ソニーシティ
ソニーシティ Sony City | |
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情報 | |
用途 | オフィス、店舗 |
設計者 | プランテック総合計画事務所 |
構造設計者 | アラップ / アルファ構造デザイン事務所 |
施工 | 清水建設他 |
建築主 | ソニー生命保険 |
構造形式 |
地上:S造(免震構造) 地下:RC造(一部SRC造)[1] |
敷地面積 | 18,165.30 m² [2] |
建築面積 | 8,995.45 m² [2] |
延床面積 | 162,887.57 m² [2] |
階数 | 地上20階、塔屋2階、地下2階 |
高さ | 99.40 m |
エレベーター数 | 37[2] |
駐車台数 | 330台(うち機械式250台) |
着工 | 2004年7月 |
竣工 | 2006年10月 |
所在地 |
〒108-0075 東京都港区港南一丁目7番1号 |
座標 | 北緯35度37分52.2秒 東経139度44分37.0秒 / 北緯35.631167度 東経139.743611度座標: 北緯35度37分52.2秒 東経139度44分37.0秒 / 北緯35.631167度 東経139.743611度 |
ソニーシティ(英語: Sony City)は、2006年に完成した東京都港区港南一丁目にある高層ビル。
ソニーグループ本社ビルで、ソニー(二代目法人:旧ソニーモバイルコミュニケーションズ)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ等のソニーグループ企業が入居しており、ソニー本社ビルとも呼ばれる。
概要[編集]
ソニー生命保険とソニーの共同プロジェクトにより、芝浦テクノロジーセンター跡地に建設された。もともとこの土地は、1939年にヤナセが陸軍航空本部・海軍航空本部専属の特殊ボディ工場用地として、高浜町6番地(現在の港南一丁目7・8番にまたがる街区)のゴルフ場用地を取得し、高浜工場を設立したことに始まる[3]。1960年頃、ヤナセが芝浦本社の新社屋[4]建設の資金確保のために、高浜工場の一部をソニーへ売却した[5]。1967年に高浜工場が横浜市港北区(現・都筑区)に移転した後、1969年9月、ソニーがオーディオ機器の生産拠点として芝浦工場を開設した場所である。その後、1989年8月に芝浦テクノロジーセンターに名称変更し、2004年8月から「(仮称)新芝浦開発プロジェクト」として新本社ビルの建設に着工、2006年10月に竣工した。ソニーシティの完成により、数十か所に分散していたソニーグループのオフィスが集約された[6]。
地上20階・地下2階建て、高さ99.4m。敷地面積は18,165.30m2、建築面積は8,995.45m2、延べ床面積は162,887.57m2。外周に剛強な斜め格子フレーム構造を採用し、免震構造と組み合わせることで高い耐震性能を実現している。使用した鉄骨は約3万トン(約1,000トンの鋳鋼を含む)、地下部に200基の免震装置(積層ゴムアイソレータ)と40基のオイルダンパーが設置されており[7]、これらによりほとんどの地震動を吸収する[6]。外殻に主たる耐震要素を配したことで、東西100m×南北70mロングスパンラーメン構造(柱スパン15m×25.5m)、1フロア面積は約7,000m2を実現。構造コアを分散させたことにより、コアに阻害されない約5千m2の広大なオフィスフロアを確保している。これは、オフィスが入居する1フロアのスペースとしては異例ともいえるほど広大である。さらに、ビル内部の移動手段としてエレベーターの他にエスカレーターを導入し、商業施設のように数階分の移動を円滑にすることで、移動時間の無駄をなくしている[8]。
建物の外装に全周ダブルスキン構造を採用。3フロアごとに設置した外気取入口と排出口による空気の対流(煙突効果)によって内部を自然換気する。また、北面を除く3面にブラインドが内蔵されており、日射量に応じて角度を自動調整する。
なお、ソニーに関係する建築物や施設としては、ソニービル(現・銀座ソニーパーク)や研究開発のNBF大崎ビル(ソニーシティ大崎)、横浜グランゲート(ソニーシティみなとみらい)もある。
受賞歴[編集]
2007年度「グッドデザイン賞」受賞[9]。第41回(2007年)SDA賞入賞[10]。国土交通省の第16回(平成19年度)国土交通大臣賞〈いきいき下水道賞〉受賞[11]。2008年に第9回日本免震構造協会賞「作品賞」[12]およびグリーンITアワード2008「経済産業大臣賞」を受賞[13]。2009年に第47回空気調和・衛生工学会賞「技術賞」(建設設備部門)を受賞[14]、2019年に第19回空気調和・衛生工学会特別賞「十年賞」を受賞[15]。2011年に東京都環境局の「東京の低炭素ビルTOP30」の一つに選出されている[16][17]。
環境配慮[編集]
ソニーシティでは、ソニーが工場や研究所、モノづくりの中で培ってきた省エネのノウハウを活かし、様々な最先端の環境配慮がなされている。その結果、CO2の排出量は一般的なオフィスビルと比べて熱源システムでは約70%削減、トータルとして約48%削減し、竣工した2006年10月から2008年3月までの1年半でCO2排出量を1万1500トン削減している[13]。
その最大の特長は、特別区道第242号線(幅員27.25m)を挟んで隣接している「東京都下水道局・芝浦水再生センター」の下水処理水の下水熱(温度差エネルギー)を利用して、ビルの空調用の熱源に利用している点である。民間単独ビルとしては初の下水熱利用事例である。水再生センターから引かれたパイプを通して、1日に最大約6万m3もの処理水をソニーシティ側に引き込み、熱源機械室の熱交換器で熱交換して熱回収インバータターボ冷凍機(ヒートポンプ)・インバータターボ冷凍機の熱源として利用。大容量水蓄熱槽(合計6,470m3)に蓄熱された冷水及び温水を室内空調に使用している。空調廃熱を処理水に吸収させて水再生センターに戻しているため、熱源機器の冷却塔及び冷却塔に使用する電力や上水が大幅に削減でき、上水使用量は95%(40,408m3/年)の削減、年間約22トン(計画値:東京ドームの約1.3倍にあたる約6haの森林が吸収する量に相当)のCO2排出量の削減に繋がる[18]。また、従来は大気中に全量放散していた空調廃熱(64,000GJ/年)を処理水に放熱することでヒートアイランド対策にも貢献している[11][19]。
アクセス[編集]
参考資料[編集]
- 『新建築』2007年4月号
- 「ソニーシティの空調システムの構築と運用」、ソニー株式会社(グリーンITアワード受賞者プレゼンテーション資料)
- 『PLANTEC GROUP NEWSLETTER 2013 vol.4』、プランテック総合計画事務所、1-4頁
- ソニーシティ、プランテック総合計画事務所
脚注[編集]
- ^ ソニーシティ、清水建設
- ^ a b c d 「ソニーシティの空調システムの構築と運用」、6頁
- ^ 社史『100年の轍』「歴史編 第2章 事業の模索 1930-1939 第3節 高浜工場の開設」、ヤナセ、2015年9月、36-37頁
- ^ 再開発のため2013年に解体された。
- ^ 社史『100年の轍』「歴史編 第5章 高度経済成長の発展 1960-1969 第2節 自動車事業の基盤整備、ヤナセ、2015年9月、76頁
- ^ a b 大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」ソニー新本社ビル「Sony City」突撃レポート!、PC Watch、2007年4月24日
- ^ ソニーシティ、アラップ
- ^ ソニーシティ、プランテック総合計画事務所
- ^ ソニーシティ[東京都港区]| 受賞対象一覧 | Good Design Award、公益財団法人日本デザイン振興会
- ^ 第41回(2007年)SDA賞 受賞作、公益社団法人日本サインデザイン協会
- ^ a b 第16回(平成19年度)国土交通大臣賞〈いきいき下水道賞〉、国土交通省、8頁
- ^ 第9回 日本免震構造協会賞 -2008-、社団法人 日本免震構造協会、4頁
- ^ a b グリーンITアワード2008の受賞企業、機器・ソリューション等、グリーンIT推進協議会、2008年9月25日、7頁
- ^ 学会賞受賞者 技術賞、公益社団法人空気調和・衛生工学会
- ^ 特別賞「十年賞」受賞者、公益社団法人空気調和・衛生工学会
- ^ Low Emission Buildings TOP30 in Tokyo 東京の低炭素ビルTOP30、東京都環境局、2011年9月、既存⑤
- ^ Low Emission Buildings TOP30 in Tokyo 東京の低炭素ビルTOP30(英語)、東京都環境局、2011年9月、EXISTING BUILDING⑫
- ^ 下水熱でスマートなエネルギー利用を、国土交通省、6頁
- ^ 「ソニーシティの空調システムの構築と運用」、9-13頁
関連項目[編集]
- NBF大崎ビル(ソニーシティ大崎)
- 横浜グランゲート(ソニーシティみなとみらい)
- メディアージュ - かつてソニーが手掛けていた屋内型アミューズメントパーク
外部リンク[編集]
- ソニーグループポータルサイト
- 主要事業所 地図 - 「本社(ソニーシティ)」について掲載
- ソニー株式会社