児童虐待
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児童虐待(じどうぎゃくたい、英: child maltreatment, child abuse, cruelty to children)は、児童の周囲の人間(保護者、学校教師、施設職員など)が、児童に対して虐待を加える (Abuse)、または育児放棄(ネグレクト)することである[1][2]。幼児の場合は幼児虐待(ようじぎゃくたい)と言う。
WHOは全成人の4人に1人は年少児に身体的虐待を、女性の5人に1人と男性の12人に1人は年少時に性的虐待を受けたと報告している[3]。WHOによれば毎年4.1万人の15歳以下児童が自宅にて殺されているという[3]。経済協力開発機構(OECD)は児童虐待に起因する医療・司法・逸失利益のコストは、米国においてはGDPの約1%、豪州においては少なくともGDPの1%に上ると推計している。
日本国では、児童虐待は児童虐待の防止等に関する法律で禁止されている[4]。また、同法より、虐待をされていると思われる児童を見聞きした人々は、児童相談所(各地域の児童相談所[5]もしくは児童相談所全国共通ダイヤル:189, いちはやく[6])などに速やかに通告しなければならない[4]。2019年12月3日より189は通話料無料化した[7]。
目次
定義[編集]
世界保健機関(WHO)では、Child maltreatmentは「18歳以下の子供に対して起きる虐待やネグレクト」と定義している[3]。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では、「親またはその他の養育者の作為または不作為によって、児童に実際に危害が加えられたり、危害の危険にさらされたり、危害の脅威にさらされること」と定義している[8]。
日本国では、児童虐待の防止等に関する法律2条で定義されている(後述)。
呼称[編集]
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児童虐待を行う親は虐待親(ぎゃくたいおや)もしくは虐待母、虐待父と称される。虐待母の別名として、鬼母(きぼ)とも称される。[要出典]
歴史[編集]
1874年4月、アメリカ・ニューヨークにおけるメアリ・エレン・ウィルソン事件により、ニューヨーク児童虐待防止協会が設立された[9]。後年には、イギリスで1884年に、民間組織として児童虐待防止協会 (Society for Prevention for Cruelty to Children) が設立され、その後は全国児童虐待防止協会 (National Society for Prevention of Cruelty to Children) となる。1960年、フランスの歴史学者フィリップ・アリエスが『〈子供〉の誕生』(こどものたんじょう、フランス語: L'Enfant et la Vie familiale sous l' Ancien Regime)を発表した。1962年に、ブレスラウ生まれのユダヤ系ドイツ人で、ナチズムの勃興と共に米国に亡命し、米国で小児科医となったヘンリー・ケンプは、1962年に、「被殴打児症候群(英語: Battered Child Syndrome)」を報告した[10]。
原因[編集]
学説によれば、保護者による児童虐待は、いくつかの要因によって起きる複雑な現象である[11]とされている。児童虐待の受けやすさを増す要因をリスク要因、受けやすさを減らす要因を保護要因といい、リスク要因の一部があってもそれだけで児童虐待が起きているとの判断は必ずしも下せないが、要因が重なることにより虐待の発生リスクが高まるといわれている[12]。
赤ん坊が泣き止まない、夜尿、おもらし、うんちもらし、食べない、隠れ食い、盗み食い、親を睨み返すなどのことがきっかけで親の中にある子どものイメージと異なる行動を子供がしたとき、親に怒りが生じて暴力に向かうきっかけのできごととなる。親が怒りの感情を持ちやすい、または怒りをコントロールできない。また、特定の子どもだけが怒りの対象となることがある[13]。
東京都の一時保護後の退所先別集計では、平成28年度は全2071件中、帰宅が1273件で最多、次いで児童福祉施設入所359件、他の児童相談所・機関に移送404件となっていて[14]一時保護の後に帰宅するケースが多数のため、「親を責めない」という原則のもとに、親の治療の援助をする[13]ことが肝要となる。
厚生労働省科学研究H20~21年度「子ども虐待問題と被虐待児の自立過程における複合的困難の構造と社会的支援のあり方に関する実証的研究」(研究代表松本伊智朗)に基く調査は、A県の児童相談所における、5歳、10歳、14~15歳の平成15年度虐待受理ケース129の記録を研究メンバーが児童票より転記し、個人情報の保護が可能な119例を整理した上で分析するという方法をとったが、虐待事例における障がいをもつ子どもの比率と、養育者自身が障がいを有している割合が高く、本調査の119事例の中で、56例が当該児童に障がいがあり、48例はきょうだいに障がいがある。当該児童ときょうだいの両方に障がいがある事例は33であり、きょうだいにのみ障がいがあるのは15例である。つまり、71事例は、障がいを持つ子どもを養育していることになる。さらに、養育者が知的障がい、発達障がい、その他の疾病・障がいがある(精神障がいを除く)事例は40に上り、子どもの障がいとも重複する。家族に障がい児者がいない事例は119例中26となり、障がいの偏在化が明らかであった[15]。
2016年8月には、有名大学を卒業しトラック運転手だった父親による、中学受験を控えていたが成績が上がらなかった小学校六年生の長男への刺殺事件という教育虐待が発生している[16]。
個人的要因[編集]
生物学的特性(年齢や性別など)やその他の個人の特性が児童虐待の要因となっている場合がある[12]。
親の側の要因[編集]
- 養育者におけるリスク要因
- 困難を伴った妊娠や合併症を伴う出産[12]
- 子どものころの虐待経験[12]。ただし、虐待の世代間連鎖は30%ほどと言われ、子どもを虐待する親は被虐待経験を持つことが多いが、虐待を受けている子どもが将来必ずしも虐待をするとは限らない。[13]
- 子どもの発達に対する無知または非現実的な過度な期待[12]
- 子どもの正常な発達についてよく知らない親は、しつけのつもりで子どもを虐待してしまうことがある。例えば1歳の子どもに排尿管理をさせようとして罰を与えても効果はない[17]。
- 身体的・精神的な健康問題や認知障害の存在[12]
- アルコールや薬物などへの依存[12]
- 犯罪行為に巻き込まれている場合[12]
- 社会的に孤立している場合[12]
- 抑うつ感・自己評価の低下・自己不適応感の存在[12]
- 若年であること等による養育スキルの欠乏[12]
- 経済状況が困難な場合[12]
- 子どもにおけるリスク要因
子ども側の要因[編集]
関係性要因[編集]
家族や友人など個人の社会的関係性が児童虐待の加害者または被害者となるリスクとなる場合がある[12]。
子どもの殺害に関する1988年の米国の研究は、非生物学的な親は、生物学的な親に比べて、100倍も多く子どもを殺害すると報告している[20]。非生物学的な親とは、例えば義理の親、同居人、生物学的な親のボーイフレンドやガールフレンドである。これについての進化的心理学による説明は、他人の生物学的な子どものために自分の資源を使うことは、繁殖で成功するチャンスを増やすには、良い戦略ではないということである。もっと一般的に言えば、義理の子どもは、虐待を受ける割合が、ずっと高いということである。これはシンデレラ現象と呼ばれている。
片親に育てられる子どもは虐待を受けやすい。米国の統計によれば、片親家庭の子どもが虐待を受ける率は、子ども1000人に対して27.3人であり、それは、両親のいる家庭の子どもが虐待を受ける率15.5人の、約2倍である[21]。また米国の高校生1000人を対象とした調査では、実父と実母のいる家庭で育った子どもが虐待を受ける割合が、3.2%であったのに対して、それ以外の形態の家庭で育った子どもが虐待を受ける割合は、18.6%であった[17]。虐待の加害者に最もなりやすいのは、片親の実母である[22]。
関係性要因には下のような要因がある。
地域的要因[編集]
近隣・学校・職場など社会的関係を生じる環境がリスクとなる場合がある[12]。
地域的要因には下のような要因がある。
社会的要因[編集]
社会規範・経済格差・セーフティネットの欠落など社会基盤の状態がリスクとなる場合がある[12]。
社会的要因には下のような要因がある。
平成15年子ども家庭総合研究事業「児童相談所が対応する虐待家族の特性分析」調査では、3都道府県17児童相談所において14年度中に一時保護され一定の方針が立った501ケースの家庭を調べている。経済状況についての分析では、「生活保護世帯」が19%,「市町村民税非課税」「所得税非課税」世帯が併せて26%となっていた。併せると半数近くとなり,日本全体の有子世帯に比べると,虐待ケースの家庭は低所得世帯に偏っている結果となった。特に母子家庭で見ると生活保護率が45.9%で父子家庭も20.8%とひとり親家庭において生活保護率が高くなっている。また虐待問題を抱える家庭において、ひとり親家庭の割合はきわめて高い。虐待種別ではひとり親家庭でのネグレクトが多い傾向が出ている[23]。
経済状況と虐待とも関連が深く、虐待のために児童養護施設に入所した100例を調査したうち、親の精神障害、ひとり親家庭、生活保護家庭が3割以上を占めており、無所得も2割あった[24]。
影響[編集]

児童虐待は、以下の疾患の原因となる。
- 暴力行為の加害者もしくは被害者になる[3]
- 不安や自己破壊的行動 [2]
- 抑うつ[3][2]
- 喫煙[3]
- 肥満[3]
- ハイリスクな性的行動[3]
- 望まない妊娠[3]
- アルコール乱用、薬物乱用[3][2]
児童虐待は子どもに生命上の危険や身体的な後遺症を生じさせるおそれがある[12]。また、人生の早期に親又は親に代わる保護者などから心的外傷やトラウマがもたらされるため、その後の人生に深刻な影響を与えるおそれがある(複合型心的外傷後ストレス障害、PTSD)[12]。
2015年11月から2016年1月時点での少年院の在院者は、被虐待経験のある人が60%、家族以外の第三者からの被虐待経験者は約80%と高率だった。特に女子は被虐待経験者が約70%、第三者からの被虐待経験者は90%となっていて[26]その後の人生に影を落としている可能性がある。
平成30年度犯罪白書によると、平成29年少年院入所者のうち、男子は30.9%女子は56.1%が被虐待経験を持っている。ただし、被虐待経験の有無・内容は,入院段階における少年院入院者自身の申告等により把握することのできたものに限られている点に留意する必要があるとされている[27]。
診断[編集]
子どもが、あざ(手の形をした)、噛み傷、裂傷、やけど、凍傷、骨折、頭蓋骨骨折、眼科外傷、脊髄損傷、内臓損傷、口腔内損傷、適切な説明の無い怪我、肛門や性器のあざ、性感染症などの場合、これらは身体的虐待の可能性を検討する[28]。
また、子供の行動や感情が年齢相応に発達しておらず、また神経発達症(注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害など)ではない場合、これらは虐待の可能性を検討する[29]。
また、子どもが重度で継続した感染(疥癬やアタマジラミなど)を持っていた場合、適切でない衣装や靴をずっと着用していた場合、栄養失調と思われる場合、これらはネグレクトの可能性を検討する[30]。
予防[編集]
多くの国で行政組織や民間団体などが対策を講じている。WHOの「暴力と外傷の予防」部門の Mikton は、児童虐待予防のための対策の効果を、先行する諸研究を検討して評価した。その結果、家庭訪問、親への教育、頭部外傷予防、多方面の介入には、児童虐待を減らす効果が認められた。また、家庭訪問、親への教育、性的虐待予防には、児童虐待のリスクを減らす効果が認められた[31]。
虐待を受けていた者が子供に虐待をすることを避けるための自助グループや、虐待をする親を対象としたペアレンツ・プログラムの実施と、当事者・ほかの家族、支援者が一堂に会する会議で解決策を当事者自身が決め、支援者がその進捗を見守る制度を運営するNPOがある[32]。
兵庫県明石市では、児童の安否確認のために、子どもと会えない、会わせてもらえないような場合は、児童手当の振り込みを停止し、子どもを連れてきてくれたら手渡しするようにしている[33]。
なお、虐待の予防という観点から、児童虐待より広い概念である「大人の子どもに対する不適切な関わり」という意味のマルトリートメントという概念が用いられることもある[12]。
対策[編集]
マルトリートメント(子どもに対する不適切な関わり)に対する社会的介入のレベルはグレーゾーン、イエローゾーン、レッドゾーンの3つに分類される[12]。
- グレーゾーン(要観察、要支援、啓発・教育) - 虐待までは至らないものの不適切な養育にあたる状態[12]
- 育児指導、妊婦健診、出産前小児保健指導(プレネイタルビジット)、新生児訪問、乳幼児健診などによる支援を通じて事態の深刻化を回避する段階である[12]。
虐待を受ける子供が発達の遅れや衝動的な行動をすることで親は疲弊し、怒りをコントロールできないことがある。また虐待の親子連鎖がある場合も報道されている。また保護したあとの受け皿がなく、保護は子どもが親に愛着を持っている場合には子の発達にマイナスになる恐れも元児童相談所職員は指摘する。虐待後の対応には、親の回復に向けたケアの受講を命じ、家族再統合の基準を作って審判することを裁判所が行うべきだとの意見もある[32]。
虐待を行う保護者は自身の成育歴及び信念から、自らの行為を「躾」だと信じて疑わないことがある。カウンセリングを継続的に受けることにより、虐待された側の心理を理解していくことがあるが加害者更生プログラムの実施体制は十分でないことが指摘されている[34]。
援助[編集]
児童虐待の事例への介入として、オープンダイアローグの手法を用いることが試行されている[35]。
報告されているメリットは以下のようなものがある[35]。
- 支援者の肩の力が抜け、柔軟になれる。
- 問題をめぐる矛盾した考え(声)を表現でき、透明性が高まる。
- 当事者の発言が増える。
この手法を用いることで、被害者・加害者・支援者、全体にとって有益な回復をもたらす対話の場面を、より積極的に作り出す効果が期待できる。ただし、暴力という問題の深刻さから、安全な対話の場を設定することの工夫や準備が必要である[35]。
虐待を受けている子どもは恐怖または愛情から親をかばうことがある。自分から虐待を受けたことを訴えることは稀であり、虐待について確認しても、否定したり、一旦は認めても後からその事実を取り消したりする子どももいる。虐待を受けているという認識を持てないでいる子どもも少なくなく、虐待を受けた子どもの多くは、虐待を受けたのは自分が悪かったせいだと認識している[36]。このため、支援者から自宅に戻りたいか尋ねられると帰ることを希望し、一時保護が解除され結果死亡に至るケースもある[37]。
大阪府では未受診や飛び込みによる出産を分析し、受診妊娠と児童虐待死亡事例の背景因子が非常に類似していることを確認し、未受診妊娠で出生した子どもたちがその後児童虐待を受ける事例が多数報告されたことを把握した。これにより大阪では未受診妊娠対策医療機関を中心に実施されている[38]。
「虐待を認めない者(行為も虐待も認めない者、行為は認めるが虐待を認めない者)」の割合は、男性が約62%、女性が約48%で、男性の割合が約14%高くなっている。「虐待を認めない者」は援助を求めない。しかし、虐待者の中には「虐待は認めても援助を求めない者」も存在し、「援助を求めていない虐待者」の割合は、男性で81.1%、女性で63.4%となっている。女性虐待者へのプログラムはあっても、男性虐待者へは「東京都児童相談センター」と「大阪市児相」「茨城中央児相」が男性向けのグループ療法を開始しているが、男性向けプログラムを用いて実施しているのはこの3児相のみと指摘されている[39]。
2008年4月から6月までの全国の児童相談所が取り扱った約10000件のケースについて、「児童虐待相談のケース分析等に関する調査研究」として全国児童相談所長会が2009年に報告書を作成している。その調査報告の中で、虐待者における虐待の認知状況についての項目では、行為も虐待も認めないものが17.3%、行為は認めるが言い逃れにより虐待を認めないものが15.7%、行為は認めるが信条によるとして虐待を認めないものが19.3%、虐待を認めて援助を求めているものが30.4%となっていた[40]。
各国の状況[編集]
機関での保護率 | 虐待の確認率 | ||
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1.5% | ![]() |
2.2% |
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2.2% | ![]() |
1.8% |
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3.3% | ![]() |
1.2% |
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4.8% | ![]() |
0.4% |
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0.2% |
2000年の被虐待児童数は、ドイツは31,000人、フランス18,000人である[41]。米国が突出している。
日本における児童虐待[編集]
歴史[編集]
出生率減少(少子化)の影響で1980年代半ばには措置児童が減少し、補助金も削減され、公立施設においてはその予算を他の福祉施設にまわすため閉鎖されるなどの状況で存続の危機にさらされていた児童養護施設が、国連や日本弁護士会から国連子どもの権利条約の批准を要請されるという衝撃およびマスコミによる家庭内児童虐待の「発見」、民間のホットライン開設による児童虐待注目により、90年代には新たな社会的役割期待に直面した。この結果夜間預かりの実施など施設の大改革期を迎えざるをえず、第二次大戦後最も大がかりな変容を遂げてきた[42]。この流れに対し、「児童虐待問題」は少子化する日本において児童福祉をマーケットを活性化する重要な役割を持っており、国内の児童養護施設が民間経営であることから、既得権保持のため、措置児童数を一定数必要としているとの見解もある[43]。
日本では、小児科医の小林美智子らが、ケンプの影響を受け、1994年(平成6年)に、「日本子ども虐待防止学会」が設立された。1994年(平成6年)9月には、この学会設立の契機となった国際シンポジウム「児童虐待への挑戦」が、日本で始めて児童虐待の先進国から専門家を招いて開催された。この「専門家」とは、児童虐待防止の国際学会として1977年(昭和52年)に設立されていた国際子ども虐待防止学会 (ISPCAN)に集まっていた人々である[44]。600人が集まったこのシンポジウムの講演において、ISPCANの会長を務めた米国コロラド大学のクルーグマン教授は、「子どもを親から離すだけでは何も解決しない」、「今後の日本が作る制度は、法律主導のアメリカモデルよりも、専門職主導のヨーロッパ大陸モデルをすすめる」 と、日本の児童虐待防止政策が進むべき道を提言した[45][46]。これを契機に日本では、民間で児童虐待を扱う動きが急速に高まった。例えば、1999年(平成11年)に長谷川博一は、世代連鎖を断つことを理念として、親の治療グループ「親子連鎖を断つ会」を設立した[47]。
1999年(平成11年)、当時の宮下創平厚生大臣(小渕第1次改造内閣)は、児童虐待は殺人罪との境界領域にある事象であると[48]国会で訴えて、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」の国会通過を図った。児童の虐待事件多発を背景に、超党派の議員立法によって平成12年(2000年)成立した。のち、2004年(平成16年)には同法を改正し、「関係省庁相互間その他関係機関および民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他」を行ない、児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない旨を明文化した[49]。同法において、被虐待児が病院を受診し、虐待を受けたと思われた場合には担当でなくとも速やかに警察に通報する義務があり(第6条)、通告義務は他の法が定める守秘義務より優先される(同条2項)、とも定められた(第6条2項)。 日本では、他にも以下のような状況あるいは特徴が見られる。
- 児童虐待を担当する職員が少ない[50]
- 死因の調査が充分には行われていない
- 離婚後に片親は、子どもにほとんど関与できなくなる( 益子行弘「離婚しても共同養育による虐待防止を[リンク切れ]」) [51]「共同親権」も参照
- 共働き家庭ほど虐待が少ない[52]
2019年2月7日の警察庁発表によれば、2018年に警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは8,0104人で、前年より22.4%増え、このうち「心理的虐待」が5,7326人と約7割を占め、「身体的虐待」は1,4821人、「育児放棄(ネグレクト)」は7699人、「性的虐待」は258人であった[1]。
2019年8月1日の厚生労働省の発表では、全国の児童相談所が2018年度に対応した児童虐待件数は過去最多15万9850件(速報値)で、対前年度比2万6072件増、調査開始の1990年度から28年連続増。内容は、「心理的虐待」が8万8389件(55.3%)で最多、「身体的虐待」が4万256件(25.2%)、「ネグレクト」(育児放棄)が2万9474件(18.4%)、「性的虐待」が1731件(1.1%)。情報や相談が寄せられた経路は、約50%が「警察等」からで、「近隣知人」が約13%で続いた[2]。
児童虐待防止法[編集]
日本の児童虐待の防止等に関する法律第2条では、「児童虐待」を、「保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう)がその監護する児童(18歳に満たない者)に対し、次に掲げる行為をすること」としている。
- 一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
- 二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
- 三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
- 四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
民法上の懲戒権と児童虐待との区別[編集]
日本の民法第822条は、親権者に「懲戒権」を認めている。
第820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。第822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
つまり日本では、民法によって、親権者には子を監護(監督および保護)する権利が定められ、しかもこれは権利であるが同時に義務だとされており、また親権者の義務とされている監護および教育にともなうものとして、懲戒権を認めている。
2000年(平成12年)に「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」が制定された結果、民法が親権者に認める懲戒行為と、「児童虐待の防止等に関する法律」でいう「児童虐待」の線引きが問題となった。2016年(平成28年)5月の第190国会において鈴木貴子代議士(新党大地)は、「「児童虐待防止」政策における政府の見解及び認識等に関する質問」(第275号)を行ない、これに対し内閣総理大臣安倍晋三が以下のように答弁した。
お尋ねの「児虐法第二条と民法第八百二十二条との関係」の意味するところが必ずしも明らかでないが、と断りを枕言葉にし、「児童虐待は、子の利益のため子の監護及び教育に必要な範囲内で行われる行為ではないため、民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百二十二条の規定による懲戒には含まれない。」[53](七について)
すなわち、児童虐待とは、子の利益を図る親権者の監護・教育目的を以てなされる以外の子に対する行為をいうのであり、子の利益を図る監護・教育目的を持って親権者が行なう範囲内の子に対する懲戒行為(体罰も含む)については、子に対する愛情から行われた躾であったとしても、社会常識に照らして不相当なものであるときには、正当な懲戒権行使とは言えず、虐待に当たると判例[注釈 1]においても否定されている。
しかしながら「しつけ」を名目とした児童虐待が後を絶たないことから、児童虐待法においても、平成28年度改正により第14条児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、民法(明治29年法律第89号)第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超えて当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならないと規定され、なお、第2項において、児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはないと明記されている[54]。
日本政府は、平成25年の国連人権理事会(普遍的・定期的審査)において、民法第822条で許される「懲戒」は「体罰」とは異なる概念である(「This provision does not allow for corporal punishment.」)と報告し、学校及び家庭内の体罰は禁止されていると発表しており、全ての状況における体罰を明示的に禁止することという勧告をフォローアップすることに同意している[55]。また、2006年国連事務総長の子どもに対する暴力に関する報告書においてパウロ・ピネイロは条約国に優先勧告として、あらゆる形の暴力を早急に禁じ、あらゆる体罰がこの範疇に含まれることを明示した。日本政府は2008年と2012年に人権理事会の普遍的定期審査(UPR)の調査で、体罰を禁じる勧告を受け入れている。国連の動きを受け、2013年8月には「子ども虐待の手引き」が改正され、「叩く」行為も身体的虐待に追加されている[56]。2019年3月現在、野田市の虐待死をきっかけにした厚生労働省が示した児童虐待防止法などの改正案の概要では、子どものしつけにあたって親の体罰を禁止し、親が子を戒める民法の「懲戒権」の見直しを改正法の施行後5年をめどに検討するとしている[57]。
厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」には、虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係で、親はいくら一生懸命であっても、子ども側にとって有害な行為であれば虐待であり、その行為を親の意図で判断するのではなく、子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなくてはならないとの趣旨の、子どもの虹虐待センター所長であった小林美智子の言葉が掲載されている[58]。
厚生労働省「児童虐待」定義[編集]
身体的虐待[編集]
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせるなど[59]。結果として外傷がなくとも、その可能性が明らかにあった場合を含む。手や脚を使うこと全てが含まれているわけではなくて、裁判などでは、手でたたいた身体部位やそのたたき方(「拳」「平手」の別)、継続時間、などの差異が焦点となることがある。また、児童の側が先に殴りかかって保護者の側がとっさに応戦し短く殴った場合は含まない(正当防衛)。
性的虐待[編集]
児童性的虐待のことで、児童を性行為の対象にしたり、児童に対して強制的に猥褻なものごと(自らの性器や性交)を見せ付けたりすること。子どもへの性的行為、性的行為を見せる、ポルノグラフィの被写体にする など[60]。
全国統一ダイヤルで受け付ける子どもの電話相談「チャイルドライン」で、宮城県内から2017年度に発信された児童虐待の相談52件のうち、性的虐待が53.8%(28件)を占めていた。被害者は主に小学生から高校生の女子で、特に中学生が多く加害者の多くは実父とみられる[61]。
刑法200条に規定されていた尊属殺人の規定は、自己または配偶者の直系尊属を殺した者は死刑または無期懲役に処する旨、普通殺人よりも重罰規定が定められていたが、昭和48年4月4日最高裁判所大法廷にて憲法一四条一項に違反するとされ、1995年に刑法が改正(平成7年法律第91号)された際に傷害罪等他の尊属加重刑罰と共に削除された。本事件は、1968年(昭和43年)に実父(53)を殺害した女性(29)は14歳の頃より父より性虐待を受け、その結果親娘間で数名子を出産するなど夫婦関係を強いられ、職場で正常な恋愛相手に恵まれたが父に阻まれ思い余ったという背景を持つものだった[62]。
心理的虐待[編集]
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子供の目の前で家族に対して暴力をふるう(DV)など[63]。児童に対して心理的な後遺症が残るほどの言葉の暴力、極端な恫喝を行うこと、兄弟間の極度な差別的扱い、また、無視しつづけること、存在自体を根本から否定すること、自尊心を踏みにじりつづける行為などが含まれ、虐待の根源とされる。離婚、別居など両親の不和家庭(環境)に多く見られる監護親によって別居親の存在を否定、削除させる事、これすなわち子どもにとって生命の誕生をも否定する事となり心理的成長阻害の代表的例となる。母親が子供に対して連日のように「あんたさえいなければ私は再婚できる。あんたさえ消えてくれれば。」「あんたの父親(母親)はろくな人間じゃない。」などと言い続けることもこれに該当する。洗脳虐待も含まれる。
育児放棄[編集]
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食[64]、もしくは長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること[65]。「長期間に渡って食事を与えない」の他にも、「病気になっても病院に受診させない[1]」、「乳幼児を暑い日差しの当たる車内への放置」、「習慣的に下着などを不潔なまま長期間 放置する[30]」、「(幼稚園、保育園、保育所、学校への)通学を行わせない」などが含まれる。保護者による治療拒否は特に医療ネグレクトと呼ばれ[66]、その結果が児童の生命・身体に重大な影響をおよぼす場合には親権停止の審判などの対象になるとされる[67]。
虐待相談件数の「増加」傾向[編集]
相談件数[編集]
年度 | 相談件数 |
---|---|
1990年(平成 | 2年)度1,101 |
1995年(平成 | 7年)度2,722 |
2000年(平成12年)度 | 17,725 |
2005年(平成17年)度 | 34,472 |
2010年(平成22年)度 | 56,384 |
2013年(平成25年)度 | 73,802 |
2015年(平成27年)度 | 103,286 |
日本の児童虐待相談件数は統計開始の1990年度(平成2年度)の1,101件から毎年増加し、2013年度(平成25年度)には66,701件になった[69][70][68]。 「相談件数」の増加を実際に虐待が近年急増していると捉えるべきか、実際の虐待数はもっと多くて発覚する件数が増えていると捉えるべきなのかについて、九州保健福祉大学の大堂庄三も、「急増論は根拠がない」と指摘している[71]。
2016年4月からは、警察庁から日本の警察に対し積極的な通告を行うよう指示がなされ、同年の警察による児童虐待の通告は5万4227人と過去最大となった。警察庁は背景として、児童虐待に対する意識の高まりから、学校や近隣による通報が増加したことがあるとした。通告の内容としては、心理的虐待が最も多く、全体の68.6%占め、中でも面前DVが2万4998人と最多であった[72][73]。平成16年(2004年)の「児童虐待の防止等に関する法律」の改正により、子どもの目前でのDVも児童虐待(心理的虐待)に当たることが明確化[74]されたことが、通告件数を押し上げている。
相談(通報)された案件の内訳[編集]
「平成18年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は、37,323件」で[68]あった。
平成18年度(2006年4月 - 2007年3月)に相談(通報)された件について、虐待内容による分類は「身体的虐待が15,364件(41.2%)で最も多く、次いでネグレクトが14,365件(38.5%)」と集計された[68]。虐待されていた児童の年齢は0 - 3未満が17.3%(6,449人)、3 - 学齢前児童が25.0%(9,334人)、小学生が38.8%(14,467人)、中学生が13.9%(5,201人)、高校生・その他が5.0%(1,872人)。性別では男児52.3%、女児47.7%で男児が若干多い[75]。ただし性的虐待に関しては、97.1%が女児で中高校生が65.0%[75]と、傾向が異なるとされた。相談された件では、虐待をする者は、62.8%が実母、22.0%が実父、義父・義母は合わせて8.3%で[68]である。
1999年(平成11年)の集計によれば、虐待をしているのは58.0%が実母、25.0%が実父であり、義父・義母は合わせて9.3%である(残りはその他)[75]。母の職業は3分の2が主婦・無職で、在宅型が多い[75]。虐待者の学歴は1993年(平成5年) - 1995年(平成7年)の統計において、中卒が34.3%、高卒が12.2%、高校中退が6.7%、大卒では2.4%であった(ただし、同統計において「その他・不明」が44.4%となっていて、その割合が大きいことに留意)。性的虐待では、虐待者の9割近くが中卒であるとの統計もある[75]。経済状況に関しては、(調査者が主観的に判断したところでは)1993 - 1995年の統計において、「貧困」52.5%、「普通」31.5%、「裕福」2.6%、だそうである[75]。
自らも虐待を受けた者の割合については、2007年(平成19年)の統計では、9.1% - 39.6%とされた[76]。
全国児童相談所長会が一時保護に親が同意しなかった614人の児童(平均年齢8.5歳)に対して調査した結果得た集計では、「「生命の危機がある」38人 (6.2%)、継続的治療が必要な外傷があるなど「重度の虐待」158人 (25.7%)、慢性的に暴力を受けるなど「中程度の虐待」254人 (41.4%)」である[77]。同調査によると、虐待が開始されてから児童相談所が一時保護するまでの期間は、3年以上(146人、23.8%)、1年以上3年未満(124人、20.2%)、6か月以上1年未満(82人、13.4%)、1か月以上6か月未満(108人、17.6%)、1か月未満(104人、16.9%)、無回答(50人、8.1%)である[77]。
児童相談所が児童虐待をした保護者に改善指導している途中、保護者の転居により行方が分からなくなってしまった児童の数が2009年だけでも39人いる[78]。
大阪府総合医療センター小児科の報告によれば、2000年(平成12年)から2010年(平成22年)までの10年間に同センターに入院した被虐児215例を検討したところ、主たる虐待者は、実母が55%、実父が18%であった。また入院前より児童相談所に通告されていたのは、全体の26%であった[79]。
保護者以外の主体による児童虐待[編集]
児童にとって、虐待は誰がこれを行なったかに関わりなく、上記のような悪影響を及ぼす。保護者以外の主体による児童虐待には、次のようなものがある:
学校体罰[編集]
日本の学校教育法の第11条は、「校長および教員が、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、学生、生徒および児童に懲戒を加えることができる」と定めている。ただし、同法の場合は、同時に体罰を加えることはできないとして、学校体罰を明確に禁止している。体育授業中などで認められる懲戒としては、通常行われているような、運動場内のマラソン・うさぎ飛び・正座などであって、社会通念上(懲戒として)相当にして、かつ危険をともなわないことを要する、とする判例はある[80]。同法で教師に認められた懲戒、から逸脱ししている体罰は「殴る」「蹴る」や「用便(トイレにゆくこと)を認めない」などだと解釈されている[80]。
保健機関[編集]
保健機関も児童虐待防止に貢献している。保健機関とは市町村保健センターと保健所を指す。母子保健事業は、保健所では未熟児や障害児などに対する事業、市町村保健センターは乳幼児健診や育児教室といった一般市民が利用できる事業を実施している。虐待に関し保健機関で行なっていることは、親を育てることにつきる。妊娠中から若年妊娠や母子家庭、低出生体重児といった虐待ハイリスクに対し、相手の土俵である家庭への訪問を繰り返す。そして、一緒に育児をしながら親子関係を育て、訪問者との信頼関係を築き、仲間づくりを促進して孤立を防ぐといった支援を行なっている[81]。以上のような保健機関の活動は虐待予防に貢献している。実際、日本の児童虐待の12.5 %は保健機関で発見されているという統計がある[82]。
また、虐待は、親が心の問題を抱えていることがリスク因子の一つであり(このことは全国主要病院小児科・被虐待児調査でも明らかにされた[83]。)、そのような親に対し、保健所では精神保健事業も行なっている。そのため、保健機関は母子保健だけでなく、精神保健の面からも虐待予防に貢献しているということができる[84]。
医療機関[編集]
子供を診療する機会がある医療機関においては、被虐待児を診療する機会もある。実態調査からは、1年間で全国の小児医療機関の約1/4で被虐待児が診療されており、累積的には80 %の医療機関で診療が行われていることが推測されている。このような被虐待児の診療を通して、医療機関で虐待が発見されることがある。
しかし、医療現場における虐待予防にも課題がある。渡部誠一らによる2005年(平成17年)の調査によれば、わが国において、子供を診療する機会の多い医師の児童虐待への関心自体は低くはないそうである。全体では約90%の医師が子ども虐待に関心を持っていたという。しかし、実際に通告することについては、60%前後の医師が抵抗があると回答していた。通告や子ども虐待へ関わることの抵抗と躊躇の背景として、虐待診断に自信がない、診療時間外の仕事になり時間がとれない、家族とのトラブルが心配、の3点を大きなものとして医師はあげていたという。子ども虐待に対する一般医師の関わりを支援するためには、これら3点の対応を検討する必要がある、という指摘がある[85]とはいえ、一方で、子どもの患者に対する医療過誤(細菌汚染)を、虚偽の虐待通告により被害児童を児相送致し隠蔽されたとの保護者の主張もある[86]。
学校[編集]
学校が児童虐待防止に果たす役割も大きい。児童虐待への対応において、学校は以下の様な特徴をあげることができる[87]。
- 他の児童福祉施設、保健・医療機関または警察関係機関などと比べても、その量的規模が圧倒的に大きい。
- 教員免許を持ち、様々な研修を経た教員がおり、その人的規模が圧倒的に大きい。
- 子供が一日の大半を過ごす場所であり、教職員は日常的に子供たちと長時間接していることで、その変化に気づきやすい立場にいる。
- 養護教諭、生徒指導主任、学年主任、教頭、校長、スクールカウンセラーなどの異なる知識・経験・能力を持った職員集団がいる。そのため、複数でチームとなって課題解決に当たることができる。
- 家庭や保護者に対して働きかけをすることができる。
これらのことから、学校は児童生徒に対して網羅的に目配りができ、日常的な変化に敏感に反応して対応できる。実際に、小学校の学級担任が子供の様子から虐待を疑い、児童相談所に通告し、児童が保護された事例もある。学校は全児童虐待の13.5 %の発見に関わっている[88]。
なお、高校などでは、近い将来親になる生徒に、児童虐待について授業を行い、児童虐待を防止しようとする試みもある[89]。
その他の諸問題[編集]
凶悪虐待事案の見逃し[編集]
虐待死[編集]
期間 | 虐待死(人) | 心中死(人) | 計(人) |
---|---|---|---|
2004(H16). | 1. 1 - 2004(H16).12.3150 | 8 | 58 |
2005(H17). | 1. 1 - 2005(H17).12.3156 | 30 | 86 |
2006(H18). | 1. 1 - 2006(H18).12.3161 | 65 | 126 |
2007(H19). | 1. 1 - 2008(H20). 3.3178 | 64 | 142 |
2008(H20). | 4. 1 - 2009(H21). 3.3167 | 61 | 128 |
2009(H21). | 4. 1 - 2010(H22). 3.3149 | 39 | 88 |
2010(H22). | 4. 1 - 2011(H23). 3.3151 | 47 | 98 |
2011(H23). | 4. 1 - 2012(H24). 3.3158 | 41 | 99 |
日本の行政というものの運営の実態が、非常に怠慢で、縦割り行政を改善する努力が不足していて連携不足で、大人(特に大人の男性が多い)を「見殺し」にしてしまっていることが指摘されている[90]。ようやくわずかながらに連携をとりはじめたのは2011年や2012年のことである。
子供の心中以外の虐待死でも、実は、貧困な家庭が多く、まず大人のほうが貧困状態に追い込まれてしまっている事例が多い。因果関係をたどると、日本では、まず親(大人)が社会的に追い込まれて(つまり、大人が社会的、行政的に放置され(一種の社会的虐待を受けている)ことによって、その結果、子供にまで累禍が及んでいる事例が多い。よって日本では、児童虐待について考察する時、ただミクロ的、表面的に子供に起きている事象にだけ視線を向けるのではなく、そもそも、日本の社会、日本の行政においては、果たして人間全般が大切に扱われているか? 日本では大人(親)はどういう状況におかれているか? 果たして日本の行政では大人(親)はまともに人間として扱われているのか? 行政の怠慢が原因で、日本の大人の中に人間らしく生きられないほどに追い込まれている人が多いのではないか? ということも十分に考察する必要がある。
心中以外[編集]
厚生労働省の平成20年度(2008年度)の統計によると、1年間で64例67人の児童(幼児)が虐待死している[91]。死亡した児童の年齢は0歳児が59.1%で最も多く、1歳児は14.1%で、死亡した児童の88.5%が0 - 5歳、同年の統計の最年長は16歳[91]。
嬰児殺は1940年代後半には400件近くあったものが、2000年には33件となっている[92]。
通常の虐待事例と同じく、加害者としては実母が最も多く[91]59.0%で、実父は16.4%、母の交際相手は4.9%である[91]。また望まない妊娠/計画していない妊娠が31.3%あり、10代の妊娠が22.4%である[91]。養育者については実父母が44.8%、一人親(未婚)が19.0%、内縁関係が15.5%であった(判明したもののみ集計)[91]。加害の動機については、「しつけのつもり」(22.7%)、「子どもの存在の拒否・否定」(11.9%)、「泣きやまないことにいらだったため」(11.4%) などがある(動機が判明しているもののみを集計)[91]。特殊なものとしては「保護を怠ったことによる死亡」が6.0%、代理ミュンヒハウゼン症候群が4.5%、妄想などの精神症状が3.0%である[91]。また揺さぶられ症候群による頭蓋内出血による死亡は平成18年1月から平成20年3月までの間で1件であった[91]。
なお、平成20年度(2008年度)の統計では「子どもの暴力などから身を守る」、「慢性の疾患や障害の苦しみから子どもを救おうという主観的意図」などの子供の側の要因による殺人は1件もない[91]。
日本法医学会の「被虐児の法医解剖剖検例に関する報告、第2回調査、1990〜1999年」によれば、被虐児の死亡例459人中、加害者は、実母49.2%、実父15.9%、継父10.0%、実母と実父9.6%であった[93][94]。
1人か2人の義理の親と住んでいるこども子どもは、実の親とのみ暮らしている子どもの、およそ70倍~100倍もの致死的な虐待を受ける危険性がある[95]。
児童の虐待死のうち、事前に児童相談所に通報が無かったものは79.5%[96]であり、児童相談所が把握しているのは実際の虐待の一部分だけである。
心中[編集]
厚生労働省の平成20年度(2008年度)の統計によると、1年間に心中に際して殺された児童は43例61人であった[91][97](心中未遂で子どもは殺されたが加害者が死亡しなかった事例を含む)。殺された児童の年齢については、心中以外の場合のような極端な偏りはないものの、0歳が11.7%、1歳が6.7%、2歳が3.3%、3歳が8.3%で、3歳以下が30.0%を占めている[91]。同年の統計の最年長は16歳。主たる加害者の7割は実母で[91]、心中以外の事例よりも実母の割合が高い(この場合「心中」といっても、「同意ある二つの自殺」ではなく、「一つの殺人と一つの自殺」である。つまり無理心中である)。
典型的な虐待死を放置する児童相談所の怠慢[編集]
2016年(平成28年)1月に埼玉県狭山市のマンションで、3歳の女児が死亡しているのが見つかり、母親とその内縁夫が女児の火傷を放置したとして保護責任者遺棄容疑で逮捕され、女児の体から暴行痕も見つかった事件が発生した。山梨県立大学の西澤哲教は、について、母親が10代で出産したシングルマザーで別のパートナーがおり、女児が乳幼児健診を受けていなかったことを挙げ、「虐待の典型」と指摘した[98][99]。しかし、この児童相談所による児童見殺しともいえる事案[100]については、狭山警察署が2回臨場しているものの、管轄の所沢児童相談所はまったくこれを放置し、事後に「警察が通告しなかったのが悪い」と開き直っていて、虐待死見逃しという職務怠慢に対する反省が全くみられない[要出典]。
行政の怠慢[編集]
2017年(平成29年)5月に兵庫県姫路市で、次男に暴行を加え重傷を負わせたとして夫婦が傷害罪で起訴される事件があったが、この際、市が虐待の事実を把握していながら、虐待のリスクを「緊急性が低い」などと過小評価して、一時保護などの対応を取らなかったことが判明している[101]。
犯罪[編集]
2014年3月に埼玉県川口市で17歳の少年が金銭目的で祖父母を殺害して強盗殺人容疑で逮捕され、裁判で懲役15年の判決が下った[102]。証言から、少年は実母と養父から身体的・性的虐待を受けてきてこと、小学5年生から学校に通わせてもらえず野宿などをしながら各地を転々とし、義父と別れたのちも働かない母親の命令で、少年が被害者である祖父母や親戚に借金を繰り返し、盗みや就労で生活費の工面をし、異父妹の面倒も見ていたことなどがわかった[102]。裁判では、長期にわたる虐待により学習性無力症となり、虐待児によく見られる「見捨てられ不安」を利用した母親の心理的操作の影響を受けた結果の犯行であることが指摘され、少年が極悪な環境にいることを感じながら周囲の大人や社会が救えなかったこと、一度接触のあった児童相談所が虐待を見逃したことなども問題視された[102]。
欧米における児童虐待[編集]
日本における虐待通告相談件数は拡大し続ける一方で、社会的養護の受け入れ可能数は、施設・里親合計しても5万床であるがゆえに、通告の90%以上の子どもは自宅に戻されるため、戻された子どもは不適切な養育環境の中で居続けるという懸念を表明する者もいる。また、通告相談件数も、OECDの子ども人口と保護児童数の比率(2007年)ではフランス・カナダ・デンマークでは人口の1%を、ドイツなどでも0.8%を保護する中で、日本の0.17%の低さを虐待が未だ顕在化していないとの意見もある[103][104]。
アメリカ合衆国[編集]
米国では1960年代から児童虐待が社会問題として意識されるようになった[105]。1970年代に入り連邦政府による取り組みが始まり、州レベルでも多角的で多様な対策が講じられている[105]。国家レベルで扱っている組織としては「National Alliance of Children's Trust Funds」および「Prevent Child Abuse America」が挙げられ、どちらも各州にメンバー(支部)がありそれらを束ねている。また、連邦政府のChildren's Bureau[106]がある。州レベルでは、各州政府の児童保護サービス(Child Protective Services, CPS)がある。
各州政府[編集]
米国では児童福祉についての一次的責任は各州が負っており、州ごとに法令や行政の取組みを行っている[105]。しかし、連邦政府からの助成を受ける要件を満たすよう連邦政府の方針に従った整備が行われており、施策の平準化・統一化や組織間の連携がなされている[105]。
なお、米国各地域のChild Advocacy Center(CAC)によって、児童虐待に関する調査が行われている。このChild Advocacy Centerというのは、最初はアラバマ州のハンツビルで地方検事のRobert Cramerによって構成されたチームで、児童虐待についての捜査を迅速かつ効率的に行い、最終的には子供のトラウマを減らしたりすることを目的としていた。
アメリカロスアンゼルス群では虐待対応組織はDCFS (Department of Children and Family Services)であり、全ての人に通報の義務があり、通報後に深刻度により2時間以内(通報を受けたら直行する)、3日以内、5日以内(シビアな事例ではないが、調査は必ず行う)に対応するレベル分けがされる。虐待者が援助プログラムに同意した場合には、カウンセリング等のかかわりが開始される。一方で虐待の事実はあるが、虐待者同意しない場合にはDCFSが親を説得する事実が必要であるため「戦略」と「ネゴシエーション(交渉)」を続けるものの、最悪の場合子どもが死んでしまっても、親が同意しなかったということになり、DCFSの責任は問われないこととなっている[107]。
連邦政府[編集]
連邦政府は1974年に保健福祉省に児童虐待及び放置全国センター(National Center on Child Abuse and Neglec、NCCAN)を設置するとともに「児童虐待の防止及び対処措置法」を制定した[105]。
米国政府は、児童虐待を防止するためにいろいろな施策を行っている[108]。
- 看護師による家庭訪問‥‥妊娠中と生後2年間は、看護師が定期的に子どもを訪問する
- 親教室‥‥育児の仕方、利用できる制度・組織について説明する
- 子どもへの安全教育‥‥良いタッチと悪いタッチの区別を子どもに教える
- 育児のサポートグループ
- 養子制度
- 緊急時のホットライン、Crisis Nurseries 緊急収容施設
また間接的な施策として、
統計[編集]
2010年の保健福祉省による報告(NIS-4)では、身体的虐待・性的虐待は6割以上の減少傾向にあるとしている[111]。ただし、精神的ネグレクトは1割程度の増加傾向にある[111]。
なお、米国では、有形力の行使による児童懲戒が認められており、「虐待」とはみなされていない。ある調査によれば、大人の82%は、「子どもの頃に、親にスパンクされたことがある」と答えている。また、多くの人は「親によるたいていの体罰は、虐待ではない」と答えている[112]。日本のある育児雑誌が読者アンケートを行ったところ、回答した親の62%は「子どものおしりをたたくことがある」と答え、55%は「子どもの頭をたたくことがある」と答え[113]、「子どもをたたかない主義」と答えたのは12.2%であった[114]。
ミネソタ大学の「早期教育と発達のためのセンター」は、罰の使用について、「教育的な雰囲気の中で、良い行いに対するポジティブな賞賛やご褒美などと共に、軽い罰を例外的に使用するのであれば、罰の使用は容認できる」としている[115]。
米国の裁判所や 児童保護サービス(Child Protective Services)は、親の処遇を決める際に、次の諸点を考慮している[116]。
- 子どものケガの重さ
- 子どもの年齢と発達の度合い
- 体罰の方法
- 体罰の頻度
- 体罰が子どもの精神や発達に与えた影響
- 体罰の動機(目的)
米国児童保護サービス(CPS)は、2013年には約67.9万人の児童が虐待の被害者となったとしている[117]。
児童の年齢 | 不適切行為 | 虐待 | ネグレクト |
---|---|---|---|
0- 2歳 | 33.4 | 27.3 | 6.1 |
3- 5歳 | 34.9 | 26.8 | 9.9 |
6- 8歳 | 42.4 | 33.1 | 13.1 |
9-11歳 | 38.3 | 30.4 | 10.9 |
12-14歳 | 37.6 | 28.6 | 12.6 |
15-17歳 | 29.0 | 21.6 | 10.9 |
重症度 | 白人 | 黒人 | ヒスパニック・ラテン系 |
---|---|---|---|
深刻 | 4.6 | 8.8 | 5.2 |
中程度 | 7.2 | 13.7 | 8.1 |
強く疑われる | 0.7 | 1.5 | 0.8 |
計 | 12.6 | 24.0 | 14.2 |
フィンランド[編集]
フィンランド国立健康福祉研究所は、児童虐待を予防するために、育児の重荷を分かち合うことを勧めている[120]。
- 母親は、小さい子どもを虐待することがある
- 母親が支援なく放置されると、子どもを虐待することがある
- 母親は、育児のストレスや重荷を分かち合う人を必要としている
- 人間の子どもは、非常に多くの世話を必要としている
- 人間の子どもは、自立するまでに長い時間がかかる
- 一人で育児が出来るという人はいない
- 親の利益と子の利益は完全には一致しない
- 複数の大人が育児に関わると、子どもの発達は促進される
オーストリア[編集]
オーストラリアでも(一財)自治体国際化協会シドニー事務所によると、家族法に親子断絶防止のため条項が2006年明記され「親の権利」が強化されたが、面会中に児童が親に殺害されるなどの事件を受けて、2011年にさらなる法改正が行われ「フレンドリー・ペアレント」条項は廃止されて親の権利より子供の安全が重視されて面会交流の制限なども実施されている[121]。
ドイツ[編集]
代替的養護の利用者数は2012年12月末現在、里親養護が64,851人、施設養護が66,711人で、総人口に占める代替的養護(家庭外ケア)の割合は人口1万人中13.8人(2010年)である。ドイツの少年局は、児童及び青少年の福祉が急迫の危険にさらされていれば、事前の親の同意または家庭裁判所の関与がなくても、行政行為の一つとして、子どもを緊急かつ一時的に保護することができる。行政による児童虐待への対応が遅れて死亡事件が発生したため対応強化が図られている。また、ドイツ民法における親権に懲戒権は含まれていない[122]。
注釈[編集]
- ^ 平成13年3月30日大阪地裁判決。平成25年8月29日東京地方裁判所判決 平成21年(ワ)第25349号
脚注[編集]
- ^ a b OECD 2011, p. 247.
- ^ a b c d 英国国立医療技術評価機構 2009, Introduction.
- ^ a b c d e f g h i j “Child maltreatment”. 世界保健機関. 2015年7月1日閲覧。
- ^ a b 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
- ^ 各地域の児童相談所電話番号一覧:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv30/zisouichiran.html
- ^ 児童相談所全国共通ダイヤルについて:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/
- ^ “児童相談所全国共通ダイヤルについて”. 厚生労働省. 2019年12月4日閲覧。
- ^ definition CDC
- ^ New York Times 2009.12.15
- ^ Battered Child Syndrome[リンク切れ]
- ^ Fontana VJ (October 1984). “The maltreatment syndrome of children”. Pediatric Annals 13 (10): 736–44. PMID 6504584.
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- ^ “児童相談所事業概要2017年版”. 東京都福祉保健局. 2018年4月28日閲覧。
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関連項目[編集]
外部リンク[編集]
政府機関・国際機関
- Child maltreatment - WHO
- Child Abuse Prevention - 米国CDC
- Domestic violence and abuse - NICE Pathway
- 厚生労働省 - 児童虐待防止対策
- 子育てに悩んでいる方へ 日本政府によるテレビCM
その他
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