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フランダースの犬 (アニメ)

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
世界名作劇場
通番 題名 放映期間
第1作 フランダースの犬 1975年1月
- 1975年12月
第2作 母をたずねて三千里 1976年1月
- 1976年12月
第3作 あらいぐまラスカル 1977年1月
-1977年12月
フランダースの犬

ジャンル 児童文学
アニメ
原作 フランダースの犬

ウィーダ1872年

監督 黒田昌郎
シリーズ構成 六鹿英雄、松木功、中西隆三
キャラクターデザイン 森康二
音楽 渡辺岳夫
アニメーション制作 ズイヨー映像日本アニメーション
放送局 フジテレビ系列
放送期間 1975年1月5日 - 12月28日
話数 全52話
ネロ
ジェハン
アロア
コゼツ
エリーナ
ナレーター
喜多道枝
及川広夫
桂玲子
大木民夫
中西妙子
武藤礼子
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

フランダースの犬』(フランダースのいぬ)は、1975年日本で放送されたテレビアニメ日本アニメーションが制作し、テレビアニメシリーズ「世界名作劇場」の第1作目にあたる。

1872年イギリスで発表された小説『フランダースの犬(原題:A Dog of Flanders)英語版を原作とする。

概要

テレビアニメの本放送は、フジテレビ系列にて、1975年1月 - 12月の期間に毎週日曜19:30 - 20:00(JST)の番組枠で放送された。本放送時の番組枠は、「カルピスまんが劇場」(第26話以前)・「カルピスこども劇場」(第27話以降)であり、どちらも「世界名作劇場」の前身である。現在、制作会社の日本アニメーションからは、世界名作劇場シリーズの第1作目として紹介される[1]。同シリーズに区分されることからも、日本アニメーション制作としても認知されるが、第20話までは前身となったズイヨー映像が制作していた[注釈 1]

原作は、1872年イギリスで発表された小説『フランダースの犬英語版であり、著者であるイギリス人作家・ウィーダベルギー旅行から着想されたフィクションとして、ベルギーを舞台に、貧しい少年・ネロと犬・パトラッシュの友情を軸に展開される悲劇を描く。原作が短編小説であることから、物語展開にオリジナル要素が大きく加わる(詳細は後述の「#原作との相違点」参照)。

最終話の視聴率は、世界名作劇場シリーズの視聴率で最高記録となる30.1%を記録した(ビデオリサーチ・関東地区調べ)。他方で、わずかながら制作に参加していた宮崎駿は、「視聴率的には成功したんですが、僕はゴミみたいな作品だと思うんですけどね」と本作品を評している[2]

尚、最終回のネロとパトラッシュの最期の場面は特に有名であり、以下の台詞が後世でもパロディ・オマージュに使用される。

パトラッシュ、疲れたろう。ぼくも疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ...パトラッシュ......
ネロ、『フランダースの犬』第52話

2010年3月、世界名作劇場放送35周年を迎えた日本アニメーションは、本作品に登場するパトラッシュの名前を冠した「パトラッシュ基金」を発足させ[3]盲導犬育成普及事業の支援を開始した。

ストーリー

ベルギーフランダース地方のとある村に住む少年・ネロは、幼くして両親を亡くし、祖父・ジェハンとの2人暮らし。村から近隣のアントワープへと牛乳を運搬することで生計を立て、仕事終わりには幼馴染の少女・アロアと遊び、貧しくとも慎ましく過ごしていた。

その日も祖父の仕事に同伴したネロは、アントワープで金物屋の荷引きを強いられる大型犬と出会う。この老犬・パトラッシュのことが気になっていたネロだが、ある日、金物屋が土手に捨て置いたことを知ると、衰弱しきったパトラッシュを助け、自宅で引き取ることにした。

人間への怯えを垣間見せるパトラッシュだったが、心優しいネロたちの様子に心を許していく。やがて、パトラッシュ自ら牛乳運びの荷引きを手伝うなど、恩返しをするように勤め、ネロにもアロアにもかけがえのない存在へとなった。しかし、ネロは画力向上への探求から画業への興味を深め、アロアも完成まで至ることのなかったレース編みの楽しさに気付いた頃、アロアのイギリス留学が決まった。村一帯の地主であるアロアの父は、一人娘の関心がネロに集中していることをよく思わなかったのだ。

ある時、優しかった祖父が死に、ネロとパトラッシュは悲しみに暮れる。さらにしばらくたったある晩、アロアの家の風車小屋が火事になってしまった。アロアの父のコゼツは前からネロを嫌っていたせいか、ネロが犯人ではないかと疑いだす。それ以来、コゼツに逆らえられない村人たちは、ネロに牛乳運びを頼もうともしなくなってしまった。

祖父の死、火事としての疑いによって仕事を断念、そして念願の夢だった絵画コンクールの落選、絶望の連続に暮れたネロは生きる気力さえ失う。そんな時、パトラッシュはコゼツが落とした大金の入った財布を見つけ、ネロはそれをコゼツ家に届ける。アロアと母・エリーナは喜びネロを家に招き入れようとしたが、ネロはそれを拒絶しコゼツ家にパトラッシュを預けて家に戻った後、置き手紙と全財産を残して去ってしまう。財布を探していたコゼツが家に戻った後、アロアから財布を渡されそれが今まで嫌っていたネロが届けたものだと知らされると、今までネロに辛く当たってきた自分を恥じてネロに償いをすることを決心する。

クリスマスの夜、風車職人の老人からネロは無実だという話を聞かされたコゼツと村人たちはネロに謝罪するために、ネロの家に向かい、さらに絵画コンクールの審査員がネロを引き取りに来たが、ネロは既に姿を消した後だった。村人たちは何とかネロを必死に探すが、すべてが手遅れだった。

コゼツ家を抜け出したパトラッシュは大聖堂でルーベンスの絵を見ながら行き倒れになっているネロを見つけた。ネロはパトラッシュに「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ。」と言う。そして、ネロは両親や祖父のいる天国へと旅立った。もう辛いこともなく、みんな一緒にいつまでも末永く平和に暮らすのだった。

登場キャラクター

全編を通して、ナレーター(声 - 武藤礼子)が説明と次話予告を行う。尚、説明には動物であるパトラッシュの心情描写も含まれる。

主要キャラクター

ネロ
声 - 喜多道枝
主人公。幼くして両親を亡くし、祖父・ジェハンと2人で暮らす少年。10歳。素直で正直な働き者で、ジェハンに似て心優しく、どんな不運に見舞われても他者を恨まない。
両親の記憶は朧気だが、幼い頃に母に連れられた大聖堂の記憶が僅かながらに残る。祖父・ジェハンと共にアントワープへ牛乳運びへ赴くほか、幼馴染のアロアやアントワープで出会ったジョルジュ、ポール兄弟と共に過ごすことも多い。
金物屋の主人に酷使されるパトラッシュに水を与えてからは、アントワープへ外出する度に気に掛け、瀕死のパトラッシュを保護する(第6話)。
絵を描くことが好きで、才能を認められながらも、不足する技術力を補うべく勉強する。大聖堂の絵画に魅了されており、作者のルーベンスにも強く憧れ、有料公開の他の作品を観覧したり、画業を志すことが夢である。しかし、アロアの父・バースからは、働きもせずに絵ばかり描く怠け者として扱われてしまうなど、この様子に理解のない大人たちもいた。実際には、風車小屋を修理するノエルや木こりであるミシェルの手伝いをし、特にジェハンが倒れた際には、船の積荷を運ぶ肉体労働も行っている。
ナポレオンの時代に建設された風車小屋が動かなくなり、ミシェルの怪我のために木材も確保できない状況で、ネロはミシェルの世話をしながら、大きなの木を1人きりで切り倒したことから、この風車には愛着がある(第32話)。
心優しい隣人と離別し(第34話)、アロアとの交流を絶たれ(第39話)、祖父も亡くし(第44話)、風車小屋の火災では濡れ衣を着せられて失業し(第47話 - 第48話)、コンクールに出品した絵が落選し(第50話)、家賃も払えず、重なった不運から生きることに絶望した。
雪積もるクリスマスの日、パトラッシュが雪に埋もれるバースの巾着を発見したため、コゼツ宅に届けると、大金の入った巾着であったことから、コゼツ母子からは感謝を示されるが、ネロにはその言葉は届かなくなっていた(第50話)。空腹で弱りきり横たわるパトラッシュを預け、思い出深い家の中を片付け、吹雪の夜の中へと独り彷徨い大聖堂にたどり着く(第52話)。念願だった有料公開のルーベンスの絵画を見ると[注釈 2]聖母マリアに感謝の祈りを捧げ、居場所を突き止めたパトラッシュに幸福だと話し[注釈 3]、パトラッシュを抱きかかえながら共に召される。絵画コンクールの審査員・ヘンドリックによると、絵の才能はルーベンスを継ぐことができるレベルだというが、その評価を本人が聞くことはなかった。
識字の可否は設定が一貫しておらず、場面ごとに異なるが、最終話では自宅に手紙を遺している[注釈 4]
溺れていたポールのために飛び込んでいくが、自身も泳げない(第4話)。
ジェハン・ダース
声 - 及川広夫
ネロの祖父。娘の没後、まだ幼かった孫のネロを引き取った。
若い頃に派兵された際の負傷と老体で働けないため、村人たちの厚意から、村で搾乳された牛乳をアントワープまで運搬することを仕事としている。パトラッシュを保護してからは、採取した薬草の売却のほか、アントワープの広場で八百屋の店番をするなどして生計を立てる。
アロアの父であり、村一帯の地主でもあるバースから、対面でネロの絵の趣味を批判された際には、臆することなくネロの味方に立つなど、ネロの良き理解者である。ネロが絵のコンクール出品を決意した際には、理解を示す一方、老体の限界からネロの将来を案じて、百姓や木こりとして自立することを願う。しかし、とうとう倒れ込み(第40話)、自身の死期も悟ると、「良い絵を描くんだぞ」と言い遺して息を引き取った(第44話)。
なお、死別後のネロは絵を描く気力をなくすものの、コンクールには、思い出の中のジェハンとパトラッシュの絵を出品する。
パトラッシュ
金物屋主人・アンソールに酷使されていた大型の労働犬。第1話登場時点で老犬。
非常に頭が良くネロたちの言うことを理解し、自分で考えてネロたちのためになる行動を取る。
水も与えてもらえずにアンソールから酷使されていたところを、見兼ねたネロが手水で与えた(第1話)。その後もネロが見掛ける度に疲労感が窺え、ある日、とうとう川辺で荷台を引く途中に川辺で倒れ込んでしまうと、死んだものと勘違いされて土手に捨て置かれた(第6話)。瀕死のところをネロとジェハンに保護されてからも、暫くは人間に対してPTSDの状態にあったが、ネロやジェハンらとの交流から心を開いていくと、自ら牛乳缶の荷台を引くようになる。
普段は温厚で吠えることもないが、ネロを大事に思っており、特にネロに対して嫌味な大家・ハンスなどには、唸り声で威嚇することもある。ただし、アンソールとの再会には、やはり怯えが強い。
2度目のクリスマスの日、ネロと共に雪の中を彷徨っていると、アロアの父・バースの巾着を見つけてコゼツ宅へと届け出るが、空腹で弱っていたことで意識をなくし、そのままコゼツ母子へ預けられる。しかし、意識を取り戻すと、ネロの不在による不安感から、雪に埋れていたネロの手袋を手がかりとして、大聖堂にいたネロを突き止め、共に召されるまで寄り添った(第52話)。

パトラッシュの犬種について

本テレビアニメ版では、パトラッシュの犬種について言及がなく、原作小説における犬種の説はブーヴィエ・デ・フランドルとされるが、外見上の特徴が全く異なっている[4]
本テレビアニメ版でのキャラクターデザインについて、監督の黒田昌郎は、労働犬として飼われることや写真を見てパトラッシュのイメージと大きく違うと感じて[5]、「子供たちに馴染んでもらい易くするため、セント・バーナード和犬を参考にデザインした」と語る。
アロア
声 - 桂玲子(第1話 - 第2話:麻上洋子、第12話:松尾佳子
ネロと同じ村に住む幼馴染の少女。村一帯の大地主・コゼツ家の一人娘。8歳。勝ち気で天真爛漫な性格。
ネロとはいつも一緒に遊んでいる。好奇心旺盛で、周囲の心配をよそに少々危なっかしい行動をすることも多い。牛乳運びを終えて帰ってくるネロを丘の上で待っていることが多く、会えない場合はとても残念がる。
ネロが絵の練習を重ねていると、それまで完成させたこともなかったレース編みを完成させ、母・エリーナから制止されても大雨の中を丘の上へと向かい、ネロとの約束通りに完成品を見せ合った。また、ネロの絵の夢を応援しており、紙が欲しいと溢したネロに対して、父・バースに無断で古い書類を書斎から持ち出してしまう。これが村の収支に関わる重要なものだったため、バースの怒りを買うきっかけの一つでもあった。ネロの失踪時、絵のコンクールに落選しながらも、審査員の1人がネロの才能を見出して迎えに来た際には、「ネロ、あなたが描いた絵は誰にも負けやしなかったのよ」とも(第52話)。
一時期、行儀見習として、叔母・ソフィアの住むイギリスに留学させられるが(第26話)、病気のために帰国する(第35話)。アントワープでの入院生活中、薬草を届けたネロの励ましもあって回復するが、留学生活へ戻そうとするバースに対し、医師の説得もありながら、アントワープでも勉強はできるのだと訴えた。結果的にバースは妥協案として転校を認めるが、登下校の送迎すら、バースの使用人・ハンスの監視下にあり(第39話)、ネロとの交流は引き続き制限される。
ある夜、ネロが沼地で人形を見つけ、アロアのものではないかと届けに来ると、同日に風車小屋の火災が発生し(第47話)、出歩いていただけで村人から放火犯として疑われるネロだったが、アロアは無実を信じた。翌日以降、完全に仕事のなくなったことを知ると、バースに村人へネロの無実を伝えるよう訴える。
クリスマスの日、ネロが失踪したことを知ると、捜索への参加はエリーナに制止されながらも、「マリア様、お願いです。私は死んでもいいから、ネロを助けてください」と部屋で祈った。大聖堂のネロが「なんだかとても眠いんだ」と呟く同時刻、悲劇を予言するように外へ飛び出してネロの名を呼んだ。(第52話)
劇場版では、成人して修道女となり、子どもたちの世話をしながら、子ども時代のネロとの想い出を述懐する形で始まる。
トレードマークである三角巾にエプロン姿は、舞台となったフランドル地方の習俗に馴染みが薄い日本人のため、オランダの民族衣装からデザインされた。

村の住人

バース・コゼツ
声 - 大木民夫
アロアの父。村一帯の大地主。
原作では粉屋。アロアを溺愛しているが躾には厳しい。
貧しい家の生まれで、苦学の末に一代で財をなした努力家ではあるが、貧しく学のないネロを良く思わず、コンクールに向けた絵を描いていると、「馬鹿げた夢を見ている怠け者[注釈 5]」と決めつける。アロアとネロの関係についても、紙を欲しがったネロに、不要な紙が自宅にあると申し出たアロアが無断で書類を持ち出したなど、村人・ハンスによる「きっとネロの仕業に違いない」などの言葉を鵜呑みにし、アロアが訂正することもしばしば。風車小屋の火災では特に顕著であり、使用人・ハンスから同日夜にネロが出歩いていたことを目撃したため、ネロが放火犯だと主張された際には、他の村人らの目前で怒りを爆発させて罵倒した(第47話)。農民の多い村故に、土地の借主であるコゼツに逆らえる者はなく、村の中でネロが完全に失業した原因の一つである(第48話)。
一人娘・アロアに対する愛情はあり、仕事帰りにお土産を渡す際など、ネロの名が出てこない限りは温かな目を向ける。しかし、ネロとの交流を禁じ、アロア本人が拒絶したイギリス留学を強制的に決定するなど、躾の厳しさがアロアを苦しめていることに気付かない独善的な考えがある。アロアがレース編みに取り組んでいることには、淑女として今の内から身に着けるといいなどと、時代に見合う家父長制に準じた発言がしばしば。なお、妻・エリーナに対しては、「料理だけは認めている」などとも発言。
クリスマスの日、紛失した2000フランを探し歩いて帰宅すると、ネロによってコゼツ宅へ届けられたことを知り、それまでの仕打ちを深く後悔した。更には、火事の真相は自身らの過失だったことを知り[注釈 6]、ネロに謝罪し、コゼツ家に迎え入れてどんな学習環境も用意することを自身の償いとする。しかし、時既に遅く、ネロの失踪に気づくと、村人に協力を要請して、自身も「このわしを許すと言ってくれ」と叫びながら風車周辺を捜索した。
クレジット表記は「コゼツ」で、エリーナからは「あなた」、周囲からは「旦那」または「コゼツの旦那」などと姓で呼ばれ、「バース」の名は作中に一度も登場していない。
エリーナ
声 - 中西妙子
アロアの母。非常に思いやりがあり、品のある女性。アロアの気持ちを尊重し、ネロとの交流に好意的。
貧困のネロに対しても親切を惜しまいが、その親切をいつも夫に咎められるため、密かにネロを支援する。ネロが病床のアロアに薬草を届けてくれたことを感謝しており(第36話)、仕事ができない状況下で食べ物を届けたこともあった。転居してきた村人をきっかけに収入が激減したネロを案じ、夫・バースに村の地主として対応するよう訴えるが、その夜に風車小屋の火災が発生してしまう(第47話)。
チューリップの花畑を所有しており、村の子ども・アンドレの飼う犬・ダックスに荒らされてしまう(第11話)。
クリスマスの日、失踪したネロの捜索時、一緒に探しに行こうとしたアロアに「皆さんがきっとネロを探し出してくださるわ。あなたまでこんな雪の中に出て行ったらどんなことになるかわかりません。心配しないで待っているのよ」と制し、「私たちが悪かったのよ。お願いアロアも心配してるから姿を見せてちょうだい」と捜索に加わった(第52話)。
ハンス
声 - 村松康雄
コゼツ家の商業使用人[注釈 7]。コゼツ家の事業の手伝いや風車小屋の管理などをしている。ダース宅の大家。村で2番目に金持ちだが守銭奴で、ほとんどバースの腰巾着である。
原作には、ネロの家の大家としてコゼツの家に週一で通う靴屋が登場しており、この人物がハンスの役回りにあたる。
底意地の悪い性格であり、相手が自分より弱い立場だと傲慢な言動をするが、相手から毅然とした態度や正論で返されると途端に逃げ腰になる。アロアと息子・アンドレとの仲を勝手に取り持とうとし、アロアと仲の良いネロに対して冷酷な仕打ちを行う。
バースの頼みを忘れるルーズな一面もあり、アロアがイギリスへと旅立つ日、バースからアロアの荷物を確認されると、ネロ自身が持ちたがったが忘れて取りに行ったのだという虚言で乗り切るなど(第26話)、何か問題が起きるとネロに責任を押し付けた。風車の調子が悪くてもその作業を後回しにするなど、怠慢かつ杜撰である。
ダース宅の隣家に越してきた隣人の男が、近隣の酪農家に無料で牛乳運びを行うと交渉する際には、積極的に介入して、ネロの収入減の一因となった(第42話)。ネロの祖父・ジェハンの没後もすぐに家賃の取り立てに訪れ、家賃の半分も足りないことから、クリスマスの日までに支払いを待つことを約束した。また、風車小屋の火災では、拾った人形をアロアに届けて帰っていくネロを見かけただけで、ネロが放火犯だと真っ先に疑うが、真相は自分とコゼツの過失である[注釈 6][注釈 6]
クリスマスの日、バースがネロに対する反省を示すと、バースと共に村人への協力要請を行い、「俺が悪かった。もう意地の悪いことなんか金輪際しないからアンドレと仲良くしてくれ」と泣き叫び、失踪したネロの捜索に参加(第52話)。
劇場版では、ジェハンの死亡直後の家賃取り立て時、支払いが遅れれば追い出すと言い放つが、そのやり口は改心後のバースにも咎められた。
グレタ
声 - 市川千恵子
ハンスの妻。アロアの誕生日会以降(第23話)、稀に登場。
ネロがアロアにプレゼントした花に対して侮辱的な発言をしたことから、夫同様にネロを蔑んで嫌っていることが分かる。また、息子であるアンドレに対する当たりも厳しく、人前でも「愚図」と怒鳴りつける。
アンドレ
声 - 白川澄子
ハンスの1人息子。太い眉とたれ目が特徴。犬・ダックスを飼育し始める。
気が弱く、内気でおどおどしており、窮地に追い込まれると泣き出したり、他人に責任を被せるところがある。父・ハンスがネロを疎ましがっていることから、ネロとの交流の際にはハンスの顔色を窺うこともある。アロアの誕生日会では、参加者の子どもたちとかくれんぼ中、ダックスを追ってアロアとネロが隠れる机の下に潜ったため、バースの大切な壺を割ってしまうが、先に入っていたのはネロだと自分に非がないことを主張(第23話)。アロアがイギリスへと旅立つ日、ハンスと共に見送るためにスーツ姿でアントワープを訪れると、ネロの友人であるジョルジュ・ポールから笑われて泣き出し、居合わせただけのネロが勘違いしたハンスに怒られるなど(第26話)、間違いを正すことなく逃げるだけである。また、その後、アロアの乗船時には、ハンスに促されて花束を渡す役割を強いられるなど、ハンスによって度々、アロアとの関係を無理に構築させられている節がある。
ただし、両親とは異なりネロに対する悪意はなく、風車小屋の火災で村八分状態のネロにこっそりパンを譲り、無実だと信じていると励ました。クリスマスの日も、失踪したネロを「ネロ帰ってきてよ。みんなで一緒に遊ぼうよ」と泣きながら捜索に参加。
ダックス
アンドレの飼っている犬。ダックスフンド。
アンドレによると、父・ハンス買って貰ったという。人懐っこいが落ち着きがなく、パトラッシュと比べて幼いようだが、躾がされていない印象。エリーナが大事に育てた花畑に誤って踏み入ってしまうなど、時々騒動を巻き起こす。アンドレの登場時、よく腕に抱きかかえられている。
ヌレット
声 - 遠藤晴
ダース宅の隣家に住む老婆。原作では名前のみ登場。独り暮らしで、娘・ミレーヌからは共に暮らすことを説得される。
ネロの母親代わりとも発言するほどにジェハンとネロを気遣う。
非常に人がよく、自身の飼育するアヒル・クロのいたずらに手を焼きながらも、𠮟りつけて寝込んでいる間にクロを見かけないと激しく心配した。神経痛の悪化から、娘夫婦に引きとられて遠くに引っ越していく。ジェハンとネロには、クリスマスに戻ってくることを約束してネロにクロを預けた。(第34話)
クリスマスの日、ネロとの約束通りに娘夫婦と共に村に向かい、コゼツ宅に置いていかれたパトラッシュがネロを探し歩く様子を馬車から見かけるが、ネロの状況を知る由もなく、ネロから離れて「パトラッシュがこんな所にいるはずないものね」と気に留めなかった。しかし、村に到着したのち、ダース宅が片付けられた状態でネロとジェハンの姿もないことから、ネロの失踪を最初に気づき、ジェハンの死も知らされて泣き崩れる。(第52話)
クロ
ヌレットの家で飼われるアヒル。イタズラ好き。
ヌレットが「クロが産んだ卵だよ」とネロに卵を譲っており、メスである(第3話)。勝手に柵から飛び出しては、ネロが釣りに行くため、ミミズを確保していると勝手につまみ食いするなど、ヌレットに叱られてばかり。
パトラッシュに対しても、特に初期の頃は、パトラッシュのしっぽを突くなどのちょっかいを出すが、ある時川近くの岩の隙間に落ちて出られなくなったところを救出され、よくなつくようになった。ヌレットの病状が悪化したことで共に引っ越す予定だったものの、当日、ヌレットの気が変わったことでネロに引き取られる(第34話)。当初は、引き取られたことを理解できず、寂しくもあったようで、元々使用していた隣家の小屋で眠りにつくが、大家・ハンスに取り壊されてしまう。
ネロたちの牛乳運びには付いてこないように言われており、アントワープまでは行かない。ジェハンの死後、いよいよネロの生活も困窮し、ネロの友人・ジョルジュも奉公でアントワープを離れるため、ジョルジュの弟・ポールが寂しくないよう1日だけ預けられることになった(第45話)。その後、寂しさから村に連れて帰ることが出来ないでいたと言うポールに、ネロはそのまま引き取ってもらうことを決め、ポールの弟としてダース宅を離れる(第50話)。ネロとパトラッシュの死を知る由もない。
ジェスタス
声 - 水鳥鉄夫
ネロの村に住む農夫。
ネロの祖父・ジェハン存命時から、妻・イザベルと共にジェハンの体調を気遣い、ネロの将来を気に掛けるジェハンの話を親身に聞くこともあった。
ダース宅の隣家にあとから越してきたセルジオが、牛乳運びを無料で対応するという申し出を断った唯一の村人(第42話)。しかし、自身の土地を村の大地主・バースから借り受けている都合上、風車小屋の火災でネロが放火犯だと疑うバースの怒りを恐れ、仕方なくネロの牛乳運びを断ることにした(第48話)。尚、火災以前には、セルジオの話に乗った農家にネロの収入がなくなってしまうと説得を試みている(第42話)。
クリスマスの日、バースの使用人・ハンスの要請に応じて、村中に声をかけて回りながらネロの捜索に参加(第52話)。
字幕では最初に登場した時にはジェフタフと表示されていたが、次に登場したときはジェスタスに修正されている。
イザベル
声 - 鈴木れい子
ジェスタスの妻。ジェスタスと同様にとても親切な人。
ネロの祖父・ジェハン存命時から、夫・ジェスタスと共にネロの将来を気に掛けるジェハンの話を親身に聞くこともあった。風車小屋の火災をきっかけに、ジェスタスがネロの牛乳運びを断った際、せめて当日分の賃金をと手渡したが、労働せずに受け取れないと断られてしまう(第48話)。
ヘルモンド
声 - 中村武己
農夫の一人。
日和見主義な性格。当初はネロに牛乳運びを依頼する理解者の一人だったが、村に引っ越してきたセルジオが無料で牛乳運びをすると申し出ると、取引に応じてネロの牛乳運びを断る(第42話)。風車小屋の火災でネロが放火犯とされると無視し始め、冷たく接するようになり(第48話)、失踪したネロの捜索にも参加しなかった(第52話)。
セルジオ
声 - 矢田耕司
ヌレットおばさんが引っ越した後のネロの隣人。
アントワープの市に出店する野菜の商人で、引っ越して来た日に農家の村人たちと、村で採れた野菜を安く売ってもらう代わり、無料で牛乳運び行うという交渉を始める(第42話)。ネロとジェハンにも隣人として挨拶に訪れ、ネロの事情を知らない様子だが、村の中でネロが仕事を失っていく一因となった。
原作では、アントワープの牛乳商が直接買い付けに来るようになるため登場しない。

アントワープの住人

ジョルジュ
声 - 駒村クリ子
ネロの友人。ポールの兄。本テレビアニメ版の完全オリジナルキャラクター。12歳。
わんぱくだが、漁に出ている両親の代わりに弟の面倒を見ている。アントワープでネロと出会い(第3話)、弟・ポールが溺れたところを助け出されてからはネロに感謝し(第4話)、大切に思っている。
洞察力にも長けていて、アロアがイギリスに発つ日、ネロの不在を不審に思い、バースの使用人・ハンスによるネロがアロアの荷物を忘れてきたという嘘を見抜き、村へ戻ろうとしたネロを引き止めることもあった(第26話)。
牛乳運びが終わった後にネロとよく遊び、ネロやアロアに対してもとても面倒見が良い。帰国後のアロアがネロとの交流を禁じられた際には、2人がアントワープに通勤・通学する様子を旗で知らせていた(第39話)。ネロ牛乳運びの仕事が減った際にも、船の積み荷を運ぶ仕事を見つけてきて手伝う。
後に鍛冶屋の見習いとして働きに出るため、ネロとは別れることになる。
クリスマスの日、アロアの父・バースの自省の中で、ネロを村から追い出そうとさえ考えていたという言葉に憤り(第51話)、ネロの捜索時には、ポールと共に泣きながら鐘を鳴らした(第52話)。
ポール
声 - 菅谷政子
ネロの友人。ジョルジュの弟。本テレビアニメ版の完全オリジナルキャラクター。6歳。
いつも兄・ジョルジュにぴったりくっついていて、ジョルジュがなにか言うたびに仕草や言葉をマネするのが特徴(例:ジョルジュの発言する「ネロ、元気だせよな!」に対して「だせよな!」など)。元気で明るく頑張り屋だが、張り切りすぎて失敗することもある。
かくれんぼ中に川に落ちてしまったところを泳げないながらに助け出されてからはネロを慕っている(第4話)。
ジョルジュが働きに出たのちも、代わりにネロを気にかけたが、ネロにジョルジュのいない寂しさを打ち明けると、アヒルのクロを借り受ける。やがてクロを自身の弟として引き取る(第45話 - 第50話)。
クリスマスの日、ネロの捜索時には、ジョルジュと共に泣きながら鐘を鳴らした(第52話)。
牛乳集配所主人
声 - 西尾徳
アントワープの牛乳集配所の主人で、ジェハンたちが運んだ牛乳の量により賃金を渡している。
ステファン
声 - 山岡葉子
アントワープに住む富豪の息子。
日頃から画家の指導を受けており、絵画コンクールではネロの作品を抑えて1等を受賞した。
ファミリーネームである「Kiesslinger」は、原作では「キイスリング」、本テレビアニメ版では「キースリンガー」、劇場版では「キースリンゲル」と異なった表記が見られる。

その他

ミシェル
声 - 雨森雅司
森の中で一人で生活する木こり。ネロの祖父・ジェハンの古き友人。ネロの数少ない理解者の一人。
初期から、ジェハンによるネロの将来を案じる話に耳を貸すなど、ネロに対しても親身である。
村の風車小屋の修理に木材を必要としている頃、怪我で動けなくなった際、ネロに身の回りの世話をしてもらうが、一方で、ネロが1人隠れて大きな樫の木を切り倒していたことを知ると(第32話)、ネロを木こりにと考える。ジェハンの死は後から知るが、引き取り手のいないネロを迎えに来ると、絵のコンクールの結果が出るまではダース宅にいたいというネロの願いを優先した。
クリスマスの日、ネロを再び迎えに来た際には、既に失踪しており、居合わせたヌレットにジェハンの死を知らせ、ネロの捜索に参加(第52話)。
銃声が嫌いで、ハンスが銃を撃ったことがわかった時、彼に対して怒鳴っている。
字幕や台詞ではミシェルになっていたり、ミッシェルになっていたりと統一されていない。
ノエル
声 - 永井一郎
腕の良い風車職人の老人。頑固で大層な変わり者だが、実は常識人。
縦笛で陽気な曲を吹きながら、ロバ・ロバ公と共に村々を放浪しており、初登場は第13話。村の風車小屋の初めて訪れると、高慢な態度の地主・バースに臆せず、バースの使用人・ハンスのことはこき使う。修理作業に興味を示し、静かに観察していたネロの存在にハンスが怒ると、筋違いであることを諭してネロのことを正しく評価する。また、ネロが木くずを利用して自身の写生をしていたことに気づくと、その絵心に感心した。
風車小屋の火災以前から、人伝に再度の修繕依頼を受けており、クリスマスの日にも村に再訪。しかし、普段は温厚な性格だが、ネロを放火犯扱いしたことと風車小屋の管理の杜撰さには、火災の真相を言って聞かせ[注釈 6]、バースとハンスを怒鳴り散らした。のちに失踪したネロの捜索に参加。(第52話)
酒好きで、革袋に入れた酒を仕事終わりなどに飲んでいる。
ロバ公
ノエルの飼っているロバ。
アンソール
声 - 飯塚昭三
アントワープに出入りする金物屋。パトラッシュの元飼い主。
髭面で残忍。よくアントワープの酒場に入り浸る。水も飲ませず酷使していたパトラッシュが瀕死になると、死んだと思い土手に向かって転がして捨て置く。しかし、回復してジェハン、ネロと共に牛乳運びに付いてきたパトラッシュとアントワープで再会するや、罪の意識も無く所有権を主張する。ジェハンとの話し合いの末、3フランで売るという取引を持ち掛け、分割払いで合意させた。一度目は、ジェハンが酒屋の主人に「金物屋さんが来たら渡してください」と預けているが、このタイミングが合わず、お金を受け取れなかったことに怒った。パトラッシュを強奪するが、途中で逃げられる(第19話 - 第20話)。尚、ネロはジェハンとアンソールとの取引を知らなかったため、パトラッシュの所有権を主張されて困惑した。
第21話以降登場しないため、その後どうなったのかは不明。
原作では、酔った勢いで起こした喧嘩が原因で死亡している。
貴婦人
声 - 北浜晴子
ネロと出会った親切な貴婦人。初登場は第28話。
息子を亡くした悲しみを癒すため、アントワープへ旅行に訪れたイギリス人。牛乳運び中のジェハンとネロたちの荷車が壊れて立ち往生していたところに居合わせ、馬車の通行を阻害されて怒る御者を窘め、自ら車外に姿を現し謝罪した(第28話)。ネロに息子の面影を見出して優しく接し、大聖堂にはルーベンスの絵画があと2枚所蔵されていることを教える。
アントワープでネロと偶然再会すると、翌日にはイギリスへ帰国するのだと伝え、共に2枚の絵画を見る約束をする。しかし、翌日になって、ジェハンの急病と村人・ハンスの嫌がらせのため、ネロが約束の時間に遅れてしまい、挨拶もできず残念そうに帰国していった(第30話)。
ミレーヌ
声 - 藤田淑子
ヌレットの娘。クロードと結婚し、今は馬車で3日もかかる遠方に住んでいる。母親思い。
初登場時は一児の母親であったが、第33話の段階で第二子を妊娠している(ヌレット宛の手紙より)。
実家がダース宅の隣家であることから、ネロとも顔見知りであり、久しぶりの再会にその成長を喜んだ。
クリスマスの日には、ヌレットとネロの約束を果たすべく、夫・クロードと共に同行してきたが、失踪したネロの捜索に参加(第52話)。
クロード
声 - 富山敬
ミレーヌの夫で優しそうな人。
クリスマスの日には、ヌレットとネロの約束を果たすべく、馬車でヌレットを送って来たが、失踪したネロの捜索に参加(第52話)。
ソフィア
アロアの叔母。イギリスに住んでいる。
アロアの父・バースの妹で、立ち居振る舞いの優雅な美人。名門学園出身。
アニー
声 - 岡本茉利
ソフィアの娘。アロアの従姉妹。知的な雰囲気の美少女。
名門女子学園に通っている。アロアの父・バースからも礼儀正しさを褒められ、アロアの模範となるようにイギリス留学を思いつくきっかけともなる。しかし、傲慢ともとれる勝ち気な性格で、ネロの絵を見た際には「遠近法がなっていない」とこき下ろした。
犬嫌いでもありパトラッシュを拒絶した。
ダントン
声 - 大宮悌二(クレジットの「大宮剃二」は誤記)
アントワープに住む商人。アロアの父・バースの仕事仲間。
第23話のみ登場し、アロアの誕生日会に参加。大きな人形を送り届け、子どもたちがかくれんぼ中に壺を割ってしまった際には、自身の家でもよくやられたものだと笑い飛ばした。
バートランド
声 - 田村錦人
イギリスに留学したアロアが病気になって帰国した時の主治医。
アロアの病気が薬や医者の力ではなく、ネロの励ましで治ると見抜いていた。この本質が分からず、回復後に再度イギリスへ戻そうとするアロアの父・バースに檄を飛ばす。
ヘンドリック・レイ(劇場版:アイク)
声 - 家弓家正
ネロが応募した絵画コンクールの審査員の1人。偶然出会ったネロと長く関わるようになる。
ネロに絵を描く時の心構えとして、「心の目で見る」「自分が感じたことを描けばいい」などとアドバイス(第3話)。
コンクールの審査の際には、ネロを1等に推したが、他の審査員たちに押し切られてしまい、2位の結果となった(第51話)。
しかし、クリスマスの日、ルーベンスを継げる才能があると見込んで、ネロを引き取って学校に通わせたいと村を訪れるが、ネロは既に失踪していた。ネロの捜索には参加しなかったが、アロアと共にダース宅へ残り、ネロが描いた天使の絵を見つめており、大聖堂のネロが「なんだかとても眠いんだ」と呟く同時刻、悲劇を予言するように外へ飛び出すアロアを引き止めはしなかった。(第52話)
原作では名前不出だが、「世界的に有名な画家」と説明されている。

スタッフ

  • 演出(監督):黒田昌郎
  • シリーズ構成:六鹿英雄、松木功、中西隆三
  • キャラクターデザイン:森康二
  • 場面設定:坂井俊一
  • 美術監督:伊藤主計
  • 編集:瀬山武司
  • 仕上検査:保田道世
  • 音響監督:佐藤敏夫
  • 音楽:渡辺岳夫
  • 制作デスク:佐藤昭司(「まんが劇場」時代)→遠藤栄
  • 担当プロデューサー:中島順三(「まんが劇場」時代)
  • プロデューサー:高橋茂人(「まんが劇場」時代)→中島順三、松土隆二(「こども劇場」以降)
  • 企画:瑞鷹エンタープライズ(「まんが劇場」時代)、日本アニメーション株式会社(「こども劇場」以降)
  • 制作:日本アニメーション(第1話)、ズイヨー映像、フジテレビ(第2話~「まんが劇場」時代)、日本アニメーション、フジテレビ(「こども劇場」以降)

主題歌

「よあけのみち」
大杉久美子シングル
B面 パトラッシュぼくの友達
リリース
ジャンル ポピュラー・ソング
アニメソング
レーベル 日本コロムビア
作詞 岸田衿子
作曲 渡辺岳夫
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 1975年度年間1位(オリコン/TVマンガ童謡部門)[7]
  • 試聴
    よあけのみち - YouTube(日本コロムビア提供YouTubeアートトラック)
    パトラッシュぼくの友達 - YouTube(日本コロムビア提供YouTubeアートトラック)
    テンプレートを表示
    音楽・音声外部リンク
    世界名作劇場 メモリアル音楽館 フランダースの犬 - YouTubeプレイリスト

    オープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌などが合計6曲作られ、前作の『アルプスの少女ハイジ』同様、岸田衿子が作詞、渡辺岳夫が作曲、松山祐士が編曲を、それぞれ担当した。

    なお、1975年3月発売のシングル盤(SCS-248)のB面には、正規エンディングテーマの「どこまでもあるこうね」ではなく、歌詞が似ている「パトラッシュぼくの友達」が収録された。そのため、後年CDで発売された「テレビまんが懐かしのB面コレクション」シリーズに収録されているのも後者である。

    また、これらとは別に、賛美歌調のコーラス曲も製作された。

    1975年6月発売のLPレコード(CW-7020)には、全6曲の歌とともに「(おはなし)フランダースの犬」も収録された[注釈 8]。その他、カセット絵本も発売された。

    オープニングテーマ - 「よあけのみち」
    歌:大杉久美子、アントワープ・チルドレン・コーラス
    歌い出しの"Zingen Zingen Kleine Vlinders"はフラマン語で「歌え 歌え 小さな蝶々」の意味。
    第1話から第8話まではエンディングテーマとしても使用された。
    1975年の日本コロムビアのゴールデン・ヒット賞を受賞した[6]。主題歌シングルは、オリコンの「TVマンガ童謡部門」のチャートで1975年度の年間チャート1位を記録した[7]
    エンディングテーマ - 「どこまでもあるこうね」
    歌:大杉久美子
    第9話から最終話まで使用。
    挿入歌
    「まどをあけて」
    歌:大杉久美子
    「あおいひとみで」
    歌:大杉久美子
    「パトラッシュぼくの友達」
    歌:大杉久美子、アントワープ・チルドレン・コーラス
    イメージソング-「手をつないで」
    歌:大杉久美子、コロムビアゆりかご会
    「(おはなし)フランダースの犬」劇中音楽[注釈 9]
    作曲:渡辺岳夫 / 編曲:増田順平 / 歌(コーラス):サニー・シンガーズ / 伴奏:コロムビア・オーケストラ

    放送情報

    各話リスト

    話数 放送日 サブタイトル 脚本 絵コンテ 作画監督
    1 1975年
    1月5日
    少年ネロ 吉田義昭 黒田昌郎 坂井俊一
    2 1月12日 アロアと森へ 柴田一
    3 1月19日 アントワープの町で 山崎修二
    4 1月26日 新しい友達
    5 2月2日 パトラッシュ 奥田誠治 羽根章悦
    6 2月9日 がんばれパトラッシュ 斧谷稔
    7 2月16日 スープをおのみ 加瀬高之 奥田誠治
    8 2月23日 ほえたよおじいさん 斧谷稔
    9 3月2日 おもいでの鈴 奥田誠治
    10 3月9日 アロアのブローチ 伊東恒久
    11 3月16日 エリーナの花畑 斧谷稔
    12 3月23日 おじいさんの小さな壺 加瀬高之 奥田誠治 岡田敏靖
    13 3月30日 ナポレオン時代の風車 羽根章悦
    14 4月6日 夜空に描いた絵 吉田義昭
    15 4月13日 古い帳簿 高畑勲
    16 4月20日 10サンチームの写生帳 奥田誠治
    17 4月27日 丘の上の木の下で 加瀬高之
    18 5月4日 いたずらっ子のクロ 横田和善
    佐々木正広
    岡田敏靖
    19 5月11日 金物屋が村に 奥田誠治 羽根章悦
    20 5月18日 どこまでも 岡田敏靖
    21 5月25日 船で来たお客さま 吉田義昭 羽根章悦
    22 6月1日 イギリスからの贈物 松島昭 岡田敏靖
    23 6月8日 アロアの誕生日 加瀬高之 羽根章悦
    24 6月15日 アロアの絵 中西隆三 岡田敏靖
    25 6月22日 アロアがいない 雪室俊一 羽根章悦
    26 6月29日 さようならアロア 岡田敏靖
    27 7月6日 アロアのいないクリスマス 佐藤道雄 羽根章悦
    28 7月13日 親切な貴婦人 岡田敏靖
    29 7月20日 ルーベンスの2枚の絵 高山由紀子 羽根章悦
    30 7月27日 雪の中の約束 岡田敏靖
    31 8月3日 ネロの決意 安藤豊弘 羽根章悦
    32 8月10日 大きなカシの木 西牧秀雄 岡田敏靖
    33 8月17日 こころの手紙 佐藤道雄 奥田誠治 羽根章悦
    34 8月24日 ヌレットおばさん 岡田敏靖
    35 8月31日 お帰りアロア 雪室俊一
    36 9月7日 アロアのくすり 水沢わたる 羽根章悦
    37 9月14日 うれしい知らせ 安藤豊弘 横田和善
    38 9月21日 ネロの大きな夢 雪室俊一 奥田誠治
    39 9月28日 心をつなぐ二つの旗
    40 10月5日 おじいさんの口笛 岡田敏靖
    41 10月12日 なつかしい長い道 安藤豊弘 羽根章悦
    42 10月19日 となりに来た人 佐藤道雄 柴田一 岡田敏靖
    43 10月26日 アロアのおてつだい 奥田誠治 羽根章悦
    44 11月2日 おじいさんへのおみやげ 岡田敏靖
    45 11月9日 ひとりぼっちのネロ 安藤豊弘 羽根章悦
    46 11月16日 おじいさんの顔 岡田敏靖
    47 11月23日 風車小屋の火事 佐藤道雄 羽根章悦
    48 11月30日 なくなった仕事 岡田敏靖
    49 12月7日 描けたよおじいさん 雪室俊一 羽根章悦
    50 12月14日 発表の日 岡田敏靖
    51 12月21日 二千フランの金貨 中西隆三 羽根章悦
    52 12月28日 天使たちの絵 岡田敏靖

    ネット局

    ※放送日時・系列は本番組終了時(1975年12月)のもの。

    放送地域 放送局 放送日時 放送系列 備考
    関東広域圏 フジテレビ 日曜 19:30 - 20:00 フジテレビ系列 制作局
    北海道 北海道文化放送
    宮城県 仙台放送
    秋田県 秋田テレビ
    山形県 山形テレビ
    長野県 長野放送 [注釈 10]
    静岡県 テレビ静岡
    富山県 富山テレビ
    石川県 石川テレビ
    福井県 福井テレビ
    中京広域圏 東海テレビ
    近畿広域圏 関西テレビ
    島根県・鳥取県 山陰中央テレビ
    岡山県 岡山放送 フジテレビ系列
    テレビ朝日系列
    [注釈 11]
    広島県 テレビ新広島 フジテレビ系列 1975年10月開局から
    愛媛県 愛媛放送 [注釈 12]
    福岡県 テレビ西日本
    佐賀県 サガテレビ
    熊本県 テレビ熊本 フジテレビ系列
    日本テレビ系列
    テレビ朝日系列
    沖縄県 沖縄テレビ フジテレビ系列
    青森県 青森放送 土曜 18:00 - 18:30 日本テレビ系列
    テレビ朝日系列
    岩手県 岩手放送 日曜 18:00 - 18:30 TBS系列 [注釈 13]
    福島県 福島テレビ 土曜 18:00 - 18:30 TBS系列
    フジテレビ系列
    山梨県 山梨放送 水曜 19:00 - 19:30 日本テレビ系列
    新潟県 新潟総合テレビ 月曜 18:00 - 18:30 フジテレビ系列
    日本テレビ系列
    テレビ朝日系列
    広島県 広島テレビ 土曜 18:00 - 18:30 日本テレビ系列 [注釈 14]
    山口県 山口放送 月曜 18:00-18:30

    →19:00 - 19:30

    日本テレビ系列
    徳島県 四国放送 木曜 19:00 - 19:30
    香川県 西日本放送 月曜 18:00 - 18:30 [注釈 15]
    高知県 高知放送
    長崎県 長崎放送 平日夕方 TBS系列 [注釈 16]
    テレビ長崎 土曜19:00 - 19:30 フジテレビ系列
    日本テレビ系列
    [注釈 17]
    大分県 大分放送 平日夕方 TBS系列 [注釈 16]
    テレビ大分 月曜 18:00 - 18:30 日本テレビ系列
    フジテレビ系列
    テレビ朝日系列
    [注釈 17]
    宮崎県 テレビ宮崎 水曜 19:00 - 19:30 [注釈 17]
    鹿児島県 鹿児島テレビ 土曜 19:00 - 19:30 [注釈 17]

    日本以外での放送

    • 韓国では、TBCでは1976年8月13日から同年11月5日に、KBS 1TVでは1981年9月13日から翌年1月24日、放送曜日が日曜から月曜に変更され1982年1月25日から同年4月26日に、EBSでは2007年8月27日から同年11月22日にそれぞれ放送された。この他SBSで放送されたこともある。

    再放送

    アンコール名作劇場

    放送終了から半年後の1976年7月から1978年6月にかけて、フジテレビで再放送が行われた。再放送に際し、「アンコール名作劇場」とオープニング前に表示されていた。

    放送時間は、1976年7月から12月24日までは毎週金曜19:00 - 19:30。12月31日のみ、子供向け年末特別番組『'76わんぱくチビッコ大集合!』(19:00 - 20:54)のために金曜16:30 - 17:00に繰上げ、1978年1月1日から6月までは毎週土曜18:00 - 18:30だった。いずれの放送枠ともローカルセールス枠のため、本放送時とは異なり一部遅れネットや未放送の地域も存在した。

    HDリマスター

    CS放送のキッズステーションで2009年11月からHDリマスター版が放送されている。これまでの標準画質からハイビジョン放送に対応するため、オリジナルでは見えなかった部分の引き伸ばし処置や解像度の修正、さらに4:3から16:9のトリミング(画面の上下カット)が施され、以降の世界名作劇場作品でもこのフォーマットが踏襲された。

    原作小説

    原作・日本語訳

    本テレビアニメ版のOPクレジットでは、原作者名に本名が使用されるが、本来は「マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー」であるところを「マリー」の名が欠落した表記である。イギリス文学であるために、舞台となるベルギーでは、原作の知名度と物語評価の低さから、本テレビアニメ版が放送されなかったものの、多くの日本人観光客が訪れ、アントワープに記念碑や銅像が建てられた[8]

    原作との相違点

    原作小説と本作品の設定にはかなりの相違点がある。

    原作は短編(新潮文庫版では60ページほど)のため、本作品の序盤から中盤までのほとんどがオリジナルストーリーで占められている。終盤についても、展開や時系列が原作とは異なっている[注釈 18]。オリジナル部分の方針について黒田監督は「ネロはジェハンやアロア、パトラッシュと一緒にいられるだけで幸せだったんだと思う。悲しくするのをやめて、明るさを徹底的に出したかった」と語っている[9]。他の主な相違点は以下の通り。

    • 本作品オリジナルのキャラクターが多数登場している。ミシェルやヌレットのように原作では名前しか登場しないキャラクターも、本作品の制作に当たって詳細な設定が与えられた。このようにオリジナルストーリーが多数を占め、オリジナルキャラクターが多数登場する制作スタイルは、後番組『母をたずねて三千里』にも踏襲された。
    • 原作ではネロ15歳、アロア12歳(本作品ではネロ10歳、アロア8歳)という設定だった。コゼツがネロを嫌っているのも、「(未だに)画家になろうなどと馬鹿げた夢ばかり見ている乞食」[注釈 5]とネロを評しており、その一方で美男子でもあった[10]ため、万が一アロアと間違いを起こされては困るから[11]というのが理由だった。
    • 本作品のパトラッシュは人語を解するように描写されているが、原作ではパトラッシュの心情が具体的かつ明確に描写されている。
    • 作中で印象的に登場する風車小屋はコゼツの家に併設されているもので、村の共有財産ではないなど設定も多くが異なる。終盤の風車小屋の火災の話も原作では中盤に起こり、納屋と小麦が燃えただけで風車自体は無事、小麦にも保険がかけられていて金銭的損害は皆無だったため、村人の損害にコゼツが頭を痛めるといった話はない。
    • 本作品にてネロがコンクールに応募した絵は、ジェハンとパトラッシュを描いたものだったが、原作では木こりのミシェルの絵だった。
    • クリスマスイブの夜、本作品ではコゼツ家や村の人々がネロの行方不明に気付いて必死にネロを探している。一方、原作では、コゼツは大金が戻ったことに、アロアはまたネロと付き合えることに大喜びし、村人も総出のクリスマスパーティで浮かれており翌日まで誰もネロの失踪に気付かなかった[12]
    • 原作のラストは、(本作品最終話の翌日にあたる)クリスマスの日の昼近く、大伽藍でルーベンスの絵を見て微笑むように死んでいるネロを町の人々が見つけ、駆けつけたコゼツたちが悲嘆に暮れるというもので、本作品のそれとは全く異なる[注釈 19]。このような原作のラストであるにもかかわらず、これを知っている視聴者によるネロたちの助命嘆願がすでに多く局に寄せられ、その後も多く嘆願が来るほどだった(44話のジェハンの死を受けても「かわいそう」などという声が1000通以上も寄せられた)。フジテレビ広報部は「子供たち夢を与える結末に絶対します」としながらも、原作通りの結末にするのかどうかの決断を迫られていた[13]。そしてテレビシリーズの最終話でネロとパトラッシュが天使にかかえられて召天するシーンをイメージし実現させたのは、スポンサーのカルピスの当時の社長の土倉冨士雄である。土倉は熱心なクリスチャンであり、死は終わりではなく天国への凱旋だという考えを持っていたためである[14]
    • ジェハンは原作ではナポレオン戦争の戦傷の影響で足が不自由であり、リューマチの持病もあってネロが6歳の頃には荷車を引けなくなっている。その後、長い間寝たきり状態の果てに亡くなった。パトラッシュを拾ってきた経緯はほとんど変わらないものの、原作ではジェハンが80歳、ネロが2歳のころの出来事である。
    • パトラッシュの元の飼い主である金物屋は、原作では酔っ払った勢いで起こした喧嘩によって殺されている[15]ため、パトラッシュの代金としてジェハンに大金を支払わせるといった話は無い。

    劇場映画版

    THE DOG OF FLANDERS
    劇場版 フランダースの犬
    監督 黒田昌郎
    脚本 丸尾みほ
    原作 ウィーダ
    (ルイス・ド・ラ・ラメー)
    出演者 津村まこと
    丹下桜
    山本圭
    岡江久美子
    八木光生
    露木茂
    鈴木保奈美
    音楽 岩代太郎
    主題歌 ダイアン・リーヴス
    『When I Cry』
    製作会社 松竹
    日本アニメーション
    三井物産
    フジテレビジョン
    配給 松竹
    公開 日本の旗 1997年3月
    上映時間 104分
    製作国 日本の旗 日本
    言語 日本語
    テンプレートを表示

    概要(劇場映画版)

    THE DOG OF FLANDERS(劇場版 フランダースの犬)』として、テレビ版と同じ黒田昌郎監督、日本アニメーション制作により松竹系で1997年3月15日より全国公開された。前年公開の『BLACK JACK』に端を発した、松竹主導のテレビアニメの映画化リメイク企画の一環でもあり、このリメイク企画はその後同じスタッフの制作による、『MARCO 母を訪ねて三千里』(1999年)まで続くこととなる。

    設定はテレビシリーズをおおむね踏襲しているが、ストーリーは「修道女に成長したアロアがアントワープの大聖堂を訪れ、ネロとの20年前の記憶(アロアがネロやパトラッシュと仲良くなった時点から、ネロたちの死まで)を回想する…」という回顧録的な構成になっており、各エピソードも劇場版独自の翻案・演出が加えられて進行していく。ネロとパトラッシュの死の場面もテレビシリーズとは異なり、天使に抱えられ召天するシーンはなく、またテレビシリーズの各所で挿入されていた(主に子供向けの)ナレーションも存在しない。成人のアロアが幻想の中でネロの声を聴き、明日への決意を新たにするというラストシーンで終了しており[9]、エンディングテーマ(主題歌)の歌詞はアロアによるエピローグになっている。これはテレビシリーズのラスト以降、アロアの描写がおざなりだったことへの反省が込められているという[16]

    音楽・映像も刷新され、情景は当時のフランダース地方のものに近づけて描かれている。また、一部にCGが使用されている。

    キャスト

    スタッフ(劇場映画版)

    • 制作:松竹、日本アニメーション、三井物産フジテレビジョン
    • 企画:佐藤昭司、本田慶充 
    • 監督:黒田昌郎
    • 脚本:丸尾みほ
    • キャラクターデザイン、作画監督:佐藤好春
    • オリジナルキャラクター:森康二
    • 作画監督補佐:諸橋伸司
    • レイアウトチェック:田辺修
    • 原画:山口明子、石川哲也、尾崎和孝、山川浩臣、入好さとる鈴木博文、中村裕之、林浩一、坪内克幸、西村貴世、大久保富彦、立石良子、入江篤、真庭秀明、宮本英子、大森幸夫、遠藤靖裕、榎本綾子、坂井俊一、香月邦夫、鷲田敏弥、吉野高夫、新山歌子、山崎登志樹、平松禎史加瀬政広、水畑健二、田野光男、黒沢守、金田伊功
    • 美術設定:伊藤主計
    • 美術監督:石橋建一
    • 撮影監督:森下成一
    • 音響監督:藤野貞義
    • 色彩設計:古里久代
    • 編集:名取信一
    • ネガ編集:上遠野英俊
    • 音楽:岩代太郎
    • キーアートデザイン:ウォーレン・ナン、ジョニー・クワァン
    • 製作者:奥山和由、本橋寿一、小浜廉太郎、重村一
    • 制作担当:田中伸明
    • プロデューサー:中島順三

    関連商品

    映像ソフト

    • テレビアニメのDVDは1999年8月25日 - 11月25日にかけて13巻が発売された。

    音楽メディア

    • 世界名作劇場メモリアル音楽館 フランダースの犬 SoundTrack
    • フランダースの犬 イメージ音楽集
    • フランダースの犬 オリジナル・サウンドトラック

    ゲーム

    1995年に本作品を含めた4作品を題材にした『世界名作劇場』のピコソフトがセガ・エンタープライゼスより発売。本作品はその3ページ目で、パズルゲームにあたる。時間内に抜けたピースをはめ込むと、その続きを見ることができる。

    書籍

    • TVアニメコミックス フランダースの犬(主婦の友社
    • フランダースの犬 その愛と涙(JTB):フランダースの犬を題材にした現地ガイドブック。
    • フランダースの犬大百科(勁文社
    • 私たちの好きなフランダースの犬(宝島社):ストーリーガイド本。

    関連作品

    2008年3月よりパチンコ『CRフランダースの犬と世界名作劇場』(銀座)が導入された。絵柄に世界名作劇場のアニメキャラクターが用いられたほか、「昇天予告」などアニメのシークエンスを再現したムービーが挿入された(なお、厳密には「昇天」は誤用)。

    コラボレーション

    2008年9月に、Lil'Bが『キミに歌ったラブソング』のPVでコラボレーションを果たした。

    2011年10月、森永乳業とクラフトフーヅジャパンで、本作品とのコラボレーションキャンペーン「クラフト おうちで幸せ カルボナーラキャンペーン」を実施し、ネロたちが登場する新作アニメ『幸せのカルボナーラ』(脚本:真保裕一)をホームページ上で公開した[17]

    2015年1月10日、世界名作劇場40周年記念出版として、登場人物の言葉を紹介する『フランダースの犬 心がピュアになる言葉』がPHP研究所より刊行された。

    2015年5月13日に公開されたアニメーション映画『天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜』に登場する『フランダースの犬』の登場人物・ネロと愛犬・パトラッシュのデザインは本作品のそれをベースにしており、クレジットにも「©NIPPON ANIMATION CO.LTD.」と記載されている。ネロの声は瀧本美織が演じる。

    2016年8月、LINE公式スタンプにて、LINEスタンプクリエイター・ポテ豆とのコラボスタンプとして、「目が笑ってないフランダースの犬」を発売[18]

    2018年11月、日清食品カップヌードル「ヤバい。なんか熱い。」の第3弾として制作されたテレビCM「北海道ミルクシーフー道『フランダースの漢篇』」で最終話の終盤シーンが使われた。ネロと天使たちが「北海道ミルクシーフー道」を食べるシーンは、制作元である日本アニメーションのスタッフによって新たに書き起こされている。また、「北海道ミルクシーフー道」を食べて変身したネロ役に関口メンディーが起用されている。

    脚注

    注釈

    1. ^ 後身となる日本アニメーション制作に切り替わった第21話以降、作中のOPクレジットも「カルピスこども劇場」に変更される(第24話 - 第26話では「カルピスまんが劇場」に戻る)。また、後年発売のDVDなどでは、OPクレジットの制作が日本アニメーション表記版であるため、全話とも「カルピスこども劇場」に統一された。
    2. ^ 原作では、絵画に掛けられていたカーテンが突然開く(新潮文庫版、67頁)。本テレビアニメ版では、ミサの後にカーテンを戻し忘れていたことになっている。
    3. ^ 「ぼくは一番見たかったルーベンスの2枚の絵を見たんだよ。だから、ぼくは今すごく幸せなんだよ」(本編、第52話)
    4. ^ 手紙の内容は、ハンスへの家賃不払いの謝罪と代わりに品物を受け取ってほしいという伝言、エリーナに対する今まで親切にしてくれた感謝とパトラッシュの面倒を見てほしいという依頼、アロアへのお別れの言葉だった。
    5. ^ a b 原作によると当時フランダース地方ではルーベンスの偉業が広く知れ渡っていて、絵画で身を立てることはルーベンスと肩を並べることと同義であり、ネロのように貧乏で学がない者には不可能と思われていた。加えて原作でのネロは15歳の青年という設定であり、コゼツがネロを“未だに画家になろうなどと馬鹿げた夢ばかり見ている乞食”と断じるのはこうした背景に起因している。
    6. ^ a b c d 「油もやらず、掃除もせず、そのまま風車を使い続けた」・「油の切れた歯車にゴミがつき、それが摩擦を起こして小麦袋に火の粉が舞い落ちた」という火災の真相は、修理を依頼されたために再訪したノエルの談(第51話)。火災の直前にホコリが軸の摩擦熱により発火し、それが小麦袋に燃え移る描写もあった(第47話)。
    7. ^ バースと共に紛失した2000フランを探している間、バースからは「君の給料が払えなくなる」と発言される(第51話)。
    8. ^ LPレコードは1995年に「フランダース うたとおはなし」というタイトルでCDとして復刻された。なお、「おはなし」(約26分)は、第1話から最終話までのダイジェスト版ストーリーになっている。
    9. ^ クレジットはCD「フランダースの犬 うたとおはなし」付属パンフレットによる。アニメ本編の最終話で使用されたコーラス曲と同音源かどうかは不明。
    10. ^ 2016年6月11日から2017年6月10日までHD高画質にて再放送した。
    11. ^ 当時の放送エリアは岡山県のみ。
    12. ^ 現在の局名はテレビ愛媛
    13. ^ 現在の局名はIBC岩手放送
    14. ^ 1975年9月までネット並びにフジテレビ系列にも加盟。
    15. ^ 当時の放送エリアは香川県のみ。
    16. ^ a b 長崎放送(NBC)と大分放送(OBS)のネットは1975年3月まで。1975年4月以降はフジ系列局のテレビ長崎(KTN)・ テレビ大分(TOS)へ放映権が移動。
    17. ^ a b c d 本来の時間帯に当時クロスネットの日本テレビ系番組『すばらしい世界旅行』を同時ネットしていたため、時差ネット。
    18. ^ 原作では、コンクールへの出品→風車小屋の火事→牛乳運びが減る→ジェハンの死→発表(落選)→家を追い出される→二千フランを拾う、という展開になっている。また、ネロが聖堂に向かったのは自殺のため(新潮文庫では63ページ)で、死因は餓死だった。
    19. ^ 本放送では召天するシーンの後にCMを挟みどうやっても離れなかったネロとパトラッシュがそのままジェハンの墓の隣に埋葬されたというナレーションと埋葬シーンの一枚絵が映された。再放送に当たりこのCM後のパートがカットされており、このため多くの人が召天するシーンをラストだと思っている[要出典]

    出典

    1. ^ 世界名作劇場”. © NIPPON ANIMATION CO., LTD. “Anne of Geen Gables” ™AGGLA. 2025年3月14日閲覧。
    2. ^ 徳間書店『アニメージュ増刊 映画 風の谷のナウシカ GUIDEBOOK』、1984年3月30日発行 (128ページ「宮崎駿 自作を語る」) ※「アニメージュ」昭和56年8月号掲載のインタビューの再録
    3. ^ パトラッシュ基金公式サイト
    4. ^ ブービエデフランダース”. ワールドドッグ図鑑. 2022年2月19日閲覧。
    5. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 4』講談社、2003年。 
    6. ^ a b 株式会社 三協新社<One Man's Music/作曲家・渡辺岳夫 受賞歴> - 2017年1月31日閲覧。
    7. ^ a b 『コンフィデンス年鑑 1976年版』、40頁。NDLJP:12431083/23
    8. ^ “『フランダースの犬』の犬種は何だったのか?”. Amebaニュース). (2017年3月14日). https://web.archive.org/web/20180202012343/https://news.ameba.jp/entry/20170314-329 2018年2月1日閲覧。 
    9. ^ a b “黒田昌郎監督、劇場版「フランダースの犬」に込めたヒロインへの思いを吐露”. 映画.com. (2017年10月15日). https://eiga.com/news/20171015/13/ 2017年12月19日閲覧。 
    10. ^ 新潮文庫版21ページ
    11. ^ 新潮文庫版35 - 36ページ
    12. ^ 新潮文庫では61ページから64ページ辺り。
    13. ^ 週刊TVガイド 1975年11月28日 p.26「REPORT・助命嘆願成るか『フランダースの犬』」
    14. ^ 世界名作劇場大全より。
    15. ^ 新潮文庫版では21ページ。
    16. ^ “黒田昌郎監督、劇場版「フランダースの犬」に込めたヒロインへの思いを吐露”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2017年10月15日). https://eiga.com/news/20171015/13/ 2022年2月19日閲覧。 
    17. ^ あの名作“フランダースの犬”の新作アニメが限定公開!!  クラフトパルメザンチーズ×フランダースの犬 「幸せのカルボナーラ」公開開始!世界名作劇場とクラフトパルメザンチーズのコラボ第二弾! 』(プレスリリース)森永乳業株式会社、2011年10月3日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000001874.html2022年2月19日閲覧 
    18. ^ 「目が笑ってないフランダースの犬」LINEスタンプ配信開始!”. あらいぐまラスカル. © NIPPON ANIMATION CO., LTD.. 2025年2月1日閲覧。

    関連項目

    外部リンク

    フジテレビ 日曜19:30 - 20:00
    カルピスまんが劇場
    前番組 番組名 次番組
    アルプスの少女ハイジ
    (1974年1月6日 - 12月29日)
    フランダースの犬
    (1975年1月5日 - 12月28日)
    ※放送期間中に「カルピスこども劇場」に移行
    母をたずねて三千里
    (1976年1月4日 - 12月26日)
    フジテレビ 金曜19:00 - 19:30
    アンコール名作劇場
    フランダースの犬
    (1976年7月 - 12月)
    ※本番組までテレビアニメ
    怪人二十面相
    ※テレビドラマ
    フジテレビ 土曜18:00 - 18:30
    名馬フリッカ(再)
    ※一旦中断
    アンコール名作劇場
    フランダースの犬
    (1977年1月 - 6月)
    ※本番組のみテレビアニメ
    名馬フリッカ(再)
    ※再開