乳牛
乳牛(にゅうぎゅう)あるいは乳用牛(にゅうようぎゅう)とは、家畜化された牛のうちで、特に乳の出る量が多くなるように品種改良された牛のこと。日本ではホルスタインがよく知られている。
一部の乳牛(主に種牡に適さない雄の子牛や乳の生産量が落ちた高齢の雌牛)は食肉用に出荷される。仔牛肉用の牛の多くは雄の乳牛である。
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[編集] 品種
[編集] 乳牛の一生
子牛
子牛は生まれてすぐに母牛から離され、母牛から取った乳が人間の手で与えられる。乳を牛乳の生産ラインにのせるために、できるだけ早く母乳から代用乳(粉ミルク)への切り替えが行われる。母牛から離された子牛の多くは繋ぎ飼いか単頭飼いのストール(囲い)で飼育され、1ヶ月~1ヵ月半代用乳や人工乳(離乳食)を与えられる。徐々にやわらかい乾草や濃厚飼料(配合飼料)へ慣らしていき、離乳後は群飼にうつされることが多い。
生まれた子牛が雄ならば生後2~3週間後に肥育農家へ売りに出される。(国産牛肉の1/4は、乳牛から生まれた雄子牛を28ヶ月程肥育し、と殺したものである[1])あるいは子牛肉として18週~20週飼育され、と殺される。
子牛は生後3~6ヶ月ほどで除角が行われる。牛舎内での過密飼いをする場合には、牛の攻撃性を抑えるためや管理者の角による怪我を防ぐために除角をすることが望ましいとされている。放牧主体の酪農がほとんど行われていない日本では、乳牛の93%以上に除角が行われている[2]。農林水産省の委託を受けて社団法人 畜産技術協会が策定した「アニマルウェルフェア(動物福祉)に対応した乳用牛の飼養管理指針」では「除角を行う際は、牛への過剰なストレスを防止し、可能な限り苦痛を生じさせない方法をとることとする。(中略)除角によるストレスが少ないと言われている焼きごてでの実施が可能な生後2ヵ月以内に実施することが推奨される」とされている。
育成牛
離乳からはじめて子牛を生むまでの期間を育成牛と呼ばれる。生後14ヶ月~16ヶ月ではじめての人工授精が行われる(1950年に家畜改良増殖法が制定され、人工授精普及の基盤が確立し、今日では日本の牛の繁殖はほとんど全てが人工授精によってなされている)妊娠後、約9ヶ月で分娩する。完全放牧の牛と違い、牛舎内で飼われる牛は運動量が少ないため、自力で出産することが困難であり、人の介助が必要であることが多い。
搾乳牛
出産後約300日間搾乳される。日本の搾乳牛の飼養方法はつなぎ飼い(73.9%)、牛舎内での放し飼い(24.8%)が主流であり、自然放牧による飼養は2%に満たない。[2]
出産しなければ乳は出ないため、経済効率を上げるために、出産後2ヶ月ほどで次の人工授精が行われる。
- 乾乳 乳牛は出産後約1年間乳を出し続けるが、次産後の搾乳に向けた乳腺組織の回復・母体の体力回復を目的として、次の出産前の約2ヵ月間、搾乳を中止する乾乳が行われる。
乳の泌乳量は3〜4回目の出産後がピークであり、その後徐々に泌乳量は下がる。乳量が下がったり繁殖ができなくなり、と殺された乳牛のことを「乳廃牛」という。乳廃牛は食肉に利用されるほか、肥料や革製品などにも利用される[3]。 牛の寿命は自然界では20年ほどだが、乳牛は6〜7年で廃牛とされる。
[編集] 乳牛の安全
- 日本においてBSE問題は肉用牛にされた乳牛が発症したことで、肉骨粉などの草や穀物以外もエサとされていることも明らかになり、食の安全に関して何をエサとして育てられたかなどのトレーサビリティが確立された。
- rBST(遺伝子組み換え牛成長ホルモン、牛ソマトトロピン)は乳の分泌を促進する効果があるが、雌牛の健康を害する副作用がある。rBSTを使用して生産された牛乳は有機農産物の認可を受けられない。現在rBSTは日本では使用認可されていないが、認可されている国よりチーズや原乳の形で輸入されるものには、使われていても輸入は規制されていない。
[編集] 削蹄
ひづめを削ること。
「自然放牧の牛は採餌のため1日11時間も歩くことがありひづめはしっかりと割れ、擦り減っていく。しかし、牛舎内での飼育ではほとんど歩かないため、ひづめが伸び放題になる。ひづめが伸びすぎると巨体を支えられなくなったり、踏んばることができなくなる。また糞尿で滑りやすくなったコンクリート床の上で転びやすくなる。このため定期的に年に1~2回削蹄を行う必要がある」[4]。
日本の乳牛の90%以上で削蹄が行われている。[2]
[編集] 乳牛の病気
第四胃変位
第四胃変位とは、ガスが溜まった第4胃が膨張し、第1胃と腹壁の間に第4胃が移動してしまうことをいう。牛は草を食べる生き物として、繊維質の多い草を消化しやすいよう4つの胃を持っている。しかし近年、高脂肪の乳を搾り取るため粗飼料(草)中心の酪農から繊維質の少ない濃厚飼料中心の酪農へと変ってきている。この濃厚飼料の給餌過多が第四胃変位の大きな原因として考えられている。[5]
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 独立行政法人家畜改良センターより
- ^ a b c 社団法人 畜産技術協会調査
- ^ 社団法人 中央酪農協会「ことば辞典」より
- ^ 中洞 正著「黒い牛乳」より抜粋
- ^ 濃厚飼料' 日高地区農業協同組合