LGBT

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LGBTのシンボルとなっているレインボーフラッグ

LGBT(エル・ジー・ビィー・ティー)または GLBT(ジー・エル・ビィー・ティー)とは、女性同性愛者(レズビアンLesbian)、男性同性愛者(ゲイGay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダーTransgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。

LGBTという用語は「性の多様性」と「性のアイデンティティ」からなる文化を強調するものであり、「性的少数者」という用語と同一視されることも多々あるが、LGBTの方がより限定的かつ肯定的な概念である。

構成用語の意味[編集]

LGBTは以下の4つの用語の頭文字から作られた言葉である。

レズビアン(Lesbian)
レズビアン(L)とは、女性同性愛者。俗に、同性が恋愛対象になるという点を重視して、バイセクシュアルの女性を指す場合もある。
ゲイ(Gay)
ゲイ(G)とは、男性同性愛者。俗に、同性が恋愛対象になるという点を重視して、バイセクシュアルの男性を指す場合もある。
バイセクシュアル(Bisexual)
バイセクシュアル(B)とは、両性愛。伝統的にバイセクシュアリティとは「男性・女性双方に性的魅力を感じる性的指向」として定義されている。同性愛、異性愛などの性的指向の間にあって、いずれをも包含するような指向である。
トランスジェンダー(Transgender)
トランスジェンダー(T)とは、“自身の性と心の性が一致しないが、外科的手術は望まない人”[1]である。

バリエーション[編集]

LGBTは頭字語であるが、これ以外に英語において、様々な、類似した性的多様性の集団を表現する頭字語がある。以下は、概略である。

LGB
レスビアン、ゲイ、バイセクシュアルのイニシャル語で、三つの性的指向集団。
T
トランスジェンダー(TG)のことで、これと、LGB が組み合わさって、LGBT となる。
LGBTQ
LGBT に Q が加わったもので、この Q は、クィア(Queer)を意味している場合と、クエスチョニング(Questioning、セクシュアリティのアイデンティティについて未確定の人)を意味している場合がある。
LGBTT
LGBT に今一つの T が加わる。この T はトランスセクシュアル(Transsexual, TS)の場合が一般。
LGBTTT
上の LGBTT に更に T が加わる。この T は、トゥー・スピリット(Two-spirit アメリカ・インディアンの伝統的な共同体などにおける、二つの性別を行き来する人々)の頭文字である。
LGBTI
LGBT に I が加わる。これはインターセックス(Intersex)の頭文字である。この概念は2010年8月ジョグジャカルタ原則の解説と同原則を踏まえた世界の人権団体の活動について書かれた文書「Activist's Guide」において一貫して用いられている
LGBTA
LGBT に A が加わる。これは無性愛(エイセクシュアル、Asexual)のイニシャルである。別のイニシャルの場合もある。
LGBTTQQIAAP
LGBT に 上述のtranssexual、queer、questioning、intersex、asexual、ally(ストレート・アライの略。支援者)、pansexual(全性愛、パンセクシュアル)が加わる。
QUILTBAG
上述のqueer と questioning、intersex、lesbian、transgender と two-spirit、bisexual、asexual と ally, gay と genderqueer の頭文字。

以上の他に、別のパターンの頭字語も存在する。

SGL
同性愛コミュニティを意味する。アメリカの社会において、アフリカ系アメリカ人のあいだで、LGBT を白人優位コミュニティの言葉として捉えて使用される。(Same gender loving のイニシャル)。
LUG、GUG、BUG
主として若年層の女性が使用する滑稽語である。レスビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)の頭文字に、Until Graduation(卒業まで)の頭字語(UG)を加えて作られている。大学時代に機会的同性愛・両性愛を経験した者を指す(参照:lesbian until graduation)。

LGBTの概念について[編集]

LGBTという言葉や概念については様々な意見があるが、2006年7月に開催された「第1回ワールドアウトゲームズ」にて採択された「モントリオール宣言」以降、国際連合をはじめとした国際機関において性的指向性同一性にまつわる人権問題を扱う公文書においてもこの言葉は用いられている。

性的指向に関連するLGB(同性愛両性愛)と性同一性に関連するT(トランスジェンダー)は本来全く別のテーマであるが、これら一連の公文書においては、LGBTという言葉によってそれらを混同しておらずそれぞれ区別されている。

このLGBTという概念が、「モントリオール宣言」や「ジョグジャカルタ原則」など国際機関において用いられるようになった理由としては、一つに、これらの当事者とりわけトランスジェンダーの数が少ないため単独で公的に人権問題として扱われにくかったことがあり、さらに同性愛、両性愛、トランスジェンダーはそれぞれ深刻な差別や殺害も含む迫害を受けてきたにも拘らず、不当な偏見やスティグマからそれらが公式に問題視されず、実態が報告されることも妨げられてきたことにおいて共通することが考えられる。

LGBTという用語にまつわる歴史[編集]

1960年代性の革命に至るまで、「異性愛=正常」とされる人々のコミュニティで使われていた軽蔑的な意味の言葉以外に、上述したような人々やその集団を表した中立的で一般に知られた用語は存在しなかった。第二次世界大戦以前には、第三の性(Third gender)」という言葉が使われていたが、大戦後、この用語は使われなくなった。これらの人々が性にまつわる権利を主張する運動が組織化していく過程で、自分たちは如何なる存在であるかを、肯定的な形で表現するための用語が必要となった。(異性規範性=ヘテロノーマティヴィティ、Heteronormativity と比較)。

最初に使用された用語である "Homosexuality"(ホモセクシャリティ)は、否定的で余分な意味をあまりに強く帯びていたので、主として男性同性愛者の間で "gay" (ゲイ、陽気の意)という用語に置き換えられた。そしてレスビアンたちが自分たちのアイデンティティを錬成させていくにつれ、ゲイとレスビアンという用語は更に一般なものとなった。このことは間もなく、メジャーな一般社会のなかで、法的に正当な集団範疇としての承認を求めていたバイセクシュアルとトランスジェンダーの人々によって踏襲された。

しかし、1970年代後期から1980年代初期には、感覚的な受け取りにおける変化が始まり、一部のゲイ・レスビアンからは、バイセクシュアルやトランスジェンダーの人々に対する反感・蔑視を表明する動きが表面化する[注記 1]1990年代に至るまで、人々が「ゲイ、レスビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々」を、それぞれに同等な尊厳を持っている者として語るのは、通常のことになっていなかった。

1990年代半ば以降、LGBTという言葉は北米、そして欧州においては一般的な用語となった。大多数のゲイ、レスビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーのコミュニティ・センター、および殆どの英語圏の関連したメディアが、LGBTという用語を採択している。

一方で、名目主義的にLGBT を標榜しつつも、実質的にはトランスジェンダーの人々だけを除外した同性愛者のコミュニティやその権利主張だけが取り上げられていることへの批判もある。

アメリカでも、二大政党制の下で民主党共和党の支持政党ごとの考え方の対立が高まって、民主党のクリントン大統領の容認派と反対派の間を取り持つために導入した政策も多少の反発を招いたなど完全に受容されたわけではなかった。

アメリカ政治史専門の政治学者の西川賢は「クリントン大統領の中道路線を継承せずに、民主党左派政策を行ったオバマ大統領の政権下以降はアメリカのイデオロギー的分断と党派対立が高まっている。オバマ政権の間に共和党・民主党の両党から中道は消失してしまい、LGBTに関してもアメリカの政治では2大政党による激しいイデオロギー対立が起きている」と主張している[2][3]

実際にLGBTの中でも本心では過激だとするような政策やポリティカル・コレクトネスの押し付けは求めていないとした反発から移民や同性愛者・同性カップルなども「隠れトランプ支持者」となってることが起きている[4]。2017年にLGBTパレードから排除された共和党のトランプに投票し、再び投票することを表明してるトランプ支持のLGBT当事者がインタビューにて、「私たちはアメリカ人で、私たちの国と大統領を愛していることを示したかったのです。ゲイのプライドを祝うためにそこにいたかったのです。」、「誰に投票したかで排除されるべきではない」と述べている[5]

日本[編集]

東京都[編集]

渋谷区[編集]

2015年、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める「パートナーシップ証明書」を発行するために東京都渋谷区渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例が、区議会本会議で可決・成立し、同年4月1日より施行された。全国初の条例で、性的少数者の権利を擁護するねらいがある[6]。 渋谷区では、2015年11月5日から証明書の交付が開始された。1組のカップルが証明書の交付を受けたことが報道された[7][8]。渋谷区パートナーシップ証明書交付第1号カップルは2017年12月25日に約6年半の関係と同性パートナー解消して、渋谷区に証明書を返還した[9]

世田谷区[編集]

東京都世田谷区では「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」を制定し[10]、渋谷区と同日の2015年11月5日から「パートナーシップ宣誓書受領証」の交付が開始された[7]。渋谷区と異なり、条例ではなく要綱で制度化したため、申請手続きが簡素化されており、初日に7組のカップルが受領書の交付を受けた[8]

その他[編集]

ライフネット生命保険が死亡保険金の受け取りに同性パートナーを指定できるようにしている[11]携帯電話会社では、同性パートナーを家族割引などの対象にできるようになった[12][13][14]

日本の大手企業であるパナソニックは社内同性結婚(同性婚)を認める方針と報道された。IOCのスポンサーである同社は、「性的差別を行わない」としたオリンピック憲章を尊重した[15]

2017年6月1日北海道札幌市で、全国6例目、政令指定都市初となる「パートナーシップ制度」が開始された。同性カップルに限定せず、性同一性障害も配慮し異性同士も対象となっている[16]

2017年7月6日、東京都豊島区議石川大我世田谷区議上川あや中野区議石坂わたる文京区議前田邦博埼玉県入間市議の細田智也ら5人の地方議員が「LGBT自治体議員連盟」を設立した。性的少数者の人権を擁護する条例や施策を、地方議会を通じて全国の自治体に拡大していくことを目指す。同連盟には趣旨に賛同する全国62自治体の議員78人(元職も含む)も参加した[17][18]。その後、同年10月9日に開かれたLGBT関連の撮影会で北海道滝川市議がカミングアウト[19]。同年12月には京都府長岡京市議が市議会本会議でカミングアウトを行った[20]

2015年に挙式を行い大きく報道された女性同性カップルが、翌々年の2017年に「結婚してからお互いに対して甘えが抑えられなくなった」として、「結婚の安心感から徐々にケンカの回数が増えていった」と破局についてインタビューで語っている[21][22]

ビジネス利用と中高年当事者の批判[編集]

「LGBTが世間で想定されているより遥かに多数おり、非LGBTの一般男女より高収入である」と喧伝している業界には批判の声もある。電通博報堂など広告代理店がLGBTを対象とした市場を盛んに喧伝しているが、カナダのマギル大学(McGill University)の調査では平均収入は多い方から「一般男性>同性愛男性>同性愛女性>一般女性」の順番としており、他にもそれと全く同等な結論の調査結果がオーストラリアでも発表されている[23]。そのため、「同性愛者富裕説」は「信じる人は信じる」程度の、「マーケティング界隈の都市伝説に過ぎない」と批判されている。

さらに電通に関しては、「『LGBTの消費規模』とビジネスで関係のある『LGBTの市場規模』とは意味が完全に相違しており、その点で誤解を招く表現をしている」と指摘されている。LGBTと非LGBTの間で日常生活での消費傾向に関してはほぼ相違していないにも関わらず、電通が「LGBTの消費ニーズは特殊だ」としていることに、電通総研の元研究主席は「LGBTであることに起因した消費額は、喧伝されている規模の1%未満である」と述べている。このような喧伝は、電通による「LGBTのビジネス利用」だとし、「他のマスメディアでも見られるLGBTを消費のターゲットとして狙う手法はむしろ逆効果で反発を招く恐れがある」と」して批判している[24]

LGBT当事者で東京新聞特別報道部記者の田原牧(トランスジェンダー)は、「昨今のマスコミによるLGBT報道の急増とLGBTのビジネス利用は、渋谷区の『同性パートナーシップ条例』に端を発する」と指摘している[25]

また、「元来日本では、キリスト教圏やイスラム教圏のような、同性愛者が刑事罰を課されたり異端として殺害されたりすることもなく、日本の平均的な世論は『好きな人同士でなら』と同性愛者同士の事柄として不干渉であった。日本のように同性愛者がテレビに普通に出たり、カルーセル麻紀が登場した頃からすでにタレントとして人気のある同性愛者が沢山いるような状況は海外ではみられず、そもそも一般世論に「宗教的異端」としての敵意や殺意が無かった[26]」と分析している。

さらに、マスコミで喧伝されている「LGBTブーム」が一部を除く当事者らで盛り上がっていないのは、「そもそものブームが当事者らが多数参加して起きたのではなく、政治的・経済的な別の意図を持った非当事者らが主体となって、それに賛同する一部の急進的なLGBTの主張のみが『当事者の声』としてLGBTの総意のようにされていることを好まないLGBT当事者が少なくないからだ」と田原は指摘している[27][28]

田原は一部の団体やメディアで推進している、LGBTへの対応次第で別途の刑事罰を与えられるようにする処罰法についても、「『好きな人同士でなら』という日本世論の主流さえも差別だとして無関心や放任思想の者が処罰されることが起きれば、宗教上の理由でLGBTを嫌悪する国の人たちように放任が憎悪に変わって当事者がより孤立する悪影響を生む」として反対している[29]

田原は当事者らへの調査から、地方自治体のパートナーシップ制度の火付け役となったのは、企業や自治体にLGBTビジネスを売り込む金目当ての「広告代理店」だとしている。実際、「突然LGBT条例の支持を表明した当時の区長は他のことでの自身に批判的だったマスコミの報道の論調の転換に成功し、渋谷区の条例を提出した区議は博報堂の元社員であったこと」を田原は指摘している[30][31]

日本では2012年から電通・博報堂と大手経済誌らが唐突にLGBT特集を組み、「LGBTは巨大マーケット」、「人口の7.6%がLGBT」といったキャンペーンを開始、日本のマスコミがそれを大きく宣伝しだした背景があるが、田原のような当事者からも「LGBTの市場規模やLGBTが人口を占める割合の数値が明らかに実際よりも誇大だ」と批判されている[32]

「当事者の少数派の急進派やLGBT活動家が広告代理店と推進しているため、一連のキャンペーンが『優しい』非LGBTへのアピールがメインになっており、そのため、『優しい』非当事者らにも受けのよくないLGBTの多数派である中高年は無視されている」と田原は述べている[33]。また、「中高年のゲイカップル界隈では、渋谷区の条例適用第一号は容姿の良いレズのカップルでマスコミは写真つきで盛んに報じた一方、自身らのような本来当事者の多数派である中高年ゲイは、非LGBT受けが悪いから無視されている」との田原による評論もある[34]。「中高年ゲイの出会いの場で不特定多数での性行為が日常である出会いの場は、非当事者に受けが悪いことを分かっているマスコミに無視されていてる」と田原は主張している。また、「LGBTの多数派である中高年ゲイの実像を無視し、非当事者から受けの良い容姿の良い者を前面に出して宣伝していること」を批判もしている。

更に田原は、「LGBTを、非当事者から同情を買いやすい『被害者や弱者』のイメージに単一化するために、非当事者へのイメージ戦略に合致しない当事者の多数派は排除されている」と指摘している[35][36]。また田原は、一部の企業や自治体、個人などが『LGBTに優しい方針』を掲げているとマスコミに好意的に報道されていることについても、「当事者の多数派は自身らがイメージ戦略に利用されているとして望んでいない」と述べている。田原は「LGBTに優しい」ことを対外的に宣伝することについて、「自分は他の日本人主流とは違う良い人」だとする自己満足のためにLGBTを利用していることを糾弾している[37]

用語と議論[編集]

用語のもつ共同体的なイメージに関連する議論[編集]

LGBTあるいはGLBTという用語は、この表現に包含される誰もから受容されているわけではない。 例えば、トランスジェンダーやトランスセクシュアルの一部は、この用語を好まない[要出典]。自分たちがトランスであることの根拠あるいは原因は、LGB の人々のケースとは異なると信じるからである。彼らはまた、ある団体が存在し、団体の行う活動内容が実際のところ、トランスである人々を念頭したものとは考えられない場合、団体の名称のイニシャル語あるいは頭字語として、Tを加えることに対し異議を唱える(当然であるとも言える)。反対のことも言えるのであり、LGB の人々の一部は、類似した、または同じ理由からTを好まない。

多数の人々がまた、性的指向とジェンダー・アイデンティティ(英:Gender identity、性同一性)のあいだに明瞭な線引きが必要だと信じている。GLBゲイ、レスビアン、バイセクシュアル)は性的指向に関係するのに対し、TTIトランスジェンダートランスセクシュアルインターセックス)はジェンダー・アイデンティティに関係するからである。同様に、インターセックスの一部は、LGBT グループに含まれることを望み、LGBTIという頭字語を好む。しかしインターセックスの人々でも、他の人たちは、自分たちは LGBT コミュニティの一部ではなく、この用語にむしろ含めるべきでないと主張する。

上述の逆の状況が、レスビアンとゲイにおける分離主義の信念に明瞭に見て取れる(似た言葉に、レスビアン分離主義(Lesbian Separatism)があるが、これは男性無用の女性だけのコミュニティを形成しようとするフェミニズムの形態である)。この立場では、レスビアン及びゲイである者は、通常はLGBTQ(Qは、クィア Queer の頭文字である)の共同体圏に含まれている他のグループとは区別し、また分離して、彼らのコミュニティを形成する(あるいは、形成せねばならない)という考えを持つ。

この種類のグループは、一方で、社会運動と呼べるほどの十分な人数や組織には必ずしも見えないが、LGBT コミュニティのほとんどの場面において、非常に目立ち、しばしば声高にその意見を主張し、積極的な要素集団としてのあり方に固執する。この見解に立脚する人々はまた、非「モノセクシュアル=単性愛(Monosexual)」的な性的指向及びトランスセクシュアルの存在またはその平等性権利に、通常否定的である。この立場は、社会一般のバイフォビアBiphobia)及び「トランスフォビアTransphobia)へと繋がって行く可能性が否定できない。

(モノセクシュアルとは、異性愛または同性愛のことで、性的指向の対象が単一であることで、それに対し、両性愛・トランスジェンダーなどは非モノセクシュアルとなる。また、バイフォビアとは、両性愛者(バイセクシュアル)に対する嫌悪感などで、トランスフォビアは、トランスセクシュアルやトランスジェンダーの人々に対する様々な形態での嫌悪感や拒絶である。)

多くの人々が、現在流布している、LGBT 等のイニシャル語や頭字語、あるいは略語に代わる、一般的で包括的な用語を探してきた。

クィア日本語おかま)やレインボー(虹)などの言葉が、包括的用語として提案されたが、一般的に広く採択されなかった。クィアは、この言葉が嘲りや侮辱の意味で使われた記憶を有する年長の人々にとっては、多くの否定的な暗示的含意を持っており、また現在でもこの用語は、そういう意味を持って使用されている。多数の若い人々もまた、クィアがLGBTに較べ、政治的により感情的な論争を誘発する言葉であることを理解している。

レインボーは、ヒッピーニューエイジ運動、あるいは政治運動(ジェシー・ジャクソン の虹の連合(Rainbow Coalition)など)を想起させる含意を持っている。

一部のゲイの人々もまた、文字表現としての用語が、過剰に政治的正義の意味合いを帯びて一般に受容されることを望んでいない。また、多様な性的傾向を持つ人々のグループを、一つのグレイ・ゾーン状態の言葉でカテゴライズする試みに対し肯定的ではない。

LGBTコミュニティの存在に対する議論[編集]

更に、「LGBTコミュニティ」あるいは「LGBコミュニティ」自体に反対の立場を持つ、レスビアン、ゲイ、バイセクシュアルの人々も存在する。

彼らはまた、通常 LGBT コミュニティとセットになっており、「ゲイ・パレードやイベントなどの政治的及び社会的連帯」、そして、「可視性と人権のためのキャンペーン」にも反対である。これらの人々のなかには、「非異性愛性的指向の人々をグループとして一括して纏めること」に反対の意見を持つ者も存在する。

何故なら、このように纏めることで、「『ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルであること』が、『他の人々とは何かの欠陥において異質である』という説を永続させ温存させる効果を有する」と信じるからである。

ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルの人々のなかにおけるこのような分派的な人々の存在は、他の LGBT の人々と比較して、しばしばまったく目立たず、意識されることすらないのがほとんどである。このような見解の人々は、同性の人への性的関心は別として、一般の人々のなかに溶け込み、彼らの性的指向について、ほとんど、または何の外見的・社会的な指標性も表さないためである。このような分派的な人々の存在は、多数派である異性愛の人々から識別することが困難である。そのため、一般的には、ゲイ/レスビアン/バイセクシュアルの人々は、すべて、LGBT 解放運動や、社会における LGBT の人々の可視性(カミングアウトの公然性)などを、多数派とは異なる形で自己の人生を生きる権利も含めて、支持しているのだと(臆断的に)考えられている。しかし、これは正確な事実ではない。

  • 可視性(visibility)とは、19世紀より20世紀にあって、欧米において、同性愛や両性愛、トランスジェンダーの人々などは、精神障害であり、病であって正常な存在ではないとされ、社会の表からは存在が隠蔽されて来たことによる。隠蔽から脱して、その存在が公然となり、誰の目にも存在が見えるようになることが「可視性」である。
  • また、欧米ソドミー法などの規範を旧植民地の支配者たちは、20世紀半ばの雪崩れ的な独立後、逆に利用して、自国内の反体制勢力や、性的多様性を持つ人々を弾圧し投獄・処刑する根拠ともしている。このように、アフリカにおけるLGBTの権利は世界の発展途上国にあっては、性の多様性の周縁化や隠蔽が事実上、現在も進行している。これに対しても、可視性という形で、国際アムネスティなどは、迫害弾圧の実態の把握に努めている[38]

LGBTと性的マイノリティ[編集]

「LGBT」あるいは「LGBTQ」に類似した用語に「性的マイノリティ」あるいは「性的少数者」がある。これらはLGBT の同義語であるとされる場合があり、LGBT より定義範囲の広い用語であるともされる。

英語の "Sexual minority" という用語は、ラース・ウーラスタムの画期的な著書"The Erotic Minorities: A Swedish View" (Grove, 1966) の影響で1960年代後半に出現した造語である可能性が最も高い。これを日本語に訳して「性的少数者」の用語が造られたと思われる。

「LGBT」と「性的マイノリティ」は意味が異なり、そのもっとも大きなものは、「LGBT」は、「LGBT のコミュニティに属する者が、自分たちの集団を呼称する名称」としてこの頭字語を造ったという点である。

それに対し、「性的マイノリティ/性的少数者」は、性的な側面において「社会におけるマイノリティ」である者という意味で定義された言葉であり、LGBT の一部には、この呼び方や用語を好まない者もいる。

脚注[編集]

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注記[編集]

  1. ^ トランスセクシュアルの人々をステレオタイプを演じているという批判や、バイセクシュアルの人々に対しては単にカムアウトすることが恐ろしいだけで、実際のところはゲイの男性またはレスビアンの女性であるなどの批判があった。

出典[編集]

  1. ^ [コトバンク デジタル大辞泉]
  2. ^ 財政再建と女性スキャンダル、そしてヒラリーの夫・ビル・クリントンきょうで70歳 2016年8月19日
  3. ^ 財政再建と女性スキャンダル、そしてヒラリーの夫・ビル・クリントンきょうで70歳 amebaニュース
  4. ^ 同性愛カップルが隠れトランプになった事情 行き過ぎた平等の追求が米国を分断した - 東洋経済オンライン
  5. ^ 「包括的な」LGBTグループがプライド・パレードからゲイのトランプの支持者を禁止する
  6. ^ 「渋谷区同性カップル条例が成立 全国初、4月1日施行」朝日新聞、2015年3月31日
  7. ^ a b ゲイカップル、苦労の23年 パートナー制度「扉開く」朝日新聞デジタル、2015年11月6日
  8. ^ a b 同性パートナーシップ、世田谷区でも証明書。渋谷区との違いは?ウーマンライフ、2015年11月10日
  9. ^ 「同性婚」認定第1号が破局 “元宝塚”東小雪&増原裕子さんが同性パートナー解消 渋谷区に証明書を返還yahoo news 2017/12/26
  10. ^ 世田谷区パートナーシップの宣誓の取組みについて
  11. ^ ライフネット生命、同性パートナーを死亡保険金受取人に指定可能にITmedia ビジネスオンライン、2015年11月2日
  12. ^ ソフトバンク、同性パートナーで家族割引などへの申し込みを可能にITmedia Mobile、2015年11月12日
  13. ^ ドコモも同性パートナーに割引適用拡大……「ファミリー割引」「シェアパック」OKにRBB TODAY、2015年10月23日
  14. ^ KDDI、同性パートナーに「家族割」適用ITmedia、2015年7月21日
  15. ^ 毎日新聞jp. “[http://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00m/040/110000c?fm=mnm パナソニック 同性婚、社内規定で容認 4月から]”. 2016年2月18日閲覧。
  16. ^ LGBT「パートナーシップ制度」札幌でも 指定市で初朝日新聞 2017年6月1日
  17. ^ “LGBT地方議連が発足 差別解消の推進目指し83人”. 東京新聞. (2017年7月7日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017070702000115.html 2017年7月7日閲覧。 
  18. ^ “「LGBT自治体議連」発足 上川あや氏ら地方議員5人”. 朝日新聞. (2017年7月7日). http://www.asahi.com/articles/ASK765JHHK76UTFK00Z.html 2017年7月7日閲覧。 
  19. ^ “「OUT IN JAPAN」札幌撮影会で、滝川市議の舘内孝夫さんがカミングアウト”. OUT JAPAN. (2017年10月24日). http://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2017/10/8.html 2018年1月16日閲覧。 
  20. ^ “「奇異の目なくすのが行政」 京都・長岡京市議がLGBT告白”. 京都新聞. (2017年12月25日). http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20171224000097 2018年1月16日閲覧。 
  21. ^ 「有望消費者としてLGBTを狙え!」は正しいのか?宣伝会議 編集部 2017.03.29 掲載
  22. ^ “同性婚”で話題も…一ノ瀬文香が明かした「破局」の真相niftyニュース
  23. ^ 「有望消費者としてLGBTを狙え!」は正しいのか?」AdverTimes
  24. ^ 「有望消費者としてLGBTを狙え!」は正しいのか?」 AdverTimes
  25. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化』|集英社新書
  26. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  27. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化|集英社新書』
  28. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  29. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  30. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化|集英社新書』
  31. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  32. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化|集英社新書』
  33. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  34. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化|集英社新書』
  35. ^ 『深夜、目覚めた場所 004 「雑民」たちの浄化|集英社新書』
  36. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  37. ^ 『人間の居場所』田原牧,集英社,2017年7月14日,ISBN:4087208915
  38. ^ アフリカでまん延するLGBTI差別~制度だけでは変えられない憎悪の心~

参考書籍[編集]

関連項目[編集]

LGBTの人物[編集]

LGBTを題材とした作品[編集]

ボーゼ・ハドリー著、奥田祐士訳、白夜書房、1993年 ISBN 4-89367-364-5

英語版関連項目[編集]

外部リンク[編集]