コンピュータソフトウェア倫理機構
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コンピュータソフトウェア倫理機構( - りんりきこう、Ethics Organization of Computer Software、EOCS)は、日本のアダルトゲームを中心としたゲームなどの倫理的な規制及び審査を行う一般社団法人。略称は「ソフ倫」。
本団体による審査は法的拘束力はない自主規制のための審査で、審査を通さなくともアダルトゲームは発売できる(成人向けの同人ゲームは対象外)。しかしソフ倫側は審査を通さないソフト(コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)メディア倫理委員会(メディ倫))の審査済みソフトは除く)は流通させないよう流通業者に通達しており[1]、また青少年保護育成条例が施行されている46都道府県のうち21府県でゲームの販売規制を行う際の指定審査団体としてソフ倫を指定していることから全国的に見てもアダルトゲームの発売において、ソフ倫およびコンテンツ・ソフト協同組合(CSA)などによる審査は事実上必須となっている。
家庭用ゲームの審査はコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の管轄となる[2]。
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[編集] 設立経緯
ソフ倫の設立以前におけるアダルトゲームの性描写については規制があまり無く、たびたび問題視されることはあったが、各メーカーの自主性による極めて自由なものであった。ところが、1991年の沙織事件に関連して規制の無い業界への非難が大きくなり、各メーカーは自主規制を強化して18歳未満への販売禁止を明示することで、一時的な解決を図る。しかしその後、18歳未満販売禁止を明示していなかったいくつかのタイトルが宮崎県により有害図書に指定される事件[3]で再び対応を迫られ、かねてから希望する会員企業に「パソ協シール」と呼ばれる独自の18禁シール(添付に際して特に条件は無く、企業の自主判断により添付されていた)を配布していた日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA、現コンピュータソフトウェア協会)からの働きかけを受け、JPSAに加盟していた当時のパンサーソフトウェアが中心となって大手数社との話し合いを行い、ソフ倫が設立。しかし、こういった設立の経緯から、一部メーカーへ利権が発生しているのではないかと業界内外からの批判が付きまとうようにもなった。
設立当時は一般ソフト作品(便宜上の全年齢対象)と18禁ソフトという2種類で審査を行っていたが、1994年6月より15禁のレイティングに該当する「R指定」のカテゴリが追加される。これは、ジャパンホームビデオの『卒業II 〜Neo Generation〜』が「性表現以外の理由」(未成年者の飲酒や喫煙)を含んでいたために18禁とされたことに対する抗議を受けたものと言われている。
やがて、PCにおけるビデオCDやDVD再生環境の普及に伴い、これらの分野でも審査業務を行うようになった。DVDについては日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)でも審査が行われており、両団体には審査基準に若干の違いはあるものの、相互に審査結果を尊重する旨の覚書を交わしている。そのため、市場では同等の扱いを受けており、いわゆるインディーズとは区別される。
なお、ソフ倫ではDVDの対話的機能を利用したゲームの統一名称として「DVDプレイヤーズゲーム」を提唱している。
2009年度現在の役員構成はネクストンの鈴木昭彦が理事長、イーアンツの有田昭久とエイチエスの齋藤博が副理事長、スクウェアの梅村幸弘とデジアニメの菅野洋紀が監事を担当。また、レインソフトウエアの大月健一郎、グリーンウッドの服部道知、チャンピオンソフトの白木慶喜、アイワンの中岡誠がそれぞれ理事を担当している。
2009年4月28日には任意団体から一般社団法人となった。
[編集] 審査
審査方法には完成品を元に審査する事前有料審査と、作品の一部分のみを審査し残りはメーカーの自主規制に任せる自主審査の2通りがある。
審査を通過した製品には、以下の3種類の「統一シール」が貼付され、店頭販売される[4]。
- 18歳未満者への販売禁止ソフト作品=18歳未満販売禁止(18禁=R18ゲーム)
- 直径25mmの円形のシールで、中央に大きく「(18)」とプリントされ「18歳未満お断り」と添えられている。
- 一般ソフト作品制限付=15歳未満販売禁止(いわゆるR指定)
- 直径25mmの円形のシールで、中央に大きく「(R)」とプリントされている。性的描写の度合いは低めなのが多く、また、暴力や犯罪行為などの描写が含まれることもままある。
- 一般ソフト作品(全年齢対象)
- 縦10mm、横20mmの長方形のシールで「EOCS 審査済」とプリントされている。CEROの全年齢対象に比べれば基準は緩く、恋愛や半裸、下着の露出程度の描写までなら一般ソフト作品として扱われることもある。
加盟会社は販売する全ブランドの作品を審査にかけなければならず、性的描写が一切ない非アダルトゲームや素材集のような非ゲームソフトも審査の対象となる。また審査は暴力やその他反社会的な表現にはあまり行われずもっぱら性的な表現に対して行われてきたが、近年では暴力表現などにも取り組んでいる。
[編集] 問題点
前述の通り審査方法は2つあるが、実際には自主審査を選ぶメーカーが圧倒的に多い。しかし製作上のミス(モザイクのかけ忘れや無修正画像の漏洩など)により審査に提出しなかった素材からソフ倫の規定に反する表現が出てしまうため、いまだに自主回収となるゲームがしばしば出ているのが現状である[要出典]。
倫理規程が適用されるようになってからは、実在しない図画人物であっても近親間のいかなる性行為や18歳未満の人物の性描写が禁止され、また、いわゆる学園物のアダルトゲームの世界観も大きく変えた。高校以下の言葉は登場人物のほとんどが18歳未満であることを特定できるため使用禁止になり、代わりに18歳未満であるかどうかがはっきりしない「○○学園、○○学院」、または18歳以上であることが明らかな「○○大学」といった言葉を用いるようになった(詳しくは後述のロリータ系(18歳未満)作品に対する表現規制を参照)。このような変化は1997、1998年頃から起こった。倫理規程適用以前は高校生以下(18歳未満)を取り扱う作品もしばしばあった。
しかし、2003年にソフト卸のホビボックスがそれまでアダルトビデオの審査団体だったメディア倫理協会[5]に加盟したのを契機に、ホビボックスとソフト流通の独占契約を結んでいたアージュ、ニトロプラスなどの一部のブランドがソフ倫を脱退し、成人向けゲームの審査を開始したメディ倫の審査を受けるようになった。これにより、今まで成人向けゲームの審査を独占していたソフ倫がメディ倫の登場により初めて競争にさらされる立場となった。ソフ倫で規制されていた事項の一部はメディ倫では認められていることから、ソフ倫からメディ倫への鞍替えを行うメーカーは少しずつ増えている[要出典]。
上記の事項に関連してか、1999年11月に施行された児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に対応したソフ倫基準の一部変更から、親族3親等以内の性描写の禁止の緩和や一部禁止ワードの撤廃など、基準の緩和も行われ始めた。
CEROにおいてもPCゲームの審査を開始した(性的描写の含まれない作品に限られている)。この機構には昨今メディアミックス展開で一アダルトゲームブランドから家庭用ゲームにも参入し、急成長を遂げたアクアプラス[6]の他、アーベルも加盟している。なお、アクアプラスに関しては最近の作品においてソフ倫とメーカー、ユーザーの3者間での軋轢を起こしたこと[7]から調整が行われている。
このため、倫理基準の濫立の危機があるというコメントもある。アメリカにある同種の団体であるエンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(ESRB)のような家庭用ゲーム等の倫理基準とも統一した団体の設立を望む声もある[8]。
このことに関しては前出の通り、2006年4月より経済産業省の指導で映倫等と共に映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)において審査基準・表示の一本化を協議することが決定している[9]。
[編集] 自主規制団体であること
ソフ倫は「沙織事件」が設立の引き金になったことからもわかるとおり自主規制団体であり、行政指導や逮捕者を出さないことを前提に活動している。そのため、親族3親等以内の性描写は禁止(現在は解禁)し、また刑法では犯罪に繋がらない18歳未満の登場人物の性交渉表現でも自主的に規制をしている。
最近ではバーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会、警察幹部によるテレビ局や国会議員などへの直接的働きかけ[1]など、警察、一部マスコミ、女性団体、宗教団体などの主導による批判が行われている。
[編集] 近年のおもな規制について
[編集] ロリータ系(18歳未満)作品に対する表現規制
- 年齢や外見などの設定によらず(18歳以上という設定であっても)、「ランドセル」「園児服」に関する性表現が禁止。
- 登場人物のほとんどが18歳未満であることが明らかだという理由から、アダルトゲーム(特に性表現を含む場面)では以下のキーワードがNGワードとして指定され、使用が禁止されている。
- 乳児・赤子・稚児
- スチューデント・生徒・生徒手帳・童子・童女
- ロリ・ロリータ・ロリコン
- 幼児・幼女・幼稚園児
- 児童・小学生・小学部・初等部・学童・修学旅行
- 中学・中学生・中学部・中等部
- 高校・高校生・○高生・現役受験生・女高生・女子高生・高等学院・高等部・ハイスクール
ただし、18歳未満であるかどうかがはっきりしない「女子"校"生」「○○学園、○○学院」、18歳以上であることが明らかな「女子"大"生」「○○大学」といった言葉の使用は禁止されていない。
詳しくは「【第6回】 平成18年10月20日(金)――資料4 美少女ゲーム(成人向けPCゲームソフト)業界の概要」を参照のこと。
[編集] 業界団体としての役割
ソフ倫には自主規制団体の役割だけではなく、アダルトゲーム企業のまとめ役としての機能もある。
例えば、違法コピー対策としてのコピープロテクトやアクティベーションの規格をまとめて業界に推奨したりゲーム製作者を目指す学生に対して奨学金を支給するなど、業界振興のための活動を行っている。
また販売店における分別陳列や年齢確認等の販売店における指導なども行っており、近年は萌えゲーアワードを後援するなどの活動も行っている。
なお、2006年4月から、経済産業省の指導により、以下の団体と映像コンテンツ倫理連絡会議(仮称)で審査基準・表示の一本化を協議する。
[編集] 脚注
- ^ 「青少年の健全な育成のためのコンテンツ流通研究会報告書」 経済産業省、2006年4月18日、5頁。
- ^ ただし、非アダルトPCゲームの一部においてもCEROの審査を受けているのがある。
- ^ 『電脳学園I』で指定を受けたガイナックスが最高裁まで争ったが、敗訴した。
- ^ レーティングの紹介
- ^ メディ倫。現コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)メディア倫理委員会
- ^ アクアプラスでは家庭用ゲーム(PS2・PS3・PSP)のソフトに対しCEROへの審査を依頼しているが、PCゲーム(一般ソフト作品)に対しては依然ソフ倫への審査を依頼し続けている(ソフ倫の規程による)。
- ^ 有名なものとしてはリニューアル版『雫』の設定変更。
- ^ ソフ倫は現在までのところ、加入は義務としていないため、ESRBのそれとは似て非なるものとなっている。
- ^ 「ネットコンテンツも「18禁」など明確化を、経産省の研究会が報告」 INTERNET Watch(Impress Watch)、2006年4月19日。