チーズ

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チーズの盛り合わせ
スイスバーゼルのチーズマーケットで撮影
チーズ(pasteurized process, American, without added vitamin D)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,553 kJ (371 kcal)
3.7 g
糖類 2.26 g
食物繊維 0 g
31.79 g
飽和脂肪酸 18.057 g
一価不飽和 8.236 g
多価不飽和 1.286 g
18.13 g
トリプトファン 0.232 g
トレオニン 0.772 g
イソロイシン 0.938 g
ロイシン 1.716 g
リシン 1.516 g
メチオニン 0.475 g
シスチン 0.11 g
フェニルアラニン 0.939 g
チロシン 0.916 g
バリン 1.187 g
アルギニン 0.518 g
ヒスチジン 0.546 g
アラニン 0.613 g
アスパラギン酸 1.551 g
グルタミン酸 4.073 g
グリシン 0.359 g
プロリン 1.788 g
セリン 1.093 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(31%)
250 µg
(1%)
80 µg
0 µg
チアミン (B1)
(1%)
0.015 mg
リボフラビン (B2)
(20%)
0.234 mg
ナイアシン (B3)
(1%)
0.076 mg
パントテン酸 (B5)
(8%)
0.403 mg
ビタミンB6
(4%)
0.054 mg
葉酸 (B9)
(2%)
8 µg
ビタミンB12
(63%)
1.5 µg
コリン
(7%)
36.2 mg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(4%)
23 IU
ビタミンE
(5%)
0.8 mg
ビタミンK
(2%)
2.6 µg
ミネラル
ナトリウム
(111%)
1671 mg
カリウム
(3%)
132 mg
カルシウム
(105%)
1045 mg
マグネシウム
(7%)
26 mg
リン
(92%)
641 mg
鉄分
(5%)
0.63 mg
亜鉛
(26%)
2.49 mg
マンガン
(2%)
0.041 mg
セレン
(29%)
20.2 µg
他の成分
水分 39.61 g
コレステロール 100 mg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
カマンベール
エメンタール(スイスの穴あきチーズ)
ウォッシュチーズ

チーズ英語: Cheese, ドイツ語: Käse, イタリア語: Formaggio)とは、水牛山羊ヤクなどからとれるを原料とし、凝固発酵などの加工をしてつくられる食品乳製品)の一種。日本語での漢字表記は乾酪

概要

家畜の乳は古くから栄養価の高い食品として世界中のさまざまな民族に利用されてきたが、そのままでは保存性に欠ける上、液体のため運搬にも不便である。これらの欠点を補うために水分を抜いて保存性と運搬性を高めたのがチーズの始まりである。その起源は定かではないが、紀元前4000年頃には作られていたと考えられている。日本には、かつて 「そ」と呼ばれるチーズと同様の食品が存在した。

乳にレンネット(凝乳酵素)または食酢レモン汁など)を加え、静置するとふわふわの白い塊と上澄みの水分(乳清、ホエー)に分離する。この白い塊はカード(凝乳)と呼ばれ、これを絞るなどしてさらに水分を除いたものがフレッシュチーズと呼ばれるチーズの原型である。多くの場合はこれに熟成・加工の過程を加えてさまざまな味わいのチーズを作り出す。加工の過程では乳酸菌カビなどを用いて発酵させたり、加温・加圧などの工程を加えて保存性を高めるなどの工夫が凝らされている。

歴史

チーズがどのようにして発見されたのかは正確には定かではないが、「アラブの商人がの胃袋を干して作った皮の水筒に山羊のミルクを入れて砂漠を旅していた途中に、砂漠の疲れとのどの渇きを癒そうと水筒をあけたところ、中からミルクではなく澄んだ水(乳清)と柔らかい白い塊(カード)がでてきた」というのが最初のチーズの発見であるという説が有力だとされている[1][2]

チーズと人の関わり

比較的保存がきく食品であることなどから、人類とチーズの付き合いは長い。

ホメロスの『オデッセイア』にはフェタチーズへの言及があり、古代インドの讃歌集『リグ・ヴェーダ』にはチーズを勧める歌が、ほかにプリニウスの『博物誌』やアリストテレスの著作にもチーズについての記述がある。 日本では飛鳥時代頃から乳牛の伝来と飼育が始まり、酪(らく)、酥(そ)、醍醐(だいご)と言った乳製品が作られるが、この「醍醐」がチーズのことを指すと言われ、「醍醐味」という言葉の起源にもなっている。また、推古天皇の時代には、地方ごとに作られたこの醍醐の品評会が行われたという話も残っている。

イタリア料理パルミジャーノ・レッジャーノチーズモッツァレラチーズ)やテクス・メクス料理チェダーチーズ、モンテレージャックチーズ)など、チーズが欠かせない料理もある。

インドでは、ベジタリアンの割合が多く、一般的にインドのヴェジタリアンは動物の殺生の回避を目的としているため鶏卵も食べない。そのため多くの人が乳製品からタンパク質を補給し、フレッシュチーズのパニールを使った料理が豊富である。インド料理の菜食のメニューの半数程はパニールかダヒヨーグルト)を使っている。

中国にも、チベットヤクのチーズや、料理に用いられるルーシャン大良牛乳などの特殊なチーズがある。

種類

チーズの分類

原料や加工法によってチーズは細かく分類される[3]

チーズの分類
分類 特徴と主な種類
ナチュラルチーズ
(加熱処理されていないもの)
軟質チーズ フレッシュチーズ
(熟成させないチーズ)
カッテージチーズモッツァレラチーズなど。
(熟成させるチーズ) 白かびチーズ
(ホワイトチーズ)
表面に白かびを植えつけて熟成させるもの。カマンベールチーズなど。
ウォッシュチーズ 表面に菌を植え付けて熟成させ、同時にそれをワインや塩水などで洗い流す過程を経たもの。
シェーブルチーズ
(山羊乳チーズ)
山羊の乳を原料とするもの。シェーブルはフランス語で山羊の意。
半硬質チーズ
(セミハードチーズ)
ブルーチーズ
(青かびチーズ)
内部に青かびを植えつけて熟成させるもの。
(その他菌による熟成) ゴーダチーズなど。
硬質チーズ(ハードチーズ チェダーチーズなど。
超硬質チーズ パルミジャーノ・レッジャーノなど。
プロセスチーズ 加熱・溶解させることで発酵を止め、長期保存に適した状態にしたもの。

おもなチーズ

フランスの市場での販売風景
イタリアの市場で撮影

以下は日本で比較的よく消費されているチーズの主要産地別一覧である。さらに詳細なリストはチーズの一覧を参照のこと。

イギリス(cheese)
イタリア(formaggio)
オランダ(kaas)
スイス(Käse)
デンマーク(ost)
フランス(fromage)
ギリシャ(Τυρί、tyrí)
インド(पनीर、panīr)
中華人民共和国(奶酪、乾酪、干酪)
アメリカ合衆国(cheese)
その他

用途

直接食用とするほか、料理の素材、調味、製菓材料として広く使用される。よく用いられるものには下記がある。

料理

菓子

アナログチーズ

厳密にはチーズを名乗れないが、チーズの乳脂肪を植物性脂肪に、乳たんぱく大豆たんぱくなどに一部置き換えたコピー食品としてアナログチーズ(代替チーズ)がある。乳製品を一切含まないものもある。原料コストを抑えられ、ドイツでは年間10万トンが生産されている。日本でも2007-2008年の原料乳価格高騰で注目された。本来のチーズと比べてコレステロールが低い、牛乳アレルギー患者やヴィーガン(動物性食品を全く摂取しないベジタリアン)でも食べられるなどの利点がある。

チーズの加工品

スモークチーズ
プロセスチーズを燻製の製法と同じように燻した加工品。

ギネス

世界最大のチーズは28.5tで1995年カナダケベック州のアグローバ酪農組合がスーパーマーケットチェーンの注文で制作したもの。大人のカナダ人が一年で消費するチーズの2500人分の量に匹敵する。

脚注

文献

アンドリュー・ドルビー『チーズの歴史』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-426-6

関連項目

外部リンク

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