ティーハウス

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ニュージーランドのシャンティタウンヘリテージパークでティーが提供される様子
モスクワのティーハウス , 2017

ティーハウス英語: teahouse)またはティールーム英語: tearoom)は主にお茶と軽い食事を提供する施設である。茶店、茶館、茶屋、茶房、茶寮などと呼ばれることもある。ティールームは特にアフタヌーンティーを提供するホテルに併設されている部屋を指すこともある[1]。役割は環境や国々によって様々であるが、ティーハウスの中には時にコーヒーハウスのような社会的交流の中心的な役割を担うものもある。

いくつかの文化は自国の喫茶文化に応じて異なるお茶の施設の形もある。例えば、イギリスアメリカティールームでは様々な小さなケーキと共にアフタヌーンティーを提供する。

アジア[編集]

上海豫園の夜のティーハウス
ヤズドのティーハウス

中国語文化圏[編集]

東アジアにおいて、茶を出す店は中国では茶館(中国語: 茶館)と呼ばれ[2]、伝統的に客にお茶を提供する場所である[3]広東のティーハウスは茶樓と呼ばれ、点心を提供する[4]。こうしたティーハウスは「庶民の気楽な交際の場」としての役割を果たしている[5]

お茶が社交で好まれる飲みものとして扱われる以前は、仏教徒瞑想の補助としてお茶を飲んでいた[6]。中国人が仏教を取り入れた200年から850年までの間、お茶は薬効のあるハーブとして導入された[7]。その当時お茶は眠らないために必要なエネルギー(例えば脳を刺激するものであるカフェインの効果)を与えることにより、仏教徒の僧の瞑想に役立つものとして発展していった[7]。そのあとすぐ、以前は牛乳や水をベースとした飲みものが飲まれていたが、その代わりにお茶がごく普通の飲みものとして社会に広められた[7]。そして中国のティーハウスは8世紀から9世紀の間、中国人に新しい社交生活を提供した[7]

日本[編集]

日本では近代以降に発達した茶を出す店は喫茶店と呼ばれている。ティーハウスを指してかつて使われていた「茶屋」という言葉は日本では古めかしいとされている[8]。しかし「茶屋」という言葉は京都において芸妓が芸を行い顧客を楽しませる場所を指し、今でもなお使われている[9]

ビルマのティーハウスの付け合わせ

東南アジア[編集]

ミャンマーでラペイエザン (လက်ဖက်ရည်ဆိုင်) として知られているティーハウスは国中の主要都市の必需品である[10]。イギリスの植民地だった時代に初めて現れたこれらのティーハウスはミルクティーを提供し、そしてモヒンガーのような母国の食事からパラーターやプリのようなインドのフリッター、またはパオズ油条のような中国の粉物まで幅広い料理を提供する[10]。ティーハウスは伝統的に座談を楽しむサロンに似た会場を提供していた[11]

イスラーム文化圏[編集]

ウズベキスタンでは茶を飲ませる店は「お茶の部屋」を意味するチャイハナと呼ばれており、もっぱら男性の社交場である[12][13]。しばしば開放的な屋外に座席が設置されている[13][14]ウズベク・ソビエト社会主義共和国時代はソビエトの政治理念を広めるために図書室などが設置された「赤いチャイハナ」も出現した[12]

トルコチャイを提供する店はチャイハネと呼ばれ、かつては男性の社交場であった[15]

エジプトのようなアラブ諸国では紅茶、コーヒーそしてハイビスカスティーのようなハーブティーを提供するカフェのような施設はアフワなどと呼ばれていて、通常は英語で「コーヒーハウス」と翻訳される[16][17]

ヨーロッパ[編集]

イギリス[編集]

紅茶を飲むことはイギリス人と密接に関連付けられた娯楽とされている[18][19]。 1706年にトワイニングイングランド初と言われるティールームをオープンした[20]。1864年、ロンドンのエアレイテッド・ブレッド・カンパニーの女性マネージャーがこのパン製造業者としては初めての一般向けティールームを作り、それが繁栄の鎖となった[21][20]

ロンドンのホテルではティールームに関して長い歴史がある[1]。例えば、アルバマール・ストリート33番地のブラウンズ・ホテルではティールームで170年以上紅茶を提供し続けている[22]

その他[編集]

ベルリンシャルロッテンブルク宮殿の「ベルヴェデーレ」というティーハウスの端面図

フランスではティールームはサロン・ド・テと呼ばれ、ペイストリーケーキがともに提供される[23][24]

ヨーロッパの一人当たりのティーハウスが最も多く集まる場所という情報があるように[25]チェコ共和国においてティーハウスの文化は1989年のビロード革命から今日まで広がり続けていて、チェコ国内には400近くものティーハウス (プラハだけでも50以上)がある[26]

コソボでは、ティーハウスはチャイトーレ (çajtore) として知られている[27]

脚注[編集]

  1. ^ a b Oxford Symposium on Food and Cookery 1991 : public eating : proceedings. Harlan Walker. London: Prospect Books. (1991). p. 157. ISBN 0-907325-47-5. OCLC 28534676. https://www.worldcat.org/oclc/28534676 
  2. ^ 沢田瑞穂「茶館」『改訂新版世界大百科事典』第6版、平凡社、2014。
  3. ^ 佐藤農人、永嶋万州彦「喫茶店」『日本大百科全書』小学館、1994。
  4. ^ 「茶樓(さろう)」の意味や使い方 Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2021年12月16日閲覧。
  5. ^ 佐々木日嘉里「茶館」『日本大百科全書』小学館、1994。
  6. ^ Laudan, Rachel. Cuisine and Empire: Cooking in World History. University of California Press, 2015.
  7. ^ a b c d Laudan, Rachel (2013). Cuisine and Empire. Berkeley and Los Angeles, California: University of California Press. p. 122. ISBN 978-0-520-28631-3 
  8. ^ 筒井紘一、遠藤元男「茶屋」『日本大百科全書』小学館、1994。
  9. ^ Crihfield, Liza (1976). The institution of geisha in modern Japanese society (book). University Microfilms International. p. 304. OCLC 695191203
  10. ^ a b “Tea shops IN YANGON”. The Myanmar Times. https://www.mmtimes.com/news/tea-shops-yangon.html 2018年10月21日閲覧。 
  11. ^ Myanmar/Burma: Music under siege - Freemuse”. freemuse.org. 2018年10月21日閲覧。
  12. ^ a b 大谷順子他「中央アジア諸国におけるコミュニティ研究―ジェンダーの視点から― (ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギスの事例より)」KFAW客員研究員研究報告書、アジア女性交流・研究フォーラム、http://www.kfaw.or.jp/publication/pdf/KFAWvrreport2007-08_Otani_text.pdf
  13. ^ a b 矢巻, 美穂『はじめて旅するウズベキスタン』辰巳出版、東京、2019年、66頁。ISBN 978-4-7778-2252-2OCLC 1090545721
  14. ^ 拙攻 (2020年8月28日). “砂漠のオープンカフェ、チャイハナで涼む” (日本語). デイリーポータルZ. 2022年1月13日閲覧。
  15. ^ イスタンブールのチャイハネ・カーヴェハネ” (日本語). [イスタンブール] All About. 2022年1月13日閲覧。
  16. ^ Ahwa's in Egypt”. Hummusisyummus.wordpress.com (2007年10月31日). 2012年3月8日閲覧。
  17. ^ 宍戸克実「イスタンブルのカフヴェ、カイロのアフワ」2018年11月号,414号 | 地中海学会 | Collegium Mediterranistarum” (日本語). 地中海学会. 2022年1月13日閲覧。
  18. ^ Pamela Robin Brandt (2002年10月17日). “Miaminewtimes.com”. Miaminewtimes.com. 2012年3月8日閲覧。
  19. ^ “A very British beverage: Why us Brits just love a cuppa”. Express. (2016年9月23日). http://www.express.co.uk/life-style/food/529175/Why-Brits-love-a-cup-of-tea 
  20. ^ a b The English Tea Room - a Real British Cultural Experience”. www.sbcen.usst.edu.cn. 上海理工大学中英国際学院. 2021年11月12日閲覧。
  21. ^ Chrystal, Paul (2014). Tea: A Very British Beverage. Amberley Publishing Limited. ISBN 978-1445633497 
  22. ^ Brown's Hotel”. Brown's Hotel. 2012年3月8日閲覧。
  23. ^ 日本とは違う??パリのカフェ事情について調べてみました【パティシエ通信Vol.14】 | 日仏商事株式会社” (日本語). 日仏商事株式会社 (2019年11月15日). 2021年11月12日閲覧。
  24. ^ “サロン・ド・テ”と“カフェ”の違いは?パリで優雅なときを過ごすなら、どちら?|エクスペディア” (日本語). welove.expedia.co.jp. エクスペディア (2017年6月9日). 2021年11月12日閲覧。
  25. ^ esko je zem snejvt koncentrac ajoven na svt. Kam na dobr aj zajt?”. Hospodsk noviny. 2021年10月14日閲覧。
  26. ^ ajk - seznam ajoven a obchod ajem”. cajik.cz. 2021年10月14日閲覧。
  27. ^ A guide to teatime in Prishtina”. Prishtinainsight.com. 2021年10月14日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

  • ウィキメディア・コモンズには、ティーハウスに関するカテゴリがあります。