カレー
カレー(英: Curry、カリー)は、複数の香辛料を使って野菜や肉などのさまざまな食材を味付けした料理をいう。インドとその周辺国で作られていた料理をもとに発展し、現在では国際的に人気のある料理のひとつとなっている。日本では、明治時代にイギリス経由で伝わり独自の進化をとげたカレーライスが国民食と呼ばれるほどの地位を得ており、日本でカレーといえばカレーライスを指す場合が多い。
ヨーロッパや北米、中南米、アフリカ、オセアニアなど、世界中でカレー文化が根付いていることが確認されている。それらは主に各地域の伝統的な料理に香辛料を加えることでカレーらしくなったものだが、移民の影響や、多くのレストランや料理人らが伝播と啓蒙につとめた功績も皆無とはいえない。また、各国の料理をカレー風にアレンジするレシピもインターネット上に多く見られるようになった。
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[編集] 世界各地のカレー
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インドのカレー
詳細は「インド料理#「カレー」とインド料理」を参照
インド料理は香辛料を多用するため、外国人の目にはそのほとんどが「カレー」のように見える。特に煮込み料理のサーグ、サンバール、コルマ、ダールなどはよく「カレー」と呼ばれる。しかしインド料理にはそれぞれ固有の名称があり、「カレー」という料理はない。ただし、インドの観光客向けのレストランやインド国外のインド料理店では便宜上、メニューに「○○カレー」という表記をしていることも多い。これは、旧宗主国のイギリス人がインド料理をカレーと総称して世界に伝えたことがおもな理由である。
インド固有の言語には「カレー」という言葉はない。ただしドラヴィダ語族には野菜・肉・食事・おかずなどを意味する「カリ」(タミル語:கறி、kari)という言葉があり、それが英語で「curry」と表記されるようになったと言われている。
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イギリスのカレー
18世紀の英国に植民地インドの「カレー」料理が紹介され、評判となった。しかし香辛料の使用に慣れていないイギリス人には、多種多様な香辛料を使いこなすことは至難の業だった。そこでC&B社は、スパイスをあらかじめ調合したものを「カレー粉」として商品化し、「C&Bカレーパウダー」という名称で売り出した。これによりカレーは英国の家庭料理として着実に普及し、1810年にはオックスフォード英語辞典に「カレーパウダー」の語が登場するに至る。
インドのカレーが野菜や豆など様々な食材を用いるのに対して、イギリスのカレーは牛肉を使ったものが主流である。これはイギリスの中流以上の家庭で、日曜日に大きなローストビーフを焼く習慣(サンデーロースト)があったためである。その残り肉を一週間かけて食べるのであるが、残り肉の調理法のひとつとしてカリー・アンド・ライスが存在した。この習慣が失われた現在では、わざわざ米飯を炊かないといけない手間もあり、家庭料理としてはほぼ廃れた状態ではあるが、未だにパブや学生食堂などでは人気のメニューではあり、冷凍食品としても一定のニーズが保たれている。
第二次世界大戦後に南アジアからの移民を大量に受け入れたイギリスには、インド料理店が多数生まれ、イギリス発祥のチキンティッカマサラが国民食となるほどの人気を博している。これはインド料理のチキンティッカをカレーソースで煮込んだものであり、ローストビーフの残り肉を煮込んだイギリス風のカレーの手法を、インド料理が逆に取り入れたものである。こうした環境が、家庭料理としてのカレーが廃れた理由といえる。
イギリスの伝統料理であるビーフシチューにカレーパウダーを追加したものが英国海軍の糧食として採用され、それが明治時代にカレーとして日本海軍へと伝わったと言う説もある。
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日本のカレー
「カレーライス」も参照
日本では、米飯(ライス)の上にカレーを掛けて、カレーライス(単にカレーとも呼ばれる)として食べる事が多い。そのほかにも、多くの日本独自のカレー料理(食品)があり、 カレー南蛮(長ネギの入ったカレー味のそば・うどんなど)、カレーうどん、ドライカレー、カレーまん、カレーパン、カレーコロッケ、この他にもカレー味のスナック菓子が発売されている。
地方によっては、カレー丼、カレーきしめん、カレースパゲッティ、カレードリア、カレーオムレツ、カレーラーメン、スープカレー、カレー鍋、カレーてんぷら、カレー雑煮[1]、カレーケーキ、カレー大福、カレー焼きそば、カレー寿司、カレージュース、カレーうな丼、カレーピザ、カレーおでん、カレーそうめん、カレーたこやき、カレー餃子、カレーバーガーなど、多種多様な食品が存在する。
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タイのカレー
タイのタイカレー(英:Thai curry)とは、タイ語でゲーン(แกง)と呼ばれる様々な汁物の中で、香辛料の利いた、ココナッツミルク仕立ての料理の総称である。タイの宮廷で発祥した料理で、インドのカレー料理との直接の関連性はない。唐辛子、ニンニク、エシャロット、ハーブ類(ショウガ類、レモングラス、コブミカンの葉、コリアンダーなど)をすりつぶして作ったゲーン・クルーン(カレーペースト)を炒め、海老や鶏肉、野菜などをココナッツミルクで煮込み、ナンプラー(魚醤)で味をつけた、まったりとして香り高い料理である。使用するゲーン・クルーンの素材や煮込む素材によって辛さや色、香り、味が異なる。代表的なものにレッドカレー、グリーンカレー、イエローカレーがある。炊いた香り米にかけて食べる。
タイでカレーと呼ばれているのは、日本から入ってきた日本風のカレーライスである。現地では一般的な食べ物になっており、日本人観光客がタイの食堂でタイカレーを注文するつもりで「カレー」を注文し、トラブルになった例もあるという。
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ベトナムのカレー
ベトナム料理のカレーはベトナム語でカリー(Cà ri)と呼ばれ、カレー粉、トゥオン・カリー(tương cà ri)というカレーペースト、唐辛子、レモングラス、ココナッツミルク、トマトペーストで食材を煮込んで作り、麺、米飯あるいはフランスパンと一緒に食べる。タイカレー同様、塩味は魚醤(ヌックマム)でつける。ジャガイモあるいはサツマイモ、タマネギ、ニンジンが入る点は日本のカレーと似ている。ナスと豆腐を使ったカリー・チャイ(cà ri chay)や鶏肉のカリー・ガー(cà ri gà)、カエルを使ったエチナウ・カリー(Ếch nau cà ri)がある。
[編集] その他の地域
- ヨーロッパ
- カレー・ヴルスト(ドイツ):焼いたソーセージにカレー粉を加えたケチャップをかけた料理。
- オセアニア地方
- ニューカレドニア風カレー
- 西インド諸島
- カリー・ゴート(ジャマイカ):カレー粉で下味をつけたヤギ肉を煮込んだ料理。
- コロンボ(フランス領アンティル):肉や魚のカレー。
[編集] カレー粉
詳細は「カレー粉」を参照
カレー粉は、ミックススパイスの一種。インド発祥ではなく、18世紀後半のイギリスで発明され、同じころ同国のクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社によってはじめて商品化されたと考えられている[2]。
[編集] 健康への影響
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カレーに含まれるスパイスの一つとして秋ウコン(ターメリック、C. longa )が含まれ、ウコンにはクルクミンが含まれている。
クルクミンの生理作用として抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などが知られている。
抗炎症作用はエイコサノイド合成の阻害によるものだと考えられている[3]。また、フリーラジカル補足能を持ち、脂質の過酸化や活性酸素種によるDNA傷害を防ぐ。クルクミノイドはグルタチオンS-トランスフェラーゼを誘導するため、シトクロムP450を阻害しうる。
クルクミンの生理活性と医学的有用性は近年盛んに研究されている。抗がん効果では、がん細胞特異的にアポトーシスを誘導するとの報告がある。また、クルクミンはがんをはじめとした多くの炎症性疾患に関連する転写因子であるNF-κBを抑制しうる[4]。実際、事前に発がん物質を投与されたマウスやラットに、0.2%のクルクミンを添加した食餌を与えたところ、大腸癌の発症において有意な減少が見られたとの報告がある[5]。
2004年、UCLAの研究チームはアルツハイマー病モデルマウスを用いて実験を行い、クルクミンが脳におけるβアミロイドの蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させることを示した[6]。
クルクミンが精神的機能に影響をおよぼすとの疫学的調査結果も存在する。高齢のアジア人を対象としたミニメンタルステート検査で、半年に1度以上黄色カレーを食する群において相対的に高いスコア(より健康な精神的機能)が見られた[7]。
[編集] 脚注
- ^ 鳥取カレー倶楽部[1]
- ^ 森枝卓士『カレーライスと日本人』(講談社新書) 講談社、1989年7月 ISBN 4061489372
- ^ Srivastava KC, Bordia A, Verma SK. Curcumin, a major component of food spice turmeric (Curcuma longa) inhibits aggregation and alters eicosanoid metabolism in human blood platelets. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 1995 Apr;52(4):223-7. PMID 7784468.
- ^ Aggarwal BB, Shishodia S. Suppression of the nuclear factor-kappaB activation pathway by spice-derived phytochemicals: reasoning for seasoning. Ann N Y Acad Sci. 2004 Dec;1030:434-41. PMID 15659827.
- ^ Data from sixteen scientific articles reported in the Chemoprevention Database
- ^ Yang F, Lim GP, Begum AN, Ubeda OJ, Simmons MR, Ambegaokar SS, Chen PP, Kayed R, Glabe CG, Frautschy SA, Cole GM. Curcumin inhibits formation of amyloid beta oligomers and fibrils, binds plaques, and reduces amyloid in vivo. J Biol Chem. 2005 Feb 18;280(7):5892-901. Epub 2004 Dec 7. PMID 15590663.
- ^ Ng TP, Chiam PC, Lee T, Chua HC, Lim L, Kua EH. Curry consumption and cognitive function in the elderly. Am J Epidemiol. 2006 Nov 1;164(9):898-906. Epub 2006 Jul 26. PMID 16870699.