ニュー・シネマ・パラダイス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ニュー・シネマ・パラダイス
Nuovo Cinema Paradiso
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
製作 フランコ・クリスタルディ
製作総指揮 ミーノ・バルベラ
出演者 フィリップ・ノワレ
ジャック・ペラン
サルヴァトーレ・カシオ
マルコ・レオナルディ
アニェーゼ・ナーノ
音楽 エンニオ・モリコーネ
アンドレア・モリコーネ
撮影 ブラスコ・ジュラート
編集 マリオ・モッラ
配給 日本の旗 日本ヘラルド
公開 イタリアの旗 1988年11月17日
フランスの旗 1989年5月19日CIFF
日本の旗 1989年12月16日
上映時間 155分
124分(国際版)
170分(ディレクターズカット版)
製作国 イタリアの旗 イタリア
フランスの旗 フランス
言語 イタリア語
興行収入 $11,990,401
テンプレートを表示

ニュー・シネマ・パラダイス』(: Nuovo Cinema Paradiso)は、1988年公開のイタリア映画。監督はジュゼッペ・トルナトーレ

中年男性が映画に魅せられた少年時代と青年時代の恋愛を回想する物語。感傷と郷愁、映画への愛情が描かれた作品である。後述の劇場公開版が国外において好評を博し、しばらく停滞期に入っていたイタリア映画の復活を、内外一般に印象付ける作品となった。映画の内容と相まってエンニオ・モリコーネ音楽がよく知られている。

あらすじ[編集]

ローマ在住の映画監督サルヴァトーレは故郷の母から、アルフレードが死んだという電話を受け取る。サルヴァトーレはベッドで寝ながら昔のことを思い出す。

第二次世界大戦中「トト」と呼ばれていた幼いサルヴァトーレ少年の父は戦争に取られ、彼はシチリア島の辺鄙な村で、母と妹と暮らしている。当時、村のたった一つの娯楽施設は、村の中心の広場にある教会を兼用した小さな映画館だった。

教会兼用のその映画館は、当時の村人たちには、唯一の外の世界への窓だった。週末になり、映画館で古い映写機が鳴り出すと、アメリカ映画に出てくる信じがたい豊かさや、保守的な村ではありえないロマンティックな男女関係など、目を丸くして見ている村人たちの目の前に、外の世界が写しだされた。新作の輸入映画のかかる夜には、村人たちはみな映画館に集まり、スクリーンに声援を送り、また教会の謹厳な司祭がラブシーンを削除させた所では、揃ってブーイングを鳴らすのだった。

映画に魅了されたトトは何度も映写室に入り込んで、そのたび映写技師のアルフレードにつまみ出されていた。ある事件をきっかけに2人は親しくなり、アルフレードはトトに映写機の操作を教えるようになった。ある日映画館が火事になり、フィルムを救い出そうとしたアルフレードは、火傷で視力を失った。やがて父親の戦死が伝えられ、トトは新しく建て直された映画館「新パラダイス座(Nuovo Cinema Paradiso)」で子供ながら映写技師として働き、家計を支えるようになった。

年月が過ぎ、若者となったトトはムービーカメラを手に入れ、自分でも映画を撮影するようになる。駅で見かけた美少女エレナとの初恋を経てトトは軍隊に徴兵されるが、除隊後村に帰ると映写室には別の男が座り、エレナは音信不通となっていた。落ち込むトトにアルフレードは「若いのだから外に出て道を探せ、村にいてはいけない、そして帰ってきてはいけない」と言ってきかせる。トトはその言葉に従って列車に乗り、ローマに向け旅立った。

30年後、映画人として成功し初老となったサルヴァトーレはアルフレードの葬儀に出席するため、年老いた母の待つ故郷の村に帰ってきた。そこで彼は「新パラダイス座」がすでに閉館し、建物の取り壊しも近いことを知る。サルヴァトーレはアルフレードが彼に遺した形見を渡される。ローマに戻ったサルヴァトーレはそのフィルムを映写させる。瞬くスクリーンを見上げると、男女愛への頌讃に満ちた一本のフィルムが映し出される。かつて幼いトトが、アルフレードから貰い受けて繋ぎ合わせた、司祭の命令でカットされたラブシーンばかりのフィルムだった。それを見ながらサルヴァトーレは、映画を愛する気持ちを取り戻すのだった(※後述のバージョンの長短により、ラストシーンの意味合いが異なる)。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
DVD版 フジテレビ
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期) サルヴァトーレ・カシオ 亀井芳子
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(青年期) マルコ・レオナルディ 鳥海勝美
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(中年期) ジャック・ペラン 小川真司
アルフレード フィリップ・ノワレ 久米明
エレナ(若年期) アニェーゼ・ナーノ 鈴鹿千春
エレナ(中年期)※DC版のみ ブリジット・フォッセー 鈴木弘子 -
マリア(中年期) アントネラ・アッティーリ 塩田朋子 吉田理保子
マリア(壮年期) プペラ・マッジオ 京田尚子
神父 レオポルド・トリエステ 佐古正人 富山敬
ボッチャ(少年期)
ボッチャ(若年期)
ボッチャ(中年期)
スパッカフィーコ(パラダイス座支配人) エンツォ・カナヴェイル 増岡弘
イグナチオ(劇場の案内人) レオ・グロッタ 江原正士
アンナおばさん イサ・ダニエリ
鍛冶屋 タノ・チマローサ
広場をうろつく男 ニコラ・ディ・ピント
  • 1993年3月6日(土)フジテレビゴールデン洋画劇場
    • 演出:山形淳二(フジテレビ)
    • 翻訳:宇津木道子
    • 調整:栗林秀年
    • 効果:関根正治
    • 録音:鷹野豊
    • 制作担当:広瀬洋子(ザックプロモーション)

制作・エピソード[編集]

スタッフ[編集]

音楽[編集]

主題曲「Cinema Paradiso」はこれまでに各国のさまざまな企業のCMに使われているほか、テレビ番組でも頻繁に用いられる。イタリアのジャズトランペット奏者ファブリッツィオ・ボッソのアルバム『Nuovo Cinema Paradiso』、パット・メセニーチャーリー・ヘイデンのデュオ作『ミズーリの空高く』、クリス・ボッティのアルバム『When I Fall in Love』など多くのミュージシャンがカバーしている。日本では、ギタリスト渡辺香津美がアコースティック・ギターをメインに用いた『おやつ』、 大賀好修B'z松本孝弘のソロ・ワークス『Theatre of Strings』でカバーしている。

劇場公開版と完全版について[編集]

本作はいくつかのバージョンで発表されている。日本では173分版と123分版が公開・ソフト化されている。

  • 173分: 「ディレクターズカット版」、DVDでは「完全オリジナル版」
  • 155分: イタリアで上映された「オリジナル版」
  • 123分[1](124分[2]とされることもある): 国際版、「劇場公開版」、DVDでは「SUPER HI-BIT EDITION デジタル・リマスター版」

短縮版(「劇場公開版」)と長尺版では、映画の主題が大きく異なっている。短縮版では映画館「パラダイス座」が物語の中心となるのに対し、長尺版では主人公の人生に焦点が置かれており、青年期のエレナとの恋愛や壮年期の帰郷後の物語が丹念に描かれる。このためにラストシーンは同じであるが、短縮版では少年時代の映画を愛する心を取り戻す意味合いとなり、長尺版ではエレナに囚われて長い年月忘れていた映画を愛する心を取り戻すという意味合いになる。[独自研究?]

1988年にイタリアで劇場公開された「オリジナル版」の上映時間は155分だった。しかし興行成績が振るわなかったため、ラブシーンやエレナとの後日談をカットして123分に短縮されて国際的に公開され、成功を収めた。このバージョンの編集も監督本人が手がけている。

2002年には、173分のディレクターズ・カット版が公開された。155分版にはエレナの母親が立ち姿でトトと電話で話をしているシーンが含まれるが、173分版ではカットされている。

エピソード[編集]

ロケ地となったパラッツォ・アドリアーノ
  • 映画の舞台となったシチリア島の「ジャンカルド村」は架空の村で、撮影はパラッツォ・アドリアーノで行われた。現在でもこの村を訪れると映画に登場する広場や町並みを見学できる。ちなみにムニチピオ脇のニューシネマパラダイス館にはカシオの従兄弟(彼の名もトト)他スタッフ数名が常駐し、申し出ればパラダイス座の客席として使われた教会内部、アルフレードの家(玄関)、トトの家(玄関)などを無償で案内してくれる。同村は内陸にあるため、海岸のシーンはチェファルバゲリーア周辺、少年トトの通う学校はカステルブオーノ、トトとアルフレードの今生の別れとなった駅はラスカリ (it:Stazione di Lascari-Gratteriで撮影された。
  • 2008年1月26日テレビ東京で放映された『地球街道』イタリア特集では、作曲家の千住明がパラッツォ・アドリアーノを訪れ、子供時代のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオ本人と会っている。
  • カシオは現在実業家(2軒のスーパーマーケットのオーナー)であり、依頼があれば映画・テレビ番組に出演している。
  • ラストシーンの映像技師の役は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督によるカメオ出演である。元々は映画監督のフェデリコ・フェリーニに出演を頼んだが断られている。
  • 主人公サルヴァトーレの愛称「トト」は、イタリアの喜劇王「Totò」に由来。作中でも彼の出演映画が上映されている。
  • 映画中の音声は、すべてアフレコによる録音である。

作中に登場する映画[編集]

作品の評価[編集]

受賞[編集]

日本公開時におけるエピソード[編集]

本作品の日本における初公開は、1989年12月。東京・銀座4丁目、和光裏にある200数席ほどのシネスイッチ銀座において、40週におよぶ連続上映を行った。さほど大きくないこの劇場において、動員数約27万人、売上げ3億6900万円という驚くべき興行成績を収めた。この記録は、単一映画館における興行成績としては、2012年現在においても未だ破られていない。

DVD[編集]

日本では、DVDはバージョンの異なる2種類がアスミック・エースから同時に発売された。いずれも一般的な片面2層。この2枚をセットにしたツインパックは限定発売。

  • 劇場公開版:SUPER HI-BIT EDITIONと銘打ち、字幕のみで吹き替え無し。画質を重視した為、正規版には珍しく特典映像を収録しない。
  • ディレクターズ・カット版:完全オリジナル版と銘打ち、吹き替え、特典映像有り。
  • 劇場公開15周年を記念するアニヴァーサリーボックスを10000セット限定で販売。

ほかに、大型本『世界名作シネマ全集 第24巻 ヨーロッパ映画の秀作』の付属DVDとして映画『』とともに劇場公開版が収録されている(日本語吹き替え、予告映像あり)。

関連項目[編集]

  • 映画『虹をつかむ男』 - 『ニュー・シネマ・パラダイス』と同じく、地方の小さな町で営まれている映画館が舞台。西田敏行演じる映画館(定期的に名画座方式運営)主が、作中にて『ニュー・シネマ・パラダイス』を上映、初日上映にて、地域住民が多数を占める観客に対し、挨拶と簡単な作品紹介を行うシーンがある。

脚注[編集]

外部リンク[編集]