アルミ箔

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アルミホイル
アルミホイル製のカップ

アルミ箔(アルミはく、aluminum foil)は、アルミニウムでできた「箔」である。俗に銀紙(ぎんがみ)と呼ばれることがあるが、正確には銀紙とはアルミ箔にを裏打ちしたものである(これは、折り紙として使われたり、タバコの内包装として使用されたりする)。アルミ箔は、単体、あるいは他の素材と組み合わせて、遮光、赤外線反射、電磁遮蔽、酸素遮蔽、耐油、耐水、耐熱の機能を活かして多様である。厚さによって食品容器、長期保存飲料容器の内壁、錠剤パッケージ、保温容器、電子機器内壁の電磁保護、タバコなどの防湿用包装材などに使用される[1]。家庭用アルミホイルは、製造工程の特性で薄膜にしたときに微細なピン・ホールが残り酸素が透過できるため、食材の酸化を長期間防止するには25μm (0.025mm) 程度のものが用いられる。

概要[編集]

最初にアルミ箔を製造販売したのは1910年、スイスのアルミ精錬会社 J.G. Neher & Sons とされる。それまでの食品保護などに用いられたスズの薄膜が、接触部分にわずかながらスズの金属食味、つまり金属の味を感じさせてしまうことに対し、ほとんど食味変化のない材料であるアルミニウムに置き換えられた。アルミニウムのエンドレス圧延の技術は1907年に J.G. Neher & sons と Dr. Lauber が開発に成功した。

アルミ箔はJIS規格では「厚さ0.006mm-0.2mmのアルミニウム圧延素材」と定義されている。実際は0.2mmから0.005mmまでのものが作られており、家庭用アルミホイルでは0.015mm-0.02mmの厚さのものが販売されている[2]アルミ箔は紙やプラスチックフィルムに比べて酸素や水蒸気といった気体を通し難い性質、ガスバリヤー性と[2]、遮光性がある。また、展性に富むため容易にごく薄い箔に加工でき、箔となった後も柔軟なため折り曲げられてもすぐには断裂しない。表面にできる酸化皮膜のために、この表面を除けば酸化が進行することは通常ないため、長期に渡り表面の光沢が失われることはない。イオン化傾向が大きいため、口に含んだときに口内に他の金属があると起電力によって特有のピリピリした感覚を感じるときがある。

家庭用アルミホイル[編集]

日本では一般家庭用のものについて「食事用、食卓用又は台所用のアルミニウムはく」という分類・名称で家庭用品品質表示法の適用対象としており、雑貨工業品品質表示規程に定めがある[3]

一般的に食品用ラップフィルムと同様に紙筒を芯として巻き取り紙箱に収める形態をとるが、ティッシュペーパーのように四角形に裁断して、箱に収めたポップアップの形態をとる製品もある(カットホイルという)。ラップフィルムと同じく主に食品を扱う際に使われ、食材や料理を包んだり、皿や弁当箱に敷いたりする。ラップフィルムより光や空気、水分を通しにくいため冷蔵庫冷凍庫に入れる食品を包むと保存性が高まる[4]うえ、ラップフィルムと違いある程度の耐性があるため、落とし蓋オーブン加熱時の皿代わりに使われるほか、食材を焼く際に旨みを逃さないように包むホイル焼きという調理方法がある。ただし電子レンジにアルミ箔を入れ調理すると火花が出ることがあるのため、避けるのが望ましい。

アルミホイルの類似品としてクッキングシートがある。金属のアルミホイルと紙のクッキングシートでは性質が異なり、向き不向きも異なるが、用途によってアルミホイルの代用として使うことができる。

アルミホイルの加工品としてアルミカップがある。また、厚手のアルミ箔を容器にした鍋焼きうどん、ガスコンロの汁受部分のカバー、使い捨ての換気扇カバーなど二次的な製品も多数開発され、暮らしの役に立っている。薄手のものを紙と張り合わせ、湿気を遮断するためにタバコの内包装にも用いられる。

和紙や薄葉紙と張り合わせ、折紙の用紙として用いられることもある。これを俗に銀紙(ぎんがみ)と呼ぶが、厳密にはは使われていない。また、アルミホイルから動物などのメタリックな立体作品を仕上げたり、叩いて銀色の球体(アルミボール)を作ったりする美術・芸術用途もある[5]

アルミホイルをはさみで切ると、はさみの切れ味が回復する。これは、はさみの刃先に構成刃先という現象が起こるためである。

製造[編集]

アルミ箔は「アルミ素材メーカー」での加工と「アルミホイルメーカー」での加工の2段階で製造される。

素材メーカー[編集]

アルミ素材メーカーでは、まずボーキサイトから精錬によって純度99.5%-99.7%程度のアルミ・インゴットを作る。このインゴットを溶解して圧延用鋳塊(スラブ)を作り、面削加工を経て、一度660℃程度まで加熱する。アルミニウムの再結晶温度である400℃以上になったスラブは熱間圧延によって厚板に加工され、さらに室温まで冷えたアルミ厚板は多段の冷間圧延によって0.4mmの薄さまで加工される。圧延機のロールで圧縮されることで硬化したアルミの「箔地(はくじ)」ロールは電気炉で一度350℃程度まで再加熱されて「焼鈍し(やきなまし)」が行なわれて軟化され、同時に圧延時に付いた油が蒸発・除去される。1本約8トンの箔地ロールはホイルメーカーへ送られる。これ1本で最終製品117,000本相当となる[6]

ホイルメーカー[編集]

アルミ素材メーカーから送られてきた箔地ロールは、特に薄い箔を製造するために高速4段圧延機のような高い圧力を生み出す特殊な冷間圧延機によって0.4mmから0.025mmまで徐々に箔にまで薄くされる。この圧延機はキスロール圧延機と呼ばれ、2本のロールは単に一直線に接するだけでなく、圧延対象物であるアルミによって起きるワークロールの弾性変形分を含めて設計されている。これらの加工では箔地1本で1時間かかり、0.025mmのアルミ箔は最高で1,250m/分もの速度で巻き取られてゆく[6]。圧延機に供給される前に重合機(ダブラー)によってアルミは2枚が重ねられ、あいだに圧延油が噴霧されて圧延後はがしやすくされている。最後の圧延工程では1枚0.025mmのアルミニウム箔が2枚、重合圧延機にかけられ0.012mmまで1度に圧延される。圧延後は分離機(セパレーター)で2枚にはがされる。

2枚のアルミはそれぞれ1枚に、ロールと接触する外側とアルミ同士が向き合う内側の面が生まれる。ロールと接触する外側面では圧延ロールの平滑な研磨面がアルミ箔に写し取られるために、光沢を持った面が生じる。反対のアルミ同士が向き合う内側面では圧延油を介してアルミ箔同士が自由に変形するために微小な凹凸が生じて、光を乱反射する白っぽいつや消し面になる。例えば3枚を重ねれば中央では両面つや消しのアルミ箔が作られ、生産性も向上しそうだが、中央の箔は変形のコントロールが難しく欠陥が多くなるために実用化はされていない。圧延油には灯油に近い低粘度の鉱油が使用され、高速度での圧延を可能にしている。約1日半の間、焼きなまし加工を兼ねた「焼鈍」と呼ばれる電気炉による300℃の加熱工程[6]によって圧延油は蒸発し除去される[2]。製品とするために小さく紙の芯に巻き取って、切り分けられ、箱に詰められて販売される。

カルテル[編集]

2005年公正取引委員会は価格カルテルを結んでいたとして、大手アルミホイル製造メーカー6社に対して、独占禁止法違反による排除勧告を行った[7]

東洋アルミニウム株式会社
三菱アルミニウム株式会社
日本製箔株式会社 (現:UACJ製箔)
サン・アルミニウム工業株式会社 (現:東洋アルミニウム子会社 東洋アルミ千葉)
住軽アルミ箔株式会社 (現:UACJ製箔)
東海アルミ箔株式会社

出典[編集]

  1. ^ アルミ箔の知識
  2. ^ a b c JSTP編 『もの作り不思議百科』 コロナ社 1996年7月25日初版第3刷発行 ISBN 4-339-07668-6
  3. ^ 雑貨工業品品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
  4. ^ 【すっきり物語】意外!?アルミホイルで冷凍保存/香り長持ち ケーキもおいしく『日本経済新聞』朝刊2018年4月28日・別刷りNIKKEIプラス1(12面)
  5. ^ 「アルミショック!!世界の果てまで」『日経MJ』2018年4月13日(トレンド面)
  6. ^ a b c 成美堂出版編集部編 『モノができる仕組み事典』 成美堂出版 ISBN 9784415301020
  7. ^ 公正取引委員会判決等データベースシステム、東洋アルミニウム(株)ほか5社に対する件

関連項目[編集]

外部リンク[編集]