児童ポルノ

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児童ポルノ(じどうポルノ、: child pornography,: pornographie d'enfants)とは、児童被写体としたポルノの名称である。

アニメ漫画ゲームソフトなど仮想児童ポルノに関する問題については準児童ポルノを参照。

法整備の世界的状況[編集]

International Centre for Missing & Exploited Children (ICMEC)によると、発展途上国を除いたほぼ全ての国では、何らかの法整備がされている[1]。先進国においては、単純所持を禁じている国も多い。

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国においてFBIインターネットの児童ポルノの摘発に乗り出し、複数の作戦を決行している。その作戦のコードネームとその概要を記す。[要出典]

イノセント・イメージス
アメリカ・オンラインを通じ違法行為の調査を進めた連邦捜査局は2年間の捜査活動を経て、1995年9月13日に容疑者12名を逮捕。100件以上の家宅捜索を実施。1997年4月時点で91名を逮捕し、83件の重罪の有罪判決が下された。これはFBIが1つのオンラインサービスの捜査を全国規模で実施した初の例である。
オペレーション・キャンディマン
FBIのおとり捜査官が児童ポルノに関わる3つのEグループを特定。2001年1月から一斉摘発を開始。2002年7月時点で100名以上の逮捕を報告。同年8月には米国と西欧諸国の捜査当局が連合し、国際的な児童ポルノリングの組織を摘発。20名を逮捕。この事件における被害者は容疑者らの子供も多く、その映像は世界中に配信された。
民間による児童ポルノ対策

Google・Twitter・Facebook・Microsoft・Yahoo!が児童ポルノ画像のハッシュ値の情報を共有し児童ポルノデータの自動削除を行う事で合意[2]マイクロソフトは児童ポルノ画像検出ツールPhotoDNAを無償提供を開始[3]

アメリカでは、18歳未満の子どものように見えるポルノグラフィ(含む創作物)を、児童ポルノ法によって一律に規制したCPPAが、表現の自由に反するとして、2002年に、アシュクロフト対表現の自由連合裁判連邦最高裁より違憲判決を受けており、現在では、ミラー基準の枠内で、わいせつ法の条文を利用した規制(PROTECT Act of 2003)が行われている。

イギリス[編集]

2003年ザ・フーのギタリストであるピート・タウンゼントが児童ポルノのサイトに接続したとして性犯罪者リストに登録されたが、後日無実であることが判明し、リストから抹消された。

2004年に行われた児童ポルノの一斉摘発作戦であるオペレーション・オーによって35人以上の自殺者が出ており、その大半は妻帯者だった。 2006年、不満を抱いた従業員が上司のノートパソコンに児童ポルノ画像を忍ばせた上で警察に通報し上司を逮捕させるという事件が発生。最終的には1年後の2007年に真相が明らかになり従業員は逮捕されるものの、上司は1年間にわたり妻を初め家族、友人達に白い目で見られるという日々を過ごすことになった[4]。日本でも、こうした状況が少なからず発生する懸念があるといえる。

なお、児童ポルノを所持し視聴する行為が、それだけでも児童を性的に虐待する行為の誘因となるという主張も存在する。アメリカでは、両者の相関関係を示す資料として、子どもポルノを受動的に視聴した受刑者の76%が接触犯罪が犯していたとのヘルナンデス調査が報告[5]されている。ただし、両者の因果関係を示す科学的・統計的な資料がいまのところ存在しないことも事実である。

児童ポルノの需要状況を示すデータは、イタリアの児童保護団体Telefono Arcobalenoのレポート[6]によると、2007年における小児性愛者サイトのユーザー・訪問者の割合は、米(22. 82%)、英(7. 02%)、仏(3. 56%)、独(14. 57%)、伊(6. 14%)、加(3. 16%)、露(8. 39%)、日本(1. 74%と)なっている。

児童ポルノの供給状況を示すデータは、イギリスのインターネット監視財団Internet Watch Foundation(IWF)のレポート[7]によると、2006年における児童ポルノサイトのホスティングは、アメリカ(62%)、ロシア(28%)となっている。

アーカイブにある2007 - 2014年の資料でも最多ホスト国はアメリカ合衆国から変わらず次点はヨーロッパであり日本を含むアジア地域はこれまで10%以下の比率を保ち続けている[8]

北米や欧州に児童ポルノサイトの拠点が多い理由として、ブロッキング対象とならない又はブロッキングを何らかの方法で逃れている動画共有サイトホスティングサーバアメリカ合衆国や児童ポルノ規制が未整備で放置される旧ソ連地域に多数存在している為。これらの地域は比較的英語・ラテン語等多数の国で使用できる言語の人口も多く同じ言語圏の近隣諸国からのアクセスする需要の多さ、ブロードバンド回線とホスティングサーバやが安価に調達可能でかつ企業への税率が安い、ペーパーカンパニーが比較的簡単に作れる等、維持コストが非常にかからない、脱法行為が安易に可能等のメリットがある為、児童ポルノサイトだけでなく著作権侵害サイト・アダルトサイト海賊版販売サイトの運営拠点ともなっている。

なお、児童ポルノの二大消費国としてアメリカに加えて日本が取り上げられることがあるが、その統計的な根拠は明らかではないことを日本政府も認めている[9]


2014年の傾向として児童ポルノ画像の売買にビットコインが使用されている事、プロキシを利用した匿名化、通常アクセスでは合法的なアダルトコンテンツを表示し特定の方法でアクセスした場合にのみ児童ポルノ画像を表示する偽装サイト等、児童ポルノのやり取りが巧妙化しているとIWFが警告[10]

2016年2月児童ポルノ対策が実施されているFacebook上で秘密裏に児童ポルノを交換するユーザーグループが存在する事が英BBCの報道で明らかになった[11]

定義[編集]

児童ポルノの定義について、国際連合が採択した児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書[12]において、「現実の若しくは疑似の(real or simulated)あからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない)又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現」[13]としている。

日本法律では、平成11年の児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童ポルノ法)に「以下に掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」として定義されている[14]

  1. 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(1号)
  2. 他人が児童の性器等(性器肛門又は乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2号)
  3. 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(3号)

児童ポルノの所持・提供・製造・頒布・公然陳列・輸入・輸出は、同法7条で禁止されている。

国際刑事警察機構は「児童ポルノ」という用語の使用をやめ、「児童虐待画像」などのような正確な定義にもとづく用語を使用するよう呼びかけている。民主党は「児童性行為等姿態描写物」への名称変更案を提出。2015年6月2日にフリーライターの廣田恵介と山田太郎(前議員)は平成22年9月7日の高松高等裁判所における性暴力の写真が「児童ポルノ」に該当しないとの判決に対して、虐待を受けた児童を保護できない児童ポルノ法は本来の目的にそっていないとして、児童ポルノの定義を「実在児童が性加害されているもの」「実在児童への性暴力が認められるもの」「児童性虐待記録物」などに修正し、「児童ポルノ」の基準は、裸もしくは裸に近いかではなくて、実際に性被害を受けているかという基準とするべきだとする請願書」を提出した[15][16][17]

「児童」の年齢範囲について[編集]

上記の国連議定書は、児童の権利に関する条約の選択議定書であるため、「児童」の定義は同条約第1条に従い18歳未満とされる。この選択議定書の締結国は、条約に定められた法整備を行う義務を負っている。2008年現在、締結国は、日本も含めて126カ国(全体の65%)である。G8の国ではドイツとイギリスが未締結、ロシアが未署名であり[18]、アメリカは条約自体に未加入である[19]。が、それら4国でも18歳未満としている(ドイツでは13歳未満のポルノを「児童ポルノ」とし、18歳未満のポルノを「青少年ポルノ」と区別する[* 1]

ただし、欧州評議会の「サイバー犯罪に関する条約[20]などの地域レベルでのより拘束力の強い条約では「締約国は16歳を下限として17歳より低く定めることができる」とされており、また各国の歴史的・文化的な相違もあり標準化は進んでいないのが現状としてある。

一方で、アメリカのように連邦法と州法で児童の定義が異なる場合がある国(ニューヨーク州では17歳未満、バーモント州ではは16歳未満など)もある。また、中国北朝鮮イスラム教諸国のようにポルノ全体が違法であり児童ポルノについて特段の定義をしていない国がある。

日本においては、児童ポルノ法により「18歳未満」が「児童」として規制の対象となる。ただし、日本において「児童」の定義は法律によってまちまちであり(児童#法制度における呼称を参照)、特に、学校教育法で定める「6歳以上13歳未満(いわゆる学齢児童)」という定義が世間一般で通用しているため、混乱を生じやすい面がある。2007年には、17歳(当時)の女子高生Tバック姿で出演した成人向け作品が児童ポルノにあたるとして、出版会社社員が逮捕されている[21]。また2008年8月には、大手オンライン映像配信サービスが、18歳未満のアイドルの作品の一部レンタルを自主規制する動きに出ている[22]

規制の範囲について[編集]

実際に規制の対象となる表現形式は、写真や動画であり、媒体は書籍雑誌ビデオテープDVDなどを用いたものの他に、ウェブサイトで公開されているものもあり、そちらは特に児童ポルノサイトという。インターネット上で児童ポルノが発見された場合には、インターネット・ホットラインセンター又はセーファーインターネット協会に通報すれば削除要請をすることができる。

外国の法律においては、芸術性のあるもの等について児童ポルノ規制の対象外とする規定が少なくない。例えばアメリカ合衆国法典1466条Aは、「文学的・芸術的・政治的・科学的な価値が一切ないもの」だけが児童ポルノに該当するとしている。日本では、このような除外規定はない。

単に姿態をとらせるだけのヌード写真児童エロチカの一部)や、あるいは姿態をとらせていないヌーディズムの写真などについても扱いが分かれる。児童に姿態をとらせることがなく提供目的でもなく児童ポルノの盗撮行為については、盗撮して所持すること自体は児童ポルノ製造にあたらず、上記の提供や頒布等を行なった場合にはじめて処罰対象となるとの学説が示されている(盗撮行為が軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反や建造物等侵入罪に問われることはある)[23][24]。2014年の法改正により、提供目的が無い児童への盗撮行為についても児童ポルノ製造に該当して、処罰できるようになった。

音声は児童ポルノにあたらない。

日本の法整備と規制[編集]

第1回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議に参加した議員が児童の性的搾取についての日本の認識の遅れを痛感したことがきっかけのひとつとなって日本で取り組みが始まり、1999年(平成11年)には児童ポルノ法が成立した[25]。2005年に児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書英語版に日本は批准し、その3条1(c)に従って「児童ポルノを製造し、配布し、頒布し、輸入し、輸出し若しくは販売し又はこれらの目的で保有することを犯罪化」するために児童買春・児童ポルノ禁止法関税法を改正した[26]

大阪府では2010年に青少年問題協議会が、18歳未満の子どもの水着や下着姿などでの「扇情的な」ポーズの写真が児童ポルノ法の「児童ポルノ」の定義の対象外となっており、「見る側の視点」に立つ映像を十分規制できていないと条例改正を答申し[27]、2011年に改正された[28]。改正された条例では該当する記録物を製造、販売、所持しない努力義務を課している[28]

近年の傾向は、「児童ポルノ事犯」(児童ポルノ画像・動画の公開等)は右肩上がりだが、「児童買春事犯」は右肩下がりが10年以上続き、2000年代初頭より件数が半減している[29]

単純所持の規制[編集]

2014年(平成26年)6月の児童ポルノ法改正で「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」(2条3項3号)に改正して厳密化し、「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない」(3条)とした上で「自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基づく」単純所持について規制が導入され、法施行から1年後に罰則規定が施行されることになった[30]

2014年の法改正以前においても、日本以外の多くの国では単純所持が禁止されており(#日本国外での状況)、かつては主要国首脳会議のメンバーの中で日本とロシアのみが単純所持を禁止していないとしばしば槍玉に挙げられた。ロシアは2009年の刑法改正[31]で単純所持が禁止された。2008年、法政大学准教授の白田秀彰は、「18歳未満の人物の裸の写真が扇情的な様相で掲載されている写真集」を1冊保有していることを宣言し、単純所持の違法化が実現した際には、まず自らを摘発することを法執行関係者に呼びかけた[32]

2014年の法改正以前においても、以下の一部の地方自治体の条例では、児童ポルノ単純所持について刑事罰規制が導入されている。

奈良県 - 子どもを犯罪の被害から守る条例[33](2005年)[* 2]
正当な理由がなく、13歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
京都府 - 京都府児童ポルノの規制等に関する条例[34][35](2011年)[* 3]
正当な理由がなく、18歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、知事は廃棄命令を出すことができ、廃棄命令に従わなければ30万円以下の罰金に処する。
さらに13歳未満の児童ポルノを有償で取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
2012年7月にこの条例が初適用され、単純所持していた男性に対し廃棄を指導した[* 4]
栃木県 - 県子どもを犯罪の被害から守る条例(2013年)[* 5]
正当な理由がなく、13歳未満の児童ポルノの単純所持をする者に対して、公安委員会の廃棄命令を出すことができ、破棄命令に従わなければ30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
大阪府 - 青少年健全育成条例
2011年3月改正で前述の「子どもの性的虐待の記録」の所持をしない努力義務が規定された。

児童ポルノ要求の規制[編集]

18歳未満の児童が相手に要求されて自画撮りをすることによって相手により意図せず流出する被害について「児童ポルノ法には未遂罪の規定がない」「刑法の脅迫罪では立証が難しいケースがある」等の既存法では画像提供を十分防止できないと指摘があった[37][38]。これに対応するため、2017年12月15日に東京都では東京都内の児童に対し「威迫する」「金銭支払いを約束する」「同性に成り済ましてだます」といった不当な方法で児童画像を要求する行為について30万円の罰金を規定する青少年保護育成条例改正案が成立し、2018年2月1日に施行された[39](なお、兵庫県でも児童ポルノ画像の要求行為を禁止し、詐欺や脅迫などの悪質な場合には罰則として30万円以下の罰金か科料を定めた似た趣旨の青少年保護育成条例改正案が2017年12月14日に成立しているが、2018年4月1日施行であり、施行日は東京より遅い[40])。

9割超が国外サイト[編集]

一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)によれば、有害情報の多くは国外サイトに掲載されており、活動期間中に把握した違法・有害情報4,118件のうち、9割以上の3,876件が国外サイト掲載情報でした。また、そのうち、6割以上の2,548件が無修正アダルト動画などの「わいせつ表現」であった[41]

児童ポルノの場合、国内162件国外1,075件で削除依頼から削除されるまでの日数は3日以内は37・5%だが7日以内で42・6%、14日以内で18・1%と2週間でほとんどが削除されており、早期発見と削除依頼によって画像が拡散する被害を食い止める事が可能[42]

2015年のパトロール・通報受付件数においても5,466件が児童ポルノであった[43]。児童ポルノの場合97%が国外のサイトに掲載されていた。

フィルタリングの有効性[編集]

フィルタリングの有無でコミュニティサイトによる児童の被害に3.7%(有)と96.3%(無)と極端な開きがある為、未成年者の携帯電話やスマートフォン・PC・ゲーム機のフィルタリングによって児童買春や児童ポルノ事件に関わる危険を極力排除する事が可能である[44]

図書館での取り扱い[編集]

2004年の児童ポルノ法改正後、法務省国立国会図書館に対して、児童ポルノとされうる蔵書の閲覧が法で禁止した「提供」に該当する可能性を指摘した。図書館は「知る自由」の保障を第一に考えるべきとされ[45]、国立国会図書館についても、国立国会図書館法第8章において「一般公衆及び公立その他の図書館に対する奉仕」を規定しているため、蔵書の閲覧制限は想定していない状況であったが、この指摘を受けて、2005年7月から2002年に有罪判決が出た写真家清岡純子の女性少女愛写真集『清岡純子写真集 Best selection!』などの閲覧制限を開始した[46][47][48]2006年4月1日からは内規を制定して、少女ヌード写真集など118点、雑誌2タイトルについて、完全に閲覧禁止とした[49][50]

他の公立図書館については、現在において、正式な閲覧制限等は行なっていない。

男児ポルノの規制[編集]

児童ポルノの対象には、女子のみならず、男子も含まれる。これは同法の性別による規定がないことや、男子に性欲を覚える性愛者もおり男子も被写体にされるためである。従来はもっぱら女児の裸体が問題視される傾向にあり、男児の裸体や性器については比較的寛容であった。しかし、特に日本国外では、男児ポルノについても厳しく規制する動きがあり、日本においても、男児ポルノが事件となるケースが現れつつある。2007年には男児の入浴画像などが多数掲載された男児ポルノサイトが摘発された。2008年には、8歳男児の陰部を携帯電話のカメラで撮影した男が児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕され、有罪となっている[51]

放送業界においても、日本が男児ポルノの発信基地になっているとの批判[52]を受け、自主規制の動きが少しずつではあるが現れている。

2008年1月22日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の第9回青少年委員会(通算86回)で宮本潤子は、「日本の子どもポルノの現状として、男子児童の被害も増えてきている」と主張し、その根拠として、警察庁の外郭団体であるインターネット・ホットラインセンターに寄せられた通報等を挙げた。また、男児ポルノと性犯罪との因果関係については、「直接の原因ではないが、画像を見ることによってその種の犯罪を犯す可能性が増大することは確かである」と主張した[53]

同年4月11日、BPOの青少年委員会が発表した「児童の裸、特に男児の性器を映すことについて」[54]において

  • お笑い芸人の自宅での入浴シーンで6歳と11歳の兄弟の性器が写っていた。
  • ニュース番組で小学生の強化合宿に密着取材し、小学6年の男児が合宿所で局部丸出しの状態で入浴しているシーンをモザイクやボカシで修正せず、そのまま放送していた。

ことを問題視した。

未成年者側の意識[編集]

いわゆる自画撮りを行った未成年の中には「小遣い稼ぎ」以外にも普段目立たない子が「ちやほやされたい」と言う欲求から画像を投稿するケースがある[55]。2015年上期の児童ポルノ被害者の41%が自画撮り画像によるもので、「買春」や「盗撮」による児童ポルノ被害件数を上回っている。

2015年通年でも記録上最多の905人が被害を受けそのうちの4割が自撮りが原因であった[56]

「ノリでやった」、ツイッター等SNSのフォロワー(読者)数を増やしたかった、と言った理由もあり[要出典]、プライバシーやネット上の危険に対す認識が無いと言った問題を抱えている[要出典]。「誰かに構ってほしかった」と言った孤独感が理由であるケースも存在するが、「アプリのスタンプをくれると言われた」と言った理由で画像を送信するケースも存在する[57]

単純所持の禁止と問題点[編集]

日本の法律では児童ポルノについて販売目的所持や頒布目的所持については罪に問うことができたものの、条文による規制範囲から単純所持(「持っているだけ」という状態)の者を罪に問うことはできないとされていた。

しかし、2015年(平成27年)7月15日からは、「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)」と「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノに該当する児童の姿態を視覚により認識できる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思で保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)」についても、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることになった。(児童ポルノ禁止法)法人についても両罰規定がある。(児童ポルノ禁止法11条) つまり、児童ポルノの製作者および販売者など供給側を刑事罰を科しても、販売目的所持や頒布目的所持をしない単純所持の購入者である需要側への規制がないため、児童ポルノへの需要についても単純所持への刑事罰という形で抑制にかけることで、児童ポルノへの購入意欲を削がすことで供給価値を下げさせることを目的とされている。

仮に単純所持が違法化された場合には、麻薬、銃あるいは爆弾の所持と同一のように扱われるおそれがあり、このため数多くの問題と危険性が指摘されている[58]

規制範囲の問題[編集]

単純所持規制の対象となる児童買春・児童ポルノ処罰法においては、上記の2条3項3号の規定により「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされているが、肌の露出の程度など具体的な基準は示されていない。そのため警察や裁判所など司直の主観的な判断により摘発の対象となる可能性がある。

また、単純所持が規制対象となった場合、水浴び・入浴中の裸の子供の写真や映像が規制の対象となるため、自分の子供を撮影したものや幼い頃の自分を両親が撮影したものを保管しているだけで、「児童ポルノ所持」の容疑者として摘発されるという可能性もある。もし、被写体本人や撮影者が既に死亡したとしても、遺品として所持していた遺族が罪に問われることにもなる。

これについて「被写体本人が自分自身であり、かつ自分自身がその写真や映像の存在によって不快に感じているわけでもないのに、単に“裸の子供の画像”というだけで一律に法規制の対象にするのはおかしいのではないか」[59]という批判もある。実際に法規制の対象になるかどうかは議論を呼ぶところである[要出典]

外務省では、児童ポルノの単純所持がすでに違法化されているアメリカで、自分の子供が入浴した時の写真を現像に出しただけで逮捕に至った事例を紹介し、「日本では何でもないと思われること」であっても処罰の対象となることもあるとして日本国外の邦人に対して注意を喚起している[60]

意図しない所持に伴う問題[編集]

メールや郵便などで他人の児童ポルノの画像や本を送りつけたり、相手の所持品の中に他人の児童ポルノの写真を(本人に知られないように)紛れ込ませた後、警察に通報するだけで特定の個人や団体を簡単に社会的に抹殺することが可能となる。児童ポルノ(特にデジタルカメライメージスキャナなどで作成されたデータ)は拳銃麻薬と異なり、入手や複製が容易であり、実際に作成することも可能なので、こうした冤罪が横行する可能性が大きくなる(場合によっては、フォトレタッチ合成写真で児童ポルノを作成される可能性もありえる)。前項に記された様にイギリスでは同様の冤罪事件が現実に発生している。

加えて、一般的なウェブブラウザでは表示した画像を一定期間ハードディスクキャッシュとして保存する仕様になっているため、児童ポルノの画像があるウェブサイトに(たとえ過失であれ)接続しただけでも、キャッシュを所持することで摘発の対象となる可能性がある[61]。アダルトサイトでなくともポップアップ広告などでアダルト画像を使ったバナーを表示するサイトや、他のページへのリンクとして画像を縮小表示したりしているサイトも存在するため、そういったサイトに接続するだけで「児童ポルノ所持」の容疑で犯罪者になってしまうことが危惧されている。

なお、児童ポルノの単純所持などがすでに違法化されているアメリカではWindowsの「Thumbs.db」というサムネイルファイルに児童ポルノと思われる画像が表示されるだけで、たとえ元の画像ファイルがハードディスク内に存在しなくても、児童ポルノ所持の容疑で逮捕されている[62]。このサムネイルファイルは、迷惑メールなどの添付ファイルや、ウェブページを見た際のキャッシュなどにたまたま含まれていた児童ポルノ画像を見ただけでも自動的に生成されてしまうため、アメリカでは大多数のパソコンユーザーが、児童ポルノ所持の容疑で摘発される危険性がある。

捜査権の拡大[編集]

さらにアメリカでは、FBIが児童ポルノサイトへのリンクを装った「だましリンク」をネット上の電子掲示板などに貼り付け、そのリンクを一度でもクリックした人物をアクセス元(IPアドレスリモートホスト)で割り出し、児童ポルノ処罰法違反容疑で逮捕する、おとり捜査も行われている。「おとり」というよりは「罠」という表現もできる。この場合、誤ってクリックしただけで逮捕される。しかもFBIのやっていることは本質的にはワンクリック詐欺と同様であり、被害者が存在しないにもかかわらず犯罪者を次々と生み出すことに繋がる[63]

日本でも児童ポルノの単純所持が違法化されれば、警察のこういった捜査が横行する危険性が出てくることになり、「犯意誘発型」に相当するはずのおとり捜査までもが合法化される危険性も出る[要出典](刑事訴訟法学の通説的見解によると、おとり捜査としては、犯行の機会を提供する「提供型」は許されるが、犯行を誘発する「誘発型」は許されないとする。捜査機関が犯罪者を積極的に作り出すからである。)。弁護士で社民党の福島瑞穂は、「「単純所持」が処罰をされるということは、単純所持が犯罪になるということであり、つまり、捜索が可能となるのである」として、捜査権の拡大を懸念している[64]

ほかには、アメリカでは、通関に際し、携帯電話やパソコンなどの情報機器が検査の対象となっており、内部に記録されたデータの全てを開示しなくてはならない。これには、プライバシーの重大な侵害との批判の声が上がっているが、あくまでも児童ポルノの捜査を目的としたものであるとして、現状では、合憲との判断が下っている[65]

その他[編集]

それ以外にも、いわゆる「ワンクリック詐欺」を働く者がウェブサイトに誘導し、「あなたは児童ポルノのサイトに接続したため、今すぐ口止め料を振り込まなければ警察に通報する」というような、詐欺目的で悪用される危険性も出てくる。また「振り込め詐欺」の業者が郵便やメールで児童ポルノの画像や本を送りつけ、口止め料を請求するという手口に出るというように、児童ポルノの単純所持が違法となることで、それらの規定を利用した新手の詐欺行為が噴出することに繋がる危険性も潜んでいる。

また、2009年8月にはベネズエラで成人映画を購入したアメリカ人男性が、帰国途中のプエルトリコにおいて、成人映画の出演者が若く見えたため児童ポルノと勘違いされ、逮捕される事態も起こっている。その後、入国管理局の職員や小児科医が映像を見て「出演者の女性が18歳未満であるのは間違いない」と証言したため、男性は裁判までの2ヶ月間、刑務所に入れられた。2010年4月、出演者であるLupe Fuentesは男性の弁護士からこの旨を知らされて自らプエルトリコに赴き、公的な書類を裁判所に提出し、法廷で「撮影時の年齢は19歳であった」ことを証言したため、男性は無罪となり釈放された[66]。この例のように、詳しい調査を行わずに、画像・映像の見た目の年齢だけで「児童ポルノではないもの」を「児童ポルノ」と誤認することによる冤罪を生む危険性もある。

規制の論理と問題点[編集]

強力効果論[編集]

児童ポルノを視聴する行為を、実際に児童に性的虐待をはたらく行為と安易に同一視できない、ということは言うまでもないが、「児童ポルノを見る者は、いずれは児童に実際に性的虐待をはたらくはずである(あるいは潜在的な性犯罪者である)」という強力効果論的な主張がなされることも少なくない。[要出典]

だが、メディア効果論では強力効果論は過去の実証的研究により、現在では否定されており[67]メディアの影響は、それほど大きいものではなく、間接的なものにとどまるとする限定効果説が学問的には主流となっている。この限定効果説を適用すると「現在の世界においてポルノと性犯罪との因果関係については、ポルノは無数に存在する影響源の一つに過ぎず、もともと犯罪的な傾向の強い人間に対してしか引き金として機能しない。ポルノを除去したとしてもいずれ別の要因が引金を引く為、何の解決にもならない。」ということになる。

被害者支援の問題[編集]

児童ポルノ法が、風紀取締りのための風俗犯罪処罰法でなく、被害児童の保護のための法律であることを明確にする趣旨から、「児童ポルノ」の用語を「児童性行為等姿態描写物」と改めることと、あわせて被害児童の保護の具体的な実施主体として児童相談所などを規定するとともに、厚生労働省に設置された審議会などにおいて、フォローアップの体制を制度化することなどが民主党からは提案されている[68]

供給者・加害者側の取り締り[編集]

また、児童性的虐待を実際に行なう者への取り締まりが十分でないのに、児童ポルノとそれを鑑賞する所持者ばかりを摘発することについての批判がある。[要出典]

そもそも、児童ポルノ規制の根拠とされているのは、ポルノの被写体になることによって傷つけられた被害者となる児童の存在である[要出典]。しかしそこには児童ポルノを製造して利益を得る大人が必ず存在し、それはしばしば児童の親族である。日本ユニセフ協会によれば、児童に対する性的虐待者(チャイルド・マレスター)の多くが、被害者児童の保護者、つまりや親戚などの身近な関係にある親族によるものであるという[69]。その他、幼稚園・学校などの教師、児童のための施設の職員、教会の聖職者、その他スポーツクラブのコーチ、国外への交流旅行に関わる大人などがあげられる[70]

評論家の赤木智弘は、日本ユニセフ協会が、子どもを搾取の対象としている「「親の欲望」を大きくは取り扱わない」として批判している。サブカルチャーに属する「アニメやゲームというスケープゴートを批判して、親やマスコミの溜飲を下すような口当たりのいいキャンペーンを行って募金を集めるのではなく、しっかりと現実を直視して、本当に子供たちのためになるキャンペーンを行うべき」と提言している[71]

利益目的で供給に加担するケース[編集]

2015年1月24日、ネット通販最大手のAmazonの日本法人が児童ポルノ関連商品の情報を掲示し、販売を手助けしたとして、愛知県警が児童買春・ポルノ禁止法違反(提供)ほう助の疑いで、家宅捜索していたことが発覚[72][73]

児童ポルノであることを知りながら半ば出品・売買を黙認し販売を手助けした疑いが持たれている。

画像・動画を供給する者だけでなく、物理媒体やデータを売買・交換可能な「場所」を提供する事業者が利益目的で違法状態を黙認するケースがある。 主な入手手段となっているネットワークを介したやり取りを規制する為にブロッキングで児童ポルノサイト・児童ポルノ関連P2Pトラッカーサイトは閲覧不能になるが、大手通販事業者・動画共有サイト・デジタルデータを売買するコンテンツマーケットではサイト自体がブロッキング対象とならない為、サイト内部でのやり取りが発覚しない限り投稿・閲覧・ダウンロード・売買が可能である。

これを逆手に取り、児童ポルノだけでなく各種触法行為(わいせつ物頒布・著作権侵害・海賊版売買・危険ドラッグor麻薬売買)を販売し多額の利益を得る悪質業者と利益の為に黙認する行為もオンラインサービスでは多々見受けられる[74][75][76][77][78]

定義年齢の問題[編集]

児童ポルノとは、児童に対する性的な虐待の記録物であるが、児童性的虐待の綜合的な定義は、性交同意年齢を基準としている(SCOSACによる)。にもかかわらず、日本における児童ポルノ法の定義では、性交可能な性交同意年齢(13歳)や女性の婚姻年齢(16歳)に達している18歳未満の児童が対象に含まれている[79]。これは、成熟した判断能力を備えていない児童を、永久的な記録性をもつポルノグラフィの被写体とされる危険から保護する目的によると説明されている[80]

しかし、17歳までを含む被害児童(援助交際などの当事者もこれに含まれる)の定義年齢が多少高すぎるという議論がなされていることも事実である[81][82][83]日本ペンクラブは、「対象年齢を「十八歳未満」とするのは「児童」の概念から甚だしく逸脱しており、せめて義務教育年齢以下とすべき」と提言している。なお、青少年保護育成条例(青少年健全育成条例)では、未婚の18歳未満の青少年との性欲を満たす目的のみでの性交又は性交類似行為は、これを罰則をもって禁止しているが(いわゆる淫行条例)、婚姻年齢に達している16歳以上の「年長青少年」については、公権力をもってその性的自由に不当な干渉を加えるものであるとした谷口正孝裁判官の意見も存在している[84]

なお、単純所持を規制した奈良県の条例[85]においては、法律上の児童のなかでも特に小学生以下の者について、心身の未成熟、不充分な判断能力、犯罪被害に遭う危険性が特に高い[要出典]こと、犯罪に対する抵抗力が乏しいことなどを理由[86]として、その定義年齢が13歳未満と定められている。

所持の規制の問題[編集]

違法な電磁データは、その複製が容易であることから、その流布の危険性の高いこと[要出典]を根拠として、新たに児童ポルノを対象に加えることが主張されている。衆議院議員の鳩山邦夫は、「単純所持を認めているとやはりそこから穴が広がっていって、結局その所持した物がインターネットに載るというようなことがあり得るのではないかと思います。麻薬と同じような考え方をしてもいいのではないか」との考え方を示している[87]

なお、これと同様の考え方を根拠として、わいせつ物にあたる児童ポルノデータを所持していたケースで、それ自体は販売意図がなかったとしても[要出典]、刑法175条にいう「販売目的所持」にあたるとして、2006年に有罪判決が確定している。ただし、法学者の森尾亮(久留米大学)は、この判決が、175条に規定のない、実行の着手にいたる前段階の状態である予備行為の処罰にあたり、罪刑法定主義に反するとの否定説を支持している。また、銃器麻薬等の単純所持の規制には理解を示しつつも、「わいせつ物との接触は(人間もまた動物である以上)私たちの社会生活においてほとんど不可避なもの」であり、また175条の保護法益が性道徳の保護にあるからには、現行の「児童ポルノ処罰法の規制対象には含まれないような「合成写真」や「アニメ・ポルノ」等」までもが対象となりかねないとして、上記判決に批判的な見方を示している[88][89]

また、法学者の松原芳博(早稲田大学)は、近年の日本では、危険社会論を背景とした抽象的危険犯の形式の下での処罰の早期化の傾向が顕著であり、「しばしば犯罪に用い得る一定の物ないし情報の提供・取得や所持・保管を構成要件化する立法形式が採用されている」との認識を示している。具体的には、コンピュータウイルスの作成・所持を要件とする不正指令電磁的記録作出罪などがあげられる[90]

その上で、内心の思想や意思を対象とする心情主義[91]と対立する行為主義[92]を擁護する観点から、特に児童ポルノの単純所持の違法化には、「『所持』や『保管』は、本来、社会的外界に顕現する以前の私的領域にとどまるものであって、その犯罪化には行為主義との関係で特別の正当化を必要とするように思われる」との懸念を示している[93]

また、単純所持の規制には、それに伴う捜査権の拡大の危険性も指摘されているが、元警察庁職員で弁護士の後藤啓二は、反復取得や有償譲受など明白な行為に限定するとした民主党案について、「既に所持するポルノは『合法』となるうえ、『取得の禁止』では、誰からどこで入手したかの立証が難しい」[94]冤罪のおそれなどということを理由に児童ポルノの単純所持を禁止するべきでないというのは、子どもを児童ポルノの被害に遭うことから守ることの重要性の認識に欠けているとしか思えません。民主党の懸念を正当化してしまえば、すべての犯罪で冤罪の危険はあるわけですから、殺人でも強姦でもあらゆる行為を罰してはいけないことになってしまうのではないでしょうか」と批判している[95]。ただし、衆議院議員で弁護士の早川忠孝は、「証拠を集めない限り、警察は強制捜査が出来ない」ようにするため、あくまで「取得行為や製造行為の立証も必要になるような規定」ぶりを提案している[96]

道徳、思想的な観点[編集]

創作物についての諸外国の規制は、いわゆるリーガル・モラリズムに立脚したものであるが、ある個人の行為が、たんに道徳的でないことを理由として、その当人のものではない特定の価値観を、外部から法によって国家権力が強制的に実現すべきことを主張するリーガル・モラリズムは、充分な判断能力をもつ個人の自己決定権(ことに精神的自由権)を擁護するリベラリズムとは鋭く対立する。[要出典]ただしパターナリズムは、充分な判断能力をもたない人々を彼ら自身の利益のために彼ら自身から守るものであるかぎり、リベラリズムと調和する[97]

またリーガル・モラリズムは、不快感情を根拠として他者の自由の制限を求める不快原理(ただし不快物非公開の原則は、リベラリズムと調和する)によって助長される[98]ものであるが、弁護士で衆議院議員の枝野幸男は、2008年7月のオープンミーティング[99]で、法と倫理の区別をはかる立場から、不快感情を根拠とした規制が、ポルノグラフィ全般の規制に及ぼされることに危惧を表明している。

なお社会学者の宮台真司(首都大学東京)は、リーガル・モラリズムに関し、日本における児童ポルノ規制法が、青少年の人権を擁護する法案から青少年の道徳を規定する法案へと変容しているとの認識を示しており、日本国憲法第19条「思想・良心の自由」に規定される「法と道徳の分離」の原則、すなわち法は道徳を命令してはならず、道徳的に中立な法の下、市民同士が何が道徳的かをめぐるコミュニケーションをすることのみを許容するという原則に対する理解の欠如によって、「市民が自己責任でなすべき道徳的コミュニケーションが、「お上」に委ねられてしまう」として批判している。[要出典]

また法学者の奥平康弘(東京大学)は、成人向けコミック規制の是非をめぐる裁判[100]で、一般に成立している慣習倫理を根拠とした規制論を退けており、表現の自由の本質が、少数者の利益を確保することにあるからには、「「一般の人々が「いいんじゃないの、これは」ということがしきたりとして成り立っていて、議論をしないで「そういうもんだろう」と思っていること」(すなわち世論)を基準とすることはできないと論じている。なお青少年の健全育成をかかげた規制論については、発展過程にある子どもを基準として、「大人の読むことのできる領域を子供の読む領域まで下げてしまう」ことは、あらゆる表現領域で表現の自由を保障する意味を完全に失わせることになると論じている。

実在する児童の保護[編集]

後者については、駐日米国大使館政治部のスコット・ハンセンが、「子どもに性的関心を抱きがちな人間が見れば、子どもに対する性的虐待を描いた漫画やアニメ」さえも、「子どもに対する性的空想を促し、こうした行為を正当化する手立て」になりえるとして、「彼らが子どもを性的に虐待して自分の空想を実行に移す危険」が高まる[101]と主張している。また、日本国内では、シーファー駐日アメリカ合衆国大使が、同様のロジック[要出典]で、日本政府に対し創作物の規制を要望している。

ただ、ハンセンらが主張しているような、創作物が、実在する児童に対する性的な人権侵害を助長・誘発する不安を高める、というロジックに基づいた(児童ポルノ法による創作物に対する)規制は、本国のアメリカでは、連邦最高裁の下した違憲判決[102][103][104]によって、バーチャルな作品と児童に対する性的搾取との客観的な因果関係が明白ではないとして退けられている。

また、単なる間接的な波及効果(助長・誘発)に基づいた規制論に対しては、「テレビドラマや映画で暴力・殺人の描写があるものは、観る者に暴力・殺人欲求を喚起させないとは言い切れないので規制すべきだ」という主張と同類であるとの反論がなされており、たとえば枝野幸男衆議院議員などが同様の認識を明らかにしている[99]

しかし、規制派のなかには、「漫画やアニメの子どもポルノの方が、ユダヤ人や黒人を人間以下の虫けらとして描き出すプロパガンダよりもはるかに有害」であり、「「表現」は、直接的に暴力」であることは自明であるとして[要出典]、「漫画やアニメやゲームの子どもポルノを擁護する人々は、主観的にはどうあれ、その行為によって、事実上、子どもに対する性的虐待とレイプと人身売買を擁護」している[105]として、前述の宮台真司や、アメリカ最高裁の下した違憲判決を批判する主張も見られる。ちなみにラディカル・フェミニズムの古典であるロビン・モーガンの「理論と実践:ポルノグラフィとレイプ」では、「ポルノグラフィは理論であり、レイプは実践である」とされ、ポルノグラフィは「性差別主義的プロパガンダ」であるとの認識が示されている。

なお、漫画、アニメ、ゲームといったフィクションが、古くは小説、映画、テレビ、音楽、野球などスポーツに至るまで、犯罪を誘発する有害なものであるという主張は、マスコミ、一部の学者、大学教授などが昔から主張しており(代表的なものとして森昭雄ゲーム脳が挙げられる)、「「バーチャルな」子どもポルノは、「リアルな」子どもポルノに対する需要を作り出し、さらには実際の生身の児童に対する性的虐待への欲求を喚起」[105]するとの主張も見受けられる。

しかし、前述のメディア効果論の限定効果説では「性犯罪的な素質を持った人間だけがポルノ的メディアに反応し、素質を持たない人間はポルノの影響を受けない。ポルノは無数に存在する影響源の一つに過ぎず、もともと犯罪的な傾向の強い人間に対してしか引き金として機能しない。ポルノを除去したとしてもいずれ別の要因が引金を引く為、何の解決にもならない。」となる。

なお、現在のところ、実在しない18歳未満の児童を被写体とした創作物と犯罪の因果関係を示す科学的な根拠や客観的なデータは一切存在しない。

摘発例[編集]

単純所持による摘発[編集]

単純所持による初の摘発が、2015年平成27年)9月1日に、沖縄県警察でなされた[106][107]。プールで、利用者から「携帯を持って不審な行動を取る男性がいる」と通報があって発覚。ただし、書類送検容疑は8月2日、インターネットで集めた5~11歳の女児の全裸写真10点を、スマートフォンに保存していた疑いである為、プールでの撮影ではなく、インターネット上の単純所持で、違法となる画像をダウンロードが摘発理由となる。

同年10月に宮城県警察による2件目の単純所持による書類送検[108]。9月の事件同様に不審な行動から通報されスマートフォンから児童ポルノが発見される。11月には、写真共有アプリ(写真袋)等から「ダウンロードした児童ポルノの動画を所持していた小学校教諭[109]が、また福島県[110]や女児の裸の画像2枚をスマートフォンに保存した埼玉県の男性が書類送検された[111]。12月には神奈川県の男性教師に児童ポルノ法違反(自己性的目的所持)による罰金20万円の略式命令が横浜簡易裁判所より下された[112]。男性は「画像共有ソフト(写真共有アプリ)を使って取り込み、持っていた」と供述。

2016年2月17日には30万点の児童ポルノ画像を所持していた男性を警視庁が書類送検したところ[113]グーグルマップ改ざん事件で摘発された犯行グループの1人であった同男性の押収されたパーソナルコンピュータから、94万点ものわいせつ画像が発見され、そのうちの3分の1が児童ポルノであると見られている。警視庁は画像入手元である「米国有料会員制サイト」を日米刑事共助条約に基づきアメリカ合衆国連邦政府へ削除要請する方針[114][115]。2月18日には、盗撮容疑の捜査の過程でPCを解析した結果、児童ポルノ画像が発見され単純所持で男性が書類送検される[116][117]

2016年4月6日には職場のPCで児童ポルノを閲覧していた男性が児童ポルノを自動検知するソフトを導入していた会社から警察に通報され児童ポルノ所持容疑で送検された[118][119]。家宅捜索で自宅から児童ポルノが記録されたハードディスクが押収された。

2017年11月に国内最大規模の児童ポルノ販売サイトが摘発され、同時に約7000人分の購入リストが見つかっている[120]。警視庁は2018年12月11日時点で約870人が摘発されたと公表している[120]

匿名化ソフトの悪用[編集]

2015年9月29日に発信元を秘匿する匿名化ソフト「Tor(トーア)」を悪用した児童ポルノ売買を京都府警が摘発[121]。国内の児童ポルノ関連事件でTor利用者の摘発は初。

2015年11月27日に児童ポルノを画像を所持していた男性2人を書類送検[122]。2人はTorを利用し9月の事件で摘発された違法サイトから児童ポルノ画像のダウンロードしていた。

いずれの事件も児童ポルノ交換サイト「まじかる☆おにおん」(摘発により閉鎖)利用者が摘発されている[122]

Tor自体は国家による通信傍受が行われている国での通信の秘密を担保し、独裁国家の反体制勢力を支援する目的で作られたが、匿名である事を悪用して犯行声明や殺害予告に利用され、捜査を難航させた。

各国の捜査機関もTorの摘発に力を入れており匿名性はすでに過去のものとなっている[123]

2015年にFBIによってTorを利用した世界最大の児童ポルノサイトが摘発された[124]。摘発後FBIが押収されたサーバーを利用しおとり捜査を行った結果12日間で1300のIPアドレスから児童ポルノサイトへのアクセスが確認された。今後IPアドレスから割り出した利用者への刑事訴訟が行われる予定。

ファイル転送アプリの悪用[編集]

2016年7月29日販売のため児童ポルノ動画を販売目的で所持していた大学生を逮捕[125]

10分経過後ファイルが消える機能が存在するファイル転送アプリ「センドエニウェア」を悪用。

大学生はツイッターで売買を予告し100人に動画を売りさばいていた。

スマートフォンアプリ摘発[編集]

2015年、スマホアプリ「写真袋」を提供するアプリメーカー社長が児童ポルノが公開されている状況を意図的に放置し利益を得たとして逮捕された[126][127]。無料期間後に閲覧が有料になり、投稿者報酬として換金性の高い商品券で支払わる仕組みがあり利益目的での投稿が日常的に行われていた[128][129]。画像に合言葉を設定する事で合言葉を知るユーザーのみが閲覧可能であるが、児童ポルノ公開者が有料課金報酬を得る目的で著名な掲示板、ブログ・SNS等で合言葉を公開し第三者が簡単に閲覧可能な状態となっていた。投稿された画像の3 - 4割が児童ポルノで占められていた上、ユーザーが児童ポルノ公開で摘発されるたびに警察から注意されていたにも関わらず閲覧可能な状態を放置していたため逮捕となった[130]。社長は従業員に児童ポルノを発見しても放置するよう指示しており[131]、「公然陳列の場」と捜査関係者に言われる程大量の児童ポルノ画像が公開されていた[132]。小遣い稼ぎなどの動機で投稿する女子中高生が続出。画像ダウンロードさせるためにツイッターや掲示板で宣伝を行っていた[133]。未成年売春や児童ポルノである事を利用し美人局(つつもたせ)が行われていた。前年度摘発されたFC2の猥褻動画配信者が一挙に流入したことが背景にある[134]

海外でも写真袋の様なアプリが存在し、ボールト(金庫室)アプリと呼ばれる同種のアプリによって児童ポルノ画像の拡散がなされているという[135]。2015年12月2日時点で写真袋はすでに利用できない[132]

2016年2月、写真箱(旧写真袋)と名称のみを変え同じ仕組みのまま営業を続けていたアプリ運営会社「AIRCAST」が神奈川県警によって摘発された[136]。写真袋同様に換金目的の児童ポルノ画像交換を意図的に放置した疑いが持たれ、指定暴力団住吉会幹部を犯罪収益移転防止法容疑で逮捕[137]。利用料の振込先口座を運営会社に譲渡し売上金の1%を得ていたと見られ、児童ポルノ画像売買の収益が暴力団の資金源となっていた可能性が疑われている。同日児童ポルノを写真箱にアップロードした福島県の少年(14)も書類送検された。また写真箱に児童ポルノ画像を投稿した大阪府の小学校教諭を逮捕[138]。昨年度だけで360回児童ポルノ画像を投稿していたと見られている。2月19日、写真箱運営元に口座を提供し売り上げの一部を受け取っていた住吉会系暴力団の構成員が新たに逮捕された[139]。運営元に見返りとして売り上げの1割を要求し、56万円が暴力団へ流れていたと見られている。2月29日「写真箱」運営会社の社長ら3人を再逮捕[140]。暴力団への資金の流れを捜査する為に住吉会系暴力団事務所への家宅捜査が行われた。

スマートフォン所持児童と保護者にアンケート調査を行った結果高校生男女で「写真袋」利用率が14.6%あった。また、小遣い稼ぎ目的で動画・画像をネットやアプリに投稿する未成年者(小学生~高校生)も8.6%存在し未成年者が動画や画像をインターネット上に公表している実態が浮き彫りになった[141]

2016年7月8日、昨年度に写真箱に児童ポルノ画像を投稿したユーザー5人が神奈川県警によって摘発された[142]

写真共有アプリ等スマートフォンアプリによる児童ポルノ流通の急増を受けインターネット・ホットラインセンターでスマホアプリの違法情報をホットラインへの通報対象に追加する方針[143]。3月10日運用開始[144]

神奈川県警がiTunesGoogleへ写真袋と類似の児童ポルノ拡散アプリの具体的なアプリ名を情報提供し削除するようスマートフォンアプリ配給を行う二社に要請[145]。また、児童ポルノ拡散アプリを児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの容疑で投稿者や運営会社の捜査も継続すると表明。

米国からの密輸業者摘発[編集]

米国内のDVD販売業者から児童ポルノDVDを購入し転売していた輸入代行業者が逮捕された[146][147]

国際郵便を悪用し税関をすり抜け違法に密輸される商品は児童ポルノに限らず中国からの危険ドラッグの流入等深刻な問題となっている[148][149]

LINEの児童ポルノグループ一斉摘発[編集]

LINEやスカイプで児童ポルノ画像を交換していたユーザー11人が静岡、福岡、愛知、広島県警によって摘発された[150][151]。LINEグループメンバー1人の逮捕がきっかけでその後1年にわたってグループの利用者を捜査した結果今回の一斉摘発に至った。

未成年による自分撮り等[編集]

2015年上半期の児童ポルノ製造手段においても、自分撮りが最多を占め、スマホによる未成年者のネット上へのアップロードや友人知人親類間のやり取り等被害者やその周辺の問題意識の欠如の傾向がみられるという意見がある[152]

2015年、男女の高校生が「フォロワーを増やしたかった」「小遣いかせぎ」のためにスマートフォンアプリ写真カプセルで自分の写真を投稿し書類送検された[153]。写真カプセルによる児童ポルノ公開が摘発[154]

海外では未成年同士のセクスティングが児童ポルノとして逮捕される例があり[155]、「未成年のセクスティングは児童ポルノではない」といった批判もある[156]

映画、写真集[編集]

  • 映画『ブリキの太鼓』(1979年) - カナダ、アメリカオクラホマ州で児童ポルノとして上映禁止。2001年、オクラホマ州で合法化され視聴可能となった。
  • 『清岡純子写真集 Best selection! 』 - 2002年適用
  • 映画『思春の森』(1977年、イタリア) - 2004年9月、日本で販売された無修正のドイツ版DVDにたいして適用。
  • CG描画 - 2016年東京地裁の判決もある[157][158]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^
  2. ^ 2005年の条例制定により、2005年10月1日施行。
  3. ^ 2011年の条例制定により、2012年1月1日から施行。
  4. ^ 府は児童ポルノDVD多数を単純所持していた男性に対し廃棄を指導し、男性はこれに応じている。自治体による指導で児童ポルノが廃棄されたのは日本国内初となった[36]
  5. ^ 2013年3月に条例制定により、2013年7月1日に施行された。2014年に単純所持を規制する児童ポルノ禁止法が制定されたため、類似既定の条例の条文が2014年10月に削除された。

出典[編集]

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  13. ^ ただし『「子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」にも、コミック規制を義務づける条項はない』「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」見直しに関する意見書 日本弁護士連合会
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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]