第21回参議院議員通常選挙

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日本の旗 第21回参議院議員通常選挙 国会議事堂
投票日 2007年7月29日
内閣 第1次安倍内閣
任期満了日 2007年7月28日
改選数 121
選挙制度 選挙区制 73
非拘束名簿式比例代表制 48
議席内訳 Japanese House of Councillors election, 2007 ja.svg
選挙後の党派別議席数
 < 20042010 > 
参議院議員通常選挙
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第21回参議院議員通常選挙(だい21かいさんぎいんぎいんつうじょうせんきょ)は、2007年(平成19年)7月29日に実施された参議院議員通常選挙

目次

概要[編集]

郵政造反組復党問題年金問題相次ぐ閣僚の不祥事等が重なったことを主要因として、自由民主党の獲得議席数は37議席と第15回参議院議員通常選挙(1989年)以来の歴史的大敗を喫し、1955年結党以来初めて他党に参議院第1党の座を譲った。改選議席数の確保を目指していた公明党神奈川県埼玉県愛知県の各選挙区で現職議員が落選[1]、比例でも票が伸びず議席を減らした。

一方、野党第1党の民主党は追い風を受け60議席を獲得し、参議院で第1党となった。自民・民主の二大政党の争いに埋没した共産・社民両党は苦戦し、議席を減らした。国民新党は現有議席数を維持し、新党日本は1議席を確保した。非改選議席と合計すると137議席となり、野党は参議院における安定多数を確保した。

選挙データ[編集]

内閣[編集]

第1次安倍内閣(第90代)

公示日[編集]

投票日[編集]

  • 2007年(平成19年)7月29日
    • 原則午後8時まで。市町村合併が行われた自治体や島嶼地区等では開票所への迅速化を理由に繰り上げる選挙管理委員会があった。
    • 期日前投票は、公示日の翌日から投票日の前日までの間に可能。ただし、新潟県中越沖地震により、被災地の一部で地震発生後中止。
    • 投票日の前日の7月28日までに期日前投票を済ませた有権者の数は10,798,997人であった(前回は7,171,390人)[2]

選挙制度[編集]

改選数[編集]

定数の変更[編集]

定数の4増4減が行われた(増員区: 東京都 8→10、千葉県 4→6、減員区: 栃木県 4→2、群馬県 4→2)。

  • 選挙区
    • 小選挙区制 ‐ 改選数29
    • 中選挙区制 ‐ 改選数44
      • 4人区(改選2、単記投票) - 12(北海道・宮城・福島・茨城・新潟・長野・岐阜・静岡・京都・兵庫・広島・福岡)
      • 6人区(改選3、単記投票) - 5(埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪)
      • 10人区(改選5、単記投票) - 1(東京)
  • 比例区
一票の格差
選挙区選挙に関する在外選挙の開始

イメージキャラクター[編集]

各党のキャッチフレーズ[編集]

自由民主党
「成長を実感に!」
後半になって「改革実行力 自民党」を多用するようになった。また、CFでは「成長か逆行か」とも言っていた。
民主党
「国民の生活が第一。」
公明党
「未来に責任を持つ政治。」
日本共産党
「『たしかな野党』として、くらしと平和を守りぬきます。」
社会民主党
「9条と年金があぶない 今回は社民党へ」
国民新党
「正々堂々、『抵抗勢力』」
新党日本
「新しい日本宣言。」

その他[編集]

同一日に実施された選挙
選挙期間中に行われた選挙

争点・終点[編集]

政策[編集]

政局[編集]

その他[編集]

選挙前勢力・各党幹部[編集]

  • 自由民主党‐今回改選64議席・非改選46議席=選挙前110議席
党本部総裁安倍晋三執行部幹事長中川秀直総務会長丹羽雄哉政務調査会長中川昭一国会対策委員長二階俊博参議院議員会長青木幹雄
  • 民主党‐今回改選32議席・非改選49議席=選挙前81議席
常任幹事会代表小沢一郎、代表代行=菅直人常任幹事会副代表=岡田克也/川端達夫/赤松広隆/北澤俊美/円より子、常任幹事会幹事長鳩山由紀夫政策調査会長松本剛明国会対策委員長髙木義明、参議院議員会長=輿石東
  • 公明党‐今回改選12議席・非改選11議席=選挙前23議席
中央幹事会代表太田昭宏、中央幹事会代表代行=浜四津敏子、中央幹事会副代表=坂口力/草川昭三/井上義久/東順治、中央幹事会幹事長=北側一雄、政務調査会長=斉藤鉄夫、国会対策委員長=漆原良夫、参議院議員会長=草川昭三
  • 日本共産党‐今回改選5議席・非改選4議席=選挙前9議席
幹部会委員長志位和夫、幹部会副委員長=石井郁子/緒方靖夫/浜野忠夫、中央委員会書記局長市田忠義、政策委員会責任者=小池晃、国会対策委員長=穀田恵二、参議院議員団長=吉川春子
  • 社会民主党‐今回改選3議席・非改選3議席=選挙前6議席
党首=福島瑞穂、副党首=照屋寛徳/渕上貞雄、幹事長=又市征治、政策審議会長=阿部知子、国会対策委員長=重野安正、参議院議員会長=渕上貞雄
  • 国民新党‐今回改選2議席・非改選2議席=選挙前4議席
代表=綿貫民輔、代表代行=亀井静香、副代表=亀井郁夫/田村秀昭、幹事長・国会対策委員長=亀井久興、参議院国会対策委員長=長谷川憲正
  • 新党日本‐今回改選議席なし・非改選1議席[3]=選挙前1議席
代表=田中康夫、副代表=有田芳生、総務局長=平山誠
  • 諸派‐今回改選議席なし・非改選1議席[4]=選挙前1議席。
(選挙区・比例区とも擁立)維新政党・新風共生新党9条ネット
(比例区のみ)女性党
(選挙区のみ)新党フリーウェイクラブ議員を半減させる会日本スマイル党世界経済共同体党
  • 無所属‐今回改選1議席・非改選4議席=選挙前5議席

選挙結果[編集]

投票率[編集]

  • 選挙区 58.64%
  • 比例区 58.63%

今回の選挙においては、12年に1回の亥年選挙であることから投票率の伸び悩みが予測されていたが、自民党政権に対する強い批判や1人区を中心に激戦区が多かった点なども反映して投票率は前回選挙より2%ほど上昇した。また期日前投票制度の普及により制度を利用した投票者数が過去最高を記録した。

なお、全投票所の約3割に当たる14840箇所の投票所では投票締め切り時間が通常の午後8時より前倒しされ、午後4時から7時の間に投票が締め切られた。総務省の説明では市町村合併に伴い、過疎地の投票所から市街地にある開票所への投票箱の運搬に時間が掛かることが主な理由とされているが[5]、締め切りの前倒しを発表したのが選挙期間中の7月20日であったことや岡山県備前市を始め2年前の総選挙では定刻通りに締め切った投票所でも前倒しが実施されたこと[6]、締め切りを前倒しした投票所が鹿児島県(全体の92%)を筆頭に秋田県(89%)、高知県(86%)など1人区に集中していたことから、民主党は7月24日付で菅義偉総務大臣に対して「公職選挙法の規定をはるかに逸脱しており、到底容認できない」と抗議する旨を申し入れている[7]

議席数[編集]

政党名 比例区得票数 選挙区得票数 議席数 議席内訳
自由民主党 16,544,671.100
28.08%
18,606,193.000
31.35%
83 改選37【公示前-27/選23比14/前20元0新17】 - 非改選46
B30.pngB05.pngB01.pngB01.pngG30.pngG10.pngG05.pngG01.png
公明党 7,765,329.122
13.18%
3,534,672.000
5.96%
20 改選9【公示前-3/選2比7/前6元0新1】 - 非改選11
B05.pngB03.pngB01.pngG10.pngG01.png
民主党 23,256,247.299
39.48%
24,006,817.693
40.45%
109 改選60【公示前+28/選40比20/前28元0新32】 - 非改選49
R50.pngR10.pngM30.pngM10.pngM05.pngM03.pngM01.png
日本共産党 4,407,932.856
7.48%
5,164,572.184
8.70%
7 改選3【公示前-2/選0比3/前2元1新0】 - 非改選4
R03.pngM03.pngM01.png
社会民主党 2,634,713.506
4.47%
1,352,018.000
2.28%
5 改選2【公示前-1/選0比2/前1元0新1】 - 非改選3
R01.pngR01.pngM03.png
国民新党 1,269,209.316
2.15%
1,111,005.000
1.87%
4 改選2【公示前±0/選1比1/前0元0新2】 - 非改選2
R01.pngR01.pngM01.pngM01.png
新党日本 1,770,707.114
3.01%
- 1 改選1【公示前+1/選-比1/前-元-新1】 - 非改選0[3]
R01.png
諸派 1,264,799.694
2.15%
477,182.472
0.80%
1 改選0【公示前0/選0比0/前0元0新0】 - 非改選1[4]
無所属 - 5,095,168.460
8.59%
12 改選7【公示前+6/選7/前0元2新5】 - 非改選5
Y05.pngY01.pngY01.pngC05.pngC01.png
合計 58,913,700.007 59,347,628.809 242 B30.pngB10.pngB05.pngB01.pngG50.pngG05.pngG01.pngG01.pngR50.pngR10.pngR05.pngR03.pngM50.pngM05.pngM03.pngY05.pngY01.pngY01.pngC05.pngC01.png

選挙区選挙[編集]

全国で29ある1人区の内、野党が23選挙区で勝利した。2人区は全ての選挙区で与党野党が1議席ずつ確保した。3人区は大阪府のみ与党が2議席を確保、その他は野党が2議席を得た。東京選挙区(5人区)は自民党が1議席、公明党が1議席、民主党が2議席を獲得。1議席は無所属候補が得た。

自民党は1人区など従来の保守地盤で大きく後退。東北地区の1人区及び四国全県で全敗した他、佐賀で51年振りに敗北した。尚、民主党は青森、岩手、三重等8つの1人区で前回参議院選挙に続き、勝利を収めた。

岡山選挙区では、自民党の参院幹事長である片山虎之助が地元に張り付いて選挙活動を続け、平沼赳夫衆院議員(郵政造反組として自民党を離党、岡山県選出)から支持も得たものの、民主党の新人候補に約48,000票の差をつけられ落選した。各メディアは当選者の苗字に「姫」が使われていたことから「姫の虎退治」と報じた。

島根選挙区では、自民党の参院副幹事長景山俊太郎国民新党新人候補に敗北。青木幹雄自民党参議院議員会長(当時)の地元であり、2度の地元入りを行うなどの支援を行った(3年前の自身の選挙では一度も地元入りせず)が18年ぶりに同選挙区での議席を失った。

2005年の郵政解散に伴う第44回衆議院議員総選挙にて、造反し自民党を離党し落選した衛藤晟一(自民党)・藤井孝男(無所属)・川上義博(民主党)・自見庄三郎(国民新党)が当選を果たした。藤井孝男は選挙後に自民党に復党した。

与党系がリードした選挙区[編集]

与野党で差がつかなかった選挙区[編集]

北海道宮城県福島県茨城県新潟県長野県岐阜県静岡県京都府兵庫県広島県福岡県(以上2人区)

野党系がリードした選挙区[編集]

比例区選挙[編集]

比例区では、民主党が20、自民党が14、公明党が7、共産党が3、社民党が2、新党日本が1、国民新党が1の議席を獲得した。

自民党は、参院政審会長舛添要一がトップ当選、元内閣官房参与中山恭子、丸山弁護士こと丸山和也、前教育再生会議委員でヤンキー先生こと義家弘介らが当選。一方、業界団体擁立候補については、農協推薦の山田俊男ら5人の当選に留まった。公明党は1議席減の7議席となった。

民主党は、自治労出身の相原久美子が50万票を集めトップ当選、労働組合関係者や元衆議院議員からの鞍替え組を中心に20議席を獲得、プロゴルファー・横峯さくらの父である横峯良郎も民主党から当選した。共産党は1議席減の3議席、社民党は党幹事長の又市征治ら前回選挙と同様2議席に留まった。国民新党は1議席、新党日本も1議席を得た。

結果として、比例区では野党が6議席リードした。

議員[編集]

この選挙で選挙区当選[編集]

 自民党   民主党   公明党   国民新党   無所属 

北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
小川勝也 伊達忠一 平山幸司 平野達男 岡崎トミ子 愛知治郎 松浦大悟 舟山康江 金子恵美 森雅子
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県
藤田幸久 長谷川大紋 谷博之 山本一太 行田邦子 古川俊治 山根隆治 長浜博行 石井準一 加賀谷健
神奈川県 山梨県 東京都
牧山弘恵 小林温 水戸将史 米長晴信 大河原雅子 山口那津男 鈴木寛 丸川珠代 川田龍平
新潟県 富山県 石川県 福井県 長野県 岐阜県
塚田一郎 森裕子 森田高 一川保夫 松村龍二 羽田雄一郎 吉田博美 藤井孝男 平田健二
静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府
榛葉賀津也 牧野京夫 大塚耕平 鈴木政二 谷岡郁子 高橋千秋 徳永久志 松井孝治 西田昌司
大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県
梅村聡 白浜一良 谷川秀善 辻泰弘 鴻池祥肇 中村哲治 世耕弘成 川上義博 亀井亜紀子
岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
姫井由美子 佐藤公治 溝手顕正 林芳正 中谷智司 植松恵美子 友近聡朗 武内則男
福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
岩本司 松山政司 川崎稔 大久保潔重 松野信夫 礒崎陽輔 外山斎 加治屋義人 糸数慶子

比例代表選出議員[編集]

 自民党   民主党   公明党   共産党   社民党   国民新党   新党日本 

1-10 相原久美子 舛添要一 吉川沙織 山田俊男 山本香苗 青木愛 石井一 中山恭子 池口修次 井上哲士
11-20 丸山和也 木庭健太郎 ツルネン・マルテイ 神本美恵子 川口順子 横峯良郎 佐藤正久 又市征治 山本博司 藤原正司
21-30 尾辻秀久 川合孝典 紙智子 風間直樹 石井みどり 轟木利治 遠山清彦 佐藤信秋 大島九州男 田中康夫
31-40 西岡武夫 義家弘介 渡辺孝男 今野東 橋本聖子 山下芳生 藤原良信 山東昭子 藤谷光信 山内徳信
41-48 加藤修一 室井邦彦 衛藤晟一 自見庄三郎 大江康弘 有村治子 山本孝史 魚住裕一郎

 

この選挙で初当選[編集]

  • 衆議院議員経験者には「※」の表示。

自民党[編集]


民主党[編集]


公明党[編集]

社民党[編集]

国民新党[編集]


新党日本[編集]

無所属[編集]

  • 森田高(選挙後国民新党に入党)


この選挙で返り咲き[編集]

共産党[編集]

無所属[編集]

この選挙で引退・不出馬の議員[編集]

自民党[編集]


民主党[編集]


共産党[編集]

社民党[編集]

国民新党[編集]

この選挙で落選した議員[編集]

自民党[編集]


民主党[編集]

公明党[編集]

国民新党[編集]

無所属[編集]

選挙中の出来事[編集]

概略[編集]

  • 7月12日 公示
    • 自由民主党総裁・安倍晋三は東京秋葉原で第一声、民主党代表・小沢一郎は岡山市で第一声
  • 7月13日~7月15日-台風4号が襲い、各陣営は運動の中断を余儀なくされる
  • 7月16日 新潟県中越沖地震
    • 安倍は長崎市での応援演説を中断し、当日、柏崎に現地入りする
  • 7月19日 共産党の機関紙しんぶん赤旗日曜版が塩崎官房長官の事務所費問題を報じる
    • 読売新聞が序盤選挙情勢を報じる
  • 7月20日 朝日新聞が序盤選挙情勢を報じる
  • 7月25日 読売新聞が終盤選挙情勢を報じる
  • 7月27日 朝日新聞が終盤選挙情勢を報じる
    • 赤城農水大臣が政治活動費を二重計上していたことを各紙報じる
  • 7月28日 選挙戦最終日
    • 安倍は東京新橋駅前で、小沢は島根県出雲市で最後の演説を行う
  • 7月29日 投開票

政府による日程変更[編集]

当初は7月5日公示、7月22日投開票という予定だった。これは、公職選挙法32条2項で参議院議員通常選挙は「参議院開会中又は参議院閉会の日から23日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から24日以後30日以内に行う」と規定されており、第166回国会の会期末である6月23日から設定された日程であるためである。

しかし、「年金時効撤廃法」「公務員改革法」などを会期中に成立させたいという安倍晋三首相の意向により、政府与党内で会期を(選挙日程の延期が発生しない)5日間から1~2週間程度延長することが検討された。最終的に12日の会期延長が政府与党内で決定され、6月22日衆議院本会議で12日間の会期延長が可決された。これにより、公示日と投開票日はそれぞれ1週間遅れ、7月12日公示、同29日投票という日程で、6月26日に閣議決定された。

7月22日投開票という予定で投開票所確保や人員確保を進めてきた全国各地域の市町村選挙管理委員会は対応に追われた。全国でそれ以前からこの28日からの週末に予定されていた夏祭りや花火大会と選挙日がぶつかり、夏祭りの日程を急遽変更するといった事例が多数報告された。7月28日に実施された隅田川花火大会では、29日が予備日(28日荒天時の順延日)となっていたが、選挙の日程変更により警備上などの理由から予備日が設けられないこととなった(本年や同日が投票日であった2001年には、選挙前日に大勢の人出が見込まれる格好の舞台ということもあり、この周辺にて選挙活動を行った候補者もおり、一時混乱に陥った)。また、群馬県では22日に県知事選挙を実施するため2週連続選挙が実施され、これに関して立候補予定者などより遊説などのスケジュールの混乱が出るとして、批判があった。また、佐賀県では28日から高校総体が開催されるため、投票所に予定していた一部会場が使えなくなるというトラブルもあった。会期延長・選挙遅滞に抗議して引退を決めた議員も現れた。

各党の選挙戦略[編集]

民主党[編集]

代表・小沢一郎は選挙前から農村中心の1人区を訪問し、1人区では社会民主党・国民新党などと野党共闘を実現させた。公示後も、都市部をほとんど回らず、1人区の農村を中心に遊説を行い、従来、自由民主党の地盤とされてきた1人区での勝利に繋がった。
政府が大規模農家や共同営農する者にしか価格補償しないことに対して、民主党は戸別価格補償政策を訴え、全戸に価格補償することをマニフェストに掲げた。さらに「生活が第一。」と、国民の生活重視の政策を訴えた。第166回国会で、民主党の長妻昭が指摘した年金記録問題を追い風として、年金通帳の交付や、最低保障年金を全額税方式とし、比例部分を保険料とする年金制度改革案、1人月額2万6000円の「子ども手当」の支給、農業の「戸別所得補償制度」を3つの柱とした運動を展開した。

自由民主党[編集]

民主党に対して、自民党は当初憲法改正などを争点にする考えだったが、年金問題などへ争点が移り、当初の目論みは崩れた。自民党は、地方における格差問題などを背景として「成長を実感に!」をテーマに、第166回国会で成立した社会保険庁の6分割法や公務員法改正、教育再生関連法などの実績を強調した。
選挙期間直前に起きた年金問題について、民主党代表代行・菅直人(年金記録問題の遠因の一つでもある年金番号統合実施時の厚生大臣)の責任を問う内容のパンフレットを公開・配布し、民主党を攻撃・批判。また、選挙期間中に、総務省に設置した第三者委員会における年金時効救済や年金特別便などを2008年までに送る方針を発表したものの、選挙中の発表であり後手に回った印象を与えた。
選挙公約では7つの重点政策と155の約束を掲げた。ポスターは青を基調としたものを用い、総理大臣安倍晋三の掲げる「美しい国」づくりを訴えた。
争点の一つとなったカネの問題について、選挙前に明らかになった農水大臣・赤城徳彦の事務所費問題については具体的な使途の公開は行わなかった。
安倍は、当初「私を選ぶか小沢さんを選ぶか」と民主党との対決を強調したが、その後は勝敗ラインを明らかにせず、結果にかかわらず続投する姿勢を見せた。

公明党[編集]

「命のマニフェスト」を掲げ、ドクターヘリの整備や、がん対策の充実などを訴えた

日本共産党[編集]

「たしかな野党」として、ストップ貧困など格差是正策や護憲を重点的に訴えたものの十分な支持が得られず後退した。前回に引き続き、沖縄県を除く全選挙区に候補を擁立したが全滅。特に、前職のいた東京都では、定数増にもかかわらず後継の新人が落選し、これで非改選も含めて、選挙区の全議席を失った。
比例区での得票数は増加し、共産党本部は「地歩を維持することができた」としたものの、絶対得票率の減少は歯止めが掛かっていない。なお、選挙区では東京都選挙区京都府選挙区大阪府選挙区は獲得票数が増加したものの、全国合計での獲得票は減少した。

社会民主党[編集]

「『暮らし』『憲法9条』『年金』があぶない」として、格差是正・護憲・年金救済を主張したが、自民党が憲法改正を争点にする方針を変更したことなどもあって、6年前の選挙より議席を減らした。比例区は2議席にとどまり、選挙区でも議席を回復できず、唯一可能性のあった大分県選挙区では、民主県連が独自候補擁立を強行し、共倒れした。
国民新党
「ぶれない・媚びない・驕らない」として、選挙区での候補が当選するなど一定の支持を集めた。与党の議席数が過半数をわずかに割るような場合にはキャスティングボートを握るとして与党に協力する余地のある発言を行った幹部もいたが、その可能性が無くなると野党として活動することを鮮明にした。選挙区では、野党共闘として戦った島根で公認候補が当選したものの、唯一の現職候補であった大分や島根同様に野党共闘として戦った群馬などでは落選した。比例区では、郵政造反組を中心に元衆議院議員や有名実業家、元ペルー大統領などいった個性的な候補者を多数擁立したものの、1議席の獲得に留まった。
新党日本
代表である田中康夫自らが「増税なき財政再建は可能」と主張した。選挙直前には、現職の元自民党議員が離党した。選挙中の世論調査では議席の獲得は微妙と見られていたが、田中の知名度などによって、議席の獲得に成功した。比例得票率は、同じ1議席ながら、国民新党を上回った。

その他の政党[編集]

女性党は前回比例で議席獲得まであと9万票まで迫り、今回は候補者を増やして臨んだが得票を減らした。9条ネットは「9条護憲」を柱に、一部で社民との選挙協力を行った。維新政党・新風は、右派に人気のブロガーを擁立した。共生新党は党首夫妻個人の知名度からマスコミに取り上げられた。議員を半減させる会・日本スマイル党・世界経済共同体党・新党フリーウェイクラブも候補を擁立したものの、いずれの政党も議席の獲得はならなかった。

主な選挙違反[編集]

  • 神奈川選挙区で当選した自民党・小林温陣営の出納責任者ら3名が選挙運動の事務員に現金を渡した疑いで逮捕・起訴され、現金を受け取った運動員24人も書類送検された。小林は事件の責任を取り9月4日に議員辞職、次点の松あきら(公明党)が繰り上げ当選。

選挙後[編集]

選挙結果への各党の対応[編集]

自由民主党[編集]

幹事長の中川秀直と参議院議員会長の青木幹雄が引責辞任。安倍晋三は続投を表明した。8月1日、金銭処理疑惑で批判を浴びた赤城徳彦を農水大臣から更迭、8月27日内閣改造を行う。9月10日には臨時国会で所信表明したものの、9月12日内閣総辞職を表明した。

民主党[編集]

選挙での大勝を受け、8月31日に新しい党役員人事を発表。小沢一郎代表、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長のトロイカ体制を維持した上、参議院側からの役員登用を大幅に増やして参議院重視のスタンスを明確化した。

政局への影響[編集]

安倍総理退陣と福田康夫政権発足[編集]

この選挙の結果、民主党が単独過半数に迫る参議院第1党の議席を獲得し、参議院議長江田五月が、議院運営委員長西岡武夫が同党から選出されることとなった。

参議院議長参議院副議長選挙(第167回国会

慣例に従い、第1党から議長、第2党から副議長を選出

参議院議長選挙
投票総数 240票
過半数 121票
当選 江田五月(民主党) 240票
参議院副議長選挙
投票総数 240票
過半数 121票
当選 山東昭子(自民党) 240票

与党の自民党・公明党の議席数を併せても過半数はおろか民主党の議席にも及ばず、与党は参議院の過半数を獲得できない状況での政権運営を強いられることとなった。参院選を受けて自民党内で安倍首相退陣の動き(安倍おろし)が起こり、安倍は続投を宣言したものの、9月12日に退陣を表明した。

9月25日、両院で首相指名が行われ、参議院では小沢一郎民主党代表が指名された。衆議院では福田康夫自由民主党総裁が指名され、憲法の規定により衆議院の指名が国会の指名となり、26日、福田康夫内閣が発足した。

首相指名選挙(第168回国会
衆議院議決[10]
投票総数 477票
過半数 239票
福田康夫(自民党) - 338票、小沢一郎(民主党) - 117票、志位和夫(共産党) - 9票、福島瑞穂(社民党) - 7票、綿貫民輔(国民新党) - 5票、無効 - 1票
参議院議決[11]
投票総数 240票
過半数 121票
小沢一郎(民主党) - 117票、福田康夫(自民党) - 106票、志位和夫(共産党) - 7票、福島瑞穂(社民党) - 5票、綿貫民輔(国民新党) - 4票、白票 - 1票

福田政権の国会運営[編集]

参議院議長・議院運営委員長などの参議院主要ポストを野党が担当したことで、与党側は、衆議院において多数を得ている状況にあっても、参議院を中心とした議会運営の主導権を野党に握られることとなった(ねじれ国会)。

  • 与党が反対している野党提出法案を参議院で先議・可決し、衆議院へ送付した例
年金保険料流用禁止法案
  • 衆議院議決法案の60日間放置などによる審議の遅延・会期切れによる法案の廃案
  • 野党主導による与党参議院議員への登院停止などの懲罰決議案・首相や閣僚などへの問責決議案・与党常任委員長への解任決議案・与党参議院議員への議員辞職勧告決議案の可決
  • 野党主導の国政調査権発動や証人喚問
    (ただし、出席拒否や偽証罪に関する議院証言法違反の告発は三分の二以上の賛成が必要なため、野党単独ではできず、与党が賛成か棄権をする必要がある)
防衛事務次官守屋武昌の証人喚問。
  • 日本銀行政策委員・会計検査院検査官・人事院人事官などの国会同意人事案件での不同意
同意人事案件については3つの役職について参議院で不同意となった。

選挙特別番組[編集]

テレビ[編集]

地上波
CS・ケーブルテレビ

ラジオ[編集]

全国ネットした番組
  • TBSラジオ『JRN報道特別番組 参議院選挙開票スペシャル「どうなる安倍政権!?~参院選でバトルトーク!」』
  • 文化放送『参院選開票スペシャル「日本のあしたはどっちだ!~ソコダイジナトコ~」』
  • ニッポン放送『参議院選挙開票スペシャル どうなる獲得議席』
  • TOKYO FM『選挙特番「美しい日本の未来に何が必要か?」』
関西ローカル
  • MBSラジオ『はやみみ選挙!いまこそ決める、あんたが大将!』
  • ABCラジオ『ABC参議院選挙開票スペシャル「安倍総理の通信簿」』

注釈[編集]

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  1. ^ このうち、神奈川県選挙区選出の前職は当選した自民党現職が陣営の出納責任者らによる公職選挙法違反事件の責任を取って議員辞職した為、繰り上げ当選した。
  2. ^ 参院選:期日前投票者数1000万人超える 前回比5割増,毎日新聞,2007年7月28日,最終閲覧日2007年7月29日
  3. ^ a b 荒井広幸は7月26日に離党したが、公示日までに正式に離党をしておらず、公示後に離党が許可されたため、選挙前勢力では新党日本、選挙結果では無所属とする。
  4. ^ a b 非改選の1議席は、「アイ・ラブ沖縄!かがやく県民の会」公認として当選した島尻安伊子。島尻は補欠選挙で自公推薦の与党統一候補として当選したが、独自の確認団体で補選に臨み、当選後も自公いずれにも属していなかったため。この選挙後に、8月2日付で自民党に入党。自民入党を見越して、選挙中から自民の議席に含めていたマスコミもあった。
  5. ^ 投票所3割で終了繰り上げ 参院選、平成の大合併影響(中日新聞・2007年7月21日付)
  6. ^ 投票時間繰上のお知らせ(備前市選挙管理委員会)、広報びぜん・2005年9月5日号
  7. ^ 民主、投票時間繰り上げに反対 日本経済新聞・2007年7月24日
  8. ^ 参議院副議長として党籍離脱
  9. ^ 法定得票を確保したものの落選。その後、小林温の議員辞職に伴って繰上当選した。
  10. ^ 議事経過 第168回国会」 衆議院ホームページ
  11. ^ 参議院公報 第168回国会(臨時会) 議事経過」 参議院ホームページ

関連項目[編集]

外部リンク[編集]