イルカ

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イルカ
生息年代: 中新世-現在, 10–0 Ma
ハンドウイルカDolphin,2007-4-13.jpg
イルカ
分類
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
階級なし : クジラ目 Cetacea
亜目 : ハクジラ亜目 Odontoceti
科・亜科

イルカ海豚、鯆)は、哺乳綱鯨偶蹄目クジラ類ハクジラ亜目に属する種の内、比較的小型の種の総称(なお、この区別は分類上においては明確なものではない)。

クジラとイルカの違い[編集]

分類学上は「イルカ」に相当する系統群は存在しない。一般的にはハクジラ亜目に属する生物種のうち比較的小型の種を総称して「イルカ」と呼ぶことが多いが、その境界や定義についてははっきりしておらず、個人や地域によっても異なる傾向がみられる。

同様にして「クジラ」の定義もはっきりはしていない。

  • 世界的にも日常語レベルではイルカとクジラは別のカテゴリーとして認識され、別の名で呼ばれることが多い。一方で、「イルカ」というグループは「クジラ」に含まれるサブグループとして扱われることもある[1]
  • 日本語では、成体の体長でおよそ4mをクジラとイルカの境界と考えることが多い。これは定義ではなく、実際に○○クジラ、○○イルカと呼ばれている種の体長から帰納した傾向に過ぎず、4 m基準に当てはまらない種もある。例えば、コマッコウゴンドウクジラのような4 mに達しないがクジラと見なされる種も多い。文献によっては、3 mという基準で分類しているものもある[2]
  • ゴンドウクジラは生物学的にはマイルカ科に属するため、まれにイルカとされることがある(ゴンドウクジラ#特徴も参照)。
  • イッカク科シロイルカは、和名に「イルカ」とついているが、成体は5 mに達するためクジラと見なされることもある。

このように、イルカとクジラの定義や分類は個人や地域によって差異が見られており、安易な区別は誤解や混乱を招く恐れがある。実際にはハクジラヒゲクジラとの差の方が生態的にも形態的にも違いが顕著であり、また遺伝的に見ても進化系統が独立している。そのため、学術論文や専門的な書籍などでは通常こちらの区別が用いられる。

英語での“Dolphin”と“Whale”の呼称の区別は、日本語の「イルカ」と「クジラ」の区別とほぼ共通する。例えば小型ハクジラ類のうちゴンドウクジラについては英語では“Whale”と呼びクジラとして扱う点で日本語と共通する。ただし、日本語で「イルカ」と呼ばれる種のうちネズミイルカ科のものは、英語では“Porpoise”と呼んでいて、“Dolphin”とは区別している。

「クジラ」と「イルカ」が区別されるようになった原因としては、日本人が古来からクジラとイルカを呼び分け、全く異なる生き物と認識していたことに起因するとする説がある[3]。すなわち、昔の日本人は視覚的な印象から、海にすむ大きく雄大な生き物をクジラ、小さくて俊敏な生き物をイルカと呼び分けていた。その分類感覚が時代を経て広まった結果、標準和名の末尾にも「イルカ」「クジラ」という名前が付与され、現代においてもなおこれらのグループを区別して認識されているとしている。

この仮説が正しい場合、当時の日本人は体長を計測してこれらを呼び分けていたわけではないので、「成体の体長が4 m以下のものがイルカ」「クジラとイルカの違いは大きさのみ」といった解釈は正確ではない。またこの仮説においてシャチスナメリなど和名に「イルカ」も「クジラ」も含まれていない生物種については、どちらにも属さない独自の動物として認識されていたと考えられている。

生態と形態[編集]

多くは海に生息するが、カワイルカ類のように淡水である川に生息する種類や、淡水と汽水域を行き来する種類もいる。

頭頂部に呼吸のための独立した噴気孔をもち、そこから肺呼吸する。呼吸の周期はおよそ40秒である。 イルカは一度も泳ぐのをやめず息継ぎもきちんとしながら常に泳ぎ続けている事から、かつてはイルカは全く眠らないのではないかと言われていた。しかし、イルカは半球睡眠(右の脳と左の脳を交互に眠らせる事)の能力を持つことが分かってきており、眠らないという説は現在ではあまり有力ではない。また、右の脳が眠っている時は反対の左目を、逆に左の脳が眠っているときは右目をつむりながら泳ぐ。

体形は紡錘状で、背に鎌形あるいは三角形の背びれを有する種類が多いが、背びれがほとんどない種類もいる。尾側の最後部に尾びれを有し、尾びれを上下に動かして泳ぐ。前足に相当する部分に胸びれがあり、後ろ足は退化してわずかに骨のカケラとして体内に残る。2006年に腹びれのあるイルカが発見されたこともある[4]

メスとオスに分かれ、生殖行為を通して一定期間妊娠の後に出産する。生殖器は通常外見からはメスとオスの区別は困難であるが、交接時にはペニスが露出するため容易に鑑別できる。誕生からしばらくの間は母親の母乳によって育てられる。

多くは肉食であり、魚類頭足類などを捕食する。また、水分はあくまでも食料の魚類などから摂取する。水分として直接摂取するほか、脂肪を体内燃焼したときに生じる代謝水もある。海水からは摂取する割合はごく少量であり、意図的に摂取しているのではないと考えられている。海水を大量に摂取した場合、排尿が促進されて脱水症状に陥る点は人間と同じである。イルカの歯はおよそ80本あるが食べるときは丸飲みである。

単独で行動するケースも見受けられるが、複数匹で群をなして行動することが多い。また複数の実験・観察結果を通して、噴気孔付近から出すクリック音を使って同種の個体同士でコミュニケーションする可能性が指摘されている。全般的に好奇心旺盛で人なつっこく、船に添って泳ぐなどしてその姿を人間に見せることが多い。人間は、このような性格を興行やアニマルセラピーとして利用している。

知性[編集]

イルカは体重に占める脳の割合(脳化指数)がヒトに次いで大きいことから、イルカの知性の潜在的可能性が古くから指摘されており、世界的にも数多くの研究者の研究対象になり、世間一般からも興味の対象とされてきた。 ただし、イルカの脳はサイズは大きいものの、グリア細胞の割合が多く、ニューロン自体の密度はそれほど高くない。ただしニューロンの密度をもって知性が劣ると言い切れるのかは定かではない。従って、科学的根拠から脳のサイズのみから知性のレベルを判断するのは早計である。

イルカの脳はその生息環境及び形態に応じた適応を果たしており、仮にイルカがヒトに匹敵する密度のニューロンを持てば酸素要求量が増し、長時間の潜水は困難となる。また肺を肥大化させると運動能力が犠牲となるため、現在の脳に最適化されたと考えられている。

イルカが人間と同様の知性を持つ、あるいは人間以上の知性をもった存在として描かれる作品は多数存在するものの、いずれも科学的根拠に乏しいフィクションである。

イルカのパルス音

また、イルカは高い周波数をもったパルス音を発して、物体に反射した音からその物体の特徴を知る能力を持つ。更にその特徴を他の個体にパルス音で伝えたりと、コミュニケーション能力は高く、人間のようないじめも行うこともわかっており、魚などを集団で噛み付き弱らせ弄んだ挙句食べずに捨てる、小さな同種のイルカや弱ったものを集団で噛み付くなどして、殺すなど集団的な暴行行為も行う。

イルカと言語の詳細は「ハンドウイルカ#感覚とコミュニケーション」項を参照のこと。

なお、脳科学者の池谷裕二は、イルカの脳は高性能だが、人のような四肢がないことで、脳が人間のように十分に活かされていないと主張している[5]

小アンティル諸島で次のようなことが観察されている。群れから遠く離れたイルカがサメに襲われた時、SOS信号を出し、その信号を受け取った群れのイルカが助けに駆けつけた。助けられたイルカは自力で浮上することが出来なかったが、仲間に介護され2週間後に回復した[6]

[編集]

以下に確認・分類されているイルカの名称をあげる。この中には身体全体が発見されていない種もいることから、将来的に新しい種が発見されたり、分類学上の基準が変わり、1つの種が複数の種に分かれたり、逆に複数の種が1つに統合されたりする可能性もある。

「イルカ」に厳密な定義はないが、ここでは和名に「イルカ」がある科(マクジラ科については亜科)に含まれる種を挙げる。これらは、通常「イルカ」と呼ばれる種に一致している。

これらの種は、スナメリを除き、和名に「イルカ」を含む。ただしこれらの他に、イッカク科のシロイルカ(ベルーガ)が和名にイルカがある他にマイルカ科のハナゴンドウにはマツバイルカという別名もあるが、これらの種はクジラに含められることが多い。

系統[編集]

クジラ類の系統[7]の中で、上で挙げた科・亜科を太字で表す。

クジラ目

ヒゲクジラ亜目


ハクジラ亜目

マッコウクジラ上科




アカボウクジラ科





インドカワイルカ科





ヨウスコウカワイルカ科


アマゾンカワイルカ上科

アマゾンカワイルカ科



ラプラタカワイルカ科




マイルカ上科
マイルカ科

ゴンドウクジラ亜科



シャチ亜科




セミイルカ亜科




タイセイヨウカマイルカ




マイルカ亜科



シワハイルカ亜科








ネズミイルカ科



イッカク科










海洋資源としての利用[編集]

利用の歴史[編集]

先史時代の世界各地の貝塚から、イルカを始めとする鯨類の食物残滓が見つかっており、イルカなどの鯨類の骨は生活の道具や狩猟具漁具として利用されてきた。日本において判明しているのは、縄文時代までさかのぼり、約8000年前の縄文前期の遺跡とされる千葉県館山市稲原貝塚においてイルカの骨に刺さった黒曜石の、簎(矠・やす)先の石器が出土していることや、約5000年前の縄文前期末から中期初頭には、富山湾に面した石川県真脇遺跡で大量に出土したイルカ骨の研究によって、積極的捕獲があったことが証明されている。

クジラが北欧や日本などの海産国で貴重な資源としてあまねく利用されるのとは異なり、現在ではイルカを中心にした産業が成立しているケースは世界的に見ても少なく、フェロー諸島、南太平洋の島国や日本の一部の地域、カナダのイヌイット地域などで肉が食用に供されているに過ぎない。もっとも、捕鯨技術発達の初期段階では、イルカが捕獲対象となることは多かった。また、ビスケー湾周辺では中世まで盛んに捕獲が行われ、鯨油の原料や食肉として利用された。イングランド宮廷では17世紀頃までイルカが食卓に供されていた。(詳細は鯨肉#食文化の流れ参照

食用[編集]

イルカ市場

日本の場合、戦前や戦後の食糧難の時代、クジラと同じくイルカも、貴重な蛋白源であった。今でも、比較的イルカがよく観察されるところでは食用にする習慣が残っているところもあり、各都道府県知事許可漁業の「いるか突きん棒漁業」「いるか追い込み漁業」として認可を受けて操業しているところもある(突きん棒漁業とは銛を打ち込んで漁獲する漁法である)。(食用の詳細は鯨肉#昭和以前の需要供給、流通参照)。

例えば静岡県の東部地域や、駿河湾で水揚げされた魚貝類が流通する内陸部の山梨県では明治初期からイルカ食が行われ、山梨県富士川町鰍沢河岸からはマグロなどの大型魚類とともにイルカの骨が出土している。あるいは和歌山県でもイルカ食文化があり、この漁法で仕留めたイルカの肉を町中の魚屋やスーパーマーケットなどで日常的に販売している。最大の産地は岩手県である。イルカの漁獲量は一般の漁業と異なり、重量ではなく頭数管理とされている。なお、定置網で混獲されたイルカが食用とされる場合もある[8]2009年にイルカ追い込み漁を批判する映画「ザ・コーヴ」が製作され、日本での公開の際に話題を呼んだ。(捕獲の詳細は捕鯨#日本における捕鯨参照

血抜きをされていないイルカ肉は鉄分が酸化し黒っぽい色をしている。また、青魚を主食とするイルカの肉独特の臭みは脂身の脂にある。よって、イルカ肉を美味しく調理するには、肉の血抜きと脂身の脂抜きの下処理がポイントとなる。脂の臭みが肉に移らないように、脂身を取り除くか、肉と脂身を別にして、調理するのが理に適っている。調理法としては一般的には肉を削ぎ切りにし、塩漬け・塩抜きし、もしくは、醤油とみりんと砂糖で作ったタレに漬けてゴマをふり、天日干しにし(こうしたイルカの干物は「イルカのタレ」と呼ばれる)、焼いて食べる。また燻製にもする。イルカの「背びれ・尾びれ」(表皮と皮下脂肪)は、薄く切って、1~2日ほど水に晒して、30~40分ほど茹でて、塩をした、「イルカ(の)すまし」(鯨ベーコンに近い)となり、酒のつまみとして、ポン酢・わさび醤油・酢味噌などで食べる。山形の郷土料理の「イルカ汁」は、「塩クジラ」(鯨の皮と皮下脂肪の塩漬け)と野菜の味噌汁であるが、その名称は、かつてはイルカ肉の塩漬けを使用していた名残である。イルカ肉はその臭みから、塩クジラに取って代わられたとされる。

イルカの刺身

生肉は冬が旬の食材で、販売時には肉と脂皮の角切りが一緒にパックされていることも多い。煮物にする場合は、水に晒して血抜きをし(流水で1時間ほど。水が血でにごらなくなり表面が白っぽくなったくらいが目安)、4~5時間ほど下茹でして(茹で汁は何回か交換するとよい)アク抜きをして、臭みを除いてから、ショウガ・ゴボウ・ニンジン・大根・こんにゃくなどとともに味噌煮にすることが多い。静岡県東部地方ではこれが冬の郷土料理である。また新鮮な生肉(生食用・刺身用)もしくは解凍した冷凍肉(生食用・刺身用)を、水に晒して血抜きをし、硬い表皮を除き、肉と脂肪層を数mmの薄切りにして刺身にし、おろしショウガ醤油・おろしニンニク醤油などで食べる。また、生肉もしくは解凍した冷凍肉を、水に晒して血抜きをし、硬い表皮と脂肪層を除いた肉の部分のみを、大和煮唐揚げ竜田揚げステーキにする。イルカのすき焼きにする地方もある。また動物性油脂を天ぷら油として使用する一部の地域では、豚の脂身(ラード)の代わりにイルカの脂肪を使用することもあるようである。

近年になって大型のクジラの捕獲量に制限が加えられ、流通に支障が出てくるようになると、単に「鯨肉」と称してイルカの肉(イルカも鯨類ではある)が市場に出回るケースもあるようである。大型鯨類のほとんどはヒゲクジラの仲間であり、それと誤認させるような表記は問題だが、マイルカ科の歯クジラでもゴンドウクジラなどの肉は元々鯨として流通していた。もっとも、現在のJAS法上はそのような表示は不適法とされており、それぞれ「ミンククジラ」「イシイルカ」などの鯨種別表示が必要である。

なお、日本の厚生労働省2005年8月、イルカを含むハクジラ類の肉にはマグロキンメダイなどの一部の魚介類と並んでメチル水銀などの人体に有害な有機水銀類が含まれるとして、妊娠時の女性に対して摂取を控えるように警告した。具体的には種類により異なるが、全体に魚類に比べて厳格な基準が設けられ、最も厳格な基準のバンドウイルカについては1回約80gとして妊婦は2ヶ月に1回以下とするように推奨している。ただし、妊婦以外の一般人の摂取に関しては、幼児の場合なども含めて特に制限が必要とはされていない。 [9][10]

その他の利用[編集]

水族館でのイルカ

飼育展示や人への心理的効果[編集]

バンドウイルカなど一部のイルカは水族館において展示飼育されることも多い。訓練されたアクション(海面上へのジャンプや立ち泳ぎ等)によるイルカショーなどに使用される。一方で、監禁飼育でストレスが大きいという指摘がある。動物調教師のリチャード・オバリー氏は、狭い囲いに監禁するのは視覚に頼る生き物を鏡に囲まれた空間で生活させるようなもので気が狂ってしまうと指摘している。[11]

動物療法(アニマルセラピー)として、イルカと触れ合うことで心が休まることなど、精神的な疾病の治療にも利用されることもある。水族館での生活に適応できた個体は長生きし繁殖まで行うことが出来、一部の施設では三世代繁殖の成功もしている。

船でイルカと併走しながら泳ぐ様を観賞するドルフィンウォッチング(ホエールウォッチング)が開催されている。

軍用[編集]

米海軍海洋哺乳類利用計画のもと、発信機を着け、訓練を受けるイルカ

アメリカ合衆国海軍においては動物兵器(軍用イルカ)として、機雷の探知・ダイバー救助などに利用されている。米海軍が和歌山県太地漁港からハナゴンドウを買ったこともある。

文化[編集]

季語[編集]

「海豚」は季語

日本神話[編集]

武内宿禰に連れられた太子(応神天皇)はイザサワケと名の交換を行ったとする(易名説話)。説話によれば、太子が角鹿(敦賀)の仮宮を営んでいると、夜の夢にイザサワケが現れて名を交換するよう告げられた。太子が承諾するとイザサワケは翌朝に浦に出るように言い、太子が言われたとおりにすると浦には一面にイザサワケの献じた入鹿魚(イルカ)があった。これにより太子はイザサワケを「御食津大神(みけつのおおかみ)」と称え、のちにその名が「気比大神」となったという。
この伝承からはイルカが当時より食料(「御食(ミケ)の魚(ナ)」)とされていた事が分かる。
また古事記では、鼻を怪我したイルカの血の臭いから座礁した浦を「血浦(ちうら)」と名付け、これが転じて「都奴賀・敦賀(つるが)」という地名が生まれたという(日本書紀では都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)に由来するとしている)。
クノッソスにあるイルカのフレスコ画

シュメール/バビロニア神話[編集]

イルカ信仰=魚信仰(注:古代人にとって、クジラ・イルカ類は「魚」に分類される)の起源を遡ると、最古の物としては、シュメールの「アプカルル (アプカル)」/「アダパ」に辿り着く。バビロニアの「オアンネス」も同じ存在を指しているとされ、これらは、エンキ (エア)やダゴンと同一視される。これらは「賢者=知恵の神」とされ、「イルカが賢い」とされる言説は、根源的にはこれに由来する[要検証]
アプカル(ル)は、アッカド語で「偉大な水の人」の意味で、「偉大な」という意味の形容詞「カ」を取ると、「アプル」すなわち「水の人」という意味になる。この「アプル」は、冥界の太陽神ネルガルの称号であり、この「アプル」がアポローンアプロディーテーの語幹「アポロ」「アプロ」の語源であると考えられている。

ギリシア神話[編集]

イルカはアポローンアプロディーテーディオニューソスポセイドーンアムピトリーテーの聖獣である。ポセイドーンの息子トリートーンは上半身が人間で下半身がイルカとされる。古代ギリシアにおいてイルカを殺すことは、重大な罪であった。

ユダヤ教[編集]

ユダヤ教では、クジラ・イルカ類は、カシュルート(食事規定)の「海や川の住民のうち、ヒレ、ウロコのないもの」に該当し、ウロコのない「魚」なので、食べてはいけない。(この規定自体が、クジラ・イルカ類を想定して作られたとも考えられる。)

キリスト教[編集]

古代西洋世界において、「魚」の中でもっとも強く速いとされたイルカは、魂を冥界に運ぶ使者と考えられた。初期キリスト教でも、イルカ(もしくはクジラ)は、預言者ヨナを飲み込み、無事に陸地に送り届けた「大きな魚」の説話から、「救済と復活の象徴」となった。また、魚であることから、「キリストの象徴」ともされ、しばしば三つ又の矛(ともに三位一体の象徴)と結びつけられて、カタコンベの壁画などで表現された。
クジラ・イルカ類の捕獲(捕鯨)・屠殺に対する西洋人のヒステリックな反対運動の背景には、こうしたクジラやイルカを「神の使い=天使=救世主」「神聖動物」と見做す、西洋世界の宗教的心性の伝統がある。

イルカを題材とした作品[編集]

小説・童話
  • 『ライオンとイルカ』(イソップ童話
  • 『イルカと海へ還る日/HOMO DELPHINUS]』(ジャック・マイヨール Jacques Mayol)
  • 『イルカのハッピーフェイス』 リチャード・オバリー Richard O'barry 地湧社
  • 『イルカと友達になる方法』 廣瀬裕子 ハルキ文庫
  • 『イルカの島』 アーサー・C・クラーク 創元SF文庫
  • 『イルカの日』 ロベール・メルル ハヤカワ文庫
漫画・アニメ
絵本
TVドラマ
映画
ゲーム

イルカをシンボルに用いる職業[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 報告 6月3日クジラ類迷入”. 男鹿水族館 (2018年6月7日). 2019年2月7日閲覧。
  2. ^ イルカの分類”. 東京ダイビングセンター. 2019年2月7日閲覧。
  3. ^ 天野, 雅男 (2010), “天草のミナミハンドウイルカとイルカウォッチング”, 天草専任ガイド養成テキスト, http://www7b.biglobe.ne.jp/~masaoamano/Masao_Amanos/text_files/amakusa.pdf 
  4. ^ AP (November 5, 2006 - 4:25PM). “Four-finned dolphin an 'evolutionary throwback'”. The Sydney Morning Herald. オリジナルの2008年10月6日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20081006131739/http://www.smh.com.au/news/science/fourfinned-dolphin-an-evolutionary-throwback/2006/11/05/1162661544728.html 2013年4月18日閲覧。 
  5. ^ 池谷裕二 『進化しすぎた脳 中高生と語る[大脳生理学]の最前線』 講談社 2007年 ISBN 978-4-06-257538-6 pp.81 - 82
  6. ^ ヘルムート・F・カプラン『死体の晩餐』同時代社。
  7. ^ May-Collado, L., Agnarsson, I. (2006). Cytochrome b and Bayesian inference of whale phylogeny. Molecular Phylogenetics and Evolution 38, 344-354. [1]
  8. ^ 水産庁「鯨類(いるか等小型鯨類を含む)の捕獲混獲等の取扱いQ&A
  9. ^ 鯨由来食品のPCB・水銀の汚染実態調査結果について (厚生労働省食品保健部)
  10. ^ 厚生労働省:妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(Q&A)
  11. ^ ゲイリー・L・フランシオン『動物の権利入門』緑風出版。

参考文献[編集]

  • 「クジラ・イルカ ハンドブック」S・レザーウッド/R・リーヴス著……この項のイルカの分類と名称は完全にこの書に負っている。
  • 雑誌「GEO」1998年5月号、同朋舎刊……特集記事「イルカ大百科」のなかで、マレー湾でのハンドウイルカたちによるネズミイルカの殺害のエピソードが載っている。
  • 『イルカが知りたい どう考えどう伝えているのか』 村山司 講談社選書メチエ
  • 『イルカと話す日』(ジョン・C・リリー John C. Lilly NTT出版)
  • 『イルカの大研究』 佐藤一美著 PHP研究所

関連項目[編集]

外部リンク[編集]