デスマッチ
デスマッチ(Death Match)はプロレスの試合形式の一種。プロレスのルールをより危険なものに変更したり、特殊なリングを使用したりするものである。
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意義 [編集]
デスマッチを行う意義は様々である。
- ライバル関係にあるレスラー同士の、完全決着をつけるため
- デスマッチは本来、完全決着をつけるための試合を意味し、デスマッチという単語が使われ始めたときは「時間無制限の試合」を指していた。1990年以前は、リングアウトや反則裁定などで勝敗が決着することが多かったため、ランバージャック・デスマッチ、金網デスマッチなどの場外への逃げ道を封じ、完全決着をつける方式が考え出された。ルチャリブレにおける、敗者髪切りやマスク剥ぎなどのコントラ・マッチは、広義でこのグループに含まれる。1990年代以降は、通常ルールにおいても反則やリングアウトの裁定をとらないことが多くなり、この目的でデスマッチが行われることは減少した。
- スペクタクルを演出するため
- FMWにおける大仁田厚対ターザン後藤のノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチを契機に表れた意義。観客は「いつ選手が道具や凶器の餌食になるか」を主眼にして観戦する。地雷、爆弾、ガラス、画鋲、マムシ、蛍光灯、サソリなどが使われるようになる。自作の凶器を持ち込む選手もおり、有刺鉄線を巻きつけたバット、五寸釘を打ち付けたバット、鎌など、日常的に凶器を使うことでレスラーの個性とすることさえある。これらを用いて死亡事故に至った例はない。国際プロレスで行われた金網デスマッチは、完全決着にこだわらずあらゆる会場で行われ、ラッシャー木村が金網にたたきつけられて流血するのが見せ場だったため、意義的にはこちらに属する。
- レスラー・団体の独創性を演出するため
- 大日本プロレスやCZWなどの団体では脚立の上から飛び技を出したり、蛍光灯や有刺鉄線を利用したプロレス技を繰り出すことで、独自性を演出している。なおハードコアマッチは、この意義をより推し進めることで編み出された試合形式であるが、日本においてはデスマッチのほうを危険度の高いルールで実施している団体がほとんどである。
形式 [編集]
完全決着型 [編集]
ランバージャック・デスマッチ [編集]
リングの四方を対戦者以外のレスラー(観客などレスラー以外の場合もある)が取り囲み、選手がリングから落ちた際、すぐさまリング内に押し戻す形式。転落した位置に対立関係にある選手がいた場合、転落した選手に暴行を加えることもある。カナダのきこり(ランバージャック)のケンカの作法が起源とされ、ランバージャック・ギミックを用いていたカナダ出身のジョー・ルダックが得意とした。WWEにおいてディーヴァ同士で行われる場合は、ランバージャックではなく、ランバージルと呼称している。
この試合形式の難点は、軍団抗争の最中に対立関係にある軍団の代表同士で行われ、ヒール軍団がベビーフェイス陣営の選手が転落した際に暴行を加える。この場合、完全決着に至るよりもむしろ抗争が激化してしまう。また、選手が場外に出なかったり、数分・数秒で勝負が決まってしまった場合はまったく意味のない試合ルールとなってしまうことである。
日本では1973年11月30日の新日本プロレスにおけるアントニオ猪木対タイガー・ジェット・シンが初めてこの形式で行われ、近年は主に新日本やDDTでしばし採用している。
2011年8月21日の天龍プロジェクトでの土方隆司&遠藤美月対TAJIRI&朱里戦では「ランバージャックで両軍リングアウト裁定」という珍事が起きている(この試合は観客ランバージャックだった)。
金網デスマッチ [編集]
リングの四方をあるいは稀に上空を金網で包囲する形式。通常、日本では目の細かい金網を使用するが、米国にあっては目の粗いスチールパイプを用いることが多く、それを『スチール・ケージ・マッチ』と呼ぶ。
WWEでは、天井がある「ヘル・イン・ア・セル」、複数人による時間差バトルロイヤル形式を採用した「エリミネーション・チェンバー」、また、WCWにおいて、対戦チームの選手が時間差で交互にリングインする「ウォー・ゲーム」、金網上段に電流が流れる「サンダードーム・ケージ・マッチ」といった派生形が生まれた。
日本では国際プロレス、新日本プロレス、全日本女子プロレスで行われていた。フォール・ギブアップのほか、10カウントで勝負を決する方式、先に金網の外に脱出した方を勝者とする形式がある。1970年代の国際プロレスでは、ラッシャー木村が「金網の鬼」と評された。日本の女子プロレスラーで初の金網デスマッチを戦ったのは京愛子。その後、佐々木順子が金網・チェーンデスマッチにおいて両足を複雑骨折という重傷を負ったことを機に、全日本女子プロレスでは1980年代までデスマッチを封印することとなった。近年では2009年8月29日のNEO大阪大会におけるラス・カチョーラス・オリエンタレス対レボルシオン・アマンドラのタッグマッチが「RINGSTARSベストタッグバウト賞」に選ばれている。
なお、FMWも旗揚げ直後から金網デスマッチを行おうとしたものの、旗揚げ直後のFMWは資金力に乏しく、金網ゲージが高価なために製作できず諦めるが、その代わりに安価で用意できる有刺鉄線を利用したデスマッチを行うことにより人気を得た。
一時期ZERO-ONEにおいてこの形式を乱発していたが、選手の安全を考慮しこの形式を控えることとなった。
最近では主にDRAGON GATEで組まれている。
金網デスマッチは総合格闘技のUFCにも応用されている。
インディアン・ストラップ・デスマッチ [編集]
両者の腕を皮製の紐でつないで試合を行う形式。使える技が限定されるため、単調な試合になりやすい。紐は相手の首に巻きつけるなど凶器となることもある。相手を引きずって1周した方が勝者となる。1973年、国際プロレスのリングでインディアン・レスラーのワフー・マクダニエルが日本に初公開した。皮紐の代わりに鎖が使われると「チェーン・デスマッチ」、ブルロープを使うと「ブルロープ・デスマッチ」となる(後述)。
チェーン・デスマッチ [編集]
対戦相手同士の手首を鎖でつないで闘う形式のデスマッチ。ルールは基本的にはインディアン・ストラップ・マッチと同じで、相手を引きずって1周すれば勝ちとなる。チェーンを拳に巻き付け相手を殴打することも可能。ボリス・マレンコ、アレックス・スミルノフ、イワン・コロフ、ニキタ・コロフなどロシア系ギミックの選手が得意とし、「ロシアン・チェーン・マッチ」とも呼ばれた。手首ではなく、互いの首に犬用の首輪を付けて行うチェーン・マッチは「ドッグ・カラー・マッチ」と呼ばれ、ジャンクヤード・ドッグやマッドドッグ・バズ・ソイヤーらが十八番にしていた。
ブルロープ・デスマッチ [編集]
お互いの手首にブルロープ(荒縄)を付けて闘う。当初は普通のブルロープであったが、ダスティ・ローデスによってロープ中央にカウベル(鉄製の鐘)を取り付けるというアイデアが考案された。これによって、ロープで相手の首を絞めるだけでなくカウベルで相手の脳天を痛打することも可能になった。「テキサス・ブルロープ・マッチ」とも呼ばれ、カウボーイ・ギミックのロン・バスやスタン・ハンセンも得意とした。また、FMWでターザン後藤と鶴見五郎が闘った際には、ロープに有刺鉄線を取り付けたりもした。
ハンドカフマッチ [編集]
チェーンやブルロープではなく、手錠を付けて行う。そのため行動範囲がかなり狭くなる。
ゴムチューブ・デスマッチ [編集]
チェーンやブルロープ、手錠ではなく、ゴムチューブを付けて行う。IWA・JAPANで考案されたもので、UMA軍団とプロレスリング・ノアの抗争においてゴム人間がこのルールで戦った。
骨折デスマッチ [編集]
キラー・ティム・ブルックスとボブ・ホワイトの間で一度だけ行われたデスマッチ。相手の腕か足の骨を折るまで試合を続けるという危険極まりないデスマッチ。
ストリートファイト・デスマッチ [編集]
文字通りストリートファイトの如く、私服で殴り合う。大仁田厚時代のFMWで「ブラスナックル選手権」と呼ばれるストリートファイトルールの王座が置かれていた。女子プロレスでは「ドレスアップ・ワイルドファイト」と呼ばれる。
テキサス・デスマッチ [編集]
10カウントノックアウトとギブアップのみで決まるルール、反則裁定無し、どこでも決着をつけて良く、レフェリーの他、サブレフェリーを設ける試合形式。1975年7月25日の全日本日大講堂で、フリッツ・フォン・エリックVS.ジャイアント馬場がこの形式で戦い馬場が勝利した。
敗者制裁型 [編集]
詳細は「コントラ・マッチ」を参照
敗者追放デスマッチ [編集]
かつてNWAが健在であった時代によく行われ、今ではメキシコにおいて頻繁に行われている試合形式。敗者はそのテリトリー(例えばテキサス州のダラス地区)を追放となる。「敗者は街を去る」ということから、ルーザー・リーブス・タウン・マッチ (Loser Leaves Town Match) とも言う。試合そのものは、通常のプロレスルールで行われたり、他のデスマッチと複合する場合がある。あるテリトリーのトップレスラーがその地を離れ別のテリトリーに移る場合、この形式で敗戦することで送り出され、その試合の勝者が次のトップレスラーになることが多かった。
WWEでは、故障を抱えた選手の長期欠場が決まった時に、欠場の理由付けを目的にアングルとして敗者を解雇する形式の試合が行われることがある。本当に退団したり他団体に移籍したりする場合もこれに連動させることがあるが、ダスティ・ローデスが扮したミッドナイト・ライダーのように正体が丸分かりの覆面レスラーとして参戦し続け、いつの間にか元のキャラクターで復帰する場合も多々ある。
メキシコでは、かつてのCMLLでは厳密に守られていたが、AAAの台頭後はなし崩しになり、他国と同じような状況にある。復帰する場合にも一定期間経過するか、別のマスクを被って別のリングネームを名乗ったりなどする。
日本では、主に他団体・フリーランスなど外敵が絡む試合において、敗者を団体から締め出す形式で行われることがある。特に外敵との抗争を売りにしていたNEO女子プロレスでしばし行われていた。西千明&アキュート冴の「反NEOマシンガンズ同盟」はシングル対決で西が敗れるが、試合後「打倒NEOマシンガンズ」を誓い反故にされ、NEOマシンガンズとのタッグマッチに敗れ「永久追放」とされるも、署名活動などで復帰している。一方で江本敦子は、NEO追放後、引退に至った。
また、2011年12月11日のみちのくプロレス後楽園ホール大会「宇宙大戦争」でザ・グレート・サスケ&大仁田厚VS佐藤秀&佐藤恵(佐藤兄弟)の「ノーロープ有刺鉄線・敗者岩手追放デスマッチ」が行われ、敗れた佐藤兄弟は2012年1月14日矢巾町総合体育館大会よりみちのくの本拠たる岩手県の興行に出場禁止となったが、これがきっかけとなりリングネームをみちのく以外で名乗っていたバラモン・シュウ、バラモン・ケイに統一して岩手県内の大会に参戦している。
髪切りデスマッチ [編集]
英語では「ヘアバンド・マッチ」、メキシコスペイン語では「カベジェラ・コントラ・カベジェラ」(Cabellera Contra Cabellera)と呼ばれる。負けた選手が勝った選手の手によって髪の毛を切られ丸坊主にされる形式で、メキシコでは髪と覆面を賭けて戦う「カベジェラ・コントラ・マスカラ」という形式もある。日本とメキシコでよく行われ、対立する選手同士の完全決着戦において頻繁に採用されている。
日本では男子より女子で行われる頻度が高い。女子にとって髪は「女の命」であり、その「命」を衆人環視の中で切られる羞恥心が男よりも遙かに強く、残酷さが高まるからである。
特に有名なのは長与千種とダンプ松本の抗争において行われたもので、2度行われ1勝1敗となり、双方が髪を切られている。この対戦が大きな反響を呼んだことから、その後女子における髪切りデスマッチが恒例化した。また、尾崎魔弓は髪切りマッチで2度坊主にされた。
2010年9月19日のJWP新宿FACE大会で行われたJWP認定無差別級選手権試合・米山香織(王者) vs さくらえみ(アイスリボン・挑戦者)戦では、米山が掲げる「米山革命」を後押ししようと親友であるさくらが提案したものであり、「遺恨なき髪切りマッチ」と言われ、試合としては高評価を得たが、逆に同日同時間帯に後楽園ホールを満員にした大日本とJWPとの営業努力の差を露呈する格好にもなっている。
マスク剥ぎデスマッチ [編集]
覆面レスラー同士が完全決着をつける場合にしばしば行われる形式のデスマッチ。敗者はマスクを剥がされ正体を晒す。スペイン語ではマスカラ・コントラ・マスカラと呼ばれる。
特殊リング使用型 [編集]
有刺鉄線デスマッチ [編集]
起源は、プエルトリコで最初に行われたことから命名された「カリビアン・バーブドワイヤー・デスマッチ」。ロープの上に有刺鉄線を巻く。この方が、ノーロープ時よりロープの弾力がある分とげが深く刺さるという。
その後ロープの代わりに鉄線を巻く「ノーロープ有刺鉄線デスマッチ」、鉄線を敷きつめた板をコーナーや場外に設置する方式、鉄線を巻いたバットを公認凶器とする方式など、多種多様。
大日本プロレス旗揚げ当初、他団体との差別化を図るため「バラ線」と呼んでいたが、いつしか「ボブワイヤー」で統一されるようになった。
電流爆破デスマッチ [編集]
大仁田厚がFMWで開発したスタイルの試合で、有刺鉄線に電流を流し、なおかつ小型爆弾を設置する。電流はダメージを与えることが目的ではなく、接触を検知し小型爆弾を爆発させるためのものである。視覚面と音響面でインパクトが強いため、1990年代には盛んに行われた。初めての試合は大仁田とターザン後藤が汐留で対戦したノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチ。
その後、大仁田とミスター・ポーゴが対戦した有刺鉄線バリケードマット地雷爆破デスマッチ―すなわちリングサイドに有刺鉄線を絡みつかせた板を敷き詰め、その上に振動で爆発する大型の爆弾を設置したデスマッチや、有刺鉄線電流地雷監獄リング時限爆弾デスマッチ―すなわち金網に加え2面に有刺鉄線電流爆破、そしてもう2面に地雷を設置した有刺鉄線ボードを設置し、試合開始から15分経つとリングサイドの時限爆弾が爆発するデスマッチ、大仁田とテリー・ファンクが対戦したノーロープ有刺鉄線電流爆破超大型時限爆弾デスマッチ―すなわち決まった時間に爆発する超大型爆弾をリングサイドに設置したデスマッチ、代々木プールで行われた水中機雷爆破デスマッチ―すなわちプール中央にリングを設置し、選手が水に落ちると水中に仕掛けられた爆弾が爆発するデスマッチもこの類である。
消防法の規定により屋内で使用できる火薬に制限があるため、通常は屋外で行われるが、火薬の量を減らした上で屋内で行われる場合もある。視覚面のインパクトは弱まるが、会場によっては反響により音響面のインパクトがより増す場合がある。
IWA・JAPAN、新日本プロレス、SPWFなどの団体でも開催されている。一時期「大仁田が電流爆破デスマッチのリングを含む装備に関して特許を申請して認められたため大仁田の許可無しでは行えない」といわれていたが、実際には特許が認められていなかったので、大仁田が関係しない団体でも行うことができた。
大仁田が第一線から退いていたこともあり2003年9月を最後に電流爆破デスマッチは行われなくなったが、2012年8月26日に大仁田対曙で「ノーロープ有刺鉄線バリケードマットダブルヘルメガトン電流爆破デスマッチ」と称して9年ぶりに復活した。
ファイヤー・デスマッチ [編集]
火を使ったデスマッチである。日本ではFMWで初めて行われたが、火の勢いが強すぎて試合開始1分ほどで試合続行が不可能になった。この試合でぎりぎりまでリング上で粘ったザ・シークは大やけどを負い、入院した。
W★INGにあっては、リングサイドにガスバーナーと熱せられた鉄板を置き、四面のコーナーポストから時限式に火花が発生するというスタイルで、人間焼肉デスマッチの名称で、松永光弘とミスター・ポーゴの間にて行われている。また、W★INGで松明を固定したスタンドを四方に囲む「プエルトリコ式ファイヤーデスマッチ」も開催されている。
1993年、W★INGで行われたスクランブル・ファイヤーデスマッチでは、金村キンタロー(当時は「金村ゆきひろ」)が、試合中に自分のコスチュームに染み込んだ油が引火し、大やけどを負った。
最近は、ノーロープ有刺鉄線+ダブルヘル形式を取り、有刺鉄線に灯油がしみ込んだ布を巻きつけ、試合開始から5分毎に片面ずつ点火するというスタイルを取っている。
また、2006年10月1日の大日本プロレス晴海大会のファイヤーデスマッチでは、MEN'Sテイオーが殺虫剤スプレーに火をつけて火炎放射器にし、沼澤邪鬼を追い回した。テイオーが会場実況を勤める666のクレイジーSKBも、会場・形式を問わず、同じことをしている。
ファイヤー・デスマッチの一種に「インフェルノ・マッチ」があり、リング四方に設置されたガス管から上がる炎で相手を燃やした方が勝ちという形式で行われるもの。
画鋲デスマッチ [編集]
IWA・JAPANで盛んに行われた試合形式。同団体に来日したカクタス・ジャックが持ち込んだ。画鋲を敷き詰めた箱をリングに設置し、中に落とし合う。中牧昭二や小野浩志が得意とし、頭に刺さった画鋲がキラキラ光る凄惨な姿となる。日本の大日本プロレスや米国のコンバット・ゾーン・レスリング・IWAミッドサウスにおけるデスマッチでも定番の小道具となった。IWAミッドサウスではクイーン・オブ・ザ・デスマッチを主舞台に女子選手らによる使用も行われている。
五寸釘デスマッチ (釘板デスマッチ) [編集]
釘が突き出た板を、エプロンや場外に敷きつめる、もしくは長方形のボードを使用する方式。1978年のアントニオ猪木対上田馬之助戦や、1992年にW★INGで行われた松永光弘対レザーフェイス戦が有名。前者は釘の上に落とそうとする動きはあったものの、結局どちらも落ちることはなかったのに対し、後者は松永が釘の上に背中から転落しKO負けを食らった。W★INGの過激デスマッチ路線の嚆矢となった。釘の密度が低いと選手に突き刺さって危険なので、荷重を分散させるためびっしりと敷き詰められる。
カミソリボード・デスマッチ [編集]
有刺鉄線ボードとさほど変わらない大きさのボードにカミソリを取り付け、エプロンに置く方式。
過去にこの形式のデスマッチを考案した者はいたものの危険度の高さから実現には至らなかったが、2005年6月8日大日本プロレス横浜文化体育館大会の"黒天使"沼澤邪鬼vs葛西純戦(デスマッチ7番勝負第6戦)にて初登場。その後はMASADAや伊東竜二、竹田誠志もこれを経験し、伊東vs葛西に至っては、この形式でプロレス大賞ベストバウトを受賞している。
2007年にはドイツでサムタック・ジャックとドレイク・ヤンガーがこれの亜種と言える『カミソリ椅子』―すなわちカミソリの刃を装着した椅子を用いたデスマッチを行っている。また、竹田誠志はカミソリをピザピールに取り付ける事でボードを小型化した。
蛍光灯デスマッチ [編集]
ロープに蛍光灯をくくりつけた状況で行う試合形式。
1997年4月1日・大日本プロレス後楽園大会「月光闇討ち電撃殺人器スパークデンジャラスボード四面楚歌デスマッチ」松永光弘・ターザン後藤 vs 中牧昭二・山川竜司戦で使われた「電撃殺人器」が蛍光灯を使った照明器具で、松永はこの形式を発端として蛍光灯を使用した形式を次々と考案。その後、大日本プロレスに所属していた本間朋晃がグレードアップさせた事により、その後は大日本プロレスの名物として日常的に行われるようになった。
当初は5〜6本をくっ付けた薄い板を2枚〜3枚用意するものであったが、現在は主に輪ゴムでリングロープに括りつける方式を取っている。1面に20~25本程度くくりつけるが、本数が増えるごとにくくりつける面積や面数を増やし、300本仕様などではさらにキャンバスへ蛍光灯を敷き詰めることもある。これに加えて選手が蛍光灯を束や簾にして持ち込んだり、時にはタワー・観覧車・神社の鳥居・神輿など様々なオブジェに組み立てたりするが、いずれも最終的には破壊される。
キャンバスに敷き詰められた蛍光灯は選手が踏みつけたり、ロックアップしたりするだけで割れてしまう。破片が大量に散乱するので、試合が進むに連れて受け身でもダメージになる。破片は客席にも飛び散るので、特に最前列付近の観客も観戦に注意が必要である。
大日本プロレスが使用している蛍光灯は、直径3cm・長さ120cm(主に業務用の40Wクラス)で破片が細かく粉々になりやすい廃品のものを使用しており、この試合のために廃品の蛍光灯を大量に送ってくるファンもいる。現在、大日本プロレスでは副業の運送業で蛍光灯の無料引取りを行なっており、引き取った蛍光灯はデスマッチで使用される。
なお会場の床などに傷がつく恐れから、かつての川崎市体育館など、蛍光灯デスマッチを規制する会場も少なくない。
月光闇討ちデスマッチ [編集]
場内の照明を非常灯以外全て消して行われる形式。場外乱闘が何処で起こっているかわからないので、観客が恐怖を味わう。
松永光弘 対 フレディ・クルーガー戦は、明かりがついた瞬間、後楽園ホールのバルコニーから松永が首吊りにされているという衝撃的な結末だった。
このルールを含んだ「月光闇討ち蛍光灯デスマッチ」と言うものもある。この場合、リング内に数本の蛍光灯を点灯させたボードが使われるが、破壊された場合は闇のままである。
桂スタジオなど試合会場によっては非常灯も消えるので何も見えなくなってしまう。
2012年10月31日のアイスリボンでの松本都 対 星ハム子戦は「崖のふち式月光闇討ちデスマッチ」と呼ばれ、暗い間はレフェリーが特に危険と判断したもの以外すべての攻撃が認められたルールとなった。
建築現場デスマッチ [編集]
両脇をハシゴで支えられた足場がリングに設置された状態で行う試合形式。アメリカでは「スキャフォールド(足場)・マッチ」と呼称され、足場から落ちたら敗北となるルールで行われることもある。
1980年代から当時のNWAジム・クロケット・プロモーションズなどで行われており、1986年11月27日開催の『スターケード'86』におけるロード・ウォリアーズ(ホーク&アニマル)対ミッドナイト・エクスプレス(ボビー・イートン&デニス・コンドリー)戦などが知られる。日本人選手では宮本裕向がこれを得意としている。
インディアン・ムッド・デスマッチ [編集]
リングの上に浅い生簀を作り、その中に粘土と水を練り合わせて泥プールを作り、その中で闘う。元々はクシュティの鍛練法を起源としており、「泥レス」としてしばしばキャットファイトで行われる試合形式である。
雪上デスマッチ [編集]
キラー・バディ・オースチンとジ・アラスカンの試合が有名。リングの上に万年雪を積んで、その上で闘う。
テキサス・プールサイド・デスマッチ [編集]
場外にプールがあり、相手からフォールまたはギブアップを奪った後、そのプールに落とせば勝利となる。また、いかなる場合でもプールに落ちると失格。近年のルールでは20カウント以内にプールに落として勝利となっている。JWP女子プロレスが有名(山本雅俊時代における逗子マリーナ大会の名物であったが、現在は道場マッチで簡易プールを使用している)だが、WARでも実施したことがある。変則でFMWがプール中央にリングを設営した水上デスマッチというものも存在している。
凶器使用型 [編集]
「ハードコア・レスリング」も参照
オール・ウェポン・デスマッチ [編集]
一切の凶器使用が認められる形式。別名フリー・ウェポンデスマッチとも呼ばれる。W★INGで観客が好きなものを持ち寄り、試合中凶器としてレスラーに手渡す形式が行われたこともある。またリングに公認凶器を置くこともある。
凶器観客持ち込みデスマッチ [編集]
英語では『ファンズ・ブリング・ザ・ウエポンズ・マッチ』(Fans Bring the Weapons match)と言い、観客らから集めた凶器群の入った箱をリング上に置いたうえで行う試合、あるいは単に観客の持ち寄った凶器を受け取りそれを用いて行う試合。何が凶器として出てくるか判らないため、難しい試合を強いられる。
スクランブル・バンクハウス・デスマッチ [編集]
W★ING及びIWA・JAPANで盛んに行われたもの。バンクハウスマッチとは「酒場の喧嘩」という意味。
リングの中央に公認凶器ひとつを置き、選手は入場口で待機して、カウントダウンの合図で試合開始、両者はリングへ駆け込み、公認凶器を奪い合いながら戦うという試合形式。用いられるのは多くの場合、木製バットに有刺鉄線を幾重にも巻きつけた『有刺鉄線バット』である。
公認凶器を天井に吊るし、それをハシゴに上って取る形式や、リング内のコーナーに凶器が詰め込まれた檻を置き、檻と反対側のコーナーにたてられたポールに吊るしてある鍵を取って檻を開け、中に入ってある凶器を使って戦う形式もある。