白物家電

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白物家電(しろものかでん)とは一般の生活に深く関係した家電製品の一般名称である。生活家電(せいかつかでん)や家事家電(かじかでん)ともいわれる。

概要[編集]

白物家電は主に、家庭内の家事の労力を減らしたり、あるいは生活に欠かせない家電製品のことである。日本では高度経済成長期より急速に普及が進み、ほぼ全ての一般家庭で普遍的に見られるものとなっている。

これに分類される家電製品は、炊飯器冷蔵庫といった炊事に利用される台所用家電製品や洗濯機を始めとして、1980年代よりは電子レンジエア・コンディショナーといった家電製品を含むようになっている。名前の由来は筐体(外装、外側。つまり見た目)の色が白かったことからだといわれる。この色は清潔感が演出しやすかったからとも言われているが、近年では必ずしも白い色をしているとは限らない。それどころか、白色がラインナップされていない機種も少なくない。

生活家電という場合には、更に掃除機照明器具、空調・冷暖房機器、健康・美容器具を含み、これらは電力で動いているため、停電のような給電トラブルが発生すると重大な影響を受ける。

商品的には、開発競争が到達点に達して成熟期を迎えた機器が多いことから、日本国内でも日本国外からOEM生産で調達している電機メーカーは多い。これらは家電量販店でも常に一定の需要が見られ、安価な物から高価な製品まで様々な商品が並んでいるものの、コモディティ化の問題もあって市場を維持するうまみはメーカーにとっても販売店にとっても薄い傾向がみられ、不振が続く製品の場合撤退するケースもある。

死に筋ではあるが根強い買い替え需要が存在するため、電器店でも定番の商品として店頭に並んでおり、また差別化戦略の上ではデザイン家電の投入や従来製品には見られない新材質・新機能、省エネルギー仕様といった、付加価値による市場の再開拓という可能性も残されている。

家電大手の一角を成すソニーも過去には白物家電の製造・販売を行っていたことがあり、1950年代頃と、「Sonett」のブランド名で1977年1987年電磁調理器、シェーバー、エアコンなどの一般家電を展開していた[1]が、売り上げが振るわず撤退した。また、グループ会社のソニーエナジー・テック(現・ソニーエナジー・デバイス)1990年代に他社共同企画で電子電動歯ブラシ「ハイジ」をソニーブランドで発売していたことがあった。

また、パナソニック(旧・松下電器産業)では、2008年6月まで「National(ナショナル)」ブランドを日本国内の白物家電のみに使用していた(日本国外向けはパナソニックに統一済み)が、パナソニックに社名変更した2008年10月1日以降は、日本国内の白物家電も「Panasonic(パナソニック)」ブランドで統一した。同年7月以降に発表された新製品は前倒しでパナソニックブランドの使用を開始している。社名変更後もパナソニック ドラマシアターでは引き続き白物家電のCMを優先して放送している。

普及と成熟[編集]

日本では高度経済成長期に三種の神器とまで言われ大衆層の購買意欲を誘引し続けたこれら白物家電の多くは、現在では各家庭の生活に定着している。そのため現在の国内市場ではほぼ飽和状態にある。欧米ではこれら製品は第二次世界大戦前後に普及していった。

その単純な構造から古くは修理されたり、壊れにくいために再利用の市場もみられた。しかし日本では1990年代頃より修理費の高騰、日本国外の生産拠点による低価格製品の普及、さらにはPL法施行以降の事故抑制から、「壊れたら買い換える」という様式が一般化した。また2009年頃から「買わずに借りる」様式も普及しつつある[2]

製品の成熟では、消費者に機能面での目新しさをアピールできない事から多機能化による差別化を図るメーカーもあったが、近年ではエコロジーブームの高まりによって低消費電力や廃棄時の低環境負荷を謳った製品も見られるようになってきている。特に冷蔵庫はフロンによるオゾン層の破壊が社会問題として一般に知られるようになると、フロン以外の冷媒を使った製品に注目が集まるようになってきている。

白物家電は日本では市場の円熟期を迎えたが、アジア諸国では依然として普及途上にある国もある。日本の炊飯器などは日本に出稼ぎに来ている外国人労働者にも人気がある。ただこれら日本製炊飯器はジャポニカ米を炊くために設計されているため、インディカ米を消費する地域ではやや不評も見られる。これらの国では現地生産の、日本では珍しくなったマイコンを使っていない電気タイマー式炊飯器のような単純な機種が出回っている。

相対的な地位低下[編集]

白物家電の普及は家事作業を劇的に軽減させた。その貢献もあって、生活の余暇が増大した。1950年代後半からは洗濯機と冷蔵庫は、白黒テレビとあわせ三種の神器と呼ばれた。

生活の上で娯楽が求められるようになると、娯楽に対する支出が増え、家電でも娯楽用途の家電の普及がすすんだ。これらは娯楽家電と呼ばれる。娯楽家電は白物家電と対比させ黒物家電とよばれることもある。ラジオに始まり、1960年代の白黒テレビ、1970年代のカラーテレビ、ステレオ、1980年代の家庭用ゲーム機ビデオデッキ、1990年代にはCDプレーヤー、大画面テレビ、2000年代にはパソコンDVDプレーヤーの普及が進んだ。

白物家電製品は、現代日本人の生活に欠かせない物となっており、そのため新規普及ではなく置き換えが主流であり、購入者は消費活動の中であまり重要視しない(こだわらない)傾向となっている。家電の中で白物家電が占める割合は、娯楽家電を含む娯楽費用全体への支出が増える中で白物家電が家庭内全電気製品に占める割合も下がっている。他の家計が優先されるなど、家計全体に占める白物家電購入に充てられる金額は相対的に下がってきている。このような風潮の中では、消費者は「基本機能さえ必要十分なら何処の製品かは問わない」という傾向が顕著化する傾向にあり、白物家電全般においていわゆるコモディティ化が起こっている。

メーカーは付加価値を訴求して一台あたりの販売利益を稼ぐということが行ないにくい状況となっている。付加価値訴求型の高級タイプと買い求めやすい低価格普及タイプへの分化もみられるが主流は普及タイプとなっている。全世界的には1960年代から国を超えてホームアプライアンスメーカーの統合が進んだ。

これらの経緯から、日本向けのフォルクスワーゲンのCM[3]トップ・ギアでの演出[4]のように「無個性で、面白みのないもの」の比喩表現に使われることもある。

ホームアプライアンス[編集]

英語では白物家電に属する家事用具を指してHome applianceホームアプライアンス)と呼ぶ。また白物家電はホームアプライアンスとして紹介される。ホームアプライアンスの示す範囲は電気以外のエネルギーを用いた家事用具も含む。ホームアプライアンスに含まれる製品であっても白物家電とはならないものがあるが、その逆はない。ホームアプライアンスに対する白物家電と同様の発想は、white home appliance(白物ホームアプライアンス)やwhite goodsとして表現されるが、電力を動力源としないものも含む。

脚注[編集]

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  1. ^ 参照:『Sony Chronicle 2006』(ソニースタイル・ジャパン)
  2. ^ 2009年2月23日付 週刊全国賃貸住宅新聞、2009年3月18日付 日本経済新聞、2009年4月28日発行 TOKYO★1週間 2009年4月号、2009年6月15日放映 TBSニュースバード ドクター月尾・地球の方程式「最新のレンタル事情」、等
  3. ^ シャラン/ゴルフトゥーラン。ある家族の父親(土田晃之)がリビングで「最近のミニバンってさー、デザインとか機能が家電っぽいよなぁ・・・」と言うカットがある。
  4. ^ トヨタ・カローラの横に並べられた冷蔵庫をカローラとして紹介する、韓国車に対する皮肉として廃家電で作った車を持ち出すなど

関連項目[編集]