冷陰極管

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Cold Cathode Fluorescent Lamp.JPG

冷陰極管(れいいんきょくかん)とは陰極からの電子の放出に外部から加熱用エネルギーの供給を必要としない電子管の総称である。代表例としては、古くはクルックス管ガイスラー管ネオンランプ光電管、最初期のブラウン管等があり、近年では冷陰極を使用した小型蛍光管が液晶バックライト用の光源として急速に発展した。以下特に冷陰極蛍光管について述べる。

冷陰極蛍光管の特徴[編集]

最も重要な特徴は容易に調光[1]できるということである。この特徴を生かして液晶バックライト用の光源として多用される。調光を行うためには特殊な調光回路(冷陰極管インバータ回路)が用いられる。調光は冷陰極管の管電流を増減して明るさを変える管電流調光方式、間欠的に点灯と消灯を繰り返して平均輝度を増減するバースト調光方式がある。

電極の電子放出原理[編集]

一般の蛍光管は熱陰極蛍光管(Hot Cathode Fluorescent Lamp-HCFL)と呼ばれるもので、電極を加熱して積極的に熱電子放出を行うのに対して、冷陰極蛍光管(Cold Cathode Fluorescent Lamp-CCFL)は陰極を加熱せずに電子放出を行う。

このために、熱陰極管に比べて冷陰極管は陰極降下電圧が大きく、その陰極降下電圧は蛍光管の発光に寄与しないのでそのまま熱的な損失となる。このため、冷陰極管は熱陰極管に比べて発光効率が若干悪い。

しかし、近年になって陰極材料が改善され、陰極降下電圧が下がる目処がついた[いつ?]ため、冷陰極管の発光効率は大幅に改善される見通しとなった。

冷陰極蛍光管の点灯用インバータ回路[編集]

ノートパソコン用のインバータ回路例

冷陰極管の点灯用に使われるインバータ回路は、ノートパソコン用や液晶テレビ用バックライトの点灯回路として独自の発展を遂げており、小型化と効率改善のために、比較的細長い形状の共振型トランス(共振変圧器)が使われるようになった。共振型トランスは同一形状の一般用トランスと比較して体積率にして1/3以下の大きさであり、また信頼性が高い。この共振型トランスを用いたインバータ回路は液晶技術の発展に伴い、冷陰極管点灯用として急速に発展し続けている。

インバータ回路の出力は高電圧(概ね1000V前後)であり、高周波であるために比較的電撃を感じにくい一方、不用意に分解して触れると高周波火傷を負う危険があるために注意が必要である。

冷陰極管の陰極材料[編集]

従前はニッケル電極が主流であったが、モリブデン電極が開発されることにより陰極降下電圧が大幅に下がった。陰極材料としてカーボンナノチューブも注目される。 また、パイオニア東芝がそれぞれに発見したダイヤモンド薄膜効果により、陰極降下電圧はさらに半分に下がるとされている。

今後の見通し[編集]

液晶ディスプレイのバックライトの用途としてはLEDの使用が徐々に増えつつある。LEDは単色光源のためバックライトに使用した場合、色の再現域が広がる。また、高電圧を必要としないので電源部を簡素化でき、消費電力の削減にもつながる。ただし、大型ディスプレイの場合、単一光源でないことから、経年劣化時に個々の素子の輝度や色相にばらつきが生じ、画面に斑が発生することが予想される。バッテリー駆動の携帯電子機器の分野では白色LEDのバックライトが大半を占める。また、薄型ディスプレイではバックライトを必要としない有機ELディスプレイも普及しつつある。

最近は蛍光灯に比べ長寿命なことからサインディスプレイ用や一般照明用途への応用が広がっている[2]。また誘導灯の分野では2009年12月現在、LEDを光源とした器具への移行が進んでいて、一部メーカーでは冷陰極管を用いた誘導灯の生産中止が決定している。 しかしながら、植物工場での野菜の室内栽培において3波長、長寿命、過去の実績という面から、再び脚光を浴びている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 明るさを変えること。
  2. ^ ただし一般照明においてもLEDシーリングライトが一般化しつつある

特許[編集]

外部リンク[編集]