フェロー諸島

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フェロー諸島
Føroyar
フェロー諸島の旗 フェロー諸島の紋章
地域の旗 地域の紋章
地域の標語:なし
地域の歌:Tú alfagra land mítt(フェロー語)
汝、私の最も麗しき地
フェロー諸島の位置
公用語 フェロー語デンマーク語
主都 トースハウン
最大の都市 トースハウン
政府
女王 マルグレーテ2世
高等弁務官英語版 レネ・モエル・ヨハンセン英語版
首相英語版アクセル・ヨハネセン
面積
総計 1,398.85km2189位
水面積率 0.5%
人口
総計(2013年 49,709人(221位
人口密度 35人/km2
GDP (PPP)
合計(2001年10億ドル(N/A[* 1]
1人あたり 22,000ドル
自治開始1948年
通貨 フェロー・クローネ (DKK)
時間帯 UTC ±0 WETDST:+1 WEST
ISO 3166-1 FO / FRO
ccTLD .fo
国際電話番号 298
  1. ^ CIA World Factbookより

フェロー諸島(フェローしょとう、デンマーク語: Færøerneフェロー語: Føroyar英語: Faroe Islands)は、スコットランドシェトランド諸島およびノルウェー西海岸とアイスランドの間にある北大西洋諸島デンマーク自治領であり、デンマーク本土、グリーンランドと共にデンマーク王国を構成する[1]。面積は1398.85km2、人口は48,219人(2006年1月)。中心都市はストレイモイ島トースハウン。「フェロー諸島共和国」という国名でデンマークからの独立主張がある[2]

歴史[編集]

アイルランド修道士が最初に発見して修道院を築いていた。その後、9世紀ノルウェー西部からノルマン人ヴァイキング)が入植し、11世紀にはノルウェー領となった。1380年、ノルウェーとデンマークが同君連合(後のカルマル同盟につながる)に入って以来は、デンマークの支配を受けている。ただし第二次世界大戦中は、ナチス・ドイツに占領されたデンマーク本土とは分断され、イギリスの占領下にあった。この期間の住民自治が自治政府要求の住民運動につながった。1948年には国防と外交の一部を除く権限を持つ自治政府が成立した。デンマーク本国は1973年欧州共同体(EC)に加盟したが、フェロー諸島は本国とは異なる独自の外交路線を歩んでおり、現在も欧州連合(EU)には加盟していない[3]

政治[編集]

国家元首デンマーク国王であるが、域内行政は自治政府によって行われている。行政の長は首相(Løgmenn)であり、議会により選出される。フェロー諸島議会(レクティング)は33名の議員で構成されており、4年ごとに選挙が行われる。これとは別に、フェロー諸島はデンマークの国会であるフォルケティングにも2議席を有しており別途、選挙により議員を選出している[4]

デンマーク本土から距離があることや、第二次世界大戦中の自治経験より独立運動があり、2000年代においては独立派が多数となっている[2]

地理[編集]

衛星写真
地図

フェロー諸島は北欧の沖、ノルウェー海と北大西洋の間、アイスランドとノルウェーの中間付近に浮かぶ。座標は北緯62度 西経7度 / 北緯62度 西経7度 / 62; -7。海岸線は1399km。涼しいと温暖ながある。冬は曇天で、と強い風の日が多い。島は多少の起伏がある荒涼とした岩場で、海岸は崖が多い。Slættaratindurの海抜882mが最高地点[5]フェロー語には、霧の表現が30以上あると言われる[6]

フェロー諸島は次の18の島々からなっている[5]

名称 ラテン文字表記 面積(km2 人口 人口密度 主な市町村 県(Syssel
ストレイモイ島 Streymoy 373.5 21900 58.6 トースハウン, Vestmanna Streymoy
エストゥロイ島 Eysturoy 286.3 10810 37.8 Fuglafjørður, Runavík Eysturoy
ヴォーアル島 Vágar 177.6 2949 16.6 Miðvágur, Sørvágur Vágar
スヴロイ島 Suðuroy 166.0 4940 29.8 Tvøroyri, Vágur Suðuroy
サンドイ島 Sandoy 112.1 1407 12.6 Sandur Sandoy
ボルウォイ島 Borðoy 95.0 5002 52.6 クラクスヴィーク Norðoyar
ヴィウォイ島 Viðoy 41.0 596 14.5 Viðareiði Norðoyar
クノイ島 Kunoy 35.5 157 4.4 Kunoy Norðoyar
ケァルソイ島 Kalsoy 30.9 129 4.8 Mikladalur, Húsar Norðoyar
スヴイノイ島 Svínoy 27.4 52 1.9 Svínoy Norðoyar
フグロイ島 Fugloy 11.0 44 4.0 Kirkja Norðoyar
ネルソイ島 Nólsoy 10.3 252 24.5 Nólsoy Streymoy
ミキネス島 Mykines 10.3 19 1.8 Mykines Vágar
スキューヴォイ島 Skúvoy 10.0 50 5.0 Skúvoy Sandoy
ヘストゥル島 Hestur 6.1 34 5.6 Hestur Streymoy
大ドゥイムン島 Stóra Dímun 2.7 7 2.6 Dímun Sandoy
コルトゥル島 Koltur 2.5 2 0.8 Koltur Streymoy
小ドゥイムン島 Lítla Dímun 0.8 0 0.0 - Suðuroy
合計 - 1396 48350 34.6 - -

経済[編集]

フェロー諸島の羊
漁船と漁師

中世から放牧が行なわれ、諸島内には羊が9万頭いると言われる。フェロー諸島の「フェロー」とは「」の意味という説が有力。また、ヤギなどの放牧、養鶏なども盛んである。牧草の栽培は諸島の至る所で行われている。ただし、高緯度、冷涼な気候のため、牧草以外の農耕には適していない。

伝統的な放牧と並行して、古くから水産業も盛んであった。現在は漁業が産業の中心となっている[7]。漁獲された魚介類水産加工品の多くは、日本水産会社などが買い付けて、最終的に日本国内へ運ばれる。フェロー諸島産のサケや白身魚の冷凍フライなどが代表的である。サケ(サーモン)は養殖が行われている。また白身魚のうちタラフィッシュアンドチップスなどとして食される。こうした豊富な水産資源が、経済面で独立志向の裏付けとなっている。イギリスとは、イギリスの欧州連合離脱後に発効する条件で自由貿易協定を締結している[6]

また、捕鯨国の日本、アイスランド、ノルウェーと同様に捕鯨が行われる。伝統的な捕鯨の手法が残り、地域住民が共同してクジラ捕りに参加する習慣は今でも残る。フェロー諸島がEUに加盟しない大きな理由は、捕鯨政策の違いにあるとされる。2018年1月、クラクスヴィークは日本で捕鯨の伝統を持つ和歌山県太地町姉妹都市提携した[8]

牧畜や水産業に加えて、現在のフェロー諸島で注目される産業は、北海油田のフェロー諸島領海域の石油開発である。これは地域経済を支える収入源として期待されている。また観光客も訪れ、トースハウンには寿司店もある[6]

文化[編集]

フェロー・ダンスを描いた切手

フェロー諸島は、音楽伝承の宝庫である。いずれも、古い北欧の文化を残すもので、ノルウェーやアイスランドともまた違う。フェロー諸島の人々にとって祭りクリスマスなど時季折々に欠かせないのが、チェーンダンスである。このチェーンダンスは、バイキング時代には北欧で広く行われたようであるが、なぜかフェロー諸島にしか残っていない。踊りは東ヨーロッパポルカに似ている。先導役に合わせて島の古謡(クヴェアイ)を大合唱しながら足を踏み鳴らす。これがフェロー諸島の最重要行事であるオラフ祭のときには、国会議事堂前の広場は国中から集まってきた人々によって巨大なチェーンダンスが日暮れ時から3時間近く続けられる。もちろん、指揮を執るのは首相。これは、バイキング時代の集会の名残で、直接民主制に付随するように形式的に現代まで引き継がれている。ほぼ国民総出の熱狂的なチェーンダンスが終わっても、町内単位で朝までチェーンダンスが続けられる[3]

音楽[編集]

世界的に活躍する女性アーティストとしては、アイヴォール・ポルスドッティル(Eivør Pálsdóttir)や、レナ・アンデルセン(Lena Andersen)などが知られる。アイヴォールは、2007年と2009年に来日公演も果たしている。また、ヴァイキングメタルバンドティア(Týr)は、日本でもCDがリリースされるなど、世界的に活動している。

宗教[編集]

2011年の調査で、キリスト教徒が95.44パーセント、無宗教が4.04パーセントで、その他宗教・宗派は残りであった[9]。2017年の統計では、島民の80.2パーセントがフェロー諸島教会(Church of the Faroe Islands)に所属している。この教会は以前はルーテル派デンマーク国教会の一教区であったが、2007年に独立した。

名所・旧跡[編集]

交通・アクセス[編集]

アクセス

航空[編集]

船舶[編集]

地域内の交通[編集]

  • バス
  • 船舶

脚注・出典[編集]

  1. ^ フェロー諸島 デンマーク大使館(2015年7月12日閲覧)
  2. ^ a b ハワイで独立運動の兆し 観光収入や軍の使用料で自立の機運 NEWSポストセブン(2014年11月17日)2015年7月12日閲覧
  3. ^ a b 歴史と文化 デンマーク大使館(2015年7月12日閲覧)
  4. ^ 政治 デンマーク大使館(2015年7月12日閲覧)
  5. ^ a b 地理と地質 デンマーク大使館(2015年7月12日閲覧)
  6. ^ a b c 【At the Scene 現場を旅する】フェロー諸島(デンマーク自治領)独立の夢、支える魚『朝日新聞』GLOBE(朝刊別刷り)217号、17面(2019年5月19日)2019年5月26日閲覧。
  7. ^ 経済 デンマーク大使館(2015年7月12日閲覧)
  8. ^ 「鯨つながり」で和歌山・太地町がフェロー諸島と姉妹都市連携締結産経新聞ニュース(2018年1月24日)2019年5月26日閲覧。
  9. ^ CS 10.1.2 Population by religious faith, educational attainment, occupation, country of birth, year of arrival in the country and place of usual residence (Statistics Faroe Islands)
  10. ^ スミーリル・ラインのベルゲン発着とシェトランド・ラーウィック経由は、2009年1月に廃止となった[1]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯62度 西経7度 / 北緯62度 西経7度 / 62; -7