加藤みどり
かとう みどり 加藤 みどり | |
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プロフィール | |
本名 |
伊藤 みどり(旧姓:加藤) (いとう みどり) |
性別 | 女性 |
出生地 |
![]() |
生年月日 | 1939年11月15日(81歳) |
血液型 | O型[2] |
職業 | 声優、女優、ナレーター[3] |
公称サイズ([4]時点) | |
身長 / 体重 | 155 cm / 50 kg |
活動 | |
活動期間 | 1964年 - |
加藤 みどり(かとう みどり、1939年(昭和14年)11月15日[5] - )は、日本の声優、女優、ナレーター[3]。東京都出身[1]。
本名、伊藤 みどり(いとう みどり)[6]。旧姓、加藤。
1969年10月5日に開始し、放映期間の世界記録を持つテレビアニメ『サザエさん』の主人公・フグ田サザエ役や、ドキュメンタリー・バラエティ番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』におけるナレーションなどの仕事で知られる[5]。
経歴[編集]
1939年、東京府に生まれる[1]。都立豊多摩高校卒業後、松竹歌劇団の団員養成所・松竹音楽舞踊学校に入学[7]。本来は新派の女優を志していたが、そのために必要な芸事が一切できなかったことから、「芸事をいっぺんに安く教われる」と見込んでのことだった[1]。同期生には倍賞千恵子、榊ひろみらがいる[1]。
1959年[7]、加藤はNHKのテレビタレント募集に応じ、NHK俳優養成所に移る[1]。翌1960年4月にはNHK『天使の部屋』で放送デビューを果たす[7]。なお、同年には同人と劇団「三十人会」を結成している[7]。その後、劇団河、東京俳優生活協同組合、シグマ・セブンに所属していた[4][8]。
NHKとの3年間の優先出演契約満了後に東映動画の制作者と出会い、これを契機としてアニメ声優の仕事をはじめる[1]。以後『おそ松くん』の主人公・おそ松、『魔法使いサリー』の花村よし子、『ハクション大魔王』の主人公・カンちゃんなど数々のキャラクターを演じた[1]。また、「チョコレートは明治」のフレーズで知られる明治ミルクチョコレートのCMソングも担当している[1]。
1968年、翌年放送開始のアニメ『サザエさん』のオーディションに参加し、主人公・フグ田サザエ役に内定。ちなみに当初、加藤は3カ月程度で終了すると考えていた[1]が、予想に反して『サザエさん』は長寿番組となり自身の代表作となる[9]。放送開始以来、フグ田タラオ役の貴家堂子とともにレギュラー出演をし続けている。
50歳を迎えた1989年より独り芝居の舞台もはじめ、舞台を見たテレビ局のプロデューサーの要請を受け、家屋のリフォームを扱った番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』のナレーションを2002年から2020年まで担当[1]。
2009年、放送開始40周年記念の実写版スペシャルドラマ『サザエさん』に、サザエの父・磯野波平役の声優・永井一郎と共にゲスト出演。加藤の実写ドラマへの出演は45年ぶりと報じられた[10]。以降、2010年に放送された第2弾、2011年の第3弾、2013年の第4弾にもゲスト出演を果たしている。
2020年、大改造!!劇的ビフォーアフターのナレーションを卒業。
エピソード[編集]
『サザエさん』関連[編集]
オーディションには、弟の磯野カツオ役を受けるつもりで参加。しかし、サザエを演じたあと続けてカツオを演じようとしたところ制されたため、「私は当て馬なのだ」と感じていたという[1]。
サザエ役を任される際、当時のプロデューサーである宣弘社の松本美樹から「アニメは1本作るのに半年かかる。現場の人がコツコツ一枚ずつ丁寧に描いて作る。もし主人公のあなたがあちこちでチャラチャラ仕事してたら、現場の人たちがあなたのために働いてくれなくなる」と言われ、本作に専念するように要請されたことから、以後サザエ以外のアニメキャラクターを演じることはなくなった。この時、松本からは「この番組は十年やります。あなたにとってどの百本にも勝る大切な一本にしてあげますから、私のいうことを聞きなさい」と諭されたという[1]。
放送開始から10年ほどは、アドリブも交えるなど自由に演じていた。しかし、ある時「脚本家の方たちは一語一語ちゃんと考えて書いているのに、その通りにできないなら声優でも俳優でもない」と自省し、台本通りの芝居をするようになった。これは2代目の磯野カツオ役を演じた高橋和枝が、加藤のアドリブを受けつつ自身の台詞は一言一句影響されず完璧にこなすという、高い技術とプロ意識を見せていた、その影響も大きかった[1]。
原作者の長谷川町子とは、アニメが放送15周年を迎えたころに一度だけ会話を交わしたことがある。当時、長谷川が声優と話をすることはまれであり、プロデューサーらを交えて会った際も、長谷川と加藤は『話をしない』という条件があった。だが、そのことを知らなかった加藤は「先生、私、今年、悪いことばかりなの」と、気安く声をかけた。すると長谷川は「これからきっといいことがあるわよ」と優しく応じてくれたという[12]。
2014年に永井が死去した際は、磯野カツオ役の冨永みーな(3代目[13])と共に弔辞を述べている[14]。
園遊会について[編集]
2012年の園遊会では天皇・皇后と言葉を交わす。このとき加藤は「名札だけでは分からない」として自分から「サザエでございます」と自己紹介し、天皇・皇后は笑顔でこれに応じた[15]。
また天皇陛下や秋篠宮文仁親王からは「番組を見ている」という旨の言葉を掛けられ、事後の取材ではサザエの声で「父さん、母さん、私、感激よ。もううちには帰りたくなーい」と喜びを語った[15]。
受賞関連[編集]
2002年に放送開始した『大改造!!劇的ビフォーアフター』でリフォームを手がける建築家を「匠」と呼んだり、完成した家屋に対して加藤が発する「なんということでしょう!」の台詞は流行語となる。翌2003年、そうした番組用語を総合して「ビフォーアフター」が新語・流行語大賞のベストテンに選ばれ、番組を代表して加藤に賞が贈られた[16]。
2013年9月、『サザエさん』は「最も長く放映されているテレビアニメ番組(Longest Running Animated TV Series)」としてギネス世界記録に認定登録された[17]。
2015年に放送ウーマン賞の日本女性放送者懇談会45周年特別賞を受賞した[18]。
2019年11月、放送50周年を迎えた『サザエさん』が6年前に認定されたギネス世界記録を更新した上で、新たに同一のアニメキャラクターを演じる声優として自身もギネスに認定された[19]。
その他の活動[編集]
競馬を趣味としており、日本における女性初の競馬レポーターも務めた[1]。関係者へのインタビューをまとめた『競馬狂女』という著書がある。その活動は1971年ごろまで遡るが、当初の厩舎社会は女人禁制の風潮が強く、競馬界全体に顔を通すまでに20年を要したという[1]。ラジオNIKKEIの前身でもある日本短波放送のラジオ番組『勝馬大作戦』では解説を務める元騎手・渡辺正人と、落語における「ご隠居さんと熊さん・八っつぁん」さながらのやりとりを演じた[20]。加藤は競馬関係の仕事について「声優の仕事よりも楽しかったかもしれない(笑)」「私が競馬の世界を見て学んだのは、企業努力の大切さ。私が今まで声優としてやってこれたのは、声優としてどう努力しなきゃいけないかを競馬を通して教わったからだと思います」と述べている[1]。2020年現在でもラジオNIKKEIの『中央競馬実況中継』に不定期でゲスト出演している[21]。なお、NHKの番組制作者であった加藤の夫は『世界の競馬』のプロデュースを行っている[22]。
出演[編集]
※ 太字はメインキャラクター。
テレビドラマ[編集]
- どっちがどっち(1972年、NHK総合「少年ドラマシリーズ」) - 高木ツネ子(主人公の母) 役
- がんばれ!!ロボコン(1974年 - 1976年、NET) - 大山初江 役
- 非情のライセンス 第2シリーズ 第67話「兇悪のプライバシー」(1976年、NET) - 花子 役
- 平岩弓枝ドラマシリーズ「春の翳」(1981年、フジテレビ)
- 少年ドラマシリーズ だから青春 泣き虫甲子園(1983年、NHK総合)
- 気分は名探偵 第19話(1985年2月9日、日本テレビ) ‐ 安西京子
- わたしの可愛いひと(1986年、フジテレビ)
- 連続テレビ小説 つばさ(2009年、NHK総合) - 鈴本の妻 役(声の出演)
- サザエさん(フジテレビ)
- 長谷川町子物語〜サザエさんが生まれた日〜(2013年、フジテレビ) - 友情出演
映画[編集]
テレビアニメ[編集]
- 1964年
-
- 少年忍者 風のフジ丸(ミドリ[26]、美香)
- 鉄腕アトム (アニメ第1作)
- 1966年
- 1967年
- 1968年
-
- ファイトだ!!ピュー太(ビルの管理人 他)
- 怪物くん(モノクロ版)(ゴーゴン)
- ドカチン(パク)
- 1969年
吹き替え[編集]
- アルフ(テレビドラマ) - ワイン 役
- カレイジャス・キャット(アニメ)
- 原潜シービュー号(テレビドラマ) - ネルソン提督秘書アンジー 役
- フレンジー(映画) - モニカ・バーリング 役 ※テレビ朝日版
- 小さな恋のメロディ - ミセス・ラティマー 役 ※LD版
- サーカス・ボーイ
- ラバーン&シャーリー(テレビドラマ) - ラバーン 役(ペニー・マーシャル)
- スヌーピーとチャーリーブラウン(テレビアニメ) - サリー・ブラウン 役
- マニックス (テレビドラマ) - ペギー・フェア 役
- 名探偵ポワロ(テレビドラマ)
- 「エンドハウスの怪事件」 - フレディー・ライス 役
- 「戦勝舞踏会事件」 - ココ 役
- 「愛国殺人」 - メイベル 役
- メグレ警部(テレビドラマ) - メグレ夫人 役
- 腰抜け二挺拳銃(映画) - ジェーン・ラッセル (カラミティ・ジェーン)役
- ルート66 (テレビドラマ)「令嬢と探偵」 - (パティ・マコーマック)
- わんぱくデニス(映画) - アリス 役
- 0011ナポレオン・ソロ第61話 - キーラ 役
- 奥さまは魔女 ※TBS版
人形劇[編集]
- こどもにんぎょう劇場(NHK教育)
- 「えんまさまとワンちゃん」 - ワンちゃん 役
- 「王様の耳はロバの耳」 - ナレーション、大臣 役
- 「神さまになりそこねたサンダル」 - サンダルの妻 役
ラジオ[編集]
- 聞けば効くほど やしきたかじん(朝日放送)
- サザエさんのオールナイトニッポンGOLD(ニッポン放送) - フグ田サザエ名義
バラエティ番組ほか[編集]
- 中央競馬実況中継・第1放送(日経ラジオ社) - 月1回土曜日に出演[21]
- ライオンのいただきます(フジテレビ) - コメンテーターとしてレギュラー出演
- 晴れ時々たかじん(朝日放送) - 水曜レギュラー
ナレーション[編集]
- エプロントーク(CGCグループ加盟スーパーマーケット店内放送)
- 大改造!!劇的ビフォーアフター(朝日放送テレビ)
- ダスキンスペシャル 仰天!エドロジー〜MOTTAINAIは江戸の華〜(読売テレビ)
- たけしの誰でもピカソ
- 不二家 ザ・ギンザ(1982年、CMのナレーション)
歌曲・CD[編集]
- 『マー坊のガールズ作戦』
- 主題歌・挿入歌
- 『とびだせ!バッチリ』
- 主題歌(OP)、エンディングテーマ
- 『俺は透明人間!』
- 主題歌(OP)
- 『もーれつア太郎』(1969年版)
- エンディングテーマ「ア太郎音頭」
- 『サザエさん』
- 挿入歌「レッツゴー・サザエさん」
- 『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)、(第2作)』
- エンディングテーマ「カランコロンの歌」
- 『夕やけ番長』
- 主題歌(OP)
著書[編集]
- 競馬狂本(波書房、1977年)
脚注[編集]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『週刊文春』2009年1月29日号、pp.134-138
- ^ 小川びい『こだわりの声優事典'97』徳間書店〈ロマンアルバム〉、1997年3月10日、38頁。ISBN 4-19-720012-9。
- ^ a b “赤坂朗読サロン”. ラジオNIKKEI. 日経ラジオ社. 2020年5月17日閲覧。
- ^ a b “加藤 みどり”. シグマ・セブン. 2001年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月30日閲覧。
- ^ a b “放送ウーマン賞2014”. 日本女性放送者懇談会 SJWRT. 2019年12月30日閲覧。
- ^ 『声優事典 第二版』キネマ旬報社、1996年、379頁。ISBN 4-87376-160-3。
- ^ a b c d “加藤みどり プロフィール”. 講演会インフォ北海道. 2015年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月25日閲覧。
- ^ “加藤 みどり”. 日本綜合経営協会. 2020年1月30日閲覧。
- ^ 後に「TV station」において、「あの頃はまだ未熟だったので当時のスタッフが私に合わせてくれた」と語っている。
- ^ “実写版『サザエさん』に“サザエ”声優・加藤みどりが45年ぶりにドラマ出演! 波平役の永井一郎も”. ORICON STYLE (2009年11月13日). 2014年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月7日閲覧。
- ^ “アニメ好き愛子様 声優の「サザエでございま~す」聞かれる”. 女性セブン. NEWSポストセブン (2012年11月10日). 2019年12月30日閲覧。
- ^ “サザエさんの声を47年…声優・加藤みどり76歳、実はカツオ役でオーディションを受けていた!”. 産経ニュース (2016年3月13日). 2020年5月3日閲覧。
- ^ “「サザエさん」元フネ役・麻生美代子さん死去 声優が変わっていないのは誰?”. zakzak (2018年9月5日). 2019年12月30日閲覧。
- ^ “【お悔やみ全文】サザエ・加藤みどり、カツオ・冨永みーな永井一郎さん悼む…「厳しい悲しさでした」”. News Lounge (2014年2月4日). 2019年12月30日閲覧。
- ^ a b “「サザエでございます」両陛下に逆質問 雅子さま、皇后さまお誕生日行事にご出席”. 産経ニュース (2012年10月27日). 2014年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月22日閲覧。
- ^ “ユーキャン新語・流行語大賞全授賞記録 第20回〔2003(平成15)年〕”. 自由国民社. 2014年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月25日閲覧。
- ^ “「サザエさん」がギネス世界記録に認定”. 産経ニュース (2013年9月5日). 2015年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月8日閲覧。
- ^ “「サザエさんの声」声優の加藤みどりさん 放送ウーマン賞特別賞”. 産経新聞 (2015年3月24日). 2016年6月20日閲覧。
- ^ “『サザエさん』がギネス記録更新 サザエ役の加藤みどりが喜び「声優として成長できた」”. ORICON NEWS (2019年11月17日). 2019年12月30日閲覧。
- ^ 小林(1992)p.100
- ^ a b “「サザエさん」アフレコがコロナ禍で中止 サザエ役の加藤みどり「誰か1人でも出たとなったら…」”. スポーツニッポン (2020年4月4日). 2020年4月5日閲覧。
- ^ 関口隆哉. “合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬、そしてホースマン”. J-horseman. 2015年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月8日閲覧。
- ^ “サザエさん2”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “新春サザエさんスペシャル”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “ロボコンの大冒険”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “少年忍者風のフジ丸”. 東映アニメーション. 2016年8月3日閲覧。
- ^ “おそ松くん(第1作) : 作品情報”. アニメハック. 2020年12月4日閲覧。
- ^ “おそ松くん”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “とびだせ!バッチリ”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “魔法使いサリー”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “かみなり坊やピッカリ★ビー”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “ピュンピュン丸”. 東映アニメーション. 2016年6月11日閲覧。
- ^ “夕やけ番長”. allcinema. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “キャラクター紹介【サザエさん一家】”. サザエさん - 公式ホームページ. 2020年1月22日閲覧。
- ^ “ハクション大魔王”. メディア芸術データベース. 2016年11月12日閲覧。
- ^ “もーれつア太郎(第1期)”. 東映アニメーション. 2016年6月29日閲覧。
参考文献[編集]
- 小林皓正『小林皓正の競馬ワンダーランド』(コスモヒルズ、1992年)ISBN 978-4877038083
- 『週刊文春』2009年1月29日号(文藝春秋)
- 「阿川佐和子のこの人に会いたい(第763回) 声優・女優・ナレーター 加藤みどり」
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