栄養ドリンク

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日本の栄養ドリンク売り場
タイの栄養ドリンク「M-150」(エム・ローイハースイップ)

栄養ドリンク(えいようドリンク、: Energy drink)とは、肉体疲労時の栄養補給などを目的で販売されている飲料である。ドリンク剤とも呼ばれる。

解説[編集]

この飲料は、ビタミン類、アミノ酸滋養強壮に効果のあるとされる生薬漢方薬由来成分のエキスなど、疲労回復や健康維持に効果が期待できると標榜される成分を含み、含有成分と含有量によって以下のように分けられる。

  • 医薬品 : OTC医薬品であり、医療用医薬品ではないため購入に医師の処方箋は必要ない
  • 医薬部外品
  • 清涼飲料水 : 医薬品、医薬部外品に該当しない商品であり「効能」、「効果」を表示出来ない。薬事法により薬効成分や有効成分の含有量の上限は制限されている為で、実質的には水、糖類、塩類の混合物であり、エネルギーを増やしたり、眼を覚ます効果を持たない。

主な栄養ドリンクの一覧に関しては、栄養ドリンクの一覧を参照。

日本における形態[編集]

販売当初はアンプルで流通していたが、各社製品共に徐々に薬臭さを除去し、容量を増やした。現在医薬品または医薬部外品として販売される商品は、おおよそ外見が茶色(少数は緑)のガラス瓶であり、栓がスクリューキャップ: Screw cap)である、という共通性が見られる。色付き瓶を用いているのは生薬成分の変質を防ぐという目的もあるが、「医薬品(アンプルなど)と同じ色の瓶を用いることで商品の効果をアピールする」という目的も含まれる。紙箱に収められた製品でも、中の容器にはやはり濃い色付きの瓶を採用しているものが多い。内容量は概ね100mlから150ml前後である。

一方清涼飲料水として売られているものについては、瓶入りのもの以外に缶入りやペットボトル入りのもの、また無色透明の瓶を用いたものなど、多種多様なパッケージングが見られる。こちらは内容量が200ml~500mlの製品も少なからず存在する。

効果・効能[編集]

栄養失調状態に陥っているのならば一定の効果はある[1]。各種ビタミンやタウリンなどの必須アミノ酸などの有効成分と呼ばれる物質、カフェイン、肝臓水解物、漢方生薬由来成分を複数配合し、肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害などの場合の栄養補給に適しているとされるものがある。但し、配合成分は薬理的に顕著な作用が見られるほどのものではなく、個人差が大きい。また、含有する成分を特定の効能向けに特化して差別化を図った商品も見られる。

主な成分と作用[編集]

主な含有成分と人体への作用。

服用上の注意[編集]

栄養ドリンクは医薬品、ないしは医薬部外品であること(まれに清涼飲料水)を念頭に置き、一日の容量を厳守することが前提である。薬用成分を含有する物は医薬品に指定され長らく薬局やドラッグストアの店頭でのみ販売されていたが、1999年3月の医薬品販売の規制緩和により主力商品が医薬部外品に変更されてコンビニエンスストアスーパーマーケット駅売店、一部の自動販売機などでも販売されるようになった。

健康リスク[編集]

飲用により糖尿病心血管疾患のリスクを上昇させる。また、摂取カロリー過多による肥満や急性アレルギー[2]のアナフィラキシーショックを発症することがある[3]。有効成分や添加物の中には、コーヒーの10倍以上の濃度のカフェインを含有していたり、多量の摂取が好ましくない物質が含まれているものもある。また、生薬等の薬効成分抽出のためにエタノールを使用し、これに由来するアルコールが0.1%から1%程度含まれる場合や気分昂揚のためにアルコールを使用している場合もある。

いずれにせよ、栄養ドリンクの過剰摂取による悲惨な健康被害を防ぐには、「製品に印字されているカフェイン含有量などの成分表示をよく確認し、適正な量を守って飲用するか、あるいはそもそも製品自体を飲用しないことである」とする見解がある。

アルコール[編集]

アメリカでは2005年から2010年にかけて、カフェインやタウリンを含む炭酸アルコール飲料(フォー・ロコなど)が発売されていたが、これら成分が酔いを助長させたことによる急性アルコール中毒患者が続出したこともある[4]。アメリカ食品医薬品局は2012年秋、モンスターエナジーおよび5-hour Energyの飲用者に、死者を含む健康被害が出た件について因果関係の調査を進めている[5][6]

カフェイン[編集]

カナダ保健省の科学者たちによる調査では、健康な大人の場合、1日400㎎以下のカフェイン摂取量であれば、カフェインによる心身への悪影響は出ないと結論付けている[7]モンスターエナジーを飲んで死亡したアメリカの14歳の少女のケースでは、少女が死亡した際に摂取していたカフェインの量は480㎎であった[8]

ビタミン[編集]

栄養ドリンクに含まれる成分のうち水溶性ビタミン類は過剰に摂取しても尿から排泄されるだけなのでただちに健康面での問題を引き起こすにはあたらないが、上述の通り過剰摂取によって健康を害する恐れがあるカフェイン、糖類、脂溶性ビタミン亜鉛などの成分が含まれた製品が多い。

糖類[編集]

糖類の含有量が多い物を日常的に飲用した場合、糖尿病性ケトアシドーシスペットボトル症候群)の要因になる場合がある[9][10]ほか、心血管のリスクを上昇させるとする報告がある[11]

各国の事情[編集]

栄養ドリンクは、1990年代までは韓国タイなどのアジア、および中東諸国で流通している以外は目立つほどの流通量はなかった。日本においてトップシェアを占める大正製薬などがアメリカ市場の開拓に乗り出したことがある。

2000年代に入ると、若者のアンダーグラウンド文化を背景に、欧米においてレッドブルが大きく売上を伸ばした。他にもフィンランドの「BATTERY」、アメリカの「ROCKSTAR」などのブランドが現れ、徐々に栄養ドリンクが欧米において定着しつつある。またアメリカではアスピリンのガブ飲みや、精神科医の診察をステイタスと感じるような世代も出現している。

なおレッドブルは、世界165カ国以上で販売され、2011年販売実績は46億本以上を記録しており、リポビタンDなどの売上を上回ったが、同社では「レッドブルは『栄養ドリンク』ではなく『エナジードリンク』である」と主張している。これは、国によっては「栄養ドリンク」と名乗ると医薬品としての規制を受け自由な販売活動が行えなくなる場合があるため、それを避ける狙いがある。同商品を栄養ドリンク市場のトップブランドと位置づけるかどうかについては、見解が分かれる。

日本においては、2012年に炭酸飲料の範疇に入るエナジードリンクの売り上げが前年比217%増となり、エナジードリンクが日本国民に急速に普及し始めている[12]

その他[編集]

環境中に投棄された空き瓶が、河川を通じ海洋に流れ出し海岸に漂着することで環境問題を生じている[13][14]

関連法規[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ビタミンB1不足食に対する含B1栄養ドリンクの投与効果 : 運動と飲料 体力科學 32(4), 189-191, 1983-08-01
  2. ^ アレルギー・原料・栄養成分一覧 アサヒ飲料
  3. ^ 栄養ドリンクに含まれたリン酸リボフラビンナトリウムによるアナフィラキシーショック Visual Dermatol 8(5), 480-481, 2009
  4. ^ 23人病院送りの缶飲料「Four Loko」に禁止令、米大学が学生に通達(グリー・ニュース2010年10月19日)2012年5月19日閲覧
  5. ^ “カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴”. AFPBB. (2012年10月22日). http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2908471/9720273 2012年11月21日閲覧。 
  6. ^ “米FDA、栄養ドリンク「5-hour ENERGY」飲用後の体調不良を調査”. AFPBB. (2012年11月16日). http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2912183/9845374 2012年11月21日閲覧。 
  7. ^ レッドブルは健康や心臓に悪い? :: エナジードリンク :: レッドブル・ジャパンレッドブル公式サイト
  8. ^ カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴AFPBB news 2012年10月22日
  9. ^ [ http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/9851 メタボリックシンドローム予防の視点からみた生活習慣調査 -看護学生と親との比較-] 大阪教育大学紀要 第Ⅲ部門 自然科学・応用科学、58巻1号 p.65-79,ISSN:13457209,NCID:AN10460897
  10. ^ その1本が寿命を縮める!? 疲れたときの必需品、栄養ドリンクに隠された危険な落とし穴 ダイヤモンドオンライン
  11. ^ 栄養ドリンクは心血管リスクを増加させる? 日経メディカルオンライン 記事:2007年11月6日、閲覧:2015年1月7日
  12. ^ Amazon.co.jpにあるエナジードリンク「Realpower」の説明文より
  13. ^ 難分解性海浜堆積漂着ごみの性質と分類 廃棄物資源循環学会論文誌 Vol.21 (2010) No.2 P94-105
  14. ^ 海岸漂着ごみに与える地元投棄ごみと河川の影響 廃棄物資源循環学会論文誌 Vol.23 (2012) No.5 p.232-239

関連項目[編集]

外部リンク[編集]