
スコグリオ公国の統治者。帝国軍の猛攻を受け降伏した。
ミル
帝国との国境に位置するオエスト砦の守備隊長。帝国軍の猛攻を受け降伏した。
エミリオ
スコグリオの耳役。スコグリオ陥落の報を知らせるため伝書鳩を飛ばしたが、直後にエレノアに殺された。

チェロ(天上の都)共和国[編集]

カルバハル
チェロ共和国院長。明るく人懐っこい性格をしている。「フィナル・フェリス(幸福な結末)」を信条とし、人々の平穏を乱す帝国から街を守るため反帝同盟に与するが、バルトラインに降伏しようとする反院長派に拘束され、処刑される。
カサンドラ
院長秘書。幼少の頃に、戦乱で家を失った祖父と共にチェロに移住する。
アウグスト、サロモン、ウルバーノ
チェロに籠城する民兵。籠城戦に耐えかねて、仲間と共謀してカルバハルを監禁し、帝国軍に降伏しようとする。
カルバハルを処刑し降伏を試みるが、帝国軍の退却により失敗し、トルキエ軍に拘禁される。

アルギュロス(銀色の都)[編集]

ラフモノフ
アルギュロスを治める三大商人の筆頭。街を混乱から守るために、政治的思惑をもって訪れたマフムートを拒絶した。商人の倫理で街を治めているが、時として政治的な判断を下すこともある。
ニキ・アル・バフラーム
アルギュロスの商人バフラームの一人娘。父の急死で隊商を継ぐが、他の隊商に仲間を全て奪われ途方に暮れていたところ、マフムートに商談を持ちかけられたことをきっかけに新しい商売を始め、その後はアルギュロスを飛び出しマフムートたちと共に行動する。
ワン・イーシン
妻と使用人たちと暮らしている老人。一見好々爺然としているが、変装したマフムートの正体を見破るなど鋭い洞察力を持つ。かつては東方の大国チニリの侍衛親軍都指揮使(皇帝の親衛隊長)だったが、20年前に戦で右足を失ったため役を辞し、アルギュロスで皇帝への献上品を探しながら隠居生活を営んでいる。

登場勢力[編集]

トルキエ将国
ルメリアナ大陸南東部に位置する、草原と砂漠に覆われた遊牧の国。行政は将軍会議(ディワーン)を最高決定機関としている。将軍会議は42名の将軍(パシャ)による多数決で決定される民事・商業に関する第一の会議、大将軍の権限により地下水路監督官及び戦時司令官を決定する第二の会議、そして「13人の将軍(ヴェズィール)」の全会一致で決定される軍事と外交そして国家犯罪に関する第三の会議があり、週3日開催される他に緊急の場合の臨時召集もある。
「大陸の富の9割が通る」と言われる隊商の街道と海の街道が交差して商業が盛ん。大陸諸国の中でもかなり裕福であり、庶民には道楽を楽しむ余裕がある。軍人は庶民から武術試験で選ばれ、下から下級仕官→十人隊長→百人隊長→千人隊長→将軍→13人の将軍→大将軍。下から昇格する者もいれば降格者も定期的に選出される、完全な能力主義社会。
建国は75年前。バルトライン帝国の内乱が終結し、その脅威が外に向けられることを恐れた20の部族が建国した。
16の主な部族からなる部族連合国家である。宗教は五首信仰で特に水の精霊(ナバラト)の信仰が盛んで水資源に乏しいことから、村々には必ず泉を囲むように水の社殿が建立されている。
主な都市
金色の町(アルトゥン)
将国の首都。国のちょうど中央に位置する。隊商の街道と海の街道が交差する交通の要所。
砦の町(ヒサール)
将国の北西に位置する。第1州に所属。隊商の街道沿い、バルトラインとの国境にある重要拠点。総督はイブラヒム。
イェニ・トゥグリル村
将国の北北西に位置する。第2州に所属。トゥグリル族のマフムートやスレイマンの故郷。犬鷲使いの聖地。12年前のバルトラインとの戦争で壊滅し、現在は再建されている。
オアシスの町
隊商の街道沿いのヒサール - アルトゥンの間に位置する。カリル将軍が建てた大市場などがある商業の発展した町。
水の精霊の町(ナバラト)
トルキエ南部に位置する。ルメナリア大陸最大の水の社殿がある。水の精霊を信仰する人々が集う聖地。
四将国
トルキエの文化圏に属しているトルキエ将国の衛星国。75年前のトルキエ建国時に帝国への後詰としてトルキエの20からなる部族のうち、当時の4大有力部族の族長を君主として建国された。四将国は各部族の族長である将王によって統治されており、将王は世襲制である。大トルキエにおいては将王はトルキエ将国の13将軍と同格とされており、「大トルキエ」と呼ばれている地域はそれらの四つの将国とトルキエ将国を指す。
それぞれの将国はトルキエに比べて国力は小さい。四将国はトルキエ将国から軽視されていることから近年では不満が高まっている。
大トルキエの中で貨幣鋳造権はトルキエ将国のみに認められており、その庇護によって四将国は独自の軍を率いている。貨幣鋳造権以外にも様々な制約がトルキエ将国から課せられている。
ムズラク将国
トルキエ将国の衛星国の一つ。将王はバラバン。大トルキエにおいて単一民族としては2番目の規模を誇り、四将国中唯一海に面している。
四将国を結ぶ海の街道の出発点でもある。
良馬の産地であることから四将国中優れた軍事力を持つ。特に騎兵が精強な事で知られている。
主な都市
港の町(リマン)
大トルキエの中で唯一海と面している街。ただし、央海ではなく外海に面している。
東の都(シャルク)
ムズラク将国の首都。バラバンの居城「紅の宮殿(アル・サライ)」がある。大トルキエでは一般的な水道技術が張り巡らされている。
ブチャク将国
トルキエ将国の衛星国の一つ。将王はウズン。
豊かな鉱物資源、産出された鉱物の加工技術を背景とする強大な経済力を持っている。
主な登場都市
宝石の町(ムジュヘル)
ブチャク将国の首都。元は宝石の採掘で潤っていたが現在は鉱山は閉山となった。しかし、宝石の研磨職人が多いことから栄えている。
クルチュ将国
トルキエ将国の衛星国の一つ。将王はセリム。
 四将国の中では弱小で経済力・軍事力共に劣っている。
主な都市
奇岩の町(アカイブ)
クルチュ将国の首都。文字通り奇岩に囲まれた地形の町。
バルタ将国
トルキエ将国の衛星国の一つ。将王はファトマ。
国力はクルチュ将国とほぼ同じだが、将王位争いのため政情は極めて不安定である。
バルトライン帝国
トルキエの北西に位置する軍事大国。トルキエ将国の10倍以上の戦力を保持している。皇帝による統治が行われ、貴族的な文化を有している。皇帝と、その取り巻きの間で意見の相違があり、カリル曰く「一枚岩ではない」国家である。
内乱が続いていたが、75年前にバルト地方を束ねるゴル王家によって統一された。近年ではサロス王国、ポイニキアの二つの央海都市国家を属邦とし、央海交易の掌握を狙っている。
被征服者であるライン地方の人々は征服者であるバルト地方から常に搾取される立場にあり、戦争の際にはライン地方の人々が最前線に送られ捨て駒扱いされている。また、帝国の辺境部では産業や教育が立ち遅れ、帝都周辺との間に深刻な格差が発生している。
主な宗教は赤蛇の教団(ロットウルム)。製鉄の教団。鉄製武器の使い手として優れている。
主な都市
聖ミヒャエル
帝都。河沿いの大都市で、川の中央には皇帝の居城である聖ミヒャエルの城がある。「聖ミヒャエル」は帝国の初代皇帝の名前から採られている。
エルルバルデスブルク
レレデリクの治める極寒の領地。一年のほとんどが冬のため、まともに作物が育たず領民は貧困に喘いでいる。ポイニキア攻略の功績により、ポイニキアから得られる富の5割を恒久的に下賜されることになった。
央海12都市国家
央海(セントロ)に面する有力な都市国家の総称。
ポイニキア(燈台の都)
古代の大海洋帝国・ポイニキア帝国の首都。現在では大陸南西部の大洋・央海沿いの港湾都市国家。海にそびえる大燈台が古代帝国の象徴である。帝国崩壊後も街は残り、高度な文明と商工業能力を保っていた。岸壁と大燈台からはじまる大城壁が都市を全て囲っている。陸地は大城壁を国境としてバルトライン帝国と接している。
作中では、帝国に軍港の一画を割譲する要求を突きつけられ、副市長の下で防衛戦争を開始する。篭城して同盟国である央海最強の海軍を持つヴェネディックの艦隊の救援を待つ戦略だった。ポイニキア軍8000人に対して15万人の帝国兵は圧倒的な数にもかかわらず大城壁と大燈台に阻まれて4回にわたる総攻撃で多くの犠牲を出していた帝国軍だが、グララットが囮になりレレデリクが岸壁を兵力の9割以上の犠牲を出して強行突破し、ポイニキア暦3022年帝国暦451年5月29日、帝国に全面降伏した。宗教は五首信仰で特に土の精霊への信仰が盛んである。
ヴェネディック(海の都)共和国
軍事・経済ともに央海第一と目される干潟の上に造られた人工島の都市国家。
共和国会(コンシーリオ)への参加資格を有する共和貴族(ノービレ)によって運営されている。最高執政官である元首も共和貴族による投票によって選出され、内政・外交問わず国家に関わるあらゆる事が元首官邸の中に用意された各種の専用部屋で決定される。
国民構成は500年前に北方から侵入した騎馬民族に大陸を逐われたヴェネテ人や、内乱や迫害で土地を逐われた多種多様な移民たちによって構成されている。
主な宗教は五首信仰で水・火・金・木・土の社殿を中心とした5つの街区をはじめ、夫々の宗教の社殿を中心とした街区がある。
優れた情報網を国家規模で持っており、ヴェネディックが商売を行う港ごとに情報掲示板と公館が設置されている。各商会の船長たちは寄港した際には必ず航海中に得た情報を公館に報告する義務を負っている。
央海での商売は危険と隣り合わせであるため海賊撲滅を国是としている。船での戦闘を熟知しているのは商人とその船乗りであるため、商人が軍隊を率いて海上警備を各商会が持ち回りで担当している。戦時には戦闘地域に縁が深い商会が艦隊を組んで出陣することになっている。
リゾラーニ(島の都)共和国
ポイニキアと西央海を結ぶ央海第二の商業国家。船団を組まずに交易し、事故に遭った際の保証も行われないため、商人たちの国家への帰属意識は低いが、操船技術はヴェネディックを凌ぐと言われており、自らを「海神の子」と呼びヴェネディックに対抗心を燃やしている。現在は力を持つ複数の家による元首の争奪戦が行われている。
海神トリトーネを「父」と崇め、その実力を認められたリゾラーニ人たちには央海の海流や風が全て生物として写るため、超人的な操船技術を会得している。
ウラド王国
西ルメリアナ大陸の北辺に位置する高原と岩山の国。東方騎馬民族の侵攻を受けた古代ポイニキア人によって建国された。建国以来鎖国を貫いており、入国の際には一国の使節であっても厳重な身体チェックを行うが、国防のために各国担当の交渉大臣を置き情報収集を行っている。国民皆兵制度をとっており、その軍隊は400年前に帝国の侵攻を防いだこともある。どの国とも交易を行ってこなかったため国力は限界を超えており、帝国の保護下に入っての延命を図るが、マフムートたちが王国北辺の鳥追海岸に良質な肥料となる鳥肥(ステルコ)を発見し、その輸出によって国力の回復を目指すことを決め王国の独立を維持する。
ルメリアナの心臓(クオーレ・ディ・ルメリアナ)地方
ポイニキア帝国発祥の地であり、その誇りからルメリアナ大陸の「心臓」を名乗っている。バルトラインと文化形態を共有しており、侵略民族であるトルキエを「蛮族」として忌み嫌っている。34の都市国家が存在しているが、その全ての都市国家が独自の軍隊を保有しておらず、国の警備は傭兵に任せている。全都市国家の意志を決定する「心臓会議」があるが、主導権は心臓地方随一の大国フローレンス共和国が握っている。
フローレンス(花の都)共和国
クオーレ地方の政治・経済・文化の中心。芸術を重んじる「美の都」であり、様々な地から芸術家が集まる。大統領の任期は1年であり、市民の投票によって選ばれる。市民の3分の1の署名を集めれば大統領を解任することが出来る。エステ家・オルシーニ家・フィニ財閥といった街の有力者の大半は反トルキエ派である。
アルノ(小川の都)共和国
人口4000人の小都市国家。トルキエと国境を接している。
南ルメリアナ
西ルメリアナ大陸の南方地域。心臓地方の恩恵を受けつつ、軍備を牡牛団に頼る国がほとんどを占める。
タウロ市
ヴルカーノ火山の側にある都市国家。高い城壁で街を囲んだ難攻不落の城塞。傭兵を生業としており、各地から集まる志願者を牡牛団(エル・トーロ)の一員として養成し、各都市へ派遣している。
高名な将軍が訪れる度に模擬戦を実施し、傭兵志願者の選別と戦法を学んでいる。
主な都市
牡牛門(プエルタ・タウロ)
「タウロ一の堅門」と言われる城門。マフムートと市長兄弟の模擬戦の舞台となった。
カンパーナ(鐘の都)
鐘の鋳造が盛んな都市国家。バルトライン帝国への協力を拒んだため滅ぼされる。
スコグリオ(岩の都)公国
1200年前にポイニキア皇帝から公爵位を得て成立した都市国家。建国以来からポイニキア帝国時代の統治体制を維持している。バルトラインと国境を接しており、そのため帝国軍の侵攻を受け征服された。
主な都市
西の砦(オエスト砦)
帝国との国境沿いにある小規模な砦。守備隊は総勢500人。ピノー率いる帝国軍の猛攻を受け陥落した。
エスパーダ(剣の都)
長剣の製造が盛んな都市国家。反帝同盟に加盟し、トルキエに援軍を派遣する。
チェロ(天上の都)共和国
1200年前のポイニキア帝国末期に成立した都市国家。山の頂上にあった救貧院を中心に成立したため、現在でも、圧政や貧困から逃れて来た人々に無償で福祉を与えている。家屋は全て木造建築で造られており、侵略軍が街に入った際には街ごと焼き払うため、1200年間難攻不落を誇っている。
アルギュロス(銀色の都)
東西ルメリアナ大陸の接点に位置する商業国家。東方交易の拠点であり、三大商人の合議によって治められている。三大商人から手形(ズァーツク)を与えられた手形商(ゴースチ)のみが商売を許されているが、問屋との信頼関係がなければ手形を持っていても相手にされない。混乱から街を守るために各国家と商人との付き合いを禁止しており、破った場合は街を追放される。大秦との直販商路は三大商人の独占物となっており、それを犯す者も街を追放される。
チニリ(大秦)
東ルメリアナ大陸東端に位置する大帝国。農業や畜産を基盤としており、かつてはバルトライン帝国と同様に戦争政策を推し進めていたが、8年前に極東の小国を征服した時点で戦争政策を放棄し繁栄を享受している。
サロス王国
ポイキニアの南に位置する独立した都市国家。央海に面した港の後背地に広大な食料供給源を持つ農業大国でもある。帝国暦446年(ルイが筆頭大臣に就任した年)に帝国自ら働きかけ修好条約を結んで以来、経済は帝国への依存度を高めており、事実上の属邦となっている。
国王の無策によって国内は荒廃状態にある。国王とその周辺を除けば非常に貧しく、アビリガによると奴隷貿易が盛んで飢餓が蔓延しているようである。
主な宗教は五首信仰。水の精霊の信仰が盛んである。

書誌情報[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]