中年の危機

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中年の危機とは、中年期特有の心理的危機、また中高年が陥る鬱病不安障害のことをいう。ミッドライフ・クライシス(Midlife crisis)の訳語であり、ミドルエイジ・クライシス(Middle age crisis)とも表記されるが、 英語圏では前者のほうが一般的である。

用語の混同[編集]

心理学界では、大多数の大人が経験する人生の一つの段階として研究が進められ、1980年代から「中年の危機」という用語が用いられるようになった。

しかし、中年期を迎えた個人が経験するアイデンティティや自己肯定感の変化、すなわち中年期の心理的危機と中年期にありがちなストレス要因とが混同される事が多い。本来の用法では前者を指すが、「中年の危機」の語は後者にも用いられる事がしばしばである。

中年期の心理的危機[編集]

「中年」期の定義は諸説あるが、一般にその時期に差し掛かった個人は自身の人生を見つめなおし、再評価する。この過程で起こる心理的危機が以下のような感情や行動となって表れる。

  • 達成する事の出来なかった物事への深い失望や後悔
  • より成功した同輩・同僚に対する屈辱感・劣等感
  • 自分はまだ若いと感じたい、また若さを取り戻したいという思い
  • 一人になりたい、もしくは気心の知れた者以外とは付き合いたくないという欲求
  • 性的に活発になろうとする、もしくは逆に全く不活発になる
  • 自身の経済的状況や社会的ステータス、健康状態に対する憂鬱、不満や怒り
  • 人生の前段階で犯した過ちを正す、または取り戻そうとする

中年期のストレス要因[編集]

上述のようなの感情・行動は、以下のようなストレス要因の発生(すなわちストレスの発生)によって引き起こされ得るが、必ずしもこれらのみが原因とは言い切れない。

  • 職やキャリア上の問題、もしくは無職であること
    • 例) 職場において、中間管理職となり、上司と部下の板挟みとなる
  • 配偶関係の問題や離婚、もしくは無婚であること
  • 子供の成長、子供の将来に対する不安、子の親離れ、もしくは子供を持てなかった事
  • 親の老化や介護の問題、または死去
  • 自身の加齢による肉体的変化、また自身の老後の不安

中年になる頃に、これらの問題が一気に増え始め、生じがちなストレスは、上述の心理的危機が進行している間にも積み重なっていく事がしばしばであるが、これらは本来分けて考えるべき性質のものである。例えば離婚は20代の個人にも70代の個人にも起こりうる問題であり、中年特有の問題とは言い切れない。また、結果生じる鬱病や不安障害は主にこれらストレス要因による「過負荷」が原因となる。

日本での状況[編集]

  • 中年が思い煩う時期という意味から、青年の思春期になぞらえて、第二の思春期、または思秋期(ししゅうき)などとも呼ばれることがある。
  • 男性で42歳、女性で33歳、37歳の厄年をこうした心理的危機が起こりがちな時期と捉え、両者を結び付けて論じられる事がしばしばある。
  • 日本では、不況やリストラの影響で年間自殺者数が3万人を超えた1998年〜2012年までの期間に、特に中高年男性の自殺率が急増したことから、注意喚起がなされている[1]。(日本の自殺を参照)
  • NHK特報首都圏は、2010年9月に「ミドルエイジクライシス 〜30代ひずみ世代の今〜」というタイトルの番組を放映しており、その際、30代の引きこもり自殺就職氷河期世代の苦悩などを紹介した[2]

引用[編集]

  1. ^ 男性更年期の心身医学 : 内科の立場から(男性更年期の心身医学)(第44回日本心身医学会総会)
  2. ^ NHK ミドルエイジクライシス 〜30代ひずみ世代の今〜