ベン・ハー (1959年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。九龍ヶ崎初之慎 (会話 | 投稿記録) による 2016年3月26日 (土) 15:06個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎キャスト)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ベン・ハー
Ben-Hur
監督 ウィリアム・ワイラー
脚本 カール・タンバーグ
マクスウェル・アンダーソン(表記なし)
クリストファー・フライ
ゴア・ヴィダル(表記なし)
S・N・バーマン(表記なし)
原作 ルー・ウォーレス
製作 サム・ジンバリスト
ウィリアム・ワイラー(表記なし)
出演者 チャールトン・ヘストン
スティーヴン・ボイド
音楽 ミクロス・ローザ
撮影 ロバート・L・サーティーズ
編集 ジョン・D・ダニング
ラルフ・E・ウィンタース
製作会社 MGM
配給 MGM
公開 アメリカ合衆国の旗 1959年11月18日
日本の旗 1960年3月30日
上映時間 212分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $15,000,000[1](概算)
興行収入 $74,000,000[1]
テンプレートを表示

ベン・ハー』(Ben-Hur)は、1959年制作のアメリカ映画ルー・ウォーレスによる小説『ベン・ハー』の3度目の映画化作品である。ウィリアム・ワイラー監督作品。

概要

主人公ベン・ハーを演じたチャールトン・ヘストン、メッサーラを演じたスティーヴン・ボイドたちの名声を一気に高めた作品ともなった。もともとベン・ハー役はポール・ニューマンバート・ランカスターロック・ハドソンなどにオファーされたが諸事情からヘストンに役が回ってきた。ニューマンは「スクリーンに堪えうる下半身じゃない」という理由で出演を断った。

1959年11月18日にプレミア公開され212分の大作ながら全米公開後、瞬く間にヒットとなった。同様に全世界でも公開されてヒットした。54億円もの制作費が投入されたが、この映画1本で倒産寸前だったMGMを一気に立て直すことができた。

撮影に使われたのは『愛情の花咲く樹』と同じ70mm映画用カメラ“MGMカメラ65”。これに左右幅を4/5に圧縮するパナビジョン社製アナモフィックレンズを取り付けアスペクト比 1:2.76を得ている。同方式は数年後パナビジョン社があらためて「ウルトラ・パナビジョン70」として採用した。なお撮影の多くはイタリアローマにある大規模映画スタジオである「チネチッタ」で行われた。撮影では戦車がカメラに突っ込み大破する事故もあった。またカエサルに対してのローマ式敬礼が描かれた。

序章でミケランジェロフレスコ画アダムの創造』が効果的に使用されている。

同年アカデミー賞にて11部門を獲得。この記録と並ぶのは『タイタニック』(1997年)、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年)の2作品のみであり、現在も史上最多部門受賞作品の一つである。

日本での一般公開は1960年4月1日だが、これに先立ち同年3月30日にはテアトル東京でチャリティ上映が行われた。このとき昭和天皇香淳皇后が招かれ、日本映画史上初の天覧上映となった。ヘストン夫妻もこの場に立ち会っている[2]

オリジナル・サウンドトラック盤は映画本編の演奏と異なるカルロ・サヴィーナ指揮ローマ交響楽団の演奏によるレコードが長年公式盤とされ作曲者のミクロス・ローザも数回再録音を行ったが、1996年にローザ自身の指揮による本編の音楽と未採用音源が収録された2枚組CDセットが(当時MGM作品の配給を行っていた)Turnerから発売。同音源から選抜されたCD1枚の日本語版も1999年に発売されている。

テレビ放映を前提に画面両端がスタンダードサイズにトリミングされていた80年代以前は問題にならなかったが、90年代に入りソフト化(主としてレーザーディスク)がノートリミングで行われるようになると画面端が褐色に変色する状態が顕在化する事になった。フィルムの損傷や劣化は公開50年を記念したブルーレイのデジタル修復(4K解像度,2009年)で改善されている。


あらすじ

1世紀のエルサレム、イスラエルの王族の血を引く貴族ユダ・ベン・ハーは幼なじみのローマ軍人メッサラーと再会する。二人は再会を喜ぶが、メッサラーが持ちかけた出世話をベン・ハーが断った為、二人の間には亀裂が走る。

ベン・ハーの屋敷の瓦が崩落した事故を奇貨としてメッサラーはベン・ハーを逮捕し、漕手刑(ガレー船の漕ぎ手とする極めて重い刑罰)を言い渡す。ベン・ハーはガレー船に送られる道中、乾きに苦しめられるが、不思議な男に水を飲ませてもらい、窮地を脱する。

ベン・ハーは漕手として3年間を過ごした後、マケドニア艦隊との海戦で沈没する旗艦から総司令官を救出するという殊勲を上げ、漕手刑を赦免されてローマで奴隷として戦車競走の騎手となり、連戦連勝を重ね、ローマ貴族の養子としてローマの市民権を得るまでになる。

やがてエルサレムに実母と妹を探しに戻ったベン・ハーは、仇敵メッサラーと戦車競走で相まみえる。メッサラーとの死闘を制したベン・ハーは実母と妹が疫病に侵されながらも生きていることを知るが、家族や親友を不幸にしたローマを憎み、ローマの市民権を放棄する。

スタッフ

キャスト

役名 俳優 日本語吹替声優
フジテレビ 日本テレビ旧版 テレビ朝日 日本テレビ新版 テレビ東京
ジュダ=ベン・ハー チャールトン・ヘストン 納谷悟朗 石田太郎 納谷悟朗 玄田哲章 磯部勉
メッサラ スティーヴン・ボイド 羽佐間道夫 佐々木功 羽佐間道夫 大塚芳忠 山路和弘
クインタス・アリウス ジャック・ホーキンス 島宇志夫 内田稔 鈴木瑞穂 渡部猛 稲垣隆史
エスター ハイヤ・ハラリート 鈴木弘子 武藤礼子 松岡洋子 日野由利加
族長イルデリム ヒュー・グリフィス 相模太郎 立壁和也 内海賢二
ミリアム マーサ・スコット 寺島信子 中西妙子 谷育子 吉野佳子
ティルザ キャシー・オドネル 塚原恵美子 小山茉美 勝生真沙子 幸田夏穂
ポンティウス・ピラトゥス フランク・スリング 小林清志 家弓家正 小林修 佐古正人
世古陽丸
サイモニデス サム・ジャッフェ 松村彦次郎 矢田稔 宮内幸平 大木民夫
バルサザー フィンレイ・カリー 宮川洋一 金内喜久夫 北川米彦 小林勝彦
小島敏彦
ドルーサス テレンス・ロングドン 富山敬 幹本雄之 諸角憲一
セクスタス アンドレ・モレル 大木民夫 石井敏郎 廣田行生
フレビア マリナ・ベルティ
ローマ人 ジュリアーノ・ジェンマ
イエス・キリスト クロード・ヒーター
ナレーション - 小林清志 矢島正明 小林修
演出:壺井正
演出:山田悦司、翻訳:進藤光太、調整:山田太平
演出:左近允洋、翻訳:額田やえ子、効果:スリーサウンド、調整:飯塚秀保、プロデューサー:奥田誠治、制作担当:吉田啓介、解説:水野晴郎、制作:グロービジョン
その他声の出演:石森達幸梶哲也沢木郁也、斉藤茂、大山高男山口健広瀬正志鈴木れい子
演出:佐藤敏夫、翻訳:たかしまちせこ、効果:リレーション、調整:山田太平、解説:木村奈保子、制作:ムービー・テレビジョン
その他声の出演:内田稔、斎藤志郎水野龍司大滝寛清水敏孝すずき紀子安井邦彦楠見尚己

※長年チャールトン・ヘストンの吹き替えを務めてきた納谷悟朗は吹き替えのキャリアにおいてベン・ハーを思い入れの深い作品の一つとしてあげている。
※テレビ東京版は2013年4月5日にBSジャパンの「シネマクラッシュ 金曜名画座」で放映された際に、初回放送時にカットされた箇所を同一声優で追加録音された。その際、故人である佐古正人と小林勝彦の追加録音分は世古陽丸と小島敏彦が担当した。この追録版はWOWOWでは2014年2月2日、BS-TBSでは2015年6月13・14日の2夜連続で「完全版」と銘打って放送されている。

受賞

脚本のクレジット問題

脚本のクレジットは映画ではカール・タンバーグ1人になっているが、実は彼とクリストファー・フライ、ゴア・ヴィダルマクスウェル・アンダーソン、S・N・バーマンの5人で執筆したものである。ヴィダルはMGMが契約を2年残して彼を自由にするという条件で、フライと共に脚本を再執筆することに合意したのだが、プロデューサーのサム・ジンバリストが死去したことで、クレジットの問題が複雑化してしまう。そこで全米脚本家組合は『ベン・ハー』の脚本のクレジットをタンバーグのみとし、ヴィダルとフライの両名をクレジットしないことで問題を解決した。

これについて、『ベン・ハー』の主演俳優チャールトン・ヘストンは、ヴィダルが執筆したと主張する(注意深く慎重に隠された)同性愛の場面に満足せず、ヴィダルが脚本に大きく関与したことを否定した[3]。しかし、『映画秘宝』が2011年にヴィダルに行ったインタビューによれば、ヴィダルは脚本を盗まれてコピーされ、ノンクレジットにされたため、裁判沙汰に持ち込んだと主張している[4]

脚注

  1. ^ a b Ben-Hur (1959)” (英語). Box Office Mojo. 2011年6月2日閲覧。
  2. ^ ヘラルドポニーレーザーディスク1989年発売)の解説文より。この解説文を書いた日野康一は当時MGM東京支社の宣伝担当だった。
  3. ^ GORE VIDAL IN HIS OWN WORDS "OUR GREATEST LIVING MAN OF LETTERS."”. Beliefnet. 2001年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月12日閲覧。
  4. ^ 『映画秘宝』ゴア・ヴィダルインタビュー”. Homage to Gore Vidal ゴア・ヴィダルを讃えて. 2016年1月12日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • Ben-Hur (1959) Great Films(英語)
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。