アダルトビデオ
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アダルトビデオ(和製英語: Adult Video)とは、日本において「性行為に係る人の姿態を撮影した映像」である[1]。略称は「AV(エーブイ)」。セクシービデオやエロビデオとも言う。
概要
[編集]「アダルトビデオ(AV)」は日本独自の名称であり、海外では一般的にポルノ映画やポルノグラフィと呼ばれる(業界内では「V」とも呼称される)。
日本では通常、国産のポルノ映像を指し[2]、海外作品とは区別されることが多い。ビデオカメラでの撮影やビデオ媒体での流通を前提とした用語であり[3]、家庭用ビデオ普及以前からの「ピンク映画」や「日活ロマンポルノ」(1971年より)[4]などの映画作品と区別するために定着した。年間約1万本がリリースされている[5]。
法的区分と業界構造
[編集]狭義には業界団体による自主検閲を経た「適正AV」を指し[6]、後述のように非合法なものは裏ビデオ、個人ないし同人サークルで制作されるものは同人ビデオ、海外の作品はポルノ作品として分けている。業界内では「V」と呼称される[7]。俗に、日本国内において合法的に流通しているものは表ビデオ(2018年より「適正AV」とカテゴライズ[8])、日本の国内法(刑法175条:わいせつ物頒布罪)に基づいて性器にモザイク処理などが施されていないなどの理由で非合法のものは裏ビデオとされている[9]。なお、製作会社の廃業時などにモザイク処理が行われていないマスターテープが流出することがある。これは「流出物」と呼び、裏ビデオの一種である[10][注 1]。ライターの亀山早苗によれば、2022年時点で日本のAVメーカーの90%は適正AVの枠組みに入っており、それ以外に同人系メーカーなどがある(必ずしも違法ではない)[11]。亀山は、児童ポルノや相手の許諾を一切得ていない犯罪性の高いものはAVの範疇ではない(ポルノ映像すべてがAVではない)と記述している[12]。
映像ソフトにおける記録メディアの変遷と高画質化
[編集]記録・配信メディアの歴史的変遷
初期の記録メディアはVHSが中心であったが、技術革新に伴い、一部を除いて配信媒体としてのビデオテープは消滅しており、DVD・Blu-ray Discや、インターネットによる動画配信に移行している。
2021年現在では日本の合法セルビデオ(販売用ビデオ)の大半はDVD-Videoである。DVD登場前の一時期にビデオCDにより発売された作品がある。
画質規格とパッケージメディアの進歩
他のDVD映像ソフトと同様にHD画質や画面アスペクト比16:9の標準画質で撮影された作品[注 2]も多く、DVDのほかにBlu-ray Discの形態も存在する。
2021年1月1日にはアイデアポケット、PREMIUM、4K-ダスッ!の3メーカーから初のUltra HD Blu-ray規格のソフトが発売された[13]。
レンタル市場の対応と放送・公的機関での呼称
レンタル市場の対応
2009年(平成21年)1月23日に、レンタルビデオショップ最大手のTSUTAYAでBlu-ray Disc版アダルトビデオのレンタルが開始された。
公共放送(NHK)などにおける表現
NHKではDVDパッケージのものを「娯楽用DVD」と呼んでおり、アダルトビデオもこれに含まれる。
日本のアダルトビデオにおける表現的特長・市場規模・利用状況
[編集]モザイク規制が生んだ表現とクリエイティビティの独自性
自らもAV女優であるジューン・ラブジョイは、海外のポルノ映像が局部を大写しにすればいいという考え方が大きいのに対し、日本のアダルトビデオは局部にモザイク処理が入るからこそストーリーやクリエイティビティが進化し、女性(女優)視点の満足感を重視する独自の特長が生まれと分析している[14]。
市場規模と圧倒的なデジタル閲覧状況
市場規模の推計
市場規模について、矢野経済研究所の調査(2014年)では約512億円と推計されている[15][16][17]。
主要配信サービスとの閲覧数比較
研究者の服部恵典[注 3]は2023年のインタビューにおいて、「アダルト動画配信サイト全体の閲覧数が、Netflixをはじめとする大手の世界的人気動画サブスクリプションサービスの閲覧数を大幅に上回っている」という実態を分析・指摘している[19]。
歴史
[編集]出演者など
[編集]AV女優
[編集]AVブームの定着に伴い、AVに出演することを生業とする女優(AV女優)が現れた。AV女優は、自主的または監督などの演技指導により様々な「演技」を行う[注 4]。
ただし、本格的に「演技」の勉強をし、撮影に役立てている者は稀[20]。AV黎明期に活躍したAV女優に、『ドキュメント ザ・オナニーPART2 女優・田口ゆかり』ら40本の表ビデオ、その他裏ビデオ・裏本多数に出演した田口ゆかりがいる[21]。また、近年ではAV女優の乱立を危惧する声が多くなってきている。
AV男優の鮫島健介によれば、2020年までの数年で出演者は女優、男優共に1か月以内の性病検査が必須となり、検査項目も5項目→7項目→9項目プラス医師による目視チェックと増えている。スタジオ入りの際には検温、手洗い、撮影前には契約書と出演同意書の徹底、出演金額の開示(場合によって本人とプロダクションの割合も含む)も行われる。また、これらを証拠のため、映像カメラに収めるようになったという[22]。
その他出演者
[編集]- AV男優
- AV監督
- AVスタッフ
制作者など
[編集]流通
[編集]


レンタルビデオの歴史と店舗構造における配慮
[編集]アダルトビデオは家庭用レンタルビデオ店の拡大とともに発展を遂げた。初期の業界構造ではレンタル流通を主軸とするメーカーが大手(メジャー)と位置付けられていた。2000年代以降、レンタル業界はTSUTAYAやゲオによる大手チェーンの寡占化が進み、ソフト・オン・デマンド(SOD)やCA(意志グループ/現デジタルグループ等)をはじめとする主要セルメーカーも同市場へ積極的に参入・供給を行っています。年間制作タイトル数はかつて年間1万本以上に達すると推計されていた。
店舗における独立コーナーの設置
レンタル店内には、暖簾やパーテーションなどで一般コーナーと物理的に仕切られた「アダルト独立コーナー」が設置されています。これは以下の3つの配慮に基づく設計である。
青少年に対する有害情報の閲覧防止(青少年の保護)
アダルトコンテンツに拒絶感・嫌悪感を持つ一般客への配慮
アダルト作品を利用・選考する利用者のプライバシー保護、なお、作品供給量が少なかった1990年前後までは、一般映画等のソフトと同一の棚に並べられて展示されていた時期もあった。
セルビデオの台頭とイベント経済・流通アウトソーシング(2000年代以降)
[編集]1990年代より、販売を専門とする「セルビデオ」市場や、通信販売・オンライン宅配レンタルサービスが急速に台頭した。1990年代後半にはレンタル向けとは異なる柔軟な審査・露出基準を採用したことで爆発的なセルブームが到来。大手メーカーは独自配送網を構築して低価格化と利便性を実現した。
対面イベントと二次流通市場
2000年代以降、レンタル店舗の縮小に伴い、物理的パッケージの主軸はセルビデオへと移行した。購入者を対象とした「手売りイベント・サイン会」などAV女優とファンが直接交流できるリアルイベントの場として機能したことや、中古買取・販売(二次流通)のシステムが確立されていたことから、動画配信への移行期である2020年代においても独自の市場価値を維持している[23]。
メーカー営業の外部化と配信移行
一方でメーカー側の運用構造も変化しており、従来の社内営業担当者を廃止して専門の流通業者へアウトソーシングする動きが一般化した。さらに、パッケージ(DVD等)の製造から完全に撤退し、配信専用へ一本化するメーカーも登場している[23]。
初期インディーズ形態「ブラックパックビデオ」(1980年代前半)
[編集]1983年から1985年頃にかけて、「ブラックパックビデオ」と呼ばれる特殊な流通形態が存在した。これはレコード店やビデオ店といった正規の一般流通ルートを経ず、訪問販売員や外商(通称:カバン屋)を経由して秘密裏に流通・手売りされた初期のインディーズ・アダルトビデオを指す俗語である。
CS放送・有料テレビ配信によるメディア展開
[編集]パッケージ販売やネット配信にとどまらず、ビジネスホテルやラブホテル内のVOD(有料番組)、スカパー!プレミアムサービスにおけるCS放送(900年代チャンネル)、ケーブルテレビの有料チャンネルなど、各種放送インフラを通じて幅広くコンテンツが供給・利用されています。
インターネットにおけるAV動画配信事業と権利保護・技術の変遷
[編集]インターネット動画配信の台頭と過去作・廃盤作品の流通
インターネットの急速な普及に伴い、アダルトビデオ(AV)コンテンツはストリーミング配信やファイルダウンロードの形式で提供されるのが主流となりました。特にパッケージ(DVD・Blu-ray)が生産終了となった「廃盤作品」については、メーカーから正式に権利提供を受けた正規配信業者からデジタルデータで購入・視聴することが唯一の手段となっています。
AV人権倫理機構の設立と「配信シフト」の影響
2018年に「AV人権倫理機構」が設立され、出演者(AV女優等)からの申請に基づく配信停止や取り下げ権限が正式に認められるようになりました。この権利保護規定の導入に伴い、メーカー側は流通対応の面から配信事業をより重視するようになった。
メーカー側の事情: DVDなどの物理メディアの場合、販売停止時に店頭・流通倉庫からの回収作業に膨大なコストと労力が伴いますが、デジタル配信であれば迅速かつ確実に提供停止措置を講じることが可能なためです。
物理パッケージ市場への影響: 配信停止によってオンライン上から姿を消した過去作品を求め、実店舗(セルビデオ店・中古店)で旧作を探すユーザーが増加。その結果、一部のレア作品や廃盤パッケージにプレミア価格(プレミア価値)がつく現象が生じています。
配信特化型メーカーの誕生: 2018年には配信を主軸に据えた新興メーカー「FALENO」が誕生しました(※のちに店舗での購入者限定イベント等の需要に対応するため、2021年からは一部作品でDVDパッケージの販売も併行)。
アダルトVR領域の進化
近年では、ヘッドマウントディスプレイ等を用いたVR(仮想現実)映像配信が大きな活況を呈しています。日本のAV業界が持つ撮影ノウハウや立体視・演出技術は非常に高い水準にあり、アダルトVR分野においては海外メディアから取材を受けるほど世界的に突出した技術・表現力を誇っています。
海外法人を経由したVODサービス(無修正配信と権利保護)
日本国内の個人・法人が、性器露出に関する法規制が日本とは異なる諸外国(主にアメリカなど)に現地法人を設立し、海外サーバーおよび「.com」等のドメインを用いて日本向けに動画配信を行うビジネスモデル(海外配信)が広く普及しています。
法的適用と無修正: 日本の刑法第175条(わいせつ物頒布等の罪)の国外犯処罰規定や現地法との兼ね合いを利用することで、性器にモザイク処理を施さない「無修正ビデオ」の有料配信が盛んに行われています。
違法アップロードと削除申請: 一方で、これらの配信プラットフォームや動画共有サイトにおける無断転載・違法アップロードも深刻化しており、作品の著作者・権利者である日本のAVメーカー側が主導して削除申請や権利侵害への法的対応を行っています。
主な事例
- Dreamroom Productions - 商号: 「Dreamroom Productions, Inc.」、商標: カリビアンコム、Heyzo、一本道。アメリカ合衆国所在のアダルトビデオ配給会社。
- Amorz Entertainment(AMORZ) - 商号: AMORZ INC.、商標: STUDIO AMORZ MEDIA、AMORZ STUDIOS[24](「7 Geishas」、「CATCHEYE」、「CATWALK」、「Engine」、「Goemon」、「HEYZO」、「HOT CREAM」、「JBOXanime」、「KOKESHI」、「LaForet Girl」、「Magic Banana」、「MANDALA」、「Merci Beaucoup」、「MUGEN ENTERTAINMENT」(MUGEN、KIRARI)、「SAMENJIRO」、「SAMURAI PORN」、「Stage2」、「Studio Teriyaki」、「Super Model Media」、「Tokyo Neko」、「Tsubaki House」)[25]。アダルトビデオ配給会社。「Opticalxtreme Inc.」の関係社[26]。
- AVエンターテインメント(AVentertainments.com) / AVファンタジー(AVFANTASY) - 商号: Opticalxtreme Inc. [27]アメリカ合衆国所在のアダルトビデオ配給会社。
- 東京熱: アメリカ合衆国など所在のアダルトビデオ配給会社。商号: CSJJ Media, Inc → Net link Inc → JSKY Services, Inc.
その他
[編集]- GIRL'S CH : 総合販売サイト
- ハッピーアワーシアター : (HAPPY HOUR THEATRE)は、2013年12月中旬からベースメントモンスター王子で開催されているAV女優によるオンライン配信型ライブ劇場
- FANZA : ECサイト
- MGS動画:ECサイト
- DUGA:ECサイト
日本の賞
[編集]日本のアダルトビデオにおける構成的特徴・受容の変化・制作環境
[編集]ポルノグラフィが基本である以上やはり性行為が基本なのであるが、日本のAVについては諸外国と異なり、必ずしもそれに偏重していない。確かに性行為のカットがあるものの、イメージ映像やインタビューなども重視される傾向があるのが特徴的である[29]。シチュエーションなどフェティッシュに特化した作品も多岐にわたる。
また、高度なドラマ性やストーリーラインを持つ作品が多く、成熟した国内の成人漫画市場を背景とした「漫画原作のAV実写化作品」も多数制作されています。一般ドラマの実写化企画がコンプライアンスなどで原作再現に制約を受ける中、再現性の高さからSNS上で「AV版の実写化の方が再現度が高い」と話題になり、トレンド入りを果たすケースも見られます[30][31]。
反響や展開については「AV女優のアジア進出」も参照。
女性視聴者層の拡大と業界の意識変化
2000年代後半に入って女性AV視聴者の拡大と男優、女優の処遇改善やアイドル化、リアリティの追求などによりAVの性向も少しずつ変化し、無料アダルトサイトの普及や女性向けAVが発売され、しみけん、一徹のようなイケメン男優が人気を得ており、女優では明日花キララが女性層から高い人気を獲得するなど、女性にとってもAVというメディアに対する抵抗感が従来より薄れつつあります。
制作費の歴史的推移と撮影現場の実態
作品1本あたりの制作費(現場費:スタジオ代、撮影スタッフ・機材費、男優出演料)は、時代の経過とともに縮小傾向にある。
1992年時点:「250万切るくらい」
2007年時点:大手メーカーは「180万〜200万円」小規模メーカーは「70万〜100万円」[32]。
2024年時点:大手メーカーは「70万〜120万円」(※売り上げが見込めるデビュー作は「200万円弱」[32])
※上記金額は現場費のみであり、主演女優の出演料やポストプロダクションにおけるモザイク処理費用は別途発生する。
現場費の中ではスタジオ使用料と人件費が大きな割合を占める[32]。一方で、近年はデジタルカメラなどの高性能化・小規模に伴い、小規模な現場では監督1人が撮影・音声・照明を兼任する制作スタイルもある[32]。
コンドームの使用演出と避妊対策・構造表現
[編集]コンドームを用いた演出と構成
安全への配慮を示す実務的な側面と、演出・シチュエーションとしての要素を兼ね備えた構成が存在する。
コンドームを用いた特殊演出
作品内でコンドームの適切な装着や取り扱いを視覚的に説明しつつ、射精後にコンドーム内の精液を露出・使用する演出がなされる場合がある。具体例として『顔は日本カラダは車中!!』(SODクリエイト/出演:夏目ナナ)などでは、車外に顔を出した状態の女優が、使用直後のコンドームから手の上に精液を絞り出して口にする行為を複数回繰り返すといった演出が組み込まれている。
童貞喪失(筆おろし)企画における構成
「童貞喪失もの」では、女優が相手の童貞男性に対して丁寧にコンドームを装着させるプロセスから撮影が開始される形式が多く見られる。射精後は精液が溜まったコンドームを外し、その精液を確認しながら童貞を脱した感想や心理状態を語り合うダイアログ構成(例:『最高の筆おろし』マドンナ、『ザ・筆おろし』クリスタル映像)が採用されている。
中出し作品における避妊対策と演出上の示唆
膣内射精(中出し)を描く作品においては、撮影に伴う妊娠リスクを回避するため、制作会社および出演者側で多様な事前・事後の避妊措置が講じられている。
避妊手段の実務(ピル・避妊器具など)
制作現場側がアフターピル(緊急避妊薬)、避妊フィルム、女性用コンドーム等を事前準備するケースや、出演女優が日常的に低用量ピル(経口避妊薬)を服用して予防しているケースがある。作品によっては、女優自身が医師から処方された経口避妊薬のパッケージを提示し、服用方法や安全性を説明したうえで膣内射精や精液注入を行うといった、リアリティや安全性を担保・強調する演出も存在する。
特殊・ドキュメンタリー的演出の例
例外的な事例として、川奈まり子の引退作品のように「実際の妊娠を企図して婚約関係にある男優による膣内射精を行った」とされる企画も存在する(結果として受精・妊娠には至らなかったとされている)。ただし、これが事実に基づくリアルドキュメンタリーか、映像上の演出・フィクション表現かについては客観的な検証が難しい側面を持つ。
野外撮影の法的リスクと「AV出演被害防止・救済法」をめぐる動向
[編集]野外撮影における法的リスクと社会的影響
屋外や公共の場所でアダルトビデオ(AV)の撮影を行った場合、刑法上の公然わいせつ罪などに問われる明確なリスクが存在する[33]。過去には関係者が書類送検ののち不起訴処分となった事例がある一方[34]、ロケ地となった温泉施設が風評被害や法的トラブルによって閉鎖に追い込まれるなど、地域社会や施設に対する深刻な被害・影響が生じた事例も報告されている[35]。
AV出演被害問題と行政・関係省庁の対応
[編集]モデル勧誘などをきっかけとしてアダルトビデオへの出演を事実上強要される女性被害の相談が相次いだことを受け、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが被害防止と救済のための調査報告書を公表しました。これを受け、2016年より内閣府の「男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会」において有識者や警察庁などの関係省庁へのヒアリングが実施され、2017年には実態把握や取り締まり強化を課題とする報告書がまとめられ[36][37]。
「AV出演被害防止・救済法」の成立と各界の反応
出演被害の防止と被害者の迅速な救済を図るため、2022年6月23日に「AV出演被害防止・救済法(AV出演被害防止・救済等に関する法律)」が施行された。
法律上の定義と法的規定
アダルトビデオは正式に「性行為映像制作物」として法的に定義された[38]。
規制内容に対する政治・政党の主張
この法律には撮影時の性行為を禁じる規定は盛り込まれなかったが、その点を不十分と見なす日本共産党は「実際の性交を伴うAVを正面から規制する法整備」を党の公約として打ち出している[39][40]。
出演者(AV女優有志)の動きと労働環境
一方で、実演者であるAV女優有志(月島さくら、天使もえなど)は働きやすい環境を求め、同年8月に署名活動を行った。
同人AV市場への影響と業界の位置付け
この法の施行により、同人AVの増加を危惧する声も挙がっている[41][42]。法学者の河合幹雄は「それまでAV業界は警察庁の管轄だったのが、新法によって内閣府管轄に「昇格」。ある意味でまともな産業の一つとして認められた」と笑いを交えて述べている[43]。
刑法175条(わいせつ物頒布等罪)と日本におけるモザイク規制・表現の変遷
[編集]刑法第175条と表現の自由をめぐる議論
日本では欧米諸国などと異なり、成人向けであっても性器を直接表現する映像を公開することは、判例上では表現の自由よりも「わいせつ物頒布等の罪(刑法第175条)」としている。目的は、公衆の「健全」な性的風俗ないしは性秩序を守るためとされているが、「現状にそぐわない」との批判もあり[44]、参議院議員の山田太郎が刑法175条の見直しを提唱している[45][46]。
自主規制(モザイク処理)の機能と解釈
刑法175条の規定に基づき、業界の倫理審査委員会による自主規制のもとで性器に対する「モザイク処理」や「ぼかし」が施されます。これは物理的な性器の露出を防ぐ目的だけでなく、建前上「作品内で実際の性行為が行われていない」という解釈を成り立たせるための視覚的緩和策としても機能している。
なお、精液や肛門(審査団体により運用の差異あり)の描画自体は、同条文上の「わいせつ」には直接該当しないとする解釈が一般的である。
陰毛・肛門の解釈: かつて女性の陰毛や肛門の露出は非合法(検閲・修正対象)と解釈されていたが、2010年代以降は表示規制が緩和され「合法(許容)」とする見解・運用へと移行した[注 5]。
児童表現の規制強化: 一方で、過去には一定の許容が見られた児童の露出表現については、その後の法改正や最高裁判所の判例変更により「明確な違法(児童ポルノ法違反・わいせつ物)」と定義されるなど、保護と規制の基準が厳格化している。
アダルトビデオにおける倫理審査団体の役割と自主規制基準の変遷
[編集]倫理審査団体の役割と法的位置付け
倫理審査団体には日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)、コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(メディ倫)などがあり、それぞれ所属する会員である製作会社のビデオが倫理を逸脱していないか監視している。あわせて、海賊版製作者に対する警告・告発も行っている。ビデ倫加盟メーカーはビデオ倫理監視委員会を通じて監視を行っている。
ただし、これらの審査団体に法的な許認可権限や免責権限は存在せず、審査を通過した作品であっても警察による摘発(刑法175条違反等)を免れる法的な保証はありません。
ビデオ倫理監視委員会が把握している審査団体
日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)※2010年解散
コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫、EOCS)※2010年代以降はアダルトゲーム、イメージビデオのみを扱う
ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)
日本映像制作・販売倫理機構(JVPS、制販倫)
コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(CSA、メディ倫)→日本コンテンツ審査センター
全日本ビデオ倫理審査会(AJVS、全審)
日本倫理審査協会(JEJA、日倫)
その他
AV人権倫理機構 ※第三者機関 ※2024年3月31日活動終了
コンテンツ・ソフト協同組合 ※2015年解散
知的財産振興協会 ※メーカーと店舗による組合
東日本コンテンツ・ソフト ※2015年解散
OCCN 配信映像審査ネットワーク[47]
独立系メーカーと審査の実態
倫理審査団体に所属していないアダルトビデオメーカーの作品は「自主規制作品」(インディーズ)と呼ばれるが、ビデ倫・ソフ倫[注 6]以外の審査団体で審査を行った作品はモザイク処理などの点で自主規制作品と大差はなく、一般的にはインディーズとしての扱いを受ける。
また、倫理規程には絶対的な統一基準が存在しないため、モザイク処理の面積や濃淡、解像度にはメーカーごとにばらつきが見られる。同一メーカーであっても、制作年代や市場環境によって処理の強度に相違が生じることがある。過激化やメーカー間の過酷な生存競争に伴い、意図的にぼかしを小さく・薄くした作品が増加する傾向も指摘されている。
ビデ倫による露出基準緩和と業界への影響
2000年代半ば、ビデ倫は時代的要請や市場の変化に対応して審査基準の大幅な見直しを行った。
2006年8月:審査タイトルより陰毛および肛門の露出を全面解禁
この見直しを受け、従来はビデ倫・ソフ倫およびそれに準じる審査団体(制販倫・VSICなど)の審査済み作品のみを掲載していた業界誌も[48]、2006年9月号以降はその他の審査団体の作品を含めて審査を受けた作品も掲載するようになった。なお、作品の露出度の高さと実際の売り上げ規模は必ずしも比例しないとされている。
欧米におけるポルノ・ビデオの呼称・主要メーカー・業界賞
[編集]
アメリカやヨーロッパ諸国においては、日本で一般的な「アダルトビデオ(AV)」という呼称よりも、「ポルノ・ビデオ(Porno Video)」または単に「ポルノ(Porno / Pornography)」と呼称されるのが一般的である。
主要ポルノ・メーカーの系譜と特長(アメリカ)
アメリカのポルノ産業では、設立年代ごとに多様なアプローチやブランド戦略を持つ大手プロダクション・メーカーが台頭・存続している。
1980年代〜1990年代設立(老舗・主力ブランド)
ヴィヴィッド・エンターテインメント(Vivid Entertainment): 1980年代に設立され、長年にわたり業界のトップメーカーとして君臨する老舗プロダクション。
ニュー・センセーションズ(New Sensations): 1990年代に設立され、複数の姉妹ブランドを展開して幅広いジャンルを網羅。 2000年代設立(デジタル・Web時代の台頭)
ノーティー・アメリカ(Naughty America) / リアリティ・キングス(Reality Kings): 2000年代以降に設立され、Web配信やリアリティ溢れるシチュエーションで高い人気を獲得。
バング・ブロス(Bang Bros): 人気フランチャイズコンテンツであった『ガールズ・ゴーン・ワイルド(Girls Gone Wild)』を買収するなど、積極的な事業拡大を推進。
2010年代以降の潮流と特殊ジャンル
ヴィクセン(Vixen): 2010年代に設立され、独自に「ヴィクセン・エンジェル(Vixen Angel)」を月間・年間単位で選出・プロモーションする等の先進的なモデルブランディングを展開。
キンク・ドットコム(Kink.com): フェティシズムやBDSM(緊縛・フェティッシュ)ジャンルに完全特化したコンテンツ制作を行う代表的な専門企業。
海外における主要ポルノアワード(業界賞)
アメリカを中心に、業界の功績や作品・出演者を評価する数々の権威あるアワード(業界賞)が開催されている。
AVNアワード(AVN Awards): 「アダルト映像界のアカデミー賞」と評される業界最大の賞。
XRCO賞(XRCO Awards): 映画評論家・ライター組織(XRCO)によって選出される歴史ある賞。
XBIZ賞(XBIZ Awards): ビジネス・デジタル配信・技術・作品性など多角的な視点から業界を称える主要賞。
ジャンル
[編集]制作者側での区分と消費者側の区分とが存在する。
制作者側からの区分ジャンルは様々であるが、容姿やスタイルを全面に打ち出した「単体女優物」と企画内容を売りにした「企画物」に大きく分けられる。この分類は極めて明確で女優のギャランティーやパブリシティー、メーカーの制作体制などに差異が認められる。つまり、女優のネームバリュー押しではなく企画や監督名が前面に出たパッケージ(甲斐正明など)こそ企画物というカテゴリーの目安と言えよう。
一例としてアダルトビデオにはロリコン・オナニー・セーラー服など様々なジャンルがある。『月刊TVガイドビデオコレクション 臨時増刊号 アダルトビデオ3000』(1983年の東京ニュース通信社)の索引では14のジャンルに分けられていた[49]。また、藤木TDCによれば、これは黎明期はVHS供給ということもあり、30分程度と短時間のものが多く、総合的なエロスを盛り込んだ作品を製作することが困難で、1本1本そのジャンルに特化したものを製作せざるを得なかったという事情があるのではないかと考察している[50]。だが、DVD・ネット配信などの登場で作品の時間制限が緩やかになった今でも[注 7]、総合的なエロス作品を目指すかたちではなく各ジャンルについてよりマニアックに掘り下げていくケースが多くみられるとしている[51]。世界的視野に立つとひとりのポルノ女優に焦点を当てた単体物がほとんどであり、趣向別に細かくジャンル分けされているのは日本独自のものである。藤木TDCはこれを「日本独特のAV風土」とし、日本の文化であるとする[51]。
単体女優物
[編集]単体女優物は、主に容姿が美しい女優を全面に打ち出す作品である。女優名を大きく出し、作品内容よりも女優そのものを大きくアピールする。
AV女優一人が出演しているため単体女優物と呼ばれる。単体女優は、AV業界の中で企画物の女優(企画女優)と比較して、容姿やスタイルが美しいとされる。基本的には一人のAV女優が登場する1時間 - 2時間物が多いが、一人の女優の出演本数が増えるとテコ入れのため共演作を撮影することもある。単体女優物は、セル・レンタル業界を問わず、各メーカーとも資金を投入し力を入れている。
知名度は重要なアピールとなるため、AV女優になる前にタレント、グラビアアイドル、アイドル、モデルスポーツ選手、ミスコン出身者であったものもおり、逆に単体女優として有名になった後にタレント活動するものもいる。
1990年代の末から、元々は企画物の女優であるのに単体女優並みの人気が出て(出ると企画立案され)、単体作品に出るケースもあり、こういった作品をキカタン(企画単体の略)作品と呼ぶ。
企画物
[編集]企画物は女優の容姿にこだわらず、特定の企画内容を売りにした作品。そのため女優の名前が出ないこともある。テレビや映画のパロディ、大人数もの、人妻もの、素人もの、職業もの(制服女性)、学生もの(セーラー服、ブレザー、ジャンパースカート、吊りスカート)、レイプもの、ナンパものなど、あるジャンルに特化し、それらを好む視聴者をターゲットにしている。このジャンルの境界にははっきりとした線はなく、例えば、「人妻ナンパ」「素人接吻」「女子校生レイプ中出し」といったように複数のジャンルをまたいだ商品も多い。また、単体女優が企画色の強い作品に出演することもある。
企画物に出る女優の中には、親バレなどを避けるためパブリシティーを制限している例が多く、容貌がきれいであっても単体女優にはなれない(ならない)。女優によっては特定のジャンルのみに出るケースもある。
※企画のジャンルについては、あらゆるシチュエーションがあり、その組み合わせの多さから、数限りなく存在し得るため、ここでの列記は避ける。裏ビデオの項も参照。
痴女
[編集]一般には痴漢の女性版といった意味合いであるが、アダルトメディアでは「男性を責めることで興奮する女性」といった意味合いで使用される[52]。ライターの安田理央はこの原点を黒木香が行った激しい反応であったと記述している[52]。これは淫乱AVブームを経て、性感マッサージ店「乱コーポレーション」の女性オーナーが考案した言葉責めなどのプレイがAV業界に持ち込まれ確立させていった。直系の女優の一人に水樹千春(のちの三代目葵マリー)がいる。また、痴女という文言は『私は痴女』シリーズの(1995年、クリスタル映像)ゴールドマン監督が定着させた[53]。
当時は男性が女性を責めるというのがトラディショナルであり、その逆というのはあくまで企画ものの一つであったが、1990年代後半より人気の女優が痴女を演じる作品が徐々に出始め、2000年代に盛り上がりを見せる。痴女役は隠語のパターン数や演技力など技量が要求されるため、キカタンブームも伴い、この時代の女優に素質ある女優が多数現れたことも盛り上がりの要因だと前述の安田は分析している[54]。しかし、盛り上がりが起きたことにより、パッケージタイトルに「痴女」と入れた作品は2007年ごろより急速に衰退する。二村ヒトシによれば「AVの王道ジャンルに吸収されちゃった」とのこと[55]。安田は痴女の浸透と拡散が進んだ末、専属女優ものの中に女性が責めるパターンがソフトなものであれ組み込まれるようになり、特殊なものではなくなったとまとめている。
2022年時点では、痴女特化作品は「白目を剥く」などの表現を過剰にした形、サキュバス作品など設定を特化した形、乳首責めなどさらに細分化した形で残るほか、VR作品は男性視点側が動かないことから痴女とは謳わないものの、女性側が責める痴女的な作品がほとんどとなっている
2024年10月にFANZAで発売された作品を安田理央が調べた結果、男性を女性を攻めるのがメインの作品が259作[56]。女性が男性を攻める作品が431作(風俗もの58作、童貞もの87作含む)[56]。和姦その他が1951作(レズ32作、女装・男の娘、ニューハーフ25作含む)[56]、と10%/16%/74%と女性を攻める作品が多い傾向が判明した。売上ランキングでも上位100位中、男性攻めが6作、女性攻めが13作と倍以上ランクインしており、安田はアダルトメディアを非難する人から『日本のポルノは男性が女性を凌辱する作品が多く、青少年に悪影響を与えている』という発言がよく聞かれるが、このイメージは実情と異なると反論しており、ジャンル自体は多様化しており、ニーズとしても男性が攻められる作品のほうが高いと述べている[56]。
ザーメン・ぶっかけ・BUKKAKE
[編集]精液にこだわった作品、いわゆるぶっかけなどは特にBUKKAKE(発音は「ブッカキー」)として、SUSHIやSASHIMIのように海外でもある程度の定着が見られ[57]、2005年ごろ、日本からメジャーリーグベースボールに渡った松井秀喜に対して、スタジアムではよくこの「BUKKAKE!」とのヤジが飛んだという。藤木TDCはこれをアメリカのワルガキ共が知っている程度には定着しているものではないかと分析している[58]。また、同書では英語版ウィキペディアのBUKKAKEの項目での、BUKKAKEがアメリカに持ち込まれた経緯についての記述にも言及している[59]。これは藤木TDCが確認した時点で若干の事実誤認があるものの、日本語版よりも詳細であったとしている[60]。
持ち込んだのは松本和彦[61]、持ち込まれた作品は南口るみねの『'95決戦』[61]。これは南口が100人分の精液を飲精する内容で、時期は1996年7月[61]、ハリウッドでのポルノ物産展「Video Software Dealer Association」で上映された[61]。あまりの内容にFBIは、これは虐待だと上映の中止を求めたと言い、これが話題となったらしい[61]。
なお、日本におけるザーメンものの嚆矢はラッシャーみよしである。1980年代当時風俗ライターであったみよしが、ファッションヘルスなどで行われていた飲精という技術またはプレイを「ごっくん」と表現していた[62]。1984年ごろ以降には雑誌『SPARK』(白夜書房)のグラビアですでにぶっかけが、それも白夜書房編集者有志である男性モデル数名全員がぶっかけるようなものがみられており[63]、「ドピュドピュ」という擬音も用いられていた[63]。
その後、1985年ごろより村西とおる、豊田薫らにより「(フェラチオを含む)顔面シャワー」が定着する[64]。そして、1986年に雑誌『マスカットノート』12月号でみよしの顔射企画「ミルキー・ドールズ」が開始され、大ヒット[65]。みよしは1988年、AV業界に転身する[66]。初作品は1989年2月の『ダイナマイトスペルマ 藤沙月』であり、顔射は計7発であった[66]。藤木TDCによれば、はっきり顔射・ザーメンにのみに注目した作品は恐らくこれが業界初である[66]。
その後、みよしはドイツ人ポルノ女優「マンディ」の口内射精された精液を5分も10分も口中で弄ぶというプレイに強い感銘を受け[67]、更なるザーメンビデオを探求しはじめる。なお、当時としてはマニアックな題材であったため、当初は自主製作ビデオに近いかたちでの供給であった[68]。しかし、その後のAVの隆盛の結果、十分な市場を得るに至っている[69]。
なお、前述の松本は1994年にみよしと出会い[70]、ザーメンAVショップ「ミルキーショップ エムズ」(のちエムズビデオグループに発展)を設立[71]。94年にはオリジナル作品『That's スペルマごっくんプリーズ』を発売、初作品ながら既に前半の20人フェラからのごっくん、後半の生本番6Pで、総射精回数27発に至っており[72]、95年以降は射精回数も増え、トップブランドとなった[73]。また、このジャンルの隆盛は業界に「汁男優」なる、射精だけを求められる職種を創設することとなった[74][注 8]。
バイブロボット・アクメマシーン・電動ドリルバイブ
[編集]電動ドリル、重機のような威容を誇るマシンにディルドーを据え付け、それを女優の性器に挿入するジャンル[75]。
このジャンルの嚆矢としてはベイビーエンターテイメント/ディープスの『女子高生マシンバイブ』シリーズであるとのことである[76]。その他、自転車を漕ぐとサドルのディルドが上下するソフト・オン・デマンド『アクメ自転車がイクッ!』などの作品もある。機械的なものが登場する作品としては、日本では2001年『愛玩女獣2 坂井ありす』で自転車のリムに突起物を取り付け女性器を機械的に刺激するものが登場しているが[77]、これは挿入を伴っていない。2002年『犯乳病棟』では巨大なドリルバイブが確認できる[77]。
海外でもアメリカ・KINK社による「Fucking Machine」というものがあり、同社は2001年ごろにはこのジャンルに参入している[78]。藤木TDCでは、手持ち式でも固定式でもない、まるで重機またはロボットのようなマシーン、日本の「アジアンドラッグ1号」が紹介されている[79]。なお、このジャンルでは男優が画面に映り混まないことが重要視される傾向が有るとする向きがある[80]。AV女優側の証言としては、『爆走!イヌ型アクメマシーンBOWWOW』(ROCKET)に出演した長澤リカが、強烈なピストンを受けながらも「案外いいかも」と言及した例がある[81]。また、機材の制作者曰く、女性器は意外と力が強く、マシンの方が駄目になってしまうこともあるとのことである[82]。
シーメール・ニューハーフ
[編集]シーメールとニューハーフは境目が曖昧であるが、本項では便宜上シーメールに統一する。
アメリカでは1980年には存在していたジャンルであるが[83]、これが輸入され紹介されたのが嚆矢とみられる。日本製としては1986年、映研『シーメール ちえみ』が最初であるとみられる[84]。これは主にゲイショップで販売されたものであった[85]。主演のちえみは単なるゲイと紹介したライターもいたが、身体は、特に尻などは女性のものであったという。
だが、当時の日本のAVはモザイクが濃く、シーメールものの要である陰茎が確認できない点ではものたりないものであったという[86]。また、AV監督の山本竜二によれば、シーメールたちも(女性ホルモンの影響もあってか)勃起すらしなかったという[87]。この辺りの性表現ではむしろマンガの方が先行していた[88]。90年にはシーメールを越えた、純粋かつ単純に陰茎を備えたのみの女性、「ふたなり」が登場している[88]。
その後、1995年から1996年にかけてシーメールというジャンルはそれなりの市民権を得る[89]。1996年、山本竜二、新東宝SODOM『シーメール天国 両性具有の優越』(主演女優はフィリピン人のTARA[90])では、恐らく日本AVで初となる、シーメールの射精が実現した[90]。監督の山本もやはり射精については重要と考えていたようで、たまたま金銭的な問題で女性ホルモンの投与を打ち始めたところで射精可能なTARAを採用したと言ったうえ、TARAがいなければ日本のシーメールAVはいまだ勃起すらなかったかもしれない、とまで語っている[91]。
2002年にはマンガの後を追う形で、女優(この女優は完全に普通の女性である)がペニスバンドを装着して男性的オナニーや男性のアナルを犯すという演技を行う『男根少女 広末奈緒』(ドグマ)が発売されている[88]。後続作品も発売され、これは「ふたなりもの」として、一定の形を見る[92]。もちろん、ふたなり女性が女性を犯す設定のものもある[93]。
なお、男優がシーメール女優の陰茎でアヌスを犯される「逆AF」(アナルファック)というものもある[94]。だが、これは2011年現在、シーメール風俗店では(ペニスバンドによるものも含めれば)一般的なものであり、東京都内で30 - 40件は見られるという[95][注 9]。
結局のところ、このジャンルは、生物学上にせよ見かけにせよ、男性が男性に挿入、男性が女性に挿入、女性が男性に挿入、女性が女性に挿入、全てがあり得るのである。また、シーメールAV女優は2011年に至っても供給不足であり[96]、「芸は売るがゲイは売らない」という向きが強いとのことである[97]。
微乳・貧乳
[編集]一般的にAVでは比較的豊満な乳房が好まれるが[98]、微乳・貧乳といったジャンルも存在する。制服のスタイルとしてはセーラー服とスカート、現代的なデザインのブレザーとブラウスとスカート、モデルチェンジしていない設定の場合は紺色ブレザーとブラウスと吊りスカートなどの組み合わせがある。吊りスカートの場合、サスペンダーを下ろさずある程度温存する傾向がある。また、スカートやジャンパースカートとの一番の違いとしては本来の目的としては一番身長が伸びる成長変化の大きい時期のスカートなので丈が長めで丈夫に作られている。First Starの作品で2023年5月に発売された作品では菜月ひかるはサスペンダー付きのスカートで表紙に映っているが2年後の2025年6月に発売された総集編版で制作された作品の表紙ではサスペンダーを画像処理で消して(Google Pixelで言う消しゴムマジックに近い行為で)スカート姿に編集されている。昨今の中学校制服の多くがサスペンダー廃止を前提としたモデルチェンジを行なった影響と特定の年齢世代を意識して作られてないことをメーカーとしての配慮が示されている模様。
巨乳という言葉は1980年ごろから存在していたが、それがエスカレートしてしまい、Dカップ程度では「美乳」と呼ばれるようになってしまった[99]。「微乳」という言葉の発祥はテレビ朝日系列の深夜番組『トゥナイト2』の構成作家であるようだ[100]。また、微乳が社会的に一定の注目を集めたのは1998年に発売された、当時清純派として人気であった女優、葉月里緒奈の写真集『RIONA』(篠山紀信)の乳房の小ささであったという[99]。前述の『トゥナイト2』も葉月への反響を受けて微乳についての特集を組んでいる。
なお、この嗜好は微乳好きからすればいわゆるロリコン(少女性愛)とは相容れないものであるとする解釈も強く、何もわからない少女に不埒な行為をするようなことを想像しないでほしい、敏感なおっぱいが好きなのだ、と言ったところであるという。敏感でさえあれば、小さくなくても構わないとする解釈もあり得るようである[101]。
業界ではそれを全面に押し出したものは、それぞれ2002年の『貧乳マニア おっぱいスペシャル総集編』(Gap Bust)、2004年の『微乳フェチ Acup・Bcup限定 小さなおっぱい作品集』(SODクリエイト)が初である[102]。ただし、藤木TDCによれば、続編が発売されていないことから、後者の方については、売り上げはあまりよくなかったのではないかと推測している[102]。ひとつのブームとなったのは2007年の『はにかみお姉さんの敏感Aカップ 微乳ビンカン美女VS肥満キモメン男優』(渡瀬安奈主演、ワープエンタテインメント)で、貧乳と肥満男性の乳房を比べるような内容のもの[103]。これについての売り上げは不明であるが、2010年に『微乳A とっても感じるちっちゃいおっぱい 篠めぐみ』(ドリームチケット)は1万本近いヒットとなり、シリーズも2011年までに15本に達している[104]。
なお、胸の大きくない女性にはそれに対するコンプレックスがあり、このジャンルが一定の市民権を得るまでには、女優捜しに少々の困難を来たしていた[105]。「『こんな胸を見せたくない、恥ずかしい』と言った点も大事なポイントであり、貧乳であるが堂々としている女性は採らない」とする制作者もいる[105]。
熟女
[編集]1960年代より小説などのエロ分野では人妻・未亡人は流れの一つとしてあった[106]。これはピンク映画やロマンポルノといった映画ジャンルでも「団地妻」や「○○夫人」といった作品がシリーズ化していることでも明らかである[106]。アダルトビデオ業界において意図的に熟女を主演とし、それを押し出して発表された作品の嚆矢は1990年6月、『ババァー! こんな私でもAVでれますか?』(マスカット)である[107][注 10]。一般的にAVでは若く清楚な女優が好まれるが[108]、「夢工房シーオーエルディディー」の芳賀栄太郎とADの中野貴雄はそこに斬り込み、56歳の浜野弘子を主演とした熟女物を制作した[109]。ボディーサイズはB104、W115、H130、下ぶくれの顔で、どう見ても美人ではない[110]。だが、この作品は当時「キワモノ」が流行していたこと[111]、週刊誌で取りあげられたことなどにより700本以上を売り上げた。これはAVメーカーにとって十分に利益のある数字である[110]。
なお、きっかけは「会社によく来るヤクルトおばさんや保険の勧誘員をAVに使えないか?」というアイディアからであった[110]。また、熟女女優をマネジメントしているプロダクションなどはもちろん皆無であり、「歌舞伎町の大久保公園(当時、売春のメッカであった)で500円でフェラチオしてくれるおばちゃんたち」の中から、一番若い人を連れてきたということであった[112]。この衝撃的な作品はFOCUS、FLASHで撮影現場が公開されたが[113]、藤木TDCによれば女優の演技がよくなく、作品としてはいまひとつであったそうだ[114]。ただし、これは嚆矢であるが、ブームを作ったものではなく、いわばキワモノである。
本格的なヒット作はこの直後に発売された、東美由紀の母親である浅野ともこ主演の『おふくろさんよ!』である。元松竹歌劇団団員[115]である彼女は当時48歳[115]ながらB95、W58、H92、Fカップ[115]という見事なボディーを持ち、内容は母と息子の近親相姦ものであった[注 11][116]。全体的な雰囲気は古くさいピンク映画といった趣であったというが[117]、淫乱ともまたひと味異なる、成熟した女性ならではのパフォーマンスを発揮していた[117]。この作品は評論家たちには賛否両論であったらしいが[117]、4,000本を売るヒットとなった。制作者の芳賀にも予想外の数字で、大いに驚いたという[117]。ただし、続編についてはやはり女優のアテが無く、保険の外交員に、ギャラと保険加入を条件に出演してもらうということを5作目くらいまで続けざるを得なかった[118]。
その後、このジャンルにも各社の参入が相次いだ[119]。なお、この当時の熟女女優は先述の保険の外交員も含め、専門のAV女優に比べて非常にギャラが安く、1,000本程度も売れれば簡単に黒字となった[120]。また、AVでの熟女ブームを確立した人物として、監督の海山輝一が挙げられる[121]。海山は『おふくろさんよ!』のビッグモーカルに参入、30代の知的で清潔な美人妻というコンセプトで94年より『マダム倶楽部』シリーズを発表、各作品が1,000 - 2,000本を売るヒットを記録する[122]。そして、その後の『貴婦人画報』も含め『美熟女』という概念を確立した[123]。
藤木TDCはこの熟女というジャンルが地位を確立した原因を、一般のヘア・ヌードブームにある可能性が有ると分析する[124]。例えば、日本ヘア・ヌード写真集の元祖ともいえる島田陽子も、辺見マリも山本リンダも四十路を過ぎた見まごうことなき「熟女」であった[125]。藤木TDCはAVが先か、ヘアヌード写真集が先かは厳密にはわからないとしているが、いずれにせよ1990年代より、熟女ブームが世間に定着したことは確かである。1990年代に入ると人妻風俗店がオープン。在籍する風俗嬢が30代前半であったことで、AVジャンルの熟女・人妻も低年齢化が進む。1994年にはビッグモーカルが「マダム倶楽部」レーベルを開始。第1作では32歳、35歳、39歳の清潔感ある女性が出演した[126]。この路線の決定打となったのは溜池ゴロー監督による『川奈まり子34歳』(ソフト・オン・デマンド)であり、溜池はそれまで担当してきた単体美少女作品を撮るのと同じように心がけ、販売総数2万本を記録。熟女単体がマニアのものではないことを証明した[126]。溜池は「それまでは女性は若ければ若いほどいいという風潮があった。僕はずっと大人っぽいほうがいいと思っていた。好きだったのに言えなかった人が多かった」のではないかと発言している[126]。
2011年現在は熟女ものには一定のシェアがあり、必要であればプロダクションからの紹介も期待できるほか、熟女専門のAV女優プロダクションもあるという[118]。なお、2011年に至っては熟女ものは最早キワモノでも隙間産業でも無く、品質が求められる時代となっている[127]。また、熟女ものの特徴として、作品の旬が長いといったことがある。若い女優を起用した作品は3ヵ月程度で売れなくなるが、熟女ものは1年単位、1999年に発売された『お茶を摘む田舎のお母さん』(ルビー)が2011年に至っても売れ続ける[128]うえ、作品によってはVHSでの供給が行われるなど、他のジャンルとは一線を画するものがある[128]。
またコスプレジャンルの一つであった「若妻」が2010年代より人妻ジャンルの細分化として確立してくる[129]。きっかけは2010年にリリースされた浜崎りお(当時22歳)の『夫よりも義父を愛して…。 浜崎りお』(マドンナ)であったとされる[129]。以降、20代で人妻メーカー専属、人妻専門といった女優も現れ始めた[129]。
なお、このジャンルの特徴として、圧倒的にドラマ作品が多いことが挙げられる。1990年代までは企画扱いであったため、ドキュメント作品も多く見受けられたが、大人の色気を表現するにはドラマ仕立てにするのが有効であり、前述の溜池によれば「単に30代で激しいセックスを撮っても売れない」「なぜ脱ぐのかが大事」とのこと。ただし、設定は偏りがあり、概ね「熟女が若い男を誘惑」「夫以外の男に犯され、最初は抵抗するが次第に喜びに目覚める」パターンの2つに分けられるという[129]。
高齢男優
[編集]1934年生まれ、当時76歳のAV男優「徳田重男」が、恐らくは日本の現役AV男優としては最年長としている[130]。74歳時点で既に200もの作品に出演、本人の談では(76歳時点)今なお月に4本の作品に出演し、月に一回は射精も可能とのことであった[131]。1994年にデビューした彼は[132][注 12]町内会のヒヒジジイや要介護老人などの役柄もこなし[133]、CNNに特集されるなど、最高齢のAV男優として、一定の著名性を得ている(詳しくは当該項目を参照)。ただし、史上最高齢という訳ではなく、FAプロの安田義章は1980年代半ばから2004年、85歳まで現役を続けた[134]。なお、2003年ごろに患った足の怪我で外出が難しくなり引退を余儀なくされ、2008年に逝去した[134]。
なお、熟女物人気シリーズである『熟年夫婦』シリーズ(『熟年夫婦の性生活』など)では、出演者が男女とも素人かつ高齢である。このため、男性は常にプレッシャーと他人の目に晒され、勃起が非常に難しいといい[135]、射精にまで至る男性はいないそうである[136][注 13]。反面、女性はローションを用いれば問題は少ないという[136]。
フェチビデオ
[編集]アダルトビデオ業界およびその周辺の専門メーカーによって制作される、特定フェティシズムの追求・充足に特化した映像作品群を指す。性行為そのものの描写を必須とせず、フェティッシュな特定のシチュエーションや視覚的要素、フェティッシュなプレイのみで作品が成立する点が最大の特徴である。代表的な専門メーカーとして、マニアック・フェチジャンルに特化した「ジェイド(JADE)」などが知られている。
フェチビデオにおける具体例の分類
衣装・属性・職業系
コスプレ・制服・着衣: 各種コスプレ、着衣のままプールに入る演出など。
職業モノ: 客室乗務員(CA)、看護師(ナース)、女性教員(女教師)、メイド、オフィスレディ(OL)、チアリーダー、女性警察官、刑務官、女子学生、巫女、スナイパー、スパイなど。
シチュエーション・構図・フェティッシュ表現
覗き・盗撮・チラリズム: チラリズム、盗撮風演出、女湯覗き、オナニー観察など。
設定・関係性・フィクション: 援助交際・パパ活、近親相姦、浮気・不倫・寝取り、時間停止、ドキュメンタリー風、露出・野外プレイなど。
部位・物理的接触プレイ
部位摩擦(〇〇コキ): パイズリ、脚コキ、手コキ、尻コキ、太ももコキなど。
身体的制限・特殊造形: 緊縛(身体を縛る・吊り下げる行為)、だるま女(四肢欠損・制限演出)など。
身体分泌物・スカトロ・特殊嗜好
排泄・分泌物(スカトロ系): 放尿、排便、排泄物を身体に塗る・口に入れる行為、浣腸プレイ、生理・経血、恥垢・分泌物、体毛など。
嘔吐・食虫・特殊摂取: 食虫、嘔吐、分泌物・排泄物・吐瀉物等を食品や飲料に混ぜて摂取する行為。
特殊コキ: ウンコキ、尿コキ、ゲロコキなど(スカトロ・分泌物プレイの一種)。
ウェット&メッシー(WAM)・食品・着汚し
液体・着汚し: 泥んこ、ペンキなど(ウェット&メッシー)。
食品プレイ: 食べ物を顔や身体に塗る・かける行為、性器や肛門に食品や飲料を出し入れする行為など。
ゲイビデオ
[編集]ゲイビデオは、主にゲイ(男性同性愛者)やバイセクシュアル(男性両性愛者)向けのアダルトビデオのことであり、ゲイAV、ホモビデオなどともいう。
アダルトビデオにおける主要ジャンル
[編集]初体験・解禁系
初体験もの:初めての性体験を描く企画であり、処女喪失もの、童貞喪失もの、あるいは処女と童貞同士の性交渉などに分類されます。
解禁もの:特定の女優に焦点を当て、中出し、レイプシチュエーション、アナルなどの過激なプレイ内容を初めて解禁・解禁撮影する企画であり、喪失系ジャンルの一種として一定の需要を持つ[137]。
状況・演出・属性別ジャンル
野外露出もの:主に人目のない山林や海浜などの大自然で行う解放感を売りにした「野外プレイ」と、公共の場などで露出嗜好を演出する「露出プレイ」の2種類に大別される。
レズ物:女優同士による同性愛表現を扱うジャンルであり、貝合わせや各種大人のおもちゃ(バイブ、ディルド、ペニスバンド等)を用いた性行為、唾液交換などの演出が含まれる。
虜辱(りょじょく)物・SM:男優が女優を襲うレイプシチューションの作品(虜辱物)や、本格的な緊縛・SM行為を扱う作品から、メインストリーム作品にSM要素を一部取り入れたものまで幅広く存在する。
着衣物:コスプレからの派生で、衣装や制服・私服を完全に脱がさず、服を捲る・ずらす・ボタンを外すといった最小限の露出で性行為を行う演出である。
妊婦物:妊娠中期から出産直前までの膨らんだお腹(ボテ腹)に対するフェティシズムに着目したジャンルである。
コスプレAV(キャラクター物):単なる衣装フェチにとどまらず、特定の漫画・アニメ・ゲームのキャラクターに扮し、原作に基づいた寸劇(ドラマ)を経て性行為に至る企画性・物語性の高いジャンルである。
アダルトアニメ:実写撮影ではなく、アニメーション技法を用いて制作された成人向け映像作品である。
女性向けAVの特長と構造分析
[編集]女性をターゲット層として制作される作品群であり、映像の清潔感、爽やかな男優の起用、恋愛ドラマ仕立ての構成やHow To要素などが取り入れられている。研究者の服部恵典の分析によると、男性向けAVとの間には以下のような構造的・演出的な相違点が存在する。
カメラワークと視点(没入感と雰囲気の違い)
男性向け作品のような一人称視点(主観カメラ)による強い没入感よりも、三人称(第三者)視点が主流となる。「ハメ撮り」形式であっても、撮影機器は持ち合う小道具として扱われ、空間の空気感や雰囲気を味わう構成になっている[138]。
構成とプレイ内容の相違
性交に至るまでのシチュエーション、事後のピロートークも男性向けよりも長く、描写が長めになる傾向がある[138]。また、男性向けに見られるアクロバティックな体位は用いられない[138]。メーカーの一つであるSILK LABO作品では、避妊具(コンドーム)の装着シーンを必須項目として挿入するなどの配慮がなされている[138]。
初期の市場形成と需要の発見
女性向けメーカーの初期においては、既存の男性向け作品を再編集して投入する試みが行われた。その過程で「男性向け作品の前半部分にある親密なやり取り(イチャイチャシーン)」のみを抽出・編集したコンテンツが女性層から非常に高い支持を得るなど、求められる要素の抽出が進んだ。
タイトル表記と検索環境(配信特性)
男性向け作品のタイトルが即物的・説明的であるのに対し、女性向けタイトルは雰囲気やイメージを重視した抽象的な表現が多く採用されます。また、主に配信環境で視聴されることから、細かい検索タグ機能によって好みのジャンルを探しやすく、同時に苦手なプレイやシチュエーションを除外(マイナス検索)しやすい環境が整えられている[139][139]。
アダルトビデオにおける属性・人数・シチュエーション別ジャンルの分類
[編集]異人種間・属性系
異人種間セックス(黒人姦等): 人種的・体格的なコントラストやフェティシズムに着目したジャンルであり、主に黒人男優らを相手役として起用した作品などを指す。
人数構成・グループセックス系
乱交物(グループセックス):AV男優とAV女優が合計3人以上出演する複数人での性行為を扱うジャンル。
ハーレム物: 男性(AV男優)1人に対して女性(AV女優)が複数人出演する組み合わせの企画を指す。
逆3P: 特に出演者が「男性1人・女性2人」の構成で行われる企画を指す。
睡眠・昏睡・心理的誘導シチュエーション
睡眠姦・昏睡レイプ物: 睡眠中の相手に対して性行為に及ぶシチュエーションを描くジャンル。
夜這い・寝込み襲撃:人家に侵入して寝込みを襲う古典的な設定をベースとした演出を指す。
昏睡・薬物設定(レイプ物との重複):飲み会等で睡眠薬を飲ませて意識を失わせた状態で行為に及ぶ、あるいは行為中に目覚めないよう薬物を使用するといった「昏睡レイプ」設定であり、実質的にレイプ(虜辱)ジャンルと重複・連動する。
睡眠学習・快感条件付け:数日間にわたり就寝中の相手に性行為を繰り返し、「無意識のうちに快感を身体に覚えさせる(睡眠学習)」という設定である。覚醒時に襲われた際、受け手側が理由の分からない身体的反応や困惑(「なぜ気持ちいいのか分からない」等の心理的葛藤)を示すドラマ的・心理的な演出を軸としている。
手法など
[編集]アダルトビデオの誕生と映像メディア普及史
[編集]AVの誕生と技術革新
初期のアダルト映像商品は、ポルノ映画やピンク映画のフィルムを簡易的にビデオ化(テレシネ)した粗雑で低画質なものが主流だった。そうした中、アテナ映像が初めて業務用カメラ(当時普及していた3/4インチのUマチック規格)を撮影に投入し、その高画質な映像美によって爆発的なヒットを記録したことが、現代へ続く「アダルトビデオ(AV)」誕生の原点とされている。当時は女性が1人で出演し自慰の様子を収めたシンプルな作品構成だった。
参入メーカーの急増と1980年代のブーム変遷
アテナ映像の成功をきっかけに、当時のビニール本(エロ本)出版社などが撮影ノウハウを模倣して後発メーカーとして次々と参入した。
素人・女子大生ブーム(1984年前後): 『ミス本番・裕美子19歳』(田所裕美子)や『ミス本番有希子20歳めぐり逢い』(吉沢有希子/現・早見瞳)といった、素人学生風の親しみやすさを打ち出した作品群が大ヒットを記録。
属性・フェティッシュブーム: その後も淫乱ブームや巨乳ブームなど、多様なニーズに応える属性・ジャンルが確立され、数多くのAV女優がデビューする基盤が形成された。
家庭用ビデオデッキの普及と相乗効果(1980年代)
1980年代における家庭用ビデオテープレコーダー(VTR)の爆発的な普及は、それまでの映画館を中心としたポルノ映画・ピンク映画市場を急速に置き換えていった。
普及の相互作用: ビデオデッキ本体の廉価化やレンタルビデオ店の全国的な増加によって「自宅で安価に鑑賞できる環境」が整ったことがAV市場を拡大させた。同時に「AVを自宅で観たい」という需要自体がビデオデッキの世帯普及率を力強く牽引したという、相互の相乗効果が指摘されている(後年のインターネット急速普及期におけるアダルトコンテンツの牽引力と同様の構造)。
規格争いにおける「アダルト業界」の決定力
映像記録メディアの標準化争い(フォーマット戦争)において、アダルト業界の選択が勝敗を左右する大きな要因となった。
VHS vs ベータマックス(VTR規格争い)
1980年代前半、当時のAVメーカーの多くは小規模であり、VHSとベータの両規格で同時にソフトを製造・供給する体力がなかった。安価で調達しやすい機材環境が整っていたVHS規格に集中して供給が行われた結果、AV需要を取り込んだVHS陣営が圧倒的優位に立ち、ビデオ戦争の勝敗を決定づけた。
HD DVD vs Blu-ray Disc(高画質光ディスク規格争い)
次世代DVD戦争において、当初一部のAVメーカーはプレス代等のソフト製造コスト面からHD DVD支持を打ち出していた。しかし、Blu-ray Disc(BD)陣営による技術開発や量産効果によってディスクコストが逆転・低下したこと、さらに大手映画会社(ワーナー・ブラザース等)がBD支持へ一本化した潮流を受け、アダルト業界も一斉にBDへ移行。高画質規格争いにおいても大きな潮流決定要素となった。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ 藤木TDCによれば債権者に持って行かれたり、社員が給料代わりにもっていったりするとの由である。
- ↑ ソフトのパッケージや、DVDのレーベル部に表示されている画面サイズ表示が『【16:9】』あるいは、『【16:9】【LB】』の表示がされている作品の大半がこれに当たる。
- ↑ 服部恵典(はっとりけいすけ)は、東京大学高大接続研究開発センターで特任研究員を務める女性向けAV研究者[18]。
- ↑ 藤木TDCはこれを「性感表現」としている。
- ↑ 「わいせつ」の概念となる陰毛が未だ生えていない。
- ↑ 両団体は相互に審査結果を尊重する旨の覚書を交わしている。
- ↑ 2022年の総合専門誌『月刊FANZA』(ジーオーディー)では作品レビューを「美女・美少女」「巨乳・美尻」「コスチューム」「痴女・風俗」「バラエティ」「熟女」「NTR・ドラマ」「ハード・SM」の8ジャンルに区分している。
- ↑ なお、同書によれば2011年現在、ギャラは1日3000円程度とのことである。
- ↑ 余談ではあるが、同書によれば、やはり客はペニスバンドより生の陰茎に犯されることを好む。その場合は勃起力も強い方が良い。しかし、風俗嬢の方は本当は陰茎も陰嚢も除去し、より女性に近づきたい。生活のためにやむを得ず除去を行わないような例も見られるらしい。また、逆AFのために、男性用ED治療薬を用いる場合もあるとのことである。
- ↑ 藤木TDCは、「年齢を隠して熟女が出演していた例はそれ以前にもあったかもしれない」として、「意図的に主演させた最初の作品」をこれとしている。また、1980年代初頭までのヌード業界ではどう見ても30代の女性がセーラー服を纏っているなど、年齢詐称は当たり前であったという。
- ↑ 本来は実の母子という設定であったが、ビデ倫の規制により、再婚した夫との連れ子という設定に変更された。
- ↑ 藤木TDC(2011)では、平成6年(1998年)とされているが、平成6年は1994年である、webサイト「All About」でのインタビューでもデビューが60歳と述べているため、本項では1994年としている。
- ↑ 「みなさん、発射はできないですね」[136]ということである。
出典
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参考文献
[編集]書籍
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雑誌
[編集]- 週刊プレイボーイ編集部『週刊プレイボーイ』2020年7月27日号(No.30)、集英社、2020年7月13日。
- 週刊プレイボーイ編集部『週刊プレイボーイ』2022年8月29日号(No.34/35)、集英社、2022年8月8日。