日本文学

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日本文学(にほんぶんがく)とは、日本人が書いた文学日本で発表された文学、ないしは日本語で書かれた文学作品、もしくはそれらの作品や作家研究する学問のこと。

定義

国文学[1] と日本文学との同一性には議論があり[2]、日本文学の定義を何に求めるかについては諸説ある。言語、発表された地域、文学の形式など多くの要素が考えられる。日本語を母語としない外国人作家が日本語作品を書くこともあるし、日本人作家が日本語以外の言語で作品を書くこともある。例えば西脇順三郎英語と日本語、多和田葉子は日本語とドイツ語の双方で作品を執筆している。このように国籍居住地と言語とが一致しない場合もあることを考慮し、日本語文学という呼称が使われることもあるが、この場合伝統的な日本文学に根ざしてきた漢文漢詩の扱いが微妙になる。

時代区分による分類

歴史学のように政体の変遷に注目することが必ずしも相応しいわけではないが、目安にされることが多い。また、以下のように、上代中古中世近世・近現代が行われているが、研究者によって異論もあり、中古を設定しない場合もある。近代現代を分離するか否かについても諸説あり、定まっていない。

丸谷才一勅撰集により日本文学史の歴史区分を行うことを提示した。

上代文学

奈良時代まで。中国大陸から朝鮮半島を経由して漢字が輸入され、漢文と、自分たちの話し言葉に漢字を当てはめた万葉仮名が使われるようになった。『古事記』(712年)『日本書紀』(720年)のような史書や、『万葉集』のような歌集が生まれた。

中古文学

平安時代。漢詩・漢文が引き続き栄えるとともに、初の勅撰和歌集である古今和歌集が編纂され、和歌が漢詩と対等の位置を占めた。当時の公式文書は漢文であったが、平仮名和文による表現が盛んにはじまり、紀貫之の『土佐日記』が書かれたのに続き、清少納言の随筆『枕草子』、紫式部の『源氏物語』など古典文学の代表作と言える作品が著された。

中世文学

鎌倉時代から安土桃山時代まで。藤原定家らによって華麗な技巧に特徴がある『新古今和歌集』が編まれた。また、現代日本語の直系の祖先と言える和漢混淆文によって多くの作品が書かれた。鴨長明の『方丈記』、吉田兼好の『徒然草』などがこれにあたる。作者不詳のものとして『平家物語』が挙げられる。また、猿楽の発達が見られた。

近世文学

江戸時代お伽草子の流れを汲み、仮名草子井原西鶴らの浮世草子がうまれた。また、歌舞伎浄瑠璃が興り人気を博した。俳諧が盛んになり、松尾芭蕉小林一茶といった人々が活躍した。

近現代文学

明治維新後、文明開化による西欧文明の輸入と近代国家の建設が進められ、いわゆる「文学」という概念が生まれた時代。西欧近代小説の理念が輸入され、現代的な日本語の書き言葉が生み出された。坪内逍遥の『小説神髄』の示唆を受けて創作された、二葉亭四迷の『浮雲』によって、近代日本文学が成立したとされる。日本文学は、朝鮮や中国の近代文学の成立にも大きな影響を及ぼした。なお、近代と現代を分離し、戦前の文学を「近代文学」、戦後の文学を「現代文学」として分ける場合もある。

形式

日本文学に隣接する文学活動

近隣では古代から中国文学の大きな影響を受け続け、明治時代に言文一致運動が高揚するまで、漢詩や漢文も日本文学の一部として重きを置かれていた。琉球文学の活動と隣接しており、日本文学は中国文学とともに琉球文学の成立に関わっている。近代以降は、英文学フランス文学など欧米の影響を強く受け、辛亥革命以降の中国近代文学や、近代文学としての朝鮮文学の成立に深く関わった。

日本文学の研究

特に古典では書誌学的な研究も多く行われる。近代以降、著名な文学者によっていくつかの文学論争が起こった。やがて外国の研究者の注目も集めるようになり、古典から現代文学まで幅広く研究対象になった。20世紀後半には文学理論の影響で研究の手法は非常に幅広いものとなった。

文学賞

近代以降多くの文学賞が創設され、作家の発掘と育成に貢献した。

日本人以外の日本語の文学

台湾に所縁のある人物の日本語の文学

在日朝鮮人の日本語の文学

日本人の日本語以外の文学

日系人(1世)を含む

脚注

  1. ^ 岡部美二二は国文学を「国語国文に依って芸術家の心理過程の顕現せられたもの」で「芸術の一分野である」と定義した上で、「国文学が芸術の一分野として確立する以上、其研究は、作物それ自体の避芸術的価値の批評を其本質とすべき」だと論じている(『帝国文学』一九一六年二月号「国文学の研究に就て」140 - 141頁)。
  2. ^ 秋山虔「日本語・日本文学研究-これからの百年-」全国大学国語国文学会夏季大会 2008年6月7日 和洋女子大学 全国大学国語国文学会夏季大会基調講演

関連文献

関連項目

外部リンク