ウマノスズクサ属

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ウマノスズクサ属
Aristolochia californica flower 2004-02-23.jpg
Aristolochia californica
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ウマノスズクサ目 Aristolochiales
: ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
: ウマノスズクサ属 Aristolochia L.

本文参照

ウマノスズクサ属(馬の鈴草属、学名:Aristolochia)とは、ウマノスズクサ科に属する植物群の1つ。ウマノスズクサ科の基準属である。多年生蔓植物からなるで、一部に直立するもの、および木本がある。葉は互生。花は花被が癒合して筒状となる。雄蘂と雌蘂は短くてその底にあり、果皮の筒はこの部分で膨らみ、その上でやや細くなって喉部を構成、その先で広がり、左右対称の形を見せる。喉部でUの字型に曲がるものも多いが、ほぼ真っ直ぐなものもある。

世界の熱帯ー亜熱帯を中心に500種以上が知られるが、オーストラリア大陸にだけは自然分布していなかった。ウマノスズクサ属の種は、ジャコウアゲハ族ジャコウアゲハトリバネチョウなど)の食草になることが多い。

属の学名(アリストロキア)からウマノスズクサの成分の中に含まれているアリストロキア酸が命名されており、これには腎毒性、発がん性がある。実際、ウマノスズクサ属の植物を含む漢方薬での腎障害の事例もある[1]。中国では「関木通」と呼ばれるが、「木通」(日本ではアケビ属を指す名称)と略されることもあり、混同せぬよう注意が必要。

主な種[編集]

日本には以下の種が生育している[2][3][4][5]

ウマノスズクサ亜属(subgenus Aristolochia
つる性の多年草。茎、葉、萼は無毛。花は湾曲し、先端は斜めに切られたように一方向に伸びる。
オオバウマノスズクサ亜属(subgenus Siphisia もしくは Isotrema[6]
つる性の多年生木本。茎、葉、萼の外面は有毛。花は筒状部がU字型に曲がる。花柄は下を向き、筒は一端下に向かうが大きく曲がって上に向き、さらに先端は前に開く。先端は平たくなり、円形に近い。日本国内のオオバウマノスズクサ亜属植物は全て森林性で、日当たりの良い林縁においてある程度成長すると花を付けるようになる。なお、日本国内の本亜属植物では、2種が近接し生育する地域において種間交雑が生じることが明らかとされている[7]
  • リュウキュウウマノスズクサ(琉球馬の鈴草、Aristolochia liukiuensis Hatusima) - 奄美大島以南に分布する琉球列島固有種。奄美大島ではイトカズラ、ハナコゴ。加計呂麻島ではハナクサと呼ばれている。学名並びに和名は、1951年に植物研究雑誌(The Journal of Japanese Botany)において命名された。
  • オオバウマノスズクサ(大葉馬の鈴草、Aristolochia kaempferi Willd.) - 関東以南、四国九州に分布し、葉は一般に円形で先が少しとがる。ただし、葉の形は変異に富み個体内においてもトンボ型からハート型までみられることもあるので、識別形質には用いられない。花は黄色く正面からみると円形もしくは倒卵形で、筒口内部は濃い紫色のことが多い。和名の由来はウマノスズクサよりも葉が大きいことから。
    • タンザワウマノスズクサ(丹沢馬の鈴草、Aristolochia kaempferi var. tanzawana Kigawa) - 関東、東海地方の山地に分布し、葉の裏の毛が長く、葉脈上で開出する。花はオオバウマノスズクサによく似るがオオバウマノスズクサよりは大きいことが多く、白もしくは淡いクリーム色で筒口内部に褐色の豹紋がある。学名並びに和名は、1989年に神奈川県立博物館研究報告[8]において命名された。
  • アリマウマノスズクサ(有馬馬の鈴草、Aristolochia onoei Franch. et Savat. ex Koidz.) - 兵庫県、北九州。また近年では、台湾に分布する Aristolochia shimadai Hayataと同種とみなす見解もある。花は濃い紫色で正面から見ると逆三角形であり、筒口内部は黄色のことが多い。和名は牧野富太郎が兵庫県有馬において採集した際(1937年)に命名した[9]。別名はホソバウマノスズクサ(細葉馬の鈴草)であるが、細葉はオオバウマノスズクサでも度々みられることから、近年ではホソバウマノスズクサの和名は用いられない。

他に、熱帯性の種で花が大きくて観賞用に栽培される種がある。パイプカズラA. elegans)が有名である。

出典[編集]

  1. ^ アリストロキア酸を含むハーブによる健康危害
  2. ^ 大井次三郎. 1965. ウマノスズクサ科. 大井次三郎 編, 日本植物誌 顕花編-改定増補新版, 530-531. 至文堂.
  3. ^ 佐竹義輔, 籾山泰一. 1982. ウマノスズクサ科. 佐竹義輔, 大井次三郎, 北村四郎, 亘理俊次, 冨成忠夫 編, 日本の野生植物草本II 離弁花類, 102-103. 平凡社.
  4. ^ Murata, J., T. Ohi, S. Wu, D. Darnaedi, T. Sugawara, T. Nakanishi, and H. Murata. 2001. Molecular phylogeny of Aristolochia (Aristolochiaceae) inferred from matK sequences. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 52: 75–83.
  5. ^ Murata, J. 2006. Aristolochia. In K. Iwatsuki, D. E. Boufford, and H. Ohba [eds.], Flora of Japan. Kodansha.
  6. ^ Ohi-Toma, T., T. Sugawara, H. Murata, S. Wanke, C. Neinhuis, and J. Murata. 2006. Molecular phylogeny of Aristolochia sensu lato (Aristolochiaceae) based on sequences of rbcL, matK, and phyA genes, with special reference to differentiation of chromosome numbers. Systematic Botany 31: 481–492.
  7. ^ Watanabe, K., T. Ohi-Toma, and J. Murata. 2008. Multiple hybridization in the Aristolochia kaempferi group (Aristolochiaceae): Evidence from reproductive isolation and molecular phylogeny. American Journal of Botany 95: 885–896.
  8. ^ 城川四郎. 1989. 神奈川県産植物の2新変種, 1新品種について. 神奈川県立博物館研究報告 自然科学 18: 11-22.
  9. ^ 三木進. 2006. ふるさと知の紀行 3. 16th April. 神戸新聞.