新幹線E4系電車
JR東日本E4系新幹線電車 | |
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16両編成で運転される新幹線E4系電車 (2008年7月5日 大宮駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業・日立製作所 |
主要諸元 | |
編成 | 8両 (4M4T[1]) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
交流25,000V 50Hz (一部編成は50Hz/60Hz、架空電車線方式) |
最高運転速度 | 240 km/h[1] |
起動加速度 | 1.65 km/h/s[1] |
減速度(常用) | 2.69 km/h/s |
減速度(非常) | 4.04 km/h/s |
編成定員 |
計817名(54名)[1] ()内はグリーン車 |
編成重量 | 428.0t[1] |
編成長 | 201 m[1] |
全長 |
25,700 mm(先頭車)[1] 25,000 mm(中間車)[1] |
全幅 | 3,380 mm[1] |
全高 | 4,485 mm[1] |
台車 |
SUミンデン式ボルスタレス台車 DT208(電動車),TR7007(付随車) |
主電動機 | 三相交流誘導電動機MT206 (420kW) |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 3.615[1] |
編成出力 | 420kW×16=6,720kW[1] |
制御装置 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
制動装置 | 回生併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重装置付) |
保安装置 | ATC-2型、DS-ATC |
新幹線E4系電車(しんかんせんE4けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線車両である。
概要
200系の老朽取替とE1系導入後も増え続ける旅客需要に対応するために製造された。E1系と同様に全車2階建車両で「Max」の愛称が与えられている。また、そのユニークな先頭形状から鉄道ファンからは「カモノハシ」「巨大イカ」とも呼ばれている。
構造
車両概観
車体はE1系では普通鋼製であったが、本系列は車内販売ワゴン用の昇降機の設置など重量増分を補うため大型押し出し型材によるアルミ合金製である。トンネル微気圧波現象(トンネルドン)および高速走行時の騒音対策で先頭車両の前頭部はE1系よりロングノーズになった(ノーズ長E1系:9.4メートル、E4系:11.5メートル)。車体塗装は白と青のツートーンでその境目に黄色の帯が入る。標識灯にはHIDランプを使用している。パンタグラフは下枠交差型(PS201形)を採用しており、車体が車両建築限界寸前で作られているためパンタグラフカバーはなく、パンタグラフ設置部の屋根が一段低くなっている。
先頭車には分割・併合装置が収められ、400系やE3系、E4系同士と連結運転が可能である。
性能
最高速度は240km/h。8両編成で定員は817人[2]。2本連結した16両の定員は1,634人で高速鉄道車両としては世界最大級。E1系の12両編成から8両編成としたのは需要の関係により必ずしも12両編成で運行する必要がないことがあり、逆に輸送需要の多い時間帯の列車については2本連結した16両編成として、需要の多寡に応じた運用を可能とするのと、東北新幹線の場合、「つばさ」・「こまち」といったミニ新幹線車両を併結する場合にプラットホーム有効長などの地上設備が新幹線車両の標準である25m級車両16両分であることから、併結相手の車両運用についても冗長性を持たせるためでもある。一部、北陸新幹線(長野新幹線)の急勾配区間走行に対応した編成や、それに加えて軽井沢駅以西の商用電源周波数60Hzに対応した編成が存在する(後述)。
車内
定員確保の観点から、普通車はE1系と同様に東京寄り3両(1 - 3号車)の階上部分の座席は横3列+3列の6アブレストである。過去に数度繁忙期にこの部分も指定席として供用されたことがあるが、基本的に自由席として供用される。1 - 3号車の階上席の座席は座席の中央には肘掛や座席のリクライニング機能がない回転クロスシートである。シートピッチは980mm。この3両の新潟・新青森寄りのデッキには「ジャンプシート」と称する通常は収納されている補助席が1両につき2席ずつ設置されている。
それ以外の普通車座席(1 - 3・7・8号車の階下席と4 - 6号車)は200系などと同様の横3列+2列の5アブレストで中央には肘掛があるフリーストップ式リクライニング機能付回転クロスシートであり、座面スライド機構も備える。シートピッチは980mm。
また7・8号車の階上席(グリーン席)は2列+2列の4アブレストのリクライニングシートで、フットレストはないが各席レッグレストを装備。壁際席の足置き台のみは移動できる。リクライニングと連動して座面が沈むことで姿勢の維持を容易にしている。テーブルはE1系では肘掛内蔵だったのに対しE4系では前席背面に設置されている。一部の編成では枕が上下可動式となっている。
普通車のシートモケットは階上席は紫色が、階下席はオレンジ色が、グリーン席のモケットには濃い緑色地に黄色の幾何学模様が描かれている。また普通車においては、階上席の天井デコラは青色系、階下席は黄色系で統一されている。座席カバーは普通席は白であるがグリーン席は黄色である。照明の色も、普通席は白色の直接照明、グリーン席は電球色の半間接照明となっている。
車内販売はE1系では階段がある関係でワゴンが使用できないためにバスケットを使用していたが、各車両に昇降機が設けられたことで他編成と同様にワゴンを使用することが可能になった。
バリアフリー対応として、8号車の昇降機は車内販売用ワゴンだけでなく車椅子にも対応する大型のものとなっている。さらに、6号車1階席と8号車2階席に車椅子を固定することが可能な座席が、5号車と8号車に多機能トイレが設置されている。
階段付近にのみ、駅停車時に「まもなく止まります。手すりにおつかまりください」などと注意を促すアナウンスを流すことが可能である。
電源・制御装置
E4系ではE1系同様、通常床下に搭載する走行機器を床上車端部に配置している。また、主変換装置の制御素子はGTO(ゲートターンオフサイリスタ)からIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)に変更され、主電動機(かご形三相誘導電動機)などからの磁励音が低減された。電動車 (M) と付随車 (T) の構成比率(MT比)はE1系と同一の1:1であり、新幹線車両としては付随車比率が高い編成構成であるため、主電動機の定格出力は420kW(E1系は410kW)と高めに設定されている。起動加速度は1.65km/h/s、減速度は2.69km/h/sとなっている。
E1系に対して編成中の電動車の絶対数が減少しているため(E1系:6両、E4系:4両)、故障などの非常時に冗長性を持たせることを目的に、モーター制御を従来の1両単位での制御から台車単位での制御に変更し、8両編成中の電動車1.5両(3台車分)をカットした状態で(2.5M5.5Tの状態)、25パーミル上り勾配での起動を可能としている。
台車
電動車はDT208、付随車はTR7007を採用する。車輪径や軸距、軸箱支持方式がE1系と同じ(910mm、2,500mm、ゴム併用板ばね式)ボルスタレス台車であり[3]、台車枠や歯車装置はE1系と互換性を持たせている[4]。また、車軸軸受には従来の油浴潤滑に代えてグリース潤滑が採用されている[4]。
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前面形状
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カバーを開いた状態で見える自動分割・併合装置
(2007年11月 福島駅) -
デッキにある階段
階段の真中にワゴン用の昇降機がある。 -
E3系1000番台を併結して運転されるE4系(大宮駅)
形式および車種
本系列に属する各形式名とその車種は以下のとおり。
奇数形式と偶数形式2両ずつ、計4両(電動車 (M) 2両と付随車 (T) 2両)のT+M1+M2+Tで1ユニットを構成する。
番台区分は2階部分が3列+3列の6アブレストとなっている1 - 3号車は「100番台」、売店のある5号車は「200番台」を名乗り、その他の車両は「0番台」である。
- E4系(P編成) 編成表
← 東京 仙台・新潟 →
| |||||||||
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | E453形 (T1c) |
E455形 (M1) |
E456形 (M2) |
E458形 (T) |
E459形 (Tk) |
E455形 (Mp) |
E446形 (Ms) |
E444形 (Tpsc) | |
番台 | 100番台 | 100番台 | 100番台 | 0番台 | 200番台 | 0番台 | 0番台 | 0番台 | |
座席 | 普通車 | 普通車 | 普通車 | 普通車 | 普通車 | 普通車 | グリーン車 | グリーン車 | |
普通車 | 普通車 | ||||||||
定員 | 75 | 133 | 119 | 124 | 110 | 122 | 91 | 43名 |
- E444形 (Tpsc)
- E446形 (M2s)
- E453形 (T1c)
- 普通席を備える制御付随車。P編成1号車として使用。東京向き運転台、トイレ、洗面所(ともに新潟寄り)を備え、空気圧縮機などを搭載する。定員75名。0番台は存在しない。2011年4月29日より、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の復興支援スローガンである「つなげよう日本」(1号車)のステッカーが貼付された。
- E455形 (M1,Mp)
- 普通席を備える中間電動車。主変換装置、集電装置などを搭載する。
- 0番台 (Mp)
- P編成6号車として使用。車椅子対応座席を備える。定員122名。
- 100番台 (M1)
- P編成2号車として使用。定員133名。
- E456形 (M2)
- 普通席を備える中間電動車。P編成3号車として使用。公衆電話(東京寄り)を備え、主変圧器などを搭載する。定員119名。
- E458形 (T)
- 普通席を備える中間付随車。P編成4号車として使用。トイレ、洗面所(ともに東京寄り)を備え、集電装置を搭載する。定員124名。
- E459形 (Tk)
- 普通車を備える中間付随車。P編成5号車として使用。トイレ、洗面所(ともに新潟寄り・車椅子対応)を備える。定員110名。
編成
このほか以下の編成に限り長野新幹線全線または一部区間への乗り入れが可能である。
- P51・P52編成:30‰の急勾配区間走行に対応し、軽井沢駅まで入線可能。
- P81・P82編成:急勾配対応のほか、軽井沢駅 - 佐久平駅間の電源周波数切り替え装置を搭載し、この編成のみ長野駅まで入線可能。ただし、60Hz対応とはいえ、関連機器はすべて50Hzでの使用を考慮しているため、長時間の運転や頻繁に入線することはほぼ不可能で、60Hz対応なのはあくまで緊急時に長野駅に乗り入れるためとされている。
新製時は全ての編成が仙台総合車両所(現・新幹線総合車両センター)に配置されていた。2010年10月現在はP1 - P8・P20 - P22編成が新幹線総合車両センターに、P9 - P19・P51・P52・P81・P82編成が新潟新幹線車両センターに配置される[5]。
運用
東北新幹線(仙台駅以南、ただし臨時列車では盛岡駅まで入線)の「Maxやまびこ」、「なすの[6]」と上越新幹線の「Maxとき」、「Maxたにがわ」で使用される。全編成がデジタルATCに対応する。
このほか、試運転により新青森駅まで入線したことがある[7]。
営業運転の変遷
- 1997年(平成9年)12月20日
- 東北新幹線で営業運転開始。
- 1999年(平成11年)4月29日
- 2001年(平成13年)
- 2003年(平成15年)9月15日
- 長野新幹線の臨時列車で、東京駅 - 軽井沢駅間営業運転から撤退。
- 2005年(平成17年)12月10日
- 東北新幹線仙台駅 - 盛岡駅間で定期列車運用から撤退。
- 2012年(平成24年)3月17日
今後の予定
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2009年2月12日付けの産経新聞において、E5系の投入により、E2系とともに東北新幹線から撤退し上越新幹線のみで運転予定と報じられた[11]。また、2011年3月9日付の毎日新聞において、2012年以降順次廃車となり、2016年を目処に全廃する予定と報じられた[12]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l 日本機械学会 編『高速鉄道物語 -その技術を追う-』成山堂書店、1999年、p.61頁。ISBN 4-425-92321-9。
- ^ 定員はE2系J編成(10両編成・813人または814人)とほぼ同数である
- ^ 日本機械学会 編『高速鉄道物語 -その技術を追う-』成山堂書店、1999年、p.62頁。ISBN 4-425-92321-9。
- ^ a b 佐藤芳彦 編『新幹線テクノロジー』山海堂、2004年、p.140頁。ISBN 9784381088277。
- ^ 『JR電車編成表 2011冬』(交通新聞社)より
- ^ 「つばさ」用E3系との併結列車のため「Max」を冠さず「なすの」として運行される。ただし行先表示は「Maxなすの」と表示される。悪天候等でE3系が併結されずE4系のみで運転される列車も「なすの」として運行される。
- ^ E4系「MAX」が新青森へ初入線 - 『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース(交友社) 2010年6月13日
- ^ 乗客を乗せた状態で安中榛名駅 - 軽井沢駅間の登り連続急勾配は走行できないため、上り列車のみの設定だった
- ^ 2012年3月ダイヤ改正について (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2011年12月16日
- ^ E2系とE3系「つばさ」編成の併結運転が始まる - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2012年3月20日
- ^ 青森延伸で東北新幹線刷新 新型E5系に統一、2階建て「MAX」姿消す 産経新聞 2009年2月12日[リンク切れ]
- ^ “JR東:2階建て新幹線「Max」5年後全廃 老朽化進み”. 毎日新聞. (2011年3月9日) 2011年3月9日閲覧。 [リンク切れ]