バンディクート形目

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バンディクート形目
ミミナガバンディクート
ミミナガバンディクート Macrotis lagotis
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: バンディクート形目 Peramelemorphia
学名
Peramelemorphia Ameghino, 1889[1]
和名
バンディクート形目[2]

バンディクート形目(バンディクートけいもく、Peramelemorphia)は、哺乳綱に分類される目。別名バンディクート目[3]

分布[編集]

インドネシア東部、オーストラリアパプアニューギニア[3]

形態[編集]

体形はずんぐりとしており、頸部は短い[3]

吻は細長い[3]。多くの種は耳介が短い[3]。歯は小型かつ比較的均一で、咬頭が尖る[3]。歯列は多くの種で門歯が上顎10本、下顎6本、犬歯が上下2本ずつ、臼歯が上下6本ずつ、大臼歯が上下8本ずつの計48本の歯を持つ[3]。前肢の3本の指には頑丈な平爪がある[3]。後肢の第2・第3趾は癒合する[4][5]。染色体数は主に2n = 14[4]

育児嚢は後方に開口する[3]。育児嚢内の乳頭数は4対[3][4]。漿尿膜による胎盤が形成される[3][4]

分類[編集]

チロエオポッサムDromiciops gliroides

コアラPhascolarctos cinereus

ウォンバットVombatus ursinus

フクロモモンガPetaurus breviceps

リングテイル科Pseudocheiridae

アカネズミカンガルーAepyprymnus rufescens

カンガルー科Macropodidae

チビフクロヤマネCercartetus nanus

ハイイロクスクスPhalanger orientalis

プラニガーレ属Planigale

アンテキヌス属Antechinus

クロオファスコガーレPhascogale tapoatafa

パプアヒメフクロネコ
Dasyurus albopunctatus

セスジフクロマウスPhascolosorex dorsalis

フクロモグラNotoryctes typhlops

ミミナガバンディクートM. lagotis

シモフリコミミバンディクートI. macrourus

ハナナガバンディクート属Perameles

ラフレーバンディクート
P. raffrayana

トゲバンディクート
E. kalubu

オナガバンディクート
M. longicauda

Meredith et al.,(2008)より核DNAの5遺伝子座からベイズ法によって推定された系統図[5]

チロエオポッサムDromiciops gliroides

プラニガーレ属Planigale

アンテキヌス属Antechinus

クロオファスコガーレPhascogale tapoatafa

パプアヒメフクロネコDasyurus albopunctatus

セスジフクロマウスPhascolosorex dorsalis

チビフクロヤマネCercartetus nanus

ハイイロクスクスPhalanger orientalis

アカネズミカンガルーAepyprymnus rufescens

カンガルー科Macropodidae

フクロモモンガPetaurus breviceps

リングテイル科Pseudocheiridae

コアラPhascolarctos cinereus

ウォンバットVombatus ursinus

フクロモグラNotoryctes typhlops

ミミナガバンディクートM. lagotis

ブタアシバンディクートC. ecaudatus

シモフリコミミバンディクート
I. macrourus

ハナナガバンディクート属Perameles

ラフレーバンディクート
P. raffrayana

トゲバンディクート
E. kalubu

オナガバンディクート
M. longicauda

Meredith et al.,(2008)より核DNAのRAG1遺伝子のみからベイズ法によって推定されたブタアシバンディクートを含む系統図[5]

以前は有袋類を有袋目にまとめ双門歯亜目Diprotodontaと多門歯亜目Polyptorodontaの2亜目に分ける説があったが、本目は歯列から多門歯亜目に含まれていたが双門歯亜目の特徴でもある癒合趾も併せ持っていた[3][4]。ミミナガバンディクート科をバンディクート科に含める説もある[6]

2008年に発表された有袋類の核DNAのApoB・BRCA1・IRBP・RAG1・vWFの5遺伝子座の分子系統解析では、本目が単系統群であることが強く支持された[5]。本目とフクロモグラ形目からなる単系統群(ただし最大節約法・最尤法・ベイズ法と比較してブートストラップ値は低い)がフクロネコ形目の姉妹群という解析結果も得られたが、一方でブタアシバンディクートを含んだRAG1遺伝子のみの解析では本目とフクロモグラ形目からなる単系統群はコアラとウォンバット科からなる単系統群の姉妹群で双前歯目に含まれるという解析結果が得られている[5]

以下の分類と英名は、Groves(2005)に従う[1]。和名は川田ら(2018)に従う[2]

生態[編集]

熱帯雨林や疎林も含めた森林、砂漠など、様々な環境に生息する[3][4]

昆虫、無脊椎動物、果実、種子、キノコなどを食べる[3]。前肢で地面を掘り、吻端を地中に差し入れて採食を行う[3][6]

繁殖様式は胎生。妊娠期間はシモフリコミミバンディクートやハナナガバンディクートで12日と、哺乳綱では最も短いと考えられている[3][6]。1回に1 - 7頭(主に2 - 4頭)の幼獣を産む[3]。授乳期間は約10日[3]

人間との関係[編集]

開発による生息地の破壊、人為的に移入された動物による捕食や競合などにより生息数が減少している種もいる[3][6]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b Colin P. Groves, "Order Peramelemorphia," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 38 - 42.
  2. ^ a b 川田伸一郎他 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Greg Gordon 「バンディクート, ミミナガバンディクート」白石哲訳『動物大百科6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、122 - 125頁。
  4. ^ a b c d e f 橘川次郎 「三つの型に適応放散 バンディクート類」『動物たちの地球 哺乳類I 1 カモノハシ・オポッサムほか』第8巻 37号、朝日新聞社、1992年、18 - 20頁。
  5. ^ a b c d e Robert W. Meredith,, Michael Westerman, Mark S. Springer, "A timescale and phylogeny for "Bandicoots" (Peramelemorphia: Marsupialia) based on the sequences for five nuclear genes," Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 47, Issue 1, 2008, Pages 1 - 20.
  6. ^ a b c d e 橘川次郎 「キンコミミバンディクート」「ミミナガバンディクート」「ニシシマバンディクート」「ヒガシシマバンディクート」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ7 オーストラリア、ニューギニア』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、136 - 137頁。

関連項目[編集]