「JR東日本E653系電車」の版間の差分

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| 製造数 = 72両
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| 運用開始 = 1997年10月1日(フレッシュひたち)<br />2013年9月28日(いなほ)<br />2015年3月14日(しらゆき)
| 運用開始 = 1997年10月1日(フレッシュひたち)<br />2013年9月28日(いなほ)<br />2015年3月14日(しらゆき)
| 運用終了 = 2013年3月15日(フレッシュひたち)
| 編成 = 基本編成:7両([[MT比|4M3T]])<br />付属編成:4両(2M2T)
| 編成 = 基本編成:7両([[MT比|4M3T]])<br />付属編成:4両(2M2T)
| 軌間 = 1,067 mm
| 軌間 = 1,067 mm

2021年11月30日 (火) 05:28時点における版

JR東日本E653系電車
常磐線を走行するE653系電車
(2003年4月7日)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
近畿車輛
東急車輛製造
製造年 1997年 - 2005年
製造数 72両
運用開始 1997年10月1日(フレッシュひたち)
2013年9月28日(いなほ)
2015年3月14日(しらゆき)
主要諸元
編成 基本編成:7両(4M3T
付属編成:4両(2M2T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
交流20,000 V・50 Hz / 60 Hz
架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
編成定員 466人(普通車のみ)※1
268人(普通車のみ)※2
編成重量 236.5 t※1
133.9 t※2
編成長 145.5 m(基本編成)
84 m(付属編成)
全長 先頭車 21,500 mm
中間車 20,500 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,550 mm
車体 アルミニウム合金
台車 ボルスタレス台車
DT64形(電動車)・TR249形(付随車・制御車)
主電動機 MT72形かご形三相誘導電動機
主電動機出力 145 kW
駆動方式 TD継手式平行カルダン駆動
歯車比 5.65(96:17)
編成出力 145 kW×16 = 2,320 kW※1
145 kW×8 = 1,160 kW※2
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 電気指令式ブレーキ
回生ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置 ATS-PATS-Ps
備考 ※1は基本編成
※2は付属編成
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E653系電車(E653けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流両用特急形電車である。

概要

常磐線特急は、1989年(平成元年)3月から651系の導入が進められていたが、停車の多い「ひたち」には485系が引き続き使用されていた。これら485系の置換え用として開発された。

車両デザインはGKインダストリアルデザイン、製造は日立製作所近畿車輛東急車輛製造の3社が担当し、1997年平成9年)に1次車、1998年(平成10年)に2次車、2005年(平成17年)2月に3次車が製造され、総数は7両基本編成8本・4両付属編成4本の72両である。

1998年度財団法人日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞受賞。

国鉄分割民営化後に設計・開発された交直流両用電車としては初の商用電源周波数50 / 60 Hz両用対応車とされた。これは485系電車に代わる汎用特急車として、将来常磐線以外でも運用することをあらかじめ考慮したものである[注 1]

構造

本項では落成時の仕様について解説を行う。

設計コンセプト

本系列は「ひたち」用を含む「JR東日本管内で運用される485系の取替え[1]」を視野に開発が行われた。そのため設計コンセプトは「East Japan Standard Express=これからの定番特急」「Sophisticated Simplicity=洗練されたシンプルさ」とされた[1]

車体

アルミニウム合金製大形中空押出型材を用いたダブルスキン構造を営業用鉄道車両としては初めて採用し[2]、軽量化と構体構造の簡素化を図り、車体の裾絞りを上部下部とも最小限に抑えることにより客室空間を拡張させている。客用扉は上野方制御車のクハE652形のみ片側2扉だが、それ以外は1扉である。なお、当初より耐寒耐雪構造としている。

外観

「優雅さと力強さ[3]」をコンセプトとした。先頭部は衝撃吸収材を設けたボンネット構造の非貫通高運転台とし、前照灯シールドビームHIDランプ各2灯を前面腰部、プロジェクションランプ2灯を運転台上部に設置。このほか、特殊印刷処理によるパターンをパネル全面に発光する装置を下部前照灯上部に搭載する[1]

落成当初の塗装は、上部を651系や常磐線中距離電車で運用されていた415系鋼製車と共通の白(ホワイトブロッサム=white blossom:白梅の花[1])、窓周りをシルバーメタリック(チタニウムメタリック=titanium metallic:チタンの輝き[1])とし、下部については編成ごとで異なる常磐線沿線の観光資源をイメージしたカラーを採用。乗降口横にはそれぞれのカラーごとにシンボルマーク[注 2]が配された。

車体色 編成番号 製造メーカー ロゴマーク モチーフ 備考
スカーレットブロッサム
(scarlet blossm:緋色の花・紅梅)
[1]
K301・K305 日立製作所 偕楽園
好文亭
7両基本編成
ブルーオーシャン
(blue ocean:青い大洋)
[1]
K302・K308 塩屋埼灯台
太平洋
イエロージョンキル
(yellow jonquil:黄スイセン)
[1]
K303・K306 近畿車輛 ひたち海浜公園
水仙
グリーンレイク
(green lake:緑の湖)
[1]
K304・K307 東急車輛製造 霞ヶ浦
帆曳舟
オレンジパーシモン
(orange persimmon:橙色の柿)
K351
K352
K353・K354
近畿車輛
東急車輛製造
日立製作所
袋田の滝
紅葉
4両付属編成

客室

車内全景
車内全景
グリップ付き座席
グリップ付き座席
PS32形パンタグラフ
PS32形パンタグラフ
側面行先表示器
側面行先表示器

全席普通車[注 3]、インテリアは「機能性と無駄の排除」を主題とし[1]、天井横方向に設けたリブ状突起・客室仕切りや天井近くに使用した鏡・客室仕切扉用強化ガラスなどで空間に広がりを持たせた。客室は乗客に近い位置にファブリック系素材、離れた位置にクリスタル素材を使用し、仕切り壁・荷棚下面は曇りガラスを模した素材とした[1]。出入り台付近壁面には鏡面材や曲面の木目材を使用する[1]

シートピッチは定員確保を考慮して485系電車と同一の910 mmとしたが、座席スライド機構の採用・背面部スリム化による実質的間隔拡大・ヒーターを床置からつりさげ式変更による足元空間拡大・シートバック背面の曲面構成化などによる視覚的圧迫感緩和などの改良を実施し居住性向上が図られた[1]。これにより定員は7両編成で485系より7名多い466名を確保した[3]。このほか客室側鴨居部に情報案内装置を装備する。

機器類

床下には機器の取付・取外が可能な機器取付用レールを設置し、製造・整備・仕様変更にともなう機器換装等を容易なものとした。また車両状況自己診断プログラムを搭載するなど車両整備に際しての利便性向上にも重点が置かれた。

主変換装置素子に日立製作所製IGBT(2,000 V / 600 A・3レベル方式)を用いるCI 8形を搭載[4]。コンバータ部とインバータ部から構成され、交流電化区間ではコンバータにより、いったん直流に変換した上でインバータにより三相交流に再変換する。直流電化区間ではインバータ駆動のみとし、本装置1基で1時間定格出力145 kWのMT72形かご形三相誘導主電動機4基を一括制御する。営業運転時の最高速度は651系と同一の130 km/hである。

補助電源装置はIGBT素子を使用した東洋電機製造製の静止形インバータ(SIV・定格出力210 kVA)を採用している[5]

台車はボルスタレス方式で可変絞り付き空気ばねならびにヨーダンパを搭載するDT64形電動台車・TR249形付随台車を装着。軸箱支持は軸はり式で上下動ダンパーを搭載するほか、軸ばねには防雪カバーを、先頭台車は雪対策として強化型雪かきを装着する[1]

集電装置はPS32形交流直流両用シングルアームパンタグラフを搭載する[6]。構造的にはばね上昇・空気下降式で集電舟は651系と共通である[7]。本機はE351系に搭載される直流用PS31形をベースに交流区間対応の絶縁碍子を装備する[6]。また中央本線などの狭小トンネル通過には対応していない。

ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを装備し、発電ブレーキを準備工事とした。系統は常用ブレーキ・非常ブレーキ直通予備ブレーキ抑速ブレーキ耐雪ブレーキの5系統とし、付随車のブレーキ力を電動車で負担する遅れ込め制御を行う。

デッドセクションでの主回路切替はE501系電車と同一仕様で、ATS-P地上子を使用した自動切替である。車内照明は直流電源方式で、デッドセクション通過時には蓄電池からの供給に切り替わるため基本的に消灯しない。

車体側面の行先表示器は3色LED式で行先・愛称のほか号車番号を表示する。

空調機器集約分散式冷房装置を搭載しており、車体にマッチさせるためFRP製大型カバーを装着。端部にラジオ輻射装置用アンテナを内蔵する[1]

形式

モハE653形
集電装置と主変換装置を搭載する中間電動車(M1)でモハE652形とユニットを組む。前位車端部には、電話室・清涼飲料自動販売機を設置。定員72人。基本編成の2・5号車と付属編成の9号車に組成される。
モハE652形
主変換装置と補助電源装置としての静止形インバータを搭載する中間電動車(M2)でモハE653形とユニットを組む。前位車端部には、トイレと洗面所を設置。定員72人。基本編成の3・6号車と付属編成の10号車に組成される。
クハE653形
いわき・新潟向きの制御車(Tc)で0・1000番台が基本編成の7号車、1100番台が基本編成の4号車、100番台が付属編成の11号車に組成される。定員68人。空気圧縮機(CP)と蓄電池箱を搭載する。いわき方への併結を行わない100番台ならびに併結運用が存在しない1000・1100番台は電気連結器(分併装置)を未装備。
クハE652形
上野・新井向きの制御車(Tc')で0・1100番台が基本編成の1号車、100番台が付属編成の8号車に組成される。定員56人・トイレ・洗面所を後位に設置する。側面客用扉を片側2ヶ所に設置。0番台はCPと蓄電池箱を搭載するが、100番台は準備工事とした[注 4]
サハE653形
基本編成の4号車に組成される中間付随車。乗務員室・車販準備室・車椅子スペース・トイレ・洗面所を設備する。定員54人。設備の関係から客用扉は広幅とされた。
クロE652形
「いなほ」転用に際してグリーン車が必要となったため、クハE652形を種車に全室グリーン車化改造した秋田向きの制御車(Tsc')で1000番台のみに存在する。配列は1+2の3列式で、シートピッチ1,820 mm の座席は前後仕切りによって独立しており、リクライニングによる干渉が発生しない。後位側はラウンジスペースが設置された。定員18人。

「いなほ」「しらゆき」への転用

2010年12月にJR東日本は、2012年3月ダイヤ改正で上野 - いわき間「スーパーひたち」「フレッシュひたち」全列車に本系列および651系置換え用としてE657系を導入し、本系列は当時定期運用が行われていなかったいわき - 仙台間に新設される特急列車に転用する計画を発表した[8]

ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災による被害ならびに東京電力福島第一原子力発電所事故による警戒区域に常磐線当該区間[注 5]が含まれて不通となり復旧の目途も立たない状況から、本計画は白紙撤回され中止となった[注 6]。またE657系への置換えも2012年3月ダイヤ改正では一部のみとなり、完全置換えは2013年3月ダイヤ改正となった。

一方でE657系置換えにより余剰となった本系列の新たな転用計画は、羽越本線白新線特急「いなほ」への充当が立案され、2012年9月に2013年より485系置換えに7両編成を転用予定であると報道[9]2013年6月26日には新潟支社が同年秋から順次投入するプレスリリースを正式発表した[10][11]

さらに北陸新幹線金沢延伸開業に伴う2015年3月14日ダイヤ改正で新潟 - 直江津 - 上越妙高・新井間を信越本線えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン経由で運転する特急「しらゆき[注 7]」を新設[12][13]。番台区分を1100番台とした転用改造施工の4両編成を充当することが2014年8月に発表された[14]。この転用に伴い、全車新潟車両センターに転属している。

1000番台

1000番台標準塗装 U104編成
1000番台標準塗装
U104編成
瑠璃色塗装 U106編成
瑠璃色塗装
U106編成
ハマナス色塗装 U107編成
ハマナス色塗装
U107編成

郡山総合車両センターで基本編成7本と付属編成1本にMM'ユニット1組とサハE653形1両を組成した56両[注 8]へ「いなほ」転用改造を施工した番台区分で以下の仕様変更を実施。

  • 新潟・秋田支社管内での走行環境に適応するため、耐寒耐雪構造を強化[15][16]
    • 強化スカートへ換装
    • スノープラウ・着雪防止装置を装着
    • ワイパー停止位置を縦に変更
    • 台車上部ふさぎ板・空気ばねカバー・高さ調整棒保護材を装着
    • 台車軸箱を一体型へ変更
    • 電動車制輪子を焼結型へ変更
    • 主要機器へ防雪カバー設置
    • 車端部に着雪防止ふさぎ板設置
    • 客室暖房を強化
  • 先頭車の電気連結器を撤去
  • 全編成とも、日本海に沈む夕日と稲穂をイメージしたカラーリングに変更
    • 改造後の2017年に一部編成のエクステリアデザインの変更が発表された[17]
      • U106編成は、海の色を表現した「瑠璃色」で、2017年10月27日から営業運転を開始した[18][19]
      • U107編成は、羽越本線沿線の海岸線に自生するハマナスを表現した「ハマナス色」で、2017年12月29日から営業運転を開始した[20]
  • 普通車シートモケットを「小千谷ちぢみ」へ変更[21]
車内 座席 ラウンジ
車内
座席
ラウンジ
  • グリーン車の新設
  • 運転開始当初は正面の発光装置は空白であったが、2016年3月ごろから「いなほ」のヘッドマークが入るようになった[22]
車両番号推移
  • モハE653+E652-1 - 15・20→1001 - 1016
  • クハE653-1 - 7・104→1001 - 1008
  • クハE652-1 - 7・104[注 4]→クロE652-1001 - 1008
  • サハE653-1 - 8→1001 - 1008

1100番台

1100番台

「しらゆき」転用改造による番台区分。4両付属編成3本ならびにMM'ユニット1組とサハE653形1両を抜いた基本編成1本[注 8]の計16両へ1000番台同様に郡山総合車両センターで耐寒耐雪構造強化などほぼ同一の改造を施工したグループであるが、以下の相違点が存在する[23][24]

  • 車体色をアイボリー基調に上部・下部へ紫紺とした上で朱赤のストライプを配置。
  • シートモケットを新幹線E7系・W7系電車に合わせたタイプへ変更。
  • 車いす対応設備を設置するサハE653形が編成に組成されないためクハE652形1100番台へ車いす対応席[注 9]2名分を設置し定員を56名→54名へ変更[25][注 10]
車両番号推移
  • モハE653+E652-17 - 19・16→1101 - 1104
  • クハE653-101 - 103・8→1101 - 1104
  • クハE652-101 - 103・8[注 4]→1101 - 1104

運用

勝田車両センター

14両編成の「フレッシュひたち」
14両編成の「フレッシュひたち」
基本編成・付属編成連結部 (2005年7月 日暮里駅)
基本編成・付属編成連結部
(2005年7月 日暮里駅
K70編成 (2019年4月22日)
K70編成
(2019年4月22日)

当初は全車が集中配置され、フレッシュひたち上野 - 勝田高萩いわき)に充当されたが、2013年以降は1000・1100番台改造施工と併せて新潟車両センターへ転出。2014年に配置がなくなったが、2018年11月に1000番台7両1編成が再転入した[26][27]

フレッシュひたち運用(1997年 - 2014年)
  • 基本編成7両編成・基本編成+付属編成11両編成・基本編成x2本14両編成の計3種類で運用された。付属編成x2本8両編成での運用はなかったが、付属編成4両編成のみは臨時運用で実績がある。
  • 基本編成および付属編成上野方先頭車では電気連結器に、付属編成いわき方先頭車では密着連結器カバーに編成番号を記載。

1997年10月1日のダイヤ改正で勝田電車区(当時[注 11])に配置された7両基本編成4本計28両で営業運転を開始した。

1998年には、2次車として7両基本編成4本・4両付属編成3本の計40両が増備され、同年12月8日のダイヤ改正で485系電車の全面置換えを完了した。

2005年に4両付属編成1本を増備。

2007年3月18日から全車両が禁煙となったほか、同年10月からは「フレッシュひたち」運転開始10周年を記念し、側面に特製ステッカーを貼付した。

2008年3月31日をもって清涼飲料水自動販売機の営業が中止となり、座席裏案内シールを貼り変えた。

2010年12月には2012年3月ダイヤ改正で上野 - いわき間「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の全列車に置換え用としてE657系電車を導入することが発表されたが、東日本大震災の影響により実際には上野-いわき間で一部の「フレッシュひたち」をE657系へ置換えたのみで本系列は引き続き運用された。また改正直後の同月31日をもって列車公衆電話サービスが終了したことに伴い座席裏の案内シールにその旨が追加された。

2013年3月16日ダイヤ改正で「スーパーひたち」「フレッシュひたち」全定期列車をE657系へ置換え。このため同月15日の上野発高萩行「フレッシュひたち67号」で定期運用を終了。その後は、新潟車両センター転用改造と並行しながら多客期の臨時「フレッシュひたち」など常磐線・武蔵野線水戸線臨時列車[29]のほか、同センター所属波動輸送対応用485系K60・K40編成が同年1月に廃車されたため「ぶらり鎌倉号」「ぶらり高尾散策号」「あしかが大藤まつり号」などへも充当された。しかし未改造編成も転用改造を施工するため2014年8月17日の「フレッシュひたち92号」で本系列による同センターでの臨時運用もすべて終了し、転用改造施工後に全車新潟車両センターへ転出した。

K70編成

2018年11月7日付で新潟車両センターU108編成7両に485系などの国鉄特急色に近い塗装変更を施工したK70編成が当センターへ再転入した[30][31][26][27]。2019年2月2日の「快速E653系おかえり号」運行以降は、団体・臨時列車で運用される[32][33]

充当された主な臨時列車

臨時団体修学旅行の各不定期運用では、団体専用列車として磐越西線会津若松上越線水上東海道本線熱海中央本線高尾成田線成田までの入線実績がある。

青森ねぶた(2002年7月9日)
勝田車両センター編成表(2005年4月1日現在)
 
← いわき・高萩・勝田
上野 →
製造 竣工
基本編成 号車 7
(14)
6
(13)
5
(12)
4
(11)
3
(10)
2
(9)
1
(8)
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
サハE653
(T)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
K301 1 1 1 1 2 2 1 日立製作所 1997.07.22
K302 2 3 3 2 4 4 2 1997.08.04
K303 3 5 5 3 6 6 3 近畿車輛 1997.08.07
K304 4 7 7 4 8 8 4 東急車輛製造 1997.08.26
K305 5 9 9 5 10 10 5 日立製作所 1998.11.04
K306 6 11 11 6 12 12 6 近畿車輛 1998.11.18
K307 7 13 13 7 14 14 7 東急車輛製造 1998.11.24
K308 8 15 15 8 16 16 8 日立製作所 1998.11.25
付属編成 号車 11 10 9 8   製造 竣工
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
K351 101 17 17 101 近畿車輛 1998.11.18
K352 102 18 18 102 東急車輛製造 1998.11.24
K353 103 19 19 103 日立製作所 1998.11.25
K354 104 20 20 104 2005.02.27

新潟車両センター

2013年6月29日に上述した「いなほ」転用改造を施工した1000番台U-101編成が竣工[34]。配車回送後に各種試験運転を実施。その後も1000番台化改造は基本7両編成8本中7本[35]と基本編成の一部車両を組み込んだ付属編成1本[注 8]に施工し、順次転入。続いて1100番台は2014年10月から2015年3月にかけて竣工し、72両全車が工事を施工され順次転入。2018年10月1日では以下の編成を組成する[36]

  • U101 - 107編成・(U108編成[注 14])(7両/1000番台)
  • H201 - 204編成(4両/1100番台)

定期運用は1000番台U編成が以下の経緯で485系を置換え[36]

  • 2013年9月28日:ダイヤ改正で「いなほ」1往復[注 15]へ充当[37]
  • 2014年3月15日:ダイヤ改正で「いなほ」5往復[注 16]へ充当[38]
  • 2014年7月12日:485系で残存していた「いなほ」2往復[注 17]も置換え定期列車全7往復ならびに「らくらくトレイン村上」の置換えを完了

2021年3月13日ダイヤ改正以降は以下の定期列車に充当されるが、H編成の運用は全区間直流電化で交流電化区間は存在しない。

なお1000番台U編成による臨時運用では主に以下の実績がある。

新潟車両センター編成表(2016年4月1日現在)[50]
 
← 新潟
酒田・秋田 →
 
1000番台 号車 7 6 5 4 3 2 1 改造施工 改造前 施工日
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
サハE653
(T)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クロE652
(Tsc')
U-101 1001 1001 1001 1001 1002 1002 1001 郡山総合車両センター K301 2013.06.25
U-102 1002 1003 1003 1002 1004 1004 1002 K302 2013.08.28
U-103 1003 1005 1005 1003 1006 1006 1003 K303 2013.10.31
U-104 1004 1007 1007 1004 1008 1008 1004 K304 2014.01.09
U-105 1005 1009 1009 1005 1010 1010 1005 K305 2014.03.18
U-106 1006 1011 1011 1006 1012 1012 1006 K306 2014.06.19
U-107 1007 1013 1013 1007 1014 1014 1007 K307 2014.09.01
U-108 1008 1015 1015 1008 1016 1016 1008 K354
K308
[注 8]
2015.03.26
 
← 新潟
上越妙高・新井 →
 
1100番台
号車 4 3 2 1 改造施工 改造前 施工日
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
H-201 1101 1101 1101 1101 郡山総合車両センター K351 2014.12.1
H-202 1102 1102 1102 1102 K352 2014.10.27
H-203 1103 1103 1103 1103 K353 2015.3.4
H-204 1104 1104 1104 1104 K308[注 8] 2015.2.26

脚注

注釈

  1. ^ 分割民営化後は広域転配をすることがないため、旅客用車両については交流電源は50 Hz(651系など)・60 Hz(681系683系など)のどちらかだけに対応させているケースが多く、本系列のほかに50 / 60 Hz両対応車の旅客用車両は2017年時点でE655系E001形(交流25 kV・50 Hzも対応)が存在するのみである。
  2. ^ また始発駅の上野駅16・17番線特急発着ホームにも基本編成となるK301 - K308編成のシンボルマークが描かれた。
  3. ^ グリーン車連結の「フレッシュひたち」は651系・E657系で運用された。
  4. ^ a b c クロE652形への改造の際に1008のみは種車がクハE652-104のため新たにCPと蓄電池箱を搭載した一方で、クハE652-8は1104へ改造の際に撤去した。
  5. ^ 原発事故発生当初の警戒区域に含まれる区間は広野 - 原ノ町間。このうち、富岡 - 浪江間は帰還困難区域を通過する。
  6. ^ その後、2020年3月14日の常磐線の全線運転再開(富岡 - 浪江間復旧)には上野 - 仙台間を直通運転する形となり、E657系が全区間において運用されることとなった。
  7. ^ ダイヤ改正以前に運転されていた特急「北越」ならびに快速「くびき野」の運行体制を継承する。
  8. ^ a b c d e 付属の旧K354編成に旧K308編成4 - 6号車のサハE653形ならびにいわき方MM’ユニットを組成した。このため旧K308編成はMM’ユニット16・サハE653-8がU-108編成へ、1 - 3・7号車がH-204編成となった。
  9. ^ バックレストが薄くヘッドレストも可動式と既存座席と異なる。
  10. ^ ただしトイレ・洗面所等の車いす対応化は未施工。
  11. ^ 勝田車両センターへの改称は2004年4月1日付[28]
  12. ^ 2015年以降は上野東京ラインの開業に伴い「ぶらり横浜・鎌倉号」として651系で運転。
  13. ^ 毎年8月に開催されるロック・フェスティバルROCK IN JAPAN FESTIVALに合わせて運転。
  14. ^ 2018年11月7日付で勝田車両センターへ波動用K70編成として転出[27][26]
  15. ^ 7・8号。
  16. ^ 1・2・5・6・7・8・9・10・13・14号。
  17. ^ 3・4・11・12号。
  18. ^ 「いなほ」が運行される沿線のご当地キャラクター8種類のラッピングを施工して落成したU-102編成[39]を充当[40]
  19. ^ 2014年以前は新潟車両センター所属の485系6両編成(北越急行線内がATS-Pのため機器搭載編成限定)で運転。
  20. ^ U-104編成を充当[42]
  21. ^ 新潟県立鳥屋野潟公園野球場(HARD OFF ECOスタジアム新潟)で開催された「AKB48 45thシングル 選抜総選挙開票イベント」に伴う観客輸送のため片道運転[43][44]
  22. ^ 東京ディズニーリゾート向け夜行団体ツアー列車[45]。新潟発は2016年7月15日・29日、舞浜発は同月16日・30日運転。
  23. ^ 東京ディズニーリゾート向け夜行団体ツアー列車で瑠璃色U-106編成を充当。[46]。新潟発は2018年3月23日、舞浜発は同月24日運転。
  24. ^ 東京ディズニーリゾート向け夜行団体ツアー列車として、U-106編成を充当[47]
  25. ^ 男鹿ナマハゲロックフェスティバル」のイベント向け夜行団体ツアー列車として、U-107編成を充当[48]
  26. ^ U-102編成を充当[49]

出典

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  4. ^ 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」1997年(第34回)「E653系特急形交直流電車の主回路システム」論文番号504。
  5. ^ 東洋電機製造「東洋電機技報」1998年3月号(第101号)3P。同書ではE653系向けに補助電源装置、駆動装置、パンタグラフを納入したことが記載されている。
  6. ^ a b 『J-train』通巻39号、p.105
  7. ^ 『J-train』通巻39号、p.108
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参考文献

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  • 東日本旅客鉄道(株)運輸車両部企画課車両開発グループ「JR東日本E653系特急形交直流電車」『鉄道ファン』439号、交友社、1997年11月、pp.6-13。 
  • 「JR東日本E653系1000番台」『鉄道ファン』631号、交友社、2013年11月、pp.46-47。 
  • 「JR東日本E653系1100番台(CAR INFO)」『鉄道ファン』649号、交友社、2015年5月、pp.60-61。 
  • 長和昭栄「E653系フレッシュひたち」『J-train』第39号、イカロス出版、2010年10月、pp.97-109。 
  • 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」1997年(第34回)「E653系特急形交直流電車の主回路システム」論文番号504
  • 東洋電機製造「東洋電機技報」1998年3月号(第101号)「東日本旅客鉄道(株)向けE653系特急形交直流電車用電機品」

関連項目

外部リンク