振り込め詐欺

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振り込め詐欺(ふりこめさぎ)は、電話はがきなどの文書などで相手をだまし、金銭の振り込みを要求する犯罪行為である、詐欺事件の総称として警察庁が使用を決めた名称。

従来、オレオレ詐欺なりすまし詐欺架空請求詐欺融資保証金詐欺などと呼ばれていたが、手口の多様化で名称と実態が合わなくなったため、2004年12月9日に、警察庁によって統一名称として「振り込め詐欺」と呼ぶことが決定された。

当初から長年、振り込み詐欺と言われたが、「振り込み」では納得して自ら振り込みをする意味合いとなるため、あくまで「振り込め」と人から言われている、騙されていないかとなど、どの時点でも注意や再考を喚起するようにと「振り込め詐欺」へと統一を図った経緯がある。

2009年時点では金銭授受の方法が振込だけではなく、指定場所へ持参させる・宅配便や郵便で送付させる・代理人が被害者の自宅に受け取りに現れるなど多様化しているが、こうした詐欺行為も「振り込め詐欺」と同種のものとして注意が喚起されている[1][2]

目次

[編集] 概要

[編集] 発祥

現在のような電話を利用した振り込め詐欺が活発化したのは21世紀に入ってからだが、1915年にはすでに島田三郎に対する電報による詐欺未遂事件が発生していた([1])。ただし、この事件では口座ではなく為替による送金が指示されていた。

この種の詐欺が広く知られる様になったのは、「若い人の声で高齢者に電話をかけ、子や孫を装ったうえで困窮した状況を訴え、金が必要としてだまし取る」[3]という犯罪を紹介して注意を喚起する報道がなされた事からである。当初の手口は、手当たり次第に電話をかけたり、電話帳に掲載されている氏名から一人暮らしの高齢者と推定される人を選んで電話をかけ、電話口に出たのが高齢者と見るや単に「オレオレ」と「名乗り」遠隔地に住む子や孫であると錯覚させる。そのうえで、悲哀に満ちた声や緊迫に満ちた声で困窮に陥って居る事、例えば、悪徳金融業者から大金を借り直ぐに返さないと酷い目に遭わされる、交通事故や医療事故を起こして直ぐに示談金や慰謝料を払わないと収監される、などの状況を装い、所定の口座へ大金を振り込む様に仕向ける。第一声が「オレオレ」である事から、俗に「オレオレ詐欺」と呼ばれた。新聞やテレビなどの報道機関が手口を詳細に報道したため、逮捕された犯人が「新聞を読んで、これなら自分もできると思った」と自供するなど、報道がかえって模倣犯を激増させた。

[編集] 展開

当初は詐欺を行う犯人が専ら1人で子や孫を演じていたが、「債務者」であると装って困窮を訴えるのに加えて「債権者」役の人も電話口に出て「至急返済がなされなければ酷い目に遭わせる」と脅迫する手口も使われる。一方で、演じる対象を通勤に出た夫をはじめとする家族や親類に拡げて「交通事故」「痴漢」「横領」「傷害事件」「暴行事件」「借金返済」などの加害者や債務者に仕立てる手口も使われる。危害を受けた被害者やその関係者、駅員、警察官、弁護士等の役割分担を行って多人数で演技を行い、更には背景にサイレン等の効果音を流すなどの演出も行われた(劇団型犯罪)。プリペイド式携帯電話を駆使して、異なる人物が異なる電話からかけてきたり、被害者を装う人間に電話をかけさせるなどして全体として困窮に陥ったシチュエーションを演出する手法もとられた。その一方で、本物の親類へ確認をとる連絡を妨害するために、詐欺をしかける相手の家族の電話番号まで調べ上げて、予めその親類へ電話して話を長引かせて「話し中」としたり、いたずら電話を何回もかけて携帯電話の電源を切らせるなどの手法もとられた。「オレオレ」ではなく、個人名を名乗るケースも増えた。また、個人情報を入手して、相手の職業等に応じたシチュエーションを演出する事も行われる様になった。例えば、教員が教え子に淫らな行為や暴力行為をはたらいて示談金や治療費が必要として家族に振り込ませる、医師が医療ミスを起こして示談金や慰謝料が必要として家族に振り込ませる、等。

初期には単独犯や数人での犯行であったものが、徐々に大規模な組織を構成するようになり、組織内でマニュアルを作成したり訓練を行っているとの事例も伝えられる。また、暴力団との繋がりを指摘したり、詐取した金が暴力団の資金源になっている、とする報道もある。

単に「オレオレ」と名乗って詐取する手法から派生して千差万別の手口が用いられる様になったことから、2004年12月9日に、警察庁によって統一名称として「振り込め詐欺」と呼ぶことが決定された。

[編集] 対策

対策としては、この様な詐欺の例を周知すると共に、振り込め詐欺の容疑者相手に対し販売目的で作った他人名義の口座(架空口座)の作成や取引を禁じる立法や口座新規作成の場合に入金元を開示させる規定、また、プリペイド式携帯電話販売時の身元確認を厳しくしたり、譲渡を禁ずる立法がなされた。その他に、振り込んでから詐欺と気付いて口座の利用停止を求めた場合、従来は口座名義人に不便を強いる訳には行かないとして金融機関が口座利用停止処置を拒み、振り込んだお金が下ろされていくのを指をくわえて見守るしかなかったが、次第に口座利用停止や強制解約の要請に応じるようになり、残った預金から返還を受けられる例も増えている。

警視庁としては2004年度、全国に先駆けて副総監を本部長とする対策本部を設置。その後、道府県警本部もこれに倣い対策本部を設置し専門の捜査班、技術班を編成し公式ウェブサイト上でも広く市民へ対策を呼びかけている。

2007年には、振り込め詐欺の被害金救済の為に振り込め詐欺で使われていた口座を凍結させ、被害者に還元する「被害金返還法案」を自民党がまとめ、自民党内などから了承を得た後に2007年度の国会へ提案、審議される予定である。

[編集] 現状

手法が周知され、電話口での対応法や対策も広く知られる様になった。その一方で、この様な詐欺があると承知していても、いざ、電話で緊迫した声、悲哀に満ちた声を聞かされると、冷静さを保つのは困難で、どうしても犯人のペースに乗せられやすいという実験も紹介されている。また、被害者に対する調査では、大半がこの様な詐欺の存在を承知しており、調査の一例において28%の人は行員等に振り込め詐欺の可能性を指摘されているにも関わらず大金の送付を実行してしまったという。各種の対策はなされているが未だに類似の詐欺の根絶には至っていない。

また、ある手口が紹介されて警戒が求められると、更に手の込んだ手口を弄して詐取にかかるなど、いたちごっこの様相もある。被害が続出する一方で、犯人はプリペイド式携帯電話や裏で売買されている別人の口座(架空口座)を駆使して身元を隠すため、逮捕するのは困難である。

銀行のATMコーナーで銀行の職員が振り込め詐欺(おれおれ詐欺)の警戒にあたる様になると、コンビニATMオンラインバンキングから送金する様に指示するケースもあった。最近では、銀行口座の利用を避けて、現金を私設私書箱に送付させたり、宅配便バイク便エクスパック500普通郵便で指定の住所に送付する様に要求するケース、被害者宅に直接訪問してきた弁護士や会社の上司を名乗る人などに多額の現金を手渡してしまうケースもある。これと同様に代金引換郵便を悪用し多額の現金を騙し取られるケースもある。これらは「振り込まない」詐欺と言える。

その他に金策の手段として消費者金融でお金を借りるように指示され、借り受けた現金を即座に指定の銀行口座に振り込ませたり指定の住所に送付する様に強要されるケース、現金自動預け払い機からの現金での振り込みが10万円までと制限されたため、10万円を数回に分けて振り込みを指示するケースやキャッシュカードを使って多額の現金の振り込みを指示するケースもある。

地域では加害者、被害者、被害金額とも関東(特に東京都)が最も多く、東京、千葉神奈川埼玉の1都3県で半数超[4]、被害額の8割が首都圏で引き出されている[5]

検挙率は極めて低く、2004年度の検挙率はわずか5.2%にとどまっている。その後、対策本部の設置などにより幾分検挙率は上がったが、それでも2006年度の検挙率は16.0%にとどまっている[6]

[編集] 詐欺の具体的手口

  • 高齢者などを狙い、「俺だよ、オレオレ」「わたし、わたし」「お母さん……」「久しぶりだけど、覚えてるかな?」などと孫や子、兄弟、親、知り合いなどの縁者を装った電話をかけ、「交通事故を起こして示談金が要る」など、虚偽の急用を訴えて口座に送金させ、金銭をだまし取るというものである[7]
  • また、犯人グループは、振り込ませた金融口座から引き出す役の人間を「出し子」、金融口座を使わずに直接接触して現金を受け取る役の人間を「受け子」という俗称で呼ばれている。

[編集] 被害者

  • 被害者(連絡を受け、直接入金手続きを行った者)は2003年女性が約7割、60歳以上が全体の約8割。被害世帯の半数以上は、家族構成が65歳以上だけの『高齢者世帯』。
  • 2004年以降は、主婦の被害が急激に増えている。
    共通する特徴として、あまり働いておらず自分自身で生活を支えるほどの賃金を得ていない者が大多数を占めていることが挙げられる。

[編集] 防犯対策

警視庁では、本人かどうかを確認することやすぐ警察に相談することを対策として挙げている[8]

[編集] 振り込まれた側の対策など

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もっぱら振り込まないようにしようと警告することが多いが、”振り込まれた側”については対策がほとんどできていない現状があった。後で振り込め詐欺であったことに気づいても、口座から返金を求めることがほぼ不可能であり、名義人の個人情報の開示、および口座の停止または強制的な解約ができない問題があった。

”振り込まれた側”に関する情報をほとんど引き出せない問題を防ぐため、預金保険機構のウェブサイト内にある「振り込め詐欺救済法に基づく公告」にて、振り込め詐欺で利用された(または可能性のある)口座の一覧が公開され、振り込み前に口座を確認できるようになった。

[編集] 日本以外の事例

中国では2008年の2ヶ月間の間に2億8千万円もの被害が出たと報告された[9]。2009年6月には中国公安省が、1年間のあいだに電話やメールを使った振り込め詐欺2万8,000件を摘発、容疑者7,000人の拘束を明らかにした[10]

韓国では「電話詐欺」もしくは「ボイスフィッシング(voice phishing)」と呼ばれている。近年その手口が巧妙化しており、新型インフルエンザを装う振り込め詐欺が発生したとして韓国政府が国民に向け注意を促した[11]

2009年5月には、ブルネイ国王インドネシア選挙に絡んだ振り込め詐欺に遭い、200億ルピア(約2億円)をだまし取られた[12]

[編集] 振り込め詐欺救済法制定

[編集] 脚註

  1. ^ 警察庁 (2009年9月25日). “警察庁・振り込め詐欺トップ” (日本語). 2009年9月29日閲覧。
  2. ^ 警視庁. “振り込め詐欺・警視庁” (日本語). 2009年9月29日閲覧。
  3. ^ この種の詐欺は古くは1986年に発生している。東京在住の当時67歳の女性が、「もしもし、僕だよ」と電話をかけてきた「高校生の孫」と「孫の担任」の要求により計31万円を詐取された。電話で孫と担任を一人で演じた42歳の犯人の男は、同様の手口で他にも10件の事件を起こしていた。ただし金銭を口座に振り込ませるという手口ではなく、担任を名乗る犯人が女性に直接会い現金を受け取っているので、厳密には振り込め詐欺ではない。(取違孝昭『詐欺の心理学』、ブルーバックス、1996)
  4. ^ おれおれ詐欺被害が急増=中国から警察官装う手口-1都4県に集中・警察庁まとめ時事ドットコム
  5. ^ 「出し子」の写真公開 振り込め詐欺 8割首都圏で引き出し 千葉県警(ちばとぴ ちばの耳より情報満載 千葉日報ウェブ
  6. ^ 警視庁発表資料(PDF)
  7. ^ 警視庁の対策ページ
  8. ^ 振り込め詐欺 - 警視庁
  9. ^ 中国でも振り込め詐欺多発、2カ月で被害2.8億円 サーチナ 2008年11月20日
  10. ^ 「振り込め」で7000人拘束 中国、昨年6月から 産経ニュース 2010年6月19日
  11. ^ 新型インフルで振り込め詐欺 韓国 | 日テレNEWS24
  12. ^ ブルネイ国王が振り込め詐欺に!?被害ナント2億円 ZAKZAK 2010年6月1日
  13. ^ 振り込め詐欺救済法について 金融庁

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

警視庁ホームページ内、2006年夏迄の被害状況や具体的手口について、犯罪者の証言も交えて紹介。
警視庁のホームページ内、実際にかかってきた振り込め詐欺の録音がある。
振り込め詐欺に指定されている口座の一覧
架空請求などで振込先に指定している口座の一覧が公開されている。
預金保険機構ホームページ内、振り込め詐欺に指定されている口座の一覧が公開されている。


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