掃除機

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キャニスター型掃除機

掃除機(そうじき)は、ゴミホコリを容器内に回収する電気製品清掃用具)である。しばしば電気掃除機ともいう。

概要[編集]

様々な方式

様々な方式(タイプ)がある。 広く使用されている方式は、送風機により負圧(陰圧)を作りだして床などのやゴミを吸引し、エアフィルターで埃・塵・ゴミ類と空気を分離し、ゴミだけを容器内に回収するタイプである。陰圧を用いるタイプは英語では「vacuum cleaner ヴァキュームクリーナー」などと呼んでおり、その影響で(あくまで陰圧であり真空ではないのだが)日本語でも「真空掃除機」と呼ぶことがある。近年では、主として遠心力)を利用して空気と埃・塵類を分離する方式(サイクロン方式)のものの割合も増えている。→#方式

歴史

最初の(非電気式の)真空掃除機は1868年に米国のアイヴス・マガフィーによって発明され、最初の電気式掃除機は1901年イギリスのヒューバート・セシル・ブースによって発明された。→#歴史

モーター

真空掃除機に使われている一般的なモーターは、始動トルクが大きく高速回転が可能な交流整流子電動機(または直流整流子電動機)であり、整流子としてカーボンブラシを使ったものがほとんどである。カーボンブラシが磨耗し切るとモーターが回転しなくなるが、家庭用掃除機においては、モーターの寿命イコール製品寿命と考えてよいほど、モーターの寿命が長めに設計されている。もちろん、カーボンブラシを交換すればさらに長く使える。また、カーボンブラシなどを使わないブラシレスモーター方式の掃除機もあるが、コストパフォーマンスを考えると家庭用というより特殊な業務用に適した方式である。

一般に真空掃除機のモーターは、小型でありながら消費電力が大きいため、発熱が激しく、吸引した大量の空気をモーターに導いて冷却に使用しているのがほとんどである。このため、液体や導電性粉塵を吸引すると、一部がモーターまで達して故障する恐れがある。冷却方式を工夫して液体や導電性粉塵を吸引できる吸水真空掃除機もある。

日本の品質表示規程上の扱い

日本の電気機械器具品質表示規程では「電気掃除機」という名称で呼ばれており、家庭用品品質表示法の適用対象となっている[1]

歴史[編集]

Nilfiskの掃除機(1920年)

初期の発明と改良[編集]

世界最初の真空掃除機は、1868年シカゴのアイヴス・マガフィー(Ives W. McGaffey)によって発明された。原理は、手でレバーを引いて真空を作り出し、ノズルからゴミを吸い取って容器に溜めるという簡単なものであった。彼は1869年6月8日にこの特許を取得し、ボストンにあるカーペット清掃会社に売り込むことに成功した。こうして誕生した世界最初の真空掃除機がシカゴとボストンで発売されたが、当時としては$25もする高価なものであり、ノズルをゴミに当てながらいちいち手でレバーを引くのが面倒という欠点のため、やがて市場から姿を消していった。

1876年、ミシガン州グランドラピッズのメルヴィル・ビッセルは妻のためにじゅうたんの上のおが屑を掃除するための掃除機を作った。間もなく、Bissell Carpet Sweepers として製品化。メルヴィルが1889年に亡くなると、妻のアンナが社長となり、当時最も強いビジネスウーマンと呼ばれるようになった。1899年、電動機駆動の掃除機をジョン・サーマンが発明した。Bissell社は今も掃除機を含む掃除用品のメーカーとして存続している。

最初の電気式真空掃除機は、1901年にイギリスのヒューバート・セシル・ブース(Hubert Cecil Booth)が発明したもので、布フィルターを備えていた。彼は列車の座席から塵を吹き飛ばす装置のデモンストレーションを目にし、塵を吸い取った方がずっと役立つと考えた。そのアイデアを試すため、彼はレストランの椅子の上にハンカチを広げ、それを自分の口で吸いつけ、さらに塵を吸い付けてみた。塵がハンカチの下面に集まったのを見て、彼はそのアイデアがうまくいくと確信した。ブースは Puffing Billy と名付けた大きな装置を作った。石油を使った内燃機関を動力源としていたが、後に電動機を使うようになった。掃除すべき建物の前まで馬で引いていったという。

ブースは British Vacuum Cleaner Company を創業し、その後数十年に渡って発明の改良を行った。家庭用掃除機の市場では後述するフーバー社の製品に負けたが、産業市場に活路を見出し、工場や倉庫で使う業務用機種を生み出していった。ブースの会社は気送管の会社 Quirepace Ltd. の一部門となって存続している[要出典]

1905年、イングランドバーミンガムにある Walter Griffiths Manufacturer が人力の掃除機の特許を取得した。これは運搬や収納が容易で、1人の人間(召使など)がのような仕掛けを操作し、それを動力として着脱可能な柔軟なパイプを通してゴミを吸い上げる方式である。パイプの先には様々な形状のノズルを装着できる。形状としては現代の家庭用掃除機によく似ている。

ニュージャージー州の発明家 David T. Kenney は1903年から1913年までに9件の特許を取得し、アメリカでの電気掃除機産業の基盤を築いた。ブースが自身の発明のアメリカでの特許を申請したのが、Kenneyの競合する特許が成立した後で、ブースがアメリカで特許権を主張できなくなったためである。1919年に創設された Vacuum Cleaner Manufacturers' Association の会員資格は、Kenneyの特許のライセンス供与を受けていることだった。

1905年には最初の家庭用の電気掃除機がアメリカのチャップマン・アンド・スキナー社から売り出され、これはポータブル型ではあったが重さが92ポンド(約40キロ)もあった。そして、1907年、オハイオ州学校用務員をしていたジェームズ・マーレー・スパングラーは、扇風機と箱と枕カバーを使って電気掃除機を発明した。アップライト型掃除機の原型である。スパングラーのデザインは、単に吸引するだけでなく、大きめのゴミを集めるための回転ブラシを備えていた。スパングラー自身はその発明を実用化する資金がなかったため、その特許をW・H・フーバーに売却した。

スパングラーは回転ブラシの特許を1908年6月2日に取得し、それをいとこの夫W・H・フーバーに売却した。フーバーは革製品などを販売する Hoover Harness and Leather Goods という会社を経営しており、自動車の発明によって売り上げの落ちつつある革製品以外の新商品を求めていた。フーバーは Electric Suction Sweeper Company と社名を変え、1908年に最初の機種 'Model O' を70ドルで発売した。これが初の商業用モデルとなった。欧米ではフーバー社は電気掃除機を含む家庭用掃除用品メーカーとして今も運営している。実際イギリスでは電気掃除機を使うことを "hoover" という動詞で表したりする。

1910年、P・A・フィスカーは Nilfisk と名付けた掃除機の特許を取得した。ヨーロッパ初の電気掃除機である。掃除機は17.5kgの重量で、人1人でも何とか使用可能だった。その会社は現在もNilfiskとして運営されている。

日本で発売された最初の電気式真空掃除機は、芝浦製作所(東芝の前身)が1931年に発売したアップライト型(ホウキ型と呼ばれていた)だった(写真)。

第二次世界大戦後[編集]

Dyson DC07。遠心力で塵やゴミを空気から分離する。

登場からしばらくの間、電気掃除機はぜいたく品だった。しかし第二次世界大戦後、中流階級でも一般的になっていった。特にじゅうたんを多用する西洋で先に一般化した。世界の他の地域では木やタイルの床が一般的で、掃除機を使わなくともほうき雑巾モップで十分掃除できたためである。

日本では、進駐軍家族団地「ワシントンハイツ」に於ける電化製品メンテンス工事を、特別調達庁(SPB)から請け負っていた東京の太平興業が、米国製品を参考に1949年に自社開発、秋葉原等で販売を開始した。ところが当時の日本家屋のほとんどが畳と板間であり、「はたき」や「ほうき」でサッサとゴミを家の外に掃き出す方が簡単で早かったため、真空掃除機は殆ど普及しなかった。しかし、1960年代に団地(公営団地)ブームが起こると、近所迷惑のため家の外にゴミを掃き出すことが難しくなり、ほうきの簡便さが半減したため、まず掃除機が団地に受け入れられた。また、団地や新しい家には洋室が取り入れられ、(土足ではないのに)絨毯が流行したためほうきでは掃除しにくくなり、絨毯の毛の中に溜まったホコリによってノミが大量発生することも多かった。このため、真空掃除機の優位性が高まり、それ以降一般家庭に普及し始めた。

初期の真空掃除機は、使い捨てではない布フィルターなどが使われていたため、ゴミ捨てのときは大量のホコリが舞い、またフィルターを水洗浄をしないと吸引力が回復しないなどの面倒が多く、敬遠する人も多かった。しかし、紙パック式真空掃除機が1980年の初め頃に発売されると、使い捨ての紙パックフィルターによってこれらの問題が一気に解決されたため、ほとんどの家庭に普及するようになった。

1990年代になるとサイクロン式掃除機が増えてきたが、その原理は古くから知られており、1928年からサイクロン式掃除機を製造していた会社もある。近年のサイクロン式掃除機は、1985年にイギリスのデザイナージェームズ・ダイソンが工業用粉体分離器にヒントを得たものである。このアイデアに感銘を受けたシルバー精工がライセンスを取得して製造・販売に乗り出すなど、当初は日本で高く評価され、1993年にイギリスで1号機の DC01 が200ポンドで発売された。普通の掃除機の2倍の値段だったため売れないと思われたが、ダイソンは今ではイギリスで最も売れている掃除機ブランドとなった。

1997年にはミノルタロボット型掃除機の「ロボサニタン」を発表。製品化には至らなかったが、メディアで報じられ清掃業者などから反響があった[2]。そして2000年代になると、ルンバなどに代表される製品化された家庭用ロボット掃除機が登場するようになった。その他、健康志向の高まりを受け、排気が従来に比べ綺麗で、空気清浄機代わりにもなる掃除機や、風圧で本体が宙に浮く掃除機なども登場している。

特徴[編集]

ほうきなど、他の清掃用具と比較した際の特徴は以下の通り。

利点[編集]

  • じゅうたんや布団などの内部に入り込んだゴミやホコリを取り除ける。
  • 毎回のゴミ捨ての必要がない。
  • ほこりの舞い上がりが少ない。
  • ゴミに直接触れたり近付いたりする必要がない。
  • 花粉など、目に見えにくい大きさのゴミもきれいにできる。
  • ほうきやちりとりを使うときに比べてゴミやほこりの取りこぼしが少ない。

欠点[編集]

  • 騒音が発生する。
  • 排気から異臭を発生させる場合がある。
  • ある程度の重量がある。
  • 掃除機本体やノズルが入り込めない所は掃除できない。
  • メンテナンスが必要。

性能表示[編集]

ダストピックアップ率[編集]

ダストピックアップ率とは、IEC(国際電気標準会議)が定めた主としてカーペットの清掃能力を表す指標であり、標準として定められたカーペット面に基準量のスタンダードダストを器具で散布しローラーで押し広げた後、一定の速度・動作・回数で掃除機で吸引し、回収できたスタンダードダストの重量の割合をパーセントで表したものである。ただし、ダストピックアップ率の高い掃除機が、日本のフローリングで必ずしも高い清掃能力を発揮する訳ではない。このため、ダストピックアップ率がJISでは「じんあい除去能力」と訳され、規定もされているが、JISによる性能表示義務がなく、一般市場では使われていない。

なお、JIS C 9108の「C.1.3.2 試験用じゅうたんの前処理」には次のような注記がある。

高いじんあい除去能力をもった掃除機とは、床用吸込具がモーターで回転するブラシをもつもので吸込仕事率が500W以上のものが望ましい。

吸込仕事率[編集]

吸込仕事率とは、空気力学的動力の最大値、すなわち掃除機の空気を吸い込む能力を表すもので、一般にいわれる吸引力のことである。車に例えれば馬力に当たる。ただし、掃除機の清掃能力はノズルの構造にも大きく依存するので、吸込仕事率に清掃能力が比例するとは限らない。このため、掃除機のメーカーは、吸込仕事率を高める研究だけでなく、清掃能力の高い床用ノズルの開発にも余念がない。一般的に、吸込仕事率の高い掃除機の方が、1つのノズルで様々な種類・大きさのゴミや、様々な床に対応することが容易になる。

吸込仕事率は、掃除機の本体の吸引パイプに測定装置を接続し、バルブを操作して風量と真空度を変えながら、風量×真空度が最大になる値を求めたもので、単位はW(ワット)である(詳細はJIS C 9108「付属書A(規定)吸込仕事率の測定方法」参照)。吸込仕事率は次の計算式で算出される。

〔吸込仕事率=0.01666×風量(m^3/min)×真空度(Pa)〕

吸込仕事率はJISによって性能表示が義務付けられている。

騒音値[編集]

騒音値とは、無響室において最大風量で運転している掃除機本体から1m離れた場所の音量を表したものであり、ノズルを床から10cm上方に浮かせて固定し、回転ブラシを止めた状態で測定され、単位はdB(デシベル)である(詳細はJIS C 9801 の「付属書B(規定)騒音測定方法」参照)。

なお、JISでは家庭用掃除機の騒音は次の値以下でなければならないと規定されている。

種  類 (別名) 定格消費電力
W
騒音値
dB
床移動形(キャニスター型)
ほうき形(アップライト型)
700以下 65以下
700を超え 1000以下 70以下
1000を超え 1500以下 76以下
携帯形(ハンディ型) 1000以下 65以下
1000を超え1500以下 71以下

参考として、騒音値の指標になる環境の一覧を示す。

騒音値
dB
対応する環境
80 地下鉄の車内
70 騒々しい街頭
60 普通の会話
50 静かな事務所
40 図書館

騒音値はユーザーに取って分かりやすく、しかも有用な指標だが、JISによる性能表示の義務付けがないため、騒音値が大きい製品などでは公表されないことがある。

分類[編集]

用途[編集]

  • 家庭用掃除機:一般の家庭や小規模な商店などで使用される掃除機で、多くは本体が軽いプラスチックでできているため、取り回しが容易である。
  • 業務用掃除機:清掃事業者が使用する掃除機で、業者登録に必要なものである。本体は金属製のものが多く、モーターなども寿命が長いなど、耐久性を重視した設計になっている。
  • 産業用掃除機:クリーンルーム用、防爆用、防じん用、トナー用など特殊用途の掃除機がある。

動力[編集]

  • 商用電源:強い吸引力を長時間持続して掃除することができるが、屋外排気型を除けば、電源コードの扱いがやや面倒である。
  • 充電式:蓄電池を充電して使うため、電源コードの引き出しや収納の手間がなく、掃除をすぐに始めたり、電源がない場所の掃除をしたりすることが可能である。充電式は片手持運び型に多いが、縦型や床移動型の製品もある。しかし、蓄電池の容量の関係から、一般に吸込仕事率が弱く、連続使用時間も短いものが多い。また、くり返し使用して蓄電池が劣化した場合は、蓄電池を新しく交換する必要がある。
  • エンジン:自走式の業務用掃除機の一部に使われている。

本体の型[編集]

  • 床移動型 (キャニスター型) : 本体が横に長い掃除機を、ホースを引っ張って移動させる形式で、丈の低い家具が多い和室の掃除に適している。背が低いため、押入などへの収納が便利であるなど、日本の家庭用として最も人気がある。
  • 円筒床移動型(キャニスター型) : 縦の円筒形をした本体を、ホースを引っ張って移動させる形式で、日本の業務用に多く見られる。
  • 縦型(アップライト型):縦に長い本体の底面に床用吸込口があり、本体の上部に付いたハンドルで操作する一体形で、立てたまま収納する。北米に多い。(JIS のほうき形に相当する)
  • ほうき型(スティック型):縦型の軽量なものを指す。
  • 片手持運び型(ハンディー型):片手で持ち運んだり、使用可能な小型の形式。コードレスのものが多く見られる。
  • 肩掛け型(ショルダー型):肩掛けで使用できる。建物内・高所の使用に適する。
  • 背負い型(リュックサック型・ヒップバック型):航空機・車両などで用いられる。
  • 屋外排気型(セントラルクリーナー型):屋外に集塵装置を設置し、そこから各部屋に配管工事した穴にホースを差し込んで吸引する方式。排気によって部屋が汚れないメリットがあるが、装置と工事費が割高なことと、長いホースを持ち運ぶのがやや面倒。
  • 箱型自走式:人間が操縦する自走式のもの。大規模建築物・屋外などで使用される。
  • ロボット型:自立的に掃除を行う。多くは業務用であったが、2000年代に入り家庭用のものが市販されるようになった。

吸込口[編集]

メーカーにより、ノズルヘッドブラシなどとも呼ばれている。ほとんどの床移動型家庭用掃除機には床用吸込口、棚用吸込口、すきま用吸込口が標準で付属する。

  • 床用吸込口:最もよく使用される吸込口で、吸込口のすきまに速い気流が生じて、ホコリやゴミが吸引されるほか、回転ブラシを備えたものは、掃く、拭く、かき出す、叩くなどの効果があるため、さらに効率よくホコリ髪の毛などを吸引できる。回転ブラシは、モーター駆動方式と、小型の風車に気流を導いて回転させる駆動方式がある。吸込仕事率が小さい掃除機は、吸込口のすきまが狭く設計されていることが多いため、大きいゴミを吸い込みにくい。
  • 用吸込口:吸込口の回りに柔らかいブラシが付いているため、棚や家具に付いたホコリを掃くように掃除できる。
  • すきま用吸込口:すきまに入るように先が狭くなっている細い吸込口で、最も速い気流が生じるためゴミを強力に吸い取ることができる。
  • ふとん用吸込口:ふとんに吸い付かない機構を持ち、ふとん毛布を効率よく掃除できる。ふとんを叩く機構を持ったものもある。

方式[編集]

紙パック方式[編集]

吸引されたゴミを、袋状になった紙パックで濾し取る方式。紙パックがゴミ袋とフィルターの役割を兼ねているため、面倒なフィルター掃除が不要であり、ゴミ捨ては紙パックごと捨てればよいという手軽さと清潔さがある。また、紙パック内でゴミが自然に圧縮されるので、ゴミ捨ての回数が少なくてすむ長所がある。

ゴミが溜まってくると吸込力が落ちるという欠点が指摘されているが、自動で紙パックを叩くなどしてホコリを落とし、ほぼ満杯まで十分な吸引力を保てるものが出ている。紙パック[3]は使い捨てのため購入しなければならず、このランニングコストや、常に予備を購入しておかなければならない煩わしさを嫌う人もいる。しかし、これはサイクロン方式の頻繁なゴミ捨てや、面倒なフィルターの水洗浄と対比されるべきものである。なお、近年は専用の紙パックを購入せずともティッシュペーパーで代用できるタイプのものもある。

サイクロン方式[編集]

本来、サイクロンとは1886年にアメリカのモース(M.O.Morse)によって発明された粉体分離方式を指す言葉で、原理はコーン状の筒の中で空気を回転させ、遠心力によって空気と粉体を分離するものである。この方式を1983年にイギリス人の発明家ジェームズ・ダイソンが掃除機に応用した。以来、ダイソンの掃除機の商業的な成功の影響で、サイクロン方式といえば、まずダイソン社の掃除機のことであるとされることが多くなった。ダイソンの掃除機は遠心分離だけで埃をほぼ完璧に分離してきれいな空気を排出するとされる。わずかに取りこぼした埃を後段のフィルターで濾し取る仕組みであるから、フィルターの目詰まりによる吸引力の低下は紙パック方式よりも緩慢であるとされる(ダイソン社の主張)。しかし、2006年に行われた日本の国民生活センターのテストでは「掃除を重ねて行くと吸込力が紙パックと比べて低下しやすい」とのテスト結果が出ている[4]。フィルターの水洗浄は、西洋の環境で使う場合は月に一度、日本の環境で使うならばおよそ半年に1度で良いとされる(ダイソン社の主張)。この方式の掃除機の欠点は効率が悪いことであり、吸込仕事率は紙パック式掃除機のおよそ1/3である。ただし、この欠点は、前述した吸引力の低下がおこりにくい特性とある程度相殺される。

一方、モースのサイクロン粉体分離方式を使わない掃除機も、サイクロン方式と呼ばれることが多いが、吸い込んだ空気を回転させて、大きなゴミや砂などを分離させているので、サイクロンの名が付いても不思議ではない。多くは蛇腹になったフィルターを使用するなどして効率を上げており、吸込仕事率は紙パック方式とほとんど変わらないものもある。欠点は、フィルターの目詰まりによる吸込仕事率の低下であるが、自動的にフィルターのチリを叩き落として、吸込仕事率を落ちにくくしている機種も多い。こまめにフィルターの水洗浄をすれば、吸込仕事率の低下は避けられる。

一般にサイクロン掃除機は、紙パックを必要としないという点では経済的であるが、頻繁なゴミ捨てと、ゴミ捨ての時にホコリが舞うという欠点がある。また、定期的なフィルターの水洗浄では、完全に乾くまで待たねばならず、その間掃除をすることができない欠点もある[5]

排気循環方式[編集]

排気を吸込口へ戻し、ノズルから吐き出すことによってホコリを効率よく浮き上がらせ、再び吸引するユニークな方式。このためホースが2重構造になっており、内側を吸気、外側を排気が流れる。排気が本体と吸込口を循環するため、総排気量が非常に少なく、排気によるホコリの舞い上げが少ないメリットがある。また、モーター室が密閉に近い構造になるため運転音が静かになる。ただし、モーター冷却のためのわずかな排気を車輪の横から排出している。モーター冷却性能が劣ることから消費電力を抑える必要があり、結果として吸込仕事率は小さい。1999年サンヨーから世界で初めて発売されたが、2009年5月現在、同社のラインナップにこの方式を採用している製品はない。

吸水掃除機[編集]

吸水掃除機は、水分を含んだ物品の吸引を可能とした真空掃除機である。水分を含んだものの回収や、液体の回収が効率的に可能である。

水フィルター掃除機[編集]

容器に入れた数リットルの水をくぐらせる吸引掃除機も存在する。洗剤等の界面活性剤を混ぜた水フィルターを透過する事で花粉等の微粒子を取り除く事ができる。内陸部で湿度の低い日本国外では普及しているが、水フィルターを通す時に排気中の湿度が上昇するため湿度の高い日本では季節によっては使用が適さない場合もある。また泡の中に浮遊する微細な塵は水を通過してしまうため、完全な埃の除去には水とは別途フィルターが必要となる。

ロボット型掃除機(自律型掃除機)[編集]

1985年の科学万博では芙蓉ロボットシアターでメチルアルコールを燃料とする内燃機関を搭載したクリーナーシャークが展示された。家庭用には2001年11月にエレクトロラックス社のトリロバイト(日本では2002年9月5日発売)、2002年9月にiRobot社のルンバ(日本では2004年発売)が発売された。

日本企業では2007年12月にバンダイの子会社であるシー・シー・ピー社が「SO-Zi プレミアム」の販売を開始し、2011年9月にはその機能向上版の「ラクリート」が代替機種として発売された。又2009年11月にツカモトエイム社がロボットクリーナー「AIM-ROBO1」を販売開始している。製品化はされなかったがパナソニックは2002年3月、日立は2003年5月に家庭用ロボット掃除機の試作機を発表した。

業務用にはミノルタが1997年に「ロボサニタン」を発表したが製品化は見送られた。しかしその技術はフィグラ社に引き継がれ、2009年に「エフロボクリーン」として製品化された。富士重工住友商事も2001年に「ロボットによるビルの清掃システム」を実用化し、2006年には清掃性能や安全性、コストメリット等が認められ「今年のロボット大賞2006 経済産業大臣賞」を受賞している。

市場の動向[編集]

サイクロン方式、紙パック方式とも、HEPAフィルターULPAフィルターなどを備えた排気がクリーンな高級機種が増えつつある[要出典]。また、モーターの運転音がほとんどしない機種も増えている[要出典]。サイクロン方式はゴミ捨てやフィルターのメンテナンスを厭わないユーザーに人気があり、逆に、紙パック方式は掃除を簡単に済ませたいユーザーに人気がある。一般にサイクロン方式は、同クラスの紙パック方式よりも価格が高めに設定されていることが多い[要出典]。現在[いつ?]は、サイクロン方式と紙パック方式が共存している状態である。

脚注[編集]

  1. ^ 電気機械器具品質表示規程”. 消費者庁. 2013年5月23日閲覧。
  2. ^ 1997年ミノルタが病院内清掃ロボ「ロボサニタン」を発表[1]。技術はフィグラ社に継承され、2005年に愛知万博に出展し、2009年にエフロボクリーンとして製品化された。
  3. ^ 紙パックは純正品を使用しない場合、メーカー保証の対象外になる場合が多い。これは、様々なメーカーと機種に対応した廉価な汎用紙パックの性能が一定しないためである。
  4. ^ サイクロン方式の掃除機(全文) 国民生活センター
  5. ^ なお補助としてティッシュペーパーを使用することが推奨されている製品もありその場合、多少吸引力の低下が起こるがティッシュペーパー使わない場合に比べてゴミ捨てが簡単、清潔となるなど紙パックの利点の一部も併せ持つ外部リンク

関連項目[編集]

外部リンク[編集]