リプロダクティブ・ヘルス・ライツ

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イリノイ州シカゴでのリプロダクティブ・ライツを求める集会。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ (英: Reproductive Health and Rights) 生殖に関する健康と権利とは、性と生殖における個人の自由と法的権利のこと。

概念[編集]

世界保健機関 (WHO) は、次のようにリプロダクティブ・ライツを定義している。[1]

生殖に関する権利は、すべてのカップルと個人が、出産する子どもの人数、間隔、時期を、自由に責任を持って決断することができる権利、そしてそのための情報と手段を持つ権利、およびできうるだけ最高水準の性と生殖の健康を手に入れる権利を認めることにかかわっています。それらにはまたすべての人が差別と強制と暴力をうけることなく生殖に関する決定をする権利も含まれる。[1]

リプロダクティブ・ヘルス/ライツには、以下の権利も含まれる。

  1. 合法かつ安全な中絶の権利、
  2. 断種や中絶を強制されない権利、
  3. 避妊の権利、
  4. 産婦人科医療にアクセスする権利、
  5. 情報に基づいて女性が生むか生まないかを自由に決定する権利 (right to choose)、
  6. そのためのための性と生殖に関する教育と教育アクセスの権利、
  7. 性感染症やその他の性に関する教育を受ける権利、
  8. 生理期間の健康 (menstrual health) の権利、
  9. 女性性器切除 (FGM) のような慣行からの保護、

人が生涯にわたって差別と強制と暴力を受けることなく、性と生殖に関して身体的、精神的、社会的に良質な健康環境にあることをリプロダクティブ・ヘルスといい、またその状態を享受する権利をリプロダクティブ・ライツという。

比較ジェンダー史研究会によれば、リプロダクティブ・ヘルスとは「生涯を通じた性と生殖に関わる健康」と「リプロダクティブ・ヘルスケア・サービスを適切に利用できる権利」の2つを要点とし、リプロダクティブ・ライツは「生殖の自己決定権(産む自由・産まない自由を自己選択できる権利)」と「リプロダクティブ・ヘルスケアへの権利」に焦点を置く[2]

歴史[編集]

テヘラン宣言[編集]

1945年、国連憲章には、「人種、性別、言語、または宗教に関する差別のないすべての人々の人権と基本的自由の普遍的な尊重と遵守を促進する」義務が含まれていた。しかし、憲章はこれらの性に関する権利を定義することはしなかった。生殖にかんする権利は、1968年のテヘラン宣言で、「親には、子どもの数と間隔を自由かつ責任を持って決定する基本的な人権がある」と述べられ、人権の一つとして登場した。

16: 家族と児童の保護 家族及び児童の保護は、国際社会の関心事であり続けている。両親は、児童の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する、基本的人権を有する。[3]

カイロ行動計画[編集]

1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD)は、具体的に次の四つの権利を基本にした「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の概念がはじめて公式に提唱された。[4]

  1. 女性自らが妊孕性(にんようせい;妊娠する能力)を調節できること
  2. すべての女性において安全な妊娠と出産が享受できること
  3. すべての新生児が健全な小児期を享受できること
  4. 性感染症の恐れなしに性的関係が持てること[5]

またICPDは、女性に対する暴力、性的人身売買、思春期の健康 (adolescent health) などの問題にも言及した。

日本では[編集]

1996年優生保護法の強制不妊手術などの項目が削除され、母体保護法と改められた。

2000年、国の男女共同参画基本計画にリプロダクティブライツが盛り込まれた[6]

論点[編集]

参考文献[編集]

谷口真由美『リプロダクティブ・ライツとリプロダクティブ・ヘルス』信山社、2007年

ジェンダー法学会編『講座ジェンダーと法(第4巻)ジェンダー法学が切り拓く展望』日本加除出版、2012年

脚注[編集]

  1. ^ a b Gender and reproductive rights home page”. web.archive.org (2009年7月26日). 2020年1月26日閲覧。
  2. ^ 【用語】リプロダクティブ・ヘルス/ライツ” (日本語). 比較ジェンダー史研究会. 2020年1月27日閲覧。
  3. ^ University of Minnesota Japanese Page”. hrlibrary.umn.edu. 2020年1月26日閲覧。
  4. ^ JICA. カイロ国際人口・開発会議行動計画」(カイロ行動計画). 
  5. ^ リプロダクティブ・ヘルス/ライツって?|荒尾市”. www.city.arao.lg.jp. 2020年1月26日閲覧。
  6. ^ 第Ⅳ章 戦略目標及び行動 | 内閣府男女共同参画局”. www.gender.go.jp. 2020年1月26日閲覧。

参考文献