源泉徴収

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源泉徴収(げんせんちょうしゅう)は、給与報酬利子配当公的年金等の支払者が、それらを支払う際に所得税などを差し引いて、それを国に納付する制度である。

概要[編集]

源泉徴収は所得税を給与や報酬等から控除することを言う。個人の住民税の場合は特別徴収社会保険料(健康保険厚生年金保険料や雇用保険料等)の場合は単に徴収といい、総括して天引きとも呼ばれる。

源泉徴収された所得税の差額調整については、サラリーマン公務員などの給与所得者は年末調整、自営業者などは確定申告、金融商品取引業者等で開設した特定口座(源泉徴収口座)内所得の申告不要などの制度がある。

源泉徴収制度の目的は、効果的かつ効率的な徴税手続の実現にあるといえるが、一方で納税者の納税実感を薄れさせ、民主主義の根幹をなす市民個々の参政意識を育むには阻害となるという欠点もある。

日本[編集]

日本では戦費を効率的に集める目的でナチス・ドイツの制度にならい、1940年昭和15年)4月1日に、給与への源泉徴収が始まった。その徴税効率の高さから、第二次世界大戦後も、アメリカ合衆国イギリス西ドイツなどの先進国で行われている[1]CBSニュースによれば、アメリカ合衆国では第二次世界大戦中に導入されたということである。

国税庁は毎年「源泉徴収税額表」(平成29年分源泉徴収税額表)を公表しており、源泉徴収が行われる際に使用されている。徴収される側から見れば、税額はこの税額表によって事前に知ることができるとも言え、公平性かつ透明性を保つことができるという利点がある。 なお、2013年(平成25年)1 月1日から2037年(平成49年)12月31日までの間に生ずる所得は、源泉所得税だけでなく復興特別所得税(復興特別税のひとつ)も併せて徴収されることになっている。

判例[編集]

源泉徴収制度の合憲性が争われた事件において、日本の最高裁判所1962年2月28日、以下の通り判示して合憲とした。

「源泉徴収制度は、これによつて国は税収を確保し、徴税手続を簡便にしてその費用と労力とを節約し得るのみならず、担税者の側においても、申告、納付等に関する煩雑な事務から免がれることができる。また徴収義務者にしても、給与の支払をなす際所得税を天引しその翌月一〇日までにこれを国に納付すればよいのであるから、利するところ全くなしとはいえない。されば源泉徴収制度は、給与所得者に対する所得税の徴収方法として能率的であり、合理的であって、公共の福祉の要請にこたえるものといわなければならない。」

対象となる所得[編集]

居住者に支払われる所得については、下記税率(復興特別税率を加算)により源泉徴収される。

  • 給料・賞与等 - 源泉徴収税額表(月額表、日額表)
  • 退職金等 - 原則として、(退職金-退職所得控除額)×1/2×累進税率、又は退職金×20.42%
  • 公的年金等 - 原則として、(公的年金等-所定の控除額)×5.105%
  • 原稿料・講演料、弁護士司法書士芸能人などの報酬料金、広告宣伝のための賞金等 - 10.21%~20.42%(司法書士等は1万円控除後)
  • 外交員報酬等 - (外交員報酬-12万円+給与収入)×10.21%
  • 利子等 - 15.315%
  • 配当等 - 15.315%又は20.42%
  • 定期積金の給付補てん金、一時払養老保険等の差益(加入後5年以内に限る)、抵当証券の利息 - 15.315%
  • 割引債の償還差益 - 15.315%(発行時源泉分離課税分は18.378%)
  • 証券会社等の特定口座(源泉徴収口座)内の上場株式譲渡等 - 15.315%

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]