ヒトの陰茎のサイズ

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ヒトの陰茎のサイズ(ヒトのいんけいのサイズ)は、人によってとらえ方が様々である。大きな陰茎を男らしさの象徴と見なす者もいれば、陰茎が、性的なパートナーを満足させるには小さすぎることを心配する者もいる。こうした不安が、陰茎のサイズについての多くの誤解を生み、陰茎増大産業の誕生につながっている。

他の霊長類との比較[編集]

他の霊長類、大きな霊長類であるゴリラと比較しても、ヒトの雄の生殖器ははるかに大きい。ヒトの陰茎は、他のどの霊長類のそれよりも、絶対的な語義でも身体の他の部分に比べての相対的なサイズにおいても、より長く、より太く、大きい。[1]

陰茎の測定[編集]

陰茎を測定するさまざま方法があるが、測定には多くの困難が伴う。第一に、陰茎を測定する際に最大限に勃起していなければならず、臨床の設定において達成しづらい。あるブラジルの医師が、勃起を引き起こすために薬剤を陰茎に注入することに頼り、より一貫した結果を得た [2] [3]。 何人かの臨床医は、快適に可能な限りたるんだ陰茎を伸ばすことによって陰茎を測定し、十分に伸ばされただらりとたるんだ陰茎の長さは勃起した陰茎の長さに等しいという理論に基づいた寸法を得る。

陰茎の検査を強要できないこと、あるいは短小な陰茎を持つ男性が測定に非協力的であろうことなどの理由により、サイズが偏ることが想定される。

陰茎のサイズについて自己申告に頼るには問題が多い。過大に申告したり、正確に計測できないかあるいは計測したくない人の存在は無視できない。陰茎の長さは被験者が起立した状態で床と並行に陰茎を持って測定されることが一般的である。測定は陰茎の上部に沿って基底部分から先端までを水平に測定する。陰茎の下部に沿っての測定では、長く計測されるだけでなく、基点がはっきりしないため測定誤差が大きくなる。座ったり横になった姿勢での測定も誤差が大きくなる。

陰茎の周囲の長さの測定には巻尺を用いる。亀頭のすぐ下、陰茎の中間部分、基底部分あるいはもっとも太い部分の三箇所のいずれかが指標とされる。

データ[編集]

人間のペニスの平均サイズについてはいくつかの研究がなされている。そのような研究の大半は自己申告による偏りのために、信頼性に欠けるうらみがある。標準より自分のペニスが小さいと思っている男性は、大きいと思っている男性より測定されることを嫌がる傾向があるためである。 ペニスのサイズについて当然ありうる自己申告による偏りを立証したり、自己申告による偏りを計算に入れた研究は知られていない。

出生時のサイズ[編集]

出生時のペニスの引き伸ばした時の平均の長さ(≒勃起時の長さ)は約4cmであり、90%は2.4cmから5.5cmの間である。ペニスは5歳くらいまでは少しずつ成長するが、それ以降は思春期まで殆ど成長しない。思春期開始時の(引き伸ばした時の)平均の長さは6cmほどであり、5年ぐらいで大人のサイズに成長する。W.A.Schonfeldは1943年にペニスの成長曲線を発表した。下図ではオレンジ色の線がペニスの長さ,青い線が精巣の容量,背景の色がタナー段階を表す。

Growth of penile length and testicular volume ja.svg

勃起時の長さ[編集]

大人の完全に勃起した陰茎の長さ(陰茎の上部に沿って股間から先端までを測る)については、いくつかの研究がなされている。インターネット上の調査を含む自己申告に頼る研究は、医学研究者や科学研究者による測定結果より常に大きな平均測定結果を報告している。

学術的、科学的な研究

  • 1996年9月の「泌尿器科学会報」に発表された研究は平均の勃起時の長さを12.9cm(5.0インチ)としている。(研究者による測定)
  • 2000年12月の「インポテンツの研究に関する国際会報」での研究は平均の勃起時の長さを13.6cm(5.35インチ)としている。

大学生の春休み期間中になされた調査

  • 2001年の春休み期間中にメキシコカンクンでライフスタイル・コンドーム社によってなされた研究は平均の勃起時の長さを14.9cm(5.9インチ)で、標準偏差は2.1cm(0.8インチ)としている。(研究者による測定)

自己申告による調査

  • Sizesurvey.comによってなされたインターネット上の調査では平均の勃起時の長さを16cm(6.4インチ)としている。(インターネット上の申告による調査)
  • Jackinworld.comによってなされたインターネット上の調査では平均の勃起時の長さを15.6cm(6.1インチ)としている。(インターネット上の申告による調査)

勃起時の外周の長さ[編集]

同様に、大人の完全に勃起した陰茎の中央部の外周の長さでも、陰茎の長さの場合と同様、自己申告では第三者による測定と比べて測定平均はほとんど常に大きくなり、科学的に測定しない場合は誇大申告になりがちということを示している。

  • 上記のライフスタイル・コンドーム社によってなされた研究では平均の勃起時の外周の長さを12.6cm(5.0インチ)で、標準偏差は1.3cm(0.5インチ)としている。

弛緩時の長さ[編集]

引っ張らない状態での弛緩した陰茎の長さは勃起時の長さに必ずしも相関しているわけではない。興奮時の血流増加と、それにより引き続いて起こる陰茎の勃起による膨張率は人によって大きく異なる。従って、弛緩時には平均サイズより小さな陰茎が勃起時には長さで5倍、周囲長で2倍とずっと膨張することもあるし、一方で弛緩時には平均サイズより大きな陰茎が勃起しても1.5倍程度にしか膨張しないと言うことも起こりうる。勃起時に陰茎は決して一定の比率で大きくなるわけではない。

  • 1996年9月の「泌尿器科学会報」に発表された研究は、陰茎の弛緩時の平均の長さを8.8cm(3.5インチ)としている。(研究者による測定)

低温は弛緩時の陰茎の長さに影響を与える。低温への一般的な肉体の反応は四肢など体幹以外の部分への血流を極力少なくすることであり、それには外性器も含まれる。その結果陰茎は更に小さくなる。

  • 世界最長の男性性器

ロベルト・エスキバル・カブレラ2015年9月当時52歳、メキシコ・コアウイラ州

平常時 48.2㎝、勃起時 55㎝ (世界最長の男としてギネスに認定)

(出典・フライデー2015年9月25日号32.33ページ、世界最長の男性器男は何をするにも邪魔と嘆く)

知覚作用[編集]

ロサンゼルスのカルフォルニア大学によって行われた2005年の研究では、45%の男性が自らの陰茎が大きくなることを望むと答えた。また84%の男性が自らの陰茎のサイズを平均または平均より上と評価した(同様の認識のギャップは、女性の自らの胸の認識にも見られる)。

ユトレヒト大学で行われた研究では、調査対象となった同性愛の男性の大多数は大きな陰茎を理想とみなし、それを持っていることは自己評価(self esteem)に繋がるとみなしていることがわかった[4]

男性は、ただ単に自らの陰茎を高い視点から見下ろすために生じる縮小効果によって、裸であるのを見た他の男性のそれと比較して、自らの陰茎のサイズの方が小さいと誤解する傾向があるのかもしれない。加えて、ポール・ファッセルの回顧録に見られるように(as Paul Fussell noted in his memoirs)、太りすぎであるか、大きな胃がある男性はその大きな腹部によって陰茎の一部が隠れてしまうかもしれない。また、ペニスより上の恥骨の脂肪の蓄積は、つけ根からの陰茎の長さが普通だとしても、陰茎を短くみせてしまう。

性科学者達による調査は、自らの陰茎のサイズが不適切であると信じている男性の多くは、平均的なサイズの陰茎をもっている、と示している。性科学者の多くは、陰茎のサイズの心配はいくつかの他の心配のもと(some other source of anxiety)か認識不足によるものだと考えている。

都市伝説、ポピュラー・カルチャー、マス・メディア[編集]

一部の文化において、陰茎が消失・収縮してしまうと信じこまれたことによる集団ヒステリーが観察されてきた(コロ 性器収縮症候群

また大衆文化の中における多くの迷信として、人の陰茎のサイズをその人の顔立ちを観察することで予測することができるというものが支持されている

観察する部分は通常、手や足、または鼻や身長が参考にされるほか、ある都市伝説では完全に勃起した陰茎のサイズは、親指と人差し指で90度の角度を作ったときにおける両指の先端から先端までの長さであるとされている(一方でこのやり方が非勃起の陰茎の長さを示すという記述もある)

陰茎の大きさと足や身長の高さとの間にある関係は比較的少数のグループによって調査されており、最終的に現代の多くの報告ではこれら陰茎のサイズは身体的特徴と相関関係を示すという調査結果を退けているが、いくつかの報告の内の2つに関しては陰茎のサイズと足の大きさとの関係を支持している。

しかし、関係性を支持する研究のうちの1つは主観によって計測している彼ら自身の陰茎のサイズを基にしているため、実験データが不正確である可能性がある。

2つ目の調査結果は勃起した陰茎のサイズと足や身長の大きさとの間に弱い相関性ではあるが、統計学的な優位性を見つけ出している。

なお、これらの観察報告に対しての仮説的な説明としてはHOX遺伝子が成長段階にある足の発達を制御することから、それと同じように、同一のHOX遺伝子(とくにHOXA13 と HOXD13)の一部によって未発達時における陰茎の成長がコントロールされるのだというものがある。

確かに脚の成長をコントロールするHOX遺伝子の一部が変異することは奇形な性器の原因となることが分かっている(手足性器症候群 (HFGS)

しかしながら近年の多くの研究は足の長さと勃起した際の陰茎のサイズとの間における関係について、いかなる証拠も見つけてはいない。

仮に人の体形をつかさどる、すなわち思春期と幼少期との間のホルモンに影響を与える遺伝子の大多数がそのようなものであるとしても、人体の異なる部位の計測結果が陰茎の正確なサイズに変えられるという説は現実的に見えるものではない。

他にペニスのサイズと他要素との相関を示している研究では興味深い研究結果が挙げられている。

とりわけ自身の研究した"Kinsey"データを分析しているある報告はホモセクシュアルの男性がそうでない男性と比較して統計学的に大きなペニスを所有しているということを発見している。

おそらくの原因としてはホモセクシュアルの男性は発達段階で男性ホルモンへ触れている状態が異なっているということが提示されている。

ただし研究の著者の見解はデータの証拠部分を誇張している恐れがある("Kinsey"の研究による自己報告の中で)

現在では、陰茎のサイズの問題とそれらの好みに関する多くの声の女性へ注目を寄せているメディアが多くあり、テレビではペニスサイズの問題が大衆化されたセックス・アンド・ザシティー(映画)やアリー My love(ドラマ)といったようなものが見せられている。

たとえばセックス・アンド・ザシティーでは彼女が予測あるいは期待した大きさの長さにたいして彼女がボーイフレンドのペニスを初めて経験し、それが期待や予想した大きさの長さに反して平均よりも短かったとき、女性キャラクターはベッドの中で泣いている描写がある。

同作品の同じエピソードの中でキャラクターたちはペニスのサイズが好ましくないために男を捨てることが適切かどうかについても議論しており、彼女たちは捨てることについて無問題だと結論付けた。

また実際に話の終わりでは1人が彼氏の陰茎の大きさに不満を覚えていたため、エピソードの前で自分は彼氏のことを愛していると思うと漏らしていたにもかかわらず、ボーイフレンドを切り捨てる描写がなされた。

セックス・アンド・ザシティーのメディアは「女性の持つ男性の陰茎への理想と期待」を男性の身体的コンプレックスへと仕立て上げたために雑誌「コスモポリタン」が取材女性の体重を取材したために批判されたことと同等の問題として批判されてきた。

実際、セックス・アンド・ザシティーのあるエピソードでは陰茎が誇張された言い方で述べられ、既にあり得ないほど巨大な比率のなにかであると暗示されているにもかかわらず、未だ彼氏の大きいペニスに不満を覚えていると表現しているキャラクターを登場させている。

しかし現実における女性の好みを見渡してみると、一貫して陰茎のサイズが女性にとっての優先事項であるという性質は少数の女性にとってのみに当てはまる価値判断であるということが観察される。

なお、最近では、ペニスを増大させる、丸薬、ほかのペニスを肥大化できると称する不審な方法・道具が売上を増加させてきている(要出典) 

またこれらのペニスを大きくするというものはスパムメールの中で広告された製品である。

女性の選好[編集]

論争が続いている元のひとつは、異性・同性愛者の女性が本当に好む陰茎の大きさの範囲である。 2005年のUCLAの調査によると、85%の女性が恋人のサイズにとても満足していると答えた。[5]

BMC Women's Healthで発表された陰茎のサイズに関する女性の好みの調査の研究によると、 長さよりもむしろ太さのほうが性的な刺激の重要な要素であると判断されるとした。.[6]

また、フローニンゲン大学病院で行われた、375人の性的に活発な女性(最近、子供を生んでいる)に陰茎のサイズの重要性を尋ねた別の調査によると、少数派ではあるものの、一定数の回答者が男性器の大きさを相当な重要性とした。[7]

陰茎のサイズと膣の反応[編集]

陰茎のサイズと性的指向[編集]

イギリス泌尿器協会のジャーナルは2007年、同性愛者異性愛者に比べ陰茎が大きい傾向にあるという研究を載せた。このことはすでに1940年代に「キンゼイ報告」で示されていて、平均して長さで10mm、周長で3.5mmほど同性愛者の陰茎の方が大きいという結果であったが、統計学的に良質のデータとは言いがたいものだった。はっきりとした理由は分かっていないが、同性愛の男性は異性愛の男性よりアンドロゲンテストステロンを多く浴びるからであるという説が主張されている。

参照項目[編集]

[編集]

  1. ^ Small, Meredith F., What's Love Got to Do With It? The Evolution of Human Mating, 1995, Anchor Books
  2. ^ http://www.free-condom-stuff.com/penis_size.asp
  3. ^ http://www.SizePenis.org Archived 2011年9月24日, at the Wayback Machine. An online Scientific-based database of penis sizes and facts
  4. ^ Size does matter (to gays)”. Mail&Guardianonline (2006年2月20日). 2007年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年11月9日閲覧。
  5. ^ Mundell, E.J. "Does Size Matter? Most Romantic Partners Say 'No'," MSN Health & Fitness: Men's Sexual Health, MSN.com, 27 May, 2005. Retrieved 23 September, 2006.
  6. ^ Eisenman, Russell. "Penis size: Survey of female perceptions of sexual satisfaction," BMC Womens Health 1: 1, 8 June 2001.
  7. ^ "What importance do women attribute to the size of the penis?"

参照[編集]

  • The Kinsey Institute penis size bibliography
  • Sutherland et al. "The effect of prepubertal androgen exposure on adult penile length." Journal of Urology, Vol. 156(2S), 783-787, 1996.
  • Lee PA, et al. "Micropenis. I. Criteria, etiologies, and classification." Johns Hopkins Med J 1980; 146:156.
  • W.A. Schonfeld, Am J Dis Child 1943;65:135
  • Niels Lauersen, M.D. and Steven Whitney, "It's Your Body: A Woman's Guide to Gynecology", 3rd Edition 1983, p. 480 (Berkley Publishing Co.: New York), ISBN 0-425-09917-2
  • Bogaert, A. F., & Hershberger, S. L. (1999). The relation between sexual orientation and penile size. Archives of Sexual Behavior 28:213-221.(PMID:10410197)[1]
  • Mortlock DP, Innis JW (1997) Mutation of HOXA13 in hand-foot-genital syndrome.Nat Genet 15(2):179-80.(PMID:9020844)[2]
  • Goodman FR (2002) Limb malformations and the human HOX genes. Am J Med Genet 112(3):256-265(PMID:12357469)[3]
  • Shah, J. & Christopher, N. (2002) Can Shoe Size Predict Penile Length? BJU Int 90(6):586-7 (PMID:12230622)[4]
  • Siminoski K and Bain J (1993) The Relationship Among Height, Penile Length, and Foot Size. Annals of Sex Research 6(3):231-235
  • Kondo T, Zakany J, Innis JW, Duboule D.(1997) Of fingers, toes and penises. Nature 390(6655):29(PMID:9363887)[5]
  • Rushton, J.P. & Bogaert, A.F. (1987) Race differences in sexual behavior: Testing an evolutionary hypothesis. Journal Research in Personality 21(4): pp. 536-7
  • Eisenman, Russell (2001) "Penis size: Survey of female perceptions of sexual satisfaction", PubMed Central (PMC)

外部リンク[編集]