児童ポルノ

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児童ポルノ(じどうポルノ、:child pornography)とは、児童被写体としたポルノのことである。キッズポルノとの国際的な総称もある。

概説

児童ポルノの定義について、国際連合が採択した児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書[1](略称: 児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書)第2条 (c)において、「現実の若しくは疑似の(real or simulated)あからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現手段のいかんを問わない)又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現」[2]としている。

日本国の法律では、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(略称: 児童買春・児童ポルノ処罰法)(平成11年法律第52号)の2条3項に定義があり、特に次のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものである。

  1. 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
  2. 他人が児童の性器等(性器肛門又は乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの。
  3. 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの。

これらの提供・製造・頒布・公然な陳列・輸入・輸出は、同法第7条で禁止されている。

「児童」の年齢範囲について

上記の国連議定書は、児童の権利に関する条約の選択議定書であるため、「児童」の定義は同条約第1条に従い18歳未満とされる。この選択議定書の締結国は、条約に定められた法整備を行う義務を負っている。2008年現在、締結国は、日本も含めて126カ国(全体の65%)である。G8の国では、ドイツとイギリスが未締結、ロシアが未署名 であり[3]アメリカは条約自体に未加入 である[4]

そのため、

  • アメリカ(合衆国法典2256条(1)。児童ポルノに関する定義や罪は当該条文を含む110章の複数の条文に記載されている)
  • イギリス(2003年性犯罪法第45条)
  • ドイツ(ドイツ刑法第184条b、c。なおドイツ刑法は13歳未満のポルノを「児童ポルノ」とし、18歳未満のポルノを「青少年ポルノ」とする。)
  • スペイン(スペイン刑法第189条1.b)
  • フランス(フランス刑法第227条23)
  • イタリア(イタリア刑法第600条)
  • カナダ(カナダ刑法第163条1)
  • ロシア(ロシア刑法第242条1)
  • 台湾(児童及少年性交易防治条例第27条)

など多くの国が児童の定義を18歳未満に置いている。ただし、欧州評議会の「サイバー犯罪に関する条約」[5]などの地域レベルでのより拘束力の強い条約では、締約国は、16歳を下限として、17歳より低く定めることができるとされており、また各国の歴史的・文化的な違いもあり標準化は進んでいない。一方でアメリカのように連邦法と州法で児童の定義が異なる場合がある国(ニューヨーク州で17歳未満、バーモント州で16歳未満など)、中国やイスラム諸国のようにポルノ全体が違法であり児童ポルノについて特段の定義をしていない国がある。

日本においては、児童買春・児童ポルノ処罰法第2条により18歳未満が「児童」として規制の対象となる。ただし、日本において「児童」の定義は法律によってまちまちであり(児童#法制度における呼称を参照)、特に学校教育法で定める6歳以上13歳未満(いわゆる学齢児童)という定義が世間一般で通行しているため、混乱を生じやすい面がある。実際に、2007年には17歳の女子高生Tバック姿で出演した作品が児童ポルノにあたるとして、出版会社社員が逮捕されている[6]。また2008年08月には、大手オンライン映像配信サービスが、18歳未満のアイドルの作品の一部レンタルを自主規制する動きに出ている[7]

規制の範囲について

実際に規制の対象となる表現形式は、写真や動画であり、媒体は書籍雑誌ビデオテープDVDなどを用いたものの他に、ウェブサイトで公開されているものもあり、そちらは特に児童ポルノサイトという。インターネット上で児童ポルノが発見された場合には、インターネット・ホットラインセンターに通報すれば削除要請をすることができる。

外国の法律においては、芸術性のあるもの等について児童ポルノ規制の対象外とする規定が少なくない。例えばアメリカ合衆国法典1466条Aは、「文学的・芸術的・政治的・科学的な価値が一切ないもの」だけが児童ポルノに該当するとしている。日本では、このような除外規定はない。

単に姿態をとらせるだけのヌード写真児童エロチカの一部)や、あるいは姿態をとらせていないヌーディズムの写真などについても扱いが分かれる。姿態をとらせることがない児童の盗撮行為については、盗撮して所持すること自体は児童ポルノ製造にあたらず、上記の提供や頒布等を行なった場合にはじめて処罰対象となるとの学説が示されている(盗撮行為が軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反に問われる可能性はある)[8]

日本における境界領域

児童ポルノ処罰法については、上記3号規定の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という一文について「定義が曖昧で規制が大きくなりかねない」といった懸念が施行当時から存在した。

しかし、2005年度においては、一般書店に流通しているアイドルのグラビア雑誌や写真集等においては、法律施行前と同等の肌の露出を含む写真や動画の流通が容認されているようである。具体的に言えば、被写体が18歳未満の人物の

  • ヌード写真、動画
  • 乳首 (女子のみ)が見える写真、動画
  • AV出演

といったものが摘発対象とされる一方で、

といったものが摘発されずに流通している。このため、児童ポルノ処罰法以前より、わいせつ物頒布罪、児童福祉法、青少年条例等を根拠に児童の性行為の撮影や、その写真・映像の流通はそれ以前から違法性を認識されており、児童ポルノ処罰法はそれらに加えて児童ヌード写真集ないしビデオの流通を新たに禁止したと理解するむきは多い。ただし、法律では前述のように「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」を児童ポルノの定義に含めているため、上にあげたような摘発対象と認識されていないものと肌の露出の度合は変わらなくとも、具体的内容によって摘発対象とすることもできる。

民主党は、2009年の衆議院第171回通常国会で構成要件の不明確な3号規定を削除し、代わりに2号規定に性器等の露出、若しくは露出を伴わずともそれらが強調されている児童の姿態について新たに規制対象とする条文を付加した法改正案を提出している(その後審議未了。廃案)。[9]

日本における経緯と動向

日本国内では、エクパットの日本における公式関連団体のひとつであるECPAT/ストップ子ども買春の会(共同代表の宮本潤子は、日本キリスト教婦人矯風会性・人権部幹事。)が、法規制の強化について積極的な活動を展開している。

日本においては従来、一部の撮影行為が児童福祉法、軽犯罪法淫行条例違反の可能性があり、一部ポルノの販売がわいせつ物頒布罪に問われるのみであった。児童の性器が写っている画像であっても、モザイク処理などの修正によって商業的に流通していた。

しかし、1996年ストックホルムで開催された「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」(ストックホルム会議)において、日本から出席した宮本潤子の報告[10]をきっかけとして、「日本は児童に対する性的搾取の規制を怠っている」と非難を受けた。

この流れをうけ、1999年5月に児童買春・児童ポルノ処罰法が成立し、児童を「18歳に満たない者」と定義した上で、性交等に係る児童を描写した写真等を児童ポルノと定義した。同法第7条により、児童ポルノの製造(撮影と複製)、頒布、公然と陳列が処罰の対象となり、上記の目的による所持や国外との輸出入も禁止された。さらに2004年の改正により、児童ポルノの提供(販売や無料で譲渡した場合)も処罰対象とされた。

なお、わいせつ物頒布罪等、従来の法律の適用が無くなることはなく、状況に応じて併合罪が適用されたり、観念的競合牽連犯も適用することができる。

さらに、同時に児童ポルノは関税定率法(2004年以降は関税法による規制)の改正により輸入してはならない貨物となり、さらに2006年改正により輸出してはならない貨物になっている。輸出入は予備罪も含めて関税法においても罰せられる。

単純所持の規制

現在の国の法令では、他人が製造した児童ポルノを個人的に所持していること(単純所持)については、法律では禁止されていない。2008年には森山真弓他2名による議員立法衆議院第169回通常国会に所持の禁止を盛り込んだ児童買春・児童ポルノ処罰法改正案が提出され、以後の国会でも継続審議となっているが、可決に至っていない。

地方レベルでは奈良県と京都府で条例により児童ポルノ単純所持規制が導入されている。

奈良県 - 子どもを犯罪の被害から守る条例[11]
正当な理由がなく、13歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2005年の条例制定により、2005年10月1日施行。
京都府
正当な理由がなく、18歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、知事は廃棄命令を出すことができ、廃棄命令に従わなければ30万円以下の罰金に処する。
さらに13歳未満の児童ポルノを有償で取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
2011年の条例制定により、2012年1月1日から施行予定。

海外においては、多くの国で単純所持が禁止されている。かつては主要国首脳会議のメンバーの中で日本とロシアのみが単純所持を禁止していないとしばしば槍玉に挙げられたが、ロシアについては2009年のロシア連邦刑法改正[12]により単純所持が禁止されている。

2008年5月30日、法政大学法学博士白田秀彰は、「18歳未満の人物の裸の写真が扇情的な様相で掲載されている写真集を現在一冊保有している」ことを宣言し、(「単純所持宣言」)[13]単純所持の違法化が実現した際には、まず自らを摘発することを法執行関係者に呼びかけている。

図書館での取り扱い

過去の規制が緩やかだったため、各地の国立・公立の図書館には、児童ポルノと見なされうる図書が納本制度により多数収蔵されている現状がある。

2004年の児童買春・児童ポルノ処罰法の改正後、法務省国立国会図書館に対して、児童ポルノとされうる蔵書の閲覧が法で禁止した「提供」に該当する可能性を指摘した。図書館は「知る自由」の保障を第一に考えるべきとされ[14]、国立国会図書館についても、国立国会図書館法第8章において「一般公衆及び公立その他の図書館に対する奉仕」を規定しているため、蔵書の閲覧制限は想定していない状況であったが、この指摘を受けて、2005年7月から閲覧制限を開始した[15]2006年4月1日からは内規を制定して、少女ヌード写真集など118点、雑誌2タイトルについて、完全に閲覧禁止とした。[16]

他の公立図書館については、2010年現在において、正式な閲覧制限等は行なっていない。

男児ポルノの規制

児童ポルノの対象には女子のみならず、男子も含まれる。これは同法の性別による規定がないことや、男子に性欲を覚える性愛者もおり男子も被写体にされるためである。従来はもっぱら女児の裸体が問題視される傾向にあり、男児の裸体や性器については比較的寛容であった。しかし、特に日本国外では、男児ポルノについても厳しく規制する動きがあり、日本においても、男児ポルノが事件となるケースが現れつつある。2007年には男児の入浴画像などが多数掲載された男児ポルノサイトが摘発された。2008年には、男児(8歳)の陰部を携帯電話のカメラで撮影した男が児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕され、有罪となっている[17]

放送業界においても、日本が男児ポルノの発信基地になっているとの批判[18]を受け、自主規制の動きが現れている。

2008年1月22日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の第9回青少年委員会(通算86回)で宮本潤子は、「日本の子どもポルノの現状として、男子児童の被害も増えてきている」と主張し、その根拠として、警察庁の外郭団体であるインターネット・ホットラインセンターに寄せられた通報等を挙げた。また、男児ポルノと性犯罪との因果関係については、「直接の原因ではないが、画像を見ることによってその種の犯罪を犯す可能性が増大することは確かである」と主張した。[19]

同年4月11日、BPOの青少年委員会が発表した「児童の裸、特に男児の性器を映すことについて」[20]において

  • お笑い芸人の自宅での入浴シーンで6歳と11歳の兄弟の性器が写っていた。
  • ニュース番組で小学生の強化合宿に密着取材し、小学6年の男児が合宿所で局部丸出しの状態で入浴しているシーンをモザイクボカシで修正せず、そのまま放送していた。

ことを問題視した。

創作物の規制

架空の児童を扱ったポルノ作品(絵画・イラスト・漫画・ゲーム等)に関して、日本においては2010年(平成22年)年現在、法務省「実在の児童を描写したものに限定される」との見解を示しており、規制の対象となっていない。

ただ、現在も継続審議中の2008年児童買春・児童ポルノ処罰法改正案の附則では、「漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等」について、法施行3年後を目処に検討を加え「必要な措置」を取ることとしている。

諸外国では、カナダで1985年の刑法改正により、道徳を堕落させる罪(第163条)[21]として、「(a)事実にせよフィクションにせよ、犯罪の実行を扱うもの(b)犯罪の実行の前後を問わず、事実にせよフィクションにせよ、犯罪の実行に関連するイベントを扱うもの」が「犯罪コミック」として刑事罰の対象とされている。

ニュージーランドでは、1993年の映画、映像及び出版物分類法により、児童の性行為や裸体を描いた映像や出版物を「不適切なもの」とし出版・配信を刑事罰の対象とした。2004年に、一般向けアニメ作品のぷにぷに☆ぽえみぃが、児童ポルノと認定され発禁処分を受けている。[22]

イギリスでは、2009年検視官及び司法法により、児童の性器や性行為を描写した漫画やCGも含めた画像を規制され[23]、同法が施行された2010年4月より刑事罰の対象となった。

推進派の動向

内閣府の実施した対面方式での調査では、「架空の児童」についても何らかの規制が必要であるという意見が大半だった[24]。しかし、これについて弁護士の山口貴士は調査の手法に多くの問題があると批判している。[25]

2008年3月11日日本ユニセフ協会(国際連合の組織であるユニセフ東京事務所とは別個の民間団体)は、「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを行なうことを表明した。記者会見の場で「日本ユニセフ協会大使」を称するアグネス・チャンは、「子どもへの性的虐待は犯罪。ポルノを持ってもだめ、漫画を買って読んでもいけないと訴えていくべき」と発言した。また、自民党の森山眞弓、公明党の丸谷佳織、民主党の神本美恵子が会見に同席し、それぞれ創作物の規制に積極的な意見を述べた。[26]

また、「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告宣伝する行為に反対する」としてアグネス・チャン、元警察官僚でインターネット・ホットラインセンターの創立者の一人である竹花豊らを呼びかけ人とし[27]日本キリスト教婦人矯風会創価学会女性平和委員会、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンマイクロソフトYahoo! JAPANらを賛同団体として[28]、インターネットによる署名活動を開始した。2009年1月13日までに114,624筆の署名を得たと標榜し、各政党に提出したと発表した。[29]

また、ECPAT/ストップ子ども買春の会の構成員であるArto Tsunanoは、日本国外に向けて日本の萌え文化を紹介する内容の報告書[30]で、子どもを含めた多くの日本人が、児童ポルノ的なイメージを当然のものとして受容しはじめており、これがオタク文化による現象であると主張している。

また、2008年の参議院第169回通常国会に提出された請願(内閣委員会付託・第2525号)において、美少女ゲームや雑誌を読んだ青少年は「知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失ない、幼い少女たちを危険に晒す社会をつくり出している」ため、「表現の自由以前の問題」として「美少女アダルトアニメ雑誌」や「美少女アダルトアニメシミュレーションゲーム」〔ママ〕の販売規制を求めている。これに反発し、紹介議員の一人だった円より子の公式サイトの掲示板が炎上するという事件が起こっている[31]

反対派・慎重派の動向

これに対して、2008年に創作物の規制/単純所持規制に反対する署名活動が展開され[32]2009年に第171回通常国会への請願として衆議院・参議院に提出された。賛同人一覧には赤木智弘後藤和智斎藤環里中満智子新谷かおる藤本由香里(明治大学)、宮台真司(首都大学東京)、森川嘉一郎(明治大学)、後藤和智他が名を連ねた。この署名活動には全国同人誌即売会連絡会も協力した。[33]

2010年3月15日には、ちばてつやらが東京都議会最大会派の民主党に意見書を提出した。直後の記者会見で永井豪は「自分は『ハレンチ学園』で出世した。この作品を出した際も敲かれたが、「臭いものにはふたをしろ」で何でも規制対象にしたら、かえって悪くなる」と主張した[34]

その他著名人では、宮崎哲弥勝谷誠彦藤井誠二伊集院光森永卓郎江川達也マツコ・デラックスなどが、出演するテレビ番組・ラジオ番組・ブログなどで表現の規制に反対もしくは慎重の態度を示している。

また、民間団体では、日本ペンクラブが1998年に、日本弁護士連合会が2003年に創作物の規制について反対の声明を出している。[35]。 またMIAUが、日本ユニセフ協会に対して質問状を送付した他[36]子どもの人権と表現の自由を考える会も各政党に対し公開質問状を送付し、回答を公開した[37]

なお、法学者の奥平康弘(東京大学)は、わいせつ規制に関する裁判で、「憲法的な表現の自由を媒介として、それをルールとして切り開いて作られた理論としてコンセンサスがあるわけではない」とし、表現の自由の本質は、あくまでも少数者の利益を確保することにあるとの指摘を行なっている[38]

レイプレイ事件

2009年5月8日、読売新聞は、国際的なラディカル・フェミニズム団体でNGOイクオリティ・ナウen:Equality Now)が、日本国内で販売されているアダルトゲーム等の流通を批判する活動を開始したことを報じた[39]。それによれば、イクオリティ・ナウは、「日本政府はなぜレイプを奨励するかのようなゲームの流通をやめないのか」との批判を展開しているという。日本国内におけるラディカル・フェミニズム団体であるポルノ・買春問題研究会研究会(APP研)は、同会の共同代表である角田由紀子がイクオリティ・ナウのボードメンバーを勤める[40]などして、イクオリティ・ナウとの活発な交流活動を展開しているところであるが[41]、読売新聞の取材に対して、角田は、インターネット時代においては「国内だけの問題ではなくなっている」と話している[42]。また、APP研究会のもう一人の共同代表である中里見博(福島大学)は、読売新聞の取材に対して、日本が、日本国外のラディカル・フェミニズム団体から以前から批判の目が向けてられていたとの談話を寄せている。また、イクオリティ・ナウは、同団体のホームページ上で、ポルノ・買春問題研究会による女性のモノ化(the objectification of women)を阻止するための取り組みを紹介したうえで、しばしば性あるいは暴力の対象として描写されているメディア内での女性のイメージが、ジェンダー・ステレオタイプ(Gender Stereotypes)に対して重大な影響を及ぼすとした女性差別撤廃条約委員会に対する報告書を引用し、日本国内のゲームメーカーおよび販売業者のアマゾンに対する販売自粛、および日本政府の要人らに対して女性差別撤廃条約に定められた義務の履行を求める「性暴力ゲーム」規制要求の抗議活動を展開することを、160か国の会員3万人に向かって呼びかけた[43][44]

この問題はゲームメーカーILLUSION2006年に作成し、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の審査を通過して日本国内の18歳以上向けに発売していた[45]アダルトゲームレイプレイ』(en:RapeLay)が、2009年2月に英国Amazon.comでディーラーズ販売(Amazonではマーケットプレイスと呼ばれる販売方式)されていたことを2009年2月12日にベルファスト・テレグラフ(en:The Belfast Telegraph[46]が報じたことが発端となり、2009年2月26日のイギリスの国会で、暴力表現が問題とされたゲームManhuntマンハント)を発売禁止に追い込んだことで有名な労働党のキース・ヴァズによって、フェミニストとして知られるハリエット・ハーマン女性・平等担当大臣に対する質問の中で取り上げられた[47]。英国議会の家庭問題委員会では有害ソフトのリストアップとインターネット上での流布状況の調査が長期間にわたり続けられて来るなどチャイルドポルノ規制を強化していたことや、その総仕上げともいえる法案が英議会で審議中であった事などもこの事例が取り上げられた要因であった[48]。これをきっかけとして、米国の本社Amazonや英国Amazonなどが2月にこの商品の取り扱いを中止した。英語圏諸国ではベルファスト・テレグラフの記事がen:Sydney Morning Heralden:The Times of Indiaen:Fox Newsen:News24等にニュースとして転載されるなどした。この段階では日本国内での報道は一部の日本国外のゲーム系ニュースサイトに限られていた[49]が、Amazonジャパンも、同年4月下旬にこの商品の販売中止を決めた。また、その後も日本国外のユーザーにより改造された英語版のレイプレイは複数の日本国外のサイトからダウンロード可能になっている。

次にこの問題を2009年2月23日ニューヨーク市議会[50]の報道官クリスティーヌ・クィンと性的暴力に反対するニューヨーク連合(NYAASA)が取り上げ、強姦ビデオゲームのボイコットを呼びかけた。その際、これについてあくまでニューヨーク市民が求めていることだと強調し、呼びかけは検閲を奨励するものではないとの見解を示した[51]。この問題はFree Radicalなどの団体によって取り上げられるなどした[52]。その後、市議会で取り上げられたのが市販品ではなく英語版に改造した海賊版であったことや[53][54]、この問題を取り上げたオタク層以外のサイトなどでグランド・セフト・オートシリーズが許されてレイプレイが許されないのはなぜか、ゲームの表現は社会の反映だからレイプレイを潰してもレイプ文化はなくならないなどと批判された[55]。また、オタク層に加えて日本国外のゲーム制作者なども現場からの声を出し始めたため議論は収束していった。しかし、ゲームのボイコット自体はニューヨーク市の正式なプロジェクトとして昇格した。

同年5月6日にはラディカル・フェミニズム団体イクオリティ・ナウが日本での販売中止を求める抗議活動を起こし、日本国内でも読売新聞の報道を皮切りにテレビ各社などにも取り上げられた。イクオリティ・ナウのロンドン支部の責任者は、「レイプレイ」の意味するものは、「女性のモノ化(en:Sexual objectification)と非人間化であり、女性に対する暴力の日常化」であると語っている。これらはAFP通信(フランス通信社)やガーディアン紙の東京特派員などを通じて世界に発信された[56]。この状況を受け、メーカーはレイプレイのホームページへの掲載とネット販売を取りやめたことを明らかにした[57]。同社の担当者は「今後の販売などについて、現段階ではコメントはできない」としている。

同年5月29日、自由民主党女性局が「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」を開催し、出席者の一人である内閣府特命担当大臣の野田聖子が、「今回の件はアメリカ人権団体から各大臣宛にレターが届きわかったもの」と前述のイクオリティ・ナウによる抗議活動に言及し、「政権政党自民党だからやるべきことなので、山谷えり子女性局長にお願いした」と説明している[58]。その数日後、6月4日に入って、ソフ倫が自主規制の方針を打ち出し、「凌辱系ソフト」の製造禁止を決定するとともに、「Japan Sales Only」の表記の徹底を通達している[59][60]。6月30日、公明新聞は、「児童ポルノ規制」「インターネット規制」「ゲーム規制」を「三つの挑戦」と題した記事で、「公明党が推進してきた“三つの挑戦”で、ネット事業者やアダルトゲーム業界が自主規制に乗り出」したことを報じ、「日本もようやく国際社会の潮流に乗りつつある」と評価している[61]。2009年7月、自由民主党女性局は、「性暴力ゲームを含む有害ソフトやインターネットによる有害情報、有害サイト、有害メール」の規制を目的とした「罰則規定を含む法体系の整備」を求める提言を取りまとめた。その中で「製造メーカーや流通業者への指導・管理体制の強化」「インターネット接続業者によるブロッキング等の実施や、フィルタリングの利用促進」「青少年健全育成基本法」の早期制定とその推進を訴えている[62]

同年7月1日、イクオリティ・ナウは女性差別撤廃(CEDAW)委員会宛てに書簡を送付し、その中でHentaiと呼ばれる創作表現のみならず実写の性暴力ビデオを含む過激なポルノグラフィ(extreme pornography)が引き起こす女性に対する暴力の促進を問題視し、これを除去するための取り組みがいかなる段階にあるのかを日本政府に問い質すことをCEDAW委員会に求めた[63]。7月23日、国連女性差別撤廃(CEDAW)委員会で、従軍慰安婦問題での謝罪や性暴力ゲーム対策を求める声が出されたことが報じられた。[64]

また、イクオリティ・ナウは同年5月に出された声明の中で、マンガの形態をとる過激なポルノグラフィ(en:Hentai)や、なかでも女子児童に対する性的虐待を描写した「ロリコン」(en:Lolicon)と呼ばれる作品が、日本では簡単に入手可能であることをも問題としている[43]。 また、第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議の参加団体であり、「ジェンダーの平等と子どもの幸福は、切っても切れない関係」(UNISEF事務局長アン・ベネマン)[65]との認識に基づいてジェンダー・イクオリティ(en:Gender Equality)を近年において強力に推進している日本ユニセフ協会の担当者は、インターネットでグローバル化された世界では、たったひとつの抜け穴がすべての規制を無効化するものであり、世界の趨勢は、「バーチャルなイメージ」を掲載したウェブサイトにアクセスして閲覧することさえも違法化する方向に向かいつつあるとして[66]、「ある文化で受容されるものが他の文化ないしは文脈では受容されない事があることを日本人は知るべきである」[67]と主張している。

このような法規制に向けた動きに対し、法学者の右崎正博(獨協大学)は、朝日新聞[68]に寄せた談話で、「小説やマンガにも性暴力を扱った表現はあり、法的なレベルで白か黒かと言えば、黒とは言い難い」ものの、「現状では社会的な反発を招き、安易な法規制を招きかねない」として、表現の自由を守るためにも、業界全体として改めて適切な自主規制を検討すべきとの見方を示しているが、産経新聞の取材には「ある種のジャンルを一切禁止するのは、少々乱暴」として、「作品ごとに個別に対応できるような方法を考えるべき」との見方も示している[69]。また、法学者の田島泰彦(上智大学)は、製造自体を禁止したソフ倫の決定に疑問を呈するとともに、「フィルタリングシステムを導入するなど、表現の自由をできる限り追求することが大切」と指摘している[69]

政党・政治家の反応

民主党
党としては、2009年通常国会解散前の与野党それぞれで提出した児童買春・児童ポルノ処罰法改正案(議員立法)関連審議において、「単純所持禁止」について与野党合意に至っている[70][71]政権交代後の国会においては、多くの法改正案の審議が進んでいないこともあり、児童ポルノ規制に対する与党・政府としての態度は明確でない。
松浦大悟枝野幸男中村哲治本多平直山花郁夫谷岡郁子宮崎岳志など、表現規制に反対・慎重な態度をとる議員は存在する一方で、日本ユニセフ協会が単純所持禁止を訴える「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンの記者会見において出席した神本美恵子が「同党内でも議論するべき」と発言したり、他にも小宮山洋子泉健太、アダルトゲーム等の規制に関する請願を提出した円より子下田敦子など規制を積極的に推進する議員も存在する。
自民党
党としては、2008年の衆議院第169回通常国会に単純所持の禁止を盛り込んだ法改正案を提出しており、継続審議となった以後の国会でも自民党議員の名前で同一法案を提出し続けている。違法化に積極的な理由は、単日本国外の圧力に押されている一面もある。創作物の規制についても上記改正案で検討する旨を盛り込んでいる。これも諸外国の規制に押されている一面があり、公明党に主導されている側面もある。
規制に積極的な森山眞弓、野田聖子高市早苗らの女性議員らは児童買春・児童ポルノ規制法の改正による「児童ポルノの単純所持の違法化」や「漫画・アニメ・ゲームの規制」に積極的な態度を見せている。福田内閣の法務大臣鳩山邦夫も児童ポルノの単純所持の違法化に積極的であると見られているが、慎重な態度も見せている(創作物の規制については2007年11月8日参議院法務委員会での松浦大悟に対する答弁で慎重論を唱えた)。福田康夫も平成20年の国会答弁で創作物の表現規制に積極的な発言をしている[72]
ただし、自民党内でも与党プロジェクトチームの早川忠孝は個人ブログで児童ポルノ法の問題を連日に渡って取り上げ、読者からの合計コメント数が1000件を突破した。これらのやり取りを通じ規制派から慎重派に転じた早川などは、個人的見解[73]として、定義の厳格化、所持ではなく譲り受けといった特定の具体的行為を禁止対象とすること、かつて適法とされていた物件の所持は対象から外し廃棄を義務づける、などの対案を示しており、法務部会では、「証拠を集めない限り、警察は強制捜査が出来ない」[74]ようにすることを目的として、「所持にプラスして、所持に至った原因行為である取得行為や製造行為の立証も必要になるような規定」を提案していた[75](ただし公明党の主張が与党PTとしての結論となった関係で[76]、部会としての結論とはならなかった)。また、児童ポルノ法の本来の目的は、児童ポルノによる児童の被害をなくすことにあり、単なる「児童ポルノ禁止法」という捉え方をすべきでないとの見方を示している[77]。しかし、早川は2009年衆院選において落選・失職している。
公明党
創作物の規制に関して「禁止行為とすることが望ましい」との判断を示し、一貫している。与党時代では、公明党が連立与党であった自民党に対し本件で少なからぬ影響力を及ぼしており、時にリードもしていた。野党転落後は自民党との関係をある程度保ちつつ距離をとる一方で、民主党政権に政策的協力で歩み寄りつつある。
公明党は党内に児童買春・ポルノ禁止法の見直しプロジェクトチーム(座長丸谷佳織)を発足し協議を行い、米国での児童ポルノの対策などについて米国連邦捜査局(FBI)法務官ローレンス・J・フタ駐日米国大使館政治部のスコット・ハンセンと意見交換話をするなどしている[78]。また、単純所持禁止の裏づけとなる性犯罪との因果関係を示すデータが存在しないとして、国の調査・研究による裏づけを求めている[79]
社民党
旧社会党として自社さ連立時代に児童買春・ポルノ禁止法の制定に関わっていたが、現在党レベルでは「権力や支配層の意思、考え方が一方的に押しつけられることがないように、表現および言論の自由を徹底的に擁護する」と宣言をしている[80]
また、社民党党首福島瑞穂は、「児童ポルノにはもちろん反対だが、ポルノかどうかの判断は、人によって違ってくる。拳銃や麻薬のように単純に違法なものかは判断できない」とコメントしており、単純所持の違法化には反対の姿勢を見せている[81]。創作物の規制に関しても、「一見児童ポルノを処罰をするようで、実は、ポルノ全体の処罰とならざるを得ない」[82]との認識を示しており、「裁判官が「アニメのこの子は、19歳に見える、いや17歳くらいだろう」と判断をすることになる。はっきり言ってそれは、不可能でありかつ恣意的になる。法廷で、いや18歳以上に見えると論争をするのだろうか」として、漫画などの規制に懸念を示している[83]。また同党所属の保坂展人もこれらの意見に同調している[84]
国民新党
児童ポルノの単純所持違法化や定義の厳格化については「違法捜査を無制限に拡大し、冤罪事件を起こしかねない」として原則として反対であることを示している[85]
また、創作物の規制についても「被害児童の人権保護が目的である」として反対であることを示している。
日本共産党
児童ポルノの単純所持違法化について党として反対を明確に表明している。また、アニメ・マンガ・ゲームといった創作物を児童ポルノ禁止法で規制することには慎重な姿勢を示している。[86]
一方、小池晃が日本ユニセフ協会のメンバーと懇談したおり、「(実写はもとよりアニメ・マンガ・ゲームを含め、日本の児童ポルノは)現状は放置できないひどい実態」「みなさん(日本ユニセフ協会)の要望をしっかりと受け止める」と等コメントしており、規制の強化に積極的な姿勢を見せている議員もいる[87]
みんなの党
党の方針としては現状では明確な立場を示していないが、2009年12月に入党した川田龍平は無所属時代から改正案に対して慎重な立場を示しており、創作物の規制/単純所持規制に反対する請願署名市民有志の紹介議員としても名を連ねている[88]
一方で、柿沢未途のように規制の強化に積極的な姿勢を見せる議員も存在する。

日本国外での状況

アメリカ合衆国においてFBIインターネットの児童ポルノの摘発に乗り出し、複数の作戦を決行している。その作戦のコードネームとその概要を記す。

イノセント・イメージス
アメリカ・オンラインを通じ違法行為の調査を進めた連邦捜査局は2年間の捜査活動を経て、1995年9月13日に容疑者12名を逮捕。100件以上の家宅捜索を実施。1997年4月時点で91名を逮捕し、83件の重罪の有罪判決が下された。これはFBIが1つのオンラインサービスの捜査を全国規模で実施した初の例である。
オペレーション・キャンディマン
FBIのおとり捜査官が児童ポルノに関わる3つのEグループを特定。2001年1月から一斉摘発を開始。2002年7月時点で100名以上の逮捕を報告。同年8月には米国と西欧諸国の捜査当局が連合し、国際的な児童ポルノリングの組織を摘発。20名を逮捕。この事件における被害者は容疑者らの子供も多く、その映像は世界中に配信された。

2003年にはザ・フーのギタリストであるピート・タウンゼントが児童ポルノのサイトに接続したとして性犯罪者リストに登録されてしまったが、彼は幼い頃虐待を受けておりその著書のための下調べという事情もあったが、それであっても逮捕された。

なお、アメリカでは、18歳未満の子どものように見えるポルノグラフィ(含む創作物)を、児童ポルノ法によって一律に規制したCPPAが、表現の自由に反するとして、2002年に、連邦最高裁より違憲判決を受けており、現在では、ミラー基準の枠内で、わいせつ法の条文を利用した規制(PROTECT Act of 2003)が行なわれている。

なお、イギリスにおいては2004年に行われた児童ポルノの一斉摘発作戦(オペレーション・オーen:Operation Ore)によって35人以上の自殺者が出ており、その大半は妻帯者だった。 2006年、不満を抱いた従業員が上司のノートパソコンに児童ポルノ画像を忍ばせた上で警察に通報し上司を逮捕させるという事件が発生。最終的には1年後の2007年に真相が明らかになり従業員は逮捕されるものの、上司は1年間にわたり妻を初め家族、友人達に白い目で見られるという日々を過ごすことになった。[89]日本でも、こうした状況が少なからず発生する懸念があるといえる。

なお、児童ポルノを所持し視聴する行為が、それだけでも児童を性的に虐待する行為の誘因となるという主張も存在する。アメリカでは、両者の相関関係を示す資料として、子どもポルノを受動的に視聴した受刑者 の76%が接触犯罪が犯していたとのヘルナンデス調査が報告[90]されている。ただし、両者の因果関係を示す科学的・統計的な資料がいまのところ存在しないことも事実である。

児童ポルノの需要状況を示すデータは、イタリアの児童保護団体のレポート[91]によると、2007年における小児性愛者サイトのユーザー・訪問者の割合は、米(22. 82%)、英(7. 02%)、仏(3. 56%)、独(14. 57%)、伊(6. 14%)、加(3. 16%)、露(8. 39%)、日本(1. 74%と)なっている。

児童ポルノの供給状況を示すデータは、イギリスのインターネット監視財団IWFのレポート[92]によると、2006年における児童ポルノサイトのホスティングは、アメリカ(62%)、ロシア(28%)となっている。

なお、児童ポルノの二大消費国としてアメリカに加えて日本が取り上げられることがあるが、その統計的な根拠は明らかではないことを日本政府も認めている[93]


単純所持の禁止と問題点

現在の日本の法律では児童ポルノの製作者および販売者を罪に科すことができるが、2009年時点の規定においては、条文による規制範囲から単純所持(「持っているだけ」という状態)の者を罪に問うことはできない

仮に単純所持が違法化された場合、数多くの問題と危険性が指摘されている[94]

規制範囲の問題

現行の児童買春・児童ポルノ処罰法においては、上記3号規定により「性欲を興奮させ又は刺激するもの」が規制対象となっているが、肌の露出の程度など具体的な基準は示されていない。そのため警察や裁判所など司直の主観的な判断により摘発の対象となる可能性がある。

また、単純所持が規制対象となった場合、水浴び・入浴中の裸の子供の写真映像が規制の対象となるため、自分の子供を撮影したものや幼い頃の自分を両親が撮影したものを保管しているだけで、「児童ポルノ所持」の容疑者として摘発されるという可能性もある。もし、被写体本人や撮影者が既に死亡したとしても、遺品として所持していた遺族が罪に問われることにもなる。

これについて「被写体本人が自分自身であり、かつ自分自身がその写真や映像の存在によって不快に感じているわけでもないのに、単に“裸の子供の画像”というだけで一律に法規制の対象にするのはおかしいのではないか」[95]という批判もある。実際に法規制の対象になるかどうかは議論を呼ぶところである[要出典]

外務省では、児童ポルノの単純所持がすでに違法化されているアメリカで、自分の子供が入浴した時の写真を現像に出しただけで逮捕に至った事例を紹介し、「日本では何でもないと思われること」であっても処罰の対象となることもあるとして日本国外の邦人に対して注意を喚起している[96]

意図しない所持に伴う問題

メールや郵便などで他人の児童ポルノの画像や本を送りつけたり、相手の所持品の中に他人の児童ポルノの写真を(本人に知られないように)紛れ込ませた後、警察に通報するだけで特定の個人や団体を簡単に社会的に抹殺することが可能となる。児童ポルノ(特にデジタルカメライメージスキャナなどで作成されたデータ)は拳銃麻薬と異なり、入手や複製が容易であり、実際に作成することも可能なので、こうした冤罪が横行する可能性が大きくなる(場合によっては、フォトレタッチ合成写真で児童ポルノを作成される可能性もありえる)。前項に記された様にイギリスでは同様の冤罪事件が現実に発生している。

加えて、一般的なウェブブラウザでは表示した画像を一定期間ハードディスクキャッシュとして保存する仕様になっているため、児童ポルノの画像があるウェブサイトに(たとえ過失であれ)接続しただけでも、キャッシュを所持することで摘発の対象となる可能性がある[97]。アダルトサイトでなくともポップアップ広告などでアダルト画像を使ったバナーを表示するサイトや、他のページへのリンクとして画像を縮小表示したりしているサイトも存在するため、そういったサイトに接続するだけで「児童ポルノ所持」の容疑で犯罪者になってしまうことが危惧されている。

なお、児童ポルノの単純所持などがすでに違法化されているアメリカではWindowsの「Thumbs.db」というサムネイルファイルに児童ポルノと思われる画像が表示されるだけで、たとえ元の画像ファイルがハードディスク内に存在しなくても、児童ポルノ所持の容疑で逮捕されている[98]。このサムネイルファイルは、迷惑メールなどの添付ファイルや、ウェブページを見た際のキャッシュなどにたまたま含まれていた児童ポルノ画像を見ただけでも自動的に生成されてしまうため、アメリカでは大多数のパソコンユーザーが、児童ポルノ所持の容疑で摘発される危険性がある。

また、コンピュータウイルスの中には自動的に児童ポルノの画像をダウンロードさせるものも存在し、そういったウイルスが原因で、アメリカでは本人に「児童ポルノの画像を集めている」という自覚がないまま逮捕される事件も起きている[99]

捜査権の拡大

さらにアメリカでは、FBIが児童ポルノサイトへのリンクを装った「だましリンク」をネット上の電子掲示板などに貼り付け、そのリンクを一度でもクリックした人物をアクセス元(IPアドレスリモートホスト)で割り出し、児童ポルノ処罰法違反容疑で逮捕する、おとり捜査も行われている。「おとり」というよりは「罠」という表現もできる。この場合、誤ってクリックしただけで逮捕される。しかもFBIのやっていることは本質的にはワンクリック詐欺と同様であり、被害者が存在しないにもかかわらず犯罪者を次々と生み出すことに繋がる[100]

日本でも児童ポルノの単純所持が違法化されれば、警察のこういった捜査が横行する危険性が出てくることになり、「犯意誘発型」に相当するはずのおとり捜査までもが合法化される危険性も出る(刑事訴訟法学の通説的見解によると、おとり捜査としては、犯行の機会を提供する「提供型」は許されるが、犯行を誘発する「誘発型」は許されないとする。捜査機関が犯罪者を積極的に作り出すからとする)。弁護士で社民党の福島瑞穂は、「「単純所持」が処罰をされるということは、単純所持が犯罪になるということであり、つまり、捜索が可能となるのである」として、捜査権の拡大を懸念している[101]

ほかには、アメリカでは、通関に際し、携帯電話やパソコンなどの情報機器が検査の対象となっており、内部に記録されたデータの全てを開示しなくてはならない。これには、プライバシーの重大な侵害との批判の声が上がっているが、あくまでも児童ポルノの捜査を目的としたものであるとして、現状では、合憲との判断が下っている[102]

その他

それ以外にも、いわゆる「ワンクリック詐欺」を働く者がウェブサイトに誘導し、「あなたは児童ポルノのサイトに接続したため、今すぐ口止め料を振り込まなければ警察に通報する」というような、詐欺目的で悪用される危険性も出てくる。また「振り込め詐欺」の業者が郵便やメールで児童ポルノの画像や本を送りつけ、口止め料を請求するという手口に出るというように、児童ポルノの単純所持が違法となることで、それらの規定を利用した新手の詐欺行為が噴出することに繋がる危険性も潜んでいる。

また、2009年8月にはベネズエラで成人映画を購入したアメリカ人男性が、帰国途中のプエルトリコにおいて、成人映画の出演者が若く見えたため児童ポルノと勘違いされ、逮捕される事態も起こっている。その後、入国管理局の職員や小児科医が映像を見て「出演者の女性が18歳未満であるのは間違いない」と証言したため、男性は裁判までの2ヶ月間、刑務所に入れられた。2010年4月、出演者であるLupe Fuentesは男性の弁護士からこの旨を知らされて自らプエルトリコに赴き、公的な書類を裁判所に提出し、法廷で「撮影時の年齢は19歳であった」ことを証言したため、男性は無罪となり釈放された[103]。この例のように、詳しい調査を行わずに、画像・映像の見た目の年齢だけで「児童ポルノではないもの」を「児童ポルノ」と誤認することによる冤罪を生む危険性もある。

創作物の規制と問題点


年齢の問題

漫画・アニメ・ゲーム(特に少年漫画子供向けアニメ)などのキャラクターは、あえて年齢を不詳とし、劇中でも言及されないキャラクターも数多い。実在の人物と異なり戸籍などで年齢の確認ができないため、公式な年齢の設定がなされていなければ、18歳以上か否かの判断は事実上不可能である。特にアダルトゲームにおいて顕著で、またコンピュータソフトウェア倫理機構の規程でも「性交渉を行う相手が18歳未満であってはならない」「年齢(が18歳未満であること)を特定できる描写をしてはならない」となっているため「性交渉を行うキャラクターは18歳以上である」と強調するケースも見られる。

「見た目は子供だが、設定上成人」ということになっている場合や、「見た目は成人だが、設定上は子供」の場合などはどうなるのかといった、具体的な「児童ポルノ」の定義については一切示されていない。それ以外にも、特殊な魔法や薬などで子供が一時的に成人の肉体になったり、逆に成人が子供の肉体になるといったシーンが入っている作品も数多く存在しており、そういった、肉体が変化したキャラクターの扱いについてはどうなるのかも同様に不明である。

漫画などに登場するキャラクターは人間だけとは限らない。天使悪魔妖精宇宙人といった現実の世界に存在しない、または存在が確認できていない種族のキャラクターも数多く存在する。作品によっては「10歳で成人を迎える種族」という設定になっている種族が登場する場合もあり、そういった種族に属する10歳のキャラクターが性行為を行った際は児童ポルノとして扱われるのかどうかは定かではない。児童の権利条約では、児童を人間(human being)と定義している[104]

表現の自由

その他にも、「表現の自由を侵害している」という指摘がある。

写真映像に関しては、それも著作物の表現の一種として考えた場合、厳しすぎる規制は、表現の自由公序良俗との兼ね合いにおいて問題となるが、とくに、漫画やアニメ、ゲームなどの場合、規制は、ただちに「表現の自由の侵害」につながる恐れも大きい。

漫画家のちばてつやも、政府による創作物の規制は、過去に大日本帝国第二次世界大戦終了まで行った報道の検閲情報操作に類似しているとして、「法律などで(創作物を)規制するべきではない」という意見を述べている[105]

なお、アメリカ最高裁の違憲判決[106]では、実在する児童の虐待を伴わないバーチャルな児童ポルノは、表現の自由に優越する公共の福祉というロジックによって規制されるべきものではない、との見解が示されている。

保護法益の問題

また、規制派からは架空の人物に対しては「準児童ポルノ」として扱い、これらも児童ポルノ法により規制すべきとする活動が行われている。これに対しては、児童ポルノ法が、実在する児童の保護(個人法益)をその本旨としている関係から、実在しない児童を取り扱った創作物を、児童ポルノ法によって規制することには慎重意見も根強い。弁護士の奥村徹有害図書わいせつ図画で扱うべきだと意見を述べている[107]。なお、実在する児童の人権侵害を伴わないのであれば、18歳未満の児童を性的対象と見なす風潮(社会法益)は、それだけで独立しては問題とならないとの指摘も見受けられる[108]

ただし、自民党の高市早苗は、子供を性の対象とする社会的風潮を助長する可能性が高いと見られる創作物について、その規制を可能にするために、個人法益から社会法益へと重点を移すことを検討する必要性を示唆している[109]。この点、裁判実務では、なお実在の児童に限定されてはいるものの、しかし社会法益をも保護法益とした判例がすでに多く出されていることも事実である[110]。また、円より子参議院議員が、衆院法務委員会で、18歳未満の「児童を性の対象としてとらえることのない健全な社会を維持することもこの法案では目的としております」とし、現行法においても付随的にではあるが社会法益も対象とするとの趣旨の答弁をしている[111]

規制の論理と問題点

強力効果論

児童ポルノを視聴する行為を、実際に児童に性的虐待をはたらく行為と安易に同一視できない、ということは言うまでもないが、「児童ポルノを見る者は、いずれは児童に実際に性的虐待をはたらくはずである(あるいは潜在的な性犯罪者である)」という強力効果論的な主張がなされることも少なくない。[要出典]

このような主張に対しては、同様の論法で「レイプを題材にしたアダルトビデオは強姦という犯罪を助長する」「痴漢もののアダルトビデオが痴漢行為を助長する」という論法が通じれば、テロを題材にしたアクション映画はテロを助長する」という主張も通ることになる、との反論も見られる。[要出典] そもそも、ポルノと性犯罪との因果関係を肯定する強力効果論は、ポルノが、無数に存在する引き金の一つに過ぎず、しかも、もともと犯罪的な傾向の強い人間に対してしか引き金として機能しない、とするクラッパーの限定効果説によって、学問的には退けられている。[要出典]

被害者支援の問題

児童ポルノ法にくわしい[要出典]奥村徹弁護士は、政府や自治体、日本国内のNPOが、「声高に規制を求めた割には全く(被害者の)救済に動かない」として、これを問題視しており[112]、弁護人としての経験から、「児童ポルノ・児童買春の被害者は、条文上存在するが、実際には姿が見えない」と指摘している。また、教育、啓発及び調査研究の推進を定めた第14条に、予算がつけられていないことも指摘している[113]

なお、児童ポルノ法が、風紀取締りのための風俗犯罪処罰法でなく、被害児童の保護のための法律であることを明確にする趣旨から、「児童ポルノ」の用語を「児童性行為等姿態描写物」と改めることと、あわせて被害児童の保護の具体的な実施主体として児童相談所などを規定するとともに、厚生労働省に設置された審議会などにおいて、フォローアップの体制を制度化することなどが民主党からは提案されている[114]

供給者・加害者側の取り締り

また、児童性的虐待を実際に行なう者への取り締まりが十分でないのに、児童ポルノとそれを鑑賞する所持者ばかりを摘発することについての批判がある。[要出典]

そもそも、児童ポルノ規制の根拠とされているのは、ポルノの被写体になることによって傷つけられた被害者となる児童の存在である[要出典]。しかしそこには児童ポルノを製造して利益を得る大人が必ず存在し、それはしばしば児童の親族である。日本ユニセフ協会によれば、児童に対する性的虐待者(チャイルド・マレスター)の多くが、被害者児童の保護者、つまりや親戚などの身近な関係にある親族によるものであるという[115]。その他、幼稚園・学校などの教師、児童のための施設の職員、教会の聖職者、その他スポーツクラブのコーチ、国外への交流旅行に関わる大人などがあげられる[116]

評論家の赤木智弘[117]、日本ユニセフ協会が、子どもを搾取の対象としている「「親の欲望」を大きくは取り扱わない」として批判している。サブカルチャーに属する「アニメやゲームというスケープゴートを批判して、親やマスコミの溜飲を下すような口当たりのいいキャンペーン[要出典]を行って募金を集めるのではなく、しっかりと現実を直視して、本当に子供たちのためになるキャンペーンを行うべき」と提言している。

定義年齢の問題

児童ポルノとは、児童に対する性的な虐待の記録物であるが、児童性的虐待の綜合的な定義は、性交同意年齢を基準としている(SCOSACによる)。にもかかわらず、日本における児童ポルノ法の定義では、性交可能な性交同意年齢(13歳)や女性の婚姻年齢(16歳)に達している18歳未満の児童が対象に含まれている。これは、成熟した判断能力を備えていない児童を、永久的な記録性をもつポルノグラフィの被写体とされる危険から保護する目的によると説明されている[118]

しかし、17歳までを含む被害児童(援助交際などの当事者もこれに含まれる)の定義年齢が多少高すぎるという議論がなされていることも事実である[119]日本ペンクラブは、「対象年齢を「十八歳未満」とするのは「児童」の概念から甚だしく逸脱しており、せめて義務教育年齢以下とすべき」と提言している。なお、青少年保護育成条例(青少年健全育成条例)では、未婚の18歳未満の青少年との性欲を満たす目的のみでの性交又は性交類似行為は、これを罰則をもって禁止しているが(いわゆる淫行条例)、婚姻年齢に達している16歳以上の「年長青少年」については、公権力をもってその性的自由に不当な干渉を加えるものであるとした谷口正孝裁判官の意見も存在している[120]

なお、単純所持を規制した奈良県の条例[121]においては、法律上の児童のなかでも特に小学生以下の者について、心身の未成熟、不充分な判断能力、犯罪被害に遭う危険性が特に高いこ[要出典]と、犯罪に対する抵抗力が乏しいことなどを理由[122]として、その定義年齢が13歳未満と定められている。

所持の規制の問題

現行法においては、実在する児童を被写体とした児童ポルノは単純所持の規制対象とされていないが、違法な電磁データは、その複製が容易であることから、その流布の危険性の高いこと[要出典]を根拠として、新たに児童ポルノを対象に加えることが主張されている。衆議院議員の鳩山邦夫は、「単純所持を認めているとやはりそこから穴が広がっていって、結局その所持した物がインターネットに載るというようなことがあり得るのではないかと思います。麻薬と同じような考え方をしてもいいのではないか」との考え方を示している[123]

なお、これと同様の考え方を根拠として、わいせつ物にあたる児童ポルノデータを所持していたケースで、それ自体は販売意図がなかったとしても[要出典]、刑法175条にいう「販売目的所持」にあたるとして、2006年に有罪判決が確定している。ただし、法学者の森尾亮(久留米大学)は、この判決が、175条に規定のない、実行の着手にいたる前段階の状態である予備行為の処罰にあたり、罪刑法定主義に反するとの否定説を支持している。また、銃器麻薬等の単純所持の規制には理解を示しつつも、「わいせつ物との接触は(人間もまた動物である以上)私たちの社会生活においてほとんど不可避なもの」であり、また175条の保護法益が性道徳の保護にあるからには、現行の「児童ポルノ処罰法の規制対象には含まれないような「合成写真」や「アニメ・ポルノ」等」までもが対象となりかねないとして、上記判決に批判的な見方を示している[124]

また、法学者の松原芳博(早稲田大学)は、近年の日本では、危険社会論を背景とした抽象的危険犯の形式の下での処罰の早期化の傾向が顕著であり、「しばしば犯罪に用い得る一定の物ないし情報の提供・取得や所持・保管を構成要件化する立法形式が採用されている」との認識を示している。具体的には、コンピュータウイルスの作成・所持を要件とする不正指令電磁的記録作出罪などがあげられる[125]

その上で、内心の思想や意思を対象とする心情主義 [126]と対立する行為主義 [127]を擁護する観点から、特に児童ポルノの単純所持の違法化には、「『所持』や『保管』は、本来、社会的外界に顕現する以前の私的領域にとどまるものであって、その犯罪化には行為主義との関係で特別の正当化を必要とするように思われる」との懸念を示している[128]

また、単純所持の規制には、それに伴う捜査権の拡大の危険性も指摘されているが、元警察庁職員で弁護士の後藤啓二は、反復取得や有償譲受など明白な行為に限定するとした民主党案について、「既に所持するポルノは『合法』となるうえ、『取得の禁止』では、誰からどこで入手したかの立証が難しい」[129]冤罪のおそれなどということを理由に児童ポルノの単純所持を禁止するべきでないというのは、子どもを児童ポルノの被害に遭うことから守ることの重要性の認識に欠けているとしか思えません。民主党の懸念を正当化してしまえば、すべての犯罪で冤罪の危険はあるわけですから、殺人でも強姦でもあらゆる行為を罰してはいけないことになってしまうのではないでしょうか」と批判している[130]。ただし、衆議院議員で弁護士の早川忠孝は、「証拠を集めない限り、警察は強制捜査が出来ない」ようにするため、あくまで「取得行為や製造行為の立証も必要になるような規定」ぶりを提案している[131]

性道徳の保護

創作物についての諸外国の規制は、いわゆるリーガル・モラリズムに立脚したものであるが、ある個人の行為が、たんに道徳的でないことを理由として、その当人のものではない特定の価値観を、外部から法によって国家権力が強制的に実現すべきことを主張するリーガル・モラリズムは、充分な判断能力をもつ個人の自己決定権(ことに精神的自由権)を擁護するリベラリズムとは鋭く対立する。[要出典]ただしパターナリズムは、充分な判断能力をもたない人々を彼ら自身の利益のために彼ら自身から守るものであるかぎり、リベラリズムと調和する[132]

またリーガル・モラリズムは、不快感情を根拠として他者の自由の制限を求める不快原理(ただし不快物非公開の原則は、リベラリズムと調和する)によって助長される[133]ものであるが、弁護士で衆議院議員の枝野幸男は、2008年7月のオープンミーティング[134]で、法と倫理の区別をはかる立場から、不快感情を根拠とした規制が、ポルノグラフィ全般の規制に及ぼされることに危惧を表明している。

なお社会学者の宮台真司(首都大学東京)は、リーガル・モラリズムに関し、日本における児童ポルノ規制法が、青少年の人権を擁護する法案から青少年の道徳を規定する法案へと変容しているとの認識を示しており、日本国憲法第19条「思想・良心の自由」に規定される「法と道徳の分離」の原則、すなわち法は道徳を命令してはならず、道徳的に中立な法の下、市民同士が何が道徳的かをめぐるコミュニケーションをすることのみを許容するという原則に対する理解の欠如によって、「市民が自己責任でなすべき道徳的コミュニケーションが、「お上」に委ねられてしまう」として批判している。[要出典]

また法学者の奥平康弘(東京大学)は、成人向けコミック規制の是非をめぐる裁判[135]で、一般に成立している慣習倫理を根拠とした規制論を退けており、表現の自由の本質が、少数者の利益を確保することにあるからには、「「一般の人々が「いいんじゃないの、これは」ということがしきたりとして成り立っていて、議論をしないで「そういうもんだろう」と思っていること」(すなわち世論)を基準とすることはできないと論じている。なお青少年の健全育成をかかげた規制論については、発展過程にある子ども基準として、「大人の読むことのできる領域を子供の読む領域まで下げてしまう」ことは、あらゆる表現領域で表現の自由を保障する意味を完全に失わせることになると論じている。

実在する児童の保護

後者については、駐日米国大使館政治部のスコット・ハンセンが、「子どもに性的関心を抱きがちな人間が見れば、子どもに対する性的虐待を描いた漫画やアニメ」さえも、「子どもに対する性的空想を促し、こうした行為を正当化する手立て」になりえるとして、「彼らが子どもを性的に虐待して自分の空想を実行に移す危険」が高まる[136]と主張している。また、日本国内では、シーファー駐日米国大使が、同様のロジック[要出典]で、日本政府に対し創作物の規制を要望している。

ただ、ハンセンらが主張しているような、創作物が、実在する児童に対する性的な人権侵害を助長・誘発する不安を高める、というロジックに基づいた(児童ポルノ法による創作物に対する)規制は、本国のアメリカでは、連邦最高裁の下した違憲判決[137]によって、バーチャルな作品と児童に対する性的搾取との客観的な因果関係が明白ではないとして退けられている。

また、単なる間接的な波及効果(助長・誘発)に基づいた規制論に対しては、「テレビドラマや映画で暴力・殺人の描写があるものは、観る者に暴力・殺人欲求を喚起させないとは言い切れないので規制すべきだ」という主張と同類であるとの反論がなされており、たとえば枝野幸男衆議院議員などが同様の認識を明らかにしている[138]

しかし、規制派のなかには、「漫画やアニメの子どもポルノの方が、ユダヤ人や黒人を人間以下の虫けらとして描き出すプロパガンダよりもはるかに有害」であり、「「表現」は、直接的に暴力」であることは自明であるとして[要出典]、「漫画やアニメやゲームの子どもポルノを擁護する人々は、主観的にはどうあれ、その行為によって、事実上、子どもに対する性的虐待とレイプと人身売買を擁護」している[139]として、前述の宮台真司や、アメリカ最高裁の下した違憲判決を批判する主張も見られる。ちなみにラディカル・フェミニズムの古典であるロビン・モーガンの「理論と実践:ポルノグラフィとレイプ」では、「ポルノグラフィは理論であり、レイプは実践である」とされ、ポルノグラフィは「性差別主義的プロパガンダ」であるとの認識が示されている。

なお、漫画、アニメ、ゲームといったフィクションが、古くは小説、映画、テレビ、音楽、野球などスポーツに至るまで、犯罪を誘発する有害なものであるという主張は、マスコミ、一部の学者、大学教授などが昔から主張しており(代表的なものとして森昭雄ゲーム脳が挙げられる)、「「バーチャルな」子どもポルノは、「リアルな」子どもポルノに対する需要を作り出し、さらには実際の生身の児童に対する性的虐待への欲求を喚起」[140]するとの主張も見受けられる。

だが、現在のところ、実在しない18歳未満の児童を被写体とした創作物と犯罪の因果関係を示す科学的な根拠や客観的なデータは一切存在しない

脚注

  1. ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_13.html
  2. ^ ただし『「子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」にも、コミック規制を義務づける条項はない』。http://megalodon.jp/2012-0603-1721-25/www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2003/2003_09.html
  3. ^ http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007316920080410003.htm
  4. ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun_1.html
  5. ^ http://www.moj.go.jp/G8/2007child_porno_dec-japanese.html
  6. ^ http://www.zakzak.co.jp/gei/2007_11/g2007111416_all.html
  7. ^ http://www.dmm.com/rental/information_html/=/ch_navi=/#20080702
  8. ^ 『「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」について』島戸 純、警察学論集57-08
  9. ^ http://www.dpj.or.jp/news/?num=15504
  10. ^ http://www.ecpatstop.org/05Ww1.htm
  11. ^ 「子どもを犯罪の被害から守る条例」
  12. ^ http://www.consultant.ru/online/base/?req=doc;base=LAW;n=89971#p118
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  17. ^ 「男児のわいせつ画像600枚 18歳少年を逮捕」事件です‐事件ニュース:イザ!
  18. ^ [1]
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関連項目

外部リンク