退職勧奨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

退職勧奨(たいしょくかんしょう)とは、事業または事業所における使用者労働者退職の誘引をすることをいう。俗にいう「肩叩き」。

概要[編集]

公務員においては、ピラミッドの頂上付近のように数が限定されている特定の役職や階級等にある者が長期間同じ役職に留まると下位の者の昇任等に影響を及ぼすため、政令で定められた定年年齢に達する前に退職をさせる(紙面では『勇退』などと表現されることがある)。退職時においては退職金の割増(定年まで勤めた際に支給されると予想される額以上)を勧奨退職手当として支払い、さらに退職後の職を世話することで勧奨退職への道を誘導している。

自衛隊においては将官ポストは数に限りがあり(陸上自衛隊の場合師団長は9つ、旅団長は6つ)、その上級若しくは相当ポストはさらに数が減少する(総監ポストは5つ、統合・陸海空幕僚長は各1)ため、上級・同列相当ポストの椅子に座れなかった者に残されているのは定年を前にした退官[1]のみである。そのため、個人都合でなく部隊側の都合として退官して貰う。その代償として退職金は通常の額に加えて定年まで勤めた場合に相当する分を加えた勧奨退職手当が加算支給[2]され、かつ防衛に関係する各企業への就職を援護[3]する事で後身の昇任等に支障が無いようかつ退官する将官に対しても相応の報いを受けて退いて貰っている。

他の例としては、自衛隊体育学校冬季戦技教育隊において一定以上のレベルが維持できないと判断された隊員が一般部隊へ転属するか退職するかを選択する例があり、体育競技を行う事を目的に入隊した者の殆どは依願退職して一般企業や教育施設等にて競技を続ける。

なお、国家公務員における退職勧奨は2013年11月1日から施行された国家公務員退職手当法施行令(昭和28年政令第215号)の一部改正により廃止となった[4](自衛隊ではかつて4月、8月、12月の1日付で実施していた勧奨退職(1佐(二)の一部と1佐(一)以上の幹部自衛官[5][6][7]を対象としていた制度))[8]

現在は、上司・上級職から一定の年齢・役職勤務を終了と同時に事実上退職を求められるため、勧奨退職制度そのものは廃止となっているものの、事実上の勧奨制度は残っている[9]

脚注[編集]

  1. ^ 自衛隊法施行令(政令)の規定により将官の定年年齢は60歳と定められているが、一般に将は57~58歳、将補は56~57歳を基準に勧奨退職となる(医官歯科医官及び警務・音楽職域を除く)
  2. ^ 階級・役職等に応じて約1千万から3千万円程の加算、本来定年を迎える頃に支給される額と同額になるよう計算されており、通常依願退職ならば数百万から1千万円程度のところ実質的に定年退官と同額水準が支給される。さらに早期退職に伴う手当として若年定年退職者給付金制度が存在し、勧奨退職者についても対象となる。若年定年退職者給付金は、年金受給年齢(65歳)10年前を基準に早期に退職する事から支給される給付金であり、主に陸将補・1佐の勧奨退職者に対しても支給対象とされる。但し将のうち58歳以後に勧奨退職となった者には支給対象とならないケースもある
  3. ^ 再就職に先立ち、防衛省内にある離職者分科会における審議が行われる
  4. ^ 国家公務員退職手当法施行令の一部を改正する政令について(概要)総務省人事・恩給局(2013年5月)
  5. ^ 1佐(二)及び(一)については1佐としての勤続年数が10年以上のもののうち、勤務成績による選考をもって将補に特別昇任の上、定年日(自衛隊法施行令で規定された定年年齢)よりも前に退職させていた制度
  6. ^ 将及び将補にあっては勧奨退職に代えて早期優遇退職を適用。
  7. ^ 両者とも、2013年11月以前の防衛省人事発令において記載されていた「退職を承認する(勧奨)」の表記がないことからもこれは明らかである
  8. ^ 防衛省設置法等の一部を改正する法律案の概要(平成26年度予算関連法案)
  9. ^ 定年まで3ヶ月以上日数が多く残っている場合は上司・上級者から事実上の斡旋による退職、3ヶ月を切るような状態であれば陸幕・総監部付配置を受けて定年までの日数を年次休暇消化による定年退官となっている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]