滋賀大学経済学部

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滋賀大学経済学部(しがだいがくけいざいがくぶ、英語:Faculty of Economics)は、滋賀大学が設置する学部の一つである。1922年(大正11年)に創立された彦根高等商業学校を前身とする学部で、2022年で創立100周年の伝統を持ち、5学科17講座からなるその規模は、日本の国立大学の中では最大級。

1937年5月7日に午後1時40分よりヘレン・ケラーによる記念講演会が開催された[1][2]滋賀大学講堂(旧彦根高商講堂、国の登録有形文化財、2020年改修後)及び本部棟

概観[編集]

彦根藩の武家の教養と近江商人の精神を体現した「士魂商才[3]の伝統を受け継ぎ、広い教養と国際的視野を持つ経済人の養成に取り組んできた。国立大学経済学部において日本最大の規模と伝統を誇り、学生数1学年約450名[4]、教員数約80名[5]、5学科(経済学科・ファイナンス学科・企業経営学科・会計情報学科・社会システム学科)17講座を擁する、日本の一般的な経済学部の枠を超えた「総合経済学部」である[6]

彦根城の石垣跡と滋賀大学経済学部

大学院経済学研究科は、文系大学院で、日本で最初に、リスクを研究対象とした大学院としても知られ、博士前期課程に経済学専攻・経営学専攻・グローバル・ファイナンス専攻の3専攻、博士後期課程に経済経営リスク専攻を設置している(リスク研究センター併設)。2010年時点で、国立大学の中で、"大学院経済学研究科"という名称で博士後期課程を設置しているのは、合計10大学のみとなっている[7]

入試・研究[編集]

経済学部は全国の文系学部で唯一、前期日程より後期日程の募集人員を多く取っており、近隣の経済学部において後期日程の募集が少ないため、近畿・東海圏の経済学部後期日程におけるシェアは45%を超える。

活動・実績[編集]

SIFEの国内大会で二度優勝し、2010年に米国ロサンゼルスで開催された世界大会では日本代表として初めて準決勝に進出した[8]日経TEST学生団体対抗戦でも二連覇を達成[9]高等商業学校の面影を最も色濃く伝える一校として知られ、単独で新制大学に移行した小樽商科大学(「出世できる大学」全国5位)や同じく高等商業学校をその起源とする一橋大学(同2位)・神戸大学(同12位)・大阪市立大学(同26位)とともに、『週刊ダイヤモンド』や『週刊エコノミスト』で同9位の「真の実力」を持った大学として取り上げられている[10][11][12]

グローバル人材育成コース[編集]

2014年度より、将来グローバルに活躍できる人材を育成するためのコースを経済学部に設置。英語による授業やプレゼンテーションなどの実践的授業、海外インターンシップを行う。コース生は国内学生と留学生で構成され、2014年度第1期生は国内学生13名(申請者143名)、留学生11名の計24名[13]

沿革[編集]

(出典[14]

  • 1967(昭和42)年 - 6月、経済学部史料館を省令施設として経済学部附属史料館と改称。
  • 1973(昭和48)年 - 9月、大学院経済学研究科(経済学専攻、経営学専攻)を設置し、経済学専攻科(経理経営専攻)を廃止。
  • 1990(平成2)年 - 4月、経済学部に情報管理学科を設置。同12月情報処理センターを設置し、計算センターを廃止。
  • 1993(平成5)年1 - 10月、経済学部に社会システム学科を増設、経営学科を企業経営学科に、会計学科を会計情報学科に改組。経済学部の各学科に昼間主コース、夜間主コースを設置。同11月、産業共同研究センターを設置。
  • 2001(平成13)年 - 4月、留学生センターを設置。大学院経済学研究科にグローバル・ファイナンス専攻を設置。
  • 2003(平成15)年 - 4月、環境総合研究センターを設置。滋賀大学大津サテライトプラザを開設。大学院経済学研究科に博士後期課程経済経営リスク専攻を設置。
  • 2006(平成18)年 - 4月、留学生センターを改組し、国際センターを設置。大学サテライトプラザ彦根を開設。
  • 2012(平成24)年 - 4月、生涯学習教育研究センター、産業共同研究センター、地域連携センターを統合し、社会連携研究センターを設置。
  • 2013(平成25)年 - 10月、大津サテライトプラザを日本生命大津ビルに移転。
  • 2016(平成28)年 - 3月、経済学部情報処理教育センターを廃止。同4月、情報機構を設置。データサイエンス教育研究センターを設置。同6月、基金室を設置。同8月、高大接続・入試センターを設置。同9月、大学戦略IR室を設置。
  • 2018(平成30)年 - 7月、国際センター分室にグローバルプラザを開設。
  • 2019(平成31)年 - 4月、国際交流機構、産学公連携推進機構を設置。同6月、滋賀大学創立70周年及び大学院データサイエンス研究科設置記念式典を挙行。

学部[編集]

経済学科[編集]

(出典[16]

  • 基礎理論講座
  • 応用経済論講座
  • 政策経済論講座
  • 比較経済論講座

ファイナンス学科[編集]

(出典[17]

  • ファイナンス計画講座
  • ファイナンス市場講座
  • ファイナンス・システム講座

企業経営学科[編集]

(出典[18]

  • マネジメント講座
  • マネジメント・ポリシー講座
  • マネジメント・サイエンス講座

会計情報学科[編集]

(出典[19]

  • 財務会計講座
  • 管理会計講座
  • 国際会計講座

社会システム学科[編集]

(出典[20]

  • 社会システム講座
  • 法システム講座
  • 思考情報システム講座
  • 国際文化システム講座

大学院[編集]

(出典[21]

博士前期課程[編集]

  • 「経済学専攻」
  • 「経営学専攻」
  • 「グローバル・ファイナンス専攻」

博士後期課程[編集]

  • 「経済経営リスク専攻」

経済経営研究所[編集]

(出典[22]

滋賀大学経済経営研究所は、「社史・団体史」「滋賀県関係資料」をはじめとする90年にわたり収集された資料や 「旧植民地関係資料」「石田記念文庫」「彦根高商刊行物」「戦前期営業報告書」「学校一覧」「満洲引揚資料」など旧制彦根高等商業学校時代に関する資料など、長い歴史のなかで収集された貴重な資料も多く所蔵しており、当該資料の収集・管理に取り組み、また、研究会・ワークショップ・講演会等を開催し、ディスカッションペーパー、ワーキング・ペーパー、『彦根論叢』、『滋賀大学経済学部研究年報』、『滋賀大学経済学部研究叢書』に加え、柔軟性を持つリーフレットやブックレットの出版も行っている。同研究所では、以下のとおり、研究・教育のサポートを行っている。

  1. 研究成果の公開
  2. 資料の公開
  3. 学生懸賞論文
  4. 閲覧室

経済経営研究所の蔵書[編集]

史料館[編集]

(出典[23]

1952年に博物館法により博物館相当施設として指定された[15])滋賀大学経済学部附属史料館は、菅浦文書・中世分(1,281点)(国宝指定)を含む中世・近世文書など、貴重な資料を所蔵している。その事業内容は、以下のとおりである。

  1. 史料の調査・収集
  2. 史料の受入
  3. 史料の整理・保管
  4. 目録の刊行・史料の翻刻
  5. 史料の公開(閲覧・展示等)
  6. 史料の研究
  7. 研究成果の発表

中世・近世文書

  • 菅浦文書 中世分(1,281点) 平成30年10月国宝指定
長浜市須賀神社所有文書。鎮守須賀神社等に秘蔵され、大正6年に公になった、中世惣村を知る上での一級史料。年代は長久2年より一部近世に及ぶ。内容は大浦庄との境相論関係、領主山門・竹生島との支配関係、大名浅井氏関係、惣村・宮座関係、売券・寄進状など。
  • '今堀日吉神社文書(947点) 昭和62年6月 国の重要文化財指定
東近江市今堀日吉神社所有文書。中世商業、惣村・宮座を知る上での一級史料。年代は文応から一部近世・近代に及ぶ。内容は山門領得珍保史料も含み、惣郷・惣庄関係、中世商業及び相論関係、惣村・宮座関係、大名六角氏関係、売券・寄進状など。
  • 大嶋神社・奥津嶋神社文書(224点) 昭和62年6月 国の重要文化財指定
近江八幡市北津田の大嶋神社奥津嶋神社所有文書。惣村・宮座や湖上漁業史を知る上での一級史料。年代は仁治から一部近世半ばに及ぶ。内容はえりや萱場相論関係、惣村・宮座関係、特に売券・寄進状が多い。南津田上れう使組物等配分定書と徳政條々定書の木札2点を含む。
  • 中井源左衛門家文書(20,383点) 近江商人史料
近世の近江商人のなかでも屈指の豪商であった日野町の中井源左衛門家の文書。商業・金融業・工業・新田開発など、非常にまとまった内容を持ち、量的にも豊富な商家文書であり、当館収蔵文書の中でも学術的評価の高いものの一つである。
  • 大浜家文書(7,319点) 大庄屋史料
長浜市(旧東浅井郡びわ町)大浜太郎兵衛家の文書で、質的・量的に価値ある村方文書である。同家は郡山藩より苗字帯刀を許された大庄屋であり、大浜村関係のみならず、幕政・藩政史料及び当家支配の八か村の史料をも含む。
  • 西川伝右衛門家文書(2,865点) 北海道交易史料
北海道交易の始祖と言われ、北海事業に尽くし、松前藩の御用達として苗字帯刀を許された近江八幡市の西川伝右衛門家の文書で、利用度はかなり高い。本家日誌ならびに北海道の支店日記など500点が含まれる。

収蔵史料一覧[編集]

施設[編集]

(出典[24]

経済学部敷地内にある講堂(旧彦根高商講堂、国の登録有形文化財、2020年改修)
  • 彦根地区大学会館(湖陵会館)
  • 総合研究棟<士魂商才館>
  • 陵水学習教育支援室
  • 地域連携教育推進室
  • 就職支援室
  • 偲聖寮(彦根キャンパスまで徒歩15分)

キャンパス[編集]

主な就職先[編集]

同窓会[編集]

経済学部の同窓会は「陵水会」と称している[25]

著名な教職員[編集]

経済・金融[編集]

経営・会計・情報[編集]

社会・法・人文・理[編集]

著名な出身者[編集]

政治[編集]

行政[編集]

経済・経営[編集]

金融業[編集]

製造業・流通業[編集]

情報業・通信業等[編集]

大学・研究[編集]

経済学[編集]

経営学・会計学[編集]

社会学・法学等[編集]

社会・文化[編集]

脚注[編集]

  1. ^ レファレンス協同データベース 2023年3月閲覧
  2. ^ ヘレン ケラーが訪れた場所|DADA Journal 2023年3月閲覧
  3. ^ 出光佐三が官立神戸高等商業学校校長である水島銕也より授かった理念。http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/eml/Ronso/398/sikonsyosai.pdf
  4. ^ 学生数(2019年5月1日現在)|滋賀大学
  5. ^ 役員・教職員数(2019年5月1日現在)|滋賀大学
  6. ^ 経済学部・大学院経済学研究科
  7. ^ 本学は他の大学と異なり経済経営リスク専攻のみ設置する。しかし経済学系の大学院博士後期課程を設置する国公立大学は他にも多数存在する。
  8. ^ 滋賀大学SIFE、日本チーム初のセミファイナル進出!!国立大学協会
  9. ^ 学生団体対抗戦の結果発表日経TEST
  10. ^ 週刊ダイヤモンド 出世できる大学ランキング
  11. ^ 「週刊ダイヤモンド」の特集に滋賀大学が掲載されました
  12. ^ 「有名大学卒ほど出世しやすい」はもはや昔の話?小樽商科、滋賀、大阪市立――地方の意外な実力校ダイヤモンド社
  13. ^ グローバル人材育成コース
  14. ^ 70周年記念誌「写真でみる滋賀大学の歴史」51-52頁
  15. ^ a b c 経済学部附属史料館
  16. ^ 滋賀大学経済学部経済学科
  17. ^ 滋賀大学経済学部ファイナンス学科
  18. ^ 滋賀大学経済学部企業経営学科
  19. ^ 滋賀大学経済学部会計情報学科
  20. ^ 滋賀大学経済学部社会システム学科
  21. ^ 滋賀大学大学院経済学研究科
  22. ^ 滋賀大学経済経営研究所
  23. ^ 滋賀大学経済学部附属史料館事業内容
  24. ^ 滋賀大学経済学部内施設
  25. ^ 一般社団法人陵水会
  26. ^ a b c d e f g h i j k 名誉教授・名誉博士|滋賀大学

外部リンク[編集]