消費税法

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消費税法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 なし
法令番号 昭和63年法律第108号
効力 現行法
種類 租税法
主な内容 租税法律主義に基づき消費税について定めた法律
関連法令 日本国憲法行政不服審査法行政事件訴訟法国税通則法国税徴収法国税犯則取締法所得税法法人税法地方税法電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
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日本の税収構造(2014年) [1]

  社会保険 (39.7%)
  給与税 (0%)
  資産税 (8.5%)
  消費税 (27.0%)
  その他 (0.3%)

消費税法(しょうひぜいほう、昭和63年法律第108号)は、広義の消費税付加価値税,VAT)に関する法体系の一部を構成する法律[2]。資産の譲渡等に対する税金について定められている。

目的税であり、「消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金医療及び介護社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする(第1条第2項)」と定められている。

制度[編集]

基本的な仕組み[編集]

製造業者卸売業者小売業者資産等が移転するにつれて、負担が次々に転嫁され、最終的には消費者が負担することになる。その過程での課税の累積を排除するため、納税義務者はその売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除した額を納税することになっている。

  • (売上*税率)-(仕入*税率)

売上にかかる消費税額より仕入れにかかる消費税額が大きい場合、控除しきれなかった額は事業者に還付される。この仕入税額控除において、日本は、ヨーロッパ諸国のようにインボイス方式を用いておらず、仕入にかかる帳簿および請求書(インボイス)等(3万円未満の取引については帳簿)の保存を要件とする「請求書等保存方式」を採用している。

課税の対象[編集]

全ての取引は、課税対象取引と課税対象外取引とに分類される。

  • 課税の対象は、1)国内において事業者が行った資産の譲渡等、2)外国貨物の保税地域からの引取りである。国内取引については、次の条件を全て満たすものが課税の対象となる。
    • 国内において行う取引であること
    • 事業者が事業として行う取引であること
    • 対価を得て行う取引であること
    • 資産の譲渡又は貸付け若しくは役務の提供であること
  • 不課税(課税対象外)取引。代表的なものは、給与、家財道具の売却、受取配当金等である。

課税取引の区分[編集]

課税対象取引は、6.3%課税取引、0%課税取引及び非課税取引とに区分される。

  • 課税取引は、1)国内において行う課税資産の譲渡等、2)課税貨物の保税地域からの引取りである。
    • 6.3%課税取引は、消費税が免除されない課税取引であり、消費税といえば一般にこれを指す。食料品や自動車などの販売が該当する。
    • 0%課税取引(輸出免税取引)は、輸出として行われる資産の譲渡など外国で消費されるものに係る取引であり、消費地課税主義の観点から消費税が免除される。
  • 非課税取引は、1)土地の売買や有価証券等の譲渡、利子の受け取りなど消費になじまないもの、2)医療、介護サービス、助産、教育など政策的な理由によるものである。

非課税取引は、税負担の累積が生じないことから仕入税額控除が認められない。一方、輸出免税取引では、内国消費税の国外消費者への実質的な転嫁を防止する国境税調整の観点から仕入税額控除が認められている。そのため、課税・免税取引と非課税取引の区別は、仕入れに係る消費税額の算定計算において重要な意味を持つ。

納税義務者[編集]

  • 国内取引:事業者
  • 輸入取引:外国貨物を保税地域から引き取る者(事業者か否かを問わない)

特例措置[編集]

  • 事業者免税点制度 
    当期が消費税の課税事業者であるかどうかは、本人が選択する場合を除き、前前期(基準期間)の課税売上高が1,000万円超であるかどうかによる。この免税点の上限は、平成15年度の税制改正前は、3,000万円とされていたが、課税ベース拡大といわゆる益税(消費者の払った税金が事業者の手元にのこってしまうこと)解消のため引き下げられた。
    簡易課税制度 
    消費税におけるいわゆる原則課税は、売上に係る消費税額と仕入に係る消費税額の差額を納税する仕組みとなっているが、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり予め届出書を提出している中小事業者は、その業種に応じて、売上の何パーセントが仕入れであるかという法定のみなし仕入率を適用して仕入れに係る税額を計算する制度。この制度についても益税解消などの観点から、上限が2億円から引き下げられた。
    限界控除制度 
    1997年3月31日まで設けられていた制度で課税売上高が当時の免税点の3,000万円を超えてはいるが6,000万円未満(2001年からは5,000万円未満)である中小事業者については、税額が0から一挙に3%に増加することを防ぐためのいわば激変緩和措置として税額から一定公式により算定される限界控除税額をマイナスするという制度である。この制度も益税を招くことから廃止された。
    中間納付制度 
    消費税は消費者からの預かり金的な性質を持っているが、これを預かってから納税するまでの運用益が事業者にとどまることに対する批判から、前課税期間の確定消費税額等により1月、3月又は6月ごとに中間申告・納税が必要とされている。

非課税取引[編集]

課税対象にすることに馴染まないものや、社会政策的な配慮から、以下の取引については非課税となっている(消費税法6条・別表1)。

  1. 土地の譲渡・貸付
  2. 株式等の有価証券の譲渡(ゴルフ会員権の譲渡を除く)
  3. 利子を対価とする金銭等の貸付
  4. 切手・印紙・商品券・プリペイドカード・トラベラーズチェック等の譲渡
  5. 住民票・戸籍謄本・運転免許証等の行政手数料等
  6. 社会保険医療等の給付
  7. 一定の学校の授業料、入学金等
  8. 住宅の貸付

総額表示化[編集]

2004年4月1日より、値札や広告で消費税額を含めた総額表示(税込表示、内税)を行うことが義務づけられた(ただし、書籍については従来通りのままで免除)。また、2007年4月1日から始まる課税期間からは、企業内部の帳簿においても総額表示が義務付けられている。2013年には増税に伴う経過措置として消費税転嫁対策特別措置法が施行された。これにより、2013年10月1日から2021年3月31日までの間、消費税額を含めた総額表示は「義務」か「任意」へ緩和されたことで、ほとんどの事業者や小売店が従来通りの「税抜(税別)価格」の表示へと逆戻り[3]することになった。

総額表示への移行に際して[編集]

総額表示が義務化される以前は、一部の商品や小売店を除き、商品価格は税抜価格で表示され、支払い時に消費税分の5%を加算する方法が主流であったため、消費者はいちいち個別に税込価格に変換する作業を強いられるうえ、この際に1円未満の端数が発生することもある。総額表示化の義務化される以前、1円未満の端数は切り捨てされることが多かったが、まとめ買いするとその分も加算して計算されることになっていた(例:10円(税別)の商品ひとつは端数分を切り捨てると10.50円→10円だが、それを10個購入すると、105.00円→105円となる)。そのため、総額表示に移行するときにこれまでどおり端数切り捨てを行う店舗が多く、端数分の表記をめぐって混乱が起きた。

総額表示への対応方法としては、大きく

  • 従来同様、税抜価格合計に、支払い時に5%を加算。
  • 完全に内税へ移行。

の二つに分かれ、売り場での個々の商品価格の表示方法は

  1. 端数分を切り上げて表示し、レジにて加算分を値引く(10円の商品は"11円"と表示、レジにて10円に値引き)。従来どおりの税抜価格合計に、支払い時に5%を加算し、1円未満の端数は切り捨てる方式。税抜(本体)価格が併記してあることもある。
  2. 端数分を切り捨てて表示し、差分は店舗側が負担する(10円の商品は"10円"と表示、それを2個以上買った場合でも1個あたり10円)。内税へ移行する際に行われた。
  3. 端数分は四捨五入、差分はほぼ相殺される(10円の商品は10.50円→"11円"と表示、87円の商品は91.35円→"91円"と表示)。内税へ移行する際に行われた。
  4. 端数分を切り捨てて表示し、レジにて差分を加算する(10円の商品は"10円"と表示、それを2個買った場合は1円を加算)。
  5. 端数を小数点以下2桁で表示、差分は小数点以下なので切り捨て(10円の商品は"10.50円"と表示、87円の商品は"91.35円"と表示)。

というパターンに分化された。

が端数の処理方法を法令で明文化しなかったため、このように各店舗で端数の処理が統一されず、消費者の混乱を招く結果となったが、実際には、上記(1)-(3)が多く行われている。

国税庁は『支払総額である「**,***円」さえ表示されていればよく、「消費税額」や「税抜価格」が表示されていても構わない』としているが[4]、パソコン・家電製品などの販売店やガソリンスタンド、ほとんどのスーパーマーケットディスカウントストアでは総額表示義務付け以降でも、税抜価格(本体価格)を意図的に大きく表示し、税込価格が目立たないよう小さく表示する(税込価格の併記すらしない)ケースがある。

総額表示に対する批判[編集]

内税表示をすること自体への批判に対しては、酒税たばこ税のような他の間接税も内税表示であり消費税の内税表示のみを批判することはおかしいとの反論もある[要出典]。また、基本的に従来の方式は事業者の益税を生み出すものであり、総額表示へ移行することで、この益税を抹消させ、課税の負担の公平を図る意味もある。

請求書方式[編集]

日本の消費税制度では、インボイス方式ではなく請求書等保存方式が用いられている。しかし、2023年10月に適格請求書等保存方式(日本型インボイス方式)が導入される予定。

請求書保存方式の概要
請求書等保存方式とは「帳簿の保存に加え、取引の相手方(第三者)が発行した請求書等という客観的な証拠書類の保存を仕入税額控除の要件とする方式」である[5]
請求書保存方式の導入経緯
消費税は、生産から最終消費に至るまでの各取引段階で課税されることから、税の累積を排除する、いわゆる前段階税額控除方式が採用されている。累積排除の方法としては、日本の取引慣行や納税義務者の事務負担に配慮するといった観点から、インボイス方式ではなく、原則として帳簿上の記録等に基づいて控除する「帳簿方式」が採用された。
平成6年の税制改正において、「帳簿方式は実態として十分に機能しているが、納税者自身が作成した帳簿を要件にして税額控除ができるというのは消費税制度に対する信頼性の点で疑問であるとの国民の声が大きい。」との指摘があり、仕入税額控除の方法について議論が行われた。
仕入税額控除の方式として、下記3方法についての検討が行われている。
  • A方式:登録制度を前提とする書類方式(欧州型インボイス方式)
  • B方式:登録制度を前提としないが、課税事業者のみに限定した書類形式
  • C方式:請求書等保存方式
A方式及びB方式においては、「非登録事業者又は免税事業者で取引の中間段階に位置する者が取引から排除される」との指摘があった[要出典]
C方式は、「現在、取引の大部分の事業者間取引において請求書等(インボイス)が交わされ保存されているという取引の実態を尊重した方式であり、かつ事業者に新たな書類の作成など追加的な事務負担がほとんど生じないことから円滑な移行が可能。原則として取引の証拠書類の保存を仕入税額控除の要件としている点で、制度の信頼性や課税非課税判定等の利便性、正確性の観点から、現行方式より望ましい制度である。わが国の経済社会や取引の実状に適合している」との指摘があり[要出典]、請求書保存方式を採用されることになった。

税収規模[編集]

日本の消費税収入の推移 (単位:兆円)[6][7]
年度 税収 うち消費税収 備考
1985年(昭和60年)度 38.2 (1.6)
1986年(昭和61年)度 41.9 (1.7)
1987年(昭和62年)度 46.8 (2.0)
1988年(昭和63年)度 50.8 (2.2)
1989年(平成元年)度 54.9 3.3 税率3%導入
1990年(平成2年)度 60.1 4.6
1991年(平成3年)度 59.8 5.0
1992年(平成4年)度 54.4 5.2
1993年(平成5年)度 54.1 5.6
1994年(平成6年)度 51.0 5.6 1997年に消費税5%引き上げを閣議決定[8][9]
1995年(平成7年)度 51.9 5.8
1996年(平成8年)度 52.1 6.1
1997年(平成9年)度 53.9 9.3 同年4月1日より税率2%引き上げ(5%に増税)
1998年(平成10年)度 49.4 10.1
1999年(平成11年)度 47.2 10.4
2000年(平成12年)度 50.7 9.8
2001年(平成13年)度 47.9 9.8
2002年(平成14年)度 43.8 9.8
2003年(平成15年)度 43.3 9.7
2004年(平成16年)度 45.6 10.0
2005年(平成17年)度 49.1 10.6
2006年(平成18年)度 49.1 10.5
2007年(平成19年)度 51.0 10.3
2008年(平成20年)度 44.3 10.0
2009年(平成21年)度 38.7 9.8
2010年(平成22年)度 41.5 10.0
2011年(平成23年)度 42.8 10.2
2012年(平成24年)度 43.9 10.4
2013年(平成25年)度 47.0 10.8
2014年(平成26年)度 54.0 16.0 同年4月1日より税率3%引き上げ(8%に増税)
2015年(平成27年)度 56.3 17.4
2016年(平成28年)度 55.5 17.2
2017年(平成29年)度 58.8 17.5
2018年(平成30年)度
※1988年(昭和63年)度以前の消費税欄は物品税等の額。なお、1997年(平成9年)度以降の消費税欄は地方消費税を含まない。

歴史[編集]

日本では、1989年4月1日に、既存のいわゆる贅沢(ぜいたく)品に対して個別に課税する物品税を廃止し、これに代わって消費税法(昭和63年12月30日法律第108号)により一般消費税が導入され、土地や住宅家賃などの非課税資産やサービスを除き、幅広い資産の譲渡又は役務の提供が課税対象となっている。

竹下登政権時である、1989年の導入当初の消費税の税率は3%であったが、1997年の橋本龍太郎政権時に、5%に引き上げられた。

また、消費税率の引き上げに併せて地方消費税(消費税の25%)が導入され、(国税の)消費税分の4%に地方消費税分である1%(0.04×0.25=0.01)を合計して「消費税等」の税率が5%となった。この「消費税等」とは、税法上、(国税の)消費税と地方消費税の総称である。消費税導入の審議において、参議院では、野党が審議を阻止する為、牛歩戦術を取った。また消費税が導入される前日には、消費者による駆け込み需要がおきた。

1989年、参議院で野党が過半数となった時、12月11日に消費税廃止法案参議院で可決されている(衆議院では廃案)。

導入までの経緯[編集]

  • 1969年昭和44年) 12月21日 - 日本社会党日本共産党、左派団体の支援を受けて東京都知事に当選した美濃部亮吉が、高齢者の医療費負担の全額無償化を行う。これ以降、老人医療費無償を求める運動が起きて、左派組織の支援を受けた候補が次々当選し、各地で躍進する[10][11][12][13][14][15]
  • 1973年(昭和48年) 1月1日 - 第33回衆議院議員総選挙での敗北と左派政党の増進への危機感から、財源と財政から継続不可と反対のあった中、内閣総理大臣田中角栄の主導で、70歳以上の老人医療費の無料化が実施された。高齢者の無償のための医療費負担は、国が3分の2で地方自治体が3分の1を負担することになった[11][12][13][14]
    • 7月 - 東京都知事美濃部亮吉は、国の無償制度の対象外だった、都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度を開始する。さらに、高齢者の東京都交通局が運営する運賃を、東京都シルバーパスの配布で無料化というバラマキ政策や、多額の収入を得ていたいた公営競技である後楽園競輪場を1972年10月26日から廃止していた上に、東京都は増税せずにバラマキをするポピュリズム政策の連発で、東京都は財政赤字に陥る[11][12][13][14]
  • 1974年(昭和49年) - 前年10月の第1次石油危機で高度経済成長が終了して、日本は戦後初のマイナス成長と増税なしの高齢者医療費無償という過剰な高福祉の社会保障支出で、大幅な歳入不足の財政赤字になって以降から、赤字国債を発行することになる[11][12][13][14][16]
  • 1975年(昭和50年) 12月- 歳入不足のため、補正予算にて財政法で禁じている赤字国債を2兆3000億円分発行する。のちに内閣総理大臣となる当時の大平正芳大蔵大臣は「子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならない」と決意する。首相就任後は何度も消費税の導入を図るが、1980年に選挙運動中に死亡する。以降も消費税を訴える度に反対する野党に自民党は敗北したため、1989年まで導入されずに増大する高齢者への社会保障支出のためにその後の日本の国債依存財政が始まる[17][14][12][16]
  • 1979年(昭和54年) - 第35回総選挙において大平正芳首相が一般消費税(税率5%)の導入を打ち出すが、自民党が過半数割れに追い込まれる大敗を喫する[16]
  • 1984年(昭和59年)2月23日 - 中曽根康弘首相が、自身の内閣においては大型間接税の導入は避けたいと参議院予算委員会で答弁[18]
  • 1985年(昭和60年)1月31日 - 中曽根首相は国会答弁で網羅的な多段階課税の導入は否定したが、大型間接税の導入は否定せず[18]
  • 1986年(昭和61年)6月 - 第38回総選挙第14回参院選同日選に向け、中曽根首相は「大型間接税と称するものはやるつもりはない」と言明[18]
  • 1987年(昭和62年) - 中曽根首相は「大型間接税」ほどの包括性をもたない「新型間接税」であるとして売上税法案(税率5%)を国会提出。しかし、かねてより小売業界が強く反対しており、自民党内でも異論がくすぶっていた上、第11回統一地方選挙で自民党が敗北したため、廃案で与野党合意[18]

導入後[編集]

  • 1988年(昭和63年) - 導入論議から約20年後の竹下内閣時に消費税法が成立。12月30日公布[19]
  • 1989年平成元年)
  • 1994年(平成6年)
    • 2月3日 - 細川内閣にて細川護煕首相が、消費税を廃止し税率7%の目的税「国民福祉税」を導入する構想を、未明に記者会見で発表するものの、担当となる閣僚を含めた政権要人からも反対論が上がり、即日白紙撤回。
    • 11月25日- 村山内閣で3年後の1997年、に消費税等の増税(3%から5%に増税、うち地方消費税1%導入)のための税制改革関連法案[20]を成立[9]
  • 1997年(平成9年)4月1日 -1994年(平成6年)11月25日に村山富市首相が成立させた法案に基づき、橋本内閣が実施[9]
  • 1998年-1999年(平成10年-11年) - 増税前である1996年の国税収入52.1兆円と比較し、国税収入が2.7兆円減少する(所得税収は2.2兆円、法人税収2.1兆円の減少、GDP成長率は-1.8%)。
    • 翌年には更に2.2兆円(所得税1.6兆円、法人税は1.4兆円、GDP成長率は-0.2%)の税収が減少。総合的に、わずか2年時で4兆円の税収増の見込みが4.4兆円の税収減となりGDP成長率は2%低下した。その後は財政出動と重なり、赤字国債が15兆円から30兆円へと倍増した。
  • 2004年(平成16年)4月1日 - 消費税の導入から15年が経ったところで、複数口にわけて会計を行う不適正会計防止および消費者の利便を考慮する(税込価格の計算の手間を省く)ため、価格表示の「税込価格」の総額表示が義務づけられる。
    • 書籍電子書籍を除く)については、食品や耐久消費財と違い、長期間出版取次書店と流通販路に出回り、いつ消費税を増税するか分からないとの理由で、例外として「本体+税」表記が認められ、総額表示が免除された。
    • 当初は、広告や値札における価格表示の様式は、法令および業界内でのルールが統一されず、「1,000円(税込1,050円)」のように「税別価格を強調」し、なおかつ「税込価格が目立たない」よう、意図的に小さくする併記も横行したが、消費者からのクレーム国税庁の指導により、税込表示に統一された。

民主党政権において[編集]

安倍政権において[編集]

  • 2013年(平成25年)10月1日 - 2011年の野田内閣の決定を受けて、第2次安倍内閣にて消費税率(国・地方)を5%から8%に増税すると閣議決定[23]、併せて施行日等も確認された。
    • 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)」が施行され、総額表示の義務化から9年半になり、2004年度以降から導入されていた「総額表示の義務化」を廃止する(2段階の引上げに伴う「価格表示を書き換える手間とコストがかかる」という、店側だけの一方的な都合により「特例」という名目で一旦廃止され、総額表示は「任意」の扱いとなる)。
    • これにより、2004年3月以前の「税別価格のみ」(税込価格の併記なし)へ逆戻りする形の表示も合法化され、大半の店舗が「税別価格」のみの表示に戻すか、または「税込価格」を小さく併記する表示にされるようになったが、(「価格表示が紛らわしい」(客=消費者の支払う本来の価格と異なる)旨のクレームが懸念されること[24]や、複数口に分けて会計を行う不適正会計などがありうるため)自主的に従来通りの「税込価格」による表示[25]を優先(または税込価格での表示を明言)している企業も少数存在する(スーパーマーケットディスカウントストアなど[26])。また、「1商品ごと税込価格に1円未満の端数を出さない商品」しかない場合も多く存在し(スターバックスコーヒーなど)、またNTTコミュニケーションズは1回線ごと会計に課税のため複数口に分けて行う不適正会計防止のためだと思われる。この特別措置法によると「税別価格」のみの表示を認める期限は2021年3月31日(当初2017年3月31日までの予定で、再増税先送りに伴い2018年9月30日までの予定に変更されたものの、後述の2度目の再増税先送りに伴う法改正により再変更)となっており、それまで総額表示は「任意」とされているため、2021年4月1日以降は再度総額表示の義務化がなされる見通し。
  • 2014年(平成26年)
    • 4月1日 - 消費税率(国・地方)は、5%から8%(うち地方消費税1.7%)となる[27]。増税により、可処分所得の低下による消費低迷が起きた。
    • 11月18日 - 安倍晋三首相は記者会見で、2015年(平成27年)10月1日実施予定の消費税再増税の1年半先送りを正式に表明した[28]。その結果、附則の景気弾力条項が削除され、消費税は2017年(平成29年)4月1日に、8%から10%(うち地方消費税2.2%)へ引き上げられる予定となった[27]
  • 2015年(平成27年)12月12日 - 自民党の谷垣幹事長はこの日の夜、公明党の井上幹事長らと改めて協議した結果、2017年度の標準税率10%への消費増税にともなう軽減税率の導入時の対象品目は「外食」「酒類」を除いた、「生鮮食品」と「加工食品」、「週2回以上刊行される新聞」とし、税率は現在の8%のまま据え置くことで合意した。その結果、2017年度からの消費税は、標準税率10%、外食・酒類を除く飲食料品全般に対する軽減税率8%が課されることが決まった。消費税は1989年(平成元年)4月の創設以来、初めて税率が複数になる。そして、必要と見込まれる1兆円の財源を巡っては、両党が安定的な恒久財源の確保に責任を持って対応すること、さらに事業者の納税額を正確に把握するため、付加価値税を導入しているOECD諸国の中では日本のみが採用していなかった税率や税額を記載する請求書「インボイス(税額票)[19]」を、2017年度の軽減税率の適用から4年後となる2021年度から導入することでも合意した[22]。軽減税率は財務省が特定の品目を軽減対象として認める代わりに、その関連業界の団体・企業に天下りをさせ、族議員ら企業や団体からの政治献金・選挙協力という見返りを得るために国会議員が導入させようとしていると批判されている制度であるとの批判がある。しかし、財務省は軽減税率自体は2012年の民自公で検討が合意されていたが、国の借金が1000兆円を超えなことから軽減税率には反対であり、小売業界などが10%と8%の2種類税率の請求書作成への反発から軽減税率は不可能だとして想定していなかった。ところが、公明党の軽減税率導入主張が優先されて、財源年3400億円の「生鮮食品」に「加工食品」まで加わり、軽減税率に必要な財源は毎年1兆円規模に上ることが決まった。軽減税率導入で年収200万円未満の世帯では支払う消費税額が毎年約9000円減る。450万〜650万円世帯の負担軽減額は年間約1万3000円、800万〜1000万円世帯では年間約1万5000円であり、高所得世帯ほど高い食品を購入して多く食費に出費するため、軽減される金額自体は大きい[29]
  • 2016年(平成28年)
    • 5月13日 - 安倍晋三首相は、消費増税を再び先送りすることを決めた。首相周辺によれば、安倍首相の増税見送りの決断は去年(2015年)11月といい、チャイナリスクの顕在化による、日本の実体経済への波及リスクが背景にあるという。一方で、自民党の谷垣幹事長は、およそ一ヶ月後の6月5日の街頭演説において、個人消費の低迷を理由に挙げた。
    • 5月28日 - 安倍晋三首相は、この日の夜、2017年(平成29年)4月1日に予定する、8%から10%への消費増税を2年半先送りする意向を自民・公明両党幹部に伝達した。この結果、10%への消費増税は2019年10月1日まで延期されることになった。軽減税率8%は、従来の決定にもとづき、消費税率引き上げ時に施行する。
    • 6月1日 - 安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し、2017年4月1日に予定する、消費税率8%から10%への引き上げを2019年10月1日まで2年半再延期し、それにともない軽減税率を導入する考えを正式に表明した。この中で、安倍首相は、消費増税の再延期の理由を、中国をはじめとする新興国の経済に陰りが見えるとした。また、首相は「リーマン・ショック級や大震災級の事態」は発生していないと言明し、「リーマン・ショック級や大震災級の事態が発生しない限り、2017年4月から消費税を8%から10%に引き上げる」という自らの公約を破棄した「新しい判断」であることを認めた。しかし、1991年のバブル崩壊後、日本の外需依存度は、9 - 18%で推移しており、増税再延期の口実に新興国経済のリスクを利用したのではないかという批判もある。
    • 6月5日 - 自民党の谷垣幹事長は、都内の街頭演説で、安倍総理は個人消費の低迷に悩んでいると訴え、消費増税の再延期の理由は、個人消費の低迷であることを示唆した。消費増税再延期を正式表明した、6月1日における総理の記者会見においては、冒頭においても、質疑応答においても、安倍首相から「個人消費の低迷」ついて言及はなかった。
    • 6月10日 - 自民党の麻生財務大臣は、アジア欧州首脳会議(ASEM)において、消費増税を2年半再延期したことについて、企業利益の改善にくらべて個人消費が低迷したと増税再延期の経緯を説明した。
    • 8月24日 - 第3次安倍内閣閣議決定により、消費税率の10%への引上げの施行日を2年半先送りの2019年10月1日に変更し、また、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日は同年4月1日に変更した[30]
  • 2017年(平成29年)
    • 6月9日 - 石原伸晃経済財政・再生相は、この日の夕方、「(社会保障費の財源が)全然足りず、消費税を増税することは避けて通れない」「(消費税率を8%から10%へ)2019年10月に間違いなく上げていく」と述べた。
    • 8月5日 - 安倍晋三首相は、民放のテレビ番組で、2019年10月1日に導入予定の消費税率の8%から10%への引き上げについて「予定通り行っていく考えだ」と述べた。しかし、首相は個人消費について「消費は緩(ゆる)やかに上がっているが力強さに欠ける」と弱気な発言をし、賃上げについて「私も直接、経済界に強く働きかけていきたい。(企業には)内部留保がたいへん積み上がっているのは事実」と従業員に対する賃上げが不十分であるとの認識を示した。
    • 9月5日 - 次期自民党総裁の有力候補のひとりである岸田文雄政調会長は、2019年10月1日に予定する消費税率10%への引き上げについて「(消費増税は)確実に行うべきだ」と述べた。しかし、増税に耐えられる経済環境を「今からつくらなければならない」と現在の景気は不十分との認識も示した。一方で、岸田氏は「社会保障の持続可能性の確保は待ったなしだ」と話し、年々ふくらんでいく社会保障費(2016年度は118.3兆円で過去最高)のために消費増税は延期できないとの認識も示した。
    • 9月12日 - 安倍晋三首相は、2019年10月1日の消費税率の8%から10%への引き上げに関して「社会保障制度を次世代に引き渡すこと」「市場や国際社会から日本の信認を確保すること」という二つの理由で「(消費増税は)必要だ」と述べた。さらに「(消費増税の)予定通りの実施を考えている」と明言し、「社会保障の充実によって生活に安心を持ってもらうとともに、財政健全化(財政再建・社会保障の安定化)を通じて将来にも安心を持てるようにしたい。子育てや幼児教育、高等教育に対する不安を解消すると同時に、財政の持続可能性についてもしっかりと政府は考えている。バランスが大事だ」と2012年6月の3党合意を引き継ぐ意向を示した。日本経済新聞のインタビューに答えた。2012年6月の3党(自民党・民主党・公明党)合意において、2019年10月の消費税率8%から10%への引き上げでは、増税分(5兆円)の使途の8割を財政健全化(国債償還と基礎年金の財源)に、2割を社会保障の充実に充てることが決まっている。
    • 9月20日 - 安倍晋三首相は2019年10月1日の8%から10%への消費増税の増収分(5兆円)のうち、1兆円超を教育分野(幼児教育や高等教育の無償化等)などの社会保障の充実に振り向ける検討に入った。財政健全化(社会保障の安定化)分と社会保障の充実分を同じ割合(従来は4対1の割合)にする案が浮上。財政健全化に充てる税収(4兆円分)が1兆円超減り、PB(プライマリーバランス=基礎的財政収支=税収等-政策的経費)のさらなる悪化は不可避となる。2020年度を目標としていたPB黒字化について、内閣府ですら実質2%程度の経済成長が続いても2020年度に8.2兆円のPBの赤字が残ると予想していた。
    • 9月25日 - 安倍晋三首相は、経済財政諮問会議で、3~5歳のすべての子どもの幼稚園・保育所の費用(幼児教育)や、低所得世帯の高等教育を無償化する方針を示した。0~2歳の子どもについては、所得の低い家庭にかぎって幼児教育を無償化する。こうした教育無償化の施策について「2兆円規模の大規模な政策を実行する」と述べた。財源として2019年10月1日に予定する消費税率の8%から10%への引き上げによる税収増(5兆円)を充てる考えを示した。8%から10%への消費税の引き上げによる増収分(5兆円)のうち赤字の削減(社会保障の安定化)に充てることになっていた4兆円のうち、半分(2兆円)を幼児教育無償化や高等教育の負担軽減の財源に回す。こうして、増税分(5兆円)の使途について、「財政健全化」に2兆円、「教育の無償化」に2兆円、「社会保障(医療・年金・介護・子育て支援)の充実」に1兆円を割り当てることが決まった。安倍首相は、午後6時から行われた記者会見において、消費増税の使途変更により、2020年度を目標としていたPB黒字化については「困難」であると明言した。
    • 9月26日 - 安倍晋三首相はテレビ東京の番組で、2019年10月1日に導入が決まっている消費税率8%から10%への引き上げをめぐり「(2008年9月の)リーマン・ショック級の事態など経済的な緊縮状況が起こらない限り(消費税を)引き上げていきたい」「(消費税を)引き上げなければ政策を実現する予算は確保できない」とのべた。
    • 10月13~14日 - 日本は、米ワシントンで行われたG20(日米欧と新興国からなる20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議で、財政健全化目標(2020年度を目標とするPB黒字化)を達成できないと表明した。2020年度までに税収だけで政策経費をまかなえるようにする国際公約(PB黒字化)を取り下げた。こうして、基礎的財政収支(税収-政策経費)を2020年度までに黒字化するという日本の目標は、国際的にも先送りとなった。日本の説明に対し、各国からは特に強い異論はなかった。日本からは日銀の黒田東彦総裁と、麻生太郎財務相の代理として財務省の浅川雅嗣財務官が出席した。麻生氏は、総選挙(10日公示、22日投開票)のため欠席した。日本は、2010年、カナダで行われたG20トロント・サミットで2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字にすると約束していた。

脚注[編集]

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  1. ^ Revenue Statistics 2016 (Report). OECD. (2016). p. 103. doi:10.1787/rev_stats-2016-4-en-fr. 
  2. ^ 鎌倉治子 (2008年10月). 諸外国の付加価値税(2008 年版) (Report). 国立国会図書館調査及び立法考査局. http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1000895. 
  3. ^ 消費者の利便性の考慮や、価格表示に対するクレームを回避するため、小数ながら自主的に「(消費税8%分)税込価格」を強調表示している事業者や店舗もある。
  4. ^ No.6902「総額表示」の義務付け〔平成22年4月1日現在法令等〕 - 国税庁
  5. ^ 『請求書等保存方式』と『インボイス方式』”. 財務省. 2012年11月16日閲覧。
  6. ^ “一般会計税収の推移” (プレスリリース), 財務省, (2012年11月2日), http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm 2012年11月16日閲覧。 
  7. ^ 統計表一覧 : 財務省
  8. ^ 日本社会党の場合は6年前の第15回参議院議員通常選挙では、消費税反対でもって勝利したていたが、社会党の村山富市総理大臣は景気対策のための中間層への定率減税を1兆5,000億を3年間するために約5兆円の減税に見合う形で、それまで3%だった消費税を1997年に5%にするという法律を成立させた。 増税分2%のうち1%は地方消費税とした。
  9. ^ a b c 消費税5%への決定 村山富市 元総理大臣 2010年9月1日 日本記者クラブ
  10. ^ 小児科 医師不足を加速させている小児医療費無料化政策に強く抗議し 条例の撤廃を求める・・・:医療経営財務協会ホームページ
  11. ^ a b c d <1960~70年代>  キーワード:「“老人医療費無料化”がもたらしたもの」NHK
  12. ^ a b c d e 高校無償化で「バラマキ教育」の競争が始まる
  13. ^ a b c d 柏市議会議員 上橋泉 柏市政研究会 http://www16.plala.or.jp/kamihasi-izumi/kouki_kourei.htm
  14. ^ a b c d e 老人医療無料化制度の形成 と国民医療費呉 世榮
  15. ^ もう失敗できない」都知事の間違えない選び方明大教授・元都副知事 青山佾
  16. ^ a b c 正々堂々と消費税導入を掲げて選挙に負けた男 あまりにも軽くなった政治家の言葉 | JBpress(日本ビジネスプレス)
  17. ^ [1]「佐藤優氏 消費税導入で日本の社会民主主義の矛盾が露わに」
  18. ^ a b c d 鄭子真 "中曽根内閣と消費税 : 導入失敗の過程" 大阪大学大学院国際公共政策研究科紀要論文 国際公共政策研究 vol.14 no.1 pp.191-205 2009年9月
  19. ^ a b 鎌倉治子 2008.
  20. ^ 第131回国会概観 参議院
  21. ^ 消費増税案を民主決定 14年4月8%、15年10月10%
  22. ^ a b 軽減税率/上(その2止) 財務省、重ねた誤算,毎日新聞,2015年12月13日 
  23. ^ 消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について 財務省
  24. ^ 「税別価格」が数万円〜数十万円になれば、消費税分の差額は数千円〜数万円単位にもなり、消費者にとって無視できない金額となるため、税込価格が判別できないとクレームの要因になるおそれがある。
  25. ^ 表示例としては「税込価格のみ」か「税込価格(税別価格)」(税込価格が目立つよう表示)などがある。
  26. ^ 大手のチェーン店では、しまむらヨドバシカメラなどが(2014年度以降も)「税込価格で表示する」旨を明言している。
  27. ^ a b 地方税法改正(地方消費税関係)のお知らせ(平成27年4月改訂) 総務省[リンク切れ]
  28. ^ 【衆院選】首相会見詳報 消費税再増税の先送りを正式表明 衆院解散は21日(1/6ページ) 産経ニュース 2014年11月19日
  29. ^ 軽減税率/上(その2止) 財務省、重ねた誤算
  30. ^ 平成28年8月24日 閣議決定「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置の概要」、財務省。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]