例外

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例外(れいがい)とは、通例の法則規則規定から外れること、あるいは外れたものをいう。対義語は原則。

自然発生的な規則や自然言語においては例外がよく見受けられる。そのため「例外のない規則(法則とも)はない」ということわざもある(この法則自体にも適用できる、と付け足す例もある、詳しくは下記参照)。たとえば、現在確認されているほぼすべての自然言語において動詞規則活用の例外である不規則活用が存在する。

自然科学の範疇で[編集]

規則や法則には例外がつきものではある。当てはまらないものを取り除けば、残りについてはその法則は間違いなく当てはまるのは当然である。問題は、例外がいくつあるかである。たとえば数学の四則演算の場合、任意の二つの数の間でどの演算もできるし、どの場合も答えは一つ求められる。しかし、0で除算することだけはこの例外である。この場合、例外は明らかにこの一つだけである。

数学においては、一般的には正しいかどうかがわかっていない命題に対しては、ひとつの例外をあげることができれば、その命題は正しくないと判断する。その場合は例外とは言わず、反例という。しかしながら、その数があまりにも少なく、またそれを取り除いた範囲でのその命題の正しさが証明できるのであれば、その命題は認められる。この場合、むしろなぜそのような例外が存在するかを問う場合もあるであろう。

それ以外の科学ではそれほど厳密な正しさは必ずしも求められず、ある程度の例外は認める。しかし例外が複数ある場合には違った問題が生じる。その場合、あくまで例外と判断するのかどうかである。その法則が正しいと考えられる場合、例外がなぜ生じるかを考えるのはひとつの方向である。

物理学においては物事を数学的に扱うことで厳密性を確保しているので、例外に関しても同様な扱いが期待できるが、、現実の現象を理解する際にそのような厳密な証明ができるかというのはまた別の問題である。振り子等時性は古くからよく知られた事実ではあるが、これが真であるかどうかの判断は実験的にも理論的にも難しい。

生物学の分野ではさらに例外は多い。メンデルの法則は身近な動植物ですらむしろきれいに当てはまるものを探すのが難しく、生物全体を見れば、直接当てはめることすらできない例も多い。そもそもメンデル自身、自説を発表する際、予備実験として多くの形質について実験を行っており、その中から法則性を示せる形質のみを取り上げているが、その際に取り上げた形質の数より捨てた形質の数の方が多い。しかしメンデルの法則は生物学の分野ではむしろよく整えられた法則である。

生物学の歴史を見れば、非常に多くの法則が提唱されては消えている。それらの多くは確かに当てはまる例はいくつもあるにせよ、当てはまらないものの方が多いんじゃないか、というものもある。そのため、その多くは「○○の場合、××となることが多い」といった言い方で示されている。中には「生物に関してあるアイデアを思いついた場合、それの裏付けとなる生物は必ず存在する」という声ある。たとえば1921年にペトロニヴィクスは「種・系統樹および群の進化の法則」と題して24の法則を総括している(井尻正二『化石』岩波新書,1968)が、この中には1:放散の法則(→適応放散)、7:収斂の法則(→収斂進化)のように、現在でも認められるもののそれを法則とは呼ばないようなものばかりである。

人為的なルールの場合[編集]

法律などにおいて、適用対象に例外を設ける例は珍しくない。例外を設けることは規則を柔軟に運用でき、臨機応変な対応が出来るという面がある一方、ともすると規則を捻じ曲げて解釈する恐れもあり、規則の存在そのものの意味がなくなってしまうという危険性もある。具体的な適用には慣例などが重視されることになろう。

たとえば道路交通法緊急自動車をその例外に認めている。その有益性は明らかであろう。しかしたとえば警察車両であれば無条件でこれを認めるのではなく、警告灯サイレンをならすことを義務づけている。

コンピュータの場合[編集]

プログラミングでは、プログラムがある処理を実行している途中で、なんらかの異常が発生することを例外という。Windowsでのブルースクリーンが表示される例外0Eなどがこれにあたる。例外が発生した場合に、現在の処理を中断(中止)して別の処理を行うことを例外処理という。簡単な例として、0での除算が起こる、存在しないファイルを読み書きしようとする、などの状況である。プログラミング言語としては、JavaC++などが例外機構を備えている。

また、CPUが0での除算などの実行できない処理に遭遇することについても言う。UNIX 系 OS でハードウェア例外が発生すると、カーネルプロセスに対して SIGFPE や SIGSEGV などのシグナルを生成する。

用法[編集]

例外中の例外
例外であることを強調する表現。「極めて異例」という意味で使われることもある。
例外的に認める
今回限りの特別な措置により認めるという意味合いで使われる。
例外の国
国ではないが、他の国との比較で国として扱う方が都合が良い地域。南極。

例外のパラドックス[編集]

例外のパラドックスは、嘘つきのパラドックスラッセルのパラドックスに似たパラドックスで、『例外のない規則はない』という規則たる命題仮定し、その命題に対して

  • 例外があると仮定すると、「例外のない規則がある」ということになり、矛盾する。
  • 例外がないと仮定すると、元の命題に反する。

このように、例外のない規則に例外があると仮定してもないと仮定しても自己矛盾してしまう。ゆえに、元の命題自体が偽である。そこで、『例外のパラドックスはこの法則自体にも適用できる』と付け足す例もあるが、付け足したとしても元の命題を真にすることはできないため、これはナンセンスである。

関連項目[編集]