生活保護問題

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生活保護法 > 生活保護 > 生活保護問題

生活保護問題(せいかつほごもんだい)は、日本生活保護制度に関する諸問題のことである。

水際作戦

生活保護行政における「水際作戦」とは、一部地方公共団体で採られた、福祉事務所において審査もせずに保護申請の受理を拒否することで、生活保護の受給を窓口という「水際」で阻止する方策をいい、軍事用語から転用された語である。保護請求権を行使する具体的な方法である保護の申請は権利として保障されており(後述)、このような方策の多くは違法行為であるが、生活保護扶助費用の1/4および現業員の給与は自治体予算から支出されるため、生活保護受給者の増加が財政の大きな負担となっている[1]。現業員ですら生活保護法を正しく理解しておらず、生活保護に対する誤解と偏見を持っており、保護利用者に対し強い蔑みと不正利用に対する警戒心がある[2]。そうした現業員には、生活保護申請が権利であるとの認識はなく、哀れみや施しの意識が存在している[2]

1987年昭和62年)に、札幌市白石区で“保護受給申請をさせず相談に留める”対応が行なわれていたことが確認されている。これが原因で、母子家庭の母親が餓死した[3]

2007年7月10日福岡県北九州市において、生活保護受給者が「就職した」と市職員に虚偽報告を強いられ、生活保護を打ち切られた結果、「おにぎり食べたい」と書き残して餓死した事案が発覚、大きな問題となった。この問題の根底には1967〜1987年まで、20年もの長きに渡って市長をしていた谷伍平が生活保護の不正受給の一掃を掲げ、生活保護の「適正化」を推し進めた事が背景にあるといわれる(なお、谷はこの事件が発覚する約半月前に死去している)。保護開始・廃止件数の事実上の数値目標を各福祉事務所に課すこの手法は全国に報道され、マスメディアの多くは北九州市の施策を批判した[4]。2006年11月30日放送「報道ステーション」で北九州市の「水際作戦」が報じられると、同市は「公平・公正さに欠ける」と抗議した[5]。 同年2月に実施された市長選挙で、谷と谷の手法を引き継いだ末吉興一による、これまでの市の生活保護行政を批判した北橋健治が、末吉の後継者を破って当選した。北橋市政の下で、第三者による検証委員会が設置され、市の保護行政の検証が進められた。公開された「北九州市生活保護行政検証委員会」の議事録によれば、数値目標は「暴力団の不正受給を防ぐため」の目標だったが、数値目標が一人歩きし、不必要な人間に生活保護を出し、本当に必要な人に生活保護を出さなくなったのではないかなどと検証されている[6]

その他の自治体においても、担当職員から「もう来ないと一筆書け」と言われたり、乗車券や電車賃高速バス料金を渡されて、他の自治体に行くよう指示されるケースがあり[7]2007年12月14日には兵庫県加古川市において、心筋梗塞で働けなくなった30代男性の生活保護申請者の申請取下げ書を偽造していた事件が発覚した[8]。また大阪府貝塚市でも2007年に複数の違法行為が発覚した[9]2010年8月15日さいたま市北区で、76歳の男性が熱中症で死亡した。電気代を2000年から払えず、電気を止められていた。病を持つ息子との二人暮しであったが、十数年前に生活保護の申請をしたが却下され、父親の年金だけで暮らしていたことが明らかになった[10]。また、京都府宇治市でも、「妊娠した場合は受給を止める」、「母子家庭の場合は異性と同居生活しないこと」等の内容で誓約書を書かせていた事例が判明しており、厚生労働省は、「誓約書を書かせることは不適切である」との見解を出している[11]。また、京都府舞鶴市では、胎児の事実上の父親と連絡が取れない女性の生活保護申請者に対し、「胎児の父親の連絡先が必要だ」との理由で申請を拒否した事例がある。同市は「対応に問題はない」と主張しているが、市民団体からの通報を受けた府が同市を指導したところ受理している[12]。また、長崎県在住の犯罪被害者が、犯罪被害者等給付金を受け取っていたが、後遺症が残っているとして生活保護を受けているケースで、被害に関する講演の謝礼を収入と見做され、福祉事務所から返還を求められたケースもあり[13]、有識者からは、被害者給付制度の脆弱性を生活保護で補うことの問題点と、持続的な補償制度の創設を求める声がある[14]。また、大阪府大東市では、生活保護を受けていた家庭で唯一就業していた長男が独立して家を出たことについて、この長男の行為について「世帯の独自立から遠ざかる行為である」と非難する内容の指導指示書を送っていたことが判明している。市は両親の代理人である弁護士から抗議を受け、指示書を撤回している[15]

また、水俣病患者の迅速な救済のため、厚生労働省2010年以降、一時金などを支給するようになったが、この一時金について、厚生労働省は「収入である」と判断し、一時金支給を受けている被害者が生活保護の支給を受けられなくなっているケースが多発している。こうした世帯は、熊本鹿児島両県で100世帯を超える数で存在している。かえって生活苦が増したとの被害者からの声が相次いでおり、有識者からは「実情に合わない制度である」として問題視する意見が多い。熊本県などは制度の見直しを要望しているものの、厚生労働省は「原則通りの運用であり、変更予定は無い」としている[16]2011年には、この影響で生活保護が受けられなくなった患者から、訴訟が起こされている[17]

また、東日本大震災の被災者が、義援金を受け取ったことにより、生活保護が打ち切られた事例があり、該当者による訴訟が起こされている[18]

他にも、最後の頼みとして相談に来た相談者に、「稼働能力がある(まだ、年齢が若い)[19]」、「扶養義務者がいる[20]」、「ホームレスである[21]」、「現住居の家賃が高すぎる[22]」、来所者が若い女性ならば「風俗嬢に身を投じても働くべし」などを理由に窓口で申請自体を断念させているという事例が多いとされている[23]

平成20年9月、リーマンショックが発生し、雇用失業情勢の悪化に伴い行われた内定取消し、非正規労働者の雇止め等が話題になる中、同年12月、厚生労働省前の日比谷公園において、市民ボランティアらが仕事と住まいを失った人々を対象に宿泊所の提供や炊き出し等の支援を行う、いわゆる「年越し派遣村」が開設された。失業により生活困窮者が増加すると見られ、「生活に困窮する方々を早期に発見し、本人の事情や状況に応じた支援を関係機関と連携して迅速に実施した」ため、平成21年3月、厚生労働省より「職や住まいを失った方々への支援の徹底について」(社援保発0318001号、平21.3.18)(厚生労働省社会・援護局保護課長)が通知された。

平成21年(2009年8月30日に実施された第45回衆議院議員総選挙の結果、自公連立政権から民社国連立政権への政権交代が行われた。同年末には日本国政府東京都により、「年末年始の生活総合相談」(いわゆる公設派遣村)が実施され、国の大規模宿泊施設利用者数は860 名、生活保護が決定した者は482名であった。平成21年12月、「失業等により生活に困窮する方々への支援の留意事項について」(社援保発1225第1号、平21.12.25)(厚生労働省社会・援護局保護課長)が通知された。本通知は、平成21年3月に出された通知等の趣旨を踏まえつつ、「速やかな保護決定」、「住まいを失った申請者等に対する居宅の支援確保」等について「留意し、効果的で実効ある生活保護制度の運用に努め」ることを促すものである。

派遣村に関する一連の報道及び厚生労働省の対応は、生活保護を受けることへの抵抗感を弱め、受給者増の一因になったとの見方もある[24]2012年2月現在受給者は過去最多を記録している[25]

厚生労働省によると、2010年度に申請された生活保護のうち、96%が受給を認められている[26]

法的な問題

生活保護法は保護を請求する権利(保護請求権)を無差別平等主義を保障している。また、行政手続法第7条では「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない」と定められている[27]

したがって、保護請求権を行使する具体的な方法である保護の申請は権利として保障されている。つまり、保護申請があれば福祉事務所は無条件に受理してすみやかに保護の要否についての審査を開始するというのが生活保護法の根本原則である[28]。生活保護は申請に基づき開始することを原則としており、保護の相談にあたっては、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎まれなければならない[29]

そして、生活保護の申請は要式行為(定められた形式で行うことが成立要件である行為)ではない。つまり、保護申請に「形式上の要件」はなく、申請の意思表示が行われれば、それが所定の申請用紙ではなく独自用紙によるものであろうと、口頭によるものであろうと、それだけで申請行為は成立する。従って、申請者が福祉事務所に対して申請意思を表示すればその瞬間に福祉事務所は原則14日以内に保護を開始するか却下するかの決定を行う義務を負うことになる。

福祉事務所においては、通常生活相談に来た人に対し、失業中の場合は雇用保険の失業等給付を受給できないか、65歳以上の場合は老齢年金を受給できないか、病気、ケガなどで障害を負った場合は障害年金を受給できないかなどの、他法優先の制度の趣旨説明の他に就労の可不可、扶養義務者の扶養義務などについて説明を行う。福祉事務所は必ず申請を受けて審査しなければならず、申請自体を拒むことは違法で、認可・却下の判断以外は許されない。にもかかわらず、一旦申請されてしまうと多くの場合、保護を開始しなければならないことから、違法に申請を拒否しているとの主張を、全国生活と健康を守る会連合会[30]日本弁護士連合会[31]などが行っている。日本弁護士連合会の2006年調査によると、福祉事務所に行ったことがあると答えた180件のうち118件で福祉事務所の対応に違法性が見られたとして、担当職員の「門前払い」の問題も指摘されることもある[32][33][34]

一部の役所・役場では、保護申請の書類自体が、訪れた人の手の届かない内部に置かれている(住民票の写し申請書などは、このような扱いはされていない)という[35]

水際作戦に対する訴訟

埼玉県三郷市

  • 生活保護申請拒否問題については、埼玉県三郷市の「生活ふくし課」が生活保護受給申請者に対して、1年以上にわたり生活保護申請を拒否され、生活保護が認められた後も理由なく打ち切られたとして、現在は東京都内に住む女性が、未支給の生活保護費を支払う様に訴えた国家賠償訴訟において、さいたま地方裁判所は、2013年平成25年)2月20日に判決を出し、三郷市が生活保護を申請する権利を侵害したと認定。2005年(平成17年)3月から2006年(平成18年)6月分の生活保護費など、三郷市に対して計約540万円の支払いを命じた。判決理由で「相談者が生活保護申請の意思があることを知りながら確認しなかったり、誤解を与える発言をした結果、申請することができなかった場合、生じた損害を賠償する責任がある」との判断を示した[36]

大阪府岸和田市

  • 大阪府岸和田市2008年に夫婦で転居した40歳の男性は、就職先が見つからなかったため、同市に対し同年6月から12月にかけ相次いで生活保護を申請したが却下され続けた。このため男性は却下処分の取り消しなどを求め大阪地方裁判所に提訴。2013年10月31日に同地裁は、就労能力の有無だけでなく、個々人の就労能力の程度についても個別に考慮する必要があるとした上で、男性の訴えを認め、同市に対し処分取消の判決を言い渡した[38]

政治・行政の背景

福祉事務所がこのような対応を行う背景として、昭和56年11月17日厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知 社保第123号「生活保護の適正実施の推進について」、いわゆる「123号通知」の存在が指摘されている[39]。ただし、地方議員などが同席したり、弁護士精神保健福祉士などが同席すると、申請書の交付が比較的容易になされる傾向にある。申請書の交付の遅延による申請の遅れにつき、審査請求において初回相談日を申請日とみなすと判断された事例もある。その他、最近は昔のように隣近所、地域の人達が食料やお金を援助するなどの助け合いがなくなった。親族でさえも(困窮や持ち家などの財産を死後に奪う目的で)援助を断る人が多くなったため、行政の負担が多くなったと指摘されている[40]

生活保護の申請に国会地方議員の口利き、介入があると役所の審査が通りやすくなるという問題の一例として、宮城県多賀城市公明党市議例がある。1999年5月から2003年6月にかけて、公明党市議の母親が生活実態がないにもかかわらず、生活保護を申請し生活保護費を不正に受給していた。本件では申請を行うため、公明党市議が自ら市職員に口利きを行ったことが確認されている。市の担当者が、公明党市議の母親の1年問の水道や電気の使用量を調べた結果、一般的な一人暮らしの数か月分しかなかったため、不正受給とみなし多賀城市議会は、公明党市議や親族に対して生活保護を打ち切った上で、市議会において返還請求訴訟を起こすことを賛成多数で可決した。全議員22名のうち反対は公明党議員2名だけだった[41]。また、週刊ポストの調査では、公明党市議の母親は以前居住していた塩竈市でも、同様の手口で生活保護費を受給していた事が確認されている。

なお、この問題に対して日本司法支援センター(法テラス)は、2007年4月から、生活保護申請時に弁護士が同行する事業を始めると発表した。

国民年金との比較

生活保護で給付される金額が、国民年金老齢基礎年金よりも多い事が指摘されている[42][43]

2013年度現在、1級地1地区では、居宅の70代以上老夫婦世帯の場合には年間約140万円に加え、家賃(上限の場合)約84万の支給となり最高で約224万円[44]となる。医療費はこれらに含まれない。老齢基礎年金はそもそも、老後の生活費が大体全部まかなえるようにするのは無理との考え方を最初から取ってると、1984年昭和59年)8月1日に、衆議院社会労働委員会で厚生省年金局長が答弁している[45]

生活保護制度の見直し

厚生労働省の生活保護見直し検討会議(座長は樋口美雄慶應義塾大商学部教授)は、近年問題になっている生活保護費不正受給、生活保護を受けている家庭より所得が低く貧窮している家庭の増加などを考慮し、生活保護費のうち、主に生活扶助の食料費などを減額を提言したが、日本国政府の方針としては、当面の間、見送りとなった[いつ?][要出典]

生活扶助基準については、2013年1月にとりまとめられた「社会保障審議会生活保護基準部会における検証結果や物価の動向を勘案する」という考え方に基づき、必要な適正化を図るため見直しが行われた。生活保護費のうち、主に生活扶助の食費・被服費等、光熱費・家具什器等に充てる生活扶助基準を減額することが決定した。2013年8月から順次開始され、約3年かけて、現行(2012年度ベース)に対して基準生活費の10パーセントを減額、削減する[46]。 受給者の一部は反発しており、引き下げは不当として行政不服審査法に基づく審査請求を1万人規模で申し立てる動きがあり、請求が却下されれば集団訴訟を起こす方針となっている[47]。 一方、2014年4月からの消費増税で物価上昇が見込まれるのに合わせ、政府は生活保護費を2.9%分引き上げる方針を固めた。支給額が年間1.2兆円ほど(国・自治体負担の合計)にのぼる生活扶助部分を上積みする[48]

加算制度廃止

母子加算

一定年齢以下の子供のいる、母子家庭に認められていた母子加算制度が、2005年度から段階的に縮小され2009年4月に全廃された[49]。それにより、子供の教育に支障が出ているとの声が一部母子家庭から挙がっている[49]。ただ、生活保護費の現金支給によって教育を考えるのか、奨学金制度の拡充といった面において教育制度を考えるのか議論はあるが、将来を担う子供達にまでしわ寄せが来るのは問題である。2004年宇都宮市でおきた、生活保護家庭の子の衰弱死問題も生活保護を受けている両親が改造車やコスプレ衣装に保護費を使っていたことが知られており、子の体内からセロハンテープが検出された[50]。現金支給が教育問題を全て解決する訳ではない。また子供への負担は一人親家庭・両親健全家庭のどちらでも存在するが、子供がいる両親健在家庭には加算されていないため、離婚(または偽装離婚)を助長し、恋人との間に新たな子供が出来ても、結婚をためらわせる原因となっている可能性もある。

生活保護母子世帯は、中卒・高校中退同士が離死別した場合が多く、その後非婚のまま出産する婚外子の出現率は25.7%と高くなっている[51][52]。前夫との問題との関連性や[53]、その子供も同じライフコースをたどる連鎖も指摘されている[54]。貧困の連鎖調査では、母子世帯は、出身世帯で生活保護歴のある割合が3割以上となり、特に母子世帯における貧困の連鎖が強い上、母子世帯生活保護受給率(13.3%)は他の世帯(2.4%)と比較して高い(2008年比)[55]

諸外国との比較では、日本は母子加算がないと子供への等価尺度での評価は低いが、母子加算後では北欧諸国と比較しても、生活扶助基準額は最高水準となっている[56]

母子加算は、2009年(平成21年)12月1日から民社国連立政権下で復活し、2010年度予算では183億円計上された。同時に50億円かけて対象が父子世帯にも拡大された。[57]

なお、加算に際しては世帯全体の構成員は考慮されない。このため両親・その他親族などと同居している場合や、自分の母もまたシングルマザーで18歳以下の妹弟がいる場合の二世帯母子家庭であっても、各ひとり親の母ごとに母子加算は支給されている[58]

母子加算は次の趣旨に基づき支給される。

「一方の配偶者が欠ける状況にある者等が児童を養育しなければならないことに伴う特別な需要に対応するもの。1類基準の飲食物費は、男女とも軽作業に従事する程度の就労状態を前提としているが、乳幼児をかかえる母親は中等程度以上の労働に従事しているものと考えるべきでその増加熱量分を補填する。
  • 食料費(配偶者が欠けることによる養育への負担が片親にかかるため)
  • 住居費(施錠の強化、防犯ベルの設置等安全維持のための費用)
  • 被服費(ひとり親であることから、PTA、町内会等外出の機会が多く、かつ身ぎれいにすることが必要)
  • 雑費
  1. 子供のしつけのためには、ひとり親でありながら、両親としての教養を身につけることが必要であり、その分の費用
  2. 児童の精神的負担をやわらげ、健全な育成を図るためにレクリエーション等の面で特別な費用が必要。入場料、交通費など。
  3. 近隣に託児を依頼することも多くなるがその分の費用。
  4. 家を空ける機会が多く、おやつ代等余分な費用が必要。
  5. 配偶者の供養料、墓参りのための費用。扶養相談等の交通費など目に見えない費用が必要。)」[59]

この趣旨に対しては、第7回社会保障審議会生活保護基準部会において、庄司委員が「明らかにこの説明のままでは国民的な合意が得にくいのではないか」「ひとり親であるという世帯の固有性と本当にリンクしているのかどうかということでいうと、説明になっていないというようなことがあるように思います」と発言している。[60]

厚生労働省は母子加算の打ち切りの代替措置として、母親に対する就業支援を実施している[49]。ちなみに、2009年4月に母子加算打ち切りとなった約5万世帯の内、約3万世帯が病気などによる就業困難世帯である[49]。このほか、生活保護を受給する有子世帯の自立を支援する観点から、2004年4月より、高等学校等の就学費用を給付することとしたが、[61]。有子世帯の7割は母子家庭である[62]ため、実質上母子世帯対策も含んでいる。

打ち切りに対し、日本全国で日本国憲法第25条生存権の侵害を根拠とした行政訴訟が提起されている[49]。2008年12月25日広島県内の32人が広島市などに決定取り消しを求めた訴訟の判決が広島地方裁判所であり、請求はすべて退けられ、原告控訴となった[63]

一方でこの問題に関して報道で取り上げられた加算対象の受給者の生活水準が一般的な勤労者世帯を上回っているのではないかとインターネット上を中心に指摘されている。例を挙げれば対象者が「母子加算があれば母子2人で月1回回転寿司で40皿分食べる生活が維持できた」、「水族館のために沖縄旅行に行きたがり、母子加算があれば行けた」など主張していることがあげられる。[64]

母子加算廃止の根拠とされた社会保障審議会の答申は廃止を提案したものではないとする報道がある。また、同じく廃止の根拠とされた統計についてサンプル数が少なかったことなどを指摘されて、厚生労働省が問題があることを認めたとの報道がある。[65]

後に、厚生労働省は2011年4月に全国生存権訴訟原告団・弁護団の両代表と厚生労働大臣が母子加算訴訟に係る基本合意書を取り交わした。[66]

しかし、母子加算を廃止すると同時に新設された高校就学費用の給付は継続しているため、高校生を持つ母子世帯の給付額は以前より高くなっている。2012年基準では1級地-1において、30代夫婦、小学生と高校生の子ども世帯では月額約30万円となるが、30代母親及び小学生1名と高校生2名の母子世帯の場合では約34万円[67]となり、同人数でも夫婦世帯より高額支給となっている。東京都区部では、1か月に生活保護費として26万2700円支給される。これと同額を、受給者に免除されている税・社会保険、NHK受信料を支払った後で手取りとして同額残すには、収入が38〜39万なくてはならない[68]

社会保障審議会生活保護基準部会 元委員は「貧困に関して国政レベルで調査を進める必要がある。わが国では、何の根拠もなく、気の毒だから、母子加算を復活させましょうかと言うことになる。貧困認識のぶれを少しでも小さくしないと、有効な政策を打ち出すことは難しい。」とコメントしている[69]

老齢加算

老齢加算とは70歳以上の高齢者が受給する生活保護費に対する加算である。1960年(昭和35年)の老齢福祉年金制度の発足と同時に設けられ、当初は月額1,000円であったが、その後年々増額され、2003年(平成15年)には月額17,930円となっていた(1級地の場合)。

老齢加算は「老齢者は咀嚼力が弱いため、他の年齢層に比し消化吸収がよく良質な食品を必要とするとともに、肉体的条件から暖房費、被服費、保健衛生費等に特別な配慮を必要とし、また、近隣、知人、親戚等への訪問や墓参などの社会的費用が他の年齢層に比し余分に必要となる」[70]との名目で支払われていた。しかし「単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費支出額について、70歳以上の者と60歳〜69歳の者との間で比較すると、前者の消費支出額の方が少ない」[71]と指摘され、2004年度から順次減額され、2006年度に廃止された。

老齢加算の廃止は生存権を保障した憲法に違反するとして、高齢者を原告とする訴訟が全国8都道府県で起こされた。一審・二審段階では合憲判決が相次いだが、唯一福岡高等裁判所だけが「違憲判決」を下した(原告勝訴)[72]。しかし、最高裁判所は、老齢加算について「厚生労働大臣の判断に誤りはなく、日本国憲法にも反しない」との立場を採り、福岡高裁の判決についても、2012年4月2日破棄・審理の差し戻しを求めた[73]

障害者加算

主に障害者手帳所持者を対象にしている。

リバースモーゲッジ

生活保護受給者が持ち家を所有している場合に、受給者の子などの親族が生存している時には援助する余裕があるにもかかわらず援助を断りながら、受給者が死亡すると受給者の持ち家を相続してしまうような状況が発生することに対する批判が存在しており、リバースモーゲッジの導入を求める声が生活保護の実務を担当する地方自治体からあり[74]、この制度の導入にはなお慎重な姿勢が求められつつも、高齢者の親を持つ子が相続を狙って財産保全のために生活保護を利用している事に批判がある[74][75]

上記のような批判をうけ、2007年4月から都道府県社会福祉協議会を実施主体とする[76]「要保護世帯向け長期生活支援資金」制度が創設(2009年10月には「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」と名称変更[76])されており、この資金の利用が可能な居住用不動産を有する高齢者世帯等については、本貸付金の利用を生活保護に優先させ、貸付の利用中は生活保護の適用を行わないこととされた。[77]

ワーキングプアと保護水準を巡る議論

バブル崩壊後の「失われた10年」「ロストジェネレーション」に代表される長期不況のため、社会の低所得層の収入水準が低下し、また生活保護の支給額が上昇したため、また、最低賃金が低いことから低所得層と生活保護受給者においては所得額が接近した。そのため、生活保護を受けている方が働くよりも収入が増える場合も多く(ワーキングプア)、これに反発する声もある[78]。また受給者は、生活費に加え、医療費や介護費の扶助、一部税金や、国民健康保険税の納税、介護保険料、国民年金料、NHK受信料などが免除になるため、場合によっては実質年収が400万円に達する場合もある[79]。夫婦と子ども4人の世帯であれば実質的には年収500万円のサラリーマン世帯を上回る金額を、税金から受け取ることになる[80]との試算もある。

諸外国公的扶助制度と比較した場合の30代単身世帯所得保障水準では、比較対象のスウェーデンフランスドイツイギリス日本の5カ国中、最高水準の額である。スウェーデンフランスに対しては、日本では約2倍の所得保障水準となっている[81]。カップルと4歳児の家族世帯においても各国より高額となっている[82]

また、多子世帯が生活保護を受給すると高額になる傾向にあり、大阪市では7人世帯で月約40万円の支給を受けている受給者をめぐり、平成16年度決算特別委員会で松田力市議が次のように質問している。「今、約40万でしょう。今働きにいって、すぐ40万とれませんで」「僕、マンション見に行きましたけど、あら、あきませんわ。そら新築や。これは立派なもんですわ」就労せず野球監督をする被保護者について「野球は構へんがな。地域の住民の者とけんかばっかりしてたらあかん。そういうことを含めて、まず就労してほしい。たとえわずかでも働かして、そしてやはり足らん分については、生活保護をまだ援助しやなしゃないなと。子供おるからね。そういうような形にしたら、みんな納得すると思いますねん。このままでは爆発しまっせ」と市に疑問をぶつけている[83][84]

朝日新聞では大阪府在住生活保護母子家庭で2児の母(41)が「月に29万円の生活保護では苦しい」と訴える記事が掲載されたが、ネット上では保護費が高すぎると批判が相次ぎ[85]、ネットアンケートでは600件以上の回答のうち9割がもらいすぎだと思っている[86]。もっとも、この金額(年収に換算すると348万円)自体を、単純に額面通りに比較すれば、他の先進国(特にEU諸国)の水準から見ても高額とは言えない可能性がある。例えば2013年4月現在、イギリスデーヴィッド・キャメロン首相の率いる与党保守党は、生活保護費の支給額を同国世帯平均年収の2万6000ポンド(当時の為替レートで約390万円)までに制限するとの政策を打ち出していることからも、そのことがうかがえる[87]。なお、イギリスにおいては、食料品等の生活必需品の物価は日本と比較すると低水準であること[88]、付加価値税(日本の消費税に相当)の税率が物品により高率であること[89]を勘案すれば、イギリスの生活保護費の支給額の水準は、単純に額面を比較する場合よりさらに高いものである可能性も指摘できる。

イギリスにおいても、10人の子どもがいる夫婦が年間年収約893万円に相当する給付を受けていることの報道[90][91]や、5人の女性との間に17人の子供を持ちながら働かずに生活保護で暮らしていた男が、元愛人を殺害しこの女性との間にできた子どもの親権を得る目的で自宅に放火し、子ども6人を死なせている事件が起こり[92]、労働賃金に対して高額になりうる公的扶助制度に対する世論の批判が高まった。sun新聞でも18歳と21歳の無職カップルが4ヶ月の子どもを持ち、子どもや住宅・失業の手当てで年270万円となる福祉よりも働くほうが安くなる、と語ったと報道する[93]など福祉制度に批判的だった。政府が2013年4月からの制度改革を打ち出し、キャメロン首相はSun新聞で「真面目に働いている人たちよりも生活保護受給者のほうが収入が多くなる例が発生する状態は『狂っている』」と述べ、「生活保護制度が本来の目的から逸脱し、本末転倒の事態に陥っている」と批判して制度改革を擁護している[94][95]

スウェーデンでは社会扶助の受給資格がきわめて厳しく、所有物を基本的に売却しなければならず、家や土地はもちろん、自治体によっては車・コンピュータも売却対象となり、また少しでも労働能力があれば就労プログラムへの参加が強いられる。90年代の経済危機により失業者が増加し社会保障受給者が増え、社会扶助にかかるコストの増加、受給者数の増加、さらには受給年数の長期化という3 つの要因によって「スウェーデンモデルの崩壊」が叫ばれるほどであった。その結果、社会省が1999 年から2004 年までに社会扶助受給者数を半減する目標を設定した。同時に社会扶助受給者の増加を分析したところ、無年金者の問題があり、年金支給要件の変更でその部分は減少を見た。しかし、年金のスキームに移行できなかったグループがおり、それが若年と母子世帯の社会扶助長期受給だった。雇用能力が著しく低い者、就労の期間が著しく短い者については、スウェーデンでもパート以外に就労の機会がなく、十全な社会保険に加入できず社会扶助を受けている。そのうち若年と母子世帯の社会扶助受給者にはきわめて多様なケースが存在しているという。非常に多いのが、社会保険でもカバーされないような軽度の知的障害者、社会活動に不可欠なコミュニケーション能力が欠如している者(軽度の学習障害の場合、大学卒業も可能だがその後の就労の機会に恵まれない事例が多い)、それからDV や児童虐待を受けてきた者、あるいは薬物中毒者・アルコール中毒者である。こうした人びとは、医師から雇用能力があると診断されながら、実際に就労支援を行っても有効に機能しないという事態が起きているという。長期受給者の増加によって、社会扶助受給世帯の子どもも社会扶助受給者に陥るような、貧困の世代間継承の事例も存在することが確認されている[96]

デンマークでも、16歳から受給開始した36歳のシングルマザーが特段の問題なく就労せずにフルタイム労働者よりも多額の生活費(約30万円)を福祉で得ていたことに端を発した問題[97]と就職を避け、10 年以上も働かずにいて保護を受給していた男性が申告せずに就労していた問題から論争が起こり、2014年1月からは生活保護制度改革となって、30歳未満の生活保護対象者は、手当受給のために職業訓練を受けることが必須となった。また30歳以上の対象者は、手当を受給するためには何らかの労働(主に、公園や道路の清掃など)を行うことが前提条件となった。また、これまでは、夫婦のうち一方が無収入でも、もう一方の配偶者に一定の収入があれば、生活保護支給の対象から除外されていたが、これは同棲しているパートナーたちには適用されなかったが、今回からは、同居パートナーにも適用されることになった[98]

現在生活保護を受けていない低所得層の多くは、実際には、「稼働能力を活用していても収入が最低生活費を下回る」などの生活保護の開始要件を満たしており、申請すれば生活保護が開始されるにもかかわらず、そうした知識を持っていない為に生活保護の受給を申請するという発想が無いという問題が指摘されている[99]。ちなみに、世帯所得が生活保護支給基準以下となるケースの内、実際に支給を受けている割合(捕捉率)は、複数の研究において、いずれも約10~20%となっている[100]厚生労働省の推計は年全国消費実態調査、国民生活基礎調査という複数データを利用した試算となっているが、2007年時点国民生活基礎調査では資産を考慮せず試算した場合、生活保護支給基準以下の所得で受給していない世帯は597万世帯であるのに対して、実際に支給を受けている世帯は約108万世帯であり、保護世帯比は15.3%(108/705万世帯)となる。しかし資産を考慮した場合では、なお保護基準以下となる世帯は229万世帯となるため、実際に必要な世帯に対する保護比は32.1%(108/337万世帯)と推定している。[101]。 日本政府は1964年度までは低消費水準世帯調査という貧困調査を行っていた。2009年には45年ぶりに相対的貧困率の公表という形で貧困調査を行った[102]

各国の公的扶助の国際比較を分析し、日本の扶助給付水準はトップクラスだが給付総額や人数が少ないのは、国が水準を下げて要件を緩和するより、給付の総額が少なくて済むという財政的な分析もある[103]

総合開発研究機構の2008年段階の試算レポートによると、就職氷河期の人々について、働き方の変化(非正規の増加と、家事・通学をしていない無業者の増加)によって生じる潜在的な生活保護受給者は77.4 万人、それが具体化した場合に必要な追加的な予算額累計約17.7 兆円〜19.3 兆円となる結果が導き出され、これが現実となれば社会的にも深刻な影響を与える規模であることが予想されている[104]。実際には、この他にも医療扶助などさまざまな扶助が加算されるのが通常なので、毎年1兆円超の追加財政負担が必要となるものと想定される。しかも、このレポートの基となる試算は2006年のデータを用いて行われているが、この時期はリーマンショック以前であり、かつ経済成長率も2%近くあったことを勘案するとより結果は深刻であり、現在の生活保護費3.7兆円が今後も持続するものとすると、就職氷河期世代の生活保護制度への本格的な参入により、少なく見積もっても約5兆円にまで膨らむこととなるが、これは消費税率2%に相当する[105]との指摘もある。

地域格差問題

生活保護の受給の難しさには地域較差があるとされている[誰によって?]

厚生労働省が発表した平成17年の厚生労働白書によると、富山県の保護率が全国一少なく(保護率の高い北海道や大阪府との差は約十倍)、同県が各種統統計上で生活保護の対象となる家庭が少ないこと示唆されている。たとえば持家率、住宅延面積、世帯当たりの所得で全国1位の座を保っており[106]、世帯当たりの自動車保有数や共働き率等で上位を占める。

また、生活保護者数の人口比が最も高い大阪市では、人口の約4.47%(約12万人)が生活保護を受給しており、市財政において市税収入6868億円[107]に対し、生活保護費が2443億円である[108]

生活保護法(旧法)が戦後立案されるにあたり、全額を国庫負担とすると選挙などをにらみ、地方自治体が無責任に支給を増やし濫給するのではないかとの厚生省判断によって歴史的に地方自治体負担があり、保護率が上昇すると自治体負担が重くなる仕組みとなっている[109]

外国人受給者問題

国籍別外国人生活保護受給世帯数(2010年(平成22年)度)
国籍 世帯数
韓国北朝鮮 27,035
フィリピン 4,234
中華人民共和国 4,018
ブラジル 1,455
ベトナム 603
アメリカ 110
カンボジア 63
その他 2,511

1954年(昭和29年)5月8日に出された厚生省社会局長通知により、生活に困窮する外国人に対して当分の間、生活保護法を準用して保護費を支給する方針となった。しかし、権利としては認められないため、不服申立てをすることや訴訟で争うことはできないものとされている。また、1990年(平成2年)10月25日に厚生省社会局保護課企画法令係長による口頭指示という形で対象となる外国人を永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者、認定難民に限定するようになった。

自民党の片山さつき参議院議員によれば、「生活保護費は2010年度で3.3兆円。このうち仮試算で1200億円弱も外国人に払っている。保護率は日本人の2、3倍。3分の2が朝鮮半島出身の方だ」と語っているとジャーナリスト・安積明子は伝えている[110]。 さらに片山によれば、「最近、在日外国人の生活保護受給の伸びが著しい。全生活保護受給者に占める外国人の割合が増えている。2005年度には3.18%だったが、2011年の速報値では3.52%まで上昇した」とのことである。 [111]。2012年には外国人の生活保護受給世帯が4万29世帯となり、前年度から約5000世帯増加し、過去最多を更新したとみられる。なお、外国人が世帯主の受給者数は6万8,965人となっている[112]

日本国政府地方公共団体の判断によって、多くの外国人へも生活保護が支給されている。日本国籍を有しない被保護世帯数は32,156世帯で、被保護実人員は51,441人である(いずれも1ヶ月平均、平成20年度) [113]。これは、被保護世帯総数の約2.8%を占め、被保護実人員総数の3.2%を占める [114]

国際結婚恋愛の破綻により外国人母子世帯は全国で7千世帯となっており、増加傾向にある[115]。外国人は自然災害や自己都合で帰国するが、携帯電話は国際ローミング契約をすれば、海外で使用できるうえ、保護費が口座入金の場合には国際キャッシュカードやVISAデビット、JCBデビットカードであれば引き出しが海外でも可能なため、不在が見過ごされがちで福祉事務所では出国の事実を把握しきれていない。東日本大震災時にも地震や原発の恐れから多数の外国人母が帰国し、子どもを置き去りにした事例もあった[116]。世帯の帰国が長期に渡る場合は、不正受給となる。

厚生労働省の統計によると、生活保護受給率(世帯数ベース)も、国内全体で3.1%(2014年7月受給者/2010年国勢調査)であるのに対し、在日韓国・朝鮮人の世帯では14.2%(2010年)という突出した数値となっていることが報道されている[117][118]。これについて八木秀次は「韓国や北朝鮮はこれまで自国民(在日韓国・朝鮮人)の保護を怠ってきた。一方で、生活保護を担当する地方行政に対し、こうした権利を求める圧力団体の影響が大きかった。事実として外国人が優遇され、それが高い生活保護率の数字に表れている」とコメントしている[119]

外国籍者への保護支給裁判

2008年12月に、永住許可を持つ大分市内の中国籍の女性が市に生活保護を申請したが却下され、女性は不服として訴訟を起した。

2010年10月18日大分地方裁判所 (一志泰滋裁判長) は「外国人には生活保護法の適用はない。永住外国人も同様」「外国人の生存権保障の責任は第1次的にはその者の属する国家が負うべきだ。永住外国人でも、本国に資産があるかどうかなどの調査が難しく無条件に保護を認めることになる」とし、生活保護法の適用は日本国籍を持つ者に限られるとして請求を棄却した[120]。弁護団によると、永住外国人に対して生活保護の受給権を認めないと明示した判決は初であるという。

また同裁判において請求の根拠とされた1954年の厚生省社会局長通知については「通知に基づく保護の性質は(行政側から外国人への)贈与。(今回、大分市は)贈与を拒絶しており、女性に生活保護の受給権はない」として却下した[120]

この判決に対して女性は控訴。2011年11月15日福岡高等裁判所(古賀寛裁判長)は「難民条約の批准や外国人に対する生活保護の準用を永住外国人に限定した指示(1990年)により、国は一定範囲の外国人も法的保護の対象とした」と判断。その上で、女性は生活保護が必要な状態だったと認め、訴えを退けた一審判決を見直し、大分市の却下処分を取り消した[121]

大分市はこの控訴審判決を不服として最高裁に上告。2014年7月18日、最高裁第二小法廷は「永住外国人は生活保護法の適用対象ではない」との初判断を示し、その上で、永住外国人も生活保護法の対象になると認めた2審福岡高裁判決を破棄、女性側の逆転敗訴を言い渡した[122][123][124]。4人の裁判官全員一致の結論であり、最高裁第二小法廷は「生活保護法が適用される『国民』に外国人は含まれない」と指摘、「外国人は行政による事実上の保護対象にとどまり、法に基づく受給権は持たない」と結論づけた[122][123][124]

なお、同女性は別の裁判で、外国籍の者は生活保護法上の行政処分に対する行政不服審査法に基づく不服申立てができるとの判決が確定している。

朝鮮人生活擁護闘争

生活保護と住民税免除を要求して長田区役所を襲撃する在日朝鮮人(1950年11月27日)

戦後の1950年に起こった長田区役所襲撃事件などをはじめ、在日朝鮮人による「朝鮮人生活擁護闘争」が盛んになった。背景には1949年から始まったドッジ・ラインによるデフレーションがあった。在日朝鮮人にも失業者が激増するなか、朝鮮人は地方税の減免や生活保護の適用を求めるために、各地の役所に押しかけるようになった。1950年長田区役所襲撃事件1951年下里村役場集団恐喝事件など、主に在日朝鮮人を中心とした外国人による生活保護費受給を求める騒乱事件が起こった。1952年には万来町事件がおこり、在日朝鮮人を中心とした外国人による生活保護費の増額を求める騒乱事件も起きた。

諸外国籍者の受給問題

  • 2010年、大阪市西区に住む中国福建省出身の姉妹の親族とされる中国人53人が日本への入国直後、大阪市に生活保護の受給を申請した問題が発覚した[125]法務省大阪入国管理局は大阪市に対し在留資格の再調査を行うよう指示した[126]。大阪入管の調査で、入国してから3か月以内に生活保護を申請した中国人のうち8名が、申請書の職業欄に「生活保護」「無職」、扶養者のところに「区役所」と書いていたことが発覚した[127]
  • 2013年2月18日群馬県大泉町でフィリピン人母が子どもたちを残して帰国中、3歳児が死亡したのを中学生の姉が通報した。胃に内容物がほとんどなく餓死の疑い。世帯は前年9月から生活保護を受給中であったが、母は帰国をケースワーカーに報告せず、子どもも母の不在を周囲に告げなかった[128][129]。この長女は保護責任者遺棄致死の非行内容で前橋家裁に送致された[130]。女児はフィリピン人母とインド人の父の間に生まれた子どもで、フィリピン国籍だった[131]。外国人が子どもを持って日本人と離婚、または日本人から認知を受けて出産した場合にはその子どもは日本国籍を持ち生活保護受給権があるが、その家庭に新たに外国人同士の子供が生まれ日本国籍を持たない場合では、その子は生活保護の外国人への法の準用を受ける[132]に過ぎず、国籍が違えば兄弟間でも生活保護の法的根拠の違いが発生する。
  • 国際結婚・恋愛の破綻により外国人母子世帯は全国で7千世帯(2010年)となっているが、その4割をフィリピン人が占めている[133]。外国人は震災や自己都合で帰国するが、携帯電話は国際ローミング契約をすれば、海外で使用できるうえ、保護費が口座入金の場合には国際キャッシュカードやVISAデビット、JCBデビットカードであれば引き出しが海外でも可能なため、不在が見過ごされがちで福祉事務所では出国の事実を把握しきれていない。世帯の帰国が長期に渡る場合は、不正受給となる。
  • 2011年3月には福島第一原子力発電所事故を受け、政府の指示を超えて自主避難が広がる中、生活保護を受ける外国人が日本人との間に生まれた子供を置き去りにして帰国するケースが相次いだ。関東地方の市の福祉事務所では中国籍の40代の母は「祖父が危篤で帰国する」と電話をしてきたが、自宅に残された高校2年と中学2年の子供に担当者が事情を聞くと、母は「原発が怖い」と中国へ帰ったという。このような帰国は少なくとも東日本の84福祉事務所で64件にのぼり、中国、韓国、フィリピン、タイ人などで、中国人が最も多かった。永住資格などを取得後に日本人男性と離婚した母子家庭や単身女性がほとんどを占め、子供と帰国した人が多い一方、友人の中国人や日本人へ預けて帰国したり、子供を置き去りにしたネグレクトも少なくないという。申告者はみな一様に「祖父母が危篤で」と言って帰国し、黙って帰国する方が多く実態がつかめないと福祉事務所の担当者は語っている[134]
  • 外国人の受給者が海外に資産を持っていても、調査に限界があり、2013年1月には約4100万円の資金を隠し不定受給で大阪府警に逮捕された中国人夫婦が「中国に持っていたマンションを売却して金を得ていた」と供述した事件も起こっている[135]。神奈川県大和市では2013年3月にベトナム人母子家庭が収入の有る同国人と同居し申告せず、不正受給をした事件もあった[136]
  • 2013年5月には東京・歌舞伎町の韓国人クラブの経営で、少なくとも1億2700万円の売り上げがありながら無収入を装い生活保護を受給していたとして、警視庁は詐欺の疑いで、クラブ経営で韓国籍の女性(54)を逮捕した[137]
  • 東京都足立区では、2014年2月韓国籍の女性による1億を超える不正受給が発覚しているが[138]、足立区は2013年9月から、公式サイトで「昨年度足立区において、不正受給と認められた額から返還額を除いた未収入額は、263世帯、1億6,700万円余という莫大な金額に上ります。」「不正受給が後を絶ちません」と訴え、また就労実態把握については「国からの通知により、日没以後の受給者宅への訪問は原則行わないよう規定されていることもあり、許される範囲で就労事実を把握する困難さも指摘されています。」と、その困難さを述べている[139]
  • 2013年11月には昭島市で韓国籍の男(66)と内縁の妻(61)が実際の所得よりも低い額が書かれた給与明細書を提出し生活保護費を約578万円を市からだまし取った疑いで逮捕された。「月に5万円をパチンコに使うなどして金がなくなり、生活資金に充てていた」などと供述していた[140]
  • フィリピン人夫婦の夫が港湾作業員として働いて収入分を不正受給し逮捕された横浜市の事例[141]や日本人配偶者のフィリピン人妻が清掃やスナック勤めをした分を不正受給して逮捕された東京都の事例もある[142]

医療扶助の不適切受給

医療扶助は年間約1.5兆円で、生活保護費のおよそ半分を占める[143]。投薬回数や診察回数に関わらず、受給者なら本来の自己負担分はすべて公費負担となる[143]。医療扶助に狙いを定め、受給者を「金のなる木」のように祭り上げる医療機関は少なくない[143]不必要な検査や注射を繰り返したり、医薬品を過剰処方したりする“たかり”の構図となっている[144]

  • 医療法人雄山会「山本病院」(奈良県大和郡山市、廃院)は、受給者の患者に不要な心臓カテーテル手術を繰り返すなど医療扶助ほしさに健康な体にメスを入れていた(山本病院事件)。
  • 2013年12月には、診療報酬を21回にわたって架空請求し計約124万円をだまし取ったとして、神奈川県の歯科院長が逮捕された。生活保護受給者12人の虫歯治療などを行ったと偽り請求していた。院長は国民健康保険などでも不正請求をしていたとされている[145][146]

医療扶助による向精神薬の不正入手

2010年2月、大阪市において医療扶助受給者が複数の医療機関を受給し向精神薬を営利目的で大量入手するという問題が起こった[143][147][148]。それを受けて厚生労働省が実施した受給者サンプリング調査で、同一月に複数の医療機関から向精神薬を処方されていた患者について、そのサンプル中70.3%が不適切受診であった[148]

そのため厚労省は2011年に「生活保護法の医療扶助の適正な運営について」[149]を通知し、福祉事務所は、受給者が複数の医療機関から重複して同一薬を処方されていないかレセプト検査実施の義務を担うこととなった[150]

しかし会計検査院が2014年末に受給者のレセプトを検査したところ[143]、1ヶ月あたり30日分以上を処方された者が66.3%、さらに180日分以上を処方されたものが1.5%存在した[150]。また福祉事務所が数度に渡り改善要求を出したにもかかわらず、引き続き重複処方が改善されない事例もあった[150]。そのため会計検査院は厚労省などに対し、重複処方が改善されない受給者に対しての方策を検討をするよう勧告している[150]。2014年の厚労省調査によれば、向精神薬を3剤以上同時に処方される「多剤処方」を受けている割合は健康保険組合加入者の4倍である[151]

生活保護の不正受給

生活保護の世代間連鎖「貧困の連鎖」

生活保護ビジネス

暴力団との関係

厚生労働省は2006年4月から、暴力団構成員の生活保護費受給を認めない方針を固めた。高齢化の進展などで生活保護給付費が増加し続ける中、保護費が暴力団の資金源になる恐れがあるとして、社会正義上問題が大きいと判断、給付費の抑制を図っている[152]。しかし、大阪府警察によると、2008年は暴力団員による不正受給の摘発はなかったが、2009年に4件、2010年に件、2011年は7件と増加傾向をみせ、西宮市でも保護費約160万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕した山口組系組員(40)が摘発されている[153]宇都宮市では無職の男(63)が暴力団員の身分を隠して生活保護費を不正に受給していたとして、詐欺容疑で逮捕されている。受給当時、男は住吉会系暴力団幹部で生活保護費計約213万円をだまし取った疑いがある[154]。 北海道滝川市では元暴力団員の夫婦にタクシー代などとして約2億4千万円の公金を支給し続けたなどの問題も起こっている[155]

大阪府警や北海道警、神奈川県警など5道府県警に2012年1〜11月、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕されるなどした容疑者らのうち、約2割が生活保護を受給していたことが分かり、覚醒剤など違法薬物はほぼすべてが暴力団の資金源になっているため、警察庁幹部は「生活保護費という公的資金の一部が密売を通じて暴力団に流れている」と指摘している。また警察庁によると、薬物事件で過去に摘発された生活保護受給者のうち7割以上が同様の薬物事件で再び摘発されるなど、再犯率は非常に高い[156]

生活保護受給者は、保護費以上の収入を求めたり、ギャンブルに負けて生活費がなくなり、謝金を重ねたりしているうちに麻薬の密売組織に取り込まれることがあり、また、自身が薬物依存症でその購入費が欲しいケースなどあり、さまざまな理由で密売組織の手先になり、働く受給者が多いという。違法行為に抵抗感がなくなっている受給者が増えていて、組織にとっても使いやすい道具になっている。「受給者が捕まっても、また何年かして外に出て、また生活保護になる。」「要するにトカゲのしっぽ切り。自分らの組まで(摘発が)こなければいい」と元暴力団関係者はNHKインタビューで語っている[157]

大阪府守口市では、大麻取締法違反罪で起訴されていた女が、同居する内縁の夫の収入を申告せず、子供3人と自分の保護費を不正受給したとして内縁の夫(大麻取締法違反罪で起訴)と共に逮捕された。保護費は半分以上はパチンコ代に消えたという[158]

他面、暴力団を脱退したにもかかわらず、警察情報によれば暴力団員からの脱退が認められない(明確な形で脱退の証拠が残されないケースにおいては、警察は脱退扱いとしない、として生活保護が受けられず、暴力団からの脱退が阻害されることもありうる。暴力団員該当性認定が裁判手続において逆転した例もあり、現場は困難な判断を迫られている[159]

福祉職員の抱える問題

厚生労働省は平成17年、生活保護現業員(ケースワーカー[160])の配置数不足が増加傾向にあるとした[161]2000年の配置定数に対する現業員不足数は354人であったが、2004年には1198人になり約3.4倍となっている。

東京都は2004年6月に「生活保護制度改善に向けた提言」の試案を発表し[162]、保護率の増加に現業員の配置が追いついておらず一人当たりの担当世帯数が増加していること、現業員の経験不足や社会福祉主事の資格を持つ担当者の絶対数や質の低下を指摘している。

地方自治体の職員にとって生活保護事務は事務処理の膨大さ(単に訪問業務をこなせば良い訳ではない[163])や前述の北九州市のように申請を簡単に受理すると人事考課が下がる(市は否定)、申請者からの恫喝や脅迫など安全面[164]から敬遠される傾向の高い業務の一つであり、結果的に公務員としても経験が不足している新人職員が配置されることも少なくない。

福祉事務所では新任の配属者が自殺したり、訪問先で覚醒剤を使用した被保護者から首筋目掛けてナイフで突かれるなどの暴力事件なども起こる。感染性の高い病状の被保護者宅にも訪問調査をしなくてはならない。失禁処理や被保護者の死亡の第一発見者になることもある[165]。訪問先で包丁を机に刺した状態で面談したり、包丁を突きつけられて恫喝されたり、担当している被保護者が地下鉄で老人を「肩がぶつかったから」という理由でホームから突き落としたなどの状態にも遭遇する。このため、大阪市の元ケースワーカーはその仕事を「命の危険性まである『一般事務職』だという[166]堺市では女性ケースワーカーが単身男性の生活保護受給者宅を定期的な調査のため訪問したところ、当該受給者が玄関のかぎをかけた上にケースワーカーの体に触れようとする事件や、男性ケースワーカーも訪問面談時に刃物を突きつけられた事案、突然の暴力で顔面に負傷するというケースワーカーに対する暴力事案も発生したため、GPS付の携帯電話が支給された[167]

2012年8月には大阪市で親の遺産で収入を得たため、保護費の一部返還を求められた元受給者が「納得がいかない」などと応じず、生活保護費の返還を求められたことに腹を立て、区役所職員を千枚通しで刺した[168]。 2005年1月には、長崎市の福祉事務所において、ケースワーカーの指導的立場にある査察指導員が、生活保護の再受給の相談に来た男性にナイフで刺され死亡している[169]
福祉事務所では、近隣住民や親族からの苦情や陳情、それにまつわる暴言や威嚇行為は日常茶飯事な現場からはベテラン公務員は逃げ出し、厳しい職場環境でうつ病に冒された病休者と、仕事を片付けるのに手一杯な若手職員が残される悪循環が続いていっている[170]
また、暴力団ケースが多かった地区では、その状況を一掃するために、脅しや報復を避けるためケースワーカーは合宿し、家族は市外の実家か親戚に預けたという[171]。ケースワーカーが組員と間違われて撃たれそうになったりもした[172]
2011年1月、朝霞市では市の男性職員が、40歳代の受給者から花瓶を投げつけられ、頭にけがを負った。余分に支給された生活保護費の払い戻しを求めたことがきっかけだった[173]
2012年8月に大阪では、生活保護を申請済みで最終的な確認などを終えれば申請が認められる見込だった男が灯油の入ったペットボトルを持参し、放火予備容疑で大阪府警に逮捕された。「男は「火をつけるつもりはなかった」としながら「(職員と)もめたら灯油をかけるつもりだった」と供述した[174]
大阪市浪速区では2012年12月、不正受給を繰り返した男が生活保護の打ち切りを通知した保健福祉課の男性係長の顔に1回頭突きをし、公務執行妨害の疑いで逮捕されている[175]

2012年4月川崎市大師支所内にある福祉事務所で、男が液体をまき火を付けた。男は生活保護受給者で、住んでいたアパートを同日に退去したため、職員が窓口で生活保護受給権が消失したことなどを告げると、男は待合スペースに移動し、「死んでやる」と叫んで火を付けたという。酒に酔った状態だったという[176]

2011年4月5日神戸市では「財布を落とした」などと前倒し受給を要望した男(21)が断られたことに立腹し、神戸市職員を刺したとして殺人未遂などの罪に問われた事件が起こっている[177]
2013年4月18日に兵庫県加古川市では生活保護担当の市役所職員が相談に訪れた男に刃物で刺され、重傷となった[178]。市の福祉部長は「男は生活保護の要件を満たしていなかった可能性が高く、受給が難しいことは説明していた」と述べている[179]。なお、障害年金を含め、生活保護の受給申請者に資産または収入があること自体は、「必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえない」(生活保護法第八条)範囲において、法的には支給が妨げられることはない[180]。容疑者は精神疾患で、市の生活福祉課では定期的な傷害年金の見直しによってその受給が「『なくなる』という(男の)申し出によって、生活保護申請に必要な要件の説明資料を渡したが、双方の制度の内容が理解されなかった可能性がある」としている[181]
2013年4月22日に茨城県鹿嶋市では、生活保護受給者から呼び出しを受けて訪問した市職員が刃物で腹部を刺されている[182]
現場では、生活保護受給者には覚醒剤利用者も存在している[183]という問題もある。

このような生活保護関係の業務に絡むトラブルを防止し、職員の安全の確保[173]と、また原則受給が認められない暴力団員からの申請を却下したり、ケースワーカーに威圧的な態度を取る元暴力団組員への生活指導を円滑にしたりするため[184]に、各市町村が警察官OBを採用するケースが多くなっているが、人手不足を背景として、これらの自治体の一部が、法律上必要な資格を取得させないまま、ケースワーカーなどの業務に就かせていることが判明している。厚生労働省社会・援護局保護課は「警察官OBの不適正な活用をやめるよう周知したい」としている[185]

福祉事務所の放火があった川崎市では、警察官OBの役割について「職務内容は暴力団員などからの行政対象暴力に対する生活保護担当職員への研修の実施などである。現在は各福祉事務所を巡回し行政対象暴力の内容の把握などを行っており、24年度中に不正受給防止の統一的なマニュアルを作成していく。」としている[186]

日本弁護士連合会は「福祉事務所の現場には、『受給者とのトラブル抑止のために警察官OBがそばにいてくれたら心強い』という声もあるようである。その背景としては、生活保護利用者の中には、障害など様々な問題を抱えており、意思疎通がうまく図れない人もいて、窓口でトラブルになることも少なくないという事情があると思われる。」としつつも、「職員の専門性と経験の欠如から来る,生活保護利用者との間のトラブルを解決するために、警察官OBをいわば用心棒的に配置して、力で押さえつけようとしても、問題解決につながらないことは自明と言えよう。」「ケースワーカーの増員と専門性の強化こそが必要」と結論づけている[187]

福祉国家スウェーデンでも福祉職員は同様の問題を抱えている。エンショピング市への聞き取り調査では近年社会扶助申請者が申請却下されたことに腹を立て、ソーシャルワーカーに暴力を振るったり、殺人事件を起こすなどのケースがあったため、福祉事務所の窓口の職員と申請者の間に鉄道駅の切符販売窓口などで使用されている透明な衝立を立てたという[188]。現地職員は、「麻薬常習、薬物、精神障害などを対象とする職場では、ソーシャルワーカーが危険にさらされることがあり、ボディーガードをつけるわけにはいかないから、せめて2人1組で動く体制をとるしかない」とその危険性について発言している[189]

現業員の配置定数は、1951年に制定された社会福祉事業法(現:社会福祉法)から変更されておらず、その間にも介護保険制度の創設など現業員の業務は増加している。また、生活保護の他法優先の原則によって、現業員には広範な福祉制度に対する高い知識力が求められる。これら現業員の質をいかに高めるかについても大きな課題となっている。

雑誌「公的扶助研究」における福祉川柳事件

1993年6月、福祉事務所で生活保護を担当するケースワーカー等で組織する「公的扶助研究全国連絡会」の機関誌「公的扶助研究」が、「第1回福祉川柳大賞」を企画し、福祉職員による福祉川柳を掲載した。その際に「職場外では話題にできない思いを、川柳に託して表ざたにし、成仏させてやろう」という目的が記され、「マスコミ関係者の目に触れぬようご注意ください」という注意が添えてあった。のちにマスコミに発覚し、障害者団体など20の団体が発行元に抗議、批判を受け雑誌は一時休刊、発行団体も事態の総括を余儀なくされた事があった[190][191]福祉川柳事件ともいう[192]

朝日新聞天声人語は「これは川柳ではない。五七五で、悪口を言い、不満をぶちまけたもの」としたうえで、「抗議した人は、仕事上の緊張や不満を解消したかったのかも知れないと言いながら『良心的な人たちだと信じていたケースワーカーが、実はこんなことを考えていたとはショック』だと告白している。本音を言うか言わないか、それだけの問題だと考える人もいるかも知れない。しかし、いやな仕事だと思いながら福祉の事業に携わっている人ばかりではないだろう」と記しているが[193]、前節にもあるように福祉職員の厳しい労働環境の問題もあり、朝日新聞は、こういったことには言及をせず批判したことで福祉の現場を配慮しないものとしてさらに批判をうけた[194][195]

生活保護受給者のギャンブル

2013年3月15日、生活保護の受給者がギャンブルで浪費する例があることを背景に、兵庫県小野市において受給者がパチンコなどのギャンブルで浪費することを禁止し、市民にそのような受給者を発見した場合には情報提供を求める「小野市福祉給付制度適正化条例」が、市議会常任委員会で全会一致で可決された[196]。これについて日本共産党などからは「監視社会」になるとの批判が起きたが、蓬莱務市長は「条例案で生活保護への無関心を改めたのは大変な成果。市民は冷静で、当たり前のことだと分かっている」とし、施行後の調査では市に寄せられた意見2700件程のうち、市民からの反対意見は1%以下にとどまっていることがわかり、また市によると、2013年5月、17の自治体から小野市に視察要望を求めていることが伝えられた。これらについて市長は「市民の圧倒的多数から支持されたと受け止めている」「生活保護制度について『無関心から関心へ』という効用もあった」としている[197]。なお、日本中央競馬会(JRA)はPAT方式電話投票(A-PAT、電話回線やインターネットを使って購入する投票形式)について、加入者の資格について生活保護利用者を欠格の対象としている[198]

同様にスポーツ振興くじのインターネット投票会員の会員資格に関しても、生活保護利用者は欠格の対象としている。

生活保護受給世帯への自動車の禁止

生活保護を受給すると自動車の所有・借用・運転が禁止されるが、1998年5月26日、大牟田自動車裁判判決において福岡地方裁判所は『車の所有・借用・運転に関しては現在の法律では定義されておらず現行の運用基準はあまりにも厳しすぎる』と批判し、制限を緩和するよう厚生省に運用の転換を求めている[199]

生活保護世帯の高校生のアルバイト

生活保護費からは修学旅行費や部活動費などは支給されないため、修学旅行費や部活動費などを確保するためにアルバイトで得た収入が課税調査で福祉事務所に発覚し、不正受給認定(生活保護法第78条が適用)され、過去に支給された保護費を一括での全額返還めぐって福祉事務所とトラブルに発展し、訴訟問題になるケースがある。[要出典]

脚注

  1. ^ 東京都中野区では900億円の予算のうち100億円が生活保護に関する予算(それを担当する職員、議員、対応に要する経費は除く)となっている。
  2. ^ a b 日本弁護士連合会貧困問題対策本部 編「第1章」『生活保護法的支援ハンドブック』竹下義樹(第2版)、民事法研究会、2015年1月31日、3頁。ISBN 978-4-89628-995-4http://www.minjiho.com/shopdetail/000000000760/030/006/Y/page1/recommend/2015年5月13日閲覧 
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  19. ^ 「稼働能力がある」だけでは保護しない理由にはならず、「稼働能力があり、それを活用できる場があるにもかかわらず、稼働能力を活用しようとしない」場合にはじめて却下が可能となるものである。つまり、稼働能力を有していても、それを活用できる場がない場合や、求職活動をしていても職が得られない場合は保護の要件を欠けるものではない。
  20. ^ 生活保護法4条2項は「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする」と規定しているが、この「扶養義務が保護に優先する」とは、要保護者が扶養義務者から扶養されている状態にある場合には保護申請を却下し、保護決定後に扶養義務者から扶養援助が行われたら、収入認定してその援助の金額の分だけ保護費を減額、または保護を廃止するという意味であり、扶養義務者が存在すること自体は保護の前提要件ではない。まだ扶養義務者に援助を求めていない場合や援助を求めたが断られた場合でも、そのことのみを理由に保護申請を却下することはできない。申請者がまだ扶養義務者に援助要請をしていなくても、要保護状態であれば保護を開始する。扶養義務者への費用負担については、保護開始後に保護実施機関が扶養期待可能性に応じて扶養義務者に受給者への援助の可否を照会し、保護実施機関は扶養義務者から扶養義務範囲内の保護費用の全部又は一部を徴収し、扶養義務者負担額について扶養義務者の間に協議不調もしくは協議不能の場合は保護の実施機関の申立により家庭裁判所が扶養義務者負担額を決定した上で徴収することになっている。しかし、扶養義務者に負担させるために前述の手続きをすることは行政の担当者にとっては膨大な手間暇がかかるため、窓口で申請自体を断念させる手法が安易な方法として行われている。なお、扶養問題については1946年制定の旧生活保護法では「扶養義務者が扶養をなしうる者」は実際に扶養援助がなされていなくても保護の要件を欠くとされていたが、1950年制定の現行生活保護法ではこの欠格条項は撤廃されている。
  21. ^ 申請時に住所を有していないことは保護しない理由にならない。厚生労働省は2009年3月、住居がなくても生活保護申請を受け付けるよう自治体に通知している。
  22. ^ 申請時点で住宅扶助基準額を超える家賃の住宅に居住しているとしても、そのこと自体は申請者の要保護性とは何の関係もなく、保護を開始してから住宅扶助として転宅費を一時扶助して基準額以内の住居に転居させるべきものである。ただし、転居を拒否し続ければ、生活保護停止や廃止の対象となりうる。
  23. ^ 日本弁護士連合会貧困問題対策本部 編「第2章」『生活保護法的支援ハンドブック』竹下義樹(第2版)、民事法研究会、2015年1月31日、80頁。ISBN 978-4-89628-995-4http://www.minjiho.com/shopdetail/000000000760/030/006/Y/page1/recommend/2015年5月13日閲覧 
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関連文献

  • 湯浅誠 『あなたにもできる! 本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』 同文舘出版, 2005年8月, ISBN 4495568612

関連項目

外部リンク