節電
節電(せつでん)は、電気の使用量(消費量)を節約すること。
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[編集] 節電の意義
まずは電気料金の低減である。電気料金は電気の使用量に応じて請求されるため、節電によって最も目に見えた効果を現す。
また、電力消費が少なくなると発電設備にも余裕が生まれ、火力発電所では限りあるといわれる化石燃料の消費量を低減し、同時に二酸化炭素排出量も低減でき、地球の温暖化を抑制することができる[1]。
さらに夏のピーク時の電力消費を減らすことができれば、原子力発電所を含めた無駄な発電所を減らすこともできる[2]。
また、電力供給がひっ迫している場合、ピーク時の電力消費を減らすことができれば、大規模停電や計画停電を回避することもできる。
[編集] 節電の方法
[編集] ピークカット・ピークシフト
「ピークカット」とは、電力需要のピークにあたる時間帯の電力消費を低くおさえること。また「ピークシフト」とは、夜間など比較的電力需要の少ない時間帯に、電気を使用する時間を移動したり蓄熱すること。
日本の電力需要がピークを迎える時期は、7月 - 9月の平日9時 - 20時頃で、中でも13時 - 16時頃が高く、14時頃が最も高くなっている[3]。また何らかの理由によって電力を十分に供給できない場合は、電力会社側から節電の呼びかけが行われる。たとえば、夏場に空調などの使用によりピーク時の消費電力が発電設備の総発電量を超えてしまうおそれがある。このため、電力会社によって夏季の空調設定温度を高めに設定するなどの節電が呼びかけられることが多い。
電力会社は常に電力消費状況を監視しており、電力供給力の限界が近づいていることを感知すると、大口電力需要家と電力会社との間で結ばれる「需給調整契約」に基づき、使用電力の削減を要請することができる。それにも関わらず電力の供給が逼迫したときには強制的に電力供給を停止できることになっている(電気使用制限等規則)。このため各事業者では、要請に備えて電力使用機器の優先順位をあらかじめ決定しておき、要請に応じて機器を停止していく措置をとるようにしている。
また大規模停電を防ぐために計画停電が実施されたり、自治体からエアコンを切るように住民に呼びかけが行われる場合もある[4]。なお電力会社各社で、電力の需給予測や需給状態を掲載する「でんき予報」が、それぞれの公式サイトで発表される場合もある。
[編集] 日本における電力消費の割合
<家庭・夏14時頃(年間で最も電力消費が多い時)[3]>
1.エアコン (53%) 2.冷蔵庫 (23%) 3.テレビ (5%) 3.照明 (5%) 5.待機電力 (4%) 6.温水洗浄便座 (0.8%) 7.パソコン (0.3%) 8.その他 (10%)[5]
| 産業・施設 | 消費電力 (kW / 日) |
|---|---|
| 電気・自動車等 | 46,170,000 |
| 化学 | 24,700,000 |
| 鉄鋼 | 17,530,000 |
| 鉄道 | 17,260,000 ※ 360,000 [6][注 1] |
| 食品 | 15,300,000 |
| パチンコ | 4,150,000 ※ 10,920,000 [6][注 2] |
| 飲料販売機 | 4,000,000 |
| 東京ドーム (1試合) |
40,000 ※ 45,000 [6][注 3] |
[編集] 節電の取り組み
[編集] 企業・官庁でできる節電
- 電化製品の省エネルギー化
- 効率化を目的とした発電・送電・変電設備等の更新前倒し
- 公共施設の省エネルギー化
- データセンターの省電力化
- 店舗の営業時間の短縮
- 無駄な自動販売機の撤去
- 入り口へのエアーカーテンの設置
- シエスタ制度
[編集] 家庭でできる節電
[編集] 冷房
- エアコンを使わずに扇風機を使う(削減率50%)[8]。
- 扇風機を使わずうちわ、扇子を使う。
- エアコンの設定温度を28℃にする。※設定温度を2℃上げた時(削減率10%)[8]
- エアコンの節電のため「すだれ」や「よしず」で窓からの日差しを和らげる(削減率10%)[8]。
- 南向きの窓の外にひさしや植え込みを設ける。
- エアコンの除湿は消費電力の増加になる[8]
- 外出して公共施設などで時間を過ごす[9]。
- カーテンを閉める(断熱効果の向上)。
- エアコンの頻繁なオン・オフは電力の増加になる[8]。
- エアコンのフィルターを2週間に1回程度掃除する[10]。
[編集] 暖房
- コジェネレーション(エコウィル、エネファーム)温水暖房
- 電力を消費しない石油ストーブやガスストーブ、ペレットストーブを使用する(石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどの暖房機は電力を消費する。また、COPの高い省エネエアコンが一番省エネとなる場合がある)。
- 地中熱を活用するジオサーマルを取り付ける。
- エアコンの設定温度を1度下げれば10%の節電となる。
- カーテンを閉める。
- 保温性の高い服を着たり、重ね着をして暖房の使用頻度を減らす。
- 湯たんぽの使用。
- 寝るときに背が高い・太っている・寝相が悪いなどで掛け布団からはみ出る場合には、大きめの布団を使う (ロング、セミダブル、ダブルなど)。
- エアコンのフィルターを2週間に1回程度掃除する[10]。
[編集] その他の家電
- 冷蔵庫
- テレビ
- 照明
- 日中は消し、夜間もできるだけ減らす(削減率5%)[8]。
- 待機電力
- 温水洗浄便座
- パソコン
- 炊飯器
- 早朝に1日分まとめて炊き、冷蔵庫に保存する(削減率2%)[8]。
- 電気ポット
- 掃除機
- 紙パックをこまめに交換する[10]。
- フィルターをこまめに清掃する。
- モーターを動かす時間を減らすために、予め片づけてから使う。
- 洗濯機・衣類乾燥機
- 容量の80%を目安に、まとめ洗いする[10]。
- 衣類乾燥機や洗濯乾燥機の乾燥を使わないで干す。
- その他
[編集] 買い替え
- 白熱電球→高力率の電球形蛍光灯ランプやLED電球[10]
- 電気オイルヒーター→エアコンや局所暖房
- 古い家電→省エネ家電(ただし小型家電→大型家電にした場合、電力消費が増える場合がある)[10]
- エアコン: COPやAPFという省電力基準が存在する。
- ポット・炊飯器: 真空断熱を使った魔法瓶構造のものは、保温において少ない電力で済む。また、
- 家: 次世代省エネルギー基準に対応した省エネルギー住宅にすることで、冷暖房の消費電力を下げることができる。また、エアープロットNを使って国土交通大臣認定居室にすることで、シックハウス症候群対策に義務付けられている換気も不要となる。
- PCや情報家電の本体や部品を新しいものに買い換える
- 全般: 情報家電においてはバッテリーや熱、それに伴う静音性などの問題から、省電力性能が重視されており、年々改善されている。省電力における基準は、アメリカのENERGY STARやEPEAT認証、スウェーデンのTCO認証など様々存在する。
- OS: 古いOSはCPUや周辺機器の省電力機構を活かしきれないため、新しいOSの方が省電力性能が高い。
- 半導体(CPUやGPUなど): 半導体は微細化が進むごとに省電力になるため、小さいプロセスの方が省電力性能が高い。
- ディスプレイ: 液晶においては、バックライトに消費電力の低いLEDを採用したものが増えてきている。反射光を利用する電子ペーパーは省電力性が高いものの、応答性が悪いため、電子書籍を見る場合などに使用用途が限られる。
- 電源: 80 PLUSという変換効率規格があり、110Vでは最上位の80 PLUS Platinumに対応した電源が各社から出始めている。また、200Vに対応している製品もあり、NUMA 6-15PからC13へのACケーブルを使うことでエアコン用の200Vコンセントに繋ぐことができ、100Vの時よりも電力損失を抑えることができる。
- 調理器具
- 電気鍋・ホットプレート・オーブン・電気炊飯器など: 同等の機能を持つガス式のものが存在する。ただし危険性は上がるため、使えない場面もある。
[編集] その他
- 夏の平日9時 - 20時を避けて家電を上手に使うために、一日の家事スケジュールを立てる[10]。
- 電力消費は在宅時より外出時の方が大きく下回るため、外出や旅行をする[10]。
- 節水によって、送水ポンプや上下水道施設の電力消費を減すことができる[10]。
- 電力会社からの買電を大幅に減らすために、自宅に太陽光発電装置を設ける。
- お湯が冷めて追焚きをしなくて済むように、風呂は入浴間隔をあけないように続けて入る。
[編集] 節電の影響
[編集] 節電熱中症の問題
室温管理などの点で節電の方法が適切でないことによって生じる熱中症(節電熱中症)が社会問題化している[12]。なお病気で塩分や水分を摂取制限されている人や高齢者などは特に注意が必要で、室温28℃、湿度70%を超えたらエアコンを使うことが薦められている[13]。また、野村総合研究所によると、エアコンを消すよりテレビを消す方が節電に効果的であるという実験結果が出ている。エアコンの方が消費電力が高いと思われがちだが、それは起動時のみの話で、総合的な観点から見るとテレビの方が消費電力が高い。健康上のことを考えても、節電をするならエアコンよりテレビを消すことが推奨されている。
[編集] 具体的事例
[編集] 原子力発電所点検データ改竄事件
[編集] 東日本大震災に関連する節電
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で東京電力・東北電力傘下の発電所が各地で損傷を受けたため、両社管内の電力需要が逼迫した。また同地震によって引き起こされた福島第一原子力発電所事故の影響により各地の原子力発電所が点検長期化・運転停止となっているため、被災地以外でも電力不足の懸念が生じ、節電が呼びかけられている。
「東日本大震災による電力危機」も参照
- 2011年3月・4月
- 東京電力は大々的に節電呼びかけを行なうとともに「輪番停電」を実施した。
- なお東京都知事・石原慎太郎は、東日本大震災を受けて経済産業省が産業界に25%の電力削減を求めていることに触れ、パチンコや自動販売機はやめるべきと主張し[14]、政令によって節電させるよう日本政府に要望している[15]。また、飲料自動販売機とパチンコの合計消費電力は福島第一原子力発電所1号機の2基分に相当するとの指摘もなされている[16]。
- 2011年6月 - 9月
- 経済産業省では東京電力・東北電力管内全域で、原則2011年7月 - 9月の平日9時 - 20時における使用最大電力を15%削減するよう協力を呼びかけている[17]。さらに大口需要家に対しては、電気事業法第27条に基づく使用制限(電気使用制限等規則)を実施することになった[18]。期間は東京電力管内が2011年7月1日 - 9月22日の平日9時 - 20時、東北電力管内が2011年7月1日 - 9月9日の平日9時 - 20時となっている[18]。なお経済産業省では、具体的な節電方法と削減率をウェブサイトに掲載している[19]。
- また関西電力では、2011年7月1日 - 9月22日(8月12日 - 8月16日は除く)の平日9時 - 20時の間15%程度の節電を呼びかけている[20]。なお関西広域連合では2011年6月22日 - 9月23日まで5% - 10%の節電を呼びかけており[21]、電力需要が逼迫した時には10%以上の節電を呼びかける方針[22]や、停電の恐れがある時にはエアコンを切るように呼びかける方針[4]を打ち出している。
- また中部電力・北陸電力・四国電力・九州電力でも、2011年夏のピーク時の電力に余裕が少ない状態になる可能性が予測されており[23]、各社のウェブサイトで節電の呼びかけを行っている。
- なお電力会社各社で、電力の需給予測や需給状態を掲載する「でんき予報」が、それぞれのウェブサイトで発表されている場合もある。また経済産業省は2011年7月19日から、政府が「電力需給ひっ迫警報」を発令した際に携帯電話・スマートフォンへ、メールなどで知らせるサービスを開始した[24]。
[編集] ギャラリー
[編集] 脚注・出典
[編集] 脚注
[編集] 出典
- ^ 『どうして節電しないといけないの? 節電ネット』
- ^ 『よくわかる原子力 原子力教育を考える会』節電は原発をなくす
- ^ a b 『でんきの情報広場 電気事業連合会』日本の電力消費の山と谷
- ^ a b 『関西広域連合 原発安全協定要請へ NHK NEWS WEB』
- ^ a b 『家庭の節電対策メニュー 資源エネルギー庁』P.2 (PDF)
- ^ a b c d “パチンコ業界、節電対策に躍起 ネオン消灯、輪番休業も検討”. ジェイ・キャスト (2011年4月19日). 2011年4月23日閲覧。
- ^ 読売新聞 2011年3月24日
- ^ 『猛暑の昼間 外出で節電 涼しい施設「開放」も 東京新聞』
- ^ a b c d e f g h i j k l 『家庭の節電対策メニュー 資源エネルギー庁』P.4 (PDF)
- ^ 『Windows PC 消費電力検証結果レポート』 日本マイクロソフト
- ^ 節電対策について 小田原市
- ^ 『節電の夏、熱中症予防を 朝日新聞2011年7月14日12版』19面
- ^ “「自販機、パチンコやめちまえ」 石原都知事の発言が大反響”. ジェイ・キャスト (2011年4月11日). 2011年4月23日閲覧。
- ^ “パチンコは真夜中にやれ!飲み物は店で買え!「慎太郎ルール」作る!!”. 報知新聞. (2011年4月16日) 2011年4月23日閲覧。
- ^ 東電管内の自販機・パチンコ 消費電力は原発2基分 東京新聞 2011年4月19日
- ^ 『夏期の電力需給対策について 経済産業省』P.1,3,4 (PDF)
- ^ a b 『電気事業法第27条による電気の使用制限の発動について 経済産業省』
- ^ 『節電 経済産業省』
- ^ 『関電、15%節電要請 来月1日〜9月22日 京都新聞』
- ^ 『関西広域連合が節電の呼びかけ NHK NEWS WEB』
- ^ 『関西広域連合:電力需給逼迫時は追加節電に協力 毎日jp』
- ^ 『電力7社で供給難 朝日新聞2011年6月9日13版』3面
- ^ “経済産業省、携帯電話・スマートフォンに電力の需給ひっ迫状況を知らせるサービス - e-ビジネス情報(提供:BCN)”. 朝日新聞. (2011年7月20日) 2011年7月21日閲覧。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 節電
- 節電.go.jp 内閣官房・経済産業省
- 節電 経済産業省
- チャレンジ25 環境省
- 全国地球温暖化防止活動推進センター
- 節電ネット 日本エコシステム
- ピークカットで夏をのりきろう Greenpeace Japan
- エアコン節電情報 ダイキン