配当所得

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

配当所得(はいとうしょとく)とは、所得税における課税所得の区分の一つであって、法人から受ける利益の配当、剰余金の分配、基金利息並びに投資信託及び特定目的信託の収益の分配に係る所得をいう(所得税法24条1項)。利子所得および不動産所得と同様、資産性所得の一つである。

課税方式[編集]

配当所得の金額 = 収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額) ー 株式などを取得するための借入金の利子

配当所得は、所得税法上は特例を除き原則は総合課税である。そして利子所得と異なり、株式等を取得するための負債利子について、一定の範囲で控除が認められる(所得税法24条2項)。ただし、赤字であっても、他の所得の金額から控除することはできない(損益通算できない)[1]

租税特別措置法の規定により、源泉徴収20.42%(大口株主等以外の上場株式等は、15.315%と他に住民税5%)をされ、その上で上場株式等の配当等に対する課税の特例制度や少額配当等の申告不要制度が設けられている(源泉分離課税分を除く)。 

上場株式等(大口株主等を除く)[編集]

総合課税申告分離課税申告不要がある。

上場株式等の配当等については、持株割合3%以上の大口株主等が受取るものを除き、申告不要を選択することができ(住民税も同様)、源泉徴収のみで納税が完了する。ただし、2010年分以後金融商品取引業者等で開設した特定口座(源泉徴収口座)内で、配当所得と損益通算した譲渡所得(損失)を申告する場合、その上場株式等の配当所得を申告不要にすることはできない。

2009年分から申告分離課税が加えられ、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能になった。その場合、上場株式等の配当等(申告不要分を除く)の全部について、確定申告にて申告分離課税を選択する必要がある。申告分離にする場合の課税配当所得等の金額に対する税率は源泉徴収税率と同一である。

2016年分から、上場株式等であっても特定上場株式等に該当しない配当等は総合課税を選択できない(利子所得の申告分離課税と合算化)。なお、特定上場株式等に該当しない配当等を申告分離で申告する際特定上場株式等を総合課税で申告することは可能。

2016年分から、所得税が総合課税、住民税が申告不要制度が適用できる(保険料額が住民税基準の所得となる国民健康保険などが有利となる場合がある)場合がある[2]

所得税については、このような選択肢がある。税額を比較し、有利な方を確定申告の際に選択することが出来る。

  1. 申告分離課税もしくは確定申告不要
    所得税は15.315%である。源泉徴収有りの特定口座の場合、源泉徴収されていて、確定申告しなければこの税率で徴収される[3]。上場株式により損失が発生した場合は、過去3年分と損失通算することが出来るが、そのためには確定申告が必要[4]。扶養に入っている場合や配偶者控除を受ける場合は、確定申告しないと扶養控除配偶者控除の判定の際の合計所得金額に含まれないので、あえて源泉徴収のままにしておいた方が税額が安くなる場合もある[3][5]
  2. 総合課税
    所得税は総合課税の累進課税であるが、配当控除が適用されるため、課税される所得金額次第で、総合課税を選択した方が税率が低くなる。その際は、金融機関で源泉徴収されている場合でも、確定申告により、税額を調整(還付など)することが出来る。配当控除の金額の計算式はかなり複雑であり、詳細は国税庁のタックスアンサーを参照[6]。ここでは、課税総所得金額等が1000万円以下だけ記載する。
    課税総所得金額等が1000万円以下の場合
    • 剰余金の配当等に係る配当所得 - 10%
    • 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得 - 5%
    • 特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 - 2.5% (外国税額控除もあることに注意)
    配当控除が10%の場合、復興特別所得税を除いた総合課税の税率が25%未満であれば、配当は総合課税を選んだ方が税率が安くなる。速算控除額を使用しない所得税の税率は下の税率区分から超過した部分に適用される税率であるため、2020年4月現在の所得税の税率[7]では、以下のようになる。
    配当控除が10%の場合
    695万円超900万円以下の区分の税率は23%のため、元々の課税される所得金額がこの区分に該当している場合は、ここから上積みされる総合課税の配当所得の税率は23%なので、総合課税の方が税率が低い。
    900万円超1800万円以下の区分の税率は33%のため、元々の課税される所得金額がこの区分に該当している場合は、総合課税の方が税率が高い。
    配当控除が5%の場合
    195万円超330万円以下の区分の税率は10%のため、元々の課税される所得金額がこの区分に該当している場合は、総合課税の方が税率が低い。
    330万円超695万円以下の区分の税率は20%のため、元々の課税される所得金額がこの区分に該当している場合は、総合課税と申告分離課税は税率が同じなため、手続きの簡単な申告分離課税を選んだ方が良い。
    なお、課税される所得金額というのは、各種控除(基礎控除給与所得控除など)を引いた後の金額なので、手取り給与額よりも小さな金額である。

住民税については、このような選択肢がある。所得税とは異なる方式を選択できる。なお、配当所得は所得税の話であるが、関連するので本項でまとめて記載する。

  1. 申告分離課税もしくは確定申告不要
    住民税は5%である。所得税の確定申告を行うと、自動的に住民税も確定申告される。
  2. 総合課税
    通常10%の住民税に、所得税とは異なる税率の配当控除が引かれる。ここでは、課税総所得金額等が1000万円以下だけ記載する。
    課税総所得金額等が1000万円以下の場合(一般的な市区町村の税率)[8][9]
    • 剰余金の配当等に係る配当所得の配当控除 - 2.8%
    • 証券投資信託の収益の分配金に係る配当所得 - 1.4%
    • 特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 - 0.7%
    5% < 10% - 2.8% なので、通常は申告分離課税の方が税率が低くなる。

所得税の確定申告で総合課税を選択した場合、何もしなければ住民税も総合課税となるが、書面を市区町村に提出することにより、所得税は総合課税だが、住民税は申告分離課税を選択することが出来る。提出すべき書面の名称は市区町村によって様々であるが、「特定配当等・特定株式等譲渡所得金額申告書」[10]など。この書面は eLTAX の対象外。

上場株式等以外(大口株主等を含む)[編集]

申告不要を選択したものを除き、総合課税である。

少額配当等の確定申告不要制度[編集]

内国法人から支払を受ける配当等で一回に支払を受ける金額が少額(年一回配当の場合は10万円以下)のものは、申告せずに源泉徴収で済ますことができる。(所得税法24、182、措置法8の2、8の5、9の3、平18改正所法附則77。) なお住民税には、上場株式等を除き少額配当等の申告不要がない。

源泉分離課税[編集]

私募公社債等運用投資信託及び特定目的信託は、源泉徴収のみで完結し、選択により確定申告へ含めることが出来ない。

少額投資非課税制度[編集]

2014年1月より「NISA」、2016年4月より「ジュニアNISA」、2018年1月「つみたてNISA」が始まった。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]