性的同意年齢

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性的同意年齢(せいてきどういねんれい)は、性行為の同意能力があるとみなされる年齢の下限をさす。単に同意年齢ともいう。性交のみに限った場合は性交同意年齢ともいう。近代社会においては、おおむね医学的な観点からして児童性愛にならない年齢と一致しているが、一部の法域ではより低い場合もある。

概説[編集]

性的同意年齢は、法域ごとに大きく幅がある。おおむね16 - 18歳に設定され、12歳や21歳[1]とする法も存在している。

イスラエルでは、被後見者及び直系子孫との関係における性的同意年齢を21歳としているが、法域の中には近親相姦そのものを違法化している場合もある。

多くの法域では、性的同意年齢は「精神的・機能的に発達した年齢であることを意味するもの」と解釈される。性的虐待は同意年齢に満たない者に対してなされるものであるから、あらゆる年齢に被害者がいることになる。法的な婚姻以外の性行為を一切禁じる法域もある。この同意年齢は、性行為の形式や行為主体の性別、責任のある立場の濫用など他の制限によっても変わりうる。

同意年齢に達していない者への性行為は認められていない。法を犯したことに対する罪は、「未成年者略取」程度の軽いものから、「法定強姦」まで幅がある。

日本[編集]

日本の刑法176条(強制わいせつ罪)及び177条(強制性交等罪)の規定においては、性的同意年齢は男女とも13歳以上に設定されている[2]。旧刑法346条の規定においては男女とも12歳以上であったが、女子の発育の状況を考慮した結果、現行刑法は1歳引き上げられた。性的同意年齢未満(12歳まで)の相手と姦淫または猥褻をした場合は法定強姦等(法定強制性交等、法定強制わいせつ等)に該当する。

なお、監護者の立場に乗じて18歳未満の男女にこれらの行為を働いた場合(同意を問わない)にも監護者性交等罪監護者わいせつ罪に問われる。

2008年に、国連は日本に対して性的同意年齢の引き上げを勧告する所見を採択している。12歳での初交経験割合は3%程度である。

児童福祉法18歳未満を児童と規定し、「児童に淫行を“させる”行為」について刑事罰を規定している。また、単に自己の性的欲求を満たすことを目的にした18歳未満との性的行為に対しては、淫行条例で刑事罰が規定されている。

風俗営業法では性風俗関連特殊営業の従事者と客は18歳以上と規定されており、年齢違反を把握しながら対処をしない事業者には罰則が規定されている。出会い系サイト規制法ではインターネット異性紹介事業を利用して、18歳未満の児童を性交等の相手方となるように誘引することを禁止し、違反者には罰則が規定されている。

なお、民法上の婚姻可能年齢は、男女共に18歳である[3]。女性は16歳であったが、2022年4月1日に引き上げる。

2016年日本弁護士連合会は、「性犯罪の罰則整備に関する意見書」において13歳以上の者は性交の意味を理解することが可能であるから、相手方が監護者であるからといって直ちに真摯な同意がないとみなすことはできないとして年齢の引き上げに反対している。[4]

古典イスラーム法(シャリーア)[編集]

古典イスラーム法(およびそれによって導かれる保守的イスラーム)では、結婚以外の性交は基本的に死罪(絞首刑石打ち斬首刑)に値すると定められているため、婚姻最低年齢が事実上近代イスラーム法における性的同意年齢となる。

イスラーム法では、預言者ムハンマドが9歳の少女アーイシャと結婚を行ったとするハディース[注 1]に従い、女子の婚姻最低年齢を9歳とする解釈がある。

男児は地域によっても違いがあるが、おおむね10 - 14歳で結婚が可能とされる。このため、現代においては医学的に見て児童の範疇に属する少女と成人男性との婚姻も、イスラーム法上は合法(ハラール)である場合が少なからず見られる[注 2]。ただしこれは前近代の他の地域の法体系も同様であり、社会的な人権保障の水準が現在とは比べ物にならないほど低かったことを示すもので、イスラームの特殊性に帰せられるものではない。

このような行為は児童性的虐待に分類されるのが通常であり、現代社会においては肉体的・倫理的観点からして現代イスラーム社会の国において人道上の人権侵害と認識され、性的同意年齢は非イスラーム諸国同様の水準に落ち着いている。しかし一部にはイスラーム法の厳格な適用を行う国家がいまだに存在しており、12イマーム派のイランワッハーブ派サウジアラビアでは女児の結婚最低年齢(性的同意年齢)は9歳である。そして実際にそのような早婚もあり、国際連合からも強い批判がある[5][6]

国際連合は2014年11月、国際連合決議を採択し、加盟国すべてに対し児童婚を禁止し、それを防ぎ、違反者に罰則を設ける法律を可決し、これを実施することを義務付けた。国連総会の人権委員会は、この決議を採択することで、すべての国に対して、子供に対する結婚の強制を完全に止めさせるための真剣な措置を取るよう求めている。

その他[編集]

伝統的な旧ポリネシア社会では、12歳を過ぎると性行為の同意能力があるとみなされ、多くの女性が12歳から15歳の間に最初の出産を経験していた。原住民のヤノマミ族の出産も早い。現代でも一部の地域ではこの土俗的な社会通念が通用しており、ピトケアン諸島少女性的暴行事件のような事例もある。サブサハラアフリカにおいても同様の状況にあると言われている。

2020年5月には、性的同意年齢を13歳からとしていた韓国では通信アプリのチャットルームで、脅迫などにより行わせた女性のわいせつな動画や画像を提供して暴利を得た「n番の部屋事件」に中学生とみられる被害者が含まれていたことをきっかけとして年齢を16歳[7]に引き上げた。またフランスも性犯罪事件によって15歳に引きあげられた結果、日本は、アメリカ、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど14~18歳とする各国より最も低い13歳となっている[8][9]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ブハーリーハディース集成書『真正集』「婚姻の書」第39節第1項(アーイシャ自身からの伝)、同第40節(アーイシャおよび伝承者ヒシャームからの伝)その他。ハディース中の「9歳で婚姻を完成させた」という一文が実際に意味とされるのは集成書の注記による。
  2. ^ 預言者ムハンマド自身、アーイシャと結婚した際は50を過ぎており、かなりの高齢で老人とされた時代だった。

出典[編集]

  1. ^ The law is not equal in Bahrain, with the age of consent for same-sex intercourse being 21 years old.”. www.sbs.com.au. www.sbs.com.au. 2020年12月18日閲覧。
  2. ^ 「性的同意年齢」とは、一般的に「性的な行為に同意する能力があると認められる年齢」と言われ、現在の刑法では13歳と定められている。”. bunshun.jp. bunshun.jp. 2021年7月10日閲覧。
  3. ^ 「18歳成人」民法改正案を閣議決定 女性の結婚年齢上げ”. 日本経済新聞 (2018年3月13日). 2019年1月16日閲覧。
  4. ^ 性犯罪の罰則整備に関する意見書 (PDF)”. 日本弁護士連合会 (2016年9月15日). 2021年6月20日閲覧。
  5. ^ 世界の児童婚における弊害 ParsToday誌 2021年8月9日
  6. ^ サウジで10歳の少年と9歳の少女が結婚!! ただしこの場合児童同士の結婚であり、成人男子と女児との結婚と同列には議論できない。
  7. ^ “懲役42年”の意味”. news.goo.ne.jp. news.goo.ne.jp. 2021年10月27日閲覧。
  8. ^ 「13歳」のYES、それは本物?” (2020年6月29日). 2020年8月24日閲覧。
  9. ^ 性交同意年齢13→16歳に変更求め。性犯罪の刑法改正案、人権団体が叩き台を公表。” (2020年6月11日). 2020年8月24日閲覧。

関連項目[編集]