カース・マルツゥ

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カース・マルツ

カース・マルツカス・マルズカッチョ・マルチョ (casu marzu) は、イタリアサルデーニャチーズの一種。別名 casu modde、casu cundhidu、もしくはイタリア語でフォルマッジョ・マルチョ (formaggio marcio) とも呼ばれる。その特徴は生きたが入っていることである。

カース・マルツはサルデーニャ語で「腐ったチーズ」を意味する。日常会話ではうじ虫チーズ、虫入りチーズとして知られている。イタリア語とは異なるサルデーニャ語の発音のため、日本語での表記ゆれが激しく、片仮名表記がいくつも混在している。

目次

[編集] 概説

  • 原産国 - イタリア
  • 原産地 - サルデーニャ
  • 原料乳 - 羊
  • 殺菌 - 無し
  • 食感 - 軟らかい
  • 熟成期間 - 3ヶ月
  • 認証 - 無し

元はペコリーノ・サルドというチーズである。チーズバエ(Piophila caseiチーズバエ科のハエの代表種)の幼虫の摂食に伴う体外消化により通常の発酵を越え、知らない者が見れば腐敗と思う段階まで進む。製造段階で意図的に成虫に卵を産み付けさせるため、この幼虫がつく。

チーズバエの活動は高いレベルの発酵とチーズの脂肪の分解を促進する。チーズは非常に柔らかくなり、サルデーニャ語で「涙」を意味する lagrima と呼ばれる若干の液体がにじみ出す。幼虫それ自身は長さおよそ8ミリメートル程の半透明の白い虫のような外見をしている。虫を触ると最高で15センチメートルの距離を飛び跳ねるためチーズを食べるときは目を保護することが推奨される。食べる前にチーズの幼虫を取り除く人も幼虫ごと食べる人もいる。

[編集] 外見と味

ウォールストリート・ジャーナル』の2000年8月23日版でヤロスラウ・トロフィモフはこのチーズを次のように描写している。

舌をひりひりさせ、体の他の部分にも影響を与えるかもしれない、粘着性で刺激性のネトネトした物体[1]

スーザン・ヘルマン・ルーミスは2002年の Bon Appetit 欄でチーズとの遭遇を報告している。

彼は……サルジニアの伝統的な平パンであるパネ・カラサウを一個つかんで、柔らかくするために軽く湿らせてから、サイドテーブルの上の大きいガラス容器のところに行った。彼は容器を開けて、濃厚なクリームのように見えた何かの塊をすくい取り、パンにはさんだ。彼が食べ終わったあと、私が何を食べたのか彼に尋ねた。すると彼は私を見せるために立ち上がった。容器の内部にあったのは小さい白い虫が動き回っているペコリーノだった。このチーズについて噂を聞いたことはあったが、こんなに近づいたのはこれが初めてだった。彼の友人の曰く、「これがフォルマッジオ・マルシオ(字義は腐ったチーズ)、虫入りチーズだ。これは珍味で、サルデーニャ人の羊飼いに贈るなら最も素敵な贈り物だ。」

このチーズはサルデーニャのパン(パネ・カラサウ)と強い赤ワインであるカンノナウと一緒に食べるのが一般的である。

[編集] 危険性

カース・マルツについてはいくつかの食品安全問題が提起された。

  • アレルギー反応を起こすらしいという伝聞報告。
  • 有毒な状態まで進んでいる腐敗の危険。 - サルジニア人の間の俗説によると、まだ生きている幼虫が存在するならば腐敗はしていない証拠であると言われる。
  • 蛆の腸内寄生の危険。 - Piophila casei の幼虫は通常、人間の胃酸では殺せず、生きたまま胃を通り過ぎて腸に一定期間住み着くことができる。そこでそれらが腸壁に穴を掘ろうとするので、重大な傷害を起こすことがある。この徴候は吐き気、嘔吐、腹痛、出血性の下痢などである。

これらの健康障害の恐れがあり、また単に汚染された食品であると見なされているため、イタリアではカース・マルツを売るのは違法である。しかし、サルデーニャの中では禁止令はあまり守られておらず、ペコリーノのおよそ3倍の価格で闇市で取り引きされている。

[編集] 他の地域での呼称

普通の名前であるカース・マルツの他にいくつかの地方名がある。

ピエモンテ州、特にフランス国境のアルプス山地(海のアルプス)では、発酵方法は必ずしもカース・マルツに類似しているとは限らない。 例えば、 Piophila casei の幼虫がチーズに自然に湧くまでチーズを戸外に放置し、それから、チーズに強い味を付けまた幼虫が羽化するのを防ぐために、白ワイン、ブドウとはちみつに漬けて熟成させる。

[編集] 脚注

[編集] 関連項目

  • ミルベンケーゼ - ドイツ国ヴュルヒヴィッツの特産チーズ。生きたチーズダニを使って発酵させる。
  • ミモレット - フランス国リールのチーズ。チーズダニの活動で熟成させる。
  • 富井政章 - 蛆の湧いたチーズを好んで食したが、蛆は掻き分け、蛆ごと食すことはなかった。
  • もやしもん

[編集] 参考文献

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