ヒートパイプ

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永久凍土上のパイプラインで地中の熱を逃がすヒートパイプ

ヒートパイプ (Heat pipe) とは、熱の移動効率を上げる技術・仕組みの一つ。単に効率を上げるだけでなく、一方の温度が高い場合にのみ移動効率を発揮する熱ダイオードとしての使用法もある。なおメカニズム的には、熱伝導を上げているわけではなく、作動液の移動を用いて熱を移動させる仕組みである。

NASAにより人工衛星中の放熱に利用されたのが実用化の始まりである。熱伝導性が高い材質からなるパイプ中に揮発性の液体(作動液, Working fluid)を封入したもの。パイプ中の一方を加熱し、もう一方を冷却することで、

  1. 作動液の蒸発(潜熱の吸収)
  2. 作動液の凝縮(潜熱の放出)

のサイクルが発生し熱を移動する。

冷却部を加熱部より高い位置に設定することにより、凝縮後の作動液を加熱部に戻すことができるが、パイプ内壁をウィックと呼ばれる毛細管構造にすることにより、高低差がない場合や無重力の宇宙空間でも利用が可能になる。

原理[編集]

ヒートパイプの原理。図の左側が高温部、右側が冷却部。

右の図にヒートパイプの原理を示す。図の左側は高温部、右側は低温部(冷却部)である。

  1. 高温部内壁で、作動液が熱を吸収して蒸発する。
  2. 作動液蒸気が空洞を通って低温部に移動する。
  3. 低温部で冷却された作動液蒸気は凝集して液体に戻り、内壁のウィック(毛細管構造の芯)に吸収される。
  4. 作動液が内壁ウィックを伝わって高温部に戻る。

このように両端に温度差を与えることにより1-4の過程が生じ、ヒートパイプ内で作動液が循環し、高温部から低温部への熱移動が起こる。

応用[編集]

ヒートパイプ(オレンジ色)を用いたヒートシンク

パイプライン[編集]

アラスカ州トランス・アラスカ・パイプライン永久凍土上に敷設されており、パイプラインが発する熱で永久凍土が溶けてしまうのを防ぐため、支柱にヒートパイプが内蔵されている。熱は地中から空中の一方方向にしか移動しない。

電子機器の冷却[編集]

パソコンCPU等のデバイスの冷却に使用される。また、インバータに使用されるIGBT等のパワーデバイスにも使用される。

CPU等のデバイスの冷却に使用する場合、パイプおよびウィックには、作動液には代替フロンを用いるのが一般的である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]