自由民主党総裁選挙

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自由民主党総裁選挙(じゆうみんしゅとうそうさいせんきょ)は、日本政党自由民主党において、党首自由民主党総裁」を選出する選挙である。

概要[編集]

自由民主党総裁は、自由民主党党則6条及び総裁公選規程により、党所属の国会議員・党員自由国民会議会員・国民政治協会会員による公選が原則であり実施年の大晦日までに満年齢20歳となる日本国民で、前年や前々年の党費や会費を2年連続納入していなければ参加不可能である。総裁選実施にあたり、党則には:

  • 党則6条2項ただし書により、総裁が任期中に欠けた場合で、特に緊急を要する時は、「党大会に代わる両院議員総会」においてその後任を選任する事が出来る
  • 党則6条4項には、総裁の任期満了前に、「党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求」があった時は、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う事が出来る

とある。総裁公選規程9条により、党所属国会議員のみが総裁の候補者となることができる。また、過去には党幹部による話し合いで決定されたことや、形は公選であるにもかかわらず実質的には事前に決まっていたことも多い。

自由民主党総裁は、結党以来、常に衆議院で第1党を占めてきたため、一部の例外を除き、単独または連立与党の協力を得て国会での首相指名選挙において首相に指名されている。このため、総裁選挙は事実上の首相指名選挙として注目されている(いわゆる「総理総裁」)。ただし、2009年8月の衆院選で自由民主党は大敗し、2012年12月の衆院選で大勝するまで政権を失っていたため、「総理総裁」という前提は崩れていた時期もある。

選挙の方法[編集]

選挙の方法については、総裁公選規程と総裁公選実施細則によって定められている。投票については(A)党大会による総裁選挙と(B)党大会に代わる両院議員総会による総裁選挙の場合により異なる[1]

被選挙者と推薦人
党所属国会議員20人により推薦された党所属国会議員のみが、総裁候補になることができる。
  • 参議院議員も立候補可能である。1972年に推薦制が導入されてからは例がなかったが、2012年に林芳正が初めて参議院議員として立候補した。参議院から鞍替えした衆議院議員で総裁選立候補した者は宮澤喜一石原慎太郎藤井孝男小池百合子
投票と当選者
投票は1人1票で無記名投票で行われる。しかし、国会議員と党員・党友により票の扱いは異なる。
  • 国会議員は1人1票とし、投票所に直接投票する。
  • 党員・党友票は、(A)の場合は各都道府県ごとに基礎票3と党員比例により割り当てられる票数が、(B)の場合は各都道府県ごとに都道府県連代表票として3が割り当てられ、各都道府県連の代表者が投票する。
当選者は国会議員票と党員投票の算定票を合計して、過半数の得票を得た者となる。過半数を得た者がいない場合は得票数の上位2名により党所属国会議員による決選投票((B)の場合、各都道府県の代表者も決選投票に参加する)を行い、得票数の多かった者を当選者とする。
当選者は党大会もしくはこれに代わる両院議員総会での承認を経て自由民主党総裁となる。
党員・党友票の票数決定のための予備選挙
党員・党友票の扱いは各都道府県連に委ねられるが、多くの場合は党員・党友の予備選挙により扱いを決定する。予備選挙は、議員投票の投票日の前日までに行われる。投票は投票所に直接投票するか、投票用紙を選挙管理委員会へ郵送する方式をとる。開票結果はドント方式によって算定票に変換される。

以前は党員・党友票が県連に委ねられず、全国一斉に郵便で投票させて取り扱いを決めた時代もあった。1980年代には党員・党友による有効得票1万票を国会議員票1票に換算して基礎票とする制度が行われていた。

党員・党友の投票参加資格[編集]

一般党員・党友が投票に参加するには、直近の2年間に党費の滞納がないことが条件となる。本選挙はもちろん予備選挙でも選挙人登録をすれば非党員の参加が許され、党員集会では開催直前の入党も認められることのあるアメリカの二大政党と違い、総裁選挙権を得ることだけを狙って告示直前に入党しても投票できない。このため舛添要一は自民党所属で立候補が取り沙汰された2008年の選挙直前、「入党後3年経たないと総裁選挙で投票できません」と自身に近い未入党者に対して説明している。

一般党員、家族党員、特別党員の間に差はない。何らかの理由で党員になれない場合は、自由国民会議会員であれば年会費(1万円以上)を2年間完納していればOK。ただしそれもできないときは同額以上を国民政治協会に献金して個人会員になり、かつ2年以上その資格を維持することが必要。また自民党ネットサポーターズクラブ会員となっただけでは投票権は与えられない。

国民政治協会を通じて年間1万円以上の政治献金を2年連続(前年、前々年)している法人については、その代表者1名に職域全体を代表する意味での投票資格が与えられるが、代表者以外の役員や会員・構成員は居住地の地域支部を通じて自民党の一般党員になるか、自由国民会議、国民政治協会の個人会員にならない限りそのままでは投票に参加できない。

選挙結果[編集]

過去の自由民主党総裁選挙
年月日 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 無効票[2] 推薦 詳細
1956年4月5日 鳩山一郎 岸信介 林譲治 石橋湛山
石井光次郎
益谷秀次
大野伴睦
河野一郎
重光葵
松野鶴平
池田勇人
5 詳細
394 4 3 2 1
1956年12月14日 岸信介 石橋湛山 石井光次郎 0 詳細
223 151 137
石橋湛山 岸信介 0
258 251
1957年3月21日 岸信介 松村謙三 石井光次郎
北村徳太郎
0 詳細
471 2 1
1959年1月14日 岸信介 松村謙三 大野伴睦
吉田茂
石井光次郎
益谷秀次
佐藤栄作
0 詳細
320 166 1
1960年7月14日 池田勇人 石井光次郎 藤山愛一郎 松村謙三 大野伴睦
佐藤栄作
0 詳細
246 196 49 5 1
池田勇人 石井光次郎 0
302 194
1962年7月14日 池田勇人 佐藤栄作 一万田尚登 岸信介 藤山愛一郎 吉田茂
福田赳夫
高橋等
正力松太郎
0 詳細
391 17 6 5 3 2 1
1964年7月10日 池田勇人 佐藤栄作 藤山愛一郎 灘尾弘吉 0 詳細
242 160 72 1
1964年12月1日 佐藤栄作 候補者1人(池田総裁の裁定で総裁選出)
1966年12月1日 佐藤栄作 藤山愛一郎 前尾繁三郎 灘尾弘吉 野田卯一 小坂善太郎 岸信介
松村謙三
村上勇
0 詳細
289 89 47 11 9 2 1
1968年11月27日 佐藤栄作 三木武夫 前尾繁三郎 藤山愛一郎 0 詳細
249 107 95 1
1970年10月29日 佐藤栄作 三木武夫 千葉三郎
藤山愛一郎
宇都宮徳馬
0 詳細
353 111 1
1972年7月5日 田中角栄 福田赳夫 大平正芳 三木武夫 7 10人 詳細
156 150 101 69
田中角栄 福田赳夫 0
282 190
1974年12月4日 三木武夫 候補者1人(椎名悦三郎副総裁の裁定で総裁選出) 10人 詳細
1976年12月23日 福田赳夫 候補者1人(両院議員総会の話し合いで総裁選出) 10人 詳細
1978年11月26日
[3]
大平正芳 福田赳夫 中曽根康弘 河本敏夫 0 20人 詳細
748点 638点 93点 46点
大平正芳 2位が辞退
1980年7月15日 鈴木善幸 候補者1人(西村英一副総裁の裁定で総裁選出) 20人
1980年11月27日 鈴木善幸 候補者1人(鈴木総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 20人
1982年11月24日
[4]
中曽根康弘 河本敏夫 安倍晋太郎 中川一郎 0 50人 詳細
559673 265078 80443 66041
中曽根康弘 2位以下が辞退
1984年10月30日 中曽根康弘 候補者1人(中曽根総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 50人 詳細
1986年9月11日 中曽根康弘 任期1年延長(両院議員総会で中曽根総裁の任期延長を全会一致で再選)
1987年10月31日 竹下登 候補者1人(中曽根総裁の裁定で総裁選出) 50人 詳細
1989年6月2日 宇野宗佑 候補者1人(竹下総裁の裁定で総裁選出) 50人
1989年8月8日 海部俊樹 林義郎 石原慎太郎 0 20人 詳細
279 120 48
1989年10月31日 海部俊樹 候補者1人(海部総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 20人
1991年10月27日 宮澤喜一 渡辺美智雄 三塚博 0 30人 詳細
285 120 87
1993年7月30日 河野洋平 渡辺美智雄 0 20人 詳細
208 159
1993年9月30日 河野洋平 候補者1人(河野総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 20人
1995年9月22日 橋本龍太郎 小泉純一郎 0 30人 詳細
304 87
1997年9月11日 橋本龍太郎 候補者1人(橋本総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 30人
1998年7月24日 小渕恵三 梶山静六 小泉純一郎 0 20人 詳細
225 102 84
1999年9月21日 小渕恵三 加藤紘一 山崎拓 0 20人 詳細
350 113 51
2000年4月5日 森喜朗 候補者1人(両院議員総会の話し合いで総裁選出) 20人 詳細
2001年4月24日 小泉純一郎 橋本龍太郎 麻生太郎 (地方票開票後に亀井静香が辞退) 3 20人 詳細
298 155 31
2001年8月10日 小泉純一郎 候補者1人(小泉総裁の任期満了による総裁選で無投票再選) 20人
2003年9月20日 小泉純一郎 亀井静香 藤井孝男 高村正彦 0 20人 詳細
399 139 65 54
2006年9月20日 安倍晋三 麻生太郎 谷垣禎一 1 20人 詳細
464 136 102
2007年9月23日 福田康夫 麻生太郎 1 20人 詳細
330 197
2008年9月22日 麻生太郎 与謝野馨 小池百合子 石原伸晃 石破茂 2 20人 詳細
351 66 46 37 25
2009年9月28日 谷垣禎一 河野太郎 西村康稔 1 20人 詳細
300 144 54
2012年9月26日 石破茂 安倍晋三 石原伸晃 町村信孝 林芳正 1 20人 詳細
199 141 96 34 27
安倍晋三 石破茂 1
108 89

脚注[編集]

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  1. ^ 現行制度は2002年1月に採用され、2003年9月の総裁選挙で初めて実施された。
  2. ^ 1972年以前の総裁選挙は立候補制ではないので、選挙活動を行わなかった議員への票も有効票として計算されている。
  3. ^ 一般党員による予備選挙。1000票を1点と計算し上位2名に比例配分される点数方式で、予備選挙の上位者2名が国会議員による本選挙に進出する。
  4. ^ 一般党員による予備選挙。総得票方式で、上位者3名が本選挙に進出する。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]