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就職氷河期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本の失業率(男女別、年齢別)。15歳から24歳までの細線が若年失業者に当たる[1]。

就職氷河期(しゅうしょくひょうがき)とは、日本において、1990年代半ばから2000年代前半にかけて、景気後退と企業による新卒採用の抑制により、新規学卒者の就職環境が著しく悪化した時期をいう[2]。政府の支援施策では、概ね1993年(平成5年)から2004年(平成16年)に学校卒業期を迎えた者が「就職氷河期世代」とされている[3]。もっとも、就職氷河期について明確に統一された定義はなく、その対象範囲は政府施策、統計および研究によって異なる[4]。

バブル崩壊とその後の不良債権問題は日本経済に長期的な影響を及ぼし、1997年以降の金融不安も重なって、企業倒産、人員削減、求人の減少および失業率の上昇をもたらした[5]。日本では、景気や業績が悪化して人員に余剰が生じても既存の正社員を解雇することは容易でなく、企業は雇用調整の一環として新規学卒者の採用を抑制した[6]。不況が長引くと、企業も新規採用の制限も長期化かつ大規模化し、その結果として就職氷河期世代が生じた[6]。バブル崩壊後に若年失業者、フリーターおよび若年無業者が増加した要因として、企業側の労働需要の不足がある[7]。

この時期の日本の労働市場において、景気の影響に加えて、冷戦終結後のグローバル化やITを中心とする技術革新も継続的な影響を及ぼした[5]。アジア諸国で相対的に低い賃金によって生産された安価な輸入品の増加は、国内企業の退出、生産拠点の海外移転(オフショアリング)および省力化を促し、日本の製造業における雇用減少の一因になった[5]。製造業の新規求人数は1992年の13万8,000人から2002年には6万1,000人へ半数以下に減少し、国際競争の激化に伴う国内製造業の不振は、特に高校新卒者の就職環境へ悪影響を及ぼした[7]。IT革命などによる熟練労働者必要となる技術進歩も、企業の労働需要を高卒者から大卒者へ移行させたり、非熟練労働者層の就職を困難にした[7]。また、コンピューターと代替関係にある一般事務や製造業の定型業務が減少する一方、非定型業務や対人サービスが拡大し、技術革新は非正規雇用の増加をもたらした要因の一つと推測されている[5]。

新卒採用枠は景気変動に対する感応度が高い。日本は既存雇用者への大幅な雇用調整に判例上の制約がある中で、企業は新卒採用を景気変動に対応する雇用調整の手段として、新卒採用枠を相当程度利用してきた[8]。中高年の雇用を維持するために若年者の採用を抑制すること、既存雇用者の雇用維持が若年者の就業機会を減少させる現象は「置換効果」と呼ばれる[7]。大企業における希望退職等の人員整理の実施は1990年代前半には比較的限定されていた。しかし、金融危機が起きた1997年以降に大幅に増加し、企業の雇用調整行動も変化した[9]。

新卒一括採用を中心とする日本の就職制度は、学校から職業への円滑な移行を促し、若年者の失業を抑制する効果を持つ一方、不況期には「その時期に卒業する特定世代」へ雇用調整の影響を集中させる側面を持つ[2]。新規学卒者は採用後の長期的な企業内教育の対象とされるのに対し、学卒時に新卒就職制度の枠外へ押し出された者は、職業能力を形成する機会を得にくくなる[2]。学卒時の労働市場の悪化は、当時の就職の成否にとどまらず、その後の雇用形態、賃金、離職・転職および就業状態にも長期的な影響を及ぼした[7]。学卒時に非正規雇用となった者は、観察できない個人属性の影響を考慮しても、その後も非正規雇用にとどまる確率が高いことが報告されている[7]。

2019年に経済財政諮問会議へ提出された資料では、就職氷河期世代の人口規模は約1,700万人とされた[10]。15歳から24歳までの完全失業率は、長期不況期の1999年から2005年には8.7%から10.1%で推移し、リーマン・ショック後の2009年から2010年にも9.1%から9.4%へ上昇した[1]。これら不況期に対し、2022年(令和4年)の15歳から24歳までの完全失業率は4.6%、全年齢では2.6%であった[11]。

「就職氷河期」は、リクルート社の就職情報誌『就職ジャーナル』1992年11月号で提唱された表現とされ、1994年(平成6年)の第11回新語・流行語大賞では審査員特選造語賞を受賞した[12]。

概要

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「就職氷河期」は、リクルート社の就職情報誌『就職ジャーナル』1992年11月号で初めて用いられた造語とされ、バブル景気期の売り手市場から一転して就職難となった状況を氷河期に例えたものである[13]。この時期に就職活動を行った世代は「就職氷河期世代」、略して「氷河期世代」と呼ばれるようになり、「就職氷河期」は1994年の第11回新語・流行語大賞で審査員特選造語賞を受賞した[13]。 就職氷河期世代について統一された定義は存在しないが、政府の支援施策では、おおむね1993年(平成5年)から2004年(平成16年)に学校卒業期を迎えた者が対象として想定されている[14]。一方、就職氷河期世代を、1993年から2005年までに労働市場へ参入した世代とする広い用法もあり、対象範囲は資料や施策によって異なっている[15]。

1993年から2005年までに現役で学校を卒業した者を対象とする広義の区分では、高校卒業者はおおむね1974年度から1986年度、大卒者はおおむね1970年度から1982年度に生まれた者に相当する[15]。この広義の区分では、最年長層は1970年4月2日生まれの1993年3月大学卒業者、最年少層は1987年4月1日生まれの2005年3月高校卒業者となり、2026年8月時点ではおおむね39歳から56歳に相当する[15]。2019年に経済財政諮問会議へ提出された資料では、就職氷河期世代の人口規模は約1,700万人と推計された[10]。

文部科学省「学校基本調査」による大学卒業者に占める就職者の割合は、1992年には79.9%、1993年には76.2%であり、就職環境は悪化しつつあったものの、なお70%台を維持していた[16]。大学卒業者に占める就職者の割合は1995年に67.1%へ低下し、2000年には55.8%、2003年には55.0%となった[17]。2003年の55.0%は、文部科学省が掲載する期間における大学卒業者の就職者割合の最低値であった[17]。

その後、大学卒業者に占める就職者の割合は2005年の59.7%から2006年には63.7%へ上昇し、2008年には69.9%まで回復した[18]。景気回復期に第二新卒などとして正社員へ移行できた者がいる一方、非正規雇用やフリーターであった期間が長いほど、景気回復後も正社員へ移行しにくい傾向が指摘されている[15]。卒業時に正規雇用へ移行できなかった者については、景気回復後も雇用形態、賃金、離職・転職および職業能力形成に不利益が残る「世代効果」が確認されている[7]。

内閣府の分析では、1993年から2004年までの就職氷河期における大学卒業者の新卒就業率は平均69.7%であり、この期間を除く1985年から2019年までの平均80.1%を10ポイント以上下回った[8]。同じ分析では、就職氷河期における高校卒業者の新卒就業率は平均70.9%であり、それ以外の期間の平均78.1%を約7ポイント下回った[8]。日本では、バブル崩壊後に上昇した15歳から24歳までの若年失業率が危機前の水準へ戻るまで、およそ10年を要したと分析されている[8]。

グローバル化と労働構造変化の影響

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就職氷河期と重なる平成初期以降には、東西冷戦の終結後に旧社会主義国が世界経済へ統合され、中国をはじめとするアジア諸国の工業化と輸出拡大が進んだ[5]。日本の鉱工業における輸入浸透度は、1989年の約10%から2013年には約24%へ上昇した[5]。相対的に低い賃金で生産された輸入品との低価格競争は、輸入競争にさらされた国内企業の退出、国内工場の海外移転(オフショアリング)および省力化投資を促し、日本の製造業における雇用減少の一因になったと分析されている[5]。一方、安価な輸入中間財を利用する企業では生産費の低下を通じて雇用が増加する可能性もあり、グローバル化が全ての産業の雇用を一様に減少させたわけではない[5]。

ITを中心とする技術革新は、プログラマーやシステムエンジニアなどの需要を増加させる一方、一般事務や製造業の定型的業務など、コンピューターで代替しやすい職務の需要を減少させた[5]。研究、設計、コンサルティングなどの非定型的な分析業務や対人業務については、ITが労働者の生産性を高める補完的な効果を持った[5]。これらの構造変化は、新規学卒者が参入する産業や職種の構成を変え、長期不況による採用抑制に加わる雇用需要の再編要因となった[5]。

日本型雇用システムにおける新卒一括採用や長期雇用は、平常時には学校から職業への円滑な移行を促し、若年失業率を低く抑える効果を持つ[2]。一方、新卒時に正社員として採用され、採用後のOJTによって職業能力を形成する仕組みであるため、景気後退時には新卒採用の削減を通じて、その時期に卒業する特定世代へ雇用調整の負担を集中させやすい[2][7]。

バブル崩壊後に若年失業者、フリーターおよび無業者が増加した基本的な要因について、内閣府経済社会総合研究所の研究は、若者の就業意識の変化ではなく、不況に伴う労働需要の不足であったとしている[7]。日本企業は、既存雇用者に対する大幅な雇用調整には判例上の制約がある中で、新卒採用枠を景気変動に対応する雇用調整の手段として相当程度利用してきたと内閣府は分析している[8]。新卒採用者数は転職者数よりも景気変動への感応度が高く、内閣府の推計では、経済活動が1%低下した場合、転職者数が約0.33%減少するのに対し、新卒採用者数は約0.74%減少する[8]。

バブル崩壊後の前半期には、新卒採用の抑制と退職者の不補充による自然減を中心として既存労働者の雇用維持が図られた[9]。1997年以降には、新卒採用の抑制や自然減だけでは景気悪化に対応できなくなり、希望退職や解雇を実施する企業も増加した[9]。したがって、就職氷河期は既存労働者が雇用調整を全く受けなかった時期ではなく、当初の雇用調整が新規採用の抑制に強く偏り、その後に既存労働者を対象とする人員削減へも拡大した時期と位置付けられる[9]。日本企業が既存雇用の維持を新卒採用よりも優先した背景には、解雇法制に加え、長期雇用慣行、企業内訓練、企業別労働組合、株式持合いおよび金融機関を中心とする企業統治など、複数の制度と慣行があったとも分析されている[9]。

1993年10月には有効求人倍率が0.67倍となり、円高不況の影響下にあった1987年7月の0.68倍以来の低い水準となったほか、完全失業率も当時としては高い2.7%となった[19]。

学卒無業率・不本意非正規雇用率・失業率の推移

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日本のように新卒一括採用と企業内での職業能力形成を重視する雇用社会では、不況時の新卒世代は採用削減の影響を強く受け、正社員として就職する者の割合が低下する[7][2]。卒業時の労働市場が悪化した場合には、同程度の学歴を有する者であっても、正社員、非正規雇用、失業または無業のいずれになるかに差が生じ、その影響がその後の職業経歴にも残ると分析されている[7]。

文部科学省「学校基本調査」では、2000年3月の大学卒業者に占める就職者の割合は55.8%、一時的な仕事に就いた者は4.2%、「左記以外の者」は22.5%であった[17]。同調査の「左記以外の者」には、家事手伝い、研究生、専修学校・各種学校・外国の学校への入学者、職業能力開発施設への入所者および進路未定者などが含まれている[17]。このため、2000年3月卒業者の22.5%全員を「卒業時点で進学予定も就職先も決まっていなかった学卒無業者」とみなすことはできない[17]。

2000年3月卒の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査では0.99倍であり、調査開始後初めて1倍を下回った[20]。大学卒業者に占める就職者の割合は2003年に55.0%となり、文部科学省が掲載する期間では2000年の55.8%を下回る最低値となった[17]。

不況期に新卒採用の機会を逃した者は、景気回復後も正社員へ移行しにくく、初職が非正規雇用であった者は、その後も非正規雇用にとどまりやすい傾向が指摘されている[15][7]。日本では、卒業時の景気がその後の雇用に与える影響がアメリカよりも大きいとする日米比較研究があり、その背景として、技能蓄積の機会に恵まれた職場へ入る機会が新卒時に集中していることが指摘されている[21]。

30歳代の男性有業者については、年収が低い区分ほど未婚率が高い傾向がみられ、経済的な理由が結婚行動へ大きな影響を及ぼしている可能性が内閣府から指摘されている[22]。このため、就職氷河期に生じた男性の雇用や所得の不安定化は、婚姻行動にも長期的な影響を及ぼした可能性が指摘されている[22][14]。

2013年以降の雇用情勢の改善に伴い、非正規雇用労働者に占める不本意非正規雇用労働者の割合は、2013年の19.2%から2019年には11.6%へ低下した[23]。不本意非正規雇用労働者の人数についても、統計が開始された2013年から2019年まで、おおむね減少傾向で推移した[23]。

一方、NIRA総合研究開発機構は、若年非正規雇用の増加について、バブル崩壊による一時的な景気変動だけでなく、グローバル化による人件費削減圧力、技術革新による分業および日本型雇用慣行などが複合的に影響した長期的・構造的な問題でもあると指摘している[24]。

日本の完全失業率は、2012年平均の4.3%から2019年平均の2.4%へ低下した[25][26]。有効求人倍率は、2012年平均の0.80倍から2019年平均の1.60倍へ上昇した[27][28]。

内閣府は、アベノミクスの取組の下で景気回復と労働需給の引締まりが進み、完全失業率の低下、有効求人倍率の上昇および正規雇用者数の増加がみられたと評価している[29]。完全失業率や有効求人倍率は労働市場全体の需給状況を示す指標であり、個々の学生の学力や職務能力を直接測定する指標ではない[26][28]。内閣府および内閣府経済社会総合研究所の分析は、就職氷河期と2013年以降の卒業者との就職結果の差を、学生個人の能力差ではなく、学卒時の労働需要と企業の新卒採用行動によって生じる「世代効果」として説明している[7][8]。


「バブル崩壊から金融危機」(「1993-2000年」卒)

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時代日本の」実質GDP成長率の推移

バブル崩壊後から金融危機後の就職が困難[注釈 1]であった時期(1993年[30]から2005年卒までが該当すると考える専門家もいる[31])を指す語。失われた世代(うしなわれたせだい)、ロストジェネレーションと呼ばれることもある。

経過

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詳しい採用状況については#採用状況を参照

バブル崩壊前の就職状況

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第1次石油危機後の1970年代半ばから1985年までは、日本の労働市場における新規求人倍率は 0.9倍から1倍、有効求人倍率は 0.6倍から0.7倍の間で推移していた。しかし1985年9月のプラザ合意と、それに伴う円高をきっかけに、日本経済は低金利政策で内需主導のバブル景気に入り、企業が過剰な設備投資と雇用をおこなったため、有効求人倍率は 1.4倍まで跳ね上がり、バブル景気が本格化した1988年から1992年まで1倍を上回る状況が起きた。

就職氷河期突入

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日本の有効求人倍率

1990年1月より株価や地価などの暴落が起こり、「バブル崩壊」と呼ばれる様相を呈し、翌1991年2月を境に安定成長期(バブル期も含む)が終焉した。景気が後退するなかで、バブル期の過剰な雇用による人件費を圧縮するために、企業は軒並み新規採用の抑制を始めた。さらに、同時期の政界では短期間で枠組が著しく変動する大混乱のさなかにあったため、政府が景気対策に本腰を入れて取り組むことが困難な状況であった。

それでも、1993年を底として景気がゆるやかに回復し、1997年新卒の就職状況はいったんは持ち直したが、消費税引き上げなどの緊縮財政に加え、1997年夏のアジア通貨危機、不良債権処理の失敗から1997年下半期から1998年にかけて大手金融機関が相次いで破綻したことなどで景気が急速に冷え込んだため、再び就職状況が悪化した。この時期は、求人数の大幅削減のほかに、企業の業績悪化や新興国との競争激化によって新卒を企業人として育成する余裕がなくなり、現場に即投入できる「即戦力」を新卒に求める風潮が現れた。これにより、雇用のミスマッチが発生し、単純に求人数が増えても失業率が下がりにくくなり、収入と生活の安定を求めて本人の能力や専門知識とはかけ離れた職場に否応無く入らなければならなくなり、その様な環境下で短期間で解雇に追い込まれる状況が発生した。また、大卒者の就職についても、1996年に就職協定が廃止されて以後は企業が優秀な大学生を囲い込むべく青田買いが発生し、こうした環境の変化により多くの大学生に混乱と過重な心理的負担を与えることとなった。さらに1999年からトライアル雇用が始まり採用後、トライアル雇用期間中であればすぐに解雇しても違法にならず新卒でも即戦力にならないとすぐに解雇される新卒切りや新卒使い捨てが行われるようになった。

このような背景があり、有効求人倍率は1993年から2005年まで 1 を下回り、新規求人倍率は1998年に 0.9 まで下がった。また、バブル期に比べて、新卒者が困難な就職活動を強いられたため、フリーターや派遣労働といった社会保険の無い非正規雇用(プレカリアート)になる者が増加した[32][33]。

就職氷河期の一時終結と既卒者の就職状況

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2000年代半ばの輸出産業の好転で、雇用環境は回復し、2005年には就職氷河期は一旦終結した。新卒者の求人倍率は上昇し、2006年から2008年の3年間は一転して「売り手市場」と呼ばれるようになり、有効求人倍率は2006年から2007年にかけて1を上回った。

13年近くにわたる採用抑制の影響により多くの企業で人手不足となっており、労働環境が苛酷になるブラック企業が増加した。また10年以上続いた採用抑制の結果、従業員の年齢構成が大きくいびつとなり、技術や技能の伝承に支障をきたすようになっていた。

このため企業はそれまでの態度を覆し、こぞって新卒の大量採用に走り、求人倍率そのものは「バブル期並み、もしくはそれ以上」とも言われた。特に金融関係の採用意欲は強く、大手メガバンクの中には一度に数千人採用した例もあった。ただし、氷河期に比べれば採用基準は緩和されたものの、依然として厳選採用の傾向にあり、優秀な人材の応募がないと判断すると定員割れのまま募集を打ち切る企業が相次いだことからがら、優秀な学生がいくつも内定を獲得し入社辞退するのに一苦労した一方で、内定を一つ得るのに苦労した学生もおり「内定格差」なる言葉も生まれた。

しかし新卒者の雇用環境が改善される一方で、既卒者の雇用環境は厳しいままであり、世代間による雇用機会の不均衡を指摘する声が強まった。日本の労働市場における採用慣行は「新卒一括採用」と「年功序列」に偏重しているため、第二新卒を含めた既卒者の就職が著しく不利になっているから、卒業後すでに相当の年数が経った氷河期世代の求職者、特にそれまで正規雇用されたことがない者は、極めて不利な条件下に追い込まれている。

団塊の世代の定年退職による労働力減少への対応についても、大多数の企業は新卒採用、また賃金の安い外国人労働者や定年退職者の再雇用によって補うことがあり、必ずしも氷河期世代の救済にはなっておらず、非正規雇用の割合は2008年まで上がり続けているという状況がある[34]。

採用状況

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OECD各国の全雇用者に占める、不本意パートタイマー割合。2009年には統計開始から最高を記録した

新卒採用

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高卒
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2005年3月高校・中学新卒者の就職内定状況等によれば、規模が500人以上の企業においての求人数は1992年の約34万人をピークに、2004年には約3万人にまで激減しており、また製造業での求人数も1992年の70万人であったのが2004年は8万人に激減した[35]。要因としてはいくつかいわれており、例えば、大手企業が大卒者等の高学歴化へのシフトなどが指摘されている[36]。

新卒時は好景気であった団塊ジュニアの高卒者もまた、1997年のアジア通貨危機や1999年の産業再生法施行後には人員削減により不安定雇用に追い込まれた者も少なくない[37]。高校に来る求人が大幅に減ったため学校側は、消費者金融やパチンコ屋といったかつては考えられなかった職種の求人も受け入れるようになった。

ただし、就職難を背景に次第に大学などへの進学率が増加し、高卒での就職率が減少した[38]こと、また、大学生などとは異なり、就職希望の高校生で就職できなかった者は、専門学校などへの進学に進路を変更した者も多かったため、大卒などの就職難に比べると、高校新卒者の就職難はあまり深刻視されなかったという面もある。

大卒
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大卒者の雇用環境もこの時期に厳しく悪化した。リクルートワークスの調査によれば、1991年をピークに求人倍率は低下傾向で推移し、2000年にはついに1倍を下回った。多少の変動はあるものの、2002年を谷とする景気の回復に伴い求人数が増加するまで、長期間にわたって雇用環境は厳しい状況となった。

その結果就職率も惨憺たる状況となった。学校基本調査によれば、1991年の81.3%をピークに低下を続け、2003年には55.1%(専門学校の就職率は76%)と最低記録を更新し、就職氷河期の中でも最も就職率の低い時期となった。2000年には大学卒業者の22.5%が学卒無業者であった[39]。

また、この1990年代以降には、幸運にも新卒や新卒相当で正社員の地位にありつけたとしても、たまたま求人があった全く畑違いの業種に飛び込まざるを得ない状況もあり、本人の志望や専門とはかけ離れ、大学の専門教育で身に付けた知識や能力が役に立つ機会があるとは到底思えない(不完全雇用)[注釈 2]、本意とは到底考え難い仕事しか選ぶ事ができなかった者や、総合職や専門職の新卒の正社員として就職できぬまま単純労働者や非正規雇用となった高学歴者が、様々な業種の末端で見られるようになった。就職難のため、大学卒業後に専門学校などの教育機関にさらに通う(ダブルスクール)者も増え[40]、意図的に大学卒業の手続きを取らずに留年して就職活動を継続する「就職留年」をする者もいる[41]。

中途採用

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中途採用は新卒以上に厳しい状況となった。企業が「即戦力」を要求するために、新卒時に正社員へと就職できなかった者の多くが、その後も、正社員でない仕事に就職したり、非希望型ニートと呼ばれる就職活動自体を断念したりする者(就業意欲喪失者)も現れた。離職者についても、十分なスキルを蓄積できなかった者は再就職が困難な状態となった。また、雇用政策は新卒に重点をおくために、中途採用の方の雇用対策まで手が回らないこともあり、さらに年齢や性別を理由に門前払いされるケースもある。

人手不足が深刻な企業や団体(農業や福祉業界など)では、特に、即戦力としてのスキルを持たない就職氷河期世代のフリーターやニートの雇用を行っている企業や団体も存在している。

有効求人倍率については、1993年以降徐々に減少していき、1999年には0.48を記録した。しかし、その後徐々に上昇し、2006年には1.06を記録するまでに回復した。しかし、その後急激な減少に転じ、2009年には、1999年に前回の就職氷河期で最低を記録した0.48をさらに下回る0.47となった。そして、2009年7月の完全失業率は国全体で5.7%に、有効求人倍率は0.42倍に下がった。そのなかでも、25歳-34歳(1975年-1984年生まれ)の完全失業率は6.1%に、15歳-24歳(1985年-1994年生まれ)の完全失業率は9.6%にのぼった(2009年4月)[42]。その後の求人倍率は上昇傾向であり、2011年は0.65であった。

就職氷河期後の新社会人の就職観の変化

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バブル景気前後に生まれ、バブル崩壊後の不景気と日本(を含む先進諸国)の経済衰退という時代に少年期を送ったポスト氷河期世代は、就職難に直面する氷河期世代の後姿をみて育ったため、安定志向や大企業志向が強まっている[43]。そのため、中小企業は新卒が集まらない状況に直面している。2005年放送のNHK『日本の、これから』のスタジオ生討論においても、中小企業経営者らが、「町工場は人手がまったく足りない」、「求人を出している」と語っていた。また、大手や中堅企業でも飲食や介護など不人気業種は新卒の確保に苦戦している。

社会の構造と政治

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プラザ合意からの円高で、バブル崩壊以前からすでに日本における労働力のコストは高騰していたが、日本企業はバブル景気による収益で高コスト体質による不利をカバーできていたため、旧来的な雇用形態を変えておらず、それゆえ高価な労働力を過剰に抱えていた。それがバブル崩壊を境にいよいよ維持できなくなったことで、リストラによる余剰人員の削減と雇用柔軟性の導入が必要となった。

この動きの一環として、1999年には、小渕恵三・小沢一郎の「自自公」内閣によって派遣労働が製造業を除いて原則自由化され(12月1日)、企業が人員を削減する程法人税を減免する「産業再生法」が制定された。この「産業再生法」の背景が、1995年に日経連(当時)が発表した「新時代の『日本的経営』」だとの意見がある。この「新時代の『日本的経営』」では、労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」に分けており、派遣労働者やフリーターは「雇用柔軟型グループ」に当たる。

「新時代の『日本的経営』」を支えたとみられる社会像として、小沢一郎の「普通の国」(1993年5月20日刊行)、小泉純一郎の「聖域なき構造改革」(2001年4月26日発足)が挙げられる。これらの路線は、「アメリカ型社会の模倣」、「『わずかな強者が主導権を握り、大多数の弱者が貧困と死におびえる階層社会』となる[44]」などと批判されることがある。

前述の通り、1999年12月1日には小渕恵三・小沢一郎の「自自公」内閣によって派遣労働が製造業以外を除いて原則自由化され、2004年3月1日には小泉純一郎内閣によって製造業への派遣労働が解禁され、派遣労働者は爆発的に増大した。ただし、労働者派遣法の改正審議の当時、偽装請負が社会問題化のきざしをみせていた。派遣労働者激増の背景には、偽装請負業者が一般派遣へ流れ、それまで派遣労働者としてカウントされていなかった分の増加が相当の割合で寄与しているという面もある。

ITバブル崩壊からリーマン・ショック(2001-2014年卒)

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「ポスト団塊ジュニア#就職問題」、「ゆとり世代#就職活動」も参照

2001年卒(就職活動は2000年)から2014年卒ごろは、ITバブル崩壊後からリーマン・ショック後の特に大学の新卒者の就職が困難になった時期である[45]。

経緯と概要

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詳しい経済状況については(1999年-2008年)「ITバブル崩壊」、「世界金融危機(リーマン・ショック)」などを参照

2005年に就職氷河期が一旦終結後、いざなみ景気後半時の、2006年から2008年まで続いた「売り手市場」であったが、世界金融危機やリーマン・ショック等の影響により景気は後退し、就職状況は一転した。

就活時期には売り手市場のはずであった2009年春卒業予定の学生の内定が取り消されるという事態が続出し[46]、さらに、2010年大学卒業者の就職率は前年卒を7.6%下回る60.8%まで減少し[47]、1948年の調査開始以来最大の下げ幅を記録した[48]。このように一時的な就職氷河期であったうえに、2014年になると有効求人倍率も1を超える売り手市場となったこともあり[49]、この期間の就職氷河期はあまり注目されず、日本政府も前述にある1993-2005年卒の就職氷河期の支援を重点課題にしている[50]。

就職状況

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2000-2010年卒[51]は就職氷河期であるといわれていたものの、前回の就職氷河期と比べれば、就職率や求人数、求人倍率も高いということもあり[注釈 3]、必ずしも就職氷河期だとは言い切れないという意見もある[52]。2010年には公認会計士試験合格者約2,000人のうち700人が就職できず、浪人比率は過去最悪の4割に達する程であった[53]ものの、2000年代前後と比較すれば、回復はしている。

採用状況の変化

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将来の成長性に限界のある日本(先進国)よりも海外の新興国に活路を求める企業は、グローバル戦略での海外への展開にあたって外国人労働者の採用を年々増加させており[54]、単なる求人数の減少のみならず、外国人との競争という前回の氷河期にはなかった逆風現象も起きている。その他にも大学進学率が5割を超え、大学新設などにより大学の数が増加して大学生の数が増加したこと、学生の大手志向により大企業に就職希望者が殺到していて逆に中小企業には就職希望者が集まらないこと、企業が優秀な学生を採用する厳選採用を方針としていることなどが上げられる[55]。

また、就職氷河期の影響で就職できなかった者の対策として、厚生労働省は卒業後3年以内を新卒扱いにする指針を打ち出した[56]。なお、2015年卒で既卒者の受付をした企業は全体の66.0%であり、実際に既卒者に内定を出した企業は14.2%であった[57]。

また、前回の氷河期から続いている採用活動の早期化が行き過ぎ、学業が疎かになりがちなことや海外留学などの活動に手を出しづらくなっていることへの反省から、日本貿易会が採用活動の開始時期を遅らせること検討したのを皮切りに[58]、経団連などでも同様の検討がなされた。経団連は、2011年卒以降時期を変更する措置をとり続けてきたが、採用難が続く現状ルールを徹底することが困難となり21年卒以降のルールの撤廃することとした[59][60]。

留意点

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高度経済成長期との違い

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就職氷河期はグローバル化による途上国との価格競争の始まり、IT化による労働構造の変化など、日本企業にとって様々な悪材料が重なった時期であった[61]。高度成長期は、競争相手は国内の同業他社または先進国の企業であり、価格競争せずにも品質や性能で勝負することもできた[62]。グローバル化以降は、「新興国や発展途上国」との価格競争が最も重要になっており、生産性と比較して高い人件費を負担できない企業では、非正規雇用の増加、賃金カーブのフラット化が起きている[62]。

氷河期の中の売り手市場

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就職氷河期では、ほとんどの業種で採用状況が悪化した。例えば慢性的な人手不足で求人倍率が高く売り手市場として推移していた流通業界でも2000年では3.19倍[63]と落ち込み、これは氷河期が収束したとされる2006年の5.29倍、2007年の6.38倍、2008年の7.31倍、2009年の7.15倍などに比べると明らかに低い水準に留まっている。全体を通してみると、2000年の大卒求人倍率は1.0倍を割り込み、学生数が年々増加している中にもかかわらず、文科系求人は前年より 1.2 万人減少し21.4 万人になった。理科系はさらに深刻で、前年より 8.2 万人の大幅な減少の結果19.4 万人の求人数に留まり、その落ち込みの激しさが指摘されている[64]。また、従来は就職難の影響を受けないといわれていた体育会系運動部に所属する学生でさえ、不況の影響で実業団の廃部が相次いだこともあって、就職氷河期においては不採用になる学生が続出するなど、そちらの方も就職難の影響は免れなかった。

売り手市場と言われていた高卒においても内定率の落ち込みは顕著で、バブル期の1990年、1991年では99.2%で推移していたものが、2000年には92.1%、翌年に少し持ち直して92.8%になるものの、2002年には89.7%という落ち込みを記録し、大卒よりも高い内定率を維持していたはずの高卒の状況の方が悪化するという逆転現象が起こった[65]。その原因には、従来から高卒者の採用が多く過去の不況下でも高卒の高い内定率を維持していた要因の一つだった中小企業が、1997年のアジア通貨危機以後の金融機関による貸し渋りや貸し剥がしの影響をまともに受けて倒産や廃業に追い込まれるケースが全国的に続出したため、それに伴って高卒の求人が激減したことが大きいといわれている。さらに当時は「キレる17歳」に代表される少年犯罪の増加、中高生の規範意識や士気・意欲の低下が社会問題になっていたこともあり、それが高校生そのもののイメージ低下に繋がり、企業も高卒の採用を手控えたという面もあった。因みに2003年高校新卒者(1984年度生まれ)の有効求人倍率は2002年7月末時点で0.50、2003年3月末時点においても1.21といずれも過去最低を記録した。2000年代前半においては、不況の影響を受けやすい普通科の教育困難校だけでなく、売り手市場で推移していたはずの工業高校ですら求人数の減少や内定率が落ち込み、採用状況は悪化した。

また同時期に定年延長や再雇用の義務化の政策が進行したこともあって、公務員や教職員の採用数も絞られる結果になっていた。これらの状況は公務員を含むあらゆる業種に及んだため、氷河期世代において就職難の影響を受けていないセクターは殆どないと考えて良い。

さらに、この時期は制度変更による就職活動の混乱も見られた。特に、1996年の就職協定の廃止から内定時期が早まる傾向が顕著化し、たとえば1998年には10月1日時点の内定率は73.6%、12月1日時点で84.8%と、団塊の世代の穴埋めで売り手市場と言われた年(2007 - 2009年卒)よりも高い内定率を一時的に出しているもの、最終的には93.3%と昨年の94.5%よりも、さらに1.2ポイント低い数値に落ち込んでいる[66]。

同時期に就職活動のインターネット活用も本格化しており、それまで売り手市場だったセクターの就職活動も含めて、この就職氷河期において就職活動の状況は大きく様変わりした。

大都市と地方

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大都市よりも地方では有効求人倍率が低い傾向にあり、バブル景気の時期や就職氷河期が一時終結した時期でも、北海道や九州では有効求人倍率が1を上回らなかったという現状がある。

地域別有効求人倍率[67]
地域1985年1990年1995年2000年2005年2009年
(全国)0.681.400.630.590.950.47
北海道0.390.650.540.460.570.37
東北0.461.220.730.590.680.35
南関東0.801.570.480.551.110.53
北関東・甲信1.262.330.910.861.090.45
北陸0.841.921.040.701.060.50
東海1.272.270.780.771.410.50
近畿0.591.200.490.480.920.49
中国0.751.740.880.721.100.58
四国0.581.280.820.660.840.57
九州0.350.930.540.460.670.40

求人倍率の数値と実状とのギャップ

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一部の中小企業などで営業職などで新卒者を大量採用して採用後すぐに飛び込み営業や電話での勧誘をやらせ、契約が取れなかったりノルマが達成できない者を試用期間終了後に解雇し、わずかな売上成績上位者だけを残すといった「新卒切り」「新卒使い捨て」が行われていた。なかには大量に内定を出しておきながら、大学の卒業式が終わった頃の3月下旬に内定者に対し「入社前研修」と称して過酷な「しごき」をさせ、それに耐えて企業側の定めた厳しい基準をクリアしたわずかな者だけを残し、それ以外の者(内定者側の事情で「研修」に参加しなかった者を含む)に対しては入社式の前日までに内定を取り消すといった「内定切り」が行われる企業さえあった。

就職氷河期が再来したと言われる2010年卒の求人倍率は1.64倍であり、就職状況が良くなったといわれる2006年卒の1.60倍を上回ったにもかかわらず、2010年卒が就職難であると指摘されるのは、求人は出しても即戦力になり得る人材がいなければ採用者を出さない企業が増えているためだと考えられる[68]。また、企業の採用計画が軒並み出そろった後に急激な景気の変動が生じ、求人数と実際の採用数に乖離が出たためだと指摘する者もいる[69]。このような現状があるため、好況時と不況時とで単純に求人倍率の比較はできない。

内定率や就職率の数値

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就職率に関するニュースなどで使われる新卒の就職内定率は、毎年90%を超えているが[66]、これは、就職を希望する者のうち内定が確定した者の割合だからである。そのため、大学院、就活塾、予備校等へ進学を希望した者や、就職活動を諦めた者は母集団から除外され、内定率は90%以上になる[70]。なお、就職率は卒業者数のうち、就職した者の割合であるため、留年(就職留年も含む)したものは母集団に含まないが、卒業した者は進学した者も就職を諦めた者も母集団に含まれる。

正社員・非正規社員の区分

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学校基本調査(文部科学省)の統計では、2011年卒までは職に就いた者について、「就職者」と「一時的な仕事に就いた者」に区分していた。しかし、2012年卒以降「就職者」を「正規の職員等」と「正規の職員等でない者」に区分するようになった。それぞれの区分は以下の通りになる[71]。

  • 正規の職員等:雇用期間の定めがない者
  • 正規の職員等にない者:1年以上の雇用期間の定めがあり、一週間の所定の労働時間が30 - 40時間の者
  • 一時的な仕事に就いた者:1年未満の雇用期間の者、または1年以上の雇用期間の定めがあるが、一週間の所定の労働時間が30時間未満の者
  • 就職者:正規の職員等と正規の職員等にない者の合計

資料

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就職氷河期を挟んだ時期の雇用関連指標を以下に掲載する。

  • ■ : 就職氷河期(1993年から2005年)
  • ■ : 新就職氷河期(2010年から2013年)

求人倍率

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有効求人倍率の推移[67]
年有効求人倍率有効求人数有効求職者数就職件数
1991 1.401,805,6311,290,153106,709
1992 1.081,553,3331,433,026108,284
1993 0.761,275,8201,669,074111,747
1994 0.641,186,4631,848,098120,628
1995 0.631,233,4491,954,365126,684
1996 0.701,393,6891,980,970128,680
1997 0.721,493,0942,070,944132,306
1998 0.531,265,2162,394,818137,300
1999 0.481,206,8892,529,993144,177
2000 0.591,472,5962,506,804155,421
2001 0.591,534,1822,597,580157,206
2002 0.541,486,4842,768,427168,366
2003 0.641,670,0652,596,839176,143
2004 0.831,956,3292,368,771178,754
2005 0.952,163,1642,271,675176,954
2006 1.062,294,8332,164,014178,075
2007 1.042,179,8022,094,404170,598
2008 0.881,831,6642,091,492155,902
2009 0.471,308,8852,762,480166,554
2010 0.521,403,6342,705,935179,304
2011 0.651,674,2232,593,291180,328
2012 0.80
2013 0.93
2014 1.09
大卒の求人倍率の推移[64]
年卒求人数求職者数求人倍率
1991 840,400293,8002.86
1992 738,100306,2002.41
1993 617,000323,2001.91
1994 507,200326,5001.55
1995 400,400332,8001.20
1996 390,700362,2001.08
1997 541,500373,8001.45
1998 675,200403,0001.68
1999 502,400403,5001.25
2000 407,800412,3000.99
2001 461,600422,0001.09
2002 573,400430,2001.33
2003 560,100430,8001.30
2004 583,600433,7001.35
2005 596,900435,1001.37
2006 698,800436,3001.60
2007 825,000436,9001.89
2008 932,600436,5002.14
2009 948,000443,1002.14
2010 725,300447,0001.62
2011 581,900455,7001.28
2012 559,700454,9001.23
2013 553,800434,5001.27
2014 543,500425,7001.28

卒業後の進路

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大卒後の進路の推移[72][73][74]
年卒卒業者数大学院等
進学者数
就職者数一時的な職に
就いた者の数
大学院等
進学率
就職率一時的な職に
就いた者の割合
1990 400,10327,101324,1643,6456.881.00.9
1991 428,07930,028347,8623,4827.081.30.8
1992 437,87833,381350,0703,9417.679.90.9
1993 445,77437,318339,9015,4948.476.21.2
1994 461,89843,890325,4477,7099.570.51.7
1995 493,27746,329331,0119,2809.467.11.9
1996 512,81448,218337,82010,5149.465.92.1
1997 524,51247,906349,27110,7389.166.62.0
1998 529,60649,706347,56211,9579.465.62.3
1999 532,43654,023320,11916,02310.160.13.0
2000 538,68357,663300,71822,63310.755.84.2
2001 545,51258,662312,47121,51410.857.33.9
2002 547,71159,676311,49523,20510.956.94.2
2003 544,89462,251299,98725,25511.455.14.6
2004 548,89764,610306,41424,75411.855.84.5
2005 551,01666,108329,12519,50712.059.73.5
2006 558,18467,298355,82016,65912.163.73.0
2007 559,09067,175377,77613,28712.067.62.4
2008 555,69067,372388,48011,48512.169.92.1
2009 559,53968,422382,43412,99112.268.42.3
2010 541,42872,539329,13219,33213.460.83.6
2011 552,35870,465340,14319,10712.861.63.5
2012 558,69265,683357,01119,56911.863.93.5
2013 558,85363,334375,85916,73611.367.33.0
2014 565,57363,027394,93714,51911.169.82.6
大卒の就職(正規・非正規)の推移[72][73][74][注釈 4]
年卒卒業者数就職者数正規職員等
就職者数
非正規職員等
就職者数
就職率正規職員等
就職率
非正規職員等
就職率
2012 558,692357,011335,04821,96363.960.03.9
2013 558,853375,859353,12522,73467.363.24.1
2014 565,573394,768372,50922,25969.865.93.9
高卒(全日制課程・定時制課程)後の進路の推移[72][73]
年卒卒業者数大学等
進学数
専修学校
進学数
就職数大学等
進学率
専修学校
進学率
就職率
1990 35.3
1991 34.4
1992 1,807,175591,520296,249599,07232.716.433.1
1993 1,755,338606,304290,517534,85734.516.630.5
1994 1,658,949598,959275,562459,28036.116.627.7
1995 1,590,720597,986265,892407,91437.616.725.6
1996 1,554,549605,619262,404377,61939.016.924.3
1997 1,503,748611,431252,998352,96340.716.823.5
1998 1,441,061611,841236,841327,67242.516.422.7
1999 1,362,682602,078228,390275,85944.216.820.2
2000 1,328,902599,747228,672247,07445.117.218.6
2001 1,326,844598,849232,625244,50545.117.518.4
2002 1,314,809589,674236,791224,69244.818.017.1
2003 1,281,334571,959241,931212,86344.618.916.6
2004 1,235,012559,732237,264208,90345.319.216.9
2005 1,202,738568,336228,858208,74647.319.017.4
2006 1,171,501578,094213,096210,43949.318.218.0
2007 1,147,159587,393193,074212,60051.216.818.5
2008 1,088,170574,990167,010206,58852.815.319.0
2009 1,063,581573,037156,221193,56353.914.718.2
2010 1,069,129580,578170,182168,67354.315.915.8
2011 1,008,492548,886161,753160,27254.416.016.3

内定率

[編集]

内定率とは、就職希望者に対し内定を得た人が占める割合で、「内定者数 ÷ 就職希望者数 × 100」で算出される。就職を希望しない者や就職を諦めた者は、母集団に含まれない。また、就職希望者数のうち就職が決まった者の割合ではない。

大卒の内定率(%)の推移[66]
年卒10月1日
現在
12月1日
現在
2月1日
現在
4月1日
現在
1996 69.882.093.5
1997 69.983.594.5
1998 73.684.893.3
1999 67.580.392.0
2000 63.674.581.691.1
2001 63.775.282.391.9
2002 65.076.782.992.1
2003 64.176.783.592.8
2004 60.273.582.193.1
2005 61.374.382.693.5
2006 65.877.485.895.3
2007 68.179.687.796.3
2008 69.281.688.796.9
2009 69.980.586.395.7
2010 62.573.180.091.8
2011 57.668.877.491.0
2012 59.971.980.593.6
2013 63.175.081.793.9
2014 64.376.682.994.4

就職戦線状況

[編集]

下の表は、人事担当者が答えたその年の就職戦線の状況である。赤い部分がその年で多く答えた分類(氷河期、どちらでもない、売り手市場)である。

就職戦線状況(%)の推移[75][76][77][78][79][80]
年卒氷河期どちらでもない売り手市場
超氷河期氷河期まだ売り手市場かなり売り手市場
201016.948.730.53.60.3
201112.551.829.65.20.8
201211.751.830.94.70.8
201311.039.341.36.81.8
20147.137.846.66.61.9
20151.911.861.919.45.0
  • 注意点
    • 有効求人倍率の各用語の詳細については、求人倍率を参照されたい。
    • 1990年以前有効求人倍率の推移については求人倍率の推移を参照されたい。
    • 就職内定率については、特に2010年では近年増えている#新卒採用も通常の留年に含めて扱っているので、実際の「就職活動した人のうち就職が決まった割合」とは差があること、過去の就職内定率とは完全には数値比較ができないことに注意する必要がある。
    • 就職者には、就職しながら進学した者も含む。

氷河期世代

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日本の世代の変遷

日本の雇用システムは、非不景気時は新卒未経験者でも就業がしやすく、若年失業率を諸外国よりも圧倒的に低くしているプラス面があるが、不景気に特定世代(不景気時期に新卒世代)が雇用調整(就職氷河期)を請け負うマイナス面がある[81]。この就職氷河期時に就職活動を行った世代のことを「氷河期世代」と呼ぶ[82]。内閣府は2019年6月21日の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2019」において[83]、「(2019年)現在、30代半ばから40代半ば」と定義しており、厚生労働省は2019年8月30日の発表において、「1993年(平成5年)から2005年(平成17年)に学校卒業期を迎えた世代(33歳-44歳)」を指し、中心層は35歳から44歳と説明している[84]。2023年(令和5年)4月1日現在の「30代後半から40代後半(36歳から48歳)」は、概ね1974年(昭和49年)度から1986年(昭和61年)度生まれ(但し、それは高校卒業時に就職した者を基準にした場合)に相当する。大学卒業者の場合は4歳ほど上にずれるので、氷河期世代の範囲は2023年(令和5年)4月1日現在で40歳から52歳(概ね1970年〈昭和45年〉度から1982年〈昭和57年〉度生まれ)。2026年10月13日現在、 最年長と最年少は1993年3月31日(33年前)四年生大学卒業の1970年4月2日(56歳)~ 2005年3月31日(21年前)高等学校卒業の1987年4月1日(39歳)で、30代後半から50代後半。

その他、「貧乏くじ世代」(香山リカ)、「ロストジェネレーション」(『朝日新聞』が2006年8月及び2007年1月5日付28-29頁の特集で使用)、「棄民世代」(藤田孝典)などと呼ばれることもある。氷河期世代には安定した職に就けず、派遣労働者やフリーターなどの不安定労働者(プレカリアート)が非常に多い。『反貧困』の著者である湯浅誠によると、負傷で解雇された氷河期世代の派遣労働者は「夢は自爆テロ」と言い放ったという[85]。

また、「氷河期世代」は「割を食った世代」の意味とも等しく、日中戦争、アジア・太平洋戦争期に徴兵される年齢層に当たった大正生まれの戦争体験者は、「私たちの世代が一番戦争の割を食った」と口にした「人生25年」と言われた時代でもあったため、元祖の氷河期世代と言える。因みに彼らはちょうど氷河期世代の祖父世代でもある。

2026年現在、初任給が40万円を超える企業が増えているが、50代頃のサラリーマンは低賃金となってきている[86]。

氷河期世代の区分と時代背景

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日本の人口ピラミッド(世代を注記)

高度経済成長期の終盤から安定成長期にかけて生まれた世代で、概ね団塊ジュニア、ポスト団塊ジュニアに分かれる。

団塊ジュニアは、1990年代前半までに高校を卒業し、好景気や昭和の余韻があった時代を経験している。ポスト団塊ジュニアが学生であった1990年代中期〜後期は平成不況真っ只中であり、好景気を全く知らないまま「就職難は織り込み済み」の時代に学生生活を送った。内閣府及び厚生労働省は、ポスト団塊ジュニアを就職氷河期世代の中心層と捉えており、当世代に対し、就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)を掲げている[83][84]。ただし、内閣府及び厚生労働省による氷河期世代の世代定義は高卒者を基準にしているため、大卒者との間には4年のタイムラグがある。

氷河期世代の社会問題

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日本の合計特殊出生率(TFR)と出生数(1000人単位)の推移

就職活動が長期化するうちに引きこもり状態になってしまったものもいる。労働力調査基本集計及び詳細集計(2018年平均)によると、就労せず、家事も通学もしていない者が約40万人(35歳から44歳人口の2.4%)にのぼる[84]。また、氷河期世代の職が不安定であったことによって、未婚化・晩婚化が起き[87]、20代の出産の減少[88]と30代の出産の増加[89]により分散されている。2006年から2008年にかけて合計特殊出生率を増加させた一因として、氷河期世代である団塊ジュニアの出産がある。その頃は、氷河期世代に対するメディアの目も厳しく、結婚しない氷河期世代について上に挙げた低収入の事を考慮せずに2004年6月24日の朝日新聞は「まず、男性が魅力を示せ」と男性の行動が少子化を招いているとの記事を載せた。

1980年代前半生まれは、収入に見合った消費をしない心理的な態度を持っていることから「嫌消費世代」とも呼ばれる[90]。生活を65歳以上になった親の年金に依存するパラサイト・シングルもおり[91]、親子の年齢から当初は「7040問題」とも呼ばれていたが、そのまま10年が経ち「8050問題」と呼ばれるに至った。更にマスコミでは氷河期世代の男性の給料が低いのを「元気がない」などと本人の自己責任として報じ、その社会的構造に目を向けることはなかった。(中日新聞2011年1月13日記事)

2019年6月1日に発生した元農水事務次官長男殺害事件は、かつて農林水産事務次官を務めた元エリート官僚である76歳の父親が、44歳無職の息子を殺害した事件である。ほとんど引きこもり状態で両親に暴力をふるう息子の今後を悲観した父が、息子に引導を渡した事件として話題となったが、背景には引きこもりの高齢化(いわゆる8050問題)があった。

これに対し、宝塚市は、2019年時点で「就職氷河期世代」とされる30代半ばから40代半ばの人を対象にした正規職員の採用試験を実施した。この宝塚市の採用試験には、全国から1816人の応募があり、募集枠は3人だったが、上位4人の成績がほぼ同じであったとして、市は採用数を1人増やし、結果的に4人を採用した。倍率が400倍以上であったことが話題となり、就職氷河期世代を対象とした職員採用はその後、他の自治体や国でも実施された。

2020年代には就職氷河期世代の子供が大学卒業を迎え就職活動を始めたが、自身の経験から子供を安定した企業に就職させたいという意向が強いため、企業では対策として親向けの企業説明会などを行っている[92]。また業界大手だが一般には認知度が低いBtoB企業は、親世代へのアピールとしてテレビCMを流すようになったとされる[92]。

氷河期世代の前後の世代

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氷河期世代の前の世代であるバブル世代(1965年4月2日~1970年4月1日生まれ)も、団塊ジュニアの高卒者と同様に、1997年のアジア通貨危機や1999年の産業再生法施行後による人員削減により不安定雇用に追い込まれた者も少なくない[37]。

氷河期世代の後の世代(大卒者の場合は1983年4月2日以降生まれ、高卒者の場合は1987年4月2日以降生まれ)は、2008年のリーマンショック後及び2011年3月11日の東日本大震災の後の一時期を除き売り手市場が続いており、団塊の世代(1947年4月2日~1950年4月1日生まれ)が全員65歳以上になったのもあり、2018年3月の大卒の就職率(卒業者のうちの就職者の割合)は77.1%と、バブル期並みの就職率となっている[93]。

しかし、2020年に入ると新型コロナウイルス感染症の流行による経済・雇用環境の悪化に伴い、2021年新卒者の就職環境はそれまでの売り手市場から一転して、前年に比べ求人倍率や就職内定率が大幅に低下しており、特に航空・観光・旅行・宿泊・飲食などといった業種からの求人が激減し、2021年卒から2022年卒にかけてはそれらの業種を志望する者が多い女子学生を中心に就職難となったこともあり、新たな就職氷河期の再来が懸念されていた。だが、2022年の秋以降はコロナ禍も沈静化したためその懸念はなくなり、2024年卒以降は再び売り手市場となった。

公的な氷河期支援事業

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集中支援プログラムの創設

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政府は2019年6月に「就職氷河期世代支援プログラム」を策定し、2020年度から2022年度までの3年間を集中支援期間とした。[94]支援対象には、不本意ながら非正規雇用で働く者、就業を希望しながら長期にわたり求職活動をしていない者、ひきこもりなど社会参加に向けて段階的な支援を必要とする者が想定された。[95]

政府は、就労や社会参加を促進する中で、就職氷河期世代の中心層における正規雇用者を3年間で30万人増加させることを目標とした。[94][95]新型コロナウイルス感染症の流行による雇用情勢への影響などを踏まえ、政府は2023年度と2024年度を「第二ステージ」と位置付け、支援期間を2年間延長した。[95]

就職・正社員化支援

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厚生労働省は全国のハローワークに就職氷河期世代向けの専門窓口を設置し、担当者による職業相談、求人開拓、職業紹介、職業訓練への誘導および就職後の定着支援を一体的に実施した。[95]2020年4月から2024年10月までに、ハローワークの職業紹介を通じて正社員として就職した者は52万2,749人とされている。[95]

事業主を対象とする「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」では、一定の要件を満たす就職氷河期世代を正社員として雇用した事業主に助成金が支給された。[95]同コースの2020年4月から2024年10月までの雇用登録者数は3万5,376人であった。[95]

「トライアル雇用助成金」では、就職氷河期世代を一定期間試行的に雇用し、労働者と企業の適性を確認した上で常用雇用への移行を支援した。[95]2020年4月から2024年10月までの試行雇用修了者は4,539人で、このうち3,187人が常用雇用へ移行した。[95]

非正規雇用労働者を企業内で正社員へ転換する事業主を対象とする「キャリアアップ助成金」の正社員化コースでは、2020年4月から2024年10月までに13万6,791人が正規雇用等へ転換された。[95]これらの事業は対象年齢や要件がそれぞれ異なり、複数の支援を利用した者が重複して集計されている可能性がある。[95]

地域における支援と社会参加

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政府は「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」を設け、地方公共団体が行う就職相談、職業訓練、企業とのマッチング、社会参加およびひきこもり支援などを財政的に支援した。[96]2020年度から2023年度までの交付金事業による就業者数は3万2,378人で、このうち正規雇用者は1万5,647人であった。[96]同期間に社会参加へつながった者は延べ1万8,475人とされた。[96]

政府は、都道府県や市町村、労働局、経済団体、労働団体、社会福祉協議会、ひきこもり地域支援センターなどによって構成される地域プラットフォームの整備も進めた。[96]ひきこもり支援推進事業を実施する市区町村は、2020年度当初の81自治体から2023年度末には265自治体へ増加した。[95]

公務員の中途採用枠

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政府は2020年度から2024年度まで、「国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」を実施した。[97]同試験では、各府省による第2次選考を経て採用内定を得た合格者が5年間で878人となり、各年度150人以上とされた採用目標を毎年度上回った。[97]

地方公共団体でも、就職氷河期世代を対象又は考慮した中途採用試験が実施された。[96]内閣官房の集計によると、2020年度から2023年度までに地方公共団体が採用した就職氷河期世代は1万4,299人であった。[96]

支援の効果と統計

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政府が総務省の労働力調査を用いて2019年平均と2023年平均の就職氷河期世代の中心層を比較した集計では、正規雇用者が8万人、会社などの役員が13万人増加し、合計で21万人増加した。[95]同じ比較では、不本意非正規雇用者が9万人、非労働力人口が30万人減少した一方、非労働力人口のうち無業者は2万人増加した。[95]


中高年となった氷河期世代支援

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政府は2025年度から、就職氷河期世代だけを年齢で限定する施策の一部を、同様の就職上の困難を抱える中高年層を含む支援へ移行した。[95]ハローワークの専門窓口や限定・歓迎求人は、就職氷河期世代を含むおおむね35歳から59歳までの中高年層を対象とする制度へ拡張された。[98]

2025年4月には「就職氷河期世代安定雇用実現コース」を拡充した「中高年層安定雇用支援コース」が新設された。[98]同コースは、35歳以上60歳未満で、過去の正規雇用期間が短く、正規雇用への就職が困難な者を雇い入れた事業主に対し、中小企業では1人当たり60万円、大企業では50万円を支給する制度である。[98]

地域就職氷河期世代支援加速化交付金は、2025年度から「社会参加活躍支援等孤独・孤立対策推進交付金」へ統合され、就労、リ・スキリング、社会参加およびひきこもり支援の事業が引き継がれた。[95]

新たな就職氷河期世代等支援プログラム

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政府は2025年6月、従来の就労支援に加えて社会参加や高齢期の生活を含める「就職氷河期世代等支援プログラムの基本的な枠組み」を決定した。[99]

2026年4月には、2028年度までの約3年間を集中取組期間とする「新たな就職氷河期世代等支援プログラム」が策定された。[100]同プログラムは、「就労・処遇改善に向けた支援」「社会参加に向けた段階的支援」「高齢期を見据えた支援」の3分野を柱としている。[100]

就労・処遇改善では、相談、リ・スキリング、求人開拓、正社員化および職場定着を支援し、社会参加では、ひきこもり、生活困窮、孤独・孤立など複合的な課題に応じた段階的支援を行うこととされた。[100]高齢期を見据えた支援では、年金、資産形成、健康、介護、住まいおよび単身高齢期の生活に関する相談・情報提供を強化することとされた。[100]

テレビ番組

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注釈

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  1. ↑ 大企業や中堅企業への就職は大不況による人員削減のため困難であったが中小企業や零細企業への就職は人気がなく人手不足のため、あまり困難ではなかった。
  2. ↑ 例えるならば、政治経済学部を卒業した者が、新卒で介護福祉の業種に就職し、その現場で介護福祉士の国家資格の取得を資格試験の受験に必要な「実務経験」が全く無い状態から目指す、などといった状況である。
  3. ↑ 新卒採用が厳しいのは雇用のミスマッチが生じているためだという意見がある。
  4. ↑ 2012年卒以降正規非正規の統計が公表されるようになった。

出典

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関連項目

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関連文献

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外部リンク

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