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西洋式の伐採用斧。両刃式の斧は、硬い木と柔らかい木を伐り分けるため、刃の研ぎ具合がそれぞれ異なる。
木に足場用の板を打ち込み、その上に乗って作業する。人が寝転がっている部分が受け口。

(きこり、木樵)とは、森林樹木などにより伐採すること、もしくはそれによって生計を立てている者を指す。樵夫(しょうふ)や杣夫(そまふ)ともいう。昔話などにもよく登場する職業である。

「木伐(こ)る」というラ行四段活用動詞(「木」と「伐(こ)る」との複合動詞)の連用形「木伐り」からの転成名詞と考えられる。「伐る」は、「木を切る/伐採する」の意味。

伐採作業[編集]

木を切り倒す作業は、かつてはまたはを併用して行われてきたが、現代ではチェーンソーを用いることが一般的である。チェーンソーの取扱については、必要な資格を確認すると共に、適切な服装(防刃服、防刃長靴など)を選択する必要がある。また、必要に応じて鋸、くさび、くさびを打ち込むハンマー(ヨキ)、ロープウインチバールなどを使用する。

まず、安全に伐倒させる方向を確認し受け口を切る。受け口は、直径の1/4から1/3程度を目安に水平方向から切り込みを入れ、さらに上方から水平の切り込み面に向け30度程度の角度をもって、斜めに切り込みを入れる。受け口によりできる三角形の木片は取り除く。切り残しの部分は、「つる」といい、後に倒す際のスピード・方向をコントロールする要素となる。

受け口の反対方向から追い口を入れる。切り込みは互い違いの状態になる。

次に、つるの部分に反対方向から追い口を入れる。追い口は、受け口の高さの2/3程度の高さを目安に水平方向に切れ込みを入れる。追い口を入れることで、つるは立木の自重で挫屈し、受け口方向へ倒れるため加減を入れながら行うことが基本である。切れ込みを一気に受け口まで入れることは、立木の倒れる方向や早さを変化させることから危険である。直径の大きい木は、適宜、切れ目にくさびを入れてハンマーで押し倒したり、ロープとウインチを併用して伐倒方向を制御する。こうした作業を全て高性能林業機械(ハーベスタ)で行うこともある。

間伐など立木が密生して行う場所では、伐倒した木が隣の木にかかり完全に倒れない「かかり木」が発生しやすい。かかり木は、放置すると不意に倒れることから危険であり、その場で対処することが必要である。対処方法は、その時々、状況にもよるが、つるの調整によって伐倒木を回転させたり、木回し棒(フェリングレバー)を用いて回して落とす。根本にバールなどを当てて、てこの原理で伐倒した木を安全な方向へ根気よく動かし、立木から離すことが原則である。危険ではあるが、かかり木に向かって新たな木を当てて、その両方を倒す技術もある(あびせ倒し)。 安全に作業するためにワイヤーで引っ張りながら伐木することもある(チルホール伐倒)。

玉切りの様子。シイタケのほだ木なら1m前後、角材などは4-5m単位で玉切りをして搬出する。

伐倒した木は、枝を落とし、流通を考慮した長さに切る(玉切り)作業の後、ウインチやケーブルクレーン、グラップルなどにより引き上げられ、トラックや林内作業車によって林外へ搬出される。大規模な傾斜の緩い伐採地であれば、ブルドーザーなど大型重機による引き出し、奥地でかつ高価な木材であればヘリコプターによる搬出がごく稀に行われる。

このような作業の過程は、事故が連鎖的に発生することが多く、熟練の作業者が丁寧に安全を確認しながら実施しても、これを完全に防ぐことは出来ない。林業労働者の労働災害発生率は、平均的な工場労働者の10倍から20倍以上になるなど非常に危険な仕事の一つとされている。

関連項目[編集]