みなみじゅうじ座

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みなみじゅうじ座
Crux
Crux
属格 Crucis
略符 Cru
発音 [ˈkrʌks]、属格:/ˈkruːsɨs/
象徴 Southern Cross
概略位置:赤経 12.5
概略位置:赤緯 −60
広さ 68平方度[1]88位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
19
3.0等より明るい恒星数 4
最輝星 Acrux (α Cru)(0.87
メシエ天体 0
確定流星群 Crucids
隣接する星座 ケンタウルス座
はえ座
観測可能地域は+20°と−90°の間
21:00(午後9:00)に最も良く見えるのは5月の間
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みなみじゅうじ座(左下側に暗黒星雲コールサックが見える)

みなみじゅうじ座(Crux)は、星座の1つ。全天88星座の中で最も小さいが、非常に有名である。

南十字星(みなみじゅうじせい)、または英語での通称サザンクロス(Southern Cross)という名称でも知られる。この通称は、はくちょう座の中心部の別名「北十字星(Northern Cross、ノーザンクロス)」に対応して付けられたものである。ただし、小さい上に各星の明るさがあまり揃っていないこともあって、近くにある「ニセ十字」と間違えられることも多い。

α星は、全天21の1等星の1つであり、アクルックスと呼ばれる。

β星も、全天21の1等星の1つであり、ベクルックスと呼ばれる。

特徴

3方向をケンタウルス座で囲まれており、残りの部分ははえ座に接している。

現在、天の南極には南極星に当たる目立った星がないため、大航海時代以来主にこのみなみじゅうじ座が天の南極を測るために使われた。アクルックスとγ星の間隔を、アクルックスに向け約4.5倍すると、だいたい天の南極に到達する。このほか、リギル・ケンタウルスハダルを使う方法もある。

南方にある星座のため北半球では見えない場所が多いが、時期によっては日本でも沖縄県などで観望が可能であり、特に宮古諸島八重山諸島からなる先島諸島で観望しやすい。この地域で観望できる時期は12月下旬から6月中旬までの約半年であり、南中時刻が午後8時から10時ごろの見やすい時間帯となる5月頃が観望に適している。先島諸島からは、星座は地平線に近く、靄が出現すると見えにくい。ポラリス(現在の北極星)から天頂に至る線を南に延ばすと肉眼でもはっきり見える。

主な天体

恒星

2つの1等星α星(アクルックス)とβ星(ベクルックス)以外に、2等星が1つ(γ星)ある。

星団・星雲・銀河

  • NGC 4755散開星団。宝石箱(Jewel Box)としてよく知られる。。
  • コールサック暗黒星雲天の川の中にあり、星雲が天の川を隠すような形で暗く見えるため、暗いゆえに見えやすい。肉眼でも識別可能である。名称は、形が石炭を入れる袋に似ていたことに由来するとされる。

由来と歴史

1690年に書かれた星座のイラスト。周りにケンタウルス座が描かれている

のちに歳差運動により見えなくなったが、古代の地中海古代ギリシア)では、この星座を見ることができた。このため、記録が残っているが、ケンタウルス座に付属する星として見られることが多かった。本格的に星座として別に分離したのは、一般的に、フランスの天文学者オギュスタン・ロワーエによって1679年に設定されたと言われる。ただし、それ以前にもこの星座はよく知られていた。

ニュージーランドの国旗は、ε星を省略してあるが、この星座を使っている。オーストラリアブラジルパプアニューギニアおよびサモアの国旗には、ε星まで5つ星全部を使ってこのみなみじゅうじ座をあしらった模様がついている。

呼称と方言

日本語では「南十字星」や「サザン・クロス」という通称で呼ばれることが多く、逆に「みなみじゅうじ座」という正式名称で呼ばれることが少ない。かつては「じゅうじか座十字架座)」と呼ばれていた。

沖縄県八重山地方での方言名を「はいむるぶし」とする説があるが、語意の「南の群れ星」は、同地方からのみなみじゅうじ座の見え方の表現としては、かなり違和感がある。この名前を当てるのに、より相応しい別の天体が多々あることを考慮すると、おそらく誤りである。そもそも「はいむるぶし」という言葉自体、近年に作られた造語であるとみられる。

みなみじゅうじ座を扱った作品

関連文献

  • 『誰でも見つかる南十字星』 谷川正夫
  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。