日本茶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
収穫直前の一番茶

日本茶(にほんちゃ)とは、日常の会話で用いられる用語で、「日本のお茶」、つまり、「日本で作られたお茶」あるいは「日本でよく飲まれる種類のお茶」と言った意味合いの言葉である。の生物学的な分類として定義された言葉ではない。

日本茶の種類[編集]

ほとんどの日本茶は不発酵茶である緑茶であるが、ごく一部では中国茶黒茶に近い発酵茶が製造されていて、漬物茶と呼ぶ。徳島県の阿波番茶、高知県の碁石茶、愛媛県の石鎚黒茶など四国に多い。四国以外には岡山の玄徳茶、富山のばたばた茶などがある。

緑茶の多くは、蒸すことで加熱処理をして酸化発酵を止めたのち、揉んで(揉まないものもある)、乾燥させる製法をとる。この方法は日本独自で発展したものであり、世界的にみても製茶過程で"蒸し"という工程が行われている国は他に類を見ない。 茶葉は摘んでまもなく加熱処理されるのですぐに発酵が止まる。このため、日本茶は普通緑茶を指す。蒸す代わりに釜で炒る加熱処理を用いる場合もある。この製法をとる日本茶を釜炒り茶という。釜炒り茶としては九州の嬉野茶やぐり茶などが有名である。蒸す製法は前述したように日本独特のものであり、炒る製法は中国茶に近い。


緑茶を大分類すると中世までに確立した茶道における抹茶(挽茶)とそれ以外の、近世以降中国大陸から伝わった茶葉を挽かずに用いる広義の「煎茶」に分けられる。狭義の「煎茶」とは、玉露(高級品)、番茶(低級品)の中間に位置づけられる、中級品の緑茶という意味(詳細は玉露煎茶番茶を参照)。また本来の目的のお茶である本茶に対して、選別などの工程ではじかれた出物のお茶、すなわち茎茶、芽茶、粉茶、ティーバッグ用原料茶という分類も存在する。

緑茶は学術的には不発酵茶とほぼ同義であるが、日本で一般に緑茶といった場合、単に日本で最も多く作られている緑茶、すなわち煎茶(広義)を意味する。つまり煎茶(狭義)のほかに、玉露番茶ほうじ茶玄米茶など全般を指す。さらに広義には、抹茶を含める場合もある。

栽培[編集]

日本一の茶の産地である静岡県牧之原台地の茶畑(撮影地は島田市金谷町)。立ち並ぶ防霜ファンが見える。

日本では静岡県牧ノ原台地富士山麓安倍川天竜川大井川など県下全域)にて日本の生産量の約40%が栽培されている。第2位の鹿児島県は、知覧茶などの一部のブランドを除き、元々は紅茶輸出用に広められ、輸入自由化の後は、主に県外廉価品のブレンド用に生産されていたため知名度は浸透しなかった。第3位は三重県、第4位は宮崎県、他には室町時代から名を高め江戸幕府にも献上された宇治茶、江戸の庶民に親しまれた狭山茶、品質の高い玉露生産で名を高めた八女茶などがある。産地銘柄を表示する際には、当該府県産原料が50%以上含有するなどの条件を設け、ブランド維持を図っている。

現在、日本全国で栽培されている茶樹の9割をやぶきた一品種が占めている。最近では、おくみどり、さえみどり、つゆひかりなどの新しい品種の栽培に積極的な茶農家も増えてきており、特に鹿児島県では多様な茶樹栽培が活発である。

霜害を防ぐため、畑には県などの補助金により防霜ファン(電柱の天辺に下へ向けた扇風機が取り付けてある)が設置されている。

2008年(平成20年)度税制改正において、法人税等の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」が改正され、別表第四「生物の耐用年数表」によれば2008年(平成20年)4月1日以後開始する事業年度にかかる茶樹の法定耐用年数は34年となった。

日本茶の産地とブランド[編集]

日本茶は寒冷地である北海道を除き、零細規模のものを含め、日本全国に産地が分布する。これは、近隣の寺院が庶民の健康維持や、水を美味しく飲むため、茶の栽培を奨励したことで、そのまま名産地となった地域や、藩政時代に奨励作物として栽培が盛んになった地域が多いためである。また、明治時代から昭和初期までは輸出用の換金作物として全国各地で栽培が行われるようになった。しかし、戦後に主な輸出先であった北アフリカの政情不安や価格競争、輸出国への嗜好変化などもあって、輸出量は大きく落ち込んだ。一方で、ペットボトル、パック緑茶の普及や健康志向などもあって、減少の一途を辿っていた緑茶消費量は横ばいを続けており、今日では専ら国内で消費される。そのため、日本における茶の自給率は2011年現在で92%(紅茶等を除く)に及んでいる。

収穫された茶を蒸して揉んで乾燥させた状態を荒茶といい、この工程までを主に茶農家が行う。次に加工業者が複数の茶農家から買い付けたさまざまな荒茶を使い、「合組」と呼ばれるブレンド作業を行い仕上げ茶(製品)が完成する[1]。同じ産地の荒茶でブレンドするとは限らないため、産地と銘柄(ブランド)には銘柄の名がどうであれ、食品表示に示されている以上の関係は保証されていない[2]

一般に茶栽培は、水はけ、日当たり、風通しが良い場所が適地とされる。地形は主に平野部、畦畔部、山間部などに分けられ、平野部では、機械導入などにより収益性を高めた大量生産を行っている。一方、畦畔部、山間部でのヤマ茶栽培では、機械導入などは難しいため、競争力に劣る。その一方で、寒暖差が激しく、朝霧が掛かるなどの自然条件を活用、あるいは手もみ製法や無農薬栽培、伝統的な製法を継承するなどして品質に付加価値を付け、大規模産地と差別化を図っている。以下は、その産地を都道府県番号順に準拠して列べたものであり、知名度の有無は問わない。

尚、名称は日本茶業中央会公式ページ及び農文協による『日本茶全書』に因むが、現在は専ら使用されていない、或いは過去の産地となっているものを整理した。また、産地の概要は日本茶業中央会、全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会のサイト[3]、各自治体、観光協会、商工会ホームページや松下智著『日本名茶紀行』等を参考にしている。

複数の生産者が「北限」を名乗っているが、それぞれ定義が違うため注意が必要である。また稲作と同様に気候変動の影響を受けるため、絶対的な基準ではない。全国茶生産団体連合会のサイトでは、「一般的に新潟県村上市と茨城県大子町を結ぶラインが茶の生産が産業立地する北限といわれている。」と解説している。全国茶生産団体連合会に加盟している団体の北限も茨城県と新潟県である。なお「産業として成り立っている北限」は宮城県北部から岩手県南部の地域である。

北海道[編集]

葉の採集を目的とした栽培はされていないが、古平町の禅源寺に植栽されている木が最北端とされる。

東北地方[編集]

青森県
実質上の茶栽培北限で、江戸時代から自家消費のために各家庭で栽培が行われていた。現代では小学校の体験学習教材などに使われているが、生産者は1戸のみで一般向けの販売はされていない。黒石市山県町にある法眼寺の境内に植えられている木は見学可能。
秋田県
自家消費ではない茶園としては最北。現在では生産を全て手作業で行っており生産量が極端に少なく、茶人などに優先して配布することから地元では飲まれていない[4]が、6月下旬に開催される檜山茶フェスティバルで茶摘み体験や秋田県立能代松陽高等学校の茶道部がいれた茶を試飲できる[5]
2014年に最後に残った茶園主が檜山茶保存会を設立し、第六次産業化を目指している[6]
山形県
1874年に羽黒町松ケ岡開墾場で静岡から招聘した技術者し茶の栽培と製茶が行われていたが、寒さに弱い品種のため産業化に失敗した[7]
2010年から入間市博物館などの協力を得て、松ケ岡開墾場で寒さに強い品種の試験栽培として復活した。市販はされていないが、茶摘み体験で入手可能[8]。ブランド名は決まっておらず、全国茶主産府県農協連連絡協議会では「庄内産茶」と表記している。
岩手県・宮城県(旧仙台藩領内)
17世紀初めに伊達政宗が奨励してから仙台藩領内の各地で茶が栽培された。特に仙台湾周辺では海霧の恩恵を受け、1873年の統計では宮城県の生産量が全国4位になったが、機械化が進まず次第に他の大規模生産地に押されて衰退した[9]
工場での製茶を行っている茶園としては最北。無農薬栽培による茶を地元農協が買い取り「けせん茶」のブランドで県内の店に出荷している[10]
古くは「北の茶所」と呼ばれ、現在でも通信販売で入手できる。安定して全国に供給できる茶園が複数存在する地域としては最北[11]とされる。
摘み取りは立春から88日目ではなく108日目であるため、百八茶とも呼ばれる[12][13]

関東地方[編集]

茨城県
  • さしま茶(猿島茶)(古河市・坂東市・常総市・境町・八千代町など)
県下最大の産地。江戸時代から水戸藩の奨励作物として栽培された。後に宇治から技術を採り入れたことで、江戸の市場を開拓。ペリー来航による開国を機に、下田のアメリカ領事館に宣伝を行った結果、安政六年には、開国後に初めて海外輸出を行った産地となった(それ以前に、長崎を通して、営々とオランダに緑茶が輸出され、ヨーロッパ各国やイギリスなどにも渡った歴史があった。しかし、ヨーロッパでは、緑茶と硬水の相性が悪かったために、後に登場した紅茶によって衰退した)。
  • 奥久慈茶(大子町)
古くは保内茶、保内郷茶と呼んでいた。400年前に宇治から持ち帰った茶の樹を西福寺境内に植えたのが始まりとされる。新潟県村上市とともに一般流通される北限の茶産地として知られる。
  • 古内茶(城里町)
県下で最も古い産地で、元々は清音寺の境内で栽培されていたもの。徳川光圀に献上し、感動の余り詩を詠んだという伝承が伝わり、その時名乗らせた『初音』の樹が現在も清音寺境内に残る。

※以上、3銘柄を俗に、茨城三代銘茶と名乗っている。

栃木県
  • 鹿沼茶
  • 黒羽茶
群馬県
  • 梅田茶(桐生市)
県内を代表する産地。奥久慈~村上を通る茶栽培の北限に位置する。桐生の名の元となったとされる「霧」「霞」などのブランドがある。
埼玉県

生産量は国内11位(東日本では静岡県に次ぐ)。江戸時代の武蔵野開拓によって茶畑が広まり、河越茶などとして庶民に親しまれた。現在も首都圏での消費が高いため、全国に知られる名産地となっているが、茶産地としては寒冷による摘採回数の少なさなどのために生産量はそこまで多くはない。

入間市、所沢市、狭山市などで生産される県産茶葉の総称。狭山地域から離れた児玉郡や秩父市でも生産しているが、ブランド力を借りて狭山茶の名で販売している。火入れという工程をほどこすため味が濃厚であり、俗諺で『色は静岡、香りは宇治、味は狭山でとどめさす』と茶摘み唄に文句がある。
千葉県

千葉は、古くは静岡県に次ぐ日本有数の茶産地で、「佐倉茶」として市場に流通していたが、その多くが落花生生産などに転換したため、今日の生産量は数十トン(市場占有率0.1%未満)に過ぎない。

  • 佐倉茶
佐倉市では、現在は小川園など数軒が生産を行っているのみで、八街市や成田市が主流である。
  • 八街茶
東京都
狭山丘陵に拡がる茶産地のうち、東京都内で生産される茶葉を差す。かつては狭山茶として販売していたが、戦後に都内産を強調するため、このように呼ぶようになった。
神奈川県
  • 足柄茶(小田原市・開成町など)
神奈川県産茶葉の総称。関東大震災以後の産業復興策として始められた。浅蒸しの製法が主となっている。

中部[編集]

新潟県
  • 村上茶
1620年から栽培が始まったとされる。自然交配により、耐寒性を持った独自の茶樹となっている。
富山県
生産は朝日町。国内では珍しい発酵茶の産地で、塩を一つまみいれ、茶筅で泡立てて飲む。
石川県
伝統的に焙じ茶の消費量が高い。
  • 加賀棒茶
  • 中居茶(穴水町)
江戸時代は加賀藩主にも献上された歴史を持つ産地であったが、後継者不足や他産地との競争などにより廃絶。現在は、有志が復活させているが、流通量は極めて少ない幻の産地となっている。
山梨県
戦国時代に穴山氏の文書に贈呈用としての記述がある。第二次世界大戦後にやぶきた種を導入したことで本格的に栽培が始まり、農地の多くが茶畑になっている。
長野県
  • 赤石銘茶(下伊那郡全域)
伊那谷に茶産地が分布していたため、伊那茶と呼ばれていたこともある。江戸時代から脈々と続いてきた産地であるが、戦後の昭和30年頃から狭隘な農地を有効活用すべく始められ、虫害の少なさもあって銘茶産地に成長した。
岐阜県

生産量は国内13位。

その他 恵那茶恵那市中津川市)・下呂茶・津保茶(関市上之保地区)・郡上番茶など
静岡県

国内随一の茶産地であり、市場占有率は40%を超える。産地も全県各地に亘り、中でも牧之原、三方原、磐田原周辺には大規模な茶園が広がっている。

富士山と茶畑
川根茶川根本町)・沼津茶・富士茶・足久保茶(静岡市)・本山(ほんやま)茶(静岡市)・両河内(りょうごうち)茶(静岡市清水区)・庵原(いはら)茶(静岡市清水区)・梅ヶ島茶(静岡市)・岡部茶-朝比奈玉露-・榛原(はいばら)茶・みくりや茶(御殿場市)・金谷茶・島田茶・天竜茶・藤枝茶・掛川茶・菊川茶・小笠茶・袋井茶・渋川茶(浜松市)・井川茶(静岡市)・磐田茶・遠州森の茶・新山茶(静岡市)・水窪(みさくぼ)茶・浜松茶・春野茶・御前崎茶・ぐり茶(伊東市)など銘柄が多い。
  • 川根茶(川根本町)
名の知られた銘柄の一つ。大井川上流に位置する川根地区で栽培。傾斜面を利用した茶畑は寒暖差が激しく、また大井川の影響で朝霧が掛かるために、良質の茶が育つ。
  • 本山(ほんやま)茶
静岡市北部、安部川と支流藁科川上流に位置する山間部で生産される。古くは安倍茶とも呼ばれたが、他産地と区別するため、発展の礎を築いた筑紫光太郎が本山茶と命名。明治天皇にも献上した歴史があり、静岡茶を代表する高級銘柄として知られる。また、静岡茶発祥の地でもある足久保地区産のものは、足久保茶と呼ばれることがある。
愛知県

生産量は国内10位。県最大産地の新城のほか、西尾市(西尾、吉良)は碾茶の一大産地となっている。

碾茶(抹茶)の産地として有名。
  • 足助寒茶
  • 新城(しんしろ)茶
その他 奥三河茶(新城市作手地区)・吉良茶・豊橋茶など。また、宮崎番茶(岡崎市)と呼ばれる独自製法の茶があったが、現在は生産されていない。

近畿[編集]

三重県

生産量は国内3位。北勢地方で多く生産されるかぶせ茶は国内1位(2011年)、菓子加工用茶葉の生産量は国内1位。

三重県下で生産されるうち、旧伊勢国に属する地域で生産される茶葉の総称。生産地単独によるブランド育成も盛んで、度会(わたらい)茶・飯南茶(松阪市飯南町)・鈴鹿茶・大台茶・亀山茶・水沢(すいざわ)茶(四日市市)・菰野茶、石榑(いしぐれ)茶(いなべ市)、芸濃茶(津市芸濃町)、美杉茶(津市美杉町)、香肌茶(飯高町)などがある。
  • 度会茶(わたらい茶)(度会町)
伊勢茶の中でも著名な銘柄の一つで、幾度となく伊勢茶や関西での品評会で受賞を果たしている。清流で知られる宮川上流に位置し、川霧が掛かるため、良質の茶が出来る。
  • 水沢(すいざわ)茶(四日市市)
かぶせ茶の産地として知られる。歴史は古く、平安時代、空海によって唐から茶栽培を伝えられたという伝承がある。江戸末期、常願寺の僧、中川教宏が再興し、後に輸出用作物として栽培が盛んになった。
  • 伊賀茶(伊賀市)
滋賀県

生産量は国内12位。

最澄が唐より持ち帰った茶の種子を播いたという伝承が残る、国内最古級の茶産地。茶栽培に適した土壌と気候条件を持ち、品評会で何度も受賞を重ねている銘茶の産地となっている。
鈴鹿山脈の渓谷部、政所地区に位置する山間の茶産地。幼少の石田三成が豊臣秀吉に献上した「三献の茶」伝説の元になった茶産地であり、生涯秀吉に愛飲されたと伝えられる。その後も彦根藩や朝廷に献上した歴史を持ち、特に彦根藩の庇護を受けた。江戸時代~明治時代には隆盛を極め、伊勢から多くの茶職人が出稼ぎに来たと伝えられる。その往事の殷賑ぶりを伝える茶摘み唄があり、「宇治は茶所、茶は政所、娘やるは縁所…」などと謡われた。
  • 土山茶(甲賀市土山町)
県最大の茶産地。南北朝時代に常明寺の僧が京の大徳寺から茶の実を持ち帰り、栽培を始めたのが端とされる。
その他 水口茶(甲賀市水口町)・北山茶(日野町)など
京都府

生産量は国内5位。宇治市、宇治田原町、和束町などが主産地のほか、両丹地方でも茶栽培が行われている。また、茶の加工場数は静岡県に次ぐ。

国内随一のブランド力を持つ茶銘柄。細分すると宇治市の宇治茶のほか、宇治田原茶、和束(わづか)茶、南山城茶などを総称する。山本嘉兵衛が宇治郷小倉の木下家において「玉露」を発明。宇治田原町では玉露、和束町では碾茶栽培も盛んである。
その他 両丹茶(福知山市)・綾部茶
兵庫県

歴史の古い産地が多いものの、近隣に宇治や伊勢、大和などの大産地が存在したために戦後は発展せず、生産量はそこまで振るわない。

  • 丹波茶(篠山市)
味間地区が主産地。江戸時代には藩の奨励作物として生産され、明治以降も盛んに大阪などに出荷された一大産地であった。2012年現在も、県産茶葉の多くを占める。
  • 母子(もうし)茶(三田市)
三田市の最北部、母子地区に位置する。花の名刹として知られる永沢寺の僧が中国から伝えたとされる、歴史の古い産地。
  • 朝来みどり(朝来市)
朝来市のさのう高原にて栽培される。標高380メートルの高原地帯に、段々畑が展開。グループによる共同生産を行っており、高品質化と能率化を図っている。
その他 やしろ茶(加東市)・あさぎり茶(佐用町)・出石乙女(出石町)など
奈良県

生産量は国内7位。産地は山添村、月ヶ瀬村など県北東部に集中し、大和茶と名乗っている。

  • 大和茶 広義で奈良県産茶葉を指し、月ヶ瀬・福住(天理市)・柳生・山添・都祁・大淀などの産地を総称する。狭義では上述の産地とは分けられるが、大和茶で統一している傾向が強い。
和歌山県

古くから茶粥などの食習慣があったため、自家消費用に零細規模の茶栽培が至る所で見られた。生産量は少ないものの、以下の産地が知られ、観光地などと結びついている。

  • 色川茶(那智勝浦町)
那智勝浦町の山間部、色川地区で生産。本州一の早摘み茶として知られる。
  • 川添茶(白浜町)
日置川上流の市鹿野地区で栽培される手揉み茶。紀州徳川家にも献上された歴史を持つが、品質向上のため静岡茶の技術を採り入れている。
  • 音無茶(田辺市本宮地区)
旧本宮町の音無川流域、伏拝地区で生産される山間茶。5~6月に摘採される一番茶のみをそう呼びブランド茶として売っているが、流通量は極めて少ない。二番茶以降は専ら茶粥用に消費される。

中国・四国[編集]

鳥取県
  • 大山茶(米子市淀江町)
陣構地区で主に生産。国産紅茶のブランド化も行っている。
その他 用瀬(もちがせ)茶

※かつては、鹿野町(鹿野茶)や智頭町(智頭茶)などでも茶栽培が盛んで日干番茶などが作られていたが、厳しい気候や後継者不足などにより、2012年現在は殆ど生産されていない。

島根県

松平治郷(不昧)による茶の湯普及により、江戸時代から茶栽培が行われ、現在も出雲地方を中心に茶栽培が盛んである。

  • 出雲茶(出雲市)
松江市は全国と比べて緑茶、和菓子の一人当たり消費量が高く、その需要に合わせ茶栽培も盛んに行われてきた。また、ぼてぼて茶の風習でも知られる。
  • 大東茶(雲南市)
その他 唐川番茶(出雲市)・伯太番茶(松江市伯太町)など
岡山県
  • 海田(かいた)茶(美作市)
広義で、周辺を含め美作茶と呼ぶ場合もある。美作番茶、作州番茶とも呼ばれる番茶作りも盛んであるほか、発酵茶の一種である玄徳茶(源流は高知の碁石茶)もこの地方で生産される。
  • 富原茶(真庭市)
山茶の自生地に端を発する産地。20年前に完全無農薬農法を実施しており、付加価値を付けている。
広島県
かつては大規模産地として、ブレンド用に静岡などへ出荷していたが、生産農家の激減により衰退。現在は有志が再興を図っている。
山口県

古くは毛利藩、長州藩、さらに維新後、県の政策などによって盛んに茶栽培が行われてきた。一時は「防長茶」として名を馳せたが、現在の生産量は少なく、9割を小野茶を占める。

  • 小野茶(宇部市)
八女で茶栽培の指導を行っていた堀野政現が当地で茶園を開いたのが始まりで、小野は地区名に因む。茶園は100haに及ぶ大規模なもので県内最大の産地となっている。
  • 高瀬茶(周南市)
江戸時代から続く茶産地。良好な自然に恵まれ、黄金水と呼ばれる銘水で栽培。後述する香川県の高瀬茶とはブランド名が重なるが、歴史的なつながりは皆無である。
徳島県

発酵茶の阿波晩茶や冬季に生産される寒茶が有名。煎茶は三好市の山間部と那賀町相生が主な産地。

  • 阿波晩茶
    • 相生番茶(那賀町相生)
    • 神田(じでん)茶(上勝町)
  • 相生茶(那賀町相生)
徳島県内で一番早く生産される煎茶。
  • 歩危銘茶(三好市山城町)
徳島県内最大産地である三好市山城町のうち、大歩危周辺で生産される煎茶。
  • 宍喰寒茶(海陽町宍喰)
冬の寒い時期に海陽町の集落で少量生産される茶。
その他 祖谷茶(三好市西祖谷山村)、木頭寒茶(那賀町木頭)
香川県
  • 高瀬茶(三豊市高瀬地区)
香川県内の6割強を占める県内最大の産地で三豊市旧高瀬町二ノ宮地区で生産される。上級煎茶の産地であり、二番茶までを収穫する。
愛媛県
  • 新宮茶(四国中央市)
詳細は新宮茶を参照。
  • 久万茶(久万高原町)
  • 鬼北茶/松野茶(松野町)
その他 美川茶(久万高原町旧美川村地区)・宇和茶(西予市)・富郷茶(四国中央市)・周桑茶(西条市)・石鎚黒茶(小松町)など
高知県

生産量は国内15位。平野部で生産される土佐茶のほか、四国山地の山麓に山茶産地が点在する。また、碁石茶は著名な黒茶である。

大豊町の一地区で生産される発酵茶。現地では消費されず、もっぱら瀬戸内の島嶼に茶漬用として送られていた。近年は、健康茶として注目を浴び、通販も行っている。
  • 土佐茶(高知市ほか)
広義では、高知県内で生産される緑茶を指す。伝統的に蒸し工程をあまり行わない浅蒸しが好まれる。
  • 仁淀茶(仁淀川町)
その他 池川茶(仁淀川町)・佐川茶(佐川町)・津野山茶(津野町)・四万十茶(四万十町)など

九州・沖縄[編集]

福岡県

生産量は国内6位。八女茶が知られるが、他に豊前市やみやこ町などでも茶栽培が行われている。

筑後茶・星野茶・黒木茶・笠原茶などの総称で、旧黒木町、旧星野村は国内随一の玉露産地として知られる。その一方で、煎茶やかぶせ茶、蒸し製玉緑茶の生産も行っており、幅広い。
佐賀県

生産量は国内8位。嬉野市のほか、唐津市などが主産地。

嬉野は 「釜炒り茶」 発祥の地。
その他 唐津茶・七山茶・作礼茶(唐津市厳木地区)
長崎県

生産量は国内14位。一般的な蒸製のほか、ぐり茶と呼ばれる蒸し製玉緑茶の生産が特徴的。

  • そのぎ茶(彼杵茶)(東彼杵町)
県内最大の産地。嬉野市と隣接し、古くは嬉野茶として出荷された。蒸製のほか、ぐり茶の生産も特徴的となっている。
  • 世知原(せちばる)茶(旧北松浦郡世知原町
栄西が平戸の富春園に播種したものの流れを汲むとされるが確証は無く、組織だった栽培は明治時代から[14]。そのぎ茶と同じく、ぐり茶の名産地でもある。
その他 雲仙茶・松浦茶・五島茶など
熊本県

生産量は国内9位。ブランド力を高めるため、くまもと茶として売り出している。歴史が古い産地が多いため、高齢の茶樹が多い。

  • くまもと茶(熊本県)
矢部茶/山都茶(山都町)・岳間茶(鹿北町)・菊池水源茶・鹿北茶・水俣茶・相良茶・錦茶・五木茶などの総称。生産地単独で売り出している場合も多い。
大分県

茶栽培が盛んな九州各県の中で、平野部が少ないため、茶生産はそこまで盛んではない。

  • 因尾(いんび)茶(佐伯市本匠地区)
番匠川の上流に位置する産地で、江戸時代から釜炒り茶が主流となっており、連綿と製法が継がれている。
  • 津江茶(中津市中津江村・豊後大野市)
旧中津江村を初めとする山間部で生産。2003年から「べにふうき」を主としている。
その他 耶馬渓茶・きつき茶(杵築茶)・野津茶
宮崎県

生産量は国内4位で、多くは県外へブレンド用として出荷される。日向市と都城市、串間市、川南町などが主産地で、大規模な茶園、かつ積極的な機械導入により急成長した。また、大半の産地では「宮崎茶」としてブランド統一を行う傾向が強い。その一方で、高千穂・五ヶ瀬地方には伝統的な製茶技術が伝わっている。

  • 高千穂茶
釜炒り茶のほか、カッポ茶の習慣でも知られる。
  • 都城茶
その他 五ヶ瀬釜炒り茶・延岡茶・串間茶・米良茶など。
鹿児島県

生産量は国内2位。市場占有率は25~30%で、静岡に次ぐ大産地であり、知覧や頴娃、霧島南麓の茶産地が知られるが、大隅半島沿岸の志布志周辺や薩摩半島内陸部にも茶園が広がる。明治時代には輸出用作物として茶生産が盛んになり、平地を利用した大規模な茶園が多い。

県産茶葉の総称。知覧茶・頴娃(えい)茶・溝辺(みぞべ)茶・財部茶(たからべ茶)・有明茶・霧島茶・宮之城茶・松元茶・曽於茶・枕崎茶・伊集院茶・田代茶・種子島茶などがあり、生産地単独でブランド育成を行う傾向も強い。
  • 知覧茶(南九州市)
下述の頴娃とともに、南九州市は自治体単位で国内最大の茶産地となっている。ブランドの詳細は知覧茶を参照。
  • 頴娃茶(えい茶)(南九州市)
天保時代から伝わる古い産地であるが、大規模化したのは昭和40年ぐらいからで、旧頴娃町としても、県内最大の産地となっていた。しかし、隣接する知覧とは対照的に他産地の受注生産などを行っていたため、知名度が低かった。多様な品種を栽培しており、近年はブランド化を進めている。
沖縄県
  • 奥みどり(国頭村)
日本国内で最も早摘みの産地。紅茶生産も行っている。

※福島県、大阪府にはめぼしい産地は見られない(生産量は0ではなく、零細規模のものなら点在している)。また、福井県には三方茶の記載があるが、現在の状況など詳しい資料が得られないため、記述を保留した。

茶期区分について[編集]

日本国内においては、全国的な茶期区分がおおむね次のとおりとなっている。[15]

茶期別 / 区分
  • 一番茶…3月10日から5月31日
  • 二番茶…6月1日から7月31日
  • 三番茶…8月1日から9月10日
  • 四番茶…9月11日から10月20日
  • 秋冬番茶…10月21日から12月31日
  • 冬春番茶…1月1日から3月9日

茶の品質保持[編集]

茶の劣化の要因として、温度・水分・酸素・光が挙げられる [16]

温度・水分

貯蔵温度5、25、40℃で保管した茶葉を比較したところ、高温で保管したものほどクロロフィルの減少およびフェオフィチンの増加が見られた。クロロフィル色素の減少により、淹れた際の変色が生じる。また、温度(5、18-26、38℃)と水分(3.7、5.7、7.5%)を変えて保管したところ、4ヶ月後のビタミンC残存率は低温で保管したものは、水分量が少ない方から82、81、73%であったのに対し常温では71、61、48%、高温では61、46、40%と低温・乾燥であるほど減少幅が少なかった。なお、「宵越しのお茶は飲むな」と言われるのは、急須に残った茶葉が水分と雑菌により傷むことから来ている[17]

酸素

茶葉が酸素に触れることにより、カテキンやビタミンCの酸化が生じる。一時期は酸化を防ぐために真空パック包装が用いられたが、茶葉に含まれる茎がピンホールの原因となることがあるため、近年では窒素ガスを封入する方法が採られている。

茶葉が直射日光を受けることにより、脂質カロテノイドが酸化され、日光臭(日本酒用語)と呼ばれる異臭が生じる。これを防ぐため、包装材としてアルミ箔の多層フィルムが用いられる。日光臭の原因物質は3-メチル-2-ブテン-1-チオール

資格[編集]

日本茶に関連する資格としては「日本茶インストラクター」「日本茶アドバイザー」があり、特定非営利活動法人日本茶インストラクター協会が認定する。

茶を市町村の木・花に選定している自治体[編集]

かつて市町村の木・花に選定していた自治体[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 日本茶の図鑑』、pp.164-166.
  2. ^ おいしいお茶がのみたい』、pp.47-49.
  3. ^ 茶ガイド-全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会
  4. ^ 梶原茂兎悦「北限の茶園 (PDF) 」 、『茶の湯文化学会会報』第24号、茶の湯文化学会、2000年3月23日、 1-3頁、2015年12月6日閲覧。
  5. ^ 桧山茶を伝え・残す 桧山茶フェスティバルについて”. 2015年6月2日閲覧。
  6. ^ “「北限の檜山茶」絶やさず”. 北羽新報. (2014年7月16日). http://www.hokuu.co.jp/2014kiji7/16-20.html 2015年6月2日閲覧。 
  7. ^ 松ヶ岡開墾場”. 山形県. 2015年6月2日閲覧。
  8. ^ “開墾場に若葉輝く 市民が茶摘み楽しむ”. 荘内日報. (2014年6月1日). http://www.shonai-nippo.co.jp/cgi/ad/day.cgi?p=2014:06:01:5998 2015年6月2日閲覧。 
  9. ^ 仙台市博物館市史編さん室『せんだい市史通信』第31号。
  10. ^ 産物紹介「けせん茶」”. 気仙の営農. JAおおふなと. 2015年6月2日閲覧。
  11. ^ 矢部園茶舗 | YABE-EN.com
  12. ^ 桃生のお茶・漬物”. 河南桃生商工会. 2015年6月2日閲覧。
  13. ^ “北上川背に新茶キラキラ 石巻”. 47NEWS. http://www.47news.jp/CI/200705/CI-20070522-6594348.html 2015年6月2日閲覧。  [リンク切れ]
  14. ^ せちばる茶の歴史
  15. ^ 平成19年度産茶生産量(農林水産省統計) (PDF)
  16. ^ 食品と劣化[要ページ番号]
  17. ^ 綱島理友 『猫めしのサジかげん』 朝日新聞出版1996年7月ISBN 978-4-02-256977-6 [要ページ番号]

参考文献[編集]

  • 『日本茶の図鑑 - 全国の日本茶119種と日本茶を楽しむための基礎知識』 公益社団法人日本茶葉中央会、NPO法人日本茶インストラクター協会監修、マイナビ出版、2015年6月、初版第2刷。ISBN 978-4-8399-4813-9
  • 波多野公介 『おいしいお茶がのみたい - 本物の日本茶を求めて産地を歩く』 PHP研究所、1996年9月ISBN 978-4-569-55315-3
  • 津志田藤二郎 『食品と劣化』 光琳〈光琳選書 5〉、2003年11月ISBN 978-4-7712-0023-4
  • 淵之上康元、淵之上弘子 『日本茶全書 - 生産から賞味まで』 農山漁村文化協会、1999年4月ISBN 978-4-540-98213-2

関連書籍[編集]

  • 『日本茶のすべてがわかる本 - 日本茶検定公式テキスト』日本茶検定委員会監修、日本茶インストラクター協会 企画・編集・発行、2008年11月。ISBN 978-4-540-08187-3
  • 『知識ゼロからの日本茶入門』 山上昌弘監修、幻冬舎〈芽が出るシリーズ〉、2009年4月。ISBN 978-4-344-90152-0
  • 『日本茶のこと説明できますか?』 枻出版社〈Discover Japan CULTURE〉、2010年10月。ISBN 978-4-7779-1770-9
  • 『日本茶の基礎知識』 枻出版社〈食の教科書〉、2011年3月。ISBN 978-4-7779-1905-5

関連項目[編集]

外部リンク[編集]